説明

組電池

【課題】単体電池の再利用が容易な組電池を提供する。
【解決手段】組電池10は、単体電池1〜5と、面ファスナー6〜9とを備える。単体電池1〜5は、電気的に直列に接続される。面ファスナー6は、部材61,62からなる。部材61は、フック状に起毛された部材であり、部材62は、ループ状に密集して起毛された部材である。部材61を部材62に押し付けることによって、部材61は、部材62に貼り付く。面ファスナー7〜9の各々は、面ファスナー6と同じ構成からなる。面ファスナー6〜9の部材61,71,81,91がそれぞれ部材62,72,82,92に貼り付くことによって、単体電池1〜5は、直列に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、組電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電池を接着シートによって電池ケースに接着した構造からなる電池パックが知られている(特許文献1)。
【0003】
接着シートは、剥離が可能なように接着された第1基体および第2基体からなる。そして、第1基体は、第1基体および第2基体間の接着力よりも強い接着力で電池に接着され、第2基体は、第1基体および第2基体間の接着力よりも強い接着力で電池ケースに接着される。これによって、電池は、接着シートによって電池ケースに接着される。
【0004】
そして、電池を電池ケースから取り外す場合、第1基体および第2基体を引き離す方向に力を加えるため、第1基体および第2基体で剥離が起こり、接着シートは、第1基体を含む部分と第2基体を含む部分とに分かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−056625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の電池パックでは、一度、接着シートを剥がすと、接着強度が低下し、電池パックを再利用することが困難であるという問題がある。
【0007】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、単体電池の再利用が容易な組電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の実施の形態によれば、組電池は、第1および第2の単体電池と、面ファスナーとを備える。第1および第2の単体電池の各々は、ラミネートパッケージされている。面ファスナーは、第1および第2の単体電池間に配置され、第1の単体電池を第2の単体電池に接続する。
【0009】
また、この発明の実施の形態によれば、組電池は、単体電池と、平板部材と、面ファスナーとを備える。単体電池は、ラミネートパッケージされている。平板部材は、単体電池に隣接して配置されている。面ファスナーは、単体電池と平板部材との間に配置され、単体電池を平板部材に接続する。
【0010】
更に、この発明の実施の形態によれば、組電池は、単体電池と、緩衝材と、平板部材と、第1および第2の面ファスナーとを備える。単体電池は、ラミネートパッケージされている。緩衝材は、単体電池の一方側に配置されている。平板部材は、単体電池の他方側に配置されている。第1の面ファスナーは、緩衝材と単体電池との間に配置され、緩衝材を単体電池に接続する。第2の面ファスナーとは、単体電池と前記平板部材との間に配置され、単体電池を平板部材に接続する。
【0011】
更に、この発明の実施の形態によれば、組電池は、電池ケースと、電池パックと、面ファスナーとを備える。電池パックは、電池ケース内に収納されている。面ファスナーは、電池パックと電池ケースとの間に配置され、電池パックを電池ケースに接続する。そして、電池パックは、直列に接続された複数の単体電池を含み、複数の単体電池の各々は、ラミネートパッケージされた電池からなる。
【発明の効果】
【0012】
この発明の実施の形態による組電池においては、第1および第2の単体電池が面ファスナーによって接続される。
【0013】
また、この発明の実施の形態による組電池においては、単体電池は、面ファスナーによって平板部材に接続される。
【0014】
更に、発明の実施の形態による組電池においては、単体電池は、面ファスナーによって平板部材および緩衝材に接続される。
【0015】
その結果、第1の単体電池が第2の単体電池から引き離されても、また、単体電池が平板部材または平板部材および緩衝材から引き離されても、面ファスナーの接続力が維持される。
【0016】
従って、第1の単体電池を何回でも第2の単体電池に接続することができ、また単体電池を何回でも平板部材または平板部材および緩衝材に接続することができ、単体電池を再利用できる。
【0017】
また、面ファスナーは、緩衝材として機能するので、面ファスナーによって衝撃を吸収できる。その結果、組電池の信頼性を向上できる。
【0018】
更に、発明の実施の形態による組電池においては、電池パックは、面ファスナーによって電池ケースに接続される。その結果、電池パックが電池ケースから引き離されても、面ファスナーの接続力が維持される。
【0019】
従って、電池パックを何回でも電池ケースに接続することができ、電池パックを再利用できる。また、面ファスナーは、緩衝材として機能するので、面ファスナーによって衝撃を吸収できる。その結果、電池パックの信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、この発明の実施の形態による組電池の構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示す単体電池の平面図である。
【図3】図3は、図2に示す線III−III間における単体電池の断面図である。
【図4】図4は、図1に示す組電池の製造方法を示す工程図である。
【図5】図5は、この発明の実施の形態による他の組電池の構成を示す断面図である。
【図6】図6は、図5に示す組電池の製造方法を示す工程図である。
【図7】図7は、この発明の実施の形態による他の組電池の構成を示す断面図である。
【図8】図8は、図7に示す組電池の製造方法を示す工程図である。
【図9】図9は、この発明の実施の形態による更に他の組電池の構成を示す断面図である。
【図10】図10は、図9に示す組電池の製造方法を示す工程図である。
【図11】図11は、この発明の実施の形態による更に他の組電池の構成を示す断面図である。
【図12】図12は、図11に示す組電池の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
図1は、この発明の実施の形態による組電池の構成を示す断面図である。図1を参照して、組電池10は、単体電池1〜5と、面ファスナー6〜9とを備える。
【0023】
