組立式ステージ
【課題】既存の倉庫内等の収納スペースを任意の広さで簡易に広げることができような組立式ステージを構成し、簡単な手順で組立、分解ができるようにし、また、組立てた状態で重量物を載せても堅牢でガタツキがないようにする。
【解決手段】二本の支柱6をトラス構造で一体化した支柱枠2と、対向する支柱6間に架け渡される一対のビーム部材3と、ビーム部材3の上部に配置される床パネル4からユニット1を構成し、支柱6に縦二列の係止凹部dを多数段形成する。ビーム部材3の両端部には、内側列の係止凹部dに係合可能な係止凸部を備えたL型部を設け、またビーム部材3の上部には、逆T型部を形成し、中央の突起部によって、床パネル4の載置領域が二分されるようにする。そして一つのユニット1を中心にして四方に向けて自由に床面積を広げることができるようにする。
【解決手段】二本の支柱6をトラス構造で一体化した支柱枠2と、対向する支柱6間に架け渡される一対のビーム部材3と、ビーム部材3の上部に配置される床パネル4からユニット1を構成し、支柱6に縦二列の係止凹部dを多数段形成する。ビーム部材3の両端部には、内側列の係止凹部dに係合可能な係止凸部を備えたL型部を設け、またビーム部材3の上部には、逆T型部を形成し、中央の突起部によって、床パネル4の載置領域が二分されるようにする。そして一つのユニット1を中心にして四方に向けて自由に床面積を広げることができるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば倉庫内の収納スペースを簡易に増やすような場合に便利な組立式ステージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば倉庫内に収納される物品を効率良く収納し、格納作業や払出し作業を能率良く行う技術として、一対の物品棚を、各段の物品収納部が対向するように所定寸法離間させて設置し、両物品棚における各段の物品収納部の対向面間に、長手方向を向く物品搬送路を形成するとともに、各物品棚における物品搬送路側の各段の物品収納棚部内に、長手方向を向く作業通路を設けるような技術(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【特許文献1】特開2004−26354号公報
【0003】
また、例えば貨物の収納や保管等において、パレットに積載した貨物をパレット支持構造体に収納したり、貨物をパレット支持構造体とともに輸送したりするようなことが行われており、この際、パレット支持構造体を拡張するとともに、用済みの場合にはそれらを重ね合わせて占有面積を最小限にするような技術として、複数のパレット支持構造体を所定の間隔で配置し、その間に連結パレットを配置して、該連結パレットの逆U字状の溝を有する折曲げ部を介して両者を連結することにより、簡単に増設できるようにした技術(例えば、特許文献2参照。)も知られている。
【特許文献2】実用新案登録第3034171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記特許文献1のように、一対の物品棚を、各段の物品収納部が対向するように所定寸法離間させて設置する技術の場合は、物品棚を増やして収納スペースを拡大させようとしても難しく、既存の倉庫等において、簡易に収納スペースを拡大させたい場合などには不向きであった。
また、前記特許文献2のように、パレット支持構造体を連結パレットの折曲げ部で連結するような構造は、重量物を載せた場合に、ぐらついたり歪んだりして安定した状態で支持することが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、例えば既存の倉庫内等においても簡易に収納スペースを広げることができような組立式ステージを構成し、簡単な手順で組立、分解が可能なようにするとともに、組立てた状態で重量物を載せても堅牢でガタツキがなく、安定した状態で支持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、ユニットを組合せることによりフロア面積を自由に拡大できるようにした組立式ステージを設け、前記ユニットとして、二本の支柱をトラス構造で一体化した一対の支柱枠体と、各支柱枠体の対向する支柱間に架け渡される一対のビーム部材と、各ビーム部材の上面に載置される床パネルから構成するとともに、前記支柱には、縦二列の係止部を上下方向に多数段形成し、前記ビーム部材の両端部には、前記支柱の内側列の任意の高さ位置の係止部に係合可能な係止部を設け、また、前記ビーム部材の上部には、ビーム部材の上面領域を略半分に仕切るための突起部を長手方向に沿って幅方向の略中央部に突設し、この突起部によって仕切られたビーム部材の内側の上面領域に当該ユニットの床パネルの周縁端部を載置し、外側の上面領域に別のユニットの床パネルの周縁端部を載置し得るようにした。
