説明

組電池

【課題】隣接する電池への伝熱を抑制できる組電池を提供する。
【解決手段】積層された複数の電池10,20と、前記電池の間に設けられ、断熱媒体が流通する断熱媒体通路31と、前記電池の間に設けられ、冷媒が流通する冷媒通路32と、を備え、前記冷媒の熱抵抗は、前記断熱媒体の熱抵抗より低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の電池を積層してなる組電池において、断熱部の両面に伝熱部を有するスペーサを電池間に介挿し、電池に発生した熱をスペーサの伝熱部及び外装部材を介して外部へ放散させる組電池が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−218716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では電池が高温になると隣接する電池に伝熱し、これにより当該隣接する電池も昇温するという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、隣接する電池への伝熱を抑制できる組電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、積層された複数の電池の間に、断熱媒体が流通する断熱媒体通路及び冷媒が流通する冷媒通路を設け、冷媒の熱抵抗を断熱媒体の熱抵抗より低くすることによって、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、冷媒及び断熱媒体を流通することで、冷媒の冷却効果及び断熱媒体の断熱効果の低下を防止でき、隣接する電池への伝熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態に係る組電池を示すブロック図である。
【図2】図1の通路アッセンブリプレートを示す断面図である。
【図3】図1の流量制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図4】図3による断熱媒体の制御モードを示すグラフである。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る組電池を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る組電池1は、複数の電池10,20を積層して構成され、さらに電池10,20の間に通路アッセンブリプレート30が介装されている。同図に示す組電池1は2つの電池10,20を積層したものであるが、3つ以上の電池を積層したものであってもよい。また、3つ以上の電池を積層した組電池においては、全ての電池の間に通路アッセンブリプレート30を介装してもよいが、複数個おきに介装してもよい。
【0010】
一つの電池の構成を、電池10を例に挙げて説明すると(電池20も同じ構成である)、電池10は、一対のラミネートフィルム製外装部材11の内部に発電要素が収容され、当該一対の外装部材の外周部が封止されたものである。図1においては外装部材11のみを示し、発電要素はその図示を省略する。外装部材11を構成するラミネートフィルムは、たとえば三層構造とされ、電池10の内側から外側に向かって、たとえばポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン又はアイオノマー等の耐電解液性及び熱融着性に優れた樹脂フィルムから構成された内側樹脂層と、たとえばアルミニウム等の金属箔から構成された中間金属層と、たとえばポリアミド系樹脂又はポリエステル系樹脂等の電気絶縁性に優れた樹脂フィルムで構成された外側樹脂層とを有する。
【0011】
このように、一対の外装部材11は何れも、たとえばアルミニウム箔等からなる中間金属層の一方の面(電池10の内側面)をポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、又はアイオノマー等の樹脂でラミネートし、他方の面(電池10の外側面)をポリアミド系樹脂又はポリエステル系樹脂でラミネートした、樹脂−金属薄膜ラミネート材等の可撓性を有する材料で形成されている。
【0012】
一対の外装部材11が内側及び外側樹脂層に加えて中間金属層を具備することにより、外装部材11自体の強度向上を図ることが可能となる。また、外装部材11の内側樹脂層を、たとえばポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、又はアイオノマー等の樹脂で構成することにより、金属製の電極端子12,13との良好な融着性を確保することが可能となる。
【0013】
なお、本発明における外装部材11は、上述した三層構造にのみ限定されず、内側又は外側樹脂層のいずれか一層構造であってもよい。また、内側又は外側樹脂層のいずれか一方と中間金属層との二層構造であってもよい。さらに、必要に応じて四層以上の構造であってもよい。