単体電池1〜5は、電気的に直列に接続される。面ファスナー6は、単体電池1の他方面1Bと単体電池2の一方面2Aとに接着剤によって接着される。面ファスナー7は、単体電池2の他方面2Bと単体電池3の一方面3Aとに接着剤によって接着される。面ファスナー8は、単体電池3の他方面3Bと単体電池4の一方面4Aとに接着剤によって接着される。面ファスナー9は、単体電池4の他方面4Bと単体電池5の一方面5Aとに接着剤によって接着される。なお、単体電池1の一方面1Aおよび単体電池5の他方面5Bには、面ファスナーは、接着されない。
【0024】
面ファスナー6は、部材61,62からなる。部材61は、フック状に起毛された部材であり、部材62は、ループ状に密集して起毛された部材である。部材61を部材62に押し付けることによって、部材61は、部材62に貼り付く。
【0025】
面ファスナー6は、部材61が部材62に貼り付くことによって、単体電池1を単体電池2に接続する。
【0026】
面ファスナー7〜9の各々は、面ファスナー6と同じ構成からなる。従って、面ファスナー7,8,9の部材71,81,91の各々は、面ファスナー6の部材61と同じであり、面ファスナー7,8,9の部材72,82,92の各々は、面ファスナー6の部材62と同じである。
【0027】
その結果、面ファスナー7は、部材71が部材72に貼り付くことによって、単体電池2を単体電池3に接続する。面ファスナー8は、部材81が部材82に貼り付くことによって、単体電池3を単体電池4に接続する。面ファスナー9は、部材91が部材92に貼り付くことによって、単体電池4を単体電池5に接続する。
【0028】
なお、図1においては、面ファスナー6,7,8,9の部材61,71,81,91がそれぞれ部材62,72,82,92に貼り付いていないが、実際には、面ファスナー6,7,8,9の部材61,71,81,91は、それぞれ、部材62,72,82,92に貼り付いている。
【0029】
図2は、図1に示す単体電池1の平面図である。また、図3は、図2に示す線III−III間における単体電池1の断面図である。
【0030】
図2および図3を参照して、単体電池1は、シート状正極11と、シート状負極12と、セパレータ13と、ラミネートフィルム14と、正極外部端子15と、負極外部端子16とを含む。
【0031】
シート状正極11、シート状負極12およびセパレータ13は、積層され、積層体20を構成する。シート状正極11は、単体電池1の面内方向DR1において、シート状負極12よりも小さいサイズを有する。また、シート状負極12は、面内方向DR1において、セパレータ13よりも小さいサイズを有する。
【0032】
そして、シート状正極11、シート状負極12およびセパレータ13は、面内方向DR1において、セパレータ13の両端がシート状負極12の両端よりも外側に位置し、シート状負極12の両端がシート状正極11の両端よりも外側に位置するように配置される。
【0033】
ラミネートフィルム14は、略四角形の平面形状を有し、積層体20を収納する。そして、ラミネートフィルム14は、その縁部がシールされている。
【0034】
正極外部端子15は、平板状の形状を有し、その一方端がシート状正極11に直接またはリード体17を介して接続される。そして、正極外部端子15は、その他方端がラミネートフィルム14を介して外部に引き出される。
【0035】
負極外部端子16は、平板状の形状を有し、その一方端がシート状負極12に直接またはリード体(図示せず)を介して接続される。そして、負極外部端子16は、その他方端がラミネートフィルム14を介して外部に引き出される。
【0036】
なお、図2においては、正極外部端子15および負極外部端子16は、ラミネートフィルム14の同一辺から引き出されているが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、正極外部端子15および負極外部端子16は、ラミネートフィルム14の異なる辺から引き出されていてもよい。
【0037】
シート状正極11は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダ等を含有する正極合剤からなる層(正極合剤層)を集電体の片面または両面に形成した構造からなる。
【0038】
正極活物質は、例えば、単体電池1がリチウムイオン二次電池である場合、リチウムイオンを吸蔵・放出できる活物質からなる。このような正極活物質は、例えば、Li1+xMO(−0.1<x<0.1、M:Co,Ni,Mn,Al,Mg等)で表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMn、元素の一部を他の元素で置き換えたスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、およびLiMPO(M:Co,Ni,Mn,Fe等)で表されるオリビン型化合物等のいずれかからなる。
【0039】
そして、層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、LiCoO、LiNi1−xCox−yAl(0.1≦x≦0.3,0.01≦y≦0.2)、および少なくともCo,NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3,LiMn5/12Ni5/12Co1/6,LiNi3/5Mn1/5Co1/5)のいずれかからなる。
【0040】
正極の集電体は、例えば、アルミニウム箔、およびアルミニウム合金箔のいずれかからなる。そして、集電体の厚みは、電池の大きさおよび容量によって異なるが、例えば、0.01〜0.02mmである。
【0041】
シート状正極11は、次の方法によって作製される。正極活物質と、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、および繊維状炭素等の導電助剤と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のバインダとを含む正極合剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の溶剤を用いて均一に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物を調整する(バインダは、溶剤に溶解していてもよい)。そして、この組成物を正極集電体上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理により正極合剤層の厚みを調整する。これによって、シート状正極11が作製される。
【0042】
なお、この発明の実施の形態においては、上述した方法以外の方法を用いてシート状正極11を作製してもよい。
【0043】
シート状正極11における正極合剤層の厚みは、片面当たり、15〜100μmであることが好ましい。また、正極合剤層における各構成成分の含有量は、正極活物質:90〜98質量%、導電助剤:1〜5質量%、バインダ:1〜5質量%とすることが好ましい。
【0044】
正極外部端子15は、使用機器との接続の容易さ等の関係から、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のものが好ましい。
【0045】
