説明

経皮的ワクチン送達のための系および方法

ドナー電極、カウンター電極、イオン導入エネルギーを電極に供給するための電気回路、および非エレクトロアクティブ微小突出部材から延びる複数の角質層穿刺微小突起を有する非エレクトロアクティブ微小突出部材を有するイオン導入送達デバイスを含む、患者にワクチンを経皮的に送達するための系および方法。ワクチンはドナー電極の近位に配置された作用物質リザーバー中のヒドロゲル製剤に含まれるか、微小突起に配置されるコーティングに含まれるか、またはその両方であることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連分野
本出願は、2003年10月31日に出願された特許文献1の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的には経皮的送達系および方法に関する。より詳細には本発明は、経皮および細胞内ワクチン送達系および方法に関する。
【0003】
発明の背景
活性な作用物質(または薬剤)は、最も普通には経口的に、または注射を介して投与される。不幸なことに、多くの活性な作用物質は血流に入る前に吸収されないか、または悪影響を受けるので経口的に投与された時、完全に非効果的であるか、または根本的に低下した効力を有し、したがって望まれる活性を保有しない。一方で、作用物質の血流への直接注射は、投与中に作用物質が修飾されないことは確実であるが、難しく、不便であり、痛く、しかも場合により患者のよくないコンプライアンスを生じる不快な手順である。
【0004】
「経皮的」という用語は、本明細書では皮膚層をわたる作用物質の通過を指す総称として使用する。「経皮的」という用語は、外科用ナイフを用いた切開または皮下注射用針を用いた皮膚の穿刺のような、実質的な皮膚の切開または貫通無しに、作用物質(例えば薬剤、またはワクチンのような免疫学的に活性な作用物質のような治療薬)を皮膚を通して局所組織または全身の循環系に送達することを指す。経皮的な作用物質の送達には、能動的拡散を介する送達ならびに電気(例えばイオン導入および電気穿孔)および超音波(例えばフォノフォレシス(phonophoresis))のような外部のエネルギー源に基づく送達を含む。
【0005】
活性な作用物質は角質層および表皮をわたり拡散するが、角質層を通る拡散速度がしばしば限定段階である。有効な用量を達成するために、多くの化合物は単なる受動経皮拡散により達成され得るよりも高い送達速度を要求する。
【0006】
したがって原理的には経皮的送達は、そうでなければ経口的に、または皮下注射用針もしくは静脈内注入を介して送達される必要がある活性な作用物質の投与法を提供する。経皮的な作用物質の送達は、これらの分野に改善を提供する。経口的送達と比べた時、経皮的送達は消化管の苛酷な環境を回避し、胃腸管による作用物質の代謝を迂回し、初回通過効果を下げ、そして消化および肝臓の酵素による不活性化の可能性を回避する。同様に、アスピリンのような多くの作用物質は消化管に悪影響を及ぼすので、消化管は経皮的投与中には活性な作用物質に供されない。
【0007】
また経皮的送達は、より侵襲的な皮下注射針または静脈内の作用物質の送達の選択よりも利点を提供する。具体的には外科用ナイフを用いた切開または皮下注射針を用いた皮膚の穿刺のような皮膚の有意な切開または貫通は必要ではない。これにより感染および痛みの危険性は最小になる。
【0008】
さらに経皮的送達は、免疫器官として皮膚の機能を考慮すれば、ワクチン接種にも重要な利点を提供する。皮膚に入る病原体は高度に組織化され、そして種々のメカニズムを介して微生物を排除することができる多様な専門化された細胞群と直面する。表皮ランゲルハンス細胞は、有力な抗原提示細胞である。リンパ球および皮膚のマクロファージは真皮を通って浸透する。ケラチノサイトおよびランゲルハンス細胞は、免疫学的に活性な化合
物の多様なアレイを発現するか、または生成するように誘導され得る。集合的にこれらの細胞は、最終的に本質的および特異的な免疫応答の両方を制御する複雑な連続する出来事を調整する。
【0009】
さらに非複製抗原(すなわち死菌ウイルス、バクテリア、サブユニットワクチン)が抗原提示細胞のエンドソーム経路に入ると考えられている。抗原はクラスII MHC分子と会合して細胞表面上で処理され、そして発現されて、CD4T細胞の活性化を導く。実験的証拠では、抗原の外的導入は、クラスI MHCと会合した細胞表面抗原の発現をほとんど誘導しないか、または誘導せず、非効果的なCD8T活性化をもたらすことを示す。一方、複製ワクチン(例えばポリオおよび天然痘ワクチンのような生きている弱毒化ウイルス)は、効果的な体液性および細胞性免疫応答を導き、そしてワクチンの中でも「ゴールドスタンダード」と考えられている。類似の広い免疫応答スペクトルが、DNAワクチンにより達成され得る。
【0010】
対照的に、サブユニットワクチンのようなタンパク質に基づくワクチンおよび死菌ウイルスおよびバクテリアワクチンは、元の抗原提示がクラスII MHC経路を介して起こるので、主に体液性応答を誘導する。クラスI MHC経路を介してこれらのワクチンの提示を可能にする方法も、免疫応答スペクトルを広げるので大変価値がある。
【0011】
幾つかの報告では、可溶性タンパク質抗原が表面活性剤を用いて配合され、クラスI経路を介した抗原提示を導き、そして抗原−特異的なクラスI−拘束CTLを誘導できると示唆した(Raychaudhuri et al 1992)。ピノソームの浸透溶解によるタンパク質抗原の導入も、クラスI抗原プロセッシング経路を導くことが証明された(Moore,et al)。電気穿孔技術は典型的には高分子量分子をインビトロおよびインビボで細胞に導入するために使用され、そして特にDNAに基づく治療薬に使用されてきた。標的抗原をコードするプラスミドDNAを用いた実験では、送達効率は電気穿孔を使用した時に有意に上げることができることを明らかに証明した。抗体のようなタンパク質も電気穿孔を使用して細胞に送達され、細胞内標的酵素の機能的阻害を証明した(Chakrabarti,et al)。
【0012】
電気穿孔は、経皮を含む種々の投与経路を介してインビボおよびインビボで生物製剤を細胞内に送達するために使用されてきた。DNAワクチンはこの技術を使用して送達され、そして発現することができると認識されている。不幸なことに、意識のある患者にとって電気穿孔は、侵襲性電極および関与する強力な電気パルスに付随する痛みおよび筋肉反応により現実的ではない。
【0013】
逆に、薬理学的作用物質を粘膜および経皮投与を介して送達するために使用されているイオン導入法は、比較的非侵襲的であり、十分に耐容され、そして意識のある、または外来患者に使用するために開発されている。
【0014】
したがってワクチンの経皮的および細胞内送達にイオン導入法を使用することは有利である。不幸なことに、イオン導入的送達は高分子量化合物を経皮的に送達する能力に限界がある。
【0015】
経皮的薬剤送達の前に、皮膚を機械的に穿刺することにより経皮的流れを強化する多くの試みがなされてきた。例えば特許文献2、3および4を参照にされたい。さらに特許文献5は、微小突起アレイと組み合わせたイオン導入法の使用を教示する。
【0016】
しかし、クラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上にタンパク質エピトープの細胞装填(cellular loading)を導く
、タンパク質に基づくワクチン分子の皮膚抗原提示細胞(APC)へのインビボ細胞内イオン導入送達に関する公開された文献はない。特に記載した送達を達成するために、イオン導入法と共に被覆された微小突起アレイの使用に言及したものはない。
【0017】
またDNAワクチンを細胞内にインビボ送達し、引き続いてDNAワクチンによりコードされるワクチン抗原の細胞内発現、およびクラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上にタンパク質エピトープの装填を行うためのイオン導入法と共に被覆された微小突起アレイの使用について言及している公開された文献はない。
【0018】
したがって本発明の目的は、前記の欠点および従来技術による作用物質の送達系に付随する不利を実質的に減らすか、または排除する経皮的な作用物質の送達系および方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、皮膚の抗原提示細胞(APC)へ経皮的にワクチンを送達するための系および方法を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、皮膚への、および免疫学的に関連する皮膚細胞へのワクチンの流れを強化するために、イオン導入法を使用する経皮的ワクチンのための系および方法を提供することである。
【参考文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/516,184号明細書
【特許文献2】米国特許第5,279,544号明細書
【特許文献3】米国特許第5,250,023号明細書
【特許文献4】米国特許第3,964,482号明細書
【特許文献5】米国特許出願第2002/0016562号明細書
【発明の開示】
【0022】
発明の要約
上記目的および以下で述べる、そして明らかになる目的に従い、本発明によるワクチンを経皮的に送達するための系および方法は、ドナー電極、カウンター電極、イオン導入エネルギーを電極に供給するための電気回路、ワクチンを含有する経皮送達に適合した製剤、および非エレクトロアクティブ(non−electroactive)微小突出部材から延びる複数の角質層穿刺(piercing)微小突起を有する非エレクトロアクティブ微小突出部材を有するイオン導入デバイスを含んでなる。
【0023】
本発明の1つの態様では、微小突出部材が少なくとも約10個の微小突起/cmの微小突起密度、より好ましくは少なくとも約200〜2000個の微小突起/cmの範囲の微小突起密度を有する。
【0024】
1つの態様では、微小突出部材がステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金または類似の生物適合性材料から構成されている。
【0025】
最も好適な態様では、微小突出部材がポリマーのような非伝導性材料から構成されている。あるいは微小突出部材はParylene(商標)のような非伝導性材料で被覆されることができる。
【0026】
本発明の1つの態様では、微小突出部材は別個の部品である。
【0027】
別の態様では、微小突出部材はイオン導入デバイスのドナー電極の近位に配置される。
【0028】
ワクチンはウイルスおよびバクテリア、タンパク質に基づくワクチン、多糖に基づくワクチンおよび核酸に基づくワクチンを含むことができる。
【0029】
本発明の1つの態様では、ワクチンはタンパク質に基づくワクチンである。そのような態様では、イオン導入エネルギーの電極への適用が、好ましくはタンパク質に基づくワクチンのインビボ細胞内送達を提供し、これによりタンパク質に基づくワクチンの皮膚に存在する細胞への送達が、個体のクラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上にタンパク質に基づくワクチンのエピトープの細胞装填を導く。
【0030】
さらなる観点では、細胞性および体液性応答が個体中で生成される。
【0031】
本発明の別の観点では、ワクチンがDNAワクチンである。そのような態様では、イオン導入エネルギーの電極への適用が、好ましくはDNAワクチンのインビボ細胞内送達、そして続いてDNAワクチンによりコードされるワクチン抗原の細胞発現、およびクラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上にタンパク質のエピトープの装填を提供する。
【0032】
さらなる観点では、細胞性および体液性応答が上記個体中で生成される。あるいは細胞性応答のみが生成される。
【0033】
適切な抗原性作用物質には、限定するわけではないがタンパク質、多糖結合体、オリゴ糖およびリポタンパク質の状態の抗原を含む。これらのサブユニットワクチンには百日咳菌(Bordetella pertusis)(組換えPTワクチン−無細胞)、破傷風菌(Clostridium tetani)(精製、組換え)、ジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae)(精製、組換え)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、グループAの連鎖球菌(Streptococcus)(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドをもつ糖結合体グループA多糖、トキシン サブユニット担体に連結されたMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換えPreS1、Pre−S2、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え体−発現した表面タンパク質およびエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2およびlE7[HPV−6由来]、HPV−11に由来するMEDI−501組換えVLP L1、四価組換えBLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)(精製バクテリア表面タンパク質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドとの糖結合体)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド)、風疹(Rubella)ウイルス(合成ペプチド)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(髄膜炎菌B OMPに結合した糖結合体[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に結合した糖結合体[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に結合した糖結合体[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒病原体(Treponema pallidum)(表面リポタンパク質)、水疱帯状疱疹(Varicella zoster)ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)、コレラ菌(Vibrio cholerae)(結合リポ多糖)を含む。
