説明

組織の成長を刺激する流体フローを誘発するシステム

哺乳動物の組織部位において組織を治療する装置、システム及び方法が提供されており、これは、組織部位近傍に配置されるように構成され、哺乳動物の血管に流体連結されて哺乳動物から血液を受け取る足場を具える。更に、流動電位を含む荷電面を具える足場が提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、2009年9月1日に出願した米国暫定特許出願第61/238,770号、2008年12月31日に出願した、米国暫定特許出願第61/142,053号、及び2009年12月31日に出願した、米国暫定特許出願第61/142,065号の優先権を主張する。これらの各出願は、ここに、全体を引用して組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
本出願は、一般的に再生医療に関するものであり、特に、組織の治療に好適に使用する足場、システム及び方法に関する。
【0003】
関連技術の記載
臨床研究と診療は、組織部位近位に減圧を提供することが、その組織部位において新しい組織の成長を増進及び促進することを示している。この現象の適用は数多くあるが、減圧の適用は創傷治療に特に成功している。この治療(医学界では、頻繁に、「負圧創傷治療」、「減圧治療」、又は「真空治療」と呼ばれる)は、より早い治癒、及び肉芽組織の良好な形成を含む、多くの利点を提供する。典型的には、減圧は、多孔パッドあるいはその他のマニフォールドデバイスを介して組織に適用されてきた。多孔パッドは、減圧を組織に分配して、組織から取り出した流体を導くことができる孔を含んでいる。多孔パッドは、しばしば、治療を容易にするその他の部材を有するドレッシングに組み込まれている。足場も、欠陥部位に配置して、欠陥部位内への組織の成長をサポートすることができる。この足場は、通常、生体吸収性であり、新しい組織を適所に残す。
【0004】
減圧治療用の足場は、例えば、WO08/091521、WO07/092397、WO07/196590、WO07/106594に記載されている。減圧治療用の現在の足場の適合性は、創傷治癒の現在の知識に照らして評価することができる。身体組織の損傷は、鬱血(数秒乃至数時間)、炎症(数時間乃至数日)、修復(数日乃至数週間)及びリモデリング(数週間乃至数カ月)を含む順次の治癒ステージに応じた創傷治癒をもたらす。創傷治癒プロセスの初期段階については、高レベルの相同性がほとんどの組織タイプに亘って存在する。しかしながら、様々な組織の治癒ステージは、時間が経過するにつれて、タイプが異なる成長ファクタ、サイトカイン、及び細胞を伴って、広がり始める。創傷治癒反応の後期段階は、以前の段階に依存しており、反応の一時的なパターニングや、反応の各要素間における相互関係において複雑さが増す。
【0005】
損傷を受けた組織の、正常な修復、再生、及び機能回復を容易にするための戦略は、この治癒反応、特にその後者の特徴における特定のステップをサポートし補強する方法に焦点が当てられている。この結果、成長ファクタ、サイトカイン、細胞外マトリックス(ECM)類似体、外因性細胞および様々な足場技術が、単独であるいは互いに組み合わせて適用されていた。このアプローチを用いてあるレベルでの成功は達成されたものの、いくつかの重要な課題が残っている。一つの主な課題は、創傷治癒反応におけるサイトカインと成長ファクタの各々のタイミングと組織的影響が、適正な時点で、かつ正しい強調パターンで、個々の外因性ファクタを加える能力を複雑なものにしている。外因性細胞の導入はまた、この細胞の潜在的な免疫原生、並びに細胞の生存能力を維持することが困難なため、更なる問題に直面している。
【0006】
合成足場及び生物学的足場は、外因性細胞の付着、移動、及びコロニー形成を増強する三次元フレームワークを提供するのに用いられる。これまで、ほとんどすべての足場は、足場を生物学を用いて動作するように作ることができるという考え方に基づいて設計されていた。しかしながら、従来の足場技術は、外因性タンパク質、サイトカイン、成長ファクタ、及び細胞の多孔性足場の間質への受動的な流入に頼っている。このように、足場内への外因性細胞のコロニー形成は、組織のタイプに関係なく、足場の拡散限界内で養分サポートを提供している脈管要素から離れる距離分だけ制限を受けている。更に、足場は、回復プロセスとインプラント周囲の繊維性被膜の形成を長引かせる、免疫原生あるいは異物反応を生じさせることがある。これらの問題はすべて、障害部位における機能的組織再生を低下させる。
【0007】
従って、更に治癒と組織成長を促す追加のシステムを提供することは有利である。本発明は、このようなシステムを提供する。
【発明の概要】
【0008】
ここに述べる実施例の足場、システム、及び方法は、インプラントした足場を通じて組織再生の能動的ガイダンスを提供するように設計されている。一の実施例では、哺乳動物の組織部位において組織を治療するシステムが提供されており、このシステムは、組織部位近傍に配置され、哺乳動物から血液を受け取るように哺乳動物の血管に流体連結するように構成した足場と、血管に流体連結されており、血管から足場への血液の流れを調整するべく開位置と閉位置の間で制御可能に構成されたバルブと、を具える。このシステムでは、バルブが開位置にあるときにバルブによって血管から足場へ血液が流れ、バルブが閉位置にあるときに足場への血液の流れを止める。
【0009】
別の実施例では、患者の組織部位における組織の成長を促進するシステムが提供されており、このシステムは、組織の成長用構造マトリックスを提供するべく組織部位におけるインプラントに適合しており、更に、患者の血管に流体連結するように構成した足場と、血管から足場への血液の流れを調整するべく開位置と閉位置の間で制御可能に構成されたバルブと、このバルブに動作可能に連結されており、開位置と閉位置の間でバルブを変化させるコントローラとを具える。このシステムでは、バルブが開位置にあるときにバルブによって血管から足場へ血液が流れ、閉位置にあるときに足場への血液の流れを止める。
