説明

組立作業マニュアル作成支援システム

【課題】基本の組立作業マニュアルに組立作業指示、組立作業規格などの組立作業に必要な補足情報をまとめて埋め込みすることができる組立作業マニュアル作成支援システムを提供することを目的とする。
【解決手段】通信ネットワーク(14)を介してCADサーバ(12)及び生産管理サーバ(13)の情報を基に組立作業マニュアルファイルを作成し、該組立作業マニュアルファイルを参照端末機に出力する組立作業マニュアル作成支援システム(10)であって、上記CADサーバ及び上記生産管理サーバの情報を基に作成された上記組立作業マニュアルファイル及び該組立作業マニュアルファイルに対して追加埋め込みが必要な補足情報をデータ管理するデータ管理手段(16)と、複数の組立作業マニュアルファイルを対象に共通の補足情報を自動埋め込みする補足情報埋めこみ手段(17)とを有するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CADシステムによる設計データを用いて、組立作業指示、組立作業規格、組立作業ノウハウ等の組立作業の補足情報を組立作業マニュアルに埋め込み、効率的に組立作業マニュアルを作成する組立作業マニュアル作成支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CADデータを用いて組立作業のマニュアルを効率的に作成する支援システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、CADシステムによる設計データを用い、生産管理並びに作業管理データベースを検索参照して、1人の作業者が複数の組立工程を連続して担当する生産方式において、作業者端末機に一連の組立作業手順を順をおって表示して組立作業手順及び組立作業方法を指導するための組立作業マニュアル及び組立作業マニュアル表示順管理ファイルを効率的に作成することを提案している。
【特許文献1】特開2004−246762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1では、CADシステムによる設計データを用い、生産管理並びに作業管理データベースを検索参照して作成される組立作業マニュアルの情報には、組立作業指示、組立作業規格などの組立作業を行うに際し必要な注意事項等を含む補足情報が不足していて、完全な組立作業マニュアルを作成するためには、これらの補足情報を組立作業マニュアル作成者が一点一点入力して登録する作業が必要であった。
【0004】
本発明は斯かる課題を解決するためになされたもので、基本の組立作業マニュアルに組立作業指示、組立作業規格などの組立作業に必要な補足情報をまとめて埋め込みすることができる組立作業マニュアル作成支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するために以下のように構成する。
本発明の組立作業マニュアル作成支援システムの態様の一つは、通信ネットワークを介してCADサーバ及び生産管理サーバの情報を基に組立作業マニュアルファイルを作成し、該組立作業マニュアルファイルを参照端末機に出力する組立作業マニュアル作成支援システムであって、上記CADサーバ及び上記生産管理サーバの情報を基に作成された上記組立作業マニュアルファイル及び該組立作業マニュアルファイルに対して追加埋め込みが必要な補足情報をデータ管理するデータ管理手段と、複数の組立作業マニュアルファイルを対象に共通の補足情報を自動埋め込みする補足情報埋めこみ手段とを有するように構成する。
【0006】
また、更に、上記データ管理手段により管理されている第一の補足情報を第二の補足情報に変更する変更手段を有し、上記補足情報埋め込み手段は、共通の第一の補足情報を埋め込んだ複数の組立作業マニュアルファイルを特定し、埋め込まれている第一の補足情報を自動的に上記第二の補足情報と置換して組立作業マニュアルファイルを新規作成する、ように構成することが好ましい。
【0007】
また、補足情報の変更に応じて新規作成した組立作業マニュアルファイルを版数管理する版数記憶手段を更に備えるように構成することが好ましい。