【0014】
一対の外装部材11のそれぞれは、発電要素が収容できるように矩形状平板を浅い椀型(皿型)に成形した形状とされ、内部に発電要素と電解液を入れたのち、それぞれの外周部を重ね合わせ、当該外周部の全周が熱融着や接着剤により接合されている。
【0015】
本例の電池10は、リチウムイオン二次電池であり、発電要素は正極板と負極板との間にセパレータを積層して構成されている。本例の発電要素は、たとえば3枚の正極板と、5枚のセパレータと、3枚の負極板と、電解質とから構成することができる。なお、本発明に係る電池10はリチウムイオン二次電池に限定されず、他の電池であってもよい。
【0016】
発電要素を構成する正極板は、正極端子12まで伸びている正極側集電体と、この正極側集電体の一部の両主面にそれぞれ形成された正極層とを有する。なお、正極板と正極側集電体とを一枚の導電体で形成することもできるし、正極板と正極側集電体とを別の部材で構成し、これらを接合することもできる。
【0017】
正極板の正極側集電体は、たとえばアルミニウム箔、アルミニウム合金箔、銅箔、又は、ニッケル箔等の電気化学的に安定した金属箔から構成されている。また正極板の正極層は、たとえば、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)又はコバルト酸リチウム(LiCoO)等のリチウム複合酸化物や、カルコゲン(S、Se、Te)化物等の正極活物質と、カーボンブラック等の導電剤と、ポリ四フッ化エチレンの水性ディスパージョン等の接着剤と、溶剤とを混合したものを、正極集電板の両主面に塗布し、乾燥及び圧延することにより形成されている。
【0018】
発電要素を構成する負極板は、負極端子13まで伸びている負極側集電体と、当該負極側集電体の一部の両主面にそれぞれ形成された負極層とを有する。なお、負極板と負極側集電体とを一枚の導電体で形成することもできるし、負極板と負極側集電体とを別の部材で構成し、これらを接合することもできる。
【0019】
負極板の負極側集電体は、たとえばニッケル箔、銅箔、ステンレス箔、又は、鉄箔等の電気化学的に安定した金属箔から構成されている。また、負極板の負極層は、たとえば非晶質炭素、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、又は、黒鉛等のような上記の正極活物質のリチウムイオンを吸蔵及び放出する負極活物質に、有機物焼成体の前駆体材料としてのスチレンブタジエンゴム樹脂粉末の水性ディスパージョンを混合し、乾燥させた後に粉砕することで、炭素粒子表面に炭化したスチレンブタジエンゴムを担持させたものを主材料とし、これにアクリル樹脂エマルジョン等の結着剤をさらに混合し、この混合物を負極集電板の両主面に塗布し、乾燥及び圧延させることにより形成されている。
【0020】
正極板と負極板との間に積層されるセパレータは、正極板と負極板との短絡を防止するものであり、電解質を保持する機能を備えてもよい。このセパレータは、たとえばポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン等から構成される微多孔性膜であり、過電流が流れると、その発熱によって層の空孔が閉塞され電流を遮断する機能をも有する。ただし、セパレータは、ポリオレフィン等の単層膜にのみ限られず、ポリプロピレン膜をポリエチレン膜でサンドイッチした三層構造や、ポリオレフィン微多孔膜と有機不織布等を積層したものも用いることができる。このようにセパレータを複層化することで、過電流の防止機能、電解質保持機能及びセパレータの形状維持(剛性向上)機能等の諸機能を付与することができる。
【0021】
以上の発電要素は、セパレータを介して正極板と負極板とが交互に積層されてなる。そして、3枚の正極板は、正極側集電体を介して、金属箔製の正極端子12にそれぞれ接続される一方で、3枚の負極板は、負極側集電体を介して、同様に金属箔製の負極端子13にそれぞれ接続されている。
【0022】
図1に示すように、正極端子12と負極端子13は、発電要素の正極板及び負極板のそれぞれから外装部材11の外部へ導出されている。本例の電池10では、外装部材11の対向する辺(図1の左右の辺)の外周部から正極端子12と負極端子13とがそれぞれ導出されている。正極端子12及び負極端子13は正極タブ12及び負極タブ13とも称される。
【0023】
電池10は平面視において長方形とされているが、電池10の外形形状は長方形にのみ限定されず、正方形や他の多角形に形成することも可能である。また、正極端子12と負極端子13の導出位置は、本例のように対向する二つの外周部からそれぞれ導出させること以外にも、一つの外周部から並んで導出させてもよい。
【0024】