【0007】
そして、このようなユニットは、一対の支柱枠体を対向させた状態で、対向する支柱の上部に一対のビーム部材を架け渡し、その上に床パネルを載置して組付けることにより、床パネルを中二階の床面にするが、支柱には縦二列の係止部が形成されているため、この二列の係止部のうち内側の係止部に当該ユニットのビーム部材の係止部を係合させて組付け、外側の係止部に、別のユニットのビーム部材を連結していけば、ビーム部材の延出方向に対して簡単に多数のユニットを連結することができる。このため中二階の床面積をビーム部材の延出方向に向けて簡単に広げることができる。
また、二本の支柱をトラス構造で一体化して一対の支柱枠体にすることにより、組付け作業が楽に行えるとともに、組立物の堅牢化が図られ、揺れや歪み等が抑制される。
なお、支柱パネルの係止部とビーム部材端部の係止部としては、例えば一方側を凸部に、他方側を凹部にし、お互いに嵌合し合うような構造が適用可能である。
【0008】
また本発明では、前記ビーム部材の上部に、載置された床パネルの周縁端部を固定金具で固定するための張出部を幅方向に対して両側に張り出して設けるようにした。
このように、張出部を利用して床パネルの周縁端部を固定すれば、組立物全体の堅牢性を一層高めることができる。
【0009】
また本発明では、前記ビーム部材または支柱には、落下防止用の手摺りを装着するための手摺り受部を設けるようにした。
このように手摺り受部を設けることにより、手摺りを簡単に装着することができて安全性を高めることができる。
【0010】
また本発明では、前記ユニットを、ビーム部材の延出方向と直角方向に延出する連結部材により他のユニットと連結できるようにした。
このように、連結部材によって複数のユニットをビーム部材の延出方向と直角方向に連結し、ビーム部材の上面領域のうち突起部によって仕切られる外側領域に別のユニットの床パネルを組み付けるようにすれば、この方向に対しても簡単に床面積を広げることができる。
すなわち、一つにユニットを中心にして四方に向けて床面積を広げることが出来るようになり、例えば既存の倉庫内等において、倉庫の内部スペースに合わせて効率良く収納スペースを拡大させることができる。
【発明の効果】
【0011】
ユニットを組合せることによりフロア面積を自由に拡大できるような組立式ステージにおいて、ユニットとして、一対の支柱枠体と、一対のビーム部材と、床パネルから構成するとともに、支柱に形成される縦二列の係止部のうち、内側列の係止部にビーム部材端部の係止部を係合させることにより簡単に床面積を広げることができ、この際、組立作業を楽に行え、また組立物の堅牢性を高めることができる。
また、ビーム部材の上部の張出部に、載置された床パネルの周縁端部を固定するようにすれば、組立物の一層の堅牢化が図られ、また、ビーム部材に手摺り受部を設ければ、安全性を高めることができる。
更に、連結部材によりビーム部材の延出方向と直角方向に他のユニットを連結すれば、ビーム部材の上部の突起部で仕切られた上面領域のうち、外側の領域を活用してこの方向に対しても簡単に床面積を広げることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1は本発明に係る組立式ステージの組立て前の状態を示す一例図、図2は支柱枠体とビーム部材の説明図、図3はビーム部材の説明図で(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、図4は支柱とビーム部材端部の連結状態を説明する拡大図、図5は支柱枠体と連結部材の説明図、図6は連結部材の説明図、図7は床パネルの組付け状態の説明図、図8は床パネルの断面図、図9はビーム部材上に載置される床パネルの説明図、図10は床パネルを固定する固定金具の説明図、図11は同固定金具による床パネルの固定状態の説明図、図12は組立式ステージの組立状態の一例を示す説明図である。
【0013】
本発明に係る組立式ステージは、例えば既存の倉庫内の収納スペースを広げるような際、簡単な手順で組立、分解が可能なようにするとともに、組立てた状態で重量物を載せても堅牢でガタツキがなく、安定した状態で支持できるようにされている。
【0014】
すなわち、図1に示すように、本組立式ステージは、組立自在なユニット1によって中二階を形成するとともに、複数のユニット1を縦横に連結することによって中二階の床面積を自由に広げることができるようにされ、このユニット1は、図1の右方に示すように、一対の支柱枠2と、一対のビーム部材3と、床パネル4を備えている。そして、複数のユニット1をビーム部材3の延出方向と直角方向に連結するため、図1左方に示すように連結部材5が設けられており、また、床パネル4の一番端には、手摺り10を装着できるようにされている。