また、上記補足情報を埋め込んだ組立作業マニュアルファイルの参照端末機への公開・非公開を設定する公開・非公開記憶手段を更に備えるように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基本の組立作業マニュアルに組立作業指示、組立作業規格などの組立作業に必要な補足情報をまとめて埋め込みすることができ、効率よく組立作業マニュアルを完成させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の組立作業マニュアル作成支援システムの構成図である。
【0010】
同図に示した組立作業マニュアル作成支援システム10は、組立作業マニュアル作成支援サーバ11、CADサーバ12、生産管理サーバ13、及び参照端末機15a、15b、・・・を備え、これらがLANなどの通信ネットワーク14を介して接続されるものとして構成されている。
【0011】
CADサーバ12は製品の3次元図や分解図等の設計情報を数値管理するデータベースサーバであり、生産管理サーバ13は部品棚の状況、例えば部品の在庫状況等、を管理するデータベースサーバである。
【0012】
組立作業マニュアル作成支援サーバ11はCADサーバ12及び生産管理サーバ13にある情報を用いて不図示の基本マニュアル作成部により作成した既存の組立作業マニュアル(組立作業マニュアルファイル)を管理する手段と、組立作業マニュアルファイルに対して組立作業マニュアル作成者が後工程で各ファイル単位に追加していた補足情報を自動的に追加する手段とを備えたデータベースサーバである。
【0013】
この例では、組立作業マニュアル作成支援サーバ11は、上記の各手段としてデータベース16及び組立作業マニュアル作成部17を有している。
データベース16は、データベース管理プログラム(DBMS)を備え、上記既存の組立作業マニュアルファイル及び各種の補足情報をテーブルを分けて管理する。この例では、組立作業マニュアルファイルを記録するテーブルとして組立作業マニュアルテーブル16aが備えられている。各種の補足情報については、組立作業指示情報を記録するテーブルとして組立作業指示テーブル16bが、組立作業条件及び組立作業規格情報を記録するテーブルとして組立作業条件テーブル16cが、組立作業ノウハウ情報を記録するテーブルとして組立作業ノウハウテーブル16dが、及び、部品の属性情報を記録するテーブルとして部品属性テーブル16eが備えられている。そして、組立作業マニュアルテーブル16aの組立作業マニュアルファイルと補足情報テーブル16b〜16eの各補足情報とは、一つ又は複数の組立作業マニュアル内において用いられ且つ補足情報の追加を必要とするキー情報によって紐付けされている。キー情報としては、組立作業マニュアルファイルがXML(Extensible Markup Language)で記述されたものである場合には、XMLファイル中の例えば所定部品を組み立てるときの工程名称を表す「部組名」や、使用する治工具の名称を表す「治工具名」や、治工具を用いて取り扱う部品の名称を表す「部品名」等が用いられる。
【0014】
データベース16には、更に、組立作業マニュアル管理テーブル16fが備えられている。ここには、組立作業マニュアルファイルに補足情報を追加したことを示す情報を履歴情報として記録する。
【0015】
一方の組立作業マニュアル作成部17は、組立作業マニュアルテーブル16aから組立作業マニュアルファイルを順次抽出する組立作業マニュアル抽出部17aを備えている。例えば指定日時になったときや所定の信号を検出した際に、組立作業マニュアルテーブル16aから組立作業マニュアルファイルを若いID番号(以下ではマニュアルIDとも呼ぶ)のものから順に抽出する。
【0016】
組立作業マニュアル作成部17は、更に、組立作業マニュアル抽出部17aで抽出した組立作業マニュアルファイルに補足情報を埋め込む補足情報埋込部を備えている。この補足情報埋込部では、例えば上述したように組立作業マニュアルファイルがXMLで記述されたものである場合には、抽出したツリー構造の組立作業マニュアルファイルを構造解析し、ノードの属性情報または更にそのノードの配置情報も読み出し、この読み出した情報をキーに補足情報テーブル16b〜16eを検索して対応情報即ち定型の補足情報を抽出し、補足情報の種類を示すタグ(開始タグ及び終了タグ)を付けて組立作業マニュアルファイル中(XML文書中)の上記補足情報に対応した任意の属性情報又は上記配置にある属性情報の位置に子情報として挿入する。この例では、各補足情報テーブル16b〜16eのそれぞれから種類の異なる補足情報を抽出して埋め込むものとして、組立作業指示情報埋込部17b、組立作業規格情報埋込部17c、ノウハウ情報埋込部17d、及び部品属性情報埋込部17eを備えている。