以上のように構成された電池10は単体で使用に供することもできるが、本例では他の一または複数の電池20と接続して組み合わせ、所望の出力、容量の二次電池として使用に供する。
【0025】
複数の電池10,20を接続して組電池1を構成する場合に、図1に示すように複数の扁平状の電池10,20の主面同士を積み重ねて電池ケース内に収容することが行われる。この場合に、バスバを用いて電池10,20から導出された正極端子12、22及び負極端子13,23を直列及び/又は並列に接続する。
【0026】
次に、電池10,20の間に介装された通路アッセンブリプレート30について説明する。本例の通路アッセンブリプレート30は、断熱媒体が流通する断熱媒体通路31と、冷媒が流通する冷媒通路32とが一体的に形成された板状部材である。
【0027】
断熱媒体は、熱抵抗が高い空気やアルゴンなどの気体を用いることが好ましく、冷媒は、熱抵抗が低いエチレングリコールやシリコンオイルなどの液体を用いることが好ましい。断熱媒体は、主として電池10又は20で発生した比較的大きな温度上昇熱が隣接する電池20又は10へ伝達するのを抑制するために機能し、冷媒は、主として電池10,20の充放電時に生じる比較的緩やかな温度上昇を抑制するために機能する。
【0028】
通路アッセンブリプレート30の断面構造を図2に示す。本例の通路アッセンブリプレート30は、熱抵抗が高い樹脂材料、たとえばポリプロピレンで構成され、断面がハニカム状とされた凹凸プレート33,34と、これら凹凸プレート33,34の両面のそれぞれに貼り付けられ、熱抵抗が低い金属材料、たとえばアルミニウムで構成された薄板35,35と、を備える。そして、凹凸プレート33,34の凸部同士を図2に示すように重ねて張り合わせ、その両面のそれぞれに薄板35,35を貼り付けることで、内部に断熱媒体通路31と冷媒通路32が互いに気密状態となるように、かつ断熱媒体通路31の両面それぞれに冷媒通路32が位置するように形成される。なお、通路アッセンブリプレート30は少なくとも面方向(二次元方向)に伸縮可能とされていることが好ましい。また断熱媒体通路31と冷媒通路32が接していることで、断熱媒体通路31内の断熱媒体の昇温を冷媒によって効果的に抑制することができる。
【0029】
図1に示す通路アッセンブリプレート30の上面の冷媒通路32は電池10の下側の主面に接し、下面の冷媒通路32は電池20の上側の主面に接する。また、図1に示す通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31は、電池10及び20の間に位置することになる。なお、通路アッセンブリプレート30は、平面視において電池10,20の外装部材11,21とほぼ同じ大きさか或いはこれより大きく形成されている。したがって、電池10,20の外装部材11,21が封止された外周部においては、電池10,20と通路アッセンブリプレート30との間に空間が存在することになる。
【0030】
図1に示すように、冷媒は冷媒タンク36に貯留され、ポンプ37によって冷媒循環配管38に吸引され、通路アッセンブリプレート30の上下それぞれの冷媒通路32,32を流通したのち冷媒タンク36に戻される。冷媒通路32を通過する冷媒の流量は、一定量であっても冷却効果を得ることができるが、更に流量制御装置39がポンプ37に制御信号を出力することにより制御してもよい。たとえば、電池10,20は充放電する際に緩やかに発熱するので充放電時に冷媒を循環させ、充放電時以外は冷媒の循環を停止する。
【0031】
断熱媒体が空気の場合は、ファン40によって周囲の空気が断熱媒体循環配管41に吸引され、通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31を流通したのち外部へ放出される。断熱媒体がアルゴンガスなどの気体の場合は、図示を省略するが、アルゴンガス貯蔵容器からファン40によって断熱媒体循環配管41に吸引し、通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31を流通させたのちアルゴンガス貯蔵容器へ戻す。断熱媒体通路31を通過する断熱媒体の流量は、一定量であっても断熱効果を得ることができるが、更に流量制御装置39がファン40に制御信号を出力することにより制御してもよい。
【0032】
電池10,20のそれぞれには、当該電池10,20の温度を検出する電池温度センサ42,43が設けられ、その検出信号は流量制御装置39へ出力される。また、電池10,20の外部温度を検出する外部温度センサ44が電池10,20の近傍に設けられ、その検出信号は流量制御装置39へ出力される。なお、外部温度センサ44に代えて断熱媒体の温度を直接検出してもよい。
【0033】
