説明

組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の再生方法

本発明は組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の再生方法に関するものである。まず、20%の子牛血清を含有するDMEM/F12培地を用いてヒト角膜内皮細胞を体外で対数増殖期まで培養し、凍結乾燥したヒト羊膜の上皮をトリプシンで分解し、上皮層の完全に除去されたヒト羊膜キャリアー台を得る。それから、培養皿ウェルに敷き、乾燥して完全に付着したら、IV型コラーゲンと20%子牛血清を含有しているDMEM/F12培地に再懸濁された対数増殖期のヒト角膜内皮細胞を羊膜キャリアー台の敷いた培養皿ウェルに接種し、体外培養を始め、組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の体外再生を行う。本発明は、科学的であり、合理的である。組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の再生は、大量生産画可能になり、初期の角膜内皮障害治療のための臨床的角膜移植における組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の大量の需要を満足させることができる。体外での組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の再生及び臨床治療は、コストもかからない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒト角膜内皮細胞と剥離されたヒト羊膜を用いて組織工学によって作製されたヒト角膜内皮を再生する方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
高等動物の角膜内皮は角膜の透明性維持、角膜の厚さ維持及び角膜への栄養供給などの面において掛け替えのない役割を果たしている。感染や手術などで角膜が傷つけられたら、程度は異なるが角膜内皮細胞は減少する。一旦、角膜内皮細胞の密度が角膜内皮生理機能を維持するための臨界密度より低くなると、角膜内皮に不可逆な病変が発生することにより、角膜内皮障害を引き起こす。現在、中国には、角膜内皮盲患者が約80万人いる。角膜移植で治療できるが、献眼者が非常に少ないため、患者のほとんどが角膜移植を受けられず、再び光明にめぐり合えない。近年の角膜組織工学の発達は、組織工学によって作製された角膜内皮の体外再生及び角膜内皮障害の臨床治療に新しい希望をもたらす。いかに角膜内皮細胞と適切なキャリアー台を用いて体外で組織工学によって作成されたヒト角膜内皮を再生するかが注目されている。
【0003】
ヒト角膜内皮の体外再生の研究は、1992年に始まった。その後、May Griffith氏等(1999)は、癌遺伝子のトランスフェクションした不死化ヒト角膜上皮細胞、基質細胞、内皮細胞とグルタルアルデヒド架橋コラーゲンを用いて体外で形態、透明度及び組織構造が正常な角膜と大体近い機能的なヒト角膜組織類似物を作り、ヒト角膜組織の体外再生のための道を切り開いたが、必要とされる角膜細胞は癌遺伝子のトランスフェクションした発がんの可能性がある不死化細胞であるため、ヒト角膜内皮の再生及び臨床への応用が制限された。2004年、日本の学者のイシノユタカ氏等とミムラタツヤ氏等は体外で4〜5世代まで培養したヒト角膜内皮細胞と上皮層の除去された羊膜とコラーゲン膜片とをそれぞれ用いて、正常な機能に近いヒト角膜内皮細胞薄片を再生した。2007年Jui−YangLai氏等は、アイバンクから得た成人角膜のヒト角膜内皮細胞オリジンを修飾後のN−(1−メチルエチル)−2−アクリルアミドホモポリマーキャリアー台で培養して正常な機能に近いヒト角膜内皮細胞薄片を得た。2008年、東京大学医学部のヒタニコウイチロウ氏等は、薄膜培養法で正常な機能に近いヒト角膜内皮細胞薄片を得た。これらの研究成果は非トランスフェクションのヒト角膜内皮細胞を用いてヒト組織工学によって作製された角膜内皮を再生するための道を切り開いた。ただし、所要の播種細胞は全部アイバンクから得たヒト角膜内皮細胞や24ウェル培養皿でオリジン培養又は4〜5世代だけのヒト角膜内皮細胞であるため、細胞の数量は非常に少なく、再生できる組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の数量も極めて少なく、成功しても臨床角膜移植に利用できる数量も極めて少ないため、実験研究に限られ、なおさら中国の約80万、全世界で1000万あまりの角膜内皮障害患者の臨床治療その大きなニーズを満足させることができない。