【0017】
なお、上記補足情報が追加される対象ノードとしては、登録されている複数の組立作業マニュアルにおいて共有可能なもの、例えば上述の「部組名」、「治工具名」、「部品名」、又はそれらの組み合わせ等を設定する。例えば、「部組名」の場合、「ネジシメ」は「ネジを締める」という内容の組立作業指示を行うので、その組立作業指示を補足情報として他の組立作業マニュアルに対して共有させることができる。また、「治工具名」の場合、「電動ドリル」は「締め付け力量を設定する」という内容の組立作業指示を行うので、その組立作業指示を補足情報として他の組立作業マニュアルに対して共有させることができる。
【0018】
組立作業マニュアル作成部17は、更に、組立作業マニュアル表示情報登録部17fを備えている。ここでは、上記のように補足情報を埋め込んだ組立作業マニュアルファイルにバージョン情報を付加する等して組立作業マニュアルテーブル16aに登録し、更にこの組立作業マニュアルファイルに何れの補足情報を追加したかを示す情報を組立作業マニュアル管理テーブル16fに登録する。
【0019】
以下においても、引き続き、先に一例として挙げたXMLを用いて、組立作業マニュアル作成支援サーバ11においての処理及びデータベース16の各種テーブルの構成を説明することにする。
【0020】
図2は、組立作業マニュアル作成支援サーバ11における補足情報の追加処理の動作フロー、図3〜図7は補足情報の追加処理に用いられるデータベース16の各種のテーブル構成図である。
【0021】
組立作業マニュアル作成支援サーバ11は、CADサーバ12と生産管理サーバ13の情報に基づいて、図示しない基本マニュアル作成部により組立作業マニュアルファイルを作成し、それをデータベース16上の組立作業マニュアルテーブル16aに登録(記録)する。本例では、組立作業マニュアルテーブル16aに記録した組立作業マニュアルファイルを、組立作業マニュアルファイルを一意に示すコード(マニュアルID)と、製品名、キー情報(部組名、治工具名、部品名)、使用数、部品棚ロケーション、組立図の情報、組立作業マニュアル表示順序を示す情報とにより組立作業マニュアル管理テーブル16fで管理するものとし、図2の補足情報の追加処理を次に示すように行う。
【0022】
先ず、組立作業マニュアル抽出部17aにおいて、組立作業マニュアルテーブル16aからマニュアルIDに従って順次組立作業マニュアルファイルを抽出する(S1)。
次いで、組立作業指示情報埋込部17bにおいて、上記の抽出した組立作業マニュアルファイルからキー情報(この場合、タグに記述されている部組名及び治工具名を示す属性情報)を所定順に読み出し、この読み出したキー情報に該当する補足情報(ここでは先ず組立作業指示情報)を組立作業指示テーブル16bから検索して抽出し、その組立作業指示情報に組立作業指示を示すタグをつけ、組立作業マニュアルファイル中の対応する属性ノード下に挿入する(S2)。
【0023】
図3(a)及び図3(b)は、組立作業指示テーブル16bのテーブル構成を示している。図3(a)は「部組名」と「組立作業指示情報」を対応させたテーブルであり、図3(b)は「治工具名」と「組立作業指示情報」を対応させたテーブルである。
【0024】
従って、この例では、組立作業指示情報埋込部17bは、キー情報が「部組名」の場合は組立作業指示テーブル16bの「部組名」のテーブル(図3(a))を検索し、キー情報が「治工具名」の場合は組立作業指示テーブル16bの「治工具名」のテーブル(図3(b))を検索し、組立作業マニュアルファイルが含む「部組名」及び「治工具名」と一致する組立作業指示情報をそれぞれ抽出し、そして、それぞれ、組立作業指示情報に組立作業指示を示すタグをつけ、組立作業マニュアルファイル中のそれぞれの対応する属性ノード下に挿入する 次いで、組立作業規格情報埋込部17cにおいて、上記の抽出した組立作業マニュアルファイルからキーの情報(この場合、タグに記述されている部組名、治工具名、及び部品名を示す属性情報と、それらの相互位置関係を示す配置情報)を読み出し、この読み出したキー情報に該当する組立作業規格情報を補足情報として組立作業条件テーブル16cから検索して抽出し、その組立作業規格情報に組立作業規格情報を示すタグをつけ、組立作業マニュアルファイル中の対応する位置(キー情報が示す配置関係にある最下位の属性ノード下)に挿入する(S3)。