【0015】
前記支柱枠2は、二本の支柱6と上下二本の横桁材と一本の斜め材によってトラス構造として枠組み一体化されており、本実施例では、支柱6は断面略コの字型のアルミ材から構成され、その前面には、係止部としての係止凹部dと、ネジ孔n(図4)が交互に縦二列にわたって多数段設けられている。
【0016】
前記ビーム部材3は、図3、図4に示すように、断面矩形状のアルミ材からなる角パイプ3aと、この角パイプ3aの上面に溶着等で固定される逆T字型の逆T型部3bと、角パイプ3aの長手方向の両端部に溶着等で固定される断面L字型のL型部3cを備えており、逆T型部3bは、幅方向の中央部に上向きに突設されて長手方向に延出する突起部tによって上面領域が二分されており、また、逆T型部3bの幅方向両端部は、張出部hとして角パイプ3aの側方端部を超えて外側に張り出している。
【0017】
また、前記L型部3cは、角パイプ3aの端部に補強プレート7を介して溶着等で固定される取付面部xと、この取付面部xの片側端部から前方に張り出す側面部yによってL型形状にされ、この側面部yには、前記支柱6の係止凹部dに嵌合可能なようにL字型内に向けて突出する係止凸部kとネジ孔mが複数箇所に設けられている。
そして、支柱6とビーム部材3とを連結する際、図4に示すように、L型部3cの取付面部xを支柱6の側面に突き当てた状態で、側面部yの係止凸部kを支柱6の手前の列(内側列)の係止凹部dに嵌合させ、両方のネジ孔m、nにネジを捩じ込んで組み付けるようにしている。ここで、本実施例では、L型部3cの係止凸部kと、支柱6の係止凹部dとの嵌合は、両者を嵌め込んで、ビーム部材3を僅かに下方に下げると両方のネジ孔m、nが位置合わせされるとともに、この状態では、ビーム部材3を支柱6から離す方向に水平な力を加えても嵌合状態が解けず、嵌合を解くためには、ビーム部材3を僅かに持ち上げて引離す方向に力を加えなければならないようにされている。
【0018】
また、この支柱6に対しては、他方側列の係止凹部dを利用して、別のユニットのビーム部材3を同時に連結できるようにされている。すなわち、L型部3cの側面部yの幅は、支柱6の前面幅の略1/2程度か、またはそれ以下にされている。
【0019】
ところで、角パイプ部3aの片側側面には、複数箇所に手摺り10の下端部が挿入可能な手摺り受部11aが溶着等で固定されており、この固定箇所に対応する逆T型部3bの張出部hは、部分的に切り欠かれた凹部とされている。
また、ビーム部材3に固定される手摺り受部11aとは別に、支柱6に独立で取り付けることが可能な手摺り受部11b(図1)も設けられている。
【0020】
前記連結部材5は、図5、図6に示すように、支柱枠体2を枠体面と平行な方向に連結できるようにされ、梁材12の両端部に溶着等で固着される取付プレート13を備えている。そして、この取付プレート13には、支柱6のネジ孔nの位置、またはビーム部材3端部のL型部3cのネジ孔mの位置に対応してネジ孔eが設けられており、支柱6に直接連結するか、またはビーム部材3が連結される支柱6に間接的に連結することができるようにされている。なお、この連結部材5もアルミ材から構成されている。
【0021】
前記床パネル4は、図7、図8に示すように、幅方向の一方側端部に形成される凹状の受部4aに他方側端部の折曲げ部4bを載置して重ね合わせることにより床面積を任意に拡大できるようにされるとともに、幅方向の中央部にも逆Ω状の折返し部4cが設けられた断面形状とされ、重い物品を載せても安定して支持できるようにされている。そして、このような床パネル4の長手方向の両端部を、図9に示すように、前記ビーム部材3の逆T型部3bの突起部tによって二分される平面領域の上部に載置して敷き詰めていき、以下に述べる固定金具14により、逆T型部3bの張出部hに固定できるようにされている。
【0022】
前記固定金具14は、図10に示すように、略コの字型の金具本体15のネジ孔に螺合する湾曲ネジ部材16と、この湾曲ネジ部材16のネジ部に螺合可能なナット17を備えており、前記金具本体15は、コの字の一方側の立上り部15aが二股形状にされて、床パネル4の受部4aを幅方向に挟み込むことができるようにされている。
そして、このような固定金具14は、図11に示すように、重ね合わせられた二枚の床パネル4の重合箇所、すなわち、受部4aと折曲げ部4bの重合部の上部に湾曲ネジ部材16の上端を当接させ、金具本体15の一方側の立上り部15aの二股部で床パネル4の受部4aを挟み込んだ状態にすると同時に、他方側の立上り部15bを逆T型部3bの張出部h下面に当接させてナット17を締め付けることにより、床パネル4をビーム部材3に固定できるようにされている。