【0034】
全ウイルスまたはバクテリアには、限定するわけではないがサイトメガロウイルス、B
型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルス、水疱帯状疱疹ウイルスのような弱毒化または死菌ウイルス、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、グループAの連鎖球菌、レジオネラ菌、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎球菌、梅毒病原体およびコレラ菌のような弱毒化または死菌バクテリア、ならびにその混合物を含む。
【0035】
抗原性の作用物質を含有するさらに市販されているワクチンは、限定するわけではないがインフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、水痘ワクチン、痘瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチンおよびジフテリアワクチンを含む。
【0036】
核酸を含んでなるワクチンには、限定するわけではないが例えばスーパーコイル化プラスミドDNA;線状プラスミドDNA;コスミド;バクテリア人工染色体(BAC);酵母人工染色体(YAC);哺乳類人工染色体のような一本鎖および二本鎖核酸;および例えばmRNAのようなRNA分子を含む。核酸のサイズは、最高数千キロベースまでであることができる。加えて、本発明の特定の態様では、核酸をタンパク質様の作用物質とカップリングすることができ、または例えばホスホロチオエート部分のように1もしくは複数の化学的修飾を含むことができる。核酸のコード配列は免疫応答を望む抗原に対する配列を含んでなる。さらにDNAの場合、プロモーターおよびポリアデニル化配列もワクチン構築物中に包含される。コードされ得る抗原には、感染性疾患、病原体ならびにガン抗原のすべての抗原性成分を含む。このような核酸は、例えば感染性疾患、ガン、アレルギー、自己免疫および炎症疾患の分野で見いだされる。
【0037】
ワクチンに含んでなることができる、ワクチン抗原と共に適切な免疫応答を増強するアジュバントには、リン酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、アルファグルカン、β−グルカン、コレラトキシンBサブユニット、CRL1005、x=8およびy=205の平均値を有するABAブロックポリマー、ガンマイヌリン、線状(非分枝)β−D(2−>1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース、Gerbuアジュバント、N−アセチルグルコサミン−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8)、Imiquimod(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTher(商標)、N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−L−Ala−グリセロールジパルミテート、MTP−PEリポソーム、C5910819PNa−3HO(MTP)、Murametide、Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH、Pleuran、β−グルカン、QS−21、S−28463、4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、スクラボ(sclavo)ペプチドVQGEESNDK・HCl(IL−1β163−171ペプチド)、およびトレオニル−MDP(Termurtide(商標))、N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン、およびインターロイキン18、IL−2、IL−12、IL−15を含む。またアジュバントは、例えばCpG含有オリゴヌクレオチドのようなDNAオリゴヌクレオチドも含む。さらにIL−18、IL−2、1L−12、IL−15、IL−4、IL10、ガンマインターフェロンのような免疫応答性リンホカイン、およびNFカッパB調節シグナル伝達タンパク質をコードする核酸配列を使用することができる。
【0038】
本発明の好適な態様では、製剤は微小突出部材上に配置された生物適合性コーティングを含んでなる。
【0039】
微小突出部材に適用されて固体のコーティングを形成するコーティング製剤は、生物適合性担体内に溶解または担体中に懸濁され得る少なくとも1つのワクチンを有する水性お
よび非水性製剤を含んでなることができる。
【0040】
本発明の1つの態様では、コーティング製剤は両イオン性、両親媒性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であることができる少なくとも1つの表面活性剤を含み、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのようなソルビタン誘導体、およびラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを含んでなる。
【0041】
本発明の1つの態様では、表面活性剤の濃度はコーティング溶液製剤の約0.001〜2重量%の範囲である。
【0042】
本発明のさらなる態様では、コーティング製剤が両親媒性を有する少なくとも1つのポリマー性材料またはポリマーを含み、これは限定するわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニックを含んでなることができる。
【0043】
本発明の1つの態様では、両親媒性を表すポリマーの濃度が好ましくは、コーティングの約0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。
【0044】
別の態様ではコーティング製剤は以下の群:ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびその混合物等のポリマーから選択される親水性ポリマーを含む。
【0045】
好適な態様では、コーティング製剤中の親水性ポリマーの濃度が好ましくは、コーティング製剤の約0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。
【0046】
本発明の別の態様では、コーティング製剤が生物適合性担体を含み、これには限定するわけではないが、ヒトアルブミン、生物工学で作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリスルフェート、ポリアミノ酸、シュクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを含んでなることができる。
【0047】
好ましくはコーティング製剤中の生物適合性担体の濃度は、コーティング製剤の約2〜70重量%の範囲、より好ましくは約5〜50重量%の範囲である。
【0048】
さらなる態様では、コーティング製剤は安定化剤を含み、これには限定するわけではないが非還元糖、多糖、還元糖またはDNaseインヒビターを含んでなることができる。
【0049】
別の態様では、コーティング製剤が血管収縮薬を含み、これには限定するわけではないが、アミドフィリン(amidephrin)、カファミノール(cafaminol)、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン(metizolin)、ミドドリン(midodrin)、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン(octodrin)、オルニプレシン(ornipressin)、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物を含んでなることができる。最も好適な血管収縮薬にはエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、およびキシロメタゾリンを含む。
【0050】
使用する場合には血管収縮薬の濃度は、好ましくはコーティングの約0.1重量%〜10重量%の範囲である。
【0051】
本発明のさらに別の態様では、コーティング製剤が少なくとも1つの「経路開通性モジュレーター(pathway patency modulator)」を含み、これには限定するわけではないが、浸透性剤(例えば塩化ナトリウム)、両イオン性化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症剤(ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウムおよびプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような)、および抗凝固剤(クエン酸、クエン酸塩(例えばエン酸ナトリウム)、硫酸デキストランナトリウム、アスピリンおよびEDTAを含んでなることができる。
【0052】
好ましくはコーティング製剤は、約500センチポイズ未満そして3センチポイズより大きな粘度を有する。
【0053】
本発明の1つの態様では、微小突起表面から測定した時、コーティング厚は約25ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満である。
【0054】
本発明の別の態様では、製剤はゲルパックに包含され得るヒドロゲルを含んでなる。好ましくは系はヒドロゲル製剤を含むために適合されている、ドナー電極に隣接して配置された作用物質リザーバーを含んでなる。
【0055】
したがって、本発明の特定の態様では、ヒドロゲル製剤は少なくとも1つのワクチンまたは免疫学的に活性な作用物質を含む。好ましくは作用物質は、限定するわけではないがウイルスおよびバクテリア、タンパク質に基づくワクチン、多糖に基づワクチンおよび核酸に基づくワクチンを含め、前記ワクチンの1つを含んでなる。
【0056】
ドナーリザーバーに含まれるヒドロゲル製剤(1つもしくは複数)は、好ましくは高分子量のポリマー網を有する水に基づくヒドロゲルを含んでなる。
【0057】
本発明の好適な態様では、ポリマー網には限定するわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックを含んでなる。
【0058】
ヒドロゲル製剤は好ましくは1つの表面活性剤を含み、これは両イオン性、両親媒性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であることができる。
【0059】
本発明の1つの態様では、表面活性剤が、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのようなソルビタン誘導体、およびラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを含んでなることができる。
【0060】
別の態様では、ヒドロゲル製剤は両親媒性を有するポリマー性材料またはポリマーを含み、これには限定するわけではないがヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体ならびにプルロニックを含んでなることができる。
【0061】
本発明のさらなる態様では、ヒドロゲルは少なくとも1つの経路開通性モジュレーターを含み、これには限定するわけではないが、浸透性剤(例えば塩化ナトリウム)、両イオン性化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症剤(ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム)、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような)、および抗凝固剤(クエン酸、クエン酸塩(例えばクエン酸ナトリウム)、硫酸デキストランナトリウムおよびEDTAのような)を含んでなることができる。
【0062】
本発明のさらに別の態様では、ヒドロゲル製剤が少なくとも1つの血管収縮薬を含み、これには限定するわけではないがエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリンおよびその混合物を含んでなることができる。
【0063】
本発明に従い、送達されるワクチンはゲルパックリザーバーに配置されるヒドロゲル製剤に含まれるか、微小突出部材上に配置される生物適合性コーティングに含まれるか、またはヒドロゲル製剤および生物適合性コーティングの両方に含まれることができる。さらにコーティング中にワクチンを含んでなる態様は、コーティングを水和し、そして溶解するヒドロゲルリザーバーも使用することができる。
【0064】
本発明の1つの態様に従い、ワクチン(ヒドロゲル製剤に含まれるか、作用物質のリザーバーに配置されるか、微小突出部材上の生物適合性コーティングに含まれるか、または両方)は、以下のようなイオン導入デバイスを介して患者に送達される:上で検討した系を患者の皮膚と完全に接触させて置き、ここで微小突起が角質層を穿刺し、電流が電極にかけられ、そしてワクチンが送達される。