そして、正極外部端子15の厚みは、50〜300μmとするのが好ましい。即ち、正極外部端子15の厚みを50μm以上に設定することによって、正極外部端子15の溶接時において、正極外部端子15が切断されるのを防止できるとともに、正極外部端子15が引っ張りおよび折り曲げによって断裂するのを防止できる。また、正極外部端子15の厚みを300μm以下に設定することによって、ラミネートフィルム14の正極外部端子15の周囲の熱シール部に隙間が生じるのを防止できる。
【0046】
なお、ラミネートフィルム14と正極外部端子15との接着強度を高めるために、正極外部端子15において熱シール部に位置することが予定される箇所に、予め、樹脂製の接着層(例えば、ラミネートフィルム4を構成する金属ラミネートフィルムが有する熱融着樹脂層を構成する樹脂と同種の樹脂により構成された接着層)を設けてもよい。
【0047】
シート状正極11における集電体または該集電体に接続したアルミニウム製のリード体17と、正極外部端子15との接続方法としては、例えば、抵抗溶接、超音波溶接、レーザー溶接、カシメ、および導電性接着剤による方法等、各種の方法を採用することができる。これらの中では、超音波溶接が特に適している。
【0048】
シート状負極12は、例えば、単体電池1がリチウムイオン二次電池である場合、リチウムイオンを吸蔵・放出できる活物質を含有するものからなる。このような負極活物質は、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、および炭素繊維等のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物からなる。
【0049】
また、前記以外の負極活物質は、例えば、Si,Sn,Ge,Bi,Sb,In等の元素、Si,Sn,Ge,Bi,Sb,Inの合金、リチウム含有窒化物、およびリチウム・チタン酸化物等(LiTi12等)、リチウム金属、およびリチウム/アルミニウム合金のいずれかからなる。
【0050】
これらの負極活物質に導電助剤(正極の導電助剤と同じ材料からなる)と、バインダ(PVDF、スチレンブタジエンゴム(SBR)のようなゴム系バインダとカルボキシメチルセルロース(CMC)との混合バインダ等)とを、適宜、添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体(負極合剤層)に仕上げたもの、または、上述した各種の合金、またはリチウム金属の箔を集電体の表面に積層したもの等がシート状負極12として用いられる。
【0051】
そして、シート状負極12は、次の方法によって作製される。上述した負極活物質と、バインダと、必要に応じて、黒鉛、アセチレンブラック、およびカーボンブラック等の導電助剤等を含む負極合剤を、NMP等の溶剤を用いて均一に分散させたペースト状またはスラリー状の組成物を調整する(バインダは、溶剤に溶解していてもよい)。そして、この組成物を負極集電体上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理により負極合剤層の厚みまたは密度を調整する。これによって、シート状負極12が作製される。
【0052】
なお、この発明の実施の形態においては、上述した方法以外の方法を用いてシート状負極12を作製してもよい。
【0053】
負極の集電体としては、銅箔が好適である。また、LiTi12を使用する場合、負極の集電体としては、アルミニウム箔も好適である。そして、集電体の厚みは、電池の大きさまたは容量によるが、例えば、0.05〜0.02mmであることが好ましい。
【0054】
シート状負極12における負極合剤層の厚みは、片面当たり、15〜100μmとすることが好ましい。また、負極合剤層における各構成成分の含有量は、負極活物質:90〜98質量%、バインダ:1〜5質量%であることが好ましい。また、導電助剤を負極に用いる場合には、負極合剤層中の導電助剤の含有量は、1〜5質量%であることが好ましい。
【0055】
負極外部端子16は、ニッケル、ニッケルメッキをした銅、およびニッケル−銅クラッド等の板状の金属材料からなる。LiTi12を使用する場合、負極外部端子15としては、アルミニウム板も好適である。また、負極外部端子16の厚みは、正極外部端子15と同様に50〜300μmであることが好ましい。
【0056】
即ち、負極外部端子16の厚みを50μm以上に設定することによって、負極外部端子16の溶接時において、負極外部端子16が切断されるのを防止できるとともに、負極外部端子16が引っ張りおよび折り曲げによって断裂するのを防止できる。また、負極外部端子16の厚みを300μm以下に設定することによって、ラミネートフィルム14の負極外部端子16の周囲の熱シール部に隙間が生じるのを防止できる。
【0057】
なお、ラミネートフィルム14と負極外部端子16との接着強度を高めるために、負極外部端子16において熱シール部に位置することが予定される箇所に、予め、樹脂製の接着層(例えば、ラミネートフィルム14を構成する金属ラミネートフィルムが有する熱融着樹脂層を構成する樹脂と同種の樹脂により構成された接着層)を設けてもよい。
【0058】
シート状負極12と負極外部端子16との接続は、シート状負極12の集電体と負極外部端子16とを直接接続することによって行われてもよいが、例えば、銅製のリード体を介して行われてもよい。銅製のリード体の厚みは、負極外部端子16と同様に、50〜300μmであることが好ましい。このようなリード体は、特に、負極集電体である銅箔が薄く、負極外部端子16と直接接続するには、強度が不足するような場合に用いられることが好ましい。
【0059】
シート状負極12における集電体または該集電体に接続した銅製のリード体と、負極外部端子16との接続は、例えば、抵抗溶接、超音波溶接、レーザー溶接、カシメおよび導電性接着剤による方法等、各種の方法によって行われる。これらの方法の中でも、超音波溶接が特に適している。
【0060】
セパレータ13は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンとの融合体、ポリエチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート等で構成された多孔質フィルムまたは不織布からなる。
【0061】
セパレータ13の厚みは、10〜50μmであることが好ましく、空孔率は、30〜70%であることが好ましい。
【0062】
また、多孔質フィルムと不織布とを重ねる等、複数枚のセパレータを用いることによって、短絡を防止する効果を高め、電池の信頼性をより向上させることができる。
【0063】
単体電池1に用いられる電解液は、単体電池1がリチウムイオン二次電池である場合、例えば、高誘電率溶媒または有機溶媒にLiPF,LiBF等の溶質を溶解した溶液(非水電解液)からなる。高誘電率溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、およびγ−ブチロラクトン(BL)などを用いることができる。有機溶媒は、直鎖状のジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、およびメチルエチルカーボネート(EMC)等の低粘度溶媒からなる。