【0023】
前記手摺り10は、図1に示すように、ユニット1の縦方向と横方向では異なった形状にされているが、基本的に複数本の手摺り支柱18と、この手摺り支柱18間に配設される複数本の手摺りバー19とから構成され、いずれもアルミ材から一体に構成されるとともに、手摺り支柱18の下端部が前記ビーム部材3側面の手摺り受部11aまたは支柱6に取り付けられる手摺り受部11bに嵌合可能にされている。
【0024】
以上のようなユニット1を組立てる際は、一対の支柱枠2を対向する位置に配置し、お互いに対向する支柱6間の上部にビーム部材3を架設して連結する。すなわち、係止凹部dと係止凸部kを嵌合させ、ネジ孔n、mにネジを捩じ込んで固定する。
そして、ビーム部材3の逆T型部3bの内側領域上に床パネル4を敷き詰め、固定金具14で固定すれば、ユニット1が組立てられる。
【0025】
このようなユニット1を複数連結する場合、ビーム部材3の延出方向に対しては、支柱6の外側列の係止凹部dを利用して別のユニット1のビーム部材3を連結して床パネル4を敷き詰めてゆき、ビーム部材3の延出方向と直角方向に対しては、図12に示すように、連結部材5を支柱6の上部に連結して床パネル4を敷き詰めてゆけば、一つのユニット1を中心にして四方に床面積を広げることができる。
この際、支柱枠2とビーム部材3と床パネル4がいずれもしっかり固定されるため、重量物を載置しても構造物は揺れたり歪んだりすることがなく、安定した状態で支持できる。また、下方の空間部の一部にフォークリフト等の通り抜けることのできるスペースが生じるため、物品の物流等に便利である。
【0026】
なお、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。例えば、材質や桁材等の断面形状は任意であり、また、支柱6の係止凹部dやビーム部材3の係止凸部k等は例示である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
組立式ステージにおいて、組立、分解作業が簡単で、組立てた時の堅牢性が高いため、重量物でも安定した状態で支持でき、また、スペースに合わせて自由に床面積を拡大できるため、既存の倉庫等の収納スペースを増やすような際に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る組立式ステージの組立て前の状態の一例を示す説明図
【図2】支柱枠体とビーム部材の説明図
【図3】ビーム部材の説明図で(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図
【図4】支柱とビーム部材端部の連結状態を説明する拡大図
【図5】支柱枠体と連結部材の説明図
【図6】連結部材の説明図
【図7】床パネルの組付け状態の説明図
【図8】床パネルの断面図
【図9】ビーム部材上に載置される床パネルの説明図
【図10】床パネルを固定する固定金具の説明図
【図11】同固定金具による床パネルの固定状態の説明図
【図12】組立式ステージの組立状態の一例を示す説明図
【符号の説明】
【0029】
1…ユニット、2…支柱枠、3…ビーム部材、4…床パネル、5…連結部材、6…支柱、10…手摺り、11a、11b…手摺り受部、14…固定金具、d…係止凹部、k…係止凸部、h…張出部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば倉庫内の収納スペースを簡易に増やすような場合に便利な組立式ステージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば倉庫内に収納される物品を効率良く収納し、格納作業や払出し作業を能率良く行う技術として、一対の物品棚を、各段の物品収納部が対向するように所定寸法離間させて設置し、両物品棚における各段の物品収納部の対向面間に、長手方向を向く物品搬送路を形成するとともに、各物品棚における物品搬送路側の各段の物品収納棚部内に、長手方向を向く作業通路を設けるような技術(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【特許文献1】特開2004−26354号公報
【0003】
また、例えば貨物の収納や保管等において、パレットに積載した貨物をパレット支持構造体に収納したり、貨物をパレット支持構造体とともに輸送したりするようなことが行われており、この際、パレット支持構造体を拡張するとともに、用済みの場合にはそれらを重ね合わせて占有面積を最小限にするような技術として、複数のパレット支持構造体を所定の間隔で配置し、その間に連結パレットを配置して、該連結パレットの逆U字状の溝を有する折曲げ部を介して両者を連結することにより、簡単に増設できるようにした技術(例えば、特許文献2参照。)も知られている。