【0065】
1つの態様では、微小突出部材は電極と一体化し、すなわち電流は微小突出部材を取り外す前にかけられる。
【0066】
さらに好適な態様に従い、被覆された微小突出部材が最初に患者の皮膚に、好ましくは
打撃(impact)アプリケーターを介して適用され、次いでイオン導入デバイスが皮膚に適用され、これにより電極アッセンブリーが適用した微小突出部材と接触する。また好ましくはアプリケーターは、微小突出部材を、該微小突起部材が10ミリ秒以内に1cmの微小突出部材あたり少なくとも0.05ジュールの力で患者の角質層を打つ様式で適用することができる。
【0067】
代替的な態様では、被覆された微小突出部材を適用および取り外した後に、イオン導入デバイスを患者の皮膚の前以て処置された領域付近に置く。
【0068】
本発明の1つの態様では、イオン導入デバイスが患者皮膚に配置された後、約50μA〜20mAの範囲の電流が10秒から1日の範囲の期間にわたり流される。
【0069】
代替的態様では、イオン導入デバイスが患者の皮膚に置かれた後、約0.5V〜20Vの範囲の電圧が約10秒から1日の範囲の期間にわたりかけられる。
【0070】
本発明の1つの態様では、イオン導入デバイスが患者の皮膚に配置された後、目標アンペアまたは電圧はかけた電気条件をゆっくりと上げることにより達成される。
【0071】
代替的態様では、目標アンペアまたは電圧から出発して、電気条件は経時的に下げられる。
【0072】
別の代替的態様では、上記の電気条件を使用して1秒から12時間持続する連続パルスがイオン導入の全期間中にかけられる。
【0073】
ワクチンがタンパク質に基づくワクチンである本発明の方法では、イオン導入エネルギーの電極への適用が、好ましくはタンパク質に基づくワクチンのインビボ細胞内送達を提供し、これによりタンパク質に基づくワクチンの皮膚に存在する細胞への送達が、個体のクラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上にワクチンのエピトープの細胞装填を導く。また好ましくは細胞性および体液性応答が該個体中で生成される。
【0074】
ワクチンがDNAワクチンである本発明の方法では、イオン導入エネルギーの電極への供給が、DNAに基づくワクチンのインビボ細胞内送達を提供し、これによりDNAに基づくワクチンの皮膚に存在する細胞への送達が、DNAワクチンによりコードされるワクチン抗原の細胞発現、および個体のクラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上にワクチンエピトープの装填を導く。また好ましくは細胞性および体液性応答が該個体中で生成される。あるいは細胞性応答のみが生成される。
【0075】
発明の詳細な説明
本発明を詳細に説明する前に、本発明はそのままの特定の例示される材料、方法および構造に限定されず、もちろん変動し得ると理解される。すなわち本明細書に記載するものに類似または均等な多くの材料および方法を本発明の実施に使用することができるが、好適な材料および方法を本明細書に記載する。
【0076】
また本明細書で使用する用語は本発明の特定の態様を記載する目的のみのためであり、そして限定を意図するものではないと理解される。
【0077】
他に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明が関係する分野の当業者に通常に理解されている意味と同じ意味を有する。
【0078】
さらに本明細書に引用するすべての刊行物、特許および特許出願は、今までもこれからも参照により全部、本明細書に編入する。
【0079】
最後に本明細書および添付する特許請求の範囲で使用するように、単数形“a”、“an“および“the”は、内容が明らかにそれ以外を示す場合を除き、複数形を含む。すなわち例えば「活性な作用物質」は、2以上のそのような作用物質を含み、「微小突起」は2以上のそのような微小突起等を含む。
【0080】
定義
本明細書で使用する用語「経皮的」は、作用物質の皮膚への、かつ/または皮膚を介した送達を意味する。
【0081】
本明細書で使用する用語「経皮的流れ」は、経皮的送達の速度を意味する。
【0082】
本明細書で使用する用語「ワクチン」は、免疫学的に有効な量で投与された時、有益な免疫応答を誘起することができる抗原のような免疫学的に活性な作用物質(1つまたは複数)を含む物質または混合物の組成物を指す。そのような作用物質の例には限定するわけではないがウイルスおよびバクテリア、タンパク質に基づくワクチン、多糖に基づくワクチンおよび核酸に基づくワクチンを含む。
【0083】
特にタンパク質に基づくワクチンおよびDNAワクチンに関して、イオン導入法は好ましくはワクチンのインビボ細胞送達を提供する。タンパク質に基づくワクチンの場合、皮膚に存在する細胞への送達は、個体のクラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上にタンパク質に基づくワクチンのエピトープの細胞装填を導く。好ましくは細胞性および体液性応答が生成される。
【0084】
DNAワクチンに関して、DNAに基づくワクチンの皮膚に存在する細胞への送達は、DNAワクチンによりコードされるワクチン抗原の細胞発現、および個体のクラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上にワクチンのエピトープの装填を導く。また好ましくは細胞性および体液性応答が個体中で生成される。あるいは細胞性応答のみが生成される。
【0085】
本発明に使用することができる適切な抗原性作用物質には限定するわけではないが、タンパク質、多糖結合体、オリゴ糖およびリポタンパク質の状態の抗原を含む。これらのサブユニットワクチンには百日咳菌(Bordetella pertusis)(組換えPTワクチン−無細胞)、破傷風菌(Clostridium tetani)(精製、組換え)、ジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae)(精製、組換え)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、グループAの連鎖球菌(Streptococcus)(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドをもつ糖結合体グループA多糖、トキシン サブユニット担体に連結されたMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換えPreS1、Pre−S2、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え体−発現した表面タンパク質およびエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2およびlE7[HPV−6由来]、HPV−11に由来するMEDI−501組換えVLP L1、四価組換えBLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)(精製バクテリア表面タンパク質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドとの糖結合体)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド)、風疹(Rubella)ウイルス(合成ペプチド)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(髄膜炎菌B OMPに結合した糖結合体[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に結合した糖結合体[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に結合した糖結合体[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒病原体(Treponema pallidum)(表面リポタンパク質)、水疱帯状疱疹(Varicella zoster)ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)、コレラ菌(Vibrio cholerae)(結合リポ多糖)を含む。
【0086】
全ウイルスまたはバクテリアには、限定するわけではないがサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルスおよび水疱帯状疱疹ウイルスのような弱毒化または死菌ウイルス、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、グループAの連鎖球菌、レジオネラ菌、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎球菌、梅毒病原体およびコレラ菌のような弱毒化または死菌バクテリア、ならびにその混合物を含む。
【0087】
また抗原性の作用物質を含有する市販されている多数のワクチンも本発明に用途を有し、それらには限定するわけではないがインフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふく風邪ワクチン、水痘ワクチン、痘瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチンおよびジフテリアワクチンを含む。
【0088】
本発明の方法に従い送達できる核酸を含んでなるワクチンには、限定するわけではないが例えばスーパーコイル化プラスミドDNA;線状プラスミドDNA;コスミド;バクテリア人工染色体(BAC);酵母人工染色体(YAC);哺乳類人工染色体のような一本鎖および二本鎖核酸;および例えばmRNAのようなRNA分子を含む。核酸のサイズは、最高数千キロベースまでであることができる。加えて、本発明の特定の態様では、核酸をタンパク質様の作用物質とカップリングすることができ、または例えばホスホロチオエート部分のように1もしくは複数の化学的修飾を含むことができる。核酸のコード配列は免疫応答を望む抗原に対する配列を含んでなる。さらにDNAの場合、プロモーターおよびポリアデニル化配列もワクチン構築物中に包含される。コードされ得る抗原には、感染性疾患、病原体ならびにガン抗原のすべての抗原性成分を含む。このような核酸は、例えば感染性疾患、ガン、アレルギー、自己免疫および炎症疾患の分野で見いだされる。
【0089】
ワクチンに含んでなることができる、ワクチン抗原と共に適切な免疫応答を増強するアジュバントは、リン酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、アルファグルカン、β−グルカン、コレラトキシンBサブユニット、CRL1005、x=8およびy=205の平均値を有するABAブロックポリマー、ガンマイヌリン、線状(非分枝)β−D(2−>1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース、Gerbuアジュバント、N−アセチルグルコサミン−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8)、Imiquimod(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTher(商標)、N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−Ala−グリセロールジパルミテート、MTP−PEリポソーム、C5910819PNa−3HO(MTP)、Murametide、Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH、Pleuran、β−グルカン、QS−21、S−28463、4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、スクラボペプチド:VQGEESNDK・HCl(IL−1β163−171ペプチド)、およびトレオニル−MDP(Termurtide(商標))、N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン、およびインターロイキン18、IL−2、IL−12、IL−15を含む。アジュバントは、例えばCpG含有オリゴヌクレオチドのようなDNAオリゴヌクレオチドも含む。さらにIL−18、IL−2、1L−12、IL−15、IL−4、IL10、ガンマインターフェロンのような免疫応答性リンホカイン、およびNFカッパB調節シグナル伝達タンパク質をコードする核酸配列を使用することができる。
【0090】
また記載したワクチンは、遊離塩基、酸、荷電した、または非荷電分子、分子錯体または製薬学的に許容され得る塩の成分のような種々の形態であることもできる。さらに体内のpH、酵素等で容易に加水分解される活性な作用物質の単純な誘導体(エーテル、エステル、アミド等のような)を使用することができる。
【0091】
当業者には認識されているように、わずかな例外を除いてalum−アジュバント化ワクチン製剤は多くは凍結および乾燥で効力を失う。本発明のalum−吸着ワクチン製剤の効力および/または免疫原性を保存するために、記載した製剤は仮出願番号
[2004年9月28日に出願された代理人処理番号ALZ5156PSP1](これは引用により本明細書に編入する)に開示されているようにさらに処理することができる。
【0092】
1より多くのワクチンを本発明の作用物質源、リザーバーおよび/またはコーティングに包含させてもよく、そして「活性な作用物質」という用語の使用は、2以上のそのような活性な作用物質または薬剤の使用を排除しない。
【0093】