次に、流量制御装置39の断熱媒体の流量の制御手順を説明する。まず、ステップST1にて電池温度センサ42,43により検出された電池10,20の電池温度が第1の所定温度T以上か否かを判断する。第1の所定温度Tは、通常の外気温度より高い温度であって、電池10,20を保護するための限界温度である。
【0034】
電池10,20の電池温度の少なくとも一方が第1の所定温度T以上の場合はステップST2へ進み、異常時の断熱媒体循環モードに設定し、流量制御装置39からファン40へ動作指令信号を出力し、通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31に断熱媒体を流通させる。断熱媒体を流通させないと通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31に滞留した断熱媒体自体も高温になるため、電池10又は20の熱が隣接する電池20又は10に伝達するのを抑制する効果が小さくなる。本例によれば、電池10又は20が高温になっても断熱媒体を流通させるので通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31内の断熱媒体の昇温を抑制でき、これにより隣接する電池への伝熱を抑制することができる。
【0035】
ステップST1にて電池10,20の電池温度が第1の所定温度未満である場合はステップST3へ進む。ステップST3では、外部温度センサ44により検出された外部温度が第2の所定温度T以上か否かを判断する。第2の所定温度Tは、第1の所定温度T未満であって、たとえば外気温度より高い温度である。
【0036】
外部温度が第2の所定温度T以上の場合はステップST5へ進み、正常時の断熱媒体循環の停止モードに設定し、流量制御装置39からファン40へ停止指令信号を出力し、通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31へ断熱媒体を流通させるのを停止する。外気温度が第2の所定温度T以上の高温である場合にこれを断熱媒体通路31へ流通させると、隣接する冷媒通路32の冷媒を加熱してしまい、冷媒による電池10,20の冷却効果が減少する。本例によれば、こうした冷媒による冷却効果を阻害するのを防止することができる。
【0037】
外部温度が第2の所定温度T未満である場合はステップST4へ進み、さらに外部温度が第3の所定温度T以下か否かを判断する。第3の所定温度Tは、第2の所定温度T未満であって、たとえば冷媒温度に近いかそれ以下の温度である。外部温度が第3の所定温度T以下である場合はステップST6へ進み、正常時断熱媒体循環モードに設定し、流量制御装置39からファン40へ動作指令信号を出力し、通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31に断熱媒体を流通させる。外部温度が第3の所定温度以下である場合に断熱媒体を通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31へ流通させることにより、冷媒に加えて当該断熱媒体を冷媒として利用することができる。
【0038】
ステップST4にて外部温度が第3の所定温度Tを超える場合はステップST5へ進み、正常時の断熱媒体循環の停止モードに設定し、流量制御装置39からファン40へ停止指令信号を出力し、通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31へ断熱媒体を流通させるのを停止する。外部温度が第2の所定温度と第3の所定温度の間にある場合は、冷却効果が期待できず、却って隣接する冷媒通路32の冷媒を加熱し、冷媒による電池10,20の冷却効果が減少することがあるからである。以上の異常時の断熱媒体循環モード、正常時の断熱媒体循環の停止モード、正常時の断熱媒体循環モードの範囲を、図4の縦軸に電池温度をとり横軸に外部温度をとったグラフにて示す。
【0039】
なお、上述した実施形態では、電池10,20と通路アッセンブリプレート30とは積層しているだけで接着されていないが、図5に示すように通路アッセンブリプレート30の一方の面を電池10の主面に接着し、他方の面を電池20の主面に接着してもよい。既述したとおり、通路アッセンブリプレート30の外周部と電池10,20の外周部との間には、電池10,20の封止による隙間が存在し、また通路アッセンブリプレート30は伸縮可能とされている。
【0040】
このため、電池10,20が高温となって外装部材11,21が膨張した場合に、通路アッセンブリプレート30もこの膨張にともなって面方向(二次元方向)に引き伸ばされる。これにより、通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31が膨張し、断熱媒体による断熱効果が向上することになる。
【0041】