【0010】
更なる実施例では、骨欠損あるいは骨折へのインプラントに適した足場が提供されており、これは、流動電位を有する荷電表面を具えており、骨欠損にインプラントしたときに、足場近傍の組織からの血液あるいは間質液を含む電解液が、流動電位によって足場の荷電表面上に引き込まれる。
【0011】
更なる実施例では、欠損あるいは骨折のある骨を治療する方法が提供されており、これは、上述した足場を欠損あるいは骨折箇所にインプラントするステップを具える。また、骨欠損又は骨折へのインプラントに適した足場を変形する方法が提供されており、これは、足場の表面に電荷を誘発するステップを具える。
【0012】
図に示す実施例のその他の目的、特徴、及び利点は、図面と以下の詳細の説明を参照して明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、足場を用いて組織部位を治療する減圧治療システムの実施例を示す図であり、一部を断面図で示す。図1Aは、図1に示すシステムの1A−1A線に沿った断面図である。
【図2】図2は、足場を用いて組織部位を治療する減圧治療システムの一部の実施例を示す図であり、一部を断面図で示す。
【図3】図3は、一実施例による組織部位における足場の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施例の詳細な説明においては、説明の一部を成す添付図面を参照する。これらの実施例は、当業者が発明を実施できるように十分詳細に記載されており、その他の実施例を用いることができ、論理構造的、機械的、電気的、化学的変更を発明の精神あるいは範囲から外れることなく行うことができると解するべきである。当業者がここに述べる実施例を実施するのに不要な詳細を省略するために、この説明は、当業者に公知の所定の情報を省くことができる。以下の詳細な説明は、従って、限定の意味ではなく、実施例の範囲は特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0015】
図1及び1Aを参照すると、減圧を適用して、例えば、患者の肢103などの患者の身体の組織部位102における組織の成長を促進する減圧治療システム100が示されている。減圧治療システム100は、組織部位102における組織の成長を促進する組織部位102にインプラントした足場104を具える。この例では、組織部位102は、血管108を含む血管を有する患者の肢103の骨107の欠損あるいは創傷106に起因している。血管108は、血管−足場インターフェース110を介して足場104に流体連結されて、足場104へ血液を提供している。減圧治療システム100は更に、血管108から足場104への血液の供給を制御するバルブ112と、このバルブ112に電気的に接続されたコントローラ114を具える。このバルブは、コントローラ114によって、開位置と閉位置の間で変動する。バルブ112が開いているときに、血管108内の血圧が足場104と組織部位102に血液を流す。創傷106における骨組織の成長と治癒は、限定するものではないが、バルブ112を介して血液が流れ始めるときに足場104と創傷部位102に供給される、凝固タンパク質、成長ファクタ、アルブミン、リンパ球、を含む血液の様々な成分によって強化される。
【0016】
減圧治療システム100は又、足場104に減圧を提供する減圧源116を具え、血管108から足場104に血液を引き込むようにしている。減圧源116は導管117を介して足場104に流体連結されており、この導管は、導管−足場インターフェース、あるいは傾斜付入口118によって足場104に流体連結されている。導管−足場インターフェース118は、足場104に減圧を分配するマニフォールドでもよい。減圧治療システム100は、更に、導管−足場インターフェース118と減圧源116との間に流体連結されたキャニスタ120を具え、組織部位102から引き込んだ血液あるいは滲出液などの体液を回収する。このように、血管108から足場104への血液の引き込みのほかに、減圧源116は、組織部位102へ減圧を提供するのにも使用することができる。
【0017】
ここで用いられているように、用語「連結」は、直接的な連結あるいは別の物体を介した間接的な連結を含む。用語「連結」はまた、互いに連続する二又はそれ以上の部品であり、同じ材料片からできている各部品によって連続している部品にも及ぶ。更に、用語「連結」には、化学的、機械的、熱的、あるいは電気的連結が含まれる。流体連結は、流体が指定した部品あるいは位置と連通していることを意味する。
【0018】
バルブ112が開くと、矢印121で示すように様々な方向に足場104に血液が流れる。コントローラ114とバルブ112を用いて、組織部位102へ供給される血液量を調整することができ、血液は、足場104同様に創傷106の全てあるいは一部にかかる。しかしながら、バルブ112を流れる血液の量は、最終的には、血管108内の血圧に依存する。この結果、バルブ112が完全に開いており、血圧が低すぎる場合は、減圧源116を用いて足場104に減圧を適用し、低い血圧を補填することができる。減圧治療に加えて、減圧源116によって足場104に適用される減圧の大きさと期間を調整して、所望の圧力を達成し、足場104に流れるようにする。いくつかの実施例では、足場104はより迅速な足場のコロニー化が求められる領域など足場104の特定の領域に血液を向けるフローチャネル(図示せず)を具えている。
【0019】