用語「生物学的に有効な量」または「生物学的に有効な速度」は、ワクチンが免疫学的に活性な作用物質である時に使用すべきであり、そして所望する免疫学的な、しばしば有利な結果を刺激または開始するために必要な免疫学的に活性な作用物質の量または速度を指す。本発明のヒドロゲル製剤およびコーティングに採用される免疫学的に活性な作用物質の量は、所望する免疫学的結果を達成するために必要な活性な作用物質の量を送達するために必要な量である。実際には、この量は送達される特定の免疫学的に活性な作用物質、送達部位、および活性な作用物質の皮膚組織への送達に関する溶解および放出動力学に依存して広く変動するだろう。
【0094】
本明細書で使用する用語「微小突起」は、生きている動物、特に哺乳動物、そしてさらに特別にはヒトの角質を通って下にある表皮層、または表皮および真皮層を穿刺または切開するために適合された穿刺要素を指す。
【0095】
本発明の1つの態様では、穿刺要素は1000ミクロン未満の突起長を有する。さらなる態様では、穿刺要素は500ミクロン未満の突起長、より好ましくは250ミクロン未満の突起長を有する。微小突起は典型的には約5〜50ミクロンの幅および厚さを有する。微小突起は針、中空針、刃、ピン、パンチおよびそれらの組み合わせのような種々の形状に形成されることができる。
【0096】
本明細書で使用する用語「微小突出部材」とは一般に、角質層を穿刺するためにアレイに並べられた複数の微小突起を含んでなる微小突起アレイを内包する。微小突出部材は薄いシートから複数の微小突起をエッチングするか、または穴空けし、そして図3に示すようにシートの平面の微小突起をホールドする(fold)か、曲げて(bend)形状を形成することにより形成することができる。微小突出部材は引用により本明細書に編入する米国特許第6,050,988号明細書に開示されているように、各片(1もしくは複数)の縁に沿って微小突起を有する1もしくは複数の片を形成することによるような、他の既知の様式でも形成することができる。
【0097】
本明細書で使用する用語「イオン導入」とは一般に、体表(皮膚、粘膜または爪のよう
な)を介して治療薬(荷電した、非荷電の、またはその混合物)の送達を指し、ここで送達は電位の適用により少なくとも一部が誘導されるか、または促進される。当該技術分野で知られているように、イオン導入法、電気輸送法(electrotransport)には、荷電したイオンの電気的に誘導された輸送が関与する。
【0098】
電気浸透法(electroosmosis)は、非荷電の、または中性に荷電された分子の経皮的輸送が含まれる(例えばグルコースの経皮的サンプリング)別の種類の電気輸送法であるが、作用物質を含む溶媒の電場の影響下での膜を介した移動が関与する。
【0099】
多くの場合で、1より多くの記載した方法が同時に異なる程度で起こり得る。したがって「イオン導入」という用語は本明細書でその最も広い可能な解釈が与えられ、作用物質が実際に輸送される具体的なメカニズム(1もしくは複数)にかかわらず、電気的に誘導されるか、または強化される少なくとも1つの荷電した、または非荷電の、またはその混合物の輸送を含む。
【0100】
典型的な経皮的イオン導入系では、マイクロアンペアから数ミリアンペアの範囲の低い定電流が、数分から数日の範囲の長期間流される。あるいはミリボルトから数ボルトの範囲の低い定電圧が数分から数日の範囲の長期間かけられる。目標とするアンペア数および電圧数は、適用した電気条件をゆっくりと上げることによっても達成することができる。あるいは目標とするアンペア数または電圧数から始めて、電気条件は経時的に下げてもよい。あるいは上記の電気条件を使用した連続的パルスがイオン導入の全期間に適用される。集合的に、上記の電気条件を本明細書では「イオン導入エネルギー」と呼ぶ。上記の条件は電気穿孔の分野で適用されるような電気条件とは異なり、そして細胞膜を通る測定可能な孔の形成をもたらさない。
【0101】
本明細書で使用する「電気穿孔」という用語は一般に、細胞を強い電場に短時間暴露することが一時的に細胞膜を不安定化すると認識されている。この効果は誘導された経膜電位による誘電的破損と説明載され、そして「電気的浸透化(electropermeabilization)」と呼ぶことができる。好ましくは細胞膜の浸透化状態は一過性である。典型的には、細胞は電気的処置が停止した後に、数分の次元で不安定化された状態になっている。孔空けのための電場は、一般に大変短時間の(マイクロからミリ秒)タイムコースのパルスおよび50V/cmより大きい強さの場を使用して、コンデンサ放電発電機(capacitor discharge power unit)により生成される。短形波および高周波パルスも細胞の電気穿孔に使用されてきた。
【0102】
上に示したように、本発明はワクチンを患者に経皮的に投与するための系および方法を含んでなる。この系は一般に、ドナー電極、カウンター電極、およびイオン導入エネルギーを電極に供給するための電気回路、および非エレクトロアクティブ微小突出部材から延びる複数の角質層穿刺微小突起を有する非エレクトロアクティブ微小突出部材を有するイオン導入送達デバイスを含んでなる。
【0103】
ここで図1および2を参照にして、本発明の方法に従い使用することができる例示的なイオン導入デバイスの概略的な具体的説明を示す。最初に図1を参照にして、イオン導入デバイス10aは一般にドナー電極アッセンブリー12およびカウンター電極アッセンブリー14を含む。これらの電極アッセンブリー12、14の設計は重要ではなく、そして任意の特定のデバイスで、あるいは示したデバイス10の操作で逆でもよい。
【0104】
さらに電極アッセンブリーは図1に示すような別個のユニットであることができ、または間に絶縁体を有する一体化ユニットでもよい。
【0105】
イオン導入デバイス10aはさらに、電極アッセンブリー12および14と連絡している電気回路20、および電池のような適切な電源22を含む。
【0106】
戻って図1を参照にして、電極アッセンブリー12は、好ましくは作用物質リザーバー16に隣接して配置されたドナー電極13を含む。作用物質リザーバー16は中に作用物質製剤(例えばヒドロゲル製剤)を受けるように適合されている。イオン交換膜(示さず)が、イオン的競合を最少にするために、作用物質リザーバー16とドナー電極13との間に場合により差し込まれることができる。さらに電解質ヒドロゲル(示さず)を、場合によりイオン交換膜とドナー電極13との間に差し込むことができる。
【0107】
図1に具体的に説明するように、電極アッセンブリー14は、好ましくは戻りリザーバー18に隣接して配置されたカウンター電極15を含む。戻りリザーバー18は食塩水ヒドロゲルのような適切な電解質をその中に受けるように適合されている。
【0108】
ドナーおよびカウンター電極は、金属のような電気的に伝導性の材料からなることが好ましい。例えば電極は、金属ホイル、金属スクリーン、適切な裏材上に沈積または塗られた金属から形成されるか、または圧延、フィルム蒸発により、またはポリマー性結合マトリックス中の電気誘導性材料を混合することにより形成することができる。適切な電気伝導性材料の例には、限定するわけではないが炭素、グラファイト、銀、亜鉛、アルミニウム、白金、ステンレス鋼、金およびチタンを含む。例えば上記のように、陽極は銀からなることができ、これは電気化学的に酸化可能である。陰極は炭素および電気化学的に還元可能な塩化銀からなることができる。
【0109】
銀は哺乳動物に対して比較的低い毒性から他の金属よりも好適である。塩化銀は陰極で起こる電気化学的還元反応(AgCl+c.sup.−AG+Cl.sup.−)がクロライドイオンを生産し、これはほとんどの哺乳動物に一般的であり、そして非毒性であるので好適である。
【0110】
ドナーおよびカウンター電極は電気回路20に直接連結され、そして本明細書では「電場応答性」と定める。
【0111】
イオン導入デバイス10aは、好適な態様において電極アッセンブリー12の近位に配置される微小突出部材30をさらに含む。以下でさらに詳細に検討するように、微小突出部材30は患者に適用された時、角質層を穿刺するために適合した複数の微小突起34(またはそのアレイ)を含む(図3を参照にされたい)。
【0112】
図2を参照にして本発明の範囲内で使用することができるさらなるイオン導入デバイス10bを示す。図2に具体的に説明するように、デバイス10bは微小突出部材30が別個の部品である点を除いて、図1に示すデバイス10aと本質的に同じである。
【0113】
一般に、電極アッセンブリー12、14の合わせた皮膚接触面積は、約1cmから約200cmの範囲であるが、典型的には約5cmから約50cmの範囲となり得る。
【0114】
本発明に従い、イオン導入デバイス10bは任意のイオン伝導性接着層により皮膚に接着されることができる。あるいは連結させて、デバイスを皮膚に定着するために微小突起34はかえし(barb)として形成することができる。
【0115】
またデバイス10aまたは10bは、デバイスを皮膚に適用する直前に除去される剥離可能なリリースライナーを含むことが好ましい。あるいはデバイス10aまたは10bは
、経皮的薬剤送達デバイスに通常使用される種類の接着上張りにより皮膚に接着させることができる。
【0116】
ここで図3を参照にして、本発明で使用するための微小突出部材30の1態様を示す。図3に示すように、微小突出部材30は、複数の微小突起34を有する微小突起アレイ32を含む。微小突起34は好ましくはシート36から実質的に90゜の角度で延び、この記載する態様は開口38を含む。
【0117】
本発明に従い、シート36はシート36の裏材40を含む送達パッチに包含することができ、そしてパッチを皮膚に接着するための接着剤16を含むことができる(図5を参照にされたい)。この態様では、微小突起34は、薄い金属シート36から複数の微小突起34をエッチングまたは穴空けし、そして微小突起34をシート36の平面から折り曲げることにより形成される。
【0118】
本発明の1つの態様では、微小突出部材30は少なくとも約10個の微小突起/cm、より好ましくは少なくとも約200〜2000個の微小突起/cmの範囲の微小突起密度を有する。好ましくは、作用物質が通るユニット面積あたりの開口数は、少なくとも約10個の開口/cm、そして約2000個の開口/cm未満である。
【0119】
示すように、微小突起34は好ましくは1000ミクロン未満の突起長を有する。1つの態様では、微小突起34は500ミクロン未満、より好ましくは250ミクロン未満の突起長を有する。また微小突起34は、好ましくは約5〜50ミクロンの幅および厚さを有する。
【0120】
微小突出部材30は、ステンレン鋼、チタン、ニッケルチタン合金または類似の生物適合性材料のような種々の金属から製造することができる。好ましくは微小突出部材30はチタンから製造される。
【0121】
本発明に従い、微小突出部材30はポリマーのような非伝導性材料から構成することもできる。あるいは微小突出部材は、Parylene(商標)のような非伝導性材料で被覆することもできる。
【0122】
本発明に従い、微小突出部材30は好ましくは非エレクトロアクティブである(すなわち電解質により電極13から分かれている)。
【0123】
本発明に使用することができる微小突出部材には、限定するわけではないが、米国特許第6,083,196号、同第6,050,988号および同第6,091,975号明細書(これらは引用により全部、本明細書に編入する)に開示された部材を含む。
【0124】
本発明に使用することができる他の微小突出部材には、米国特許第5,879,326号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示された部材のような、シリコンチップエッチング技術を使用してシリコンをエッチングすることにより、またはエッチングしたマイクロ−モールドを使用してプラスチックを成形することにより形成される部材を含む。
【0125】
本発明に従い、送達される生物学的に活性な作用物質(すなわちワクチン)は、作用物質リザーバー16に配置されたヒドロゲル製剤に含まれるか、微小突出部材30上に配置された生物適合性コーティング中に含まれるか、またはヒドロゲル製剤および生物適合性コーティングの両方に含まれることができる。
【0126】
ここで図4を参照にして、生物適合性コーティング35を含む微小突起34を有する微小突出部材30を示す。本発明に従い、コーティング35は一部または完全に各微小突起34を被覆することができる。例えばコーティング35は微小突起34上の乾燥パターンコーティングであることができる。またコーティング35は、微小突起34が形成される前または後に適用することができる。
【0127】
本発明に従い、コーティング35は種々の既知の方法により微小突起34に適用することができる。好ましくはコーティングは皮膚を穿刺する微小突出部材30または微小突起34の一部分にのみ適用される(例えばチップ39)。
【0128】
1つのそのようなコーティング法は、浸漬コーティングを含んでなる。浸漬コーティングは、微小突起34をコーティング溶液に部分的に、または全部浸すことにより微小突起を被覆する手段として説明することができる。部分的な浸漬技術の使用により、コーティング35を微小突起34のチップ39にのみ限定することが可能である。
【0129】
さらなるコーティング法は、同様にコーティング35を微小突起34のチップ39に限定する回転コーティングメカニズムを採用する回転コーティングを含んでなる。回転コーティング法は、米国特許出願第10/099,604号明細書(公開番号2002/0132054)に開示されている(これは引用により全部、本明細書に編入する)。
【0130】
記載した出願で詳細に検討されているように、開示された回転コーティング法は皮膚を穿刺する間に微小突起34から容易に移動されない滑らかなコーティングを提供する。この微小突起チップコーティングの滑らかな横断面を図2Aでさらに具体的に説明する。
【0131】