【0064】
なお、電解液溶媒には、上述した高誘電率溶媒と、低粘度溶媒との混合溶媒を使用することが好ましい。また、上述した溶液に、PVDF、ゴム系の材料、脂環エポキシ、およびオキセタン系の三次元架橋構造を有する材料等を混合して固化し、ポリマー電解液としてもよい。
【0065】
なお、図1に示す単体電池2〜5の各々も、上述した単体電池1と同じ構成からなる。
【0066】
上述したように、単体電池1〜5の各々は、シート状正極11、シート状負極12およびセパレータ13を積層した積層体20をラミネートフィルム14によってラミネートしたラミネート形電池である。
【0067】
面ファスナー6(部材61)は、図2に示すように、正極外部端子15および負極外部端子16がラミネートフィルム14から引き出される方向に沿って単体電池1の他方面1B(=裏面)に接着される。この場合、面ファスナー6(部材61)は、長方形の形状からなる。
【0068】
このように、面ファスナー6(部材61)は、単体電池1の他方面1B(=裏面)の全面に接着されるのではなく、単体電池1の他方面1B(=裏面)の一部に接着される。
【0069】
面ファスナー6の部材62は、単体電池2の一方面2A(=表面)に部材61に対向するように接着される。
【0070】
面ファスナー7〜9も、面ファスナー6と同じように、それぞれ、単体電池2,3、単体電池3,4および単体電池4,5に接着される。
【0071】
そして、この発明の実施の形態においては、面ファスナー6〜9の面積と、固定したい面の面積との比(=面ファスナー6〜9の面積/固定したい面の面積)は、10%〜40%の範囲、好ましくは、20%〜30%の範囲に設定される。
【0072】
この比が、10%よりも小さいとき、2つの単体電池1,2、単体電池2,3、単体電池3,4および単体電池4,5を安定して接続することが困難になる。また、この比が40%よりも大きいと、2つの単体電池1,2、単体電池2,3、単体電池3,4および単体電池4,5を接続する力が強くなり、2つの単体電池1,2、単体電池2,3、単体電池3,4および単体電池4,5を相互に分離する場合に、各単体電池1〜5のラミネートフィルム14が破損する可能性がある。
【0073】
図4は、図1に示す組電池10の製造方法を示す工程図である。図4を参照して、組電池10の製造が開始されると、複数の単体電池1〜5を作製する(ステップS1)。そして、面ファスナー6〜9を切り出す(ステップS2)。
【0074】
その後、面ファスナー6〜9の部材61,71,81,91をそれぞれ単体電池1〜4の他方面1B,2B,3B,4Bに接着剤によって接着し、面ファスナー6〜9の部材62,72,82,92をそれぞれ単体電池2〜5の一方面2A,3A,4A,5Aに接着剤によって接着する(ステップS3)。
【0075】
そうすると、面ファスナー6〜9の部材61,71,81,91をそれぞれ部材62,72,82,92に貼り付ける(ステップS4)。
【0076】
そして、単体電池1〜4の負極外部端子16をそれぞれ単体電池2〜5の正極外部端子15に溶接する(ステップS5)。これによって、組電池10が完成する。
【0077】
なお、ステップS4を実行することによって、複数の単体電池1〜5が面ファスナー6〜9によって直列に接続される。また、ステップS5を実行することによって、複数の単体電池1〜5が電気的に直列に接続される。
【0078】
更に、ステップS1において、複数の単体電池1〜5の各々は、次の方法によって作製される。シート状正極11、シート状負極12およびセパレータ13が上述した方法によって作製される。そして、シート状正極11およびシート状負極12をセパレータ13を介して積層し、正極外部端子15をシート状正極11に溶接し、負極外部端子16をシート状負極12に溶接する。
【0079】
その後、積層したシート状正極11、シート状負極12およびセパレータ13をラミネートフィルム14によって覆い、ラミネートフィルム14の周縁部を溶着する。これによって、単体電池1〜5が完成する。
【0080】
上述したように、組電池10は、複数の単体電池1〜5を面ファスナー6〜9によって直列に接続した構造からなる。その結果、面ファスナー6〜9によってそれぞれ接続された2つの単体電池1,2、2つの単体電池2,3、2つの単体電池3,4および2つの単体電池4,5は、面ファスナー6〜9のフック状に起毛された部材61,71,81,91がそれぞれループ状に起毛された部材62,72,82,92から引き離されることによって、容易に着脱される。そして、面ファスナー6〜9の部材61,71,81,91は、部材62,72,82,92から引き離されても、部材62,72,82,92と接続する力が維持される。
【0081】
従って、一度、引き離された単体電池を何回でも、面ファスナーによって他の単体電池に接続可能であり、単体電池を再利用できる。
【0082】
また、組電池10に衝撃が印加されても、面ファスナー6〜9が衝撃を吸収する。即ち、面ファスナー6〜9は、緩衝材として機能する。従って、組電池10の信頼性を向上できる。
【0083】
更に、単体電池1〜5のうち、例えば、単体電池3が故障した場合、面ファスナー7の部材71を部材72から引き離し、面ファスナー8の部材81を部材82から引き離すことによって、単体電池3を取り出し、単体電池3に代わる単体電池を面ファスナー7,8によって単体電池2,4に接続する。
【0084】
従って、直列に接続された単体電池1〜5の一部の単体電池を容易に交換できる。
【0085】
なお、組電池10においては、面ファスナー6〜9は、比(=面ファスナー6〜9の面積/固定したい面の面積)が10%〜40%の範囲、好ましくは、20%〜30%の範囲に設定されていれば、長方形に限らず、どのような形状からなっていてもよい。
【0086】
また、面ファスナー6〜9は、図2に示すように、正極外部端子15および負極外部端子16の引き出し方向に沿って配置されていなくてもよく、単体電池1〜5の一方面2A,3A,4A,5Aおよび他方面1B,2B,3B,4Bの四隅に配置されていてもよい。即ち、面ファスナー6〜9は、比(=面ファスナー6〜9の面積/固定したい面の面積)が10%〜40%の範囲、好ましくは、20%〜30%の範囲に設定されていれば、単体電池1〜5の一方面2A,3A,4A,5Aおよび他方面1B,2B,3B,4Bの任意の位置に配置されていてもよい。
【0087】
更に、組電池10は、一般的に、積層された2個以上の単体電池を備えていればよい。
【0088】
図5は、この発明の実施の形態による他の組電池の構成を示す断面図である。この発明の実施の形態による組電池は、図5に示す組電池10Aであってもよい。図5を参照して、組電池10Aは、単体電池1〜4と、変形防止板21〜25と、面ファスナー26〜33とを備える。
【0089】