【特許文献2】実用新案登録第3034171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記特許文献1のように、一対の物品棚を、各段の物品収納部が対向するように所定寸法離間させて設置する技術の場合は、物品棚を増やして収納スペースを拡大させようとしても難しく、既存の倉庫等において、簡易に収納スペースを拡大させたい場合などには不向きであった。
また、前記特許文献2のように、パレット支持構造体を連結パレットの折曲げ部で連結するような構造は、重量物を載せた場合に、ぐらついたり歪んだりして安定した状態で支持することが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、例えば既存の倉庫内等においても簡易に収納スペースを広げることができような組立式ステージを構成し、簡単な手順で組立、分解が可能なようにするとともに、組立てた状態で重量物を載せても堅牢でガタツキがなく、安定した状態で支持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明は、ユニットを組合せることによりフロア面積を自由に拡大できるようにした組立式ステージを設け、前記ユニットとして、二本の支柱をトラス構造で一体化した一対の支柱枠体と、各支柱枠体の対向する支柱間に架け渡される一対のビーム部材と、各ビーム部材の上面に載置される床パネルから構成するとともに、前記支柱には、縦二列の係止部を上下方向に多数段形成し、前記ビーム部材の両端部には、前記支柱の内側列の任意の高さ位置の係止部に係合可能な係止部を設け、また、前記ビーム部材の上部には、ビーム部材の上面領域を略半分に仕切るための突起部を長手方向に沿って幅方向の略中央部に突設し、この突起部によって仕切られたビーム部材の内側の上面領域に当該ユニットの床パネルの周縁端部を載置し、外側の上面領域に別のユニットの床パネルの周縁端部を載置し得るようにした。
【0007】
そして、このようなユニットは、一対の支柱枠体を対向させた状態で、対向する支柱の上部に一対のビーム部材を架け渡し、その上に床パネルを載置して組付けることにより、床パネルを中二階の床面にするが、支柱には縦二列の係止部が形成されているため、この二列の係止部のうち内側の係止部に当該ユニットのビーム部材の係止部を係合させて組付け、外側の係止部に、別のユニットのビーム部材を連結していけば、ビーム部材の延出方向に対して簡単に多数のユニットを連結することができる。このため中二階の床面積をビーム部材の延出方向に向けて簡単に広げることができる。
また、二本の支柱をトラス構造で一体化して一対の支柱枠体にすることにより、組付け作業が楽に行えるとともに、組立物の堅牢化が図られ、揺れや歪み等が抑制される。
なお、支柱パネルの係止部とビーム部材端部の係止部としては、例えば一方側を凸部に、他方側を凹部にし、お互いに嵌合し合うような構造が適用可能である。
【0008】
また本発明では、前記ビーム部材の上部に、載置された床パネルの周縁端部を固定金具で固定するための張出部を幅方向に対して両側に張り出して設けるようにした。
このように、張出部を利用して床パネルの周縁端部を固定すれば、組立物全体の堅牢性を一層高めることができる。
【0009】
また本発明では、前記ビーム部材または支柱には、落下防止用の手摺りを装着するための手摺り受部を設けるようにした。
このように手摺り受部を設けることにより、手摺りを簡単に装着することができて安全性を高めることができる。
【0010】
また本発明では、前記ユニットを、ビーム部材の延出方向と直角方向に延出する連結部材により他のユニットと連結できるようにした。
このように、連結部材によって複数のユニットをビーム部材の延出方向と直角方向に連結し、ビーム部材の上面領域のうち突起部によって仕切られる外側領域に別のユニットの床パネルを組み付けるようにすれば、この方向に対しても簡単に床面積を広げることができる。
すなわち、一つにユニットを中心にして四方に向けて床面積を広げることが出来るようになり、例えば既存の倉庫内等において、倉庫の内部スペースに合わせて効率良く収納スペースを拡大させることができる。
【発明の効果】
【0011】
ユニットを組合せることによりフロア面積を自由に拡大できるような組立式ステージにおいて、ユニットとして、一対の支柱枠体と、一対のビーム部材と、床パネルから構成するとともに、支柱に形成される縦二列の係止部のうち、内側列の係止部にビーム部材端部の係止部を係合させることにより簡単に床面積を広げることができ、この際、組立作業を楽に行え、また組立物の堅牢性を高めることができる。