図4は、組立作業条件テーブル16cのテーブル構成を示している。図4は「部組名」、「治工具名」、「部品名」及び「組立作業規格情報」を対応させたテーブルである。この例では、一番目のレコードに「部組名」として「ネジシメ」、「治工具名」として「電動ドリル」、そして「部品名」として「M3」のネジの組み合わせで、「組立作業規格情報」として「トルク力量:3kg〜5kg」が記録されているので、上記の抽出した組立作業マニュアルファイルの中からキー情報として「ネジシメ」、「電動ドリル」、及び「M3」のタグがその配置関係で見つかると、組立作業条件テーブル16cから「組立作業規格情報」として「トルク力量:3kg〜5kg」を抽出して組立作業マニュアルファイル内の「ネジシメ」、「電動ドリル」、及び「M3」がその順で示される位置に「組立作業規格情報」を示すタグを付けて挿入する。また、二番目のレコードに「部組名」として「接着」、「治工具名」として「照射機1」、そして「部品名」として「接着剤1」の組み合わせで、「組立作業規格情報」として「照射時間:2秒〜5秒」が記録されているので、上記の抽出した組立作業マニュアルファイルの中からキー情報として「接着」、「照射機1」、及び「接着剤1」のタグがその配置関係で見つかると、組立作業条件テーブル16cから「組立作業規格情報」として「照射時間:2秒〜5秒」を抽出して組立作業マニュアルファイル内の「接着」、「照射機1」、及び「接着剤1」がその順で示される位置に「組立作業規格情報」を示すタグを付けて挿入する。
【0025】
次いで、ノウハウ情報埋込部17dにおいて、上記の抽出した組立作業マニュアルファイルからキーの情報(この場合、タグに記述されている部組名、治工具名、及び部品名を示す属性情報と、それらの相互位置関係を示す配置情報)を読み出し、この読み出したキー情報に該当するノウハウ情報を補足情報としてノウハウテーブル16dから検索して抽出し、そのノウハウ情報にノウハウ情報を示すタグをつけ、組立作業マニュアルファイル中の対応する位置(キー情報が示す配置関係にある最下位の属性ノード下)に挿入する(S4)。
【0026】
図5は、ノウハウテーブル16dのテーブル構成を示している。図5は「部組名」、「治工具名」、「部品名」及び「ノウハウ情報」を対応させたテーブルである。この例では、1番目のレコードに「部組名」として「ネジシメ」、「治工具名」として「電動ドリル」、そして「部品名」として「M3」のネジの組み合わせで、「ノウハウ情報」として「締め忘れに注意」が記録されているので、上記の抽出した組立作業マニュアルファイルからキー情報として「ネジシメ」、「電動ドリル」、及び「M3」のタグがその配置関係で見つかると、組立作業ノウハウテーブル16dから「ノウハウ情報」として「締め忘れに注意」を抽出して組立作業マニュアルファイル内の「ネジシメ」、「電動ドリル」、及び「M3」がその順で示される位置に「ノウハウ情報」を示すタグを付けて挿入する。また、二番目のレコードに「部組名」として「接着」、「治工具名」として「照射機1」、そして「部品名」として「接着剤1」の組み合わせで、「ノウハウ情報」として「照射時間に注意する」が記録されているので、上記の抽出した組立作業マニュアルファイルからキー情報として「接着」、「照射機1」、及び「接着剤1」のタグがその配置関係で見つかると、組立作業ノウハウテーブル16dから「ノウハウ情報」として「照射時間に注意する」を抽出して組立作業マニュアルファイル内の「接着」、「照射機1」、及び「接着剤1」がその順で示される位置に「ノウハウ情報」を示すタグを付けて挿入する。
【0027】