バルブ112は、血管108を押して血管108を閉鎖する圧縮部材122を具える。圧縮部材122は、当業者に知られているどのようなタイプの閉鎖機構であっても良いと解すべきである。更に、バルブ112は、圧力(例えば導管を介してコントローラ114に空気又は液体を注入してバルブを閉める)、酸素生成反応などの化学物質、浸透性刺激、電気デバイス、電気制御バルブ、あるいは機械的デバイスなど、任意のタイプの作動刺激を用いて開位置と閉位置の間で動作可能である。バルブ112は、外部刺激を適用するポート(図示せず)を具えていても良い。バルブ112は、使用するバルブのタイプによって、例えば電気的導管、機械的導管、あるいは流体導管などのバルブ制御導管123を介してコントローラ114に動作可能に接続されている。
【0020】
減圧治療システム100は、血管108から足場104へ血液を提供することによって組織再生に使用することができる。創傷106における組織の成長と治癒は、限定することなく、血液がバルブ112を通って流れ始めるときに足場104と創傷部位102に供給される、凝固タンパク質や上述した細胞を含む様々な血液成分によって強化される。足場104のインプラント時に、血管108によって供給される血液からのタンパク質が、創傷治癒と組織形成の初期ステップとして、足場104に血栓を形成する。このような加速された血栓形成が、創傷治癒と組織形成の速度を上げることができる。別の例では、創傷治癒あるいは組織形成期間の遅い時期に足場104に血液が提供されて、治癒と組織形成を促進する血液中に存在する成長ファクタを提供する。血液中の成長ファクタの例には、EGF、TGF−α、TGF−β、PDGF、aFGF、及びbFGFが含まれる。このように、これらの成長ファクタは血液と共に足場104に提供される。
【0021】
ここで、図2を参照すると、減圧治療システム100の別の例が示されており、このシステムは、足場104に直接連結されているのではなく、血液供給導管126によって足場104に流体連結されている血管108を含む血液供給部分124を具える。血液供給導管126は、カテーテル、あるいはその他のタイプの生体適合性チューブである。バルブ112は、上記と同様の態様で血液供給導管126を通る血液の流れを制御する。従って、バルブ112は、開位置と閉位置との間で変化して、血管108と足場104との間の流体連通を制御する。血液供給部分124によって、血液は足場104へ間接的に供給される。別の実施例では、血液供給導管126は血管108に連結されておらず、むしろ、患者の身体の外に位置している外部流体源(図示せず)に連結されている。
【0022】
創傷106は、限定するものではないが、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、脈管組織、結合組織、軟骨、腱、あるいは靭帯といった任意のタイプの組織部位102上又は内に位置する、骨折などの損傷あるいは欠損である。例えば、創傷106は、火傷、切開創傷、切除創傷、潰瘍、外傷、慢性的な開放創傷を含む。また、骨107は、長骨、短骨、平骨、不規則な骨、及び種子骨を含めて、どのようなタイプの骨でもよい。創傷106は、また、必ずしも切開あるいは欠損でなくともよく、代わりに、骨組織など、追加組織の成長を加えるあるいは促進することが望ましい領域といったどのような組織であってもよい。例えば、採取して別の組織位置に移植を行う所定の組織領域に追加組織を育てる減圧組織治療を用いることができる。組織部位102は、また、同種移植片あるいは異種移植片をインビトロで、及びインビボで維持するための部位を含むものでも良く、続いて患者103にインプラントを行う支持足場を含むものでも良い。患者103は、マウス、ラット、ウサギ、猫、犬、ヒトを含む霊長類、などの哺乳動物である。
【0023】
本明細書のコンテキストにおいて、用語「減圧」は、一般的に、治療を受ける組織部位における周囲圧より低い圧力をいう。ほとんどの場合、この減圧は、患者が位置している所の大気圧より低い。用語「真空」及び「負圧」は、組織部位に適用する圧力を記載するのに使用することができるが、組織部位に適用する実際の圧力は、通常完全な真空に使われる圧力より有意に高い。この用語体系に合わせて、減圧あるいは真空圧の増加は、通常、絶対圧力の相対的な低下を意味し、一方で、減圧又は真空圧の減少は、絶対圧力の相対的増加を意味する。減圧治療は、通常、−5mmHg乃至―500mmHg、より一般的には−5乃至−300mmHg、限定するものではないが、−50、−125、あるいは−175mmHgを含む減圧を適用する。
【0024】
減圧源116は、真空ポンプ、壁吸引、あるいはその他の源など、減圧を供給する任意のデバイスである。また、減圧は、適所において変化があるごとに値が変わって、組織部位102と足場104を通る三次元減圧勾配を作るものでも良い。勾配は、適所において変化があるごとに値が変わる物理量の変化率である。更に、導管−足場インターフェース118は、生物学的勾配、熱勾配、電気的勾配、磁気的勾配、化学的勾配、あるいは正圧勾配を含むその他の物理的特性について勾配を分配するように設計されている。これらの勾配は各々、適当な勾配源によって作られる。
【0025】
図3を参照すると、減圧治療システム100の代替の実施例は、構造的に足場104と同様に変形足場304に電荷を用いて、患者の肢103の骨107の組織の成長を促進するようにした組織治療システム300を具える。上述したように、導管117を介して減圧源116に流体連結されているマニフォールド318として導管−足場インターフェース118を用いて、変形足場304に減圧を適用することができる。変形足場304は、組織部位102近傍に配置した端面328と、この端面から組織部位102の髄内組織336内に長手方向に延在する髄内エクステンション330を具える。端面328は荷電面であるので、流動電位が髄内エクステンションに誘発される結果、髄内エクステンション330近傍の組織から電解液を引き込む。この変形足場304の荷電端面328は、例えば、凹部又は凹部ピット332のテクスチュアなどの、骨芽細胞の付着と成長を強化するテクスチュア(Graziano et al., 2007)を有する。これらは、どのようなサイズ、形状であっても良い。いくつかの実施例では、凹部ピット332は、深さ10−120μm乃至3−100μmである。