また、ビーム部材の上部の張出部に、載置された床パネルの周縁端部を固定するようにすれば、組立物の一層の堅牢化が図られ、また、ビーム部材に手摺り受部を設ければ、安全性を高めることができる。
更に、連結部材によりビーム部材の延出方向と直角方向に他のユニットを連結すれば、ビーム部材の上部の突起部で仕切られた上面領域のうち、外側の領域を活用してこの方向に対しても簡単に床面積を広げることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
ここで図1は本発明に係る組立式ステージの組立て前の状態を示す一例図、図2は支柱枠体とビーム部材の説明図、図3はビーム部材の説明図で(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、図4は支柱とビーム部材端部の連結状態を説明する拡大図、図5は支柱枠体と連結部材の説明図、図6は連結部材の説明図、図7は床パネルの組付け状態の説明図、図8は床パネルの断面図、図9はビーム部材上に載置される床パネルの説明図、図10は床パネルを固定する固定金具の説明図、図11は同固定金具による床パネルの固定状態の説明図、図12は組立式ステージの組立状態の一例を示す説明図である。
【0013】
本発明に係る組立式ステージは、例えば既存の倉庫内の収納スペースを広げるような際、簡単な手順で組立、分解が可能なようにするとともに、組立てた状態で重量物を載せても堅牢でガタツキがなく、安定した状態で支持できるようにされている。
【0014】
すなわち、図1に示すように、本組立式ステージは、組立自在なユニット1によって中二階を形成するとともに、複数のユニット1を縦横に連結することによって中二階の床面積を自由に広げることができるようにされ、このユニット1は、図1の右方に示すように、一対の支柱枠2と、一対のビーム部材3と、床パネル4を備えている。そして、複数のユニット1をビーム部材3の延出方向と直角方向に連結するため、図1左方に示すように連結部材5が設けられており、また、床パネル4の一番端には、手摺り10を装着できるようにされている。
【0015】
前記支柱枠2は、二本の支柱6と上下二本の横桁材と一本の斜め材によってトラス構造として枠組み一体化されており、本実施例では、支柱6は断面略コの字型のアルミ材から構成され、その前面には、係止部としての係止凹部dと、ネジ孔n(図4)が交互に縦二列にわたって多数段設けられている。
【0016】
前記ビーム部材3は、図3、図4に示すように、断面矩形状のアルミ材からなる角パイプ3aと、この角パイプ3aの上面に溶着等で固定される逆T字型の逆T型部3bと、角パイプ3aの長手方向の両端部に溶着等で固定される断面L字型のL型部3cを備えており、逆T型部3bは、幅方向の中央部に上向きに突設されて長手方向に延出する突起部tによって上面領域が二分されており、また、逆T型部3bの幅方向両端部は、張出部hとして角パイプ3aの側方端部を超えて外側に張り出している。
【0017】
また、前記L型部3cは、角パイプ3aの端部に補強プレート7を介して溶着等で固定される取付面部xと、この取付面部xの片側端部から前方に張り出す側面部yによってL型形状にされ、この側面部yには、前記支柱6の係止凹部dに嵌合可能なようにL字型内に向けて突出する係止凸部kとネジ孔mが複数箇所に設けられている。
そして、支柱6とビーム部材3とを連結する際、図4に示すように、L型部3cの取付面部xを支柱6の側面に突き当てた状態で、側面部yの係止凸部kを支柱6の手前の列(内側列)の係止凹部dに嵌合させ、両方のネジ孔m、nにネジを捩じ込んで組み付けるようにしている。ここで、本実施例では、L型部3cの係止凸部kと、支柱6の係止凹部dとの嵌合は、両者を嵌め込んで、ビーム部材3を僅かに下方に下げると両方のネジ孔m、nが位置合わせされるとともに、この状態では、ビーム部材3を支柱6から離す方向に水平な力を加えても嵌合状態が解けず、嵌合を解くためには、ビーム部材3を僅かに持ち上げて引離す方向に力を加えなければならないようにされている。
【0018】
また、この支柱6に対しては、他方側列の係止凹部dを利用して、別のユニットのビーム部材3を同時に連結できるようにされている。すなわち、L型部3cの側面部yの幅は、支柱6の前面幅の略1/2程度か、またはそれ以下にされている。
【0019】
ところで、角パイプ部3aの片側側面には、複数箇所に手摺り10の下端部が挿入可能な手摺り受部11aが溶着等で固定されており、この固定箇所に対応する逆T型部3bの張出部hは、部分的に切り欠かれた凹部とされている。
また、ビーム部材3に固定される手摺り受部11aとは別に、支柱6に独立で取り付けることが可能な手摺り受部11b(図1)も設けられている。
【0020】