単体電池1〜4は、電気的に直列に接続される。変形防止板21〜25の各々は、平板形状を有し、例えば、アルミニウムからなる。変形防止板21は、単体電池1の一方面1A側に配置され、変形防止板22は、単体電池1の他方面1Bと単体電池2の一方面2Aとの間に配置される。変形防止板23は、単体電池2の他方面2Bと単体電池3の一方面3Aとの間に配置され、変形防止板24は、単体電池3の他方面3Bと単体電池4の一方面4Aとの間に配置される。変形防止板25は、単体電池4の他方面4B側に配置される。
【0090】
面ファスナー26は、変形防止板21の他方面21Bと単体電池1の一方面1Aに接着剤によって接着される。面ファスナー27は、単体電池1の他方面1Bと変形防止板22の一方面22Aとに接着剤によって接着される。面ファスナー28は、変形防止板22の他方面22Bと単体電池2の一方面2Aとに接着剤によって接着される。面ファスナー29は、単体電池2の他方面2Bと変形防止板23の一方面23Aとに接着剤によって接着される。面ファスナー30は、変形防止板23の他方面23Bと単体電池3の一方面3Aとに接着剤によって接着される。面ファスナー31は、単体電池3の他方面3Bと変形防止板24の一方面24Aとに接着剤によって接着される。面ファスナー32は、変形防止板24の他方面24Bと単体電池4の一方面4Aとに接着剤によって接着される。面ファスナー33は、単体電池4の他方面3Bと変形防止板25の一方面25とに接着剤によって接着される。
【0091】
なお、変形防止板21の一方面21Aおよび変形防止板25の他方面25Bには、面ファスナーは、接着されない。
【0092】
面ファスナー26は、部材261,262からなり、面ファスナー27は、部材271,272からなる。面ファスナー28は、部材281,282からなり、面ファスナー29は、部材291,292からなる。面ファスナー30は、部材301,302からなり、面ファスナー31は、部材311,312からなる。面ファスナー32は、部材321,322からなり、面ファスナー33は、部材331,332からなる。
【0093】
部材261,271,281,291,301,311,321,331の各々は、上述した面ファスナー6の部材61と同じであり、部材262,272,282,292,302,312,322,332の各々は、上述した面ファスナー6の部材62と同じである。
【0094】
面ファスナー26は、部材261が部材262に貼り付くことによって、変形防止板21を単体電池1に接続する。面ファスナー27は、部材271が部材272に貼り付くことによって、単体電池1を変形防止板22に接続する。面ファスナー28は、部材281が部材282に貼り付くことによって、変形防止板22を単体電池2に接続する。面ファスナー29〜33についても、同様である。
【0095】
なお、図5においては、面ファスナー26,27,28,29,30,31,32,33の部材261,271,281,291,301,311,321,331がそれぞれ部材262,272,282,292,302,312,322,332に貼り付いていないが、実際には、面ファスナー26,27,28,29,30,31,32,33の部材261,271,281,291,301,311,321,331は、それぞれ、部材262,272,282,292,302,312,322,332に貼り付いている。
【0096】
面ファスナー27の部材271、面ファスナー29の部材291、面ファスナー31の部材311、および面ファスナー33の部材331は、図2に示す面ファスナー6の部材61と同じように、それぞれ、単体電池1〜4の他方面1B,2B,3B,4Bに接着剤によって接着される。
【0097】
また、面ファスナー26の部材262、面ファスナー28の部材282、面ファスナー30の部材302、および面ファスナー32の部材322は、それぞれ、面ファスナー27の部材271、面ファスナー29の部材291、面ファスナー31の部材311、および面ファスナー33の部材331に対向するように、単体電池1〜4の一方面1A,2A,3A,4Aに接着剤によって接着される。
【0098】
更に、面ファスナー26の部材261は、部材262に対向するように変形防止板21の他方面21Bに接着剤によって接着される。面ファスナー27の部材272は、部材271に対向するように変形防止板22の一方面22Aに接着剤によって接着される。面ファスナー28の部材281は、部材282に対向するように変形防止板22の他方面22Bに接着剤によって接着される。面ファスナー29の部材292は、部材291に対向するように変形防止板23の一方面23Aに接着剤によって接着される。面ファスナー30の部材301は、部材302に対向するように変形防止板23の他方面23Bに接着剤によって接着される。面ファスナー31の部材312は、部材311に対向するように変形防止板24の一方面24Aに接着剤によって接着される。面ファスナー32の部材321は、部材322に対向するように変形防止板24の他方面24Bに接着剤によって接着される。面ファスナー33の部材332は、部材331に対向するように変形防止板25の一方面25Aに接着剤によって接着される。
【0099】
図6は、図5に示す組電池10Aの製造方法を示す工程図である。図6を参照して、組電池10Aの製造が開始されると、複数の単体電池1〜4を作製する(ステップS11)。そして、変形防止板21〜25および面ファスナー26〜33を切り出す(ステップS12)。
【0100】
その後、面ファスナー26〜33の部材261,271,281,291,301,311,321,331をそれぞれ変形防止板21、単体電池1、変形防止板22、単体電池2、変形防止板23、単体電池3、変形防止板24および単体電池4の他方面21B,1B,22B,2B,23B,3B,24B,4Bに接着剤によって接着し、面ファスナー26〜33の部材262,272,282,292,302,312,322,332をそれぞれ単体電池1、変形防止板22、単体電池2、変形防止板23、単体電池3、変形防止板24、単体電池4および変形防止板25の一方面1A,22A,2A,23A,3A,24A,4A,25Aに接着剤によって接着する(ステップS13)。
【0101】
そうすると、面ファスナー26〜33の部材261,271,281,291,301,311,321,331をそれぞれ部材262,272,282,292,302,312,322,332に貼り付ける(ステップS14)。
【0102】
そして、単体電池1〜3の負極外部端子16をそれぞれ単体電池2〜4の正極外部端子15に溶接する(ステップS15)。これによって、組電池10Aが完成する。
【0103】
なお、ステップS14を実行することによって、複数の単体電池1〜4が面ファスナー26〜33によって変形防止板22〜24を介して直列に接続されるとともに、変形防止板21,25によって挟み込まれる。また、ステップS15を実行することによって、複数の単体電池1〜4が電気的に直列に接続される。更に、ステップS11においては、単体電池1〜4の各々は、上述した方法によって作製される。
【0104】