【0026】
荷電端面328は、この分野で知られた手段によって、誘発できる。いくつかの実施例では、この荷電面は、電気分極によって誘発される。例えば、Nakamura et al., 2006, 2007, 2009; Itoh et al., 2006を参照されたい。この分極は、この荷電面に負電荷あるいは正電荷を作る。様々な実施例では、この荷電面は、負に帯電している。例えば、ヒドロキシル(−OH)基に露出させるなどして面の化学的性質を機能性ポリマに変えるといった、表面処理によって、表面に電荷を与えることもできる。
【0027】
組織治療システム300は、減圧を用いることなく足場304内に流体フローを生じさせることもできる。組織部位102からの血液、あるいは間質液、といった電解液が荷電端面328を通って流れると、流動電位が荷電端面328に発生する。例えば、Hillsley and Frangos, 1994を参照のこと。荷電端面328は、そこに発生した流動電位によって、組織流体を荷電端面328に沿って流すことができる。荷電面は電気浸透流を誘発して、これによって溶液中のカチオンが荷電端部に移動して、このカチオンと共に流体を浸透圧的に引き込むことができる。
【0028】
上述した勾配を含めて、減圧勾配以外の勾配を足場304に適用することもできる。この勾配は、例えば、流動電位によって除去された流体を超えて過剰な流体を除去することが望まれる場合など、流動電位によって発生するフローオーバーの増加が必要な時に追加のフローを提供する。追加のフローが必要な場合の一例は、変形足場304のインプラントに続く初期ステージである。
【0029】
組織治療システム300を用いて、介護者が組織部位102に変形足場304を適用し、電気分極によるなどして、端面328に電荷を誘発することができる。流動電位は、組織部位102からの流体が荷電端面328を流れて行くときに荷電端面328上に誘発され、この流動電位が、変形足場304近傍の組織部位102からの血液や間質液を含む電解質流体を引き込む。変形足場304を通る追加の流体フローが必要な場合、介護者はマニフォールド118と減圧源116を用いて変形足場304に減圧を適用することもできる。流動電位、すなわち荷電面を移動する電解質も、骨形成を誘発することができる。流動電位中の荷電物質の凹面が骨を形成する一方で、凸面が骨を吸収することが示されている(Hillsley and Frangos, 1994)。
【0030】
上述した通り、導管−足場インターフェース118は、図3にマニフォールド318を参照して特に示すように、足場104に減圧を分配するマニフォールドである。ここで用いられているように、用語「マニフォールド」は、組織部位102への減圧の適用、流体の送達、あるいは組織部位102からの流体除去をアシストするべく提供された物質又は構造を意味する。マニフォールド318は、通常マニフォールド318周囲の組織部位102へ提供された、及びこの領域から除去した流体を配分する複数のフローチャネルあるいは経路を具えていても良い。一の実施例では、このフローチャネルあるいは経路は、組織部位102へ提供するあるいはこの部位から除去する流体の配分を改良するよう相互接続されている。マニフォールド318は、組織部位102と接触して配置して、減圧を組織部位102へ分配することができる生体適合性材料である。マニフォールド318の例には、限定することなく、例えば、セルラー発泡体、開放セル発泡体、多孔質組織コレクション、液体、ゲル、及びフローチャネルを含む又は含む傾向にある発泡体、といったフローチャネルを形成するよう配置された構造エレメントを有するデバイスが含まれる。マニフォールド318は、多孔性であっても良く、発泡体、ガーゼ、フェルトマット、あるいは特定の生物学的アプリケーションに適したその他の材料でできていても良い。一の実施例では、マニフォールド318は多孔性発泡体であり、フローチャネルとして作用する複数の相互接続されたセルあるいは孔を具えている。この多孔性発泡体は、ポリウレタン、開放セル、テキサス州サンアントニオ所在のKinetic Concepts, Inc.製造のGranuFoam(登録商標)などの網状発泡体であってもよい。その他の実施例は、「閉鎖セル」を具えていても良い。マニフォールドのこれらの閉鎖セル部分は、複数のセルを具えており、その大部分が隣接するセルと流体連結していない。閉鎖セルは、マニフォールド318に選択的に配置して、マニフォールド318の周辺表面を通って流体が移動することを防止するようにしても良い。いくつかの場合、マニフォールド318を用いて、薬剤、抗菌剤、成長ファクタ、及び様々な溶液などの流体を創傷106及び髄内組織336に分配することができる。吸収材、ビッキング剤、ヒドロゲル、疎水性材料、及び親水性材料などの、その他の層をマニフォールド318内にあるいはその上に含めることができる。
【0031】
ここで用いられている用語「足場」は、細胞の成長及び/又は組織形成用の構造マトリックスを提供する、組織部位102に適用した物質又は構造を意味する。足場104は、しばしば、三次元多孔性構造であり、細胞、成長ファクタ、細胞外マトリックス成分、栄養素、インテグリン、あるいはその他の細胞の成長を促進する物質を注入した、又はこれらで被覆された、又はこれらから成るものでもよい。足場104は、マトリックスを通るフローを方向づけることによって、マニフォールドの特徴を帯びるようになる。足場104は、例えば、図に示すようなほぼ円筒形、ほぼ円形(図示せず、あるいは骨107の中間組織内にあるロッド形状(図示せず))を含めて、様々な形状をしている。いくつかの実施例では、足場104は患者の肢103内の骨欠損の形状をしている。
【0032】