前記連結部材5は、図5、図6に示すように、支柱枠体2を枠体面と平行な方向に連結できるようにされ、梁材12の両端部に溶着等で固着される取付プレート13を備えている。そして、この取付プレート13には、支柱6のネジ孔nの位置、またはビーム部材3端部のL型部3cのネジ孔mの位置に対応してネジ孔eが設けられており、支柱6に直接連結するか、またはビーム部材3が連結される支柱6に間接的に連結することができるようにされている。なお、この連結部材5もアルミ材から構成されている。
【0021】
前記床パネル4は、図7、図8に示すように、幅方向の一方側端部に形成される凹状の受部4aに他方側端部の折曲げ部4bを載置して重ね合わせることにより床面積を任意に拡大できるようにされるとともに、幅方向の中央部にも逆Ω状の折返し部4cが設けられた断面形状とされ、重い物品を載せても安定して支持できるようにされている。そして、このような床パネル4の長手方向の両端部を、図9に示すように、前記ビーム部材3の逆T型部3bの突起部tによって二分される平面領域の上部に載置して敷き詰めていき、以下に述べる固定金具14により、逆T型部3bの張出部hに固定できるようにされている。
【0022】
前記固定金具14は、図10に示すように、略コの字型の金具本体15のネジ孔に螺合する湾曲ネジ部材16と、この湾曲ネジ部材16のネジ部に螺合可能なナット17を備えており、前記金具本体15は、コの字の一方側の立上り部15aが二股形状にされて、床パネル4の受部4aを幅方向に挟み込むことができるようにされている。
そして、このような固定金具14は、図11に示すように、重ね合わせられた二枚の床パネル4の重合箇所、すなわち、受部4aと折曲げ部4bの重合部の上部に湾曲ネジ部材16の上端を当接させ、金具本体15の一方側の立上り部15aの二股部で床パネル4の受部4aを挟み込んだ状態にすると同時に、他方側の立上り部15bを逆T型部3bの張出部h下面に当接させてナット17を締め付けることにより、床パネル4をビーム部材3に固定できるようにされている。
【0023】
前記手摺り10は、図1に示すように、ユニット1の縦方向と横方向では異なった形状にされているが、基本的に複数本の手摺り支柱18と、この手摺り支柱18間に配設される複数本の手摺りバー19とから構成され、いずれもアルミ材から一体に構成されるとともに、手摺り支柱18の下端部が前記ビーム部材3側面の手摺り受部11aまたは支柱6に取り付けられる手摺り受部11bに嵌合可能にされている。
【0024】
以上のようなユニット1を組立てる際は、一対の支柱枠2を対向する位置に配置し、お互いに対向する支柱6間の上部にビーム部材3を架設して連結する。すなわち、係止凹部dと係止凸部kを嵌合させ、ネジ孔n、mにネジを捩じ込んで固定する。
そして、ビーム部材3の逆T型部3bの内側領域上に床パネル4を敷き詰め、固定金具14で固定すれば、ユニット1が組立てられる。
【0025】
このようなユニット1を複数連結する場合、ビーム部材3の延出方向に対しては、支柱6の外側列の係止凹部dを利用して別のユニット1のビーム部材3を連結して床パネル4を敷き詰めてゆき、ビーム部材3の延出方向と直角方向に対しては、図12に示すように、連結部材5を支柱6の上部に連結して床パネル4を敷き詰めてゆけば、一つのユニット1を中心にして四方に床面積を広げることができる。
この際、支柱枠2とビーム部材3と床パネル4がいずれもしっかり固定されるため、重量物を載置しても構造物は揺れたり歪んだりすることがなく、安定した状態で支持できる。また、下方の空間部の一部にフォークリフト等の通り抜けることのできるスペースが生じるため、物品の物流等に便利である。
【0026】
なお、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。例えば、材質や桁材等の断面形状は任意であり、また、支柱6の係止凹部dやビーム部材3の係止凸部k等は例示である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
組立式ステージにおいて、組立、分解作業が簡単で、組立てた時の堅牢性が高いため、重量物でも安定した状態で支持でき、また、スペースに合わせて自由に床面積を拡大できるため、既存の倉庫等の収納スペースを増やすような際に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る組立式ステージの組立て前の状態の一例を示す説明図
【図2】支柱枠体とビーム部材の説明図
【図3】ビーム部材の説明図で(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図
【図4】支柱とビーム部材端部の連結状態を説明する拡大図
【図5】支柱枠体と連結部材の説明図