【0004】
2005年、樊廷俊氏等は、世界で始めて発がん作用の一切ない非トランスフェクションの人角膜内皮細胞系を作り上げることに成功し、組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の再生の大規模化に必要な大量の播種細胞の出所の問題を解決するのに成功した。したがって、できるだけ早く理想的なキャリアー台の調製技術を確立し、その上で、非トランスフェクションのヒト角膜内皮細胞と理想的なキャリアー台を用いて組織工学によって作製された角膜内皮の再生方法を打ち立てることは、全世界の眼科専門家たちの主な目標となり、組織工学によって作製された角膜内皮の臨床応用及び全世界の角膜障害患者の幸福をもたらす鍵になるものでもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒト角膜内皮細胞と上皮層の除去された羊膜キャリアー台を用いて組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の再生方法の1つを提供するのが本発明の狙いである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の方法を以下に示す。ヒト角膜内皮細胞を採取し、20%の子牛血清を含有するDMEM/F12培地を底面積25cmの培養フラスコ内で、37℃で対数増殖期まで増殖させる。0.25%トリプシン溶液による分解とそれに続く激しいピペッティングによって、懸濁させる。細胞浮遊液を遠心分離して、細胞の沈殿を収集し、5mlの組織工学によって作製されたヒト角膜内皮再生専用培地で得た細胞沈殿を懸濁させ、ヒト角膜内皮細胞懸濁液を得る。血球計測板で計数した後、上述の専用培地を用いて細胞濃度を4.2×10〜4.2×10細胞/ml間で調製する。
【0007】
その後、0.25%トリプシン溶液を用いて凍結乾燥羊膜の上皮層を倒置消化させ、上皮層の完全に除去された羊膜を得て、D−hanks溶液で2回洗った後、パンチャーでその上皮層の除去された羊膜に穴を開け、培養板のウェル直径と同じ大きさの羊膜円片を得る。それを上皮層上向きで48ウェル培養皿の底部に敷き、5%COのインキュベーターにおいて37℃の条件でしっかり乾燥した後、羊膜キャリアー台を得る。
【0008】
最後に、上皮層の除去された羊膜キャリアー台を敷いた培養皿ウェルの中に、前記方法にて得たヒト角膜内皮細胞懸濁液0.1〜0.2mlをそっと加え、細胞懸濁液を均一に培養ウェルに分散させる。5%COインキュベーターにおいて37℃の条件で20〜24時間培養して、細胞が完全に羊膜キャリアー台に付着させた後、前記専用培地を液面が培養ウェルの高さの3/4になるまで加えて、ヒト角膜内皮細胞が羊膜キャリアー台で単層になったら、それが再生した組織工学によって作製されたヒト角膜内皮である。
【0009】
本発明に使用される組織工学によって作製されたヒト角膜内皮再生専用培地の処方は、DMEM/F12倍溶液、20%子牛血清、0.05%〜0.1%IV型コラーゲンである。
【0010】
ヒト角膜内皮細胞の上皮層を除去された羊膜キャリアー台への付着効果を高めるため、本発明はさらに、0.05%〜0.1%のフィブロネクチンを添加した。
【0011】
本発明の方法で再生した組織工学によって作成されたヒト角膜内皮は、形態構造と透明度において正常な角膜内皮と類似し、正常な角膜内皮の機能を持ち、本発明で再生した組織工学によって作製されたヒト角膜内皮を角膜内皮とデスメ膜を取り除いたニュージーランドウサギの眼に移植して、ウサギの眼角膜を39日以上透明にさせた。
【発明の効果】
【0012】
