組立・分解式戸袋
【解決手段】戸袋Aを構成する部材であって、互いに連関する構成部材の一方1に係合部1aが形成され、他方の構成部材2には前記係合部1aと嵌合する上向きの切り起し片2aが形成されている。
【効果】前記係合部1aと前記切り起し片2aとが嵌合するだけで、互いに連関する構成部材1、2がいわゆる仮止めの状態で、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、組み立てることができる。逆に、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの嵌合状態を解くだけで、互いに連関する構成部材を極めて容易かつ迅速に分解することができる。
【効果】前記係合部1aと前記切り起し片2aとが嵌合するだけで、互いに連関する構成部材1、2がいわゆる仮止めの状態で、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、組み立てることができる。逆に、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの嵌合状態を解くだけで、互いに連関する構成部材を極めて容易かつ迅速に分解することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立・分解可能な戸袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、戸袋は大工が現場で組み立てていたが、近年、鉄ないしスチール製であって予め工場その他において組み上げられたものを現場に運んで設置する方式を取ることが多くなって来ている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−247358号公報(図6)
【0004】
図13(a)、(b)に示すように、このような枠体B’にさらに各種のパネルC’、C’を溶接等で固定すると、予め組み上がった戸袋A’は、材質が鉄ないしスチール製であることや戸袋が比較的大きいため、非常に重くなり(通常、30kg程度)、取り回しも悪いのみならず、輸送コストもかかるという欠点がある。なお、図13(c)は、図13(a)、(b)に示す戸袋A’の施工状態を示す一部切り欠きの横断面図であり、この戸袋A’に対して引込戸D’を開閉することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明では、当該戸袋を構成する部材であって互いに連関する構成部材を組立・分解可能とし、上記欠点を解消することができるように工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明では、戸袋を構成する部材であって、互いに連関する構成部材の一方に係合部が形成され、他方の構成部材には前記係合部と嵌合する上向きの切り起し片が形成されている。
この場合においては、前記係合部と前記切り起し片とが嵌合するだけで、互いに連関する構成部材がいわゆる仮止めの状態で、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、組み立てることができる。逆に、前記係合部と前記切り起し片との嵌合状態を解くだけで、互いに連関する構成部材を極めて容易かつ迅速に分解することができる。
したがって、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、戸袋を組み立てたり、分解することができる。
【0007】
係合部と切り起し片とが嵌合した状態で、連関する構成部材をビスで互いに固定しておくのが良い。
このようにすれば、戸袋を構成する部材であって、互いに連関する構成部材を強固に固定することができるので、戸袋全体の強度を十分に保持することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、戸袋を組み立てたり、分解することができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、戸袋を構成する部材であって、互いに連関する構成部材を強固に固定することができるので、戸袋全体の強度を十分に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による組立・分解式戸袋の基本原理の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)はその一部を切断して示す側面図、(c)は平面図、(d)は構成部材の一つに係合部が形成されていることを示す平面図である。
【図2】本発明による組立・分解式戸袋の枠体の一例を示す全体図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図3】図2に示す枠体の拡大図で、(a)は拡大平面図、(b)は枠体の上部のみを示す拡大正面図である。
【図4】図2に示す枠体の下部のみを示す拡大図である。
【図5】図2に示す枠体に、レール取付用パネルや大きさの異なるパネルを態で配置し、枠体とレール取付用パネルや大きさの異なるパネルとをビスで固定した状態を示す全体図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図6】図5の拡大図で、(a)は平面図、(b)は戸袋の上部のみを示す。