本発明に従い、微小突起34はさらに開口部(示さず)、溝(示さず)、表面の不規則性(irregularity)(示さず)または類似の修飾のようなコーティング35の容量を受ける、かつ/または強化するために適合した手段を含むことができ、ここでこの手段はより多くの量のコーティングが沈積できる上昇した表面積を提供する。
【0132】
本発明の方法の範囲内で使用することができる別のコーティング法は、噴霧コーティングを含んでなる。本発明に従い、噴霧コーティングはコーティング組成物のエーロゾル懸濁液の形成を包含することができる。1つの態様では、約10〜200ピコリットルの液滴サイズを有するエーロゾル懸濁液が微小突起10上に噴霧され、次いで乾燥される。
【0133】
パターンコーティングも微小突起34を被覆するために使用することができる。パターンコーティングは、微小突起表面に沈積する液体を配置するための分配システムを使用して適用することができる。沈積する液体の量は、好ましくは0.1から20ナノリットル/微小突起の範囲である。適切な正確な計量液体分配器の例は、米国特許第5,916,524号、同第5,743,960号、同第5,741,554号および同第5,738,728号明細書に開示され、これらは引用により全部、本明細書に編入する。
【0134】
また微小突起コーティング製剤または溶液は、既知のソレノイドバルブディスペンサー、任意の流体移動手段および一般には電場の使用により制御される配置手段を使用したインクジェット技術を使用して適用することもできる。印刷工業からの他の液体分配技術、または当該技術分野で知られている類似の液体分配技術を、本発明のパターンコーティングを適用するために使用することができる。
【0135】
示したように、本発明の1つの態様に従い、固体コーティングを形成するために微小突出部材30に適用するコーティング製剤は、少なくとも1つの生物学的に活性な作用物質、より好ましくはワクチンを有する水性および非水性の製剤を含んでなることができる。
本発明に従い、ワクチンは生物適合性担体に溶解されるか、または担体に懸濁され得る。
【0136】
本発明に従い、コーティング製剤は好ましくは少なくとも1つの湿潤剤を含む。当該技術分野で周知であるように、湿潤剤は一般には両親媒性分子として記載される。湿潤剤を含有する溶液が疎水性物質に適用される時、分子の疎水性基は疎水性物質に結合し、一方、分子の親水性表面は水と接触している。その結果、物質の疎水性面は浸潤剤の疎水性基では被覆されておらず、溶媒による湿潤化ができるようにする。湿潤剤は表面活性剤ならびに両親媒性を表すポリマーを含む。
【0137】
本発明の1態様では、コーティング製剤は少なくとも1つの表面活性剤を含む。本発明に従い、表面活性剤(1もしくは複数)は、両イオン性、両性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であることができる。表面活性剤の例にはラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのようなソルビタン誘導体、ラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを含む。最も好適な表面活性剤には、Tween20、Tween80およびSDSを含む。
【0138】
好ましくは表面活性剤の濃度は、コーティング溶液製剤の約0.001〜2重量%の範囲である。
【0139】
本発明のさらなる態様では、コーティング製剤は両親媒性を有する少なくとも1つのポリマー性材料またはポリマーを含む。記載したポリマーの例には、限定するわけではないがヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体ならびにプルロニックを含む。
【0140】
本発明の1つの態様では、両親媒性を表すポリマーの濃度は、好ましくはコーティング製剤の約0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。さらに一層好ましくは、湿潤剤の濃度は、コーティング製剤の約0.1〜5重量%の範囲である。
【0141】
当業者には明白であるように、記載した湿潤剤は別個に、または組み合わせて使用することができる。
【0142】
本発明に従い、コーティング製剤はさらに親水性ポリマーを含むことができる。好ましくは親水性ポリマーは以下の群から選択される:ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびその混合物等のポリマー。当該技術分野では周知であるように、記載したポリマーは粘度を上昇させる。
【0143】
コーティング製剤中の親水性ポリマーの濃度は、好ましくはコーティング製剤の約0.01〜20重量%の範囲、より好ましくは約0.03〜10重量%の範囲である。さらに一層好ましくは、湿潤剤の濃度は、コーティング製剤の約0.1〜5重量%の範囲である。
【0144】
本発明に従い、コーティング製剤は同時係属中の米国特許出願第10/127,108号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような生物適合性担体をさらに含むことができる。適切な生物適合性担体の例には、ヒトアルブミン、
生物工学で作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリスルフェート、ポリアミノ酸、シュクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースを含む。
【0145】
好ましくはコーティング製剤中の生物適合性担体の濃度は、コーティング製剤の約2〜70重量%の範囲、より好ましくは約5〜50重量%の範囲である。さらに一層好ましくは、湿潤剤の濃度は、コーティング製剤の約10〜40重量%の範囲である。
【0146】
本発明に従い、コーティング製剤は同時係属中の米国特許出願第60/514,533号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような安定化剤をさらに含むことができる。適切な安定化剤の例には、限定するわけではないが非還元糖、多糖、還元糖またはDNaseインヒビターを含む。
【0147】
本発明のコーティングは、同時係属中の米国特許出願第10/674,626号および同第60/514,433号明細書(これらは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような血管収縮薬をさらに含むことができる。記載する同時係属出願に説明されているように、血管収縮薬は微小突出部材の適用中、および後の出血を制御するために使用される。好適な血管収縮薬には限定するわけではないが、アミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシン、キシロメタゾリンおよびそれらの混合物を含む。最も好適な血管収縮薬にはエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、およびキシロメタゾリンを含む。
【0148】
使用する場合には、血管収縮薬の濃度は、好ましくはコーティングの約0.1重量%〜10重量%の範囲である。
【0149】
本発明のさらに別の態様では、コーティング製剤が同時係属中の米国特許出願第09/950,436号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような少なくとも1つの「経路開通性モジュレーター」を含む。同時係属出願に説明されているように、経路開通性モジュレーターは皮膚の自然な治癒プロセスを防止、または減少させ、これにより微小突出部材アレイにより角質層に形成された経路またはマイクロスリットの閉鎖を防止する。経路開通性モジュレーターの例には限定するわけではないが、浸透性剤(例えば塩化ナトリウム)、両イオン性化合物(例えばアミノ酸)を含む。
【0150】
同時係属出願に定義するような用語「経路開通性モジュレーター」には抗炎症剤(ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような)、および抗凝固剤(クエン酸、クエン酸塩(例えばエン酸ナトリウム)、硫酸デキストランナトリウム、アスピリンおよびEDTAのような)をさらに含む。
【0151】
また本発明に従い、コーティング製剤はエタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の非水性溶媒、色素、顔料、不活性充填剤、浸透強化剤、賦形剤および当該技術分野で知られている製薬学的生成物または経皮的デバイスに通例の他の成分も含むことができる。
【0152】
他の既知の製剤添加物も、それらがコーティング製剤に必要な溶解性および粘性、および乾燥したコーティングの物理的完全性に悪影響を及ぼさない限り、コーティング製剤に加えることができる。
【0153】
好ましくはコーティング製剤は、各微小突起10を効果的に被覆するために、約500センチポイズ未満そして3センチポイズより大きな粘度を有する。より好ましくは、コーティング製剤は約3〜200センチポイズの範囲の粘度を有する。
【0154】
本発明に従い、所望するコーティング厚はシートの単位面積あたりの微小突起の密度、およびコーティング組成物の粘度および濃度、ならびに選択するコーティング法に依存する。好ましくはコーティング厚は50ミクロン未満である。
【0155】
1つの態様では、コーティング厚は微小突起表面から測定した時、25ミクロン未満、より好ましくは10ミクロン未満である。さらに一層好ましくは、コーティング厚は約1から10ミクロンの範囲である。
【0156】
すべての場合で、コーティングが適用された後、コーティング製剤は種々の手段により微小突起10上で乾燥される。本発明の好適な態様では、コーティング部材5は周囲の室温で乾燥される。しかし種々の温度および湿度レベルを使用して、コーティング製剤を微小突起上で乾燥させることができる。加えて、被覆した部材5は加熱され、凍結乾燥され(lyophilized)、凍結乾燥され(freez dried)、あるいは類似の技術を使用してコーティングから水を除去することができる。
【0157】
ここで図6および7を参照にして、貯蔵および適用について(本発明の1つの態様に従い)、微小突出部材30は好ましくは、同時係属中の米国特許出願第09/976,762号明細書(公開番号2002/0091357、これは引用により全部、本明細書に編入する)に詳細に記載されているように、接着タブ31により保持環50中に掛けられている。
【0158】
保持環50に微小突出部材30を配置した後、微小突出部材30は患者の皮膚に適用される。好ましくは微小突出部材30は、同時係属中の米国特許出願第09/976,798号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような打撃アプリケーターを使用して皮膚に適用される。
【0159】
本発明の別の観点では、ワクチンがヒドロゲル製剤に含まれる。好ましくはドナーリザーバー12に含まれるヒドロゲル製剤(1もしくは複数)は、同時係属出願第60/514,433号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているヒドロゲル製剤のような水に基づくヒドロゲルを含んでなる。
【0160】
当該技術分野では周知であるように、ヒドロゲルは水中で膨潤する高分子量ポリマー網である。適当なポリマー網の例は限定するわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックを含む。最も好適なポリマー材料はセルロース誘導体である。これらのポリマーは異なる平均分子量を表す様々な等級で得ることができ、したがって異なる流動特性を表す。
【0161】
また本発明に従い、ヒドロゲル製剤は表面活性剤(すなわち湿潤剤)も含む。本発明に従い、表面活性剤(1もしくは複数)は両イオン性、両親媒性、カチオン性、アニオン性または非イオン性であることができる。表面活性剤の例には、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタンラウレートのような他のソルビタン誘導体、およびラウレス−4のようなアルコキシル化アルコールを含む。最も好適な表面活性剤にはTween20、Tween80およびSDSを含む。
【0162】
好ましくはヒドロゲル製剤は、両親媒性を有するポリマー材料またはポリマーをさらに含む。記載するポリマーの例は限定するわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、またはエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)のようなセルロース誘導体、ならびにプルロニックを含む。
【0163】
好ましくは、表面活性剤の濃度はヒドロゲル製剤の0.001%から2重量%の間を構成する。両親媒性を現すポリマー濃度は、ヒドロゲル製剤の約0.5%〜40重量%の範囲が好ましい。
【0164】
示したように、本発明の少なくとも1つのさらなる態様に従い、ヒドロゲル製剤は少なくとも1つの生物学的に活性な作用物質、より好ましくはワクチンを含む。好ましくはワクチンはこれまでに述べたワクチンの1つを含んでなり、それらには限定するわけではないが、ウイルスおよびバクテリア、タンパク質に基づくワクチン、多糖に基づくワクチンおよび核酸に基づくワクチンを含む。
【0165】
本発明のさらなる態様では、ヒドロゲル製剤は同時係属中の米国特許出願第09/950,436号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような少なくとも1つの「経路開通性モジュレーター」を含む。適切な経路開通性モジュレーターには限定するわけではないが、浸透性剤(例えば塩化ナトリウム)、両イオン性化合物(例えばアミノ酸)、および抗炎症剤(ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、およびプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩のような)、および抗凝固剤(クエン酸、クエン酸塩(例えばエン酸ナトリウム)、硫酸デキストランナトリウム、アスピリンおよびEDTAのような)を含む。
