説明

経口摂取用ミネラル含有組成物およびその製造方法

【課題】消化機能の変調を防止でき、かつ、各種ミネラルを安価にバランスよく摂取可能な経口摂取用ミネラル含有組成物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】貝殻、アコヤ貝の内壁付着物、真珠、カキ殻、化石サンゴ、またはそれらの焼成物からなる海洋生物起源のミネラル源と、乳酸菌および酵母を培養させてなる乳酸菌共棲培養エキスとを、乳酸菌共棲培養エキスが凝固可能な温度条件下で粉砕および混合して経口摂取用ミネラル含有組成物を得る。海洋生物起源のミネラル源は、人体に必要なミネラルをバランスよく含有しており、これらを摂取した際の下痢や便秘症等の消化機能の変調については、乳酸菌共棲培養エキスにより防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋生物起源のミネラル源を含む経口摂取用ミネラル含有組成物、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属や亜鉛、鉄、セレン、リン、鉄等の重金属を適度に摂取する事が体力の低下、視力の減退、精力減退などの老化現象や悪性腫瘍、糖尿病、高血圧症等の成人性疾患、さらにアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患の予防や症状の改善をすることが報告されている。そこで、深海から汲み上げた海水を濃縮もしくは乾燥固体化した海洋ミネラルを摂取することが提案されている。また、海洋ミネラルを摂取した際の下痢や便秘症等の消化機能の変調を防止することを目的に、乳酸菌と酵母菌とを共棲培養して得られる共棲培養エキスを同時に摂取することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−18522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、深海からの海水の汲み上げ、海水の濃縮、乾燥固体化に多大な手間とコストがかかるという問題点がある。
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、消化機能の変調を防止でき、かつ、各種ミネラルを安価にバランスよく摂取可能な経口摂取用ミネラル含有組成物、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る経口摂取用ミネラル含有組成物では、少なくとも、海洋生物起源のミネラル源と、乳酸菌および酵母を培養させてなる乳酸菌共棲培養エキスとを含むことを特徴とする。
【0006】
本発明では、貝やサンゴなどの海洋生物は、海洋ミネラルを吸収、蓄積していることに着目し、貝殻、アコヤ貝の内壁付着物、真珠、カキ殻、化石サンゴ、またはそれらの焼成物(貝殻の焼成物、アコヤ貝の内壁付着物の焼成物、真珠の焼成物、カキ殻の焼成物、または化石サンゴの焼成物)などの海洋生物起源のミネラルを摂取することにより、深海から汲み上げた海水を濃縮もしくは乾燥固体化した海洋ミネラルを摂取したのと同様の効果を得ようとするものである。
【0007】
すなわち、海洋ミネラルは、1g中に概ね、以下に示すように、
ナトリウム 54,300μg
カリウム 81,600μg
カルシウム 310,600μg
マグネシウム 1,700μg
塩素 35,300μg
珪素 125μg
鉄 125μg
銅 8μg
クロム 250μg
マンガン 10μg
亜鉛 60μg
セレン 16μg
人体に必要なミネラルをバランスよく含有している一方、貝殻、アコヤ貝の内壁付着物、真珠、カキ殻、化石サンゴ、またはそれらの焼成物(貝殻の焼成物、アコヤ貝の内壁付着物の焼成物、真珠の焼成物、カキ殻の焼成物、化石サンゴの焼成物)などの海洋生物起源のミネラル源(カルシウム含有組成物)も、略同様なバランスで多数のミネラルを含有している。
【0008】
また、ミネラルを摂取した際の下痢や便秘症等の消化機能の変調については、乳酸菌共棲培養エキスにより防止することができる。従って、本発明に係る経口摂取用ミネラル含有組成物によれば、消化機能の変調を起こすことなく、各種ミネラルを安価にバランスよく摂取することができ、サプリメントなどとして摂取すれば、疾病の予防や治療などに効果的である。
【0009】
本発明に係る経口摂取用ミネラル含有組成物の製造方法では、少なくとも、海洋生物起源のミネラル源と、乳酸菌および酵母を培養させてなる乳酸菌共棲培養エキスとを、該乳酸菌共棲培養エキスが凝固可能な温度条件下で粉砕および混合して得たことを特徴とする。
【0010】