【図7】図5の一部の拡大図で、戸袋の中間部分のみを示す。
【図8】図5の一部の拡大図で、戸袋の下部のみを示す。
【図9】枠体に配置される部材の拡大斜視図で、(a)はレール取付用パネルを、(b)、(c)は大きさの異なるパネルを示す。
【図10】図6のX−X線に沿う拡大端面図で、(a)はレール取付用パネルで、枠体の一部である上桟と共に示す、(b)は小パネルを示す。
【図11】図7のXI−XI線に沿う拡大端面図で、大パネルを示す。
【図12】図5に示す本発明による組立・分解式戸袋の使用状態の一例を示す拡大断面図である。
【図13】図5に示す本発明による組立・分解式戸袋の使用状態の一例を示す概略横断面図である。
【図14】鉄ないしスチール製であって予め工場その他において組み上げられた従来の戸袋の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)はそれを切断して示す拡大側面図、(c)はその使用状態を示す概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による本発明による組立・分解式戸袋の一例を、図1〜図12に基いて詳細に説明する。
本発明による組立・分解式戸袋Aの基本原理は、図1に示すように、戸袋Aを構成する部材であって、互いに連関する構成部材の一方1に係合部1aが形成され、他方の構成部材2には前記係合部1aと嵌合する上向きの切り起し片2aが形成された場合をいう。
【0012】
この場合においては、前記係合部1aと前記切り起し片2aとが嵌合するだけで、互いに連関する構成部材1、2がいわゆる仮止めの状態で、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、組み立てることができる。逆に、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの嵌合状態を解くだけで、互いに連関する構成部材1、2を極めて容易かつ迅速に分解することができる。
【0013】
この具体例を示すと、全体図である図2に示すように、戸袋Aの方形状の枠体Bを構成するC型アングルからなる縦桟3と、この縦桟3と対向する側に位置するL型アングルからなる縦桟4と、両縦桟3、4の上端に渡し架けられる上桟5と、両縦桟3、4の下端に配置される下桟6とにおいて、前記上桟5と下桟6とに係合部1aを、前記両縦桟3、4に前記係合部1aと嵌合する上向きの切り起し片2aを形成した場合を挙げることができる。
【0014】
これをさらに拡大した図3、図4を用いてさらに詳細に説明すると、前記上桟5と下桟6とに係合部1aが、前記両縦桟3、4に前記係合部1aと嵌合する上向きの切り起し片2aが形成され、前記係合部1aと前記切り起し片2aとが嵌合するだけで、両縦桟3、4とその上端に渡し架けられた上桟5とが、また、両縦桟3、4とその下端に配置された下桟6とが、いわゆる仮止めの状態で、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、組み立てることができる。逆に、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの嵌合状態を解くだけで、互いに連関する両縦桟3、4とその上端に渡し架けられた上桟5とを、また、互いに連関する両縦桟3、4とその下端に配置された下桟6とを極めて容易かつ迅速に分解することができる。
【0015】
また、前記両縦桟3、4には、前記以外の位置に各種の小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9を取り付けることができるようになっており、そのために、図2〜図4に示すように、両縦桟3、4の前記以外の所定位置にも切り起し片2aがそれぞれ形成されている。一方、図5〜図7に示すように、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9には、これら各切り起し片2a、2aを嵌合させ得る係合部1aがそれぞれ形成されている。
【0016】
したがって、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9に形成された各係合部1a、1aと両縦桟3、4に形成された各切り起し片2a、2aとが嵌合するだけで、両縦桟3、4と両縦桟3、4に渡し架けるように配置された小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9とがいわゆる仮止めの状態で、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、組み立てることができる。逆に、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの嵌合状態を解くだけで、両縦桟3、4と両縦桟3、4に渡し架けるように配置されている小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9とを極めて容易かつ迅速に分解することができる。
【0017】
