説明

経編地用の切断装置

切断装置は、経編地(4)のための送りデバイス(10)を備える。経編地は、各たて糸間に浮いているよこ糸(8)が配置される少なくとも2つのたて糸(6)を有する。また、切断装置は、よこ糸(8)を切り裂くための切断器具(22)と、有効糸として働く切断されたたて糸(6)のための排出デバイス(24)を備える。切断装置を改良するために、切断器具(22)は、切断されるべきよこ糸(8)を支持するように働く突出したガイドエッジ(36、38)を備えるガイド部材(32、34)からなる。ガイドエッジ(36、38)は、各ガイドエッジ間に、回転するナイフ(42)が延出する隙間(40)を形成する。また、ガイド部材(32、34)は、ガイドエッジ(36、38)から外方を向いた側に、たて糸(6)用セットバックされたガイド表面(44、46)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の序文に従う経編地用の切断装置に関する。飾り糸としても設計される有効糸は、このような切断装置によって製造することができる。
【背景技術】
【0002】
初めに述べたタイプの切断装置は公知である。この場合、切断装置は編みヘッドとバンド巻き取り部との間で編機に直接配置される。切断装置は、はさみ又はナイフを備える。公知の切断装置は複雑であり、或いは扱いが困難なため、高品質の有効糸を提供しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、初めに述べたタイプの切断装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に従って、その目的は、請求項1の特徴機能により達成される。
【0005】
切断器具は、切断されるべき経編地のよこ糸を支持するための突出したガイドエッジを有するガイド部材を備えているため、これらのガイドエッジは、各ガイドエッジ間に回転可能なナイフとの係合用の隙間を形成し、切断されるべきよこ糸の正確な案内や、また回転可能なナイフの確実な係合が確保される。この場合、よこ糸は特に、編まれたたて糸用のガイド表面によって張力が最適に付与され、前記ガイド表面は、ガイドエッジに関して横方向にセットバックされ、従って、回転可能なナイフによってよこ糸の満足のいく切断を助ける。切断装置は簡単な構造を有し、単純な操作を可能とし、満足できる有効糸を提供する。
【0006】
切断装置は編機に組み込むことができ、その場合、送りデバイスと排出デバイスは、編機の部品であってもよい。しかしながら、切断装置が編機から独立した独立ユニットとして設計される場合には一層有利である。また切断装置は、編機から分離されて動作されることができ、この利点としては、より容易にアクセス可能な点や、最適な利用が可能となる点が挙げられる。その理由として、切断装置は、編機が編むよりも実質的により速く切断できるからである。従って、独立した切断装置は、編機よりも実質的により高い出力を有する。また別個の切断装置は、編機の編み処理から発生した何らかの切断エラーによって中断されない利点を提供する。更に、別個の切断装置に関して、編機の配置に起因する構造的制約を見込む必要がない。
【0007】
切断装置の有利な実施の形態は、請求項2乃至12に定義される。
【0008】
原則として、切断器具のガイド部材は、分離されるべき経編地がスライドして通過するスライド体として設計され得る。しかしながら、請求項2に記載の実施の形態は、その実施の形態に従って、ガイド部材がナイフに沿って経編地の移動の流れを助ける回転体として設計される点でより有利である。この場合、回転体として設計されるガイド部材の駆動部を改良するために、ガイドエッジに隣接する、ガイド部材の領域がスリップを防止するように設計されているようなスリップ防止領域を有する場合に有利である。請求項3に従って、スリップ防止領域は、ゴムによるコーティングを備えても良い。請求項4に従って、粗面又は粗コーティング表面を有する実施の形態、例えばコランダム(corundum)がコーティングされた表面も可能である。しかしながら、請求項5に記載の実施の形態では、その実施の形態に従って、スリップ防止領域が、歯状リングを備えることにより特に有利となる。適切な場合として、回転可能なガイド部材に駆動部を設けることが好都合である。
【0009】
ナイフは回転自在である。しかしながら、請求項7に従って、モータによって経編地の走行速度よりも高い周速で駆動することのできる場合は、より有利である。回転するナイフの回転方向は、経編地の走行方向と反対である場合に好都合であるが、経編地の走行方向ならば、より有利である。