【0166】
また本発明に従い、ヒドロゲル製剤はエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の非水性溶媒、色素、顔料、不活性充填剤、浸透強化剤、賦形剤および当該技術分野で知られている製薬学的生成物または経皮的デバイスに通例の他の成分も含むことができる。
【0167】
ヒドロゲル製剤はさらに少なくとも1つの血管収縮薬を含むことができる。適切な血管収縮薬は同様に限定するわけではないが、エピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニ
レフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリン、およびその混合物を含む。
【0168】
本発明の1つの態様に従い、ワクチン(1もしくは複数)(ヒドロゲル製剤に含まれるか、作用物質リザーバー16に配置されるか、または微小突出部材30上の生物適合性コーティングに含まれるか、または両方)は、患者に図1に具体的に説明するようなイオン導入デバイスを介して以下のように患者に送達される:デバイス(例えば10a)は患者の皮膚と完全に接触するように配置され、ここで微小突起34が角質層を穿刺する。ヒトの身体の様々な部位を、医師および患者の好み、作用物質送達法または浸透性のような他の因子に依存して、選択することができる。
【0169】
さらに好適な態様に従い、微小突出部材30は同時係属中の米国特許出願第09/976,798号明細書(これは引用により全部、本明細書に編入する)に開示されているような打撃アプリケーターまたは作動器を介して患者の皮膚に最初に適用される。同時係属出願第60/514,433号明細書に記載されているように、微小突出部材を適用した後、イオン導入デバイス10aを皮膚に適用し、これにより電極アッセンブリー12が微小突出部材30と接触する。
【0170】
あるいは同時係属出願第60/514,387号明細書に記載されているように、微小突出部材の適用および除去後に、イオン導入デバイス10aが前処置した領域の近位の患者の皮膚に配置される。
【0171】
本発明に従い、デバイス(10aまたは10b)が患者の皮膚に配置された後、50μA〜20mAの範囲の電流が10秒から1日の範囲の期間にわたり流される。
【0172】
あるいはデバイスが患者の皮膚に配置された後、0.5V〜20Vの範囲の電圧が10秒から1日の範囲の期間にわたりかけられる。
【0173】
本発明に従い、デバイスが患者の皮膚に配置された後、目標とするアンペア数または電圧数はかけた電気条件をゆっくりと上げることにより達成することもできる。
【0174】
あるいは目標とするアンペア数または電圧数から出発して、電気条件を経時的に下げることもできる。
【0175】
あるいは上記の電気条件を使用して1秒から12時間持続する連続パルスを、イオン導入の全期間に適用する。
【実施例】
【0176】
以下の実施例は、当業者が本発明をより良く理解し、そして実施することができるように与えられる。本発明の範囲を限定すると考えるべきではなく、単にその代表として具体的に説明するものである。
【0177】
実施例1
この実施例は、送達されるDNAによりコードされるマーカー遺伝子の遺伝子発現に及ぼすDNAの送達様式の効果、およびイオン導入の効果を実験した。DNAの細胞内送達および無毛モルモット(HGP)での遺伝子発現を上昇させるために、イオン導入デバイスと組み合わせた微小突出部材を使用した。通例の注射針を用いて皮内注射によりDNAを受ける1つのDNA送達群、および1つの陰性対照群に加えて、微小突起アレイ送達を用いた6群を実験した。皮膚に挿入した電場応答性の針電極を介する電気穿孔の適用は、
遺伝子発現を上昇すると知られ、そしてこの実験にも陽性対照として含めた。
グループ1:いかなるイオン導入または電気穿孔も無い被覆された微小突起アレイによるDNA送達。
グループ2:被覆された微小突起アレイによるDNA送達、続いて陽性対照として、別個の電場応答性2×6針アレイ電極を介して適用した電気穿孔。
グループ3:被覆された微小突起アレイによるDNA送達、続いて微小突起アレイを除去した後にHECゲルを含有するドナー電極アッセンブリーを使用した陰極イオン導入。
グループ3A:被覆された微小突起アレイによるDNA送達、続いて微小突起アレイを除去した後にDNA/HECゲルを含有するドナー電極アッセンブリーを使用した陰極イオン導入。
グループ4:被覆された微小突起アレイによるDNA送達、続いて皮膚に非エレクトロアクティブ微小突出部材を残して、HECゲルを含有するドナー電極アッセンブリーを使用した陰極イオン導入。
グループ4A:微小突起アレイによるDNA送達、続いて皮膚に非エレクトロアクティブ微小突出部材を残して、DNA/HECゲルを含有するドナー電極アッセンブリーを使用した陰極イオン導入。
グループ5:皮内注射によるDNA送達。
グループ6:未処置皮膚。
【0178】
材料および方法
2種類の微小突起アレイを使用した。両アレイともシートの平面に対し約90゜の角度で曲げられたチタンの微小突起および約2cmの面積を含んでなった。第1のアレイ(1035)は657個の微小突起/cmの微小突起密度を有し、各微小突起が225ミクロンの長さを有した。第2のアレイ(1066)は140個の微小突起/cmの微小突起密度を有し、そして各微小突起が600ミクロンの長さを有した。
【0179】
両アレイは、アレイ1066についてはアレイあたり緑色蛍光タンパク質(GFP)発現プラスミド−40μg DNAを、そして1035についてはアレイあたり60μgのDNAを乾燥被覆した。グループ2、3、3A、4および4Aから2匹の動物群がアレイ1035を受け、そしてグループ1、2、3、3A、4および4Aから2匹の動物がアレイ1066を受けた。
【0180】
グループ1および2について、系は中央に接着された2cmの微小突起アレイを有する接着裏材(直径2.6cm)を含んでなった。グループ3および3Aについて、系は中央に接着された2cmの微小突起アレイを有する接着裏材環(直径2.6cm)に付けられた接着環を含んでなった。グループ4および4Aについて、系は中央に接着された2cmの微小突起アレイを有する接着裏材環(直径2.6cm)を含んでなった。グループ3、3A、4および4Aについて、DNAを含まない陽極および陰極アッセンブリーに使用されるイオン導入ゲルは、2%HEC(NATROSOL(商標)250HEX PHARM、ヘラクレス社(HERCULES Int)、リム(Lim.)、オランダ、測定された分子量:Mw1890000、Mn1050000)中の350μlの水性0.15M NAClであった。ゲル中にDNAを含む陰極について、ドナー電極アッセンブリーは、陰極に近位の350μlの20mM NaCl、2%水性HECゲル、および皮膚に近位の175μlの3.6mg/ml DNA、25mM Gly−His、0.2%Tween20、1.5%水性HECゲルからなった。2つのゲルはカチオン交換膜(Nafion(商標))により分けられた。
【0181】
従来の針電気穿孔(EP)電極に使用した条件は、微小突起アレイ送達部位で皮膚に挿入された2×6針アレイ電極(6NA、サイトパルス(Cytopulse))により送達される4EPパルス、100V/cm、40msec、2Hzであった。プラスおよび
マイナス針列の間の距離は6mmであり、そして針の長さは4mmであった。使用したパルス生成機はバイオラッド(BioRad)のGenePulserXcell(商標)であった。
【0182】
この実施例に使用したイオン導入(IO)条件は、全60mAx分について4mA設定であった(15分の処理時間)。陽極および陰極アッセンブリーは、示した量の配合されたHECゲルを電極アッセンブリーリザーバーに分配することにより皮膚へ適用する直前に集成した。陽極と陰極との間の距離(中央)は3cmであった。イオン導入電源、DOMEDphoresorII、モデル番号PM100を使用した。
【0183】
DNAのHGPの皮膚への送達は、以下の通りであった。被覆した微小突起アレイを打撃アプリケーターを使用して麻酔をかけたHGPの脇腹に適用した。グループ1および2については、アレイ適用から1分後、接着裏材に付いた微小突起アレイを取り出した。グループ2については、微小突起アレイを除去した直後に、6NAを針の全長まで皮膚に挿入した。グループ3および3Aについては、アレイ適用から1分後、接着裏材環に付いた微小突起アレイを取り出し、接着環は皮膚に接触させておいた。グループ3、3A、4および4Aについて、微小突起適用から1分後、ドナー電極アッセンブリーは接着環に適用するか(グループ3および3A)、または微小突起アレイの接着裏材環に適用した(グループ4および4A)。電気条件(EPまたはIO)は、すべての動物に麻酔をかけたまま、微小突起アレイによるDNA送達直後に適用した。
【0184】
微小突起アレイ系の形状およびその部品は、米国特許出願第2002/0128599号明細書および米国特許仮出願第60/514,433号および同第60/514,387号明細書に詳細に記載されている。打撃アプリケーターは米国特許出願第2002/0123675号明細書に詳細に記載されている。
【0185】
微小突起のDNA送達後、プラスミドDNAの細胞内取り込みは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(rtPCR)によりmRNAレベルについてコードされたGFPタンパク質の遺伝子発現を測定することにより決定した。DNA送達から1日(24時間)後、動物を屠殺し、そして8mmの皮膚の生検材料をすべての処置した部位、皮内注射部位および未処置皮膚部位の中央から得た。生検材料の重量を測定し、挽き、そして短時間超音波処理することにより均一化した。RNAはストラタジーン(Stratagene)RNA抽出キット(Absolutely RNA(商標)RT−PCR Miniprepキット(ストラタジーン400800))を製造元のプロトコールに従い使用して抽出し、そして第1鎖cDNAは、ProSTAR第1鎖RT−PCRキット(ストラタジーンカタログ#200420)を使用して生成した。rtPCR反応はインビトロジェン(Invitrogen)のキット:PCR Supermix(インビトロジェン10572014)を使用して行った。
【0186】
この実施例に関するPCR条件は以下の通りであった:使用したプライマーは、イントロンRT5’プライマー−5’CCG GGA ACG GTG CAT TGG AA
3’[配列番号1]および3’p2243プライマー−5’TGCTTGGACTGGGCCATGGT3’[配列番号2]を含んだ。準備したフラグメントは958bp(プラスミド)または131bp(メッセージ)であった。2μlのプライマーを5μgの全出発RNAと50μlの反応で使用した。PCR反応条件は、95℃で5分間、40サイクルの92℃で1分、66℃で30秒、72℃で1分、そして72℃で10分の延長であった。8μlのPCR反応は、131ヌクレオチドのGFPmRNA特異的フラグメントの存在についてゲル電気泳動により分析した。この方法は、定量的様式でGFP発現を検出する。
【0187】
【表1】

【0188】
rtPCRアッセイは感度があるが、しかしmRNAレベルで遺伝子発現を測定するための比較的非定量的な方法を提供する。表1で分かるように、微小突起アレイによるDNA送達後のイオン導入は、HGPの皮膚に遺伝子発現を生じる一方、微小突起のみによる送達は検出可能な発現をもたらさなかった。この例は微小突起アレイによる皮膚への送達後にイオン導入によるDNAの細胞内送達が可能であることを証明する。さらに電気穿孔は遺伝子転移に必要でないかもしれないことを証明している。
【0189】
実施例2
タンパク質ワクチンが細胞外に送達される時、抗原の提示はクラスII MHC/HLA経路を介して起こるので体液性応答が得られる。付加的な細胞免疫応答は、タンパク質ワクチンが細胞質に送達される時にのみ達成される(または複製ワクチンまたはDNAワクチンのように抗原が細胞内で生産される時)。この実施例では、細胞内送達を援助するためにイオン導入法を用いて乾燥被覆したアレイまたはゲルリザーバーを使用した微小突起アレイ技術による経皮的ポリペプチドワクチン送達の組み合わせを試験した。B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)タンパク質に対する免疫応答を監視した。9つの処置グループを評価する。
グループ1:イオン導入または電気穿孔無しで、HBsAgタンパク質を被覆した微小突起アレイ(MA)の送達(5分の適用時間)。
グループ2:HBsAgタンパク質を被覆した微小突起アレイの送達(5分の適用時間)に続いて、微小突起アレイを除去した後、15分のイオン導入。
グループ3:HBsAgタンパク質を被覆した微小突起アレイの送達(5分の適用時間)に続いて、非エレクトロアクティブの微小突出部材を皮膚に残したまま、15分のイオン導入。
グループ4:非被覆微小突起アレイの適用に続いて、微小突起アレイを除去した後にゲルリザーバー中のHBsAgタンパク質を用いたイオン導入。ゲルリザーバーは15分のイオン導入前に5分間、皮膚上におかれる。
グループ4A:ゲルリザーバー中のHBsAgタンパク質を用いた非被覆微小突起アレイの適用、微小突起アレイを除去した後、イオン導入なし。ゲルリザーバーは20分間、皮膚におかれる。
グループ5:非被覆微小突起アレイの適用、続いてゲルリザーバー中のHBsAgタンパク質を用いたイオン導入、非エレクトロアクティブ微小突出部材は皮膚に置かれたまま。ゲルリザーバーはイオン導入の15分前、5分間皮膚におかれる。