前記係合部1aを構成部材1の上側に形成する場合には、図1(c)、(d)に示すようにいわゆる開口された孔とすると、係合部1aを形成しやすいのみならず、前記切り起し片2aと嵌合させやすい。また、前記係合部1aを構成部材1の下側に形成する場合には、図1(a)に示すように単なる逆U字状の切欠とすると、係合部1aを形成しやすいのみならず、前記切り起し片2aと嵌合させやすい。
【0018】
一方、前記切り起し片2aは、前記構成部材1、2をいずれもスチール製としてその素材の一部を逆U字状に切断し、切断された逆U字の内側に相当する部分を、図1(b)に示すように折曲して起すと、強度的に優れているのみならず、切り起し片2aを形成しやすいし、前記係合部1aと嵌合させやすい。
なお、前記構成部材1、2はスチール製に限定されるものではなく、他の金属製としても良いし、非鉄金属製としても良い。要するに、強度的に弱いプラスチックス製に代わるものであって、さらに、反りや狂いが生じやすい木製に代わるものであって、強度的に優れた材質のものからなるものとすれば良い。前記構成部材1、2をこのような材質のものからなるものとすれば、前記係合部1a及び前記切り起し片2aを形成しやすい。
【0019】
また、図2〜図4、図9に示すように、戸袋Aの構成部材1、2である両縦桟3、4、上桟5、下桟6、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9には、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの少なくとも1つの嵌合位置付近に、ビスねじ込み用の孔10、10がそれぞれ形成されており、それぞれの仮止めの状態において、図6〜図8に示すように、前記孔10、10にビス11、11をそれぞれねじ込むことにより、両縦桟3、4と上桟5、下桟6、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9とを互いに固定することができる。
【0020】
このように、前記孔10、10にビス11、11をそれぞれねじ込むことにより、両縦桟3、4と上桟5、下桟6、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9とを互いに強固に固定することができる。
逆に、前記孔10、10からビス11、11をそれぞれ外し、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの嵌合状態を解くだけで、両縦桟3、4と上桟5、下桟6、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9とを極めて容易かつ迅速に分解することができる。
【0021】
なお、レール取付パネル9は、図10(a)及び図12に示すように、両縦桟3、4ないし上桟5に対して表面のみに配置されるのに対して、小パネル7、大パネル8は、図10(b)及び図11に示すように、両縦桟3、4ないし上桟5に対して表裏両面に2枚配置されている。
【0022】
組立・分解式のこの戸袋Aは、図12及び図13に示すように、隣接する部屋と部屋との間を仕切る仕切壁Cに開口するように形成された出入口Dを開閉するために、例えばレールEに沿って滑らせながら出入口Dを開閉する形式の引込戸F用として用いられるものである。そして、この戸袋Aは前記仕切壁Cを構成する石膏ボードG内に嵌め込まれ、前記レール取付パネル9に取り付けられたレールE上をローラHが回転することにより、隣接する部屋と部屋との間を仕切る仕切壁Cの出入口Dを開閉することができる。
【0023】
本戸袋Aの上桟5はビスIにより上側の横桟Jに、また、本戸袋Aの下桟6はビスKにより床パネルLに固定される。図12において、符号Mはガイドピンで、引込戸Fの下面においてその幅方向に形成されている溝fに差し込まれ、引込戸Fの滑動をスムーズに行い得るようにするためのものである。
【0024】
組立・分解式のこの戸袋Aを構成する各構成部材、すなわち、前記両縦桟3、4、上桟5、下桟6、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9を全てスチール製にするのが最も好ましい。
このように、本戸袋Aを全てスチール製にした場合には、木製のものに比べて反りや狂いがないため、引込戸Fが本戸袋Aとこすれるおそれがない。また、木製の場合に比べて戸袋の厚みを薄くできるので、仕切壁Cの厚みを薄くすることができる。さらに、木製の戸袋では、強度の面から手すり取付用のブラケットを戸袋に取り付けることができなかったが、スチール製の戸袋の場合には、強度が十分に保たれるので、取付可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明による戸袋は、上述した形式の引込戸F用として用いることができるばかりでなく、一筋鴨居と一筋敷居との間に配置される引込戸用として、あるいは、その他各種形式の引込戸用として用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1、2…戸袋の構成部材、1a…係合部、2a…切り起し片、3、4…縦桟、5…上桟 、6…下桟 、7…小パネル、8…大パネル、9…レール取付パネル、10…孔、11…ビス、A…戸袋、B…枠体、C…仕切壁、D…出入口、E…レール、F…引込戸、G…石膏ボード、H…ローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立・分解可能な戸袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、戸袋は大工が現場で組み立てていたが、近年、鉄ないしスチール製であって予め工場その他において組み上げられたものを現場に運んで設置する方式を取ることが多くなって来ている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−247358号公報(図6)