上述したように、組電池10Aは、1つの単体電池を2つの変形防止板によって挟み、単体電池と変形防止板とを面ファスナーによって接続した構造からなる。
【0105】
従って、組電池10Aは、上述した組電池10の効果と同じ効果を有する。
【0106】
なお、組電池10Aは、変形防止板21〜25に代えて散熱板を備えていてもよい。即ち、組電池10Aは、1つの単体電池の両側に配置された2つの平板部材を備えていればよい。
【0107】
組電池10Aのその他の説明は、組電池10と同じである。
【0108】
図7は、この発明の実施の形態による組電池の構成を示す断面図である。図7を参照して、組電池10A−1は、単体電池1〜4と、変形防止板41〜44と、面ファスナー45〜48と、電池ケース50と、ネジ51A,51B,52A,52B,53A,53B,54A,54Bとを備える。
【0109】
単体電池1〜4は、電気的に直列に接続される。
【0110】
変形防止板41〜44の各々は、例えば、アルミニウムからなり、略U字形の断面形状を有する。
【0111】
変形防止板41は、ネジ51A,51Bによって電池ケース50に固定される。変形防止板42は、ネジ52A,52Bによって電池ケース50に固定される。変形防止板43は、ネジ53A,53Bによって電池ケース50に固定される。変形防止板44は、ネジ54A,54Bによって電池ケース50に固定される。
【0112】
面ファスナー45は、部材451,452からなり、面ファスナー46は、部材461,462からなる。面ファスナー47は、部材471,472からなり、面ファスナー48は、部材481,482からなる。部材451,461,471,481の各々は、上述した面ファスナー6の部材61と同じであり、部材452,462,472,482の各々は、上述した面ファスナー6の部材62と同じである。
【0113】
面ファスナー45の部材451は、単体電池1の他方面1Bに接着剤によって接着され、面ファスナー45の部材452は、変形防止板41の一方面41Aに接着剤によって接着される。
【0114】
面ファスナー46の部材461は、単体電池2の他方面2Bに接着剤によって接着され、面ファスナー46の部材462は、変形防止板42の一方面42Aに接着剤によって接着される。
【0115】
面ファスナー47の部材471は、単体電池3の他方面3Bに接着剤によって接着され、面ファスナー47の部材472は、変形防止板43の一方面43Aに接着剤によって接着される。
【0116】
面ファスナー48の部材481は、単体電池4の他方面4Bに接着剤によって接着され、面ファスナー48の部材482は、変形防止板44の一方面44Aに接着剤によって接着される。
【0117】
面ファスナー45は、部材451が部材452に貼り付くことによって単体電池1を変形防止板41に接続する。面ファスナー46は、部材461が部材462に貼り付くことによって単体電池2を変形防止板42に接続する。面ファスナー47は、部材471が部材472に貼り付くことによって単体電池3を変形防止板43に接続する。面ファスナー48は、部材481が部材482に貼り付くことによって単体電池4を変形防止板44に接続する。
【0118】
図8は、図7に示す組電池10A−1の製造方法を示す工程図である。図8を参照して、組電池10A−1の製造が開始されると、複数の単体電池1〜4を作製する(ステップS21)。そして、変形防止板41〜44および面ファスナー45〜48を切り出す(ステップS22)。
【0119】
その後、面ファスナー45〜48の部材451,461,471,481をそれぞれ単体電池1〜4の他方面1B,2B,3B,4Bに接着剤によって接着し、面ファスナー45〜48の部材452,462,472,482をそれぞれ変形防止板41〜44の一方面41A,42A,43A,44Aに接着剤によって接着する(ステップS23)。
【0120】
そうすると、面ファスナー45〜48の部材451,461,471,481をそれぞれ部材452,462,472,482に貼り付ける(ステップS24)。
【0121】
そして、変形防止板44をネジ54A,54Bによって電池ケース50に固定する(ステップS25)。その後、変形防止板43をネジ53A,53Bによって電池ケース50に固定し、単体電池3の負極外部端子16を単体電池4の正極外部端子15に溶接する(ステップS26)。
【0122】
引き続いて、変形防止板42をネジ52A,52Bによって電池ケース50に固定し、単体電池2の負極外部端子16を単体電池3の正極外部端子15に溶接する(ステップS27)。
【0123】
最後に、変形防止板41をネジ51A,51Bによって電池ケース50に固定し、単体電池1の負極外部端子16を単体電池2の正極外部端子15に溶接する(ステップS28)。これによって、組電池10A−1が完成する。
【0124】
なお、ステップS21においては、単体電池1〜4の各々は、上述した方法によって作製される。
【0125】
上述したように、組電池10A−1は、面ファスナーによって接続された単体電池および変形防止板を基本単位として、複数個の基本単位を電池ケース50内に固定した構造からなる。
【0126】
従って、組電池10A−1も、上述した組電池10と同じ効果を享受する。
【0127】
図9は、この発明の実施の形態による更に他の組電池の構成を示す断面図である。この発明の実施の形態による組電池は、図9に示す組電池10Bであってもよい。図9を参照して、組電池10Bは、図5に示す組電池10Aの変形防止板21を削除し、面ファスナー34〜36および緩衝材101〜104を追加したものであり、その他は、組電池10Aと同じである。
【0128】
緩衝材101〜104の各々は、例えば、スポンジからなる。緩衝材101は、単体電池1の一方面1A側に配置される。緩衝材102は、単体電池2と変形防止板22との間に配置される。緩衝材103は、単体電池3と変形防止板23との間に配置される。緩衝材104は、単体電池4と変形防止板24との間に配置される。
【0129】
面ファスナー34は、部材341,342からなり、面ファスナー35は、部材351,352からなり、面ファスナー36は、部材361,362からなる。部材341,351,361の各々は、上述した面ファスナー6の部材61と同じであり、部材342,352,362の各々は、上述した面ファスナー6の部材62と同じである。
【0130】
面ファスナー34の部材341は、変形防止板22の他方面22Bに接着剤によって接着され、面ファスナー34の部材342は、緩衝材102の一方面102Aに接着剤によって接着される。
【0131】
面ファスナー35の部材351は、変形防止板23の他方面23Bに接着剤によって接着され、面ファスナー35の部材352は、緩衝材103の一方面103Aに接着剤によって接着される。
【0132】
面ファスナー36の部材361は、変形防止板24の他方面24Bに接着剤によって接着され、面ファスナー36の部材362は、緩衝材104の一方面104Aに接着剤によって接着される。
【0133】
