説明

組立式収納用部材

【課題】極めてシンプルな構造であって、迅速に組み立てることがきでると共に、組み立てられた後には強固に結合される組立式の収納用部材を提供すると共に、中仕切板がこの収納用部材の本体に確実強固に固定される構造を提供する。
【解決手段】底板と、この底板から立ち上げられた接続側板32と、接続側板32間に配置された着脱側板11と、着脱側板11間に配置された中仕切板21とを備える。接続側板32は、その上端から下方に向けて設けられた上向き切込と、着脱側板に向けて伸ばされた張出部40とを備える。着脱側板11は、その下端から上方に向けて設けられた下向き切込と、前記張出部に対応する当接部18を備える。着脱側板11を外側に弾性変形させて張出部40を通過させたることにより、張出部40の下方に当接部18が配置されるようにし、着脱側板11が上方に抜けないように組み付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、組立式収納用部材、それ自体がケースとして使用できたり、或いは、別途のケース内に入れて仕切代わりに使用することができる組立式収納用部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1や2に示す組立式収納用部材が提案されている。これらの組立式収納用部材を含めて、多くの組立式収納用部材の開発の目的は、迅速に組み立てることができると共に、組み立てられた後には強固に結合されていることにある。ところが、これらの目的を達成するには、特許文献2に示されるように、複雑な構造を採用するのが一般的であった。また、中仕切板についてみると、中仕切板はケース本体に配置されているに止まる場合が多く、簡単な構造でありながら、確実に固定される構造の提供が望まれいている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−234428号公報
【特許文献2】登録実用新案第3089589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明は、極めてシンプルな構造であっても、迅速に組み立てることができると共に、組み立てられた後には強固に結合されるケースの提供を目的とする。さらに、仕切についても、シンプルな構造であっても、迅速に組み立てることができると共に、組み立てられた後には強固に結合されるものを提供せんとするものである。本願発明の他の目的は、簡単な構造でありながら、中仕切板がケース本体に確実強固に固定される構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、底板と、この底板に上方に分離しないように接続された複数の接続側板と、前記接続側板間に配置された着脱側板とを備え、前記接続側板は、その上端から下方に向けて設けられた上向き切込と、着脱側板に向けて伸ばされた張出部とを備え、前記着脱側板は、その下端から上方に向けて設けられた下向き切込と、前記張出部に対応する当接部を備え、前記上向き切込と前記下向き切込とを組み合わせて、前記接続側板と前記接続側板との間に着脱側板を上方から下方に差し込み、前記着脱側板を外側に弾性変形させて前記張出部を通過させたることにより、前記張出部の下方に前記当接部が配置されるようにして、前記着脱側板が上方に抜けないように組み付けたことを特徴とする組立式収納用部材を提供する。この接続側板は、底板に回動可能に一体成形しておいてもよく、比較的軟質な合成樹脂の場合には肉厚を薄くした弱め線によって回動可能に一体成形してもよい。さらに、別体で形成されたものを、ヒンジ構造や嵌め合わせや接着などによって上方に分離しないようにされたものであってもよい。
【0006】
本願発明は、前記張出部が、前記接続側板の上端を外側又は内側に向けて突出させると共に横方向に張り出させたものであり、前記当接部は、前記着脱側板の上端を外側又は内側に向けて突出させたものであり、前記上向き切込は、上下方向に伸びる外側辺と内側辺とによって規定され、前記外側辺は上方に向かうに従い外方向に進む広がり部分を備え、前記上向き切込と前記下向き切込とを組み合わせて、前記接続側板と前記接続側板との間に着脱側板を上方から下方に差し込むことにより、前記着脱側板は、その後面が前記張出部の先端に当接すると共に、その前面が前記広がり部分に当接しながら、外側に弾性変形して前記張出部を通過するものであることを特徴とするものとして実施することができる。
【0007】
本願発明は、前記接続側板が、前記底板の前辺から立ち上げられた前接続側板と、前記底板の後辺から立ち上げられた後接続側板とを備え、前記底板と前記前接続側板と前記後接続側板とは一体に形成されたものであり、前記着脱側板は、前記前接続側板と前記後接続側板との左側同士をつなぐ左着脱側板と、前記前接続側板と前記後接続側板との右側同士をつなぐ右着脱側板とを備え、前記左着脱側板と前記右着脱側板との間には中仕切板が渡され、前記中仕切板は、その上端から下方に向けて設けられた仕切用上向き切込を備え、前記着脱側板は、その下端から上方に向けて設けられた仕切用下向き切込を備え、前記仕切用上向き切込と前記仕切用下向き切込とを組み合わせて、前記着脱側板と前記着脱側板との間に前記中仕切板が配置されたものであることを特徴とするものとして実施することができる。