以上のように、本例の組電池1によれば、電池10、20の間に、断熱媒体通路31及び冷媒通路32を設け、冷媒の熱抵抗を断熱媒体の熱抵抗より低くするので、冷媒の冷却効果及び断熱媒体の断熱効果の低下を防止でき、隣接する電池への伝熱を抑制することができる。
【0042】
また、冷媒通路を電池と断熱媒体通路との間に設けているので、電池10又は20で発生した比較的大きな温度上昇熱が隣接する電池20又は10へ伝達するのを抑制することができ、また、例えば電池の10、20の充放電時に生じる比較的緩やか温度上昇も抑制することができる。
【0043】
また、電池温度と外部温度に応じて適宜断熱媒体の流量を制御するので、冷媒による通常の冷却性能を悪化させることなく、電池10,20が異常に温度上昇した場合でも十分に断熱効果を発揮することができる。
【0044】
また、電池10,20の温度が第1の所定温度T以上である場合のような異常時は、電池温度は外部温度よりも圧倒的に高いため、断熱媒体の流通を停止すると断熱媒体自体が昇温してしまい、断熱効果が著しく低下するおそれがあるが、本例では断熱媒体を流通させることで、それを防止し、十分な断熱効果を維持することができる。
【0045】
また、電池10,20の温度が第1の所定温度T未満であるが、第2の所定温度T以上であるような正常時は、断熱媒体を流通させると、例えば外部温度が高温の場合には断熱媒体が徐々に昇温し、冷媒による電池の冷却の妨げになるおそれがある。しかしながら、本例では断熱媒体の流通を停止させることで、それを防止し、十分な冷却効果を維持することができる。
【0046】
また、電池10,20の温度が第1の所定温度T未満であり、さらに第3の所定温度T以下であるような正常時は、低温となった断熱媒体を流通させることにより、冷媒に加えて冷却媒体として利用することができる。
【0047】
さらに、電池10,20と通路アッセンブリプレート30とを接着すれば、異常時に電池10,20の外装部材11,21が膨張すると、通路アッセンブリプレート30もこの膨張にともなって面方向(二次元方向)に引き伸ばされる。これにより、通路アッセンブリプレート30の断熱媒体通路31が膨張し、断熱媒体による断熱効果が向上することになる。
【0048】
上記電池温度センサ42,43は本発明に係る電池温度検出手段に相当し、上記外部温度センサ44は本発明に係る外部温度検出手段に相当し、上記流量制御装置39は本発明に係る流量制御手段に相当する。
【符号の説明】
【0049】
1…組電池
10,20…電池
11,21…外装部材
12,22…正極端子(電極端子)
13,23…負極端子(電極端子)
30…通路アッセンブリプレート
31…断熱媒体通路
32…冷媒通路
33,34…凹凸プレート
35…薄板
36…冷媒タンク
37…ポンプ
38…冷媒循環配管
39…流量制御装置
40…ファン
41…断熱媒体循環配管
42,43…電池温度センサ
44…外部温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の電池と、
前記電池の間に設けられ、断熱媒体が流通する断熱媒体通路と、
前記電池の間に設けられ、冷媒が流通する冷媒通路と、を備え、
前記冷媒の熱抵抗は、前記断熱媒体の熱抵抗より低いことを特徴とする組電池。
【請求項2】
前記冷媒通路は、前記電池と前記断熱媒体通路との間に設けられている請求項1記載の組電池。
【請求項3】
前記電池の温度を検出する電池温度検出手段と、
前記電池の外部温度を検出する外部温度検出手段と、
前記断熱媒体通路を流れる断熱媒体の流量を制御する流量制御手段と、をさらに備え、
前記流量制御手段は、前記電池の温度と前記外部温度に応じて、前記断熱媒体通路を流れる断熱媒体の流量を制御する請求項1又は2に記載の組電池。
【請求項4】
前記流量制御手段は、前記電池の温度が第1の所定温度以上の場合に、前記断熱媒体通路に断熱媒体を流通させる請求項3に記載の組電池。
【請求項5】
前記流量制御手段は、前記電池の温度が前記第1の所定温度未満であり、前記外部温度が第2の所定温度以上の場合に、前記断熱媒体通路における断熱媒体の流通を停止する請求項4に記載の組電池。
【請求項6】
前記流量制御手段は、前記電池の温度が前記第1の所定温度未満であり、前記外部温度が第3の所定温度以下の場合に、前記断熱媒体通路に断熱媒体を流通させる請求項4又は5に記載の組電池。
【請求項7】
前記断熱媒体通路と前記冷媒通路とが一体的に形成された通路アッセンブリプレートを有し、
前記通路アッセンブリプレートは、前記電池の主面に接着されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−33723(P2013−33723A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115249(P2012−115249)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】