かかる製造方法によれば、海洋生物起源のミネラル源と乳酸菌共棲培養エキスとを錠剤やカプセル状などといった所望の形態で提供することができる。すなわち、乳酸菌共棲培養エキスは酸性である一方、海洋生物起源のミネラル源においてカルシウムのほとんどは炭酸カルシウムの状態で存在するため、海洋生物起源のミネラル源と乳酸菌共棲培養エキスとをそのまま混合すると、海洋生物起源のミネラル源が乳酸菌共棲培養エキスと反応してしまい、錠剤などの形態にするには、デキストリンなどに包接させて噴霧乾燥させるなどの方法を採用せざるを得ず、その結果、収率が極めて低下してしまう。しかるに本発明では、海洋生物起源のミネラル源と乳酸菌共棲培養エキスとを、該乳酸菌共棲培養エキスが凝固可能な温度条件下において粉砕および混合を行う。このため、双方を固形にした状態で粉砕および混合するので、ボールミルなどを用いて容易に粉砕および混合を行うことができ、錠剤などの形態で提供する場合でも、極めて高い収率を達成することができる。なお、粉砕および混合の後、常温に戻すと、海洋生物起源のミネラル源の表面では乳酸菌共棲培養エキスとの反応が起こるが、海洋生物起源のミネラル源の表面は乳酸菌共棲培養との反応性生物で覆われる結果、反応がそれ以上進行することはない。
【0011】
本発明において、前記ミネラル源は、例えば、貝殻、アコヤ貝の内壁付着物、真珠、カキ殻、化石サンゴ、またはそれらの焼成物のうちの少なくとも1つを含んでいる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、ミネラル源として、貝殻、アコヤ貝の内壁付着物、真珠、カキ殻、化石サンゴ、またはそれらの焼成物(貝殻の焼成物、アコヤ貝の内壁付着物の焼成物、真珠の焼成物、カキ殻の焼成物、化石サンゴの焼成物)などの海洋生物起源のミネラル源(カルシウム含有組成物)を用い、かつ、ミネラルを摂取した際の下痢や便秘症等の消化機能の変調については、乳酸菌共棲培養エキスにより防止する。従って、本発明に係る経口摂取用ミネラル含有組成物によれば、消化機能の変調を起こすことなく、各種ミネラルを安価にバランスよく摂取することができ、サプリメントなどとして摂取すれば、疾病の予防や治療などに効果的である。
【0013】
また、本発明に係る経口摂取用ミネラル含有組成物の製造方法では、海洋生物起源のミネラル源と乳酸菌共棲培養エキスとを、双方を固形にした状態で粉砕および混合するので、ボールミルなどを用いて容易に粉砕および混合を行うことができ、錠剤などの形態で提供する場合でも、極めて高い収率を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、本発明に係る経口摂取用ミネラル含有組成物は、少なくとも、貝殻、アコヤ貝の内壁付着物、真珠、カキ殻、化石サンゴ、またはそれらの焼成物などの海洋生物起源のミネラル源と、乳酸菌および酵母を培養させてなる乳酸菌共棲培養エキスとを含んでいる。
【0015】
乳酸菌共棲培養エキスは、乳酸菌と酵母を、穀物などを栄養分として繁殖培養させて得られるエキスである。人間の腸内に於いては、有用菌と有害菌がバランスを保って繁殖していてお互いに分泌物を出して自らの繁殖の環境を維持している。従って、腸内に有用菌が増殖し易い環境にするか、有用菌を別途補えば好ましい体調を維持出来る事は容易に理解される。但し、乳酸菌等の有用菌は、胃を通過する際、その低PH域で死滅するので、経口摂取が難しいとされている。
【0016】
これに対して、乳酸菌等の有用菌が生産する生成物は、死滅したり、分解したりしない事から容易に腸内に到達して有用菌の増殖を促す事ができる。そこで、本発明に係る経口摂取用ミネラル含有組成物では、穀類を培養養分とし1種以上の乳酸菌および酵母を作用させて得られる乳酸菌共棲培養エキスを用いている。
【0017】
ここで、乳酸菌の例としては、ラクトバチルス・アンドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・テルブルツキイ、ラクトバチルス・アラビノース、ラクトバチルス・カウカチクス、ラクトバチルス・ラクティス、ラクトバチルス・ライシュマニ、ラクトバチルス・ムシカス、ラクトバチルス・サーモフィルス、ラクトバチルス・ブランタルム、ラクトバチルス・ベントアセチクス、ラクトバチルス・ブルガリカス等を挙げる事ができる。酵母菌の例としては、サッカロマイセス・セリビジェー、サッカロマイセス・バストリアヌス、サッカロマイセス・インタメヂウス、サッカロマイセス・バリドウス等のサッカロマイセス酵母類を挙げることができる。乳酸菌および酵母菌を共棲培養させる培地養分としては、植物類として、ジャガイモ、里芋、サツマイモ、長芋等のイモ類、米、麦、稗、粟、ゴマ、コーン等の穀類、大豆、小豆、インゲン、ソラマメ等の豆類、きゅうり、大根、ニンジン、トマト、蕪、白菜、キャベツ等の野菜類を加工して使用できる。
【0018】
次に、乳酸菌共棲培養エキスの製造方法の一例を示す。
【0019】
(1)種母の調整
白米、イモなどの穀物を粉砕した後、水を加えたスラリーに任意の乳酸菌類と酵母類とを加え、攪拌機で30分間攪拌した後、室温で2乃至3週間放置する。そして、発酵済みスラリーに冷水を加えた後、低温で静置し、その上澄みを濾取する。かかる液を攪拌しながら数十℃の温度で30〜60分間、加熱し、その後、冷所で保存したものを乳酸菌種母とする。