【発明の効果】
【0008】
本願発明は、極めてシンプルな構造であって、迅速に組み立てることができると共に、組み立てられた後には強固に結合されるケースを提供することができたものである。また本願発明は、簡単な構造でありながら、中仕切板がケース本体に確実強固に固定される組立式の収納用部材の構造を提供することができたものである。
【0009】
特に、前記上向き切込と前記下向き切込とを組み合わせて、前記接続側板と前記接続側板との間に着脱側板を上方から下方に差し込むことにより、前記着脱側板は、その後面が前記張出部の先端に当接すると共に、その前面が前記広がり部分に当接しながら、外側に弾性変形して前記張出部を通過するようにして実施することによって、張出部を十分な大きさに設定しても、円滑な組立が実現するものであり、強度と組立の迅速性とを両立させることができたものである。
【0010】
さらに仕切についても、シンプルな構造であっても、迅速に組み立てることができると共に、組み立てられた後には強固に結合されるものを提供することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本願発明の実施の形態に係る組立式収納用部材の斜視図。
【図2】同組立式収納用部材の着脱側板を示すもので(A)は正面図、(B)は側面図。
【図3】同組立式収納用部材の中仕切板を示すもので(A)は正面図、(B)は側面図。
【図4】同組立式収納用部材の本体部を示すもので(A)は正面図、(B)は側面図。
【図5】同組立式収納用部材の組立手順を示すもので(A)は組立開始時の要部説明図、(B)は組立途中の要部説明図、(C)は組立完了時の要部説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。
この実施の形態に係る組立式収納用部材は、図1に示すように、1つの本体31と、2枚の着脱側板11と、2枚の中仕切板21との合計5つの部材から構成されている。これらの部材は、発泡ポリプロピレンなどの硬質合成樹脂製であり、自立性を有すると共に人の手の力でも少しは曲げられる弾性を有する。
【0013】
本体31は、図4に示すように、矩形の底板33と、底板33の前後辺から立ち上げられた一対の接続側板32を備える。なお本願では前後左右を使って各部の説明を便宜上行なうが、これは絶対的な位置を特定するものではない。この実施の形態では、底板33と接続側板32とは実質的に角度調整不能に一体形成されているが、弱め線を設けて、回動可能に一体形成してもよく、別体のものを接続一体化したものでもよく、最終的に上方に抜けないように接続されればよい。
【0014】
接続側板32は、略矩形をしており、その左右の両端寄りには、その上端から下方に向けて上向き切込37が1本ずつ形成されている。上向き切込37は、内側辺34と外側辺35とによって規定される。外側辺35は、その上端寄りに、上方に向かうに従い外方向に傾斜して広がる広がり部分36を備える。この上向き切込37と左右端との間の部位を外腕部38と呼ぶ。左右の上向き切込37の間の部分はさらに上方に伸ばされて外向きに曲げられた上端部39となっているが、上記の外腕部38には曲げられた上端部39はない。この上端部39は、左右の両端に、上向き切込37よりもさらに外側に張り出した張出部40を備える。
【0015】
次に、図2に示すように、着脱側板11は、前記一対の接続側板32の間に着脱可能に配置される矩形の板状体で、ケースの左右面を構成する。着脱側板11は、その下端から上方に向けて設けられた左右一対の下向き切込14を備える。着脱側板11の上端は、外向に曲げられた上端部13を構成する。この上端部13の両端は、下向き切込14の外側にまで達しており、前記張出部40に対応する当接部18を構成する。なお、この例では、張出部40と当接部18とは、いずれも外側に張り出して形成しているが、張出部40と当接部18との両方又は何れか一方を内側に張り出すように形成することも可能である。
【0016】
また、一対の下向き切込14の間には、仕切用下向き切込15が2本形成されている。この仕切用下向き切込15は、次に述べる中仕切板21を固定するためのもので、2枚の中仕切板21に対応して、2本の仕切用下向き切込15が形成されている。
【0017】
次に、図3に示すように、中仕切板21は、着脱側板11の間に渡される矩形の板状体で、ケースの中仕切を構成する。中仕切板21は、その上端から下方に向けて設けられた左右一対の仕切用上向き切込23を備える。図1では省略したが、図3に示すような受容凹部24を設けてもよい。この受容凹部24は、収納物を嵌め入れて、動かないように固定するのに用いることができる。
【0018】