本発明の主な特徴は次の通りである。発がん作用のない、非トランスフェクションのヒト角膜内皮細胞を用いて、連続接種を通して組織工学によって作製されたヒト角膜内皮を大量に精製するのに大量の播種細胞を提供できる。市販の凍結乾燥羊膜で作った上皮層の除去された羊膜は組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の大量再生に必要な大量のキャリアー台の材料のニーズを満足させ、その上、大量生産と臨床角膜移植に直接応用でき、しかも、その生産と臨床治療のコストが低い。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.組織工学によって作製されたヒト角膜内皮再生専用培地の調合:
70mlの通常調合したDMEM/F12培地に、IV型コラーゲン40〜80mgを加え、0.22μmの細孔を備えた膜を通して濾過する。続いて、通常調合したDMEM/F12培地と共に、20mlの子牛血清を加え、最終的な培地の量を100mlにする。
【0014】
上皮層を除去されたヒト羊膜のキャリアー台へのヒト角膜内皮細胞の付着親和性を高めるために、0.05%〜0.1%のフィブロネクチンを、本発明に用いる培地へ補充する。
【0015】
2.ヒト角膜内皮細胞株を使用する播種細胞の作製:
底面積25cm、37℃の培養フラスコ中、20%子牛血清を含むDMEM/F12培地で、ヒト角膜内皮細胞を培養し、急速に増殖させる。ヒト角膜内皮細胞は、60〜84時間増殖培養すると、対数増殖期に達する。培地をガラス点滴管で取り除く。1〜2分間、0.25%トリプシン溶液適量で、細胞を消化させる。培地中の血清がトリプシンの酵素活性を阻害するので、使用した培地をピペット操作で戻して消化を終了させる。1000〜1500回転/分で10〜15分間、遠心分離することによって細胞が採取され、細胞沈殿物を5mlの前記培地中で完全に再懸濁し、ヒト角膜内皮細胞懸濁液を得る。細胞密度は、血球計で分析して、4.2×10〜4.2×10細胞/mlに調整する。
【0016】
3.上皮層を除去されたヒト羊膜キャリアー台作製のためのヒト羊膜の倒置消化:
凍結乾燥されたヒト羊膜を上皮層下部でシャーレーに逆さに置き、0.25%トリプシン溶液で消化させて、上皮層を取り除く。D−hanksバッファーで2度洗った後、上皮層を除去された羊膜にパンチャーで穴を開け、48ウェル培養皿のウェルの直径と同じ大きさの羊膜円片を得る。
【0017】
4.組織工学によって作製されたヒト角膜内皮のインビトロでの再生:
上皮層の除去されたヒト羊膜円片を、上皮層上向きで各片を48ウェル培養皿のウェル底部に敷く。その後、円片が乾燥し、完全に底に付着するまで、培養皿を37℃でインキュベートする。底部に上皮層を除去された羊膜キャリアー台の敷かれたウェルに、上述の通り調整されたヒト角膜内皮細胞懸濁液をそっと接種する。点滴管の先に注意を払い、接触を避けるため、先を膜にできるだけ近づけるが、膜に触れないようにする。0.1〜0.2mlの細胞懸濁液を膜の中央にゆっくり滴下し、繰り返しそっとピペットで軽く打って、細胞を均一に分布させる。細胞が上皮層の除去された羊膜キャリアー台に完全に付着するまで、培養皿を5%CO中のインキュベーターに37℃で20〜24時間置く。さらに、上述の専用培養培地に、培養培地の液面がウェルの高さの3/4になるまで補充する。上皮層の除去されたヒト羊膜キャリアー台に、ヒト角膜内皮細胞が単分子層を形成するまで広げる。
【実施例1】
【0018】
20%子牛血清を含むDMEM/F12培地で、底面積25cmの培養フラスコで、37℃、84時間、ヒト角膜内皮細胞を培養し、急速に増殖させた。組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の再生のための本発明において用いられる専用の培地は、通常調整されたDMEM/F12培地70mlと、IV型コラーゲン40〜80mgを混合させて調整した。この混合物を0.22μmの細孔を備えた膜を通して濾過した。その濾液に、子牛の血清20mlを加え、通常調整したDMEM/F12培地で最終的な量を100mlに調整した。増殖後ガラス点滴管でフラスコから培地を取り除き、保管した。その細胞を、0.25%トリプシン溶液適量で、1.5分間消化させた。使用していた培地で、消化を終了させた。1500回転/分で10分間遠心にて、細胞を沈降させ、得られた細胞沈殿物を上述の専用培地5ml中で均一に再懸濁し、ヒト角膜内皮細胞懸濁液を得た。それから、血球計を用いて分析して、専用培地で細胞密度を4.7×10細胞/mlに調整した。