好適な足場104の材料の非限定的な例には、フィブリン、コラーゲン、あるいはフィブロネクチンなどの細胞外マトリックスタンパク質や、人工あるいは天然に生じるポリマであり、このポリマは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド−コ−グリコライド(PLGA)、ポリビニルピロリドン、ポリカプロラクトーン、ポリカルボン酸、ポリフマル酸、カプロラクトーン、ポリアミド、ポリサッカライド(アルギン酸(例えば、アルギン酸カルシウム)及びキトサンを含む)、ヒアルロン酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、ポリホスファゼン、ポリアンハイドライド、ポリアミノ酸、ポリアセタル、ポリシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリアクリレート、エチレン−ビニルアセテートポリマ、及びその他のアクリル置換セルロースアセテート及びこの派生物、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリビニルイミダゾール、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、テフロン(登録商標)、ヒドロゲル、ゼラチン、及びナイロン、などの生体吸収性又は非生体吸収性ポリマを含む。足場104は、また、ヒドロキシアパタイト、コラリンアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム又はその他の炭酸塩、バイオガラス、同種移植片、自己移植片、異種移植片、脱細胞組織、あるいは上記の任意の混合物、などのセラミックを含むものでも良い。特定の実施例では、足場は、コラーゲン、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド−コ−グリコライド(PLGA)、ポリウレタン、ポリサッカライド、ヒドロキシアパタイト、あるいはポリエチレングリコールを含む。更に、足場104は、任意の2つ、3つ、あるいはそれ以上の材料の組み合わせを足場104の異なる領域に具える、あるいは非共有結合で組み合わせて、あるいは共有結合で組み合わせたもの(例えば、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレングリコールブロックコポリマ、又はターポリマといったコポリマ)、あるいはこれらの組み合わせを含むものを具えていても良い。好適なマトリックス材料は、例えば、Ma and Elisseeff, 2005,及びSaltzman, 2004で論じられている。
【0033】
いくつかの実施例では、足場104は骨伝導性(完全に分化しており、適格性のある骨形成原細胞がインプラント部位において得られる場合に、骨沈着を導く)、あるいは骨誘発性(非骨形成細胞であり骨を形成していな細胞から新しく適格骨形成原細胞を誘発する)である物質を含む。骨伝導性物質の例には、ヒドロキシアパタイトセラミックスを含めて、ヒドロキシアパタイトがある(Riminucci and Bianco, 2003)。
【0034】
足場104は、また、生体細胞を具えていても良い。生体細胞は、古細菌、原核生物、あるいは真核生物を含む、生命体からのものであっても良い。いくつかの実施例では、この細胞は哺乳動物の細胞である。この細胞は天然のものであっても良く、代替的に、例えばタンパク質や核酸(miRNAなど)といった、組み替え分子を発現するように変性されたものでもよい。ここで用いられている用語「細胞」は、生体組織(一次組織外植片およびこの調合物を含む)、単離細胞、細胞株(形質転換細胞を含む)、及び宿主細胞の調合物を意味する。いくつかの実施例では、自己細胞が用いられている。他の実施例では、異種細胞、同種異系細胞、同系細胞、あるいは幹細胞が用いられている。
【0035】
これらの実施例は、特定の細胞の使用に限定されるものではない。ここに含まれるものは、完全に分化した細胞、部分的に分化した細胞(例えば、生体幹細胞)、あるいは、未分化細胞(例えば、胚幹細胞あるいは人工多能性幹細胞)である。いくつかの実施例では、この細胞が幹細胞である。これらの幹細胞は、胚幹細胞であってもよい。代替的に、幹細胞が生体幹細胞であってもよい。生体幹細胞の非限定的な例は、人工多能性幹細胞(Takahashi and Yamanaka, 2006)、間充織幹細胞、脂肪由来生体幹細胞、造血幹細胞、乳腺幹細胞、神経幹細胞、内皮幹細胞、嗅覚器官生体幹細胞、歯由来幹細胞、毛包間幹細胞、及び精巣幹細胞、である。
【0036】
細胞は、例えば、骨芽細胞、軟骨細胞、線維芽細胞(例えば、間質線維芽細胞、腱線維芽細胞、皮膚線維芽細胞、靭帯線維芽細胞、心臓線維芽細胞、歯肉線維芽細胞などの歯根線維芽細胞、及び頭蓋顔面線維芽細胞)、筋細胞前駆細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、横紋筋細胞、衛星細胞、軟骨細胞(例えば、半月板軟骨細胞、関節軟骨細胞、椎間円板軟骨細胞)、骨細胞、内皮細胞(例えば、大動脈、毛細血管、及び静脈内皮細胞)、上皮細胞(例えば、ケラチン生成細胞、含脂肪細胞、幹細胞)、間葉細胞(例えば、皮膚繊維芽細胞、中皮細胞、骨芽細胞)、含脂肪細胞、ニューロン、グリア細胞、シュアン細胞、星状膠細胞、有足細胞、島細胞、腸細胞、象牙芽細胞、あるいはエナメル芽細胞であってもよい。足場104の様々な領域が、様々な細胞を具えていても良い。例えば、足場104は、足場104のほとんどの部分上に骨芽細胞を、及び、軟骨が望まれている足場104の表面に軟骨細胞を蒔くようにしてもよい。
【0037】