グループ5A:ゲルリザーバー中のHBsAgタンパク質を用いた非被覆微小突起アレイの適用、非エレクトロアクティブ微小突出部材は皮膚に置かれたまま、イオン導入なし。ゲルリザーバーは20分間、皮膚上におかれる。
グループ6:ゲルリザーバー中のHBsAgタンパク質を皮膚に5分間適用し、つづいて15分間のイオン導入。
グループ6A:ゲルリザーバー中のHBsAgタンパク質を皮膚に20分間適用し、イオン導入無し。
【0190】
材料および方法
微小突起アレイコーティング:20mg/mLのHBsAgタンパク質、20mg/mLのシュクロース、2mg/mLのHECおよび2mg/mLのTween20を含有する水性製剤を使用して、回転コーター法により得た、2cm2の1035アレイあたり30μgのHBsAgタンパク質(アルデブロン(Aldevron)、ファルゴ、オランダ)。
【0191】
グループ1について、系は中央に接着された2cmの微小突起アレイを有する接着裏材(直径2.6cm)を含んでなる。グループ2、4および4Aについて、系は中央に接着された2cmの微小突起アレイを有する接着裏材環(直径2.6cm)に付けられた接着環を含んでなる。グループ3、5および5Aについて、系は中央に接着された2cmの微小突起アレイを有する接着裏材環(直径2.6cm)を含んでなる。グループ2および3について、陽極アッセンブリーに使用されるイオン導入ゲルは、2%HEC(NATROSOL(商標)250HEX PHARM、ヘラクレス社、リム、オランダ、測定された分子量:Mw1890000、Mn1050000)中の350μlの水性0.15M NAClである。グループ4、4A、5、5A、6および6Aについて、ドナー電極アッセンブリーは、陽極に近位の350μlの20mM NaCl、2%水性HECゲル、および皮膚に近位の175μlの20mg/ml HbsAgタンパク質、25mM His−Glu、0.2%Tween20、1.5%水性HECゲルpH5.2からなる。2つのゲルはアニオン交換膜(Sybron)により分けられる。グループ2、3、4、5および6について、陰極アッセンブリーに使用したイオン導入ゲルは、2%HEC中、350μlの水性0.15M NaClである。
【0192】
イオン導入条件:全60mAx分について4mA(15分の処理時間)。陽極および陰極アッセンブリーは、示した量に配合されたHECゲルを電極アッセンブリーリザーバーに分配することにより皮膚へ適用する直前に集成する。陽極と陰極との間の距離(中央)は3cmである。イオン導入電源、DOMED phoresorII、モデル番号PM100を使用する。
【0193】
HBsAgタンパク質の無毛モルモット(HGP)の皮膚への送達:被覆した微小突起
アレイは打撃アプリケーターを使用して麻酔をかけたHGPの脇腹に適用する。グループ1については、アレイ適用から5分後、接着裏材に着いた微小突起アレイを取り外す。グループ2、4および4Aについては、アレイを適用してから5分後に、接着裏材環に付いた微小突起アレイを取り出し、接着環は皮膚に接触させておき、そしてドナー電極アッセンブリーを接着環に適用する。グループ3、5および5Aについて、適用から5分後、ドナー電極アッセンブリーは微小突起アレイの接着裏材環に適用される。グループ6および6Aについて、電極アッセンブリーを完全に皮膚に5分間適用し、その後電気条件を適用する。電気条件(無しまたはIO)は、すべての動物に麻酔をかけたまま、微小突起アレイまたはゲルによるHBsAgタンパク質の送達直後に適用する。
【0194】
同じ処置条件を使用して1回の追加免疫から2週間後の4週目に、体液性免疫応答はABBOT AUSAB EIA診断キットおよび定量パネルを使用して測定する。10mIU/mlの防御レベルより高い抗体力価を表2では「陽性」と記す。
【0195】
細胞性応答はCTL活性を予測するための代理アッセイを使用して測定する:脾臓細胞は抗体力価の測定のために血清を得る時点で回収し、そしてガンマインターフェロン生産CD8細胞の数(抗−CD4被覆Dynabeads(ダイナル(Dynal)、ニューヨーク)によりCD4陽性細胞の減耗後)をELISPOTアッセイにより、HBsAgタンパク質を用いた5日間のインビトロの再刺激後に測定する。「陽性」応答は(i)HBsAgで再刺激されたウェル中の細胞の平均数が、卵白アルブミン(Ova)(無関係な抗原)で再刺激されたウェル中よりも高い時(p<0.05、スチューデント検定)、(ii)スポット形成細胞(SFC)の正味の数(HBsAgにより刺激されたウェル中のSFCからOvaで刺激されたウェル中のSFCの数を差し引く)が5以上である時、および(iii)Ovaウェル中のSFCの平均数に対するHBsAgウェル中のSFCの平均数の比率が2.0より大きい時に採点する。
【0196】
【表2】

【0197】
この実施例は、微小突起アレイによるタンパク質送達と組み合わせたイオン導入法が、ペプチドワクチンに対する体液性および細胞性応答を生じることができることを示す。
微小突起のみの送達は体液応答の生成をもたらすが、イオン導入法単独または受動透過は、検出可能な免疫応答をもたらさない。この実施例は、微小突起アレイによる皮膚への送達後のイオン導入によるタンパク質抗原の細胞内送達が可能であることを証明する。
【0198】
本発明の精神および範囲から逸脱せずに、当業者は本発明を種々の用途および条件に適合させるための様々な変化および修飾を行うことができる。このように、これらの変化および修飾は添付する特許請求の範囲の均等物の完全な範囲内に、正しく、公平にあり、そしてそれを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0199】
さらなる特徴および利点は、添付する図面で具体的に説明するように以下のおよび本発明の好適な態様のより詳細な記載から明らかになり、そして図面中、符号は一般に図面を通して同じ部分または要素を指す。
【図1】本発明に従いワクチンを経皮的に送達するためのイオン導入デバイスの1態様の概略説明である。
【図2】本発明に従いワクチンを経皮的に送達するためのイオン導入デバイスのさらなる態様の概略説明である。
【図3】微小突起アレイの1例の部分の透視図である。
【図4】図4は、本発明に従い、微小突起上に配置されたコーティングを有する図3に示す微小突起アレイの透視図である。図4Aは、本発明に従い、図4の線2A−2Aに沿って取った1つの微小突起の断面図である。
【図5】接着裏材を有する微小突起アレイの側面断面図である。
【図6】中に配置された微小突出部材を有する保持器の側面断面図である。
【図7】図6に示す保持器の透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワクチンを経皮的に送達する系であって;
ワクチンを含有し、かつ、経皮的送達に適合している作用物質製剤;
複数の角質層穿刺微小突起を有する非エレクトロアクティブ微小突出部材;および
ドナー電極、カウンター電極、イオン導入エネルギーを電極に供給するための電気回路、および該ドナー電極を該微小突出部材から分けるように適合され、そして配置された電解質を含むドナー電極アッセンブリーを有するイオン導入デバイス
を含んでなる、前記の系。
【請求項2】
請求項1に記載の系であって、上記の作用物質製剤が、上記微小突出部材上に配置された生物学的適合性コーティングを含んでなり、該作用物質製剤がコーティング製剤から形成されている、前記の系。
【請求項3】
請求項1に記載の系であって、上記の微小突出部材が少なくとも約10個の微小突起/cmの微小突起密度を有する、前記の系。
【請求項4】
請求項3に記載の系であって、上記の微小突出部材が約200〜2000個の微小突起/cmの範囲の微小突起密度を有する、前記の系。
【請求項5】
請求項1に記載の系であって、上記の微小突出部材がステンレス鋼、チタンおよびニッケルチタン合金からなる群から選択される材料を含んでなる、前記の系。
【請求項6】
請求項1に記載の系であって、上記の微小突出部材が非伝導性材料を含んでなる、前記の系。
【請求項7】
請求項1に記載の系であって、上記ワクチンがタンパク質に基づくワクチンを含んでなる前記の系。
【請求項8】
請求項7に記載の系であって、上記イオン導入エネルギーの上記電極への供給が、上記タンパク質に基づくワクチンのインビボ細胞内送達を提供し、これにより該タンパク質に基づくワクチンの皮膚に存在する細胞への送達が、個体のクラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上に該タンパク質に基づくワクチンのエピトープの細胞装填を導く、前記の系。
【請求項9】
請求項8に記載の系であって、細胞性および体液性応答が上記個体中で生成される、前記の系。
【請求項10】
請求項1に記載の系であって、上記ワクチンがDNAワクチンを含んでなる、前記の系。
【請求項11】
請求項10に記載の系であって、上記のイオン導入エネルギーの上記電極への供給が、上記DNAワクチンのインビボ細胞内送達を提供し、これにより該DNAワクチンの該送達が、DNAワクチンによりコードされるワクチン抗原の細胞発現、および個体のクラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上にワクチンのエピトープの装填を導く、前記の系。
【請求項12】
請求項11に記載の系であって、細胞性および体液性応答が上記個体中で生成される、前記の系。
【請求項13】
請求項11に記載の系であって、上記の個体中で細胞性応答のみが生成される、前記の系。
【請求項14】
請求項1に記載の系であって、上記ワクチンがウイルス、弱毒化ウイルス、死菌ウイルス、バクテリア、弱毒化バクテリア、死菌バクテリア、タンパク質に基づくワクチン、多糖に基づくワクチン、核酸に基づくワクチン、タンパク質、多糖結合体、オリゴ糖、リポタンパク質、百日咳菌(Bordetella pertussis)(組換えPTワクチン−無細胞)、破傷風菌(Clostridium tetani)(精製、組換え)、ジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae)(精製、組換え)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、グループAの連鎖球菌(streptococcus)(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドをもつ糖結合体グループA多糖、トキシン サブユニット担体に連結されたMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換えPreS1、Pre−S2、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え体−発現した表面タンパク質およびエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(キャプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2およびlE7[HPV−6由来]、HPV−11に由来するMEDI−501組換えVLP L1、四価組換えBLPL1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16およびHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラ菌(Legionella pneumophila)(精製バクテリア表面タンパク質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドとの糖結合体)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド)、風疹(Rubella)ウイルス(合成ペプチド)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)(髄膜炎菌B OMPに結合した糖結合体[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197に結合した糖結合体[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970に結合した糖結合体[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒病原体(Treponema pallidum)(表面リポタンパク質)、水疱帯状疱疹(Varicella zoster)ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)、コレラ菌(Vibrio cholerae)(結合リポ多糖)、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルス、水疱帯状疱疹、百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌、グループAのストレプトコッカス、レジオネラ菌、髄膜炎菌、緑膿菌、肺炎球菌、梅毒病原体、コレラ菌、インフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチン、痘瘡ワクチン、肝炎ワクチン、百日咳ワクチン、ジフテリアワクチン、核酸、単鎖核酸、二本鎖核酸、スーパーコイル化プラスミドDNA、線状プラスミドDNA、コスミド、バクテリア人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、哺乳類人工染色体、RNA分子およびmRNAからなる群から選択される、前記の系。
【請求項15】