【0004】
図13(a)、(b)に示すように、このような枠体B’にさらに各種のパネルC’、C’を溶接等で固定すると、予め組み上がった戸袋A’は、材質が鉄ないしスチール製であることや戸袋が比較的大きいため、非常に重くなり(通常、30kg程度)、取り回しも悪いのみならず、輸送コストもかかるという欠点がある。なお、図13(c)は、図13(a)、(b)に示す戸袋A’の施工状態を示す一部切り欠きの横断面図であり、この戸袋A’に対して引込戸D’を開閉することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明では、当該戸袋を構成する部材であって互いに連関する構成部材を組立・分解可能とし、上記欠点を解消することができるように工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明では、戸袋を構成する部材であって、互いに連関する構成部材の一方に係合部が形成され、他方の構成部材には前記係合部と嵌合する上向きの切り起し片が形成されている。
この場合においては、前記係合部と前記切り起し片とが嵌合するだけで、互いに連関する構成部材がいわゆる仮止めの状態で、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、組み立てることができる。逆に、前記係合部と前記切り起し片との嵌合状態を解くだけで、互いに連関する構成部材を極めて容易かつ迅速に分解することができる。
したがって、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、戸袋を組み立てたり、分解することができる。
【0007】
係合部と切り起し片とが嵌合した状態で、連関する構成部材をビスで互いに固定しておくのが良い。
このようにすれば、戸袋を構成する部材であって、互いに連関する構成部材を強固に固定することができるので、戸袋全体の強度を十分に保持することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、戸袋を組み立てたり、分解することができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、戸袋を構成する部材であって、互いに連関する構成部材を強固に固定することができるので、戸袋全体の強度を十分に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による組立・分解式戸袋の基本原理の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)はその一部を切断して示す側面図、(c)は平面図、(d)は構成部材の一つに係合部が形成されていることを示す平面図である。
【図2】本発明による組立・分解式戸袋の枠体の一例を示す全体図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図3】図2に示す枠体の拡大図で、(a)は拡大平面図、(b)は枠体の上部のみを示す拡大正面図である。
【図4】図2に示す枠体の下部のみを示す拡大図である。
【図5】図2に示す枠体に、レール取付用パネルや大きさの異なるパネルを態で配置し、枠体とレール取付用パネルや大きさの異なるパネルとをビスで固定した状態を示す全体図で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図6】図5の拡大図で、(a)は平面図、(b)は戸袋の上部のみを示す。
【図7】図5の一部の拡大図で、戸袋の中間部分のみを示す。
【図8】図5の一部の拡大図で、戸袋の下部のみを示す。
【図9】枠体に配置される部材の拡大斜視図で、(a)はレール取付用パネルを、(b)、(c)は大きさの異なるパネルを示す。
【図10】図6のX−X線に沿う拡大端面図で、(a)はレール取付用パネルで、枠体の一部である上桟と共に示す、(b)は小パネルを示す。
【図11】図7のXI−XI線に沿う拡大端面図で、大パネルを示す。
【図12】図5に示す本発明による組立・分解式戸袋の使用状態の一例を示す拡大断面図である。
【図13】図5に示す本発明による組立・分解式戸袋の使用状態の一例を示す概略横断面図である。
【図14】鉄ないしスチール製であって予め工場その他において組み上げられた従来の戸袋の一例を示す図で、(a)は正面図、(b)はそれを切断して示す拡大側面図、(c)はその使用状態を示す概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による本発明による組立・分解式戸袋の一例を、図1〜図12に基いて詳細に説明する。