いくつかの実施例では、骨格104が更に、生物活性剤を具えている。生物活性剤とは、治療の成果を改善できる化合物又は元素(例えば、鉄)である。例には、栄養素、抗生物質、小さい(<2000mw)有機化合物(例えば、セロトニン、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、トロンボキサン、ヒスタミン)、ペプチド(例えば、ブラジキニン)、核酸(例えば、アプタマーあるいは遺伝子ベクター)、及び、例えば、サイトカイン、酵素、又は抗体結合部位を有するタンパク質などのタンパク質がある。足場104に含めることができるポリペプチドのその他の非限定的な例は、実質的にホルモン、神経伝達物質、成長ファクタ、成長ファクタ受容体、インターフェロン、インターロイキン、ケモカイン、サイトカイン、コロニー刺激ファクタ、あるいは化学走化性因子タンパク質、あるいはポリペプチドである。更なる例には、最終成分の使用目的によって、転写又は伸長因子、細胞周期制御タンパク質、キナーゼ、ホスファターゼ、DNA修復タンパク質、腫瘍遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、血管由来タンパク質、抗血管形成タンパク質、免疫反応刺激タンパク質、細胞表面受容体、アクセサリシグナリング分子、輸送タンパク質、酵素、抗菌あるいは抗ウイルスタンパク質、あるいはポリペプチド、及びこれに類するものがある。より具体的な例には、成長ホルモン(GH);副甲状腺ホルモン(PTH、PTH1−34を含む);BMP−2A、BMP−2B、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、及びBMP−8などの骨形態形成タンパク質(BMPs);形質変換成長ファクタ−α(TGF−α)、TGF−β1、及びTGF−β2;酸性繊維芽細胞成長ファクタ(aFGF);塩基性繊維芽細胞成長ファクタ(bFGF);顆粒球−コロニー刺激ファクタ(G−CSF);顆粒球/マクロファージ−コロニー刺激ファクタ(GM−CSF);上皮成長ファクタ(EGF);血小板由来成長ファクタ(PDGF);インスリン様成長ファクタ(IGF);白血病抑制ファクタ(LIF);脈管内皮成長ファクタ(VEGF);アンジオジェニン;アンジオポイエチン−1;del−1;ホリスタチン;肝細胞成長ファクタ/散乱ファクタ(HGF/SF);インターロイキン−8(IL−8)を含むインターロイキン;レプチン;ミッドカイン;胎盤成長ファクタ;血小板由来内皮細胞成長ファクタ(PD−ECGF);血小板由来成長ファクタ−BB(PDGF−BB);プレイオトロフィン(PTN);プログラニュリン;プロリフェリン;腫瘍壊死ファクタ−α(TNF−α);神経成長ファクタ(NGF);脳由来神経栄養ファクタ(BDNF);B−細胞刺激ファクタ−3(BSF−3);ニューロトロフィン−3(NT−3);ニューロトロフィン−4(NT−4);グリア成熟ファクタ(GMF);毛様体神経栄養ファクタ(CNTF);グリア細胞由来神経栄養ファクタ(GDNF);パーセフィン;ニュールツリン;アルテミン;成長分化因子−9(GDF9);マトリクス・メタロプロテイナーゼ(MMP);アンジオポイエティン1(ang1);及びang2;デルタ型リガンド4(DLL4)である。いくつかの実施例では、成長ファクタが、成長ホルモン(GH)、骨形態形成タンパク質(BMP)、形質変換成長ファクタ−α(TGF−α)、TGF−β、繊維芽細胞成長ファクタ(FGF)、顆粒球−コロニー刺激ファクタ(G−CSF)、顆粒球/マクロファージ−コロニー刺激ファクタ(GM−CSF)、上皮成長ファクタ(EGF)、血小板由来成長ファクタ(PDGF)、インスリン様成長ファクタ(IGF)、脈管内皮成長ファクタ(VEGF)、肝細胞成長ファクタ/散乱ファクタ(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死ファクタ−α(TNF−α)、あるいは神経成長ファクタ(NGF)である。成長ファクタは、ヒトを含むどのようなスピーシーズ由来のものであっても良い。
【0038】
上述した通り、減圧治療システム100は、創傷106に減圧を適用し、この減圧を、足場104を通って均等に分配することができる。いくつかの実施例では、足場が、均一な態様で分配されるというよりは、むしろ足場104と304を通って減圧を非連続的に分配しており、これによって減圧勾配を作っている。例えば、減圧は、単一ポイント源、あるいは、直線フロー経路に沿った複数の入口を介して、あるいは、ほぼ均質な分配マニフォールドを介して、均一に送達されない。いくつかの実施例では、減圧勾配は空間的に非連続であり、磁気的に非連続であり、あるいは時間的に非連続である。この結果、減圧勾配が創傷106全体に生じる。
【0039】
勾配は、減圧に加わる可変物理量の変化量であり、限定することなく、生物学的勾配、熱勾配、電気的勾配、磁気的勾配、化学的勾配、あるいは正圧勾配を含む。マニフォールド118及び318と、足場104及び304は、これらのその他の物理的特徴に関する勾配を分配するように設計されている。図1及び3を参照すると、例えば、マニフォールド118と318と、足場104と304は、それぞれ、矢印121と321で示されており、上記により詳細に説明し、更に、米国暫定特許出願第61/142,053号及び61/142,065号に説明しているように、減圧勾配及び/又は生物学的勾配を分配している。これらの出願は、ここに引用により組み込まれている。周辺足場104と304は、減圧あるいはその他の刺激に応じて、矢印121と321で示すように、各々のフローチャネルを通って骨107(図示せず)の髄内空間336から迅速に流体を引くが、非連続的に勾配を作って、組織の成長及び/又は組織の治癒を更に促進する。このように、本発明の方法とシステムは、インプラントした足場104と304、あるいは創傷106などの障害部位内での組織再生の能動的ガイダンス手段を提供して、これらの物理量勾配を用いた機能回復を促進する。このように、これらの方法及びシステムは、タンパク質の内因性沈着と、生化学的及び物理的キューを伴う暫定マトリックスの組織化を促進する能動的メカニズムを提供して、足場104及び304、あるいは創傷106内の組織空間の細胞コロニー化を進める。
【0040】