次いで、部品属性情報埋込部17eにおいて、上記の抽出した組立作業マニュアルファイルからキーの情報(この場合、タグに記述されている部品名と種別を示す属性情報と、それらの相互位置関係を示す配置情報)を読み出し、この読み出したキー情報に該当する部品属性情報を補足情報として部品属性テーブル16eから検索して抽出し、その部品属性情報に部品属性情報を示すタグをつけ、組立作業マニュアルファイル中の対応する位置(キー情報が示す配置関係にある最下位の属性ノード下)に挿入する(S5)。
【0028】
図6は、部品属性テーブル16eのテーブル構成を示している。図6は「部品名」、「種別」、及び「部品属性情報」を対応させたテーブルである。この例では、1番目のレコードに「部品名」として「C1」、「種別」として「電解コンデンサ」、そして「部品属性情報」として「極性あり+−」が記録されているので、上記の抽出した組立作業マニュアルファイルからキー情報として「C1」及び「電解コンデンサ」のタグがその配置関係で見つかると、部品属性テーブル16eから「部品属性情報」として「極性あり+−」を抽出して組立作業マニュアルファイル内の「C1」及び「電解コンデンサ」がその順で示される位置に「部品属性情報」を示すタグを付けて挿入する。また、二番目のレコードに「部品名」として「R1」、「種別」として「抵抗」、そして「部品属性情報」として「左から表示」が記録されているので、上記の抽出した組立作業マニュアルファイルからキー情報として「R1」及び「抵抗」のタグがその配置関係で見つかると、部品属性テーブル16eから「部品属性情報」として「左から表示」を抽出して組立作業マニュアルファイル内の「R1」及び「抵抗」がその順で示される位置に「部品属性情報」を示すタグを付けて挿入する。
【0029】
そして、全ての補足情報の埋め込みが終了した組立作業マニュアルファイルは、組立作業マニュアル表示情報登録部17fにより、組立作業マニュアルテーブル16aに登録され、補足情報を追加したことを示す情報を組立作業マニュアル管理レコードとして組立作業マニュアル管理テーブル16fに生成する。
【0030】
図7(a)〜(c)は、組立作業マニュアル管理テーブル16fに生成された組立作業マニュアル管理レコードの構成を示している。
この例では、組立作業マニュアル管理テーブル16fにおいて、組立作業マニュアルファイルに含まれる補足情報の内の「治工具名」及び「部品名」を管理する補足情報管理テーブル(1)、組立作業マニュアルファイルに含まれる補足情報の内の「部組名」を管理する補足情報管理テーブル(2)、及び組立作業マニュアルファイルに対する補足情報の追加履歴を管理する補足情報追加履歴管理テーブルが構成されている。
【0031】
組立作業マニュアル管理テーブル16fでは、上記各種補足情報の埋め込みが行われると、埋め込みが行われた補足情報の「治工具名」、「部品名」、又はそれらの配置関係を示す「部組名」のレコードが補足情報の追加となった組立作業マニュアルファイルのマニュアルIDに対応づけて追加生成される。また、更に、その組立作業マニュアルファイルのマニュアルIDのバージョン情報が追加生成される。
【0032】
なお、上記の組立作業マニュアルファイルに対する補足情報埋め込み処理と補足情報追加履歴管理テーブルへの登録処理では、組立作業マニュアルファイルに1つの補足情報を埋め込むたびにその埋め込みを示す情報を組立作業マニュアル表示情報登録部17fへ出力するようにして良い。
【0033】
以上のように、第1の実施形態によれば、CADシステムによる設計データを用いて作成される組立作業マニュアルに対して、組立作業指示、組立作業規格、組立作業ノウハウ、部品属性などの後に追加される補足情報を、まとめて、効率よく追加することができるようになる。
【0034】
また、組立作業マニュアルファイルとこれに補足した情報との関係を履歴管理するので、何れの組立作業マニュアルファイルに補足情報が追加されたのかを後に確認することが容易になる。
【0035】
[第2の実施の形態]
図8は、第2の実施の形態の組立作業マニュアル作成支援システムの構成を示すブロック図である。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0036】
第2の実施形態では、組立作業マニュアル作成部17に出力処理部18を追加した点が第1の実施の形態と相違している。この出力処理部18は、不図示の基本マニュアル作成部により作成された組立作業マニュアルの基本情報に加えて、第1の実施の形態で示した追加の補足情報を、参照端末機15a、15b、・・・に表示する機能を有している。