【0019】
凍結乾燥したヒト羊膜の上皮層を、0.25%トリプシン溶液で、上述の「倒置消化法」を用いて、消化した。その後に、得られた上皮層を除去された羊膜を、D−hanksバッファーで2度洗い、培養皿のウェルと同じ直径の円片に穴を開けた。羊膜円片を48ウェル培養皿の底に上皮層を上にして敷いた。その後、円片が乾燥し、完全に底に付着するまで、その培養皿を、37℃のインキュベーターに置き、羊膜キャリアー台を得た。調整された細胞懸濁液を、上皮層を除去された羊膜キャリアー台を敷いた培養皿ウェルに加えた。特に注意すべきことは、如何なる接触も避けるために、点滴管の先を膜に近づけるが、触れさせてはならないことである。細胞懸濁液0.2mlをそっと膜の中央に滴下した。ウェルで均一に細胞が分布するように、点滴管を用いて繰り返しそっとピペットを打った。細胞が完全に羊膜キャリアー台に付着するまで、5%COのインキュベーターで、37℃、24時間、その培養皿を置いた。さらに、液面がウェルの高さの3/4になるまで、前述の専用の培地を加えた。ヒト角膜内皮細胞が単分子層になるように広げると、組織工学によって作製されたヒト角膜内皮が再生された。
【実施例2】
【0020】
底面積25cmの培養フラスコ中、37℃、72時間、20%子牛血清を含んだDMEM/F12培地で、ヒト角膜内皮細胞を培養し、急速に増殖させた。組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の再生のための本発明で用いられる専用培地は、通常調整されたDMEM/F12培地70mlと、IV型コラーゲン40〜80mgを混合して調整した。この混合物を0.22μmの細孔を備えた膜を通して濾過した。その濾液に、子牛の血清20mlを加え、通常調整したDMEM/F12培地で最終的な量を100mlに調整した。増殖後ガラス点滴管で培養フラスコから培地を取り除き、保管した。その細胞を、0.25%トリプシン溶液適量で、1分間消化させた。使用していた培地で、消化を終了させた。1000回転/分で15分間遠心にて、細胞を沈降させ、得られた細胞沈殿物を上述の専用培地5ml中で均一に再懸濁し、ヒト角膜内皮細胞懸濁液を得た。それから、血球計を用いて分析して、専用培地で細胞密度を4.2×10細胞/mlに調整した。
【0021】
凍結乾燥したヒト羊膜の上皮層を、0.25%トリプシン溶液で、上述の「倒置消化法」を用いて、消化し、上皮層を除去された羊膜を得た。得られた上皮層を除去された羊膜を、D−hanksバッファーで2度洗い、培養皿のウェルと同じ直径の円片に穴を開けた。羊膜円片を48ウェル培養皿の底に上皮層を上にして敷いた。その後、円片が乾燥し、完全に底に付着するまで、その培養皿を、37℃のインキュベーターに置き、羊膜キャリアー台を得た。調整された細胞懸濁液を、上皮層を除去された羊膜キャリアー台を敷いた培養皿ウェルに加えた。特に注意すべきことは、如何なる接触も避けるために、点滴管の先を膜に近づけるが、触れさせてはならないことである。細胞懸濁液0.1mlをそっと膜の中央に滴下した。培養ウェルで均一に細胞が分布するように、点滴管を用いて繰り返しそっとピペットを打った。細胞が完全に羊膜キャリアー台に付着するまで、5%COのインキュベーターで、37℃、22時間、その培養皿を置いた。さらに、液面がウェルの高さの3/4になるまで、前述の専用の培地を加えた。ヒト角膜内皮細胞が単分子層になるように広げると、組織工学によって作製されたヒト角膜内皮が再生された。
【実施例3】
【0022】
底面積25cmの培養フラスコ中、37℃、60時間、20%子牛血清を含んだDMEM/F12培地で、ヒト角膜内皮細胞を培養し、急速に増殖させた。組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の再生のための本発明で用いられる専用培地は、通常調整されたDMEM/F12培地70mlと、IV型コラーゲン40〜80mgを混合して調整した。この混合物を0.22μmの細孔を備えた膜を通して濾過した。その濾液に、子牛の血清20mlを加え、通常調整したDMEM/F12培地で最終的な量を100mlに調整した。増殖後ガラス点滴管で培養フラスコから培地を取り除き、保管した。その細胞を、0.25%トリプシン溶液適量で、2分間消化させた。使用していた培地で、消化を終了させた。1500回転/分で12分間遠心分離にて、細胞を得、得られた細胞沈殿物を上述の専用培地5ml中で均一に再懸濁し、ヒト角膜内皮細胞懸濁液を得た。それから、血球計を用いて分析して、専用培地で細胞密度を4.4×10細胞/mlに調整した。