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PCT国際公開 WO06/004951
PCT国際公開 WO07/092397
PCT国際公開 WO07/106594
PCT国際公開 WO07/196590
PCT国際公開 WO08/091521
米国特許公開 2003/0225347
米国特許公開 2008/0033324
米国特許公開 2008/0208358
米国特許番号 4,787,906
米国特許番号 6,103,255
米国特許番号 6,365,146
米国特許番号 6,696,575
米国特許番号 7,160,553
米国特許番号 7,384,786
【0041】
本明細書に挙げたすべての文献は、ここに引用により組み込まれている。この文献に関する議論は、単に、著者による主張を要約しようとするものであり、この文献が従来技術を構成していることを告白するものではない。出願人は、引用した文献の正確性と関連性を疑う権利を保全している。
【0042】
上記を鑑みて、本発明のいくつかの利点が達成され、その他の利点が獲得されていることが見て取れる。上述の方法及び組成物には、本発明の範囲から離れることなく、様々な変更を加えることができるので、上の記述に含まれ、添付図面に示されたるすべての事柄は、説明として解釈されるべきであり、限定の意味ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の組織部位において組織を治療するシステムにおいて:
前記組織部位近傍に配置するように構成されており、哺乳動物の血管に流体連結して血管から血液を受け取る足場と;
前記血管に連結するように構成されており、開位置と閉位置間で制御可能であり、前記血管から前記足場への血液のフローを調整するように構成されたバルブと;を具え、
前記バルブによって、開位置にあるときは前記血液が前記血管から前記足場へ流れ、閉位置にあるときは前記足場への血液の流れを止める、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムが更に、前記足場へ前記血管を流体連結するカテーテルを具えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、前記カテーテルへ連結することによって、前記バルブが前記血管に間接的に連結されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記システムが更に、前記足場に勾配を提供する勾配入口を具えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、前記勾配入口が減圧入口であることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記バルブが外部からの刺激に応じて開閉することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、前記外部からの刺激が、圧力、電気的刺激、機械的刺激、及び化学的刺激のうちの少なくとも一の刺激であることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項6に記載のシステムが更に、前記外部からの刺激を適用するためのポートを具えることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムにおいて、前記外部からの刺激が正圧であることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムが更に、前記足場に流体連結されおり、前記足場に減圧を提供する減圧システムを具えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
患者の組織部位における組織の成長を促進するシステムにおいて:
組織部位におけるインプラントに適合可能であり、前記組織の成長に構造的マトリックスを提供し、更に患者の血管に流体連結するように構成することができる足場と;
開位置と閉位置の間で制御可能であり、前記血管から前記足場への血液フローを調整するバルブと;
前記バルブに動作可能に連結されて、前記開位置と閉位置との間で前記バルブを変化させるコントローラと;を具え、
前記バルブによって、開位置にあるときは前記血液が前記血管から前記足場へ流れ、閉位置にあるときは前記足場への血液の流れを止める、ことを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記バルブが前記血管に連結されており、更に、前記バルブが前記開位置から閉位置へ変化するときに前記血管を押圧してバルブを通る血液の流れを制限するように構成した圧縮部材を具えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項11に記載のシステムが更に、前記血管を前記足場に流体連結するように構成された血液供給導管を具え、前記バルブが前記血液供給導管に連結されていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記バルブが更に、前記バルブが閉位置にあるときに前記血液供給導管を押圧して、前記バルブを介して流れる血液が制限されるように構成された圧縮部材を具えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムにおいて、前記血液供給導管がカテーテルであることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項11に記載のシステムが更に、前記足場を前記血管に流体連結するように構成された血管−足場インターフェースを具えることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項11に記載のシステムが更に、前記足場に流体連結された減圧源を具え、当該減圧源が前記足場に減圧を供給して前記足場を通る血液を引き込むことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムが更に、前記足場に流体連結されたキャニスタを具え、前記減圧源が前記足場から前記キャニスタへ血液を引き込むことを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記足場が更に、前記組織部位近傍に流動電位端面を具えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