【0010】
請求項8に記載の切断装置の実施の形態は、その実施の形態に従って、送りデバイスと排出デバイスの両方が、キャンバーガイド部材を有し、それらのセットバック部が、編まれたたて糸を受取るように働くことが特に有利である。その結果、分離されたたて糸によって得られる、経編地の切断器具に対する最適な送りと、有効糸の最適な排出が可能となる。これらのガイド部材はスライドガイドであるが、回転可能なガイド部材として請求項9に記載の設計が、より有利である。請求項10に従って、送りデバイスは、張力デバイスとして設計される。請求項11に従って、排出デバイスは巻き取りローラを有することが好都合である。
【0011】
特に有利な切断装置は、請求項12に述べるように、切断器具がその後に配置される、たて糸間で係合し、たて糸の走行方向を横断するように制御された方法で前後に移動され得るガイドくし部を有する場合に得られる。それによって、よこ糸に沿って切断点を制御することができ、有効糸として働くと共に可変長のフリンジを有するたて糸が製造され得る。このように、有効糸の有効な特性を更に多様化させることができる。
【0012】
本発明の例示の実施の形態は、図面を参照して以下により詳細に記述する。
【発明を実施するために最良の形態】
【0013】
図1及び図2は、有効糸2を製造するための経編地4用の切断装置を示す。経編地4は、たて糸間に浮いているよこ糸8が配置される少なくとも2本の編まれたたて糸6を有する。最も簡単な例では、経編地は、図示されているように、2本のたて糸6と各たて糸間にあるよこ糸8からなる。しかしながら、一般的に経編地4は浮いているよこ糸によって互いに接続される多くのたて糸を有し、より幅が広い。
【0014】
経編地4は、各々がキャンバーガイド部16を有する張力ローラ12と偏向ローラ14によって形成される送りデバイス10を介して送られる。この場合、よこ糸8はセットバック部20において突出部18とたて糸6の上にある。経編地は切断器具22を通過するように走行し、そこで、よこ糸8が切断され、次に分離されたたて糸が排出デバイス24によって有効糸として巻き取られる。後者(排出デバイス24)は、張力ローラ12又は偏向ローラ14のキャンバーガイド部16と同様に設計されるキャンバーガイド部28を有するガイドローラ26を含む。次に、有効糸2は、下流の巻き取りローラ30によって排出される。
【0015】
切断器具22は、各ガイドエッジ間に回転可能なナイフ42が係合する隙間40を形成する突出したガイドエッジ36、38を有するガイド部材32、34を含む。ナイフ42は回転自在であり、それ以上詳細には示さないが、駆動モータに接続されるのが好ましく、また当該モータは、好ましくは、経編地4の走行方向に、経編地の走行速度よりも高い切断速度をそのナイフに付する。ガイド部材32、34は、ガイドエッジ36、38から外方を向いた側に、たて糸6用のセットバックされたガイド表面44、46を備える。ガイド部材32、34は、共に切断されるべき経編地に対してキャンバー支持表面を形成する。セットバックされたガイド表面44、46によって、たて糸6は、予めセットバック部に張力が付与され、それによって、たて糸6を接続するよこ糸8に隙間40を介して張力を付与し、従って、回転するナイフ42による満足できる切断のための最適な条件を提供する。
【0016】
ガイド部材32、34はスライドするガイドであっても良いが、それらは回転自在の回転ガイド部材として設計されると有利である。この場合、ガイドエッジ36、38に隣接する領域がスリップ防止領域48として設計されることが好都合であり、従って、通過した経編地によるガイド部材の駆動を助ける。ガイド部材32、34の信頼できる駆動のために、スリップ防止領域は歯状リング50を有し、そのリングの歯52は、よこ糸8の間で係合し、それによって回転可能なガイド部材32、34の最適な駆動を達成する。
【0017】
切断器具は、その後に配置される、より詳細には示さないが、分離されたたて糸間で係合し、且つたて糸の走行方向を横断するように制御された方法で前後に移動され得るガイドくし部54を有する。それによって、切断されるべき経編地は指定の範囲内において横方向にガイド部材でオフセットが可能であり、その結果、よこ糸8のナイフの切断点がオフセット可能となる。従って、可変長のフリンジ56を有する有効糸が製造される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】概略図における経編地用の切断装置を示す。
【図2】経編地の走行方向を横断する垂直断面における切断装置の切断領域を示す。
【符号の説明】
【0019】