本発明による組立・分解式戸袋Aの基本原理は、図1に示すように、戸袋Aを構成する部材であって、互いに連関する構成部材の一方1に係合部1aが形成され、他方の構成部材2には前記係合部1aと嵌合する上向きの切り起し片2aが形成された場合をいう。
【0012】
この場合においては、前記係合部1aと前記切り起し片2aとが嵌合するだけで、互いに連関する構成部材1、2がいわゆる仮止めの状態で、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、組み立てることができる。逆に、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの嵌合状態を解くだけで、互いに連関する構成部材1、2を極めて容易かつ迅速に分解することができる。
【0013】
この具体例を示すと、全体図である図2に示すように、戸袋Aの方形状の枠体Bを構成するC型アングルからなる縦桟3と、この縦桟3と対向する側に位置するL型アングルからなる縦桟4と、両縦桟3、4の上端に渡し架けられる上桟5と、両縦桟3、4の下端に配置される下桟6とにおいて、前記上桟5と下桟6とに係合部1aを、前記両縦桟3、4に前記係合部1aと嵌合する上向きの切り起し片2aを形成した場合を挙げることができる。
【0014】
これをさらに拡大した図3、図4を用いてさらに詳細に説明すると、前記上桟5と下桟6とに係合部1aが、前記両縦桟3、4に前記係合部1aと嵌合する上向きの切り起し片2aが形成され、前記係合部1aと前記切り起し片2aとが嵌合するだけで、両縦桟3、4とその上端に渡し架けられた上桟5とが、また、両縦桟3、4とその下端に配置された下桟6とが、いわゆる仮止めの状態で、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、組み立てることができる。逆に、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの嵌合状態を解くだけで、互いに連関する両縦桟3、4とその上端に渡し架けられた上桟5とを、また、互いに連関する両縦桟3、4とその下端に配置された下桟6とを極めて容易かつ迅速に分解することができる。
【0015】
また、前記両縦桟3、4には、前記以外の位置に各種の小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9を取り付けることができるようになっており、そのために、図2〜図4に示すように、両縦桟3、4の前記以外の所定位置にも切り起し片2aがそれぞれ形成されている。一方、図5〜図7に示すように、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9には、これら各切り起し片2a、2aを嵌合させ得る係合部1aがそれぞれ形成されている。
【0016】
したがって、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9に形成された各係合部1a、1aと両縦桟3、4に形成された各切り起し片2a、2aとが嵌合するだけで、両縦桟3、4と両縦桟3、4に渡し架けるように配置された小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9とがいわゆる仮止めの状態で、極めて容易かつ迅速に、しかも極めて正確に、組み立てることができる。逆に、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの嵌合状態を解くだけで、両縦桟3、4と両縦桟3、4に渡し架けるように配置されている小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9とを極めて容易かつ迅速に分解することができる。
【0017】
前記係合部1aを構成部材1の上側に形成する場合には、図1(c)、(d)に示すようにいわゆる開口された孔とすると、係合部1aを形成しやすいのみならず、前記切り起し片2aと嵌合させやすい。また、前記係合部1aを構成部材1の下側に形成する場合には、図1(a)に示すように単なる逆U字状の切欠とすると、係合部1aを形成しやすいのみならず、前記切り起し片2aと嵌合させやすい。
【0018】
一方、前記切り起し片2aは、前記構成部材1、2をいずれもスチール製としてその素材の一部を逆U字状に切断し、切断された逆U字の内側に相当する部分を、図1(b)に示すように折曲して起すと、強度的に優れているのみならず、切り起し片2aを形成しやすいし、前記係合部1aと嵌合させやすい。
なお、前記構成部材1、2はスチール製に限定されるものではなく、他の金属製としても良いし、非鉄金属製としても良い。要するに、強度的に弱いプラスチックス製に代わるものであって、さらに、反りや狂いが生じやすい木製に代わるものであって、強度的に優れた材質のものからなるものとすれば良い。前記構成部材1、2をこのような材質のものからなるものとすれば、前記係合部1a及び前記切り起し片2aを形成しやすい。
【0019】
また、図2〜図4、図9に示すように、戸袋Aの構成部材1、2である両縦桟3、4、上桟5、下桟6、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9には、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの少なくとも1つの嵌合位置付近に、ビスねじ込み用の孔10、10がそれぞれ形成されており、それぞれの仮止めの状態において、図6〜図8に示すように、前記孔10、10にビス11、11をそれぞれねじ込むことにより、両縦桟3、4と上桟5、下桟6、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9とを互いに固定することができる。