【0037】
ここでは、出力処理部18は、XSL(eXtensible Stylesheet Language)またはXSLT(eXtensible Stylesheet Language Transformations)等のフォーマット変換機能を備えたものであり、参照端末機15a、15b、・・・が備えている表示ソフトに対応したフォーマットに変換する。例えば参照端末機15aがXSL(eXtensible Stylesheet Language)対応のものの場合、参照端末機15aから組立作業マニュアルファイルの表示命令があると、組立作業マニュアル管理テーブル16fを参照し、指定の表示順に組立作業マニュアルテーブル16aから組立作業マニュアルファイルを抽出してXSL(eXtensible Stylesheet Language)にフォーマット変換し、参照端末機15aへ出力する。
【0038】
図9に、参照端末機15a、15b、・・・の画面表示例を示している。
同図に示すように、参照端末機15a、15b、・・・には、基本情報作成者が作成した製品名、部組名、治工具(治工具名)、CADサーバ12から取得した組立品の3次元分解図等の基本情報に加えて、自動埋め込みされた補足情報、例えば組立作業指示(「締め付けトルクを設定し、ビス締めする」)、組立作業規格(組立作業規格情報)(「締め付けトルク:3kg」)、組立作業ノウハウ(ノウハウ情報)、及び部品属性(部品属性情報)等、が画面表示される。
【0039】
なお、この例では、組立作業ノウハウ及び部品属性はデータベースに情報が記録されていないものとして空情報を画面表示させているが、例えば部品がコンデンサであれば組立作業ノウハウとして「極性注意を促す情報」が表示され、また、部品属性として、「プラス極、マイナス極の情報」が表示される。
【0040】
このように、第2の実施形態によれば、参照端末機15a、15b、・・・の画面に補足情報を強調的に表示させることが可能になり、組立作業者は、参照端末機15a、15b、・・・により組立作業指示、組立作業規格、組立作業ノウハウ、及び部品属性を確認することが可能になる。そのため、組立作業者は、組立作業の本質を早期に理解することができ、組立作業者が初心者であっても早期に組立作業に熟練することができるようになる。
[第3の実施の形態]
図10は、第3の実施の形態の組立作業マニュアル作成支援システムの構成を示すブロック図である。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0041】
第3の実施形態では、データベース16に入力処理部19を追加している。
第1の実施形態で示したように、組立作業マニュアルテーブル16aには、組立作業指示、組立作業規格、組立作業ノウハウ、及び部品属性等の補足情報を自動埋め込みした組立作業マニュアルが記録される。
【0042】
当該入力処理部19は、各種テーブルに記録した補足情報を変更したい場合に組立作業マニュアル作成者がそれらの補足情報を書き変えるための手段である。
具体的には、組立作業マニュアル作成者がキーボード等の入力装置を介し、変更箇所を指定するためのキー情報(例えば部組名、治工具名、又は部品名等)が入力されると、該当するレコード情報を各種データベース16b〜16eから抽出する。そして、キーボード等の入力装置を介してそのレコード情報を変更し、変更後のレコード情報によりデータベースの対応情報を更新する。 第1の実施形態において、組立作業マニュアル作成部17は、例えば指定日時になったときや所定の信号を検出した際に、組立作業マニュアルテーブル16aから組立作業マニュアルファイルを若いID番号(以下ではマニュアルIDとも呼ぶ)のものから順に抽出し、補足情報を埋めて組立作業マニュアルファイルを完成させる旨を述べた。
【0043】
第2の実施の形態においても、同様に、組立作業マニュアル作成部17は、例えば指定日時になったときや所定の信号(例えばデータベースの更新を完了した旨を知らせる信号)を検出した際に、組立作業マニュアルテーブル16aから組立作業マニュアルファイルを若いID番号(以下ではマニュアルIDとも呼ぶ)のものから順に抽出し、補足情報を埋めて組立作業マニュアルファイルを完成させる。ただし、この場合、組立作業マニュアル抽出部17aは組立作業マニュアル管理テーブル16fの図7(c)のテーブルを参照してから、組立作業マニュアルテーブル16aから順次抽出する組立作業マニュアルファイルとして、組立作業マニュアル管理テーブル16fに履歴情報として残されているものの内の最新のバージョンのものを順次抽出し、そのバージョンのものに補足情報を埋めて組立作業マニュアルファイルを完成させる。