2 有効糸
4 経編地
6 たて糸
8 よこ糸
10 送りデバイス
12 張力ローラ
14 偏向ローラ
16 キャンバーガイド部
18 突出部
20 セットバック部
22 切断器具
24 排出デバイス
26 ガイドローラ
28 キャンバーガイド部
30 巻き取りローラ
32 ガイド部材
34 ガイド部材
36 ガイドエッジ
38 ガイドエッジ
40 隙間
42 ナイフ
44 ガイド表面
46 ガイド表面
48 スリップ防止領域
50 歯状リング
52 歯
54 ガイドくし部
56 フリンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各たて糸(6)間に浮いているよこ糸(8)が配置される少なくとも2本のたて糸(6)を有する経編地(4)のための送りデバイス(10)と、更によこ糸(8)を切り裂くための切断器具(22)と、有効糸として働く分離されたたて糸(6)のための排出デバイス(24)を有する経編地用の切断装置であって、当該切断器具(22)は、切断されるべきよこ糸(8)を支持するための突出したガイドエッジ(36、38)を有するガイド部材(32、34)を備え、ガイドエッジ(36、38)は、各ガイドエッジ間に回転可能なナイフ(42)の係合用隙間(40)を形成し、更に、ガイド部材(32、34)は、ガイドエッジ(36、38)から外方へ向く側に、たて糸(6)用セットバックされたガイド表面(44、46)を有することを特徴とする経編地用の切断装置。
【請求項2】
当該切断器具(22)のガイド部材(32、34)は、回転体として設計され、ガイド部材(32、34)の、少なくともガイドエッジ(36、38)に隣接する領域(48)は、スリップを防止するように設計されることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
当該スリップ防止領域(48)は、ゴムよりなるコーティングを有することを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
当該スリップ防止領域(48)は、粗面又は粗コート表面を有することを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項5】
当該スリップ防止領域(48)は、歯状リング(50)を備えることを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項6】
回転可能な当該ガイド部材(32、34)は、駆動部を備えることを特徴とする請求項2に記載の切断装置。
【請求項7】
回転可能な当該ナイフ(42)は、駆動部を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の切断装置。
【請求項8】
当該送りデバイスと排出デバイス(10、24)は、キャンバーガイド部(16、28)を有し、その部分のセットバック部(20)は、たて糸(6)を受取るように働くことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の切断装置。
【請求項9】
当該ガイド部(16、28)は、回転可能であるように設計されることを特徴とする請求項8に記載の切断装置。
【請求項10】
当該送りデバイス(10)は、張力デバイスとして設計されることを特徴とする請求項9に記載の切断装置。
【請求項11】
当該排出デバイス(24)は、巻き取りローラ(30)を有することを特徴とする請求項1乃至10に記載の切断装置。
【請求項12】
当該切断装置(22)は、その後に配置される、分離されたたて糸(6)間で係合し且つたて糸(6)の走行方向を横断するように制御された方法で前後に移動され得るガイドくし部(54)を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の切断装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−518425(P2006−518425A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501442(P2006−501442)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000049
【国際公開番号】WO2004/070098
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(500031009)テクスティルマ・アクチェンゲゼルシャフト (22)
【Fターム(参考)】