【0020】
(2)培養エキスの調整
大豆を水に浸した状態で一昼夜静置し、大豆に水を十分、含ませる。次に、これに乳酸菌種母を水とともに加えた後、ミキサーにかけてペースト状にする。次に、ペーストをオートクレイブ中で加熱して雑菌を死滅させる。次に、30〜40℃で一昼夜静置し、乳酸発酵させる、次に、10℃以下の室温に密封状態で数ヶ月静置して低温発酵を行う。発酵後、濾過により固形物を除き、しかる後に、オートクレイブで加熱し、全ての微生物を死滅させて乳酸菌共棲培養エキスを得る。
【0021】
得られた乳酸菌共棲培養エキスの100gあたりの主な成分を以下、
ナトリウム 23.8mg
カリウム 130.8mg
カルシウム 25.0mg
マグネシウム 31.4mg
鉄 0.5mg
塩素 50.2mg
亜鉛 443 μg
マンガン 158 μg
銅 17 μg
イオウ 20.3mg
ビタミン類 50 μg
アミノ酸類 25.7mg
に示す。
【0022】
(乳酸菌共棲培養エキスとミネラル源との混合)
上記乳酸菌共棲培養エキスと、貝殻、アコヤ貝の内壁付着物、真珠、カキ殻、化石サンゴ、またはそれらの焼成物からなる海洋生物起源のミネラル源とを混合し、経口摂取用ミネラル含有組成物を得る。乳酸菌共棲培養エキスと海洋生物起源のミネラル源との比率は、例えば1:10〜10:1である。
【0023】
かかる混合を行う際、海洋生物起源のミネラル源と乳酸菌共棲培養エキスとをそのまま混合すると、海洋生物起源のミネラル源が乳酸菌共棲培養エキスと反応してしまい、錠剤などの形態にすることが困難である。すなわち、乳酸菌共棲培養エキスは酸性である一方、海洋生物起源のミネラル源においてカルシウムのほとんどは炭酸カルシウムの状態であるため、海洋生物起源のミネラル源と乳酸菌共棲培養エキスとをそのまま混合すると、海洋生物起源のミネラル源が乳酸菌共棲培養エキスと反応してしまう。
【0024】
そこで、本形態では、海洋生物起源のミネラル源を粉砕したものと、乳酸菌共棲培養エキスとを、乳酸菌共棲培養エキスが凝固可能な温度条件下(例えば、−5℃〜−50℃)でボールミルなどの粉砕混合装置を用いてさらに粉砕および混合を行ない、その後、常温に戻す。
【0025】
このため、本形態の製造方法によれば、海洋生物起源のミネラル源と乳酸菌共棲培養エキスとを反応させずに粉砕および混合を行うことができ、例えば、乳酸菌共棲培養エキスと、海洋生物起源のミネラル源とを1:10〜10:1といった任意の比率で配合した錠剤やカプセル状などといった任意の形態で、海洋生物起源のミネラル源と乳酸菌共棲培養エキスとを含む経口摂取用ミネラル含有組成物を提供することができる。なお、海洋生物起源のミネラル源と乳酸菌共棲培養エキスとを粉砕および混合した経口摂取用ミネラル含有組成物を常温に戻すと、海洋生物起源のミネラル源の表面では乳酸菌共棲培養エキスとの反応が起こるが、海洋生物起源のミネラル源の表面は乳酸菌共棲培養との反応性生物で覆われる結果、反応がそれ以上進行することはない。
【0026】
(その他の実施の形態)
なお、本発明を適用した経口摂取用ミネラル含有組成物では、海洋生物起源のミネラル源および乳酸菌共棲培養エキスのみを配合してもよいが、さらにビタミン類などを添加してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、海洋生物起源のミネラル源と、乳酸菌および酵母を培養させてなる乳酸菌共棲培養エキスとを含むことを特徴とする経口摂取用ミネラル含有組成物。
【請求項2】
前記ミネラル源は、貝殻、アコヤ貝の内壁付着物、真珠、カキ殻、化石サンゴ、またはそれらの焼成物のうちの少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の経口摂取用ミネラル含有組成物。
【請求項3】
少なくとも、海洋生物起源のミネラル源と、乳酸菌および酵母を培養させてなる乳酸菌共棲培養エキスとを、該乳酸菌共棲培養エキスが凝固可能な温度条件下で粉砕および混合して得たことを特徴とする経口摂取用ミネラル含有組成物の製造方法。
【請求項4】
前記ミネラル源は、貝殻、アコヤ貝の内壁付着物、真珠、カキ殻、化石サンゴ、またはそれらの焼成物のうちの少なくとも1つを含んでいることを特徴とする請求項3に記載の経口摂取用ミネラル含有組成物の製造方法。

【公開番号】特開2008−273895(P2008−273895A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121340(P2007−121340)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(507145857)
【出願人】(507145994)
【出願人】(502264979)
【Fターム(参考)】