これらの部材を組み付けるには、中仕切板21の仕切用上向き切込23の上方から、一方の着脱側板11の仕切用下向き切込15を差し込んで組み合わせる。この状態で、一方の着脱側板11に設けられた一対の下向き切込14を、本体31の前後の一対の本体31の上向き切込37の上から差し込む。このとき、上端部39の張出部40は、上向き切込37の上方まで延設されているため、これが邪魔になって着脱側板11は斜めに差し込まれることになる(図5(A))。深く差し込むにつれて、着脱側板11の外面17が、張出部40の先端に当接して外側(図5では右)に弾性変形する。ここで、上向き切込37は広がり部分36を備えているため、着脱側板11は、内面16が広がり部分36に当接しながら、大きく変形する。これにより、張出部40の張り出しを大きくしても、無理なく差し込むことができる。さらに差し込み、張出部40を通過させることにより、前述の弾性変形が元に戻り、張出部40の下に上端部13の当接部18が入り込んで組付けが完了する。次に、他方の着脱側板11の下向き切込14と仕切用下向き切込15を、接続側板32の上向き切込37と中仕切板21の仕切用上向き切込23とに差し込む。差し込みも、図5と同じ要領で行なわれる。なお、仕切用上向き切込23の外側辺の上部には、前述の接続側板32の広がり部分36と同様な、広がり部分26を設けておくことが好ましい。
【0019】
このように、接続側板32の張出部40の下方に、着脱側板11の当接部18が配置されるため、着脱側板11のみを持ち上げようとしても、張出部40に当接部18が当って、着脱側板11が抜けることはない。また、中仕切板21のみを持ち上げようとしても、着脱側板11が仕切用上向き切込23と仕切用下向き切込15とがかみ合っており、着脱側板11が接続側板32から抜けない以上、中仕切板21が抜けることはない。よって、簡単な構造でありながら、極めて強固に組み合わせされた組立式収納用部材を提供することができたものである。これを中仕切板21の側から言えば、中仕切板21が極めて安定した状態を維持することができ、しかも、上端部13、上端部39のいずれを持って持ち上げても抜けることがなく、持ち運びも極めて簡単である。また、当接部18、張出部40は、1〜2cm程度で足りるため、スペースの大きな無駄を生じさせることがない。
【0020】
上記実施の形態の他、本願発明は種々変更して実施することができる。例えば、中仕切板21に交差する別個の仕切を付加して実施することもできる。また、中仕切板21を省略して着脱側板11と本体31とのみでケースを構成するようにしてもよい。平面視6角形や8角形など、4角形以外の多角形として実施することもできる。この組立式の収納用部材は、それ自体を収納ケースとして実施することもできるし、それ全体を仕切として実施することもできる。仕切として実施する場合には、この組立式の収納用部材全体を他のケースの中に入れて使用することになる。
【符号の説明】
【0021】
11 着脱側板
13 上端部
14 下向き切込
15 仕切用下向き切込
18 当接部
21 中仕切板
23 仕切用上向き切込
24 受容凹部
25 外腕
26 広がり部分
31 本体
32 接続側板
33 底板
36 広がり部分
37 上向き切込
40 張出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、この底板に上方に分離しないように接続された複数の接続側板と、前記接続側板間に配置された着脱側板とを備え、
前記接続側板は、その上端から下方に向けて設けられた上向き切込と、着脱側板に向けて伸ばされた張出部とを備え、
前記着脱側板は、その下端から上方に向けて設けられた下向き切込と、前記張出部に対応する当接部を備え、
前記上向き切込と前記下向き切込とを組み合わせて、前記接続側板と前記接続側板との間に着脱側板を上方から下方に差し込み、前記着脱側板を外側に弾性変形させて前記張出部を通過させたることにより、前記張出部の下方に前記当接部が配置されるようにして、前記着脱側板が上方に抜けないように組み付けたことを特徴とする組立式収納用部材。
【請求項2】
前記張出部は、前記接続側板の上端を外側又は内側に向けて突出させると共に横方向に張り出させたものであり、
前記当接部は、前記着脱側板の上端を外側又は内側に向けて突出させたものであり、
前記上向き切込は、上下方向に伸びる外側辺と内側辺とによって規定され、前記外側辺は上方に向かうに従い外方向に進む広がり部分を備え、
前記上向き切込と前記下向き切込とを組み合わせて、前記接続側板と前記接続側板との間に着脱側板を上方から下方に差し込むことにより、前記着脱側板は、その後面が前記張出部の先端に当接すると共に、その前面が前記広がり部分に当接しながら、外側に弾性変形して前記張出部を通過するものであることを特徴とする請求項1記載の組立式収納用部材。
【請求項3】
前記接続側板は、前記底板の前辺に接続された前接続側板と、前記底板の後辺に接続された後接続側板とを備え、前記底板と前記前接続側板と前記後接続側板とは一体に形成されたものであり、
前記着脱側板は、前記前接続側板と前記後接続側板との左側同士をつなぐ左着脱側板と、前記前接続側板と前記後接続側板との右側同士をつなぐ右着脱側板とを備え、
前記左着脱側板と前記右着脱側板との間には中仕切板が渡され、
前記中仕切板は、その上端から下方に向けて設けられた仕切用上向き切込を備え、
前記着脱側板は、その下端から上方に向けて設けられた仕切用下向き切込を備え、
前記仕切用上向き切込と前記仕切用下向き切込とを組み合わせて、前記着脱側板と前記着脱側板との間に前記中仕切板が配置されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の仕切付き組立式収納用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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