哺乳動物の組織を治療する方法において、当該方法が前記組織を治療するのに十分な態様で前記哺乳類に請求項1に記載のシステムを適用するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、前記バルブが開であり、前記足場に血液が流れて、前記足場に繊維状凝固を形成するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法において、前記システムが更に、前記足場に勾配を提供する勾配入口を具えることを特徴とする方法。
【請求項23】
骨欠損あるいは骨折へのインプラントに適した足場において、当該足場が流動電位を有するように構成された荷電面を具え、
骨欠損にインプラントしたときに、前記足場近傍の組織からの血液あるいは間質液を含む電解質流体が、前記流動電位によって前記足場の荷電面の上に引き込まれることを特徴とする足場。
【請求項24】
請求項23に記載の足場が更に、前記骨格に勾配を提供する勾配入口を具えることを特徴とする足場。
【請求項25】
請求項24に記載の足場において、前記勾配入口が減圧入口であることを特徴とする足場。
【請求項26】
請求項23に記載の足場において、前記荷電面が分極によって誘発されることを特徴とする足場。
【請求項27】
請求項23に記載の足場において、前記荷電面が表面処理によって誘発されることを特徴とする足場。
【請求項28】
請求項23に記載の足場において、前記荷電面が負に荷電されていることを特徴とする足場。
【請求項29】
請求項23に記載の足場において、前記足場の面が更に凹部ピットを具えることを特徴とする足場。
【請求項30】
請求項29に記載の足場において、前記凹型ピットが深さ10−120μm乃至深さ3−100μmであることを特徴とする足場。
【請求項31】
請求項23に記載の足場において、前記足場がヒドロキシアパタイトあるいはポリ乳酸−共−グリコライド(PLGA)を具えることをと特徴とする足場。
【請求項32】
請求項23に記載の足場において、前記足場が更に細胞を具えることを特徴とする足場。
【請求項33】
請求項32に記載の足場において、前記細胞が骨芽細胞又は幹細胞であることを特徴とする足場。
【請求項34】
請求項23に記載の足場において、前記足場が更に、生物活性剤を具えることを特徴とする足場。
【請求項35】
請求項34に記載の足場において、前記生物活性剤が成長ファクタあるいは抗生物質であることを特徴とする足場。
【請求項36】
請求項34に記載の足場において、前記生物活性剤が、成長ホルモン(GH)、骨形態形成タンパク質(BMP)、形質変換成長ファクタ−α(TGF−α)、TGF−β、繊維芽細胞成長ファクタ(FGF)、顆粒球−コロニー刺激ファクタ(G−CSF)、顆粒球/マクロファージ−コロニー刺激ファクタ(GM−CSF)、上皮成長ファクタ(EGF)、血小板由来成長ファクタ(PDGF)、インスリン様成長ファクタ(IGF)、脈管内皮成長ファクタ(VEGF)、肝細胞成長ファクタ/散乱ファクタ(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死ファクタ−α(TNF−α)、あるいは神経成長ファクタ(NGF)であることを特徴とする足場。
【請求項37】
欠損あるいは骨折のある骨を治療する方法において、当該方法が、請求項23に記載の足場を当該欠損あるいは骨折にインプラントするステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項37に記載の方法において、前記足場が更に、前記足場に勾配を提供する勾配入口を具え、当該勾配が前記入口を介して前記足場に適用されることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法において、前記勾配入口が減圧入口であることを特徴とする方法。
【請求項40】
骨欠損あるいは骨折へのインプラントに適する足場を変形する方法において、当該方法が、前記足場の表面に電荷を誘発するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、前記電荷が電気分極によって誘発されることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法において、前記電荷が表面処理によって誘発されることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項40に記載の方法において、前記足場の表面に負電荷が誘発されることを特徴とする方法。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−513850(P2012−513850A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543720(P2011−543720)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/069727
【国際公開番号】WO2010/078358
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】