【0023】
凍結乾燥したヒト羊膜の上皮層を、0.25%トリプシン溶液で、上述の「倒置消化法」を用いて、消化し、上皮層を除去された羊膜を得た。得られた上皮層を除去された羊膜を、D−hanksバッファーで2度洗い、培養皿のウェルと同じ直径の円片に穴を開けた。羊膜円片を48ウェル培養皿の底に上皮層を上にして敷いた。その後、円片が乾燥し、完全に底に付着するまで、その培養皿を、37℃のインキュベーターに置き、羊膜キャリアー台を得た。調整された細胞懸濁液を、上皮層を除去された羊膜キャリアー台を敷いた培養皿ウェルに加えた。特に注意すべきことは、如何なる接触も避けるために、点滴管の先を膜に近づけるが、触れさせてはならないことである。細胞懸濁液0.2mlをそっと膜の中央に滴下した。培養ウェルで均一に細胞が分布するように、点滴管を用いて繰り返しピペットを打った。細胞が完全に羊膜キャリアー台に付着するまで、5%COのインキュベーターで、37℃、20時間、その培養皿を置いた。さらに、液面がウェルの高さの3/4になるまで、前述の専用の培地を加えた。ヒト角膜内皮細胞が単分子層になるように広げると、組織工学によって作製されたヒト角膜内皮が再生された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の再生方法であって、
i)20%の子牛血清を含有するDMEM/F12培地を用いてヒト角膜内皮細胞を増殖させる工程と、
ii)0.25%トリプシン溶液で分解させ、1000〜1500回転/分、10〜15分遠心分離して、ヒト角膜内皮細胞の沈殿物を得る工程と、
iii)DMEM/F12培地に20%の子牛血清及び0.05%〜0.1%IV型コラーゲンを補給した組織工学によって作製されたヒト角膜内皮再生専用培地を用いてその細胞沈殿物をヒト角膜内皮細胞懸濁液になるように懸濁させる工程と、
iv)0.25%トリプシンを利用して凍結乾燥羊膜の上皮層を倒置消化させ、上皮層の完全に除去された羊膜を得て、パンチャーでその上皮層の除去された羊膜に穴を開け、培養皿のウェル直径と同じ大きさの羊膜円片を得る工程と、
v)上皮層上向きで上皮層の除去された羊膜円片を48ウェル培養皿の底部に敷き、37℃培養箱に置いてしっかり乾燥して羊膜キャリアー台を得る工程と、
vi)前記ヒト角膜内皮細胞懸濁液0.1〜0.2mlを前記羊膜キャリアー台の敷かれた培養皿に接種し、ヒト角膜内皮細胞が全部前記羊膜キャリアー台に付着したら、前記専用培地を液面が培養ウェルの高さの3/4になるまで加えて、ヒト角膜内皮細胞が羊膜キャリアー台で単層にする工程と
を含む、組織工学によって作製されたヒト角膜内皮の再生方法。
【請求項2】
前記組織工学によって作製されたヒト角膜内皮再生専用培地にさらに0.05%〜0.1%フィブロネクチンを添加したことを特徴とする、請求項1に記載の再生方法。
【請求項3】
前記ヒト角膜内皮細胞を増殖させる工程において、ヒト角膜内皮細胞を対数増殖期まで増加培養したことを特徴とする、請求項1に記載の再生方法。
【請求項4】
対数増殖期になった前記ヒト角膜内皮細胞の濃度が4.2×10〜4.2×10細胞/mlであることを特徴とする、請求項3に記載の再生方法。

【公表番号】特表2012−521200(P2012−521200A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501121(P2012−501121)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【国際出願番号】PCT/CN2010/070563
【国際公開番号】WO2010/108400
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(307039134)中国海洋大学 (3)
【Fターム(参考)】