なお、組電池10Bにおいては、面ファスナー26の部材261は、緩衝材101の他方面101Bに接着剤によって接着され、面ファスナー32の部材321は、緩衝材104の他方面104Bに接着剤によって接着される。そして、緩衝材101の一方面101Aには、面ファスナーは、接着されない。
【0134】
面ファスナー26は、部材261が部材262に貼り付くことによって単体電池1を緩衝材101に接続し、面ファスナー27は、部材271が部材272に貼り付くことによって変形防止板22を単体電池1に接続する。また、面ファスナー34は、部材341が部材342に貼り付くことによって緩衝材102を変形防止板22に接続し、面ファスナー28は、部材281が部材282に貼り付くことによって単体電池2を緩衝材102に接続する。更に、面ファスナー29は、部材291が部材292に貼り付くことによって変形防止板23を単体電池2に接続し、面ファスナー35は、部材351が部材352に貼り付くことによって緩衝材103を変形防止板23に接続する。更に、面ファスナー30は、部材301が部材302に貼り付くことによって単体電池3を緩衝材103に接続し、面ファスナー31は、部材311が部材312に貼り付くことによって変形防止板24を単体電池3に接続する。更に、面ファスナー36は、部材361が部材362に貼り付くことによって緩衝材104を変形防止板24に接続し、面ファスナー32は、部材321が部材322に貼り付くことによって単体電池4を緩衝材104に接続する。更に、面ファスナー33は、部材331が部材332に貼り付くことによって変形防止板25を単体電池4に接続する。
【0135】
図10は、図9に示す組電池10Bの製造方法を示す工程図である。図10を参照して、組電池10Bの製造が開始されると、複数の単体電池1〜4を作製する(ステップS31)。そして、変形防止板22〜25、面ファスナー26〜36および緩衝材101〜104を切り出す(ステップS32)。
【0136】
その後、面ファスナー26,27,34,28,29,35,30,31,36,32,33の部材261,271,341,281,291,351,301,311,361,321,331をそれぞれ緩衝材101、単体電池1、変形防止板22、緩衝材102、単体電池2、変形防止板23、緩衝材103、単体電池3、変形防止板24、緩衝材104および単体電池4の他方面101B,1B,22B,102B,2B,23B,103B,3B,24B,104B,4Bに接着剤によって接着し、面ファスナー26,27,34,28,29,35,30,31,36,32,33の部材262,272,342,282,292,352,302,312,362,322,332をそれぞれ単体電池1、変形防止板22、緩衝材102、単体電池2、変形防止板23、緩衝材103、単体電池3、変形防止板24、緩衝材104、単体電池4および変形防止板25の一方面1A,22A,102A,2A,23A,103A,3A,24A,104A,4A,25Aに接着剤によって接着する(ステップS33)。
【0137】
そうすると、面ファスナー26,27,34,28,29,35,30,31,36,32,33の部材261,271,341,281,291,351,301,311,361,321,331をそれぞれ部材262,272,342,282,292,352,302,312,362,322,332に貼り付ける(ステップS34)。
【0138】
そして、単体電池1〜3の負極外部端子16をそれぞれ単体電池2〜4の正極外部端子15に溶接する(ステップS35)。これによって、組電池10Bが完成する。
【0139】
なお、ステップS34を実行することによって、複数の単体電池1〜4が面ファスナー26〜36によって変形防止板22〜24および緩衝材102〜104を介して直列に接続されるとともに、緩衝材101および変形防止板25によって挟み込まれる。また、ステップS35を実行することによって、複数の単体電池1〜4が電気的に直列に接続される。更に、ステップS31においては、単体電池1〜4の各々は、上述した方法によって作製される。
【0140】
上述したように、組電池10Bは、1つの単体電池(単体電池1〜4のいずれか)を1つの緩衝材(緩衝材101〜104のいずれか)と1つの変形防止板(変形防止板22〜25のいずれか)とによって挟み込んだ基本単位を積層した構造からなる。そして、緩衝材101〜104と単体電池1〜4との境界、単体電池1〜4と変形防止板22〜25との境界、および変形防止板22〜24と緩衝材102〜104との境界は、面ファスナー26〜36によって貼り付けられる。
【0141】
従って、組電池10Bも、上述した組電池10と同じ効果を享受する。
【0142】
なお、組電池10Bは、変形防止板22〜25に代えて散熱板を備えていてもよい。即ち、組電池10Bは、単体電池と、単体電池の一方側に配置された緩衝材と、単体電池の他方側に配置された平板部材(変形防止板または散熱板からなる)とを備えていればよい。
【0143】
また、組電池10Bのその他の説明は、組電池10の説明と同じである。
【0144】
図11は、この発明の実施の形態による更に他の組電池の構成を示す断面図である。この発明の実施の形態による組電池は、図11に示す組電池10Cであってもよい。図11を参照して、組電池10Cは、電池パック70と、電池ケース80と、面ファスナー93,94とを備える。
【0145】
電池パック70は、単体電池1〜5を含む。単体電池1〜5は、積層されるとともに、電気的に直列に接続される。そして、電池パック70は、電池ケース80内に配置される。
【0146】
面ファスナー93は、部材931,932からなり、面ファスナー94は、部材941,942からなる。面ファスナー93の部材931および面ファスナー94の部材941の各々は、上述した面ファスナー6の部材61と同じであり、面ファスナー93の部材932および面ファスナー94の部材942の各々は、上述した面ファスナー6の部材62と同じである。
【0147】
面ファスナー93の部材931は、電池ケース80の上面80Aに接着剤によって接着され、面ファスナー93の部材932は、電池パック70の上面70Aに接着剤によって接着される。また、面ファスナー94の部材941は、電池ケース80の下面80Bに接着剤によって接着され、面ファスナー94の部材942は、電池パック70の下面70Bに接着剤によって接着される。
【0148】
面ファスナー93は、部材931が部材932に貼り付くことによって電池パック70の上面70Aを電池ケース80の上面80Aに接続する。また、面ファスナー94は、部材941が部材942に貼り付くことによって電池パック70の下面70Bを電池ケース80の下面80Bに接続する。
【0149】
図12は、図11に示す組電池10Cの製造方法を示す工程図である。図12を参照して、組電池10Cの製造が開始されると、複数の単体電池1〜5を作製する(ステップS41)。そして、面ファスナー93,94を切り出す(ステップS42)。
【0150】
その後、単体電池1〜5を積層するとともに、単体電池1〜4の負極外部端子16をそれぞれ単体電池2〜5の正極外部端子15に溶接する(ステップS43)。これによって、電池パック70が作製される。