【図6】連結部材の説明図
【図7】床パネルの組付け状態の説明図
【図8】床パネルの断面図
【図9】ビーム部材上に載置される床パネルの説明図
【図10】床パネルを固定する固定金具の説明図
【図11】同固定金具による床パネルの固定状態の説明図
【図12】組立式ステージの組立状態の一例を示す説明図
【符号の説明】
【0029】
1…ユニット、2…支柱枠、3…ビーム部材、4…床パネル、5…連結部材、6…支柱、10…手摺り、11a、11b…手摺り受部、14…固定金具、d…係止凹部、k…係止凸部、h…張出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットを組合せることによりフロア面積を自由に拡大できるようにした組立式ステージであって、前記ユニットは、二本の支柱をトラス構造で一体化した一対の支柱枠体と、各支柱枠体の対向する支柱間に架け渡される一対のビーム部材と、各ビーム部材の上面に載置される床パネルを備え、前記支柱には、縦二列の係止部が上下方向に多数段形成されるとともに、前記ビーム部材の両端部には、前記支柱の内側列の任意の高さ位置の係止部に係合可能な係止部が設けられ、また、前記ビーム部材の上部には、ビーム部材の上面領域を略半分に仕切るための突起部が長手方向に沿って幅方向の略中央部に突設され、この突起部によって仕切られたビーム部材の内側の上面領域に当該ユニットの床パネルの周縁端部を載置し、外側の上面領域に別のユニットの床パネルの周縁端部を載置し得るようにしたことを特徴とする組立式ステージ。
【請求項2】
前記ビーム部材の上部には、載置された床パネルの周縁端部を固定金具で固定するための張出部が幅方向に対して両側に張り出して設けられることを特徴とする請求項1に記載の組立式ステージ。
【請求項3】
前記ビーム部材または支柱には、落下防止用の手摺りを装着するための手摺り受部が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の組立式ステージ。
【請求項4】
前記ユニットは、ビーム部材の延出方向と直角方向に延出する連結部材により、別のユニットと連結可能にされることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の組立式ステージ。
【請求項1】
ユニットを組合せることによりフロア面積を自由に拡大できるようにした組立式ステージであって、前記ユニットは、二本の支柱をトラス構造で一体化した一対の支柱枠体と、各支柱枠体の対向する支柱間に架け渡される一対のビーム部材と、各ビーム部材の上面に載置される床パネルを備え、前記支柱には、縦二列の係止部が上下方向に多数段形成されるとともに、前記ビーム部材の両端部には、前記支柱の内側列の任意の高さ位置の係止部に係合可能な係止部が設けられ、また、前記ビーム部材の上部には、ビーム部材の上面領域を略半分に仕切るための突起部が長手方向に沿って幅方向の略中央部に突設され、この突起部によって仕切られたビーム部材の内側の上面領域に当該ユニットの床パネルの周縁端部を載置し、外側の上面領域に別のユニットの床パネルの周縁端部を載置し得るようにしたことを特徴とする組立式ステージ。
【請求項2】
前記ビーム部材の上部には、載置された床パネルの周縁端部を固定金具で固定するための張出部が幅方向に対して両側に張り出して設けられることを特徴とする請求項1に記載の組立式ステージ。
【請求項3】
前記ビーム部材または支柱には、落下防止用の手摺りを装着するための手摺り受部が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の組立式ステージ。
【請求項4】
前記ユニットは、ビーム部材の延出方向と直角方向に延出する連結部材により、別のユニットと連結可能にされることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の組立式ステージ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−55784(P2007−55784A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245175(P2005−245175)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(501298904)株式会社パワー工業 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(501298904)株式会社パワー工業 (5)
【Fターム(参考)】
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