【0044】
なお、抽出した組立作業マニュアルファイル中には既に補足情報が含まれているので、組立作業マニュアルファイル中へ補足情報を挿入する際には既に挿入されている補足情報を削除してそこへ新たな補足情報を挿入するようにする。
【0045】
また或いは、組立作業マニュアルファイル中へ補足情報を挿入する際に、既に挿入されている補足情報とこれから挿入する補足情報との一致度を一つ一つ調べ、一致していないものだけ、既に挿入されている補足情報を削除してそこへ新たな補足情報を挿入するようにする。
【0046】
また或いは、組立作業マニュアル抽出部17aは、図7(a)のテーブルに基づいて、変更した情報が関連する組立作業マニュアルファイルを組立作業マニュアルテーブル16aから抽出する。こうして、変更された情報が含まれる組立作業マニュアルファイルに対してのみ、その補足情報が更新され、その更新後の組立作業マニュアルファイルが最新バージョンとして組立作業マニュアルテーブル16aに登録される。
【0047】
第3の実施形態によれば、データベース16に対する補足情報の更新が行われると、それに該当する組立作業マニュアルファイル中の補足情報が最新の情報に一括して更新され、迅速に組立作業マニュアルの内容を更新することができる。
【0048】
したがって、組立作業者は常に最新の組立作業マニュアルを見ながら組立作業を行うことができる。
[第4の実施の形態]
図11(及び図7)に基づき、第4の実施の形態の組立作業マニュアル作成支援システムについて説明する。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
第4の実施形態では、組立作業マニュアル管理テーブル16fに、組立作業マニュアルファイルの版数を管理できる版数記憶部16f’を備えている。
この版数記憶部16f’により、補足情報が埋め込まれた組立作業マニュアルファイルが組立作業マニュアルテーブル16aに保存されると、組立作業マニュアル管理テーブル16fに構成される図7(b)のテーブルに版数を含むレコード情報が追加される。
【0050】
図7(b)のテーブル例では、マニュアルID(00001)、製品名(○○○)、部組名(○×△−2)、・・・版数(1)が設定されている。ここでは、新たに補足情報が追加されると、上記レコード情報において版数の値を1つインクリメントしたレコード情報が順次追加されていく。
【0051】
第4の実施形態によれば、組立作業マニュアルファイルが補足情報により更新されても版数による管理が可能になる。また、部品がどのように仕様変更されたか等も容易に把握することができる。
[第5の実施の形態]
図12(及び図7)に基づき、第5の実施の形態の組立作業マニュアル作成支援システムについて説明する。なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
第5の実施形態では、組立作業マニュアル管理テーブル16fに、組立作業マニュアルファイルの公開/非公開の設定を管理できる公開・非公開記憶部16f”を備えている。
この公開・非公開記憶部16f”により、補足情報が埋め込まれた組立作業マニュアルファイルが組立作業マニュアルテーブル16aに保存されると、組立作業マニュアル管理テーブル16fに構成される図7(b)のテーブルに公開/非公開の設定情報を含むレコード情報が追加される。
【0053】
図7(b)のテーブル例では、マニュアルID(00001)、製品名(○○○)、部組名(○×△−2)、・・・公開有無(×)、作成日(20070801)、版数(1)が設定されている。ここでは、新たに補足情報が追加されると、選択された公開有無の情報とその作成日の情報を含めたレコード情報が順次追加されていく。入力処理部19は、図7(b)の公開有無の項目に基づいて、作業者への表示制御を行う。
【0054】