【0151】
引き続いて、面ファスナー93,94の部材931,941をそれぞれ電池ケース80の上面80Aおよび下面80Bに接着剤によって接着し、面ファスナー93,94の部材932,942をそれぞれ電池パック70の上面70Aおよび下面70Bに接着剤によって接着する(ステップS44)。
【0152】
そして、電池パック70を電池ケース80内に収納し、面ファスナー93,94の部材931,941をそれぞれ部材932,942に貼り付ける(ステップS45)。これによって、組電池10Cが完成する。
【0153】
上述したように、組電池10Cは、単体電池1〜5を積層してなる電池パック70が面ファスナー93,94によって電池ケース80に接続された構造からなる。その結果、面ファスナー93,94によって電池ケース80に接続された電池パック70は、面ファスナー93,94のフック状に起毛された部材931,941がそれぞれループ状に起毛された部材932,942から引き離されることによって、容易に着脱される。そして、面ファスナー93,94の部材931,941は、部材932,942から引き離されても、部材932,942と接続する力が維持される。
【0154】
従って、一度、引き離された電池パック70を何回でも、面ファスナー93,94によって電池ケース80に接続可能であり、電池パック70を再利用できる。
【0155】
また、組電池10Cに衝撃が印加されても、面ファスナー93,94が衝撃を吸収する。即ち、面ファスナー93,94は、緩衝材として機能する。従って、組電池10Cの信頼性を向上できる。
【0156】
更に、電池パック70が故障した場合、面ファスナー93,94の部材931,941をそれぞれ部材932,942から引き離すことによって、電池パック70を取り出し、電池パック70に代わる電池パックを面ファスナー93,94によって電池ケース80に接続する。
【0157】
従って、電池パックを容易に交換できる。
【0158】
なお、組電池10Cの電池パック70は、単体電池1〜5に代えて、上述した組電池10,10A,10Bのいずれかを含んでいてもよい。
【0159】
上記においては、面ファスナー6〜9,26〜36,45〜48,93,94の各々は、フック状に起毛された部材と、ループ状に起毛された部材とからなると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、面ファスナー6〜9,26〜36,45〜48,93,94の各々は、フックとループとの両方が起毛された部材と、フックとループとの両方が起毛された部材とからなっていてもよく、マッシュルーム状に起毛されたクリックタイプの面ファスナーからなっていてもよく、鋸歯状のシャークバイトタイプの面ファスナーからなっていてもよい。
【0160】
また、面ファスナー6〜9,26〜36,45〜48,93,94の各々は、金属面ファスナー、材質がナイロン、ポリエステル、PP、およびPE等の樹脂面ファスナー、および織物(編物)面ファスナーからなっていてもよい。
【0161】
面ファスナー6〜9,26〜36,45〜48,93,94の各々がフックとループとの両方が起毛された部材と、フックとループとの両方が起毛された部材とからなる場合、フックが取り付けられた面と、ループが取り付けられた面とを間違えるのを防止できる。
【0162】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0163】
この発明は、組電池に適用される。
【符号の説明】
【0164】
1〜5 単体電池、6〜9,26〜36,45〜48,93,94 面ファスナー、10,10A,10B,10C 組電池、11 シート状正極、12シート状負極、13 セパレータ、14 ラミネートフィルム、15 正極外部端子、16 負極外部端子、17 リード体、20 積層体、21〜25,41〜44 変形防止板、50,80 電池ケース、61,62,71,72,81,82,91,92 部材、70 電池パック、101〜104 緩衝材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネートパッケージされた第1および第2の単体電池と、
前記第1および第2の単体電池間に配置され、前記第1の単体電池を前記第2の単体電池に接続する面ファスナーとを備える組電池。
【請求項2】
ラミネートパッケージされた単体電池と、
前記単体電池に隣接して配置された平板部材と、
前記単体電池と前記平板部材との間に配置され、前記単体電池を前記平板部材に接続する面ファスナーとを備える組電池。
【請求項3】
ラミネートパッケージされた単体電池と、
前記単体電池の一方側に配置された緩衝材と、
前記単体電池の他方側に配置された平板部材と、
前記緩衝材と前記単体電池との間に配置され、前記緩衝材を前記単体電池に接続する第1の面ファスナーと、
前記単体電池と前記平板部材との間に配置され、前記単体電池を前記平板部材に接続する第2の面ファスナーとを備える組電池。
【請求項4】
前記平板部材は、変形防止板である、請求項2または請求項3に記載の組電池。
【請求項5】
前記平板部材は、散熱板である、請求項2または請求項3に記載の組電池。
【請求項6】
電池ケースと、
前記電池ケース内に収納された電池パックと、
前記電池パックと前記電池ケースとの間に配置され、前記電池パックを前記電池ケースに接続する面ファスナーとを備え、
前記電池パックは、直列に接続された複数の単体電池を含み、
前記複数の単体電池の各々は、ラミネートパッケージされた電池からなる、組電池。
【請求項7】
前記面ファスナーは、
前記単体電池の面内方向に垂直な方向における前記電池ケースの一方端側の第1の平面と前記電池パックとの間に配置され、前記電池パックを前記第1の平面に接続する第1の面ファスナーと、
前記単体電池の面内方向に垂直な方向における前記電池ケースの他方端側の第2の平面と前記電池パックとの間に配置され、前記電池パックを前記第2の平面に接続する第2の面ファスナーとを含む、請求項6に記載の組電池。
【請求項8】
前記電池パックは、
隣接する第1および第2の単体電池間に配置された平板部材と、
前記第1の単体電池と前記平板部材との間に配置され、前記第1の単体電池を前記平板部材に接続する第3の面ファスナーと、
前記平板部材と前記第2の単体電池との間に配置され、前記第2の単体電池を前記平板部材に接続する第2の面ファスナーとを更に含む、請求項6または請求項7に記載の組電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−119131(P2012−119131A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266839(P2010−266839)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(511084555)日立マクセルエナジー株式会社 (212)
【Fターム(参考)】