【0020】
このように、前記孔10、10にビス11、11をそれぞれねじ込むことにより、両縦桟3、4と上桟5、下桟6、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9とを互いに強固に固定することができる。
逆に、前記孔10、10からビス11、11をそれぞれ外し、前記係合部1aと前記切り起し片2aとの嵌合状態を解くだけで、両縦桟3、4と上桟5、下桟6、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9とを極めて容易かつ迅速に分解することができる。
【0021】
なお、レール取付パネル9は、図10(a)及び図12に示すように、両縦桟3、4ないし上桟5に対して表面のみに配置されるのに対して、小パネル7、大パネル8は、図10(b)及び図11に示すように、両縦桟3、4ないし上桟5に対して表裏両面に2枚配置されている。
【0022】
組立・分解式のこの戸袋Aは、図12及び図13に示すように、隣接する部屋と部屋との間を仕切る仕切壁Cに開口するように形成された出入口Dを開閉するために、例えばレールEに沿って滑らせながら出入口Dを開閉する形式の引込戸F用として用いられるものである。そして、この戸袋Aは前記仕切壁Cを構成する石膏ボードG内に嵌め込まれ、前記レール取付パネル9に取り付けられたレールE上をローラHが回転することにより、隣接する部屋と部屋との間を仕切る仕切壁Cの出入口Dを開閉することができる。
【0023】
本戸袋Aの上桟5はビスIにより上側の横桟Jに、また、本戸袋Aの下桟6はビスKにより床パネルLに固定される。図12において、符号Mはガイドピンで、引込戸Fの下面においてその幅方向に形成されている溝fに差し込まれ、引込戸Fの滑動をスムーズに行い得るようにするためのものである。
【0024】
組立・分解式のこの戸袋Aを構成する各構成部材、すなわち、前記両縦桟3、4、上桟5、下桟6、小パネル7、大パネル8、レール取付パネル9を全てスチール製にするのが最も好ましい。
このように、本戸袋Aを全てスチール製にした場合には、木製のものに比べて反りや狂いがないため、引込戸Fが本戸袋Aとこすれるおそれがない。また、木製の場合に比べて戸袋の厚みを薄くできるので、仕切壁Cの厚みを薄くすることができる。さらに、木製の戸袋では、強度の面から手すり取付用のブラケットを戸袋に取り付けることができなかったが、スチール製の戸袋の場合には、強度が十分に保たれるので、取付可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明による戸袋は、上述した形式の引込戸F用として用いることができるばかりでなく、一筋鴨居と一筋敷居との間に配置される引込戸用として、あるいは、その他各種形式の引込戸用として用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1、2…戸袋の構成部材、1a…係合部、2a…切り起し片、3、4…縦桟、5…上桟 、6…下桟 、7…小パネル、8…大パネル、9…レール取付パネル、10…孔、11…ビス、A…戸袋、B…枠体、C…仕切壁、D…出入口、E…レール、F…引込戸、G…石膏ボード、H…ローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸袋を構成する部材であって、互いに連関する構成部材の一方に係合部が形成され、他方の構成部材には前記係合部と嵌合する上向きの切り起し片が形成されていることを特徴とする組立・分解式戸袋。
【請求項2】
係合部と切り起し片とが嵌合した状態で、連関する構成部材をビスで互いに固定したことを特徴とする請求項1記載の組立・分解式戸袋。
【請求項1】
戸袋を構成する部材であって、互いに連関する構成部材の一方に係合部が形成され、他方の構成部材には前記係合部と嵌合する上向きの切り起し片が形成されていることを特徴とする組立・分解式戸袋。
【請求項2】
係合部と切り起し片とが嵌合した状態で、連関する構成部材をビスで互いに固定したことを特徴とする請求項1記載の組立・分解式戸袋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−127343(P2011−127343A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287199(P2009−287199)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(591145461)榎本金属株式会社 (40)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(591145461)榎本金属株式会社 (40)
【Fターム(参考)】
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