請求項1に記載の系であって、上記製剤が、リン酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、アルファグルカン、β−グルカン、コレラトキシンBサブユニット、CRL1005、x=8およびy=205の平均値を有するABAブロックポリマー、ガンマイヌリン、線状(非分枝)β−D(2−>1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース、Gerbuアジュバント、N−アセチルグルコサミン−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩錯体(Zn−Pro−8)、Imiquimod(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTher(商標)、N−アセチルグルコアミニル−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−isoGlu−−L−Ala−グリセロールジパルミテート、MTP−PEリポソーム、C5910819PNa−3HO(MTP)、Murametide,Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH、Pleuran、QS−21;S−28463、4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、スクラボペプチドVQGEESNDK・HCl(IL−1β163−171ペプチド)、トレオニル−MDP(Termurtide(商標))、N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン、インターロイキン18(IL−18)、IL−2、IL−12、IL−15、IL−4、IL−10、DNAオリゴヌクレオチド、CpG含有オリゴヌクレオチド、ガンマインターフェロンおよびNFカッパB調節シグナル伝達タンパク質からなる群から選択される免疫応答を増強するアジュバントをさらに含んでなる、前記の系。
【請求項16】
請求項2に記載の系であって、上記コーティング製剤が表面活性剤を含む、前記の系。
【請求項17】
請求項16に記載の系であって、上記表面活性剤が、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタン誘導体、ソルビタンラウレート、アルコキシル化アルコールおよびラウレス−4からなる群から選択される、前記の系。
【請求項18】
請求項2に記載の系であって、上記コーティング製剤が両親媒性ポリマーを含む、前記の系。
【請求項19】
請求項18に記載の系であって、上記両親媒性ポリマーが、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)およびプルロニックからなる群から選択される、前記の系。
【請求項20】
請求項2に記載の系であって、上記コーティング製剤が親水性ポリマーを含む、前記の系。
【請求項21】
請求項20に記載の系であって、上記親水性ポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコールおよびその混合物からなる群から選択される、前記の系。
【請求項22】
請求項2に記載の系であって、上記コーティング製剤が生物適合性担体を含む、前記の系。
【請求項23】
請求項20に記載の系であって、上記生物適合性ポリマーが、ヒトアルブミン、生物工学で作られたヒトアルブミン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリヒスチジン、ペントサンポリスルフェート、ポリアミノ酸、シュクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノースおよびスタキオースからなる群から選択される、前記の系。
【請求項24】
請求項2に記載の系であって、上記コーティング製剤が非還元糖、多糖、還元糖およびDNaseインヒビターからなる群から選択される安定化剤を含む、前記の系。
【請求項25】
請求項2に記載の系であって、上記コーティング製剤が血管収縮薬を含む、前記の系。
【請求項26】
請求項25に記載の系であって、上記血管収縮薬がエピネフリン、ナファゾリン、テト
ラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリンからなる群から選択される、前記の系。
【請求項27】
請求項2に記載の系であって、上記コーティング製剤が経路開通性モジュレーターを含む、前記の系。
【請求項28】
請求項27に記載の系であって、上記経路開通性モジュレーターが、浸透剤、塩化ナトリウム、両イオン性化合物、アミノ酸、抗炎症剤、ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、抗凝固剤、クエン酸、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、硫酸デキストランナトリウムおよびEDTAからなる群から選択される、前記の系。
【請求項29】
請求項2に記載の系であって、上記コーティング製剤が約500センチポイズ未満そして3センチポイズをより大きな粘度を有する、前記の系。
【請求項30】
請求項2に記載の系であって、上記コーティングが約25ミクロン未満の厚さを有する、前記の系。
【請求項31】
請求項1に記載の系であって、上記の作用物質製剤がヒドロゲルを含んでなり、そして上記系がさらに上記ドナー電極に隣接して配置された作用物質リザーバーを含み、該作用物質リザーバーが該ヒドロゲルを受けるように適合されている、前記の系。
【請求項32】
請求項31に記載の系であって、上記ヒドロゲルが高分子量のポリマー網を含んでなる、前記の系。
【請求項33】
請求項32に記載の系であって、上記高分子量ポリマー網が、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(n−ビニルピロリドン)およびプルロニックからなる群から選択される、前記の系。
【請求項34】
請求項31に記載の系であって、上記ヒドロゲルが表面活性剤を含む、前記の系。
【請求項35】
請求項34に記載の系であって、上記表面活性剤が、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルピリジニウムクロライド(CPC)、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、ベンザルコニウム、クロライド、Tween20およびTween80のようなポリソルベート、ソルビタン誘導体、ソルビタンラウレート、アルコキシル化アルコールおよびラウレス−4からなる群から選択される、前記の系。
【請求項36】
請求項31に記載の系であって、上記ヒドロゲルが両親媒性ポリマー含む、前記の系。
【請求項37】
請求項36に記載の系であって、上記両親媒性ポリマーが、セルロース誘導体、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)およびプルロニックからなる群から選択される、前記の系。
【請求項38】
請求項31に記載の系であって、上記ヒドロゲルが経路開通性モジュレーターを含む、前記の系。
【請求項39】
請求項38に記載の系であって、上記経路開通性モジュレーターが、浸透剤、塩化ナトリウム、両イオン性化合物、アミノ酸、抗炎症剤、ベタメタゾン21−リン酸二ナトリウム塩、トリアムシノロンアセトニド21−リン酸二ナトリウム、ヒドロコルタメート塩酸塩、ヒドロコルチゾン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−リン酸二ナトリウム塩、メチルプレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、パラメタゾンリン酸二ナトリウム、プレドニゾロン21−コハク酸ナトリウム塩、抗凝固剤、クエン酸、クエン酸塩、クエン酸ナトリウム、硫酸デキストランナトリウムおよびEDTAからなる群から選択される、前記の系。
【請求項40】
請求項31に記載の系であって、上記ヒドロゲルが血管収縮薬を含む、前記の系。
【請求項41】
請求項40に記載の系であって、上記血管収縮薬がエピネフリン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、インダナゾリン、メチゾリン、トラマゾリン、チマゾリン、オキシメタゾリン、キシロメタゾリン、アミドフィリン、カファミノール、シクロペンタミン、デオキシエピネフリン、エピネフリン、フェリプレシン、インダナゾリン、メチゾリン、ミドドリン、ナファゾリン、ノルデフリン、オクトドリン、オルニプレシン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、フェニルエタノールアミン、フェニルプロパノールアミン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、ツアミノヘプタン、チマゾリン、バソプレシンおよびキシロメタゾリンからなる群から選択される、前記の系。
【請求項42】
請求項1に記載の系であって、上記微小突出部材が上記イオン導入デバイスの一体化部分である、前記の系。
【請求項43】
請求項1に記載の系であって、さらに接触面を有するアプリケーターを含み、上記微小突出部材が該アプリケーター上に保持器により取り外し可能に取り付けられ、そして該アプリケーターはいったん作動させると、該微小突出部材が10ミリ秒以内に1cmの微小突出部材あたり少なくとも0.05ジュールの力で患者の角質層を打つことができる様式で該接触表面を該微小突出部材と接触させるようにする、前記の系。
【請求項44】
ワクチンを個体に経皮的に送達する方法であって;
ドナー電極、カウンター電極、イオン導入エネルギーを該電極に供給するための電気回路、ワクチンを含む製剤、および複数の角質層穿刺微小突起を有する非エレクトロアクティブの微小突出部材を有するイオン導入デバイスを準備し;
該微小突出部材を患者の皮膚と完全に接するように配置し、ここで微小突起が該患者の角質層を穿刺し;そして
該電極にイオン導入エネルギーを供給して、該ワクチンを経皮的に送達する、
工程を含んでなる上記方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、さらに、
接触面を有するアプリケーターを準備し、ここで上記微小突出部材は該アプリケーター上に保持器により取り外し可能に取り付けられ;そして
該アプリケーターを作動させて、該微小突出部材が上記角質層を打つ様式で該接触表面を該微小突出部材と接触させる、
工程を含む、前記の方法。
【請求項46】
請求項45に記載の方法であって、上記アプリケーターを作動させる上記工程が、上記微小突出部材が10ミリ秒以内に1cmの微小突出部材あたり少なくとも0.05ジュールの力で上記角質層を打つようにする、前記の方法。
【請求項47】
請求項46に記載の方法であって、さらに上記の微小突出部材を上記イオン導入デバイスと接触させて、上記イオン導入エネルギーを上記アプリケーターの作動後に供給する工程を含んでなる、前記の方法。
【請求項48】
請求項44に記載の方法であって、さらに上記微小突出部材を、上記イオン導入エネルギーの供給前に上記患者の角質層から取り外す工程を含む、前記の方法。
【請求項49】
請求項44に記載の方法であって、上記微小突出部材が上記イオン導入デバイスの一体化部分である、前記の方法。
【請求項50】
請求項44に記載の方法であって、イオン導入エネルギーを上記電極に供給する上記工程が、約1.0分から1日の範囲の期間にわたり約50μA〜20mAの範囲の電流を流すことを含んでなる、前記の方法。
【請求項51】
請求項44に記載の方法であって、イオン導入エネルギーを上記電極に供給する上記工程が、約1.0分から1日の範囲の期間にわたり約0.5V〜20Vの範囲の電圧をかけることを含んでなる、前記の方法。
【請求項52】
請求項44に記載の方法であって、上記ワクチンがタンパク質に基づくワクチンを含んでなる、前記の方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、上記イオン導入エネルギーの上記電極への供給が、上記タンパク質に基づくワクチンのインビボ細胞内送達を提供し、これにより該タンパク質に基づくワクチンの皮膚に存在する細胞への該送達が、個体のクラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上に該タンパク質に基づくワクチンのエピトープの細胞装填を導く、前記の方法。
【請求項54】
請求項53に記載の方法であって、細胞性および体液性応答が上記個体中で生成される、前記の方法。
【請求項55】
請求項44に記載の方法であって、上記ワクチンがDNAワクチンを含んでなる、前記の方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法であって、上記のイオン導入エネルギーの上記電極への供給が、上記DNAワクチンのインビボ細胞内送達を提供し、これにより該DNAワクチンの該送達が、DNAワクチンによりコードされるワクチン抗原の細胞発現、および個体のクラスII MHC/HLA提示分子に加えてクラスI MHC/HLA提示分子上にワクチンのエピトープの装填を導く、前記の方法。
【請求項57】
請求項56に記載の方法であって、上記個体中で細胞性および体液性応答が生成される、前記の方法。
【請求項58】
請求項56に記載の方法であって、上記の個体中で細胞性応答が生成される、前記の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−509704(P2007−509704A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538112(P2006−538112)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/034924
【国際公開番号】WO2005/044366
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】