第5の実施形態によれば、組立作業マニュアルファイルの版数や作成日を基準にその組立作業マニュアルファイルの公開の有無を管理することが可能になる。
また、組立作業マニュアルファイルを公開するか否かの制御を柔軟に行うことができる。これにより、例えば企業秘密事項に及ぶものについては非公開とすることにより、ノウハウ情報を知的財産として保護することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施の形態の組立作業マニュアル作成支援システムの構成図である。
【図2】第一の実施形態における補足情報の追加処理のフローチャートを示す図である。
【図3】組立作業指示テーブル16bのテーブル構成図である。
【図4】組立作業条件テーブル16cのテーブル構成図である。
【図5】組立作業ノウハウテーブル16dのテーブル構成図である。
【図6】部品属性テーブル16eのテーブル構成図である。
【図7】組立作業マニュアル管理テーブル16fのテーブル構成図である。
【図8】第2の実施の形態の組立作業マニュアル作成支援システムの構成図である。
【図9】参照端末機15a、15b、・・・における補足情報の表示例である。
【図10】第3の実施の形態の組立作業マニュアル作成支援システムの構成図である。
【図11】第4の実施の形態の組立作業マニュアル作成支援システムの構成図である。
【図12】第5の実施の形態の組立作業マニュアル作成支援システムの構成図である。
【符号の説明】
【0056】
10 組立作業マニュアル作成支援システム
11 組立作業マニュアル作成支援サーバ
12 CADサーバ
13 生産管理サーバ
14 通信ネットワーク
15a 参照端末機
15b 参照端末機
16 データベース
16a 組立作業マニュアルテーブル
16b 組立作業指示テーブル
16c 組立作業条件テーブル
16d 組立作業ノウハウテーブル
16e 部品属性テーブル
16f 組立作業マニュアル管理テーブル
16f’ 版数記憶部
16f” 公開・非公開記憶部
17 組立作業マニュアル作成部
17a 組立作業マニュアル抽出部
17b 組立作業指示情報埋込部
17c 組立作業規格情報埋込部
17d 組立作業ノウハウ情報埋込部
17e 部品属性情報埋込部
17f 組立作業マニュアル表示情報作成部
18 出力処理部
19 入力処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介してCADサーバ及び生産管理サーバの情報を基に組立作業マニュアルファイルを作成し、該組立作業マニュアルファイルを参照端末機に出力する組立作業マニュアル作成支援システムであって、
前記CADサーバ及び前記生産管理サーバの情報を基に作成された前記組立作業マニュアルファイル及び該組立作業マニュアルファイルに対して追加埋め込みが必要な補足情報をデータ管理するデータ管理手段と、
複数の組立作業マニュアルファイルを対象に共通の補足情報を自動埋め込みする補足情報埋めこみ手段と
を有することを特徴とする組立作業マニュアル作成支援システム。
【請求項2】
更に、前記データ管理手段により管理されている第一の補足情報を第二の補足情報に変更する変更手段を有し、
前記補足情報埋め込み手段は、共通の第一の補足情報を埋め込んだ複数の組立作業マニュアルファイルを特定し、埋め込まれている第一の補足情報を自動的に前記第二の補足情報と置換して組立作業マニュアルファイルを新規作成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の組立作業マニュアル作成支援システム。
【請求項3】
補足情報の変更に応じて新規作成した組立作業マニュアルファイルを版数管理する版数記憶手段を更に備えている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の組立作業マニュアル作成システム。
【請求項4】
前記補足情報を埋め込んだ組立作業マニュアルファイルの参照端末機への公開・非公開を設定する公開・非公開記憶手段を更に備えている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業マニュアル作成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図9】
image rotate