経鼻内視鏡用挿入補助具
【課題】経鼻内視鏡の利用に当たって、装着者に与える不快感をできるだけ軽減することができる経鼻内視鏡用挿入補助具を提供すること。
【解決手段】経鼻内視鏡用挿入補助具10の内側には、装着者の鼻背部、鼻尖部、鼻翼部にフィットするよう滑らかな窪み11が形成されている。そして、鼻柱部に対応する側には、装着者の外鼻孔を露出させるための開口12が形成されている。経鼻内視鏡2は、装着者の画面に対して正面から挿入される場合が多いため、これを装着者の外鼻孔に挿入すると、経鼻内視鏡2のチューブは経鼻内視鏡用挿入補助具10の開口12の鼻尖部1b側の縁部12aに接触し、経鼻内視鏡2と外鼻孔の周辺とが接触するのを防ぐことができる。
【解決手段】経鼻内視鏡用挿入補助具10の内側には、装着者の鼻背部、鼻尖部、鼻翼部にフィットするよう滑らかな窪み11が形成されている。そして、鼻柱部に対応する側には、装着者の外鼻孔を露出させるための開口12が形成されている。経鼻内視鏡2は、装着者の画面に対して正面から挿入される場合が多いため、これを装着者の外鼻孔に挿入すると、経鼻内視鏡2のチューブは経鼻内視鏡用挿入補助具10の開口12の鼻尖部1b側の縁部12aに接触し、経鼻内視鏡2と外鼻孔の周辺とが接触するのを防ぐことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経鼻内視鏡を外鼻孔から挿入する際に用いられる経鼻内視鏡用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
上部消化器官の検査に当たり、経口内視鏡に代えて経鼻内視鏡が利用される機会が増えている。経鼻内視鏡では、咽頭反射が起きにくく、被検者の負担が軽減されるため、今後も検査に利用される機会は拡大すると考えられる。
【0003】
経口内視鏡を使用する場合には、被検者にマウスピースをくわえてもらい、このマウスピースを介して内視鏡を挿入している。経鼻内視鏡用の器具としては、例えば特許文献1に開示されるように、外鼻孔に挿入して使用される器具が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−326063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される器具は、外鼻孔に挿入して使用されるため、装着時には外鼻孔が押し拡げられ、かつ、経鼻内視鏡の引き出し方向を変えたり、装着者が姿勢を変えたりした場合には、器具が挿入されている外鼻孔に内側から力がかり、装着者に不快感を与えやすい。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、経鼻内視鏡の利用に当たって、装着者に与える不快感をできるだけ軽減することができる経鼻内視鏡用挿入補助具を提供することを目的(課題)とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために案出された本発明の経鼻内視鏡用挿入補助具は、装着者の鼻背部、鼻尖部、鼻翼部にフィットするよう内側に窪みが形成され、鼻柱部側に外鼻孔を露出させる開口が形成され、この開口の鼻尖部側の縁部を挿入される経鼻内視鏡に接触させることにより、経鼻内視鏡と外鼻孔の周辺とが接触するのを防ぐようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記の経鼻内視鏡用挿入補助具は、全体を弾性材料により形成してもよいし、外面部を弾性材料により形成し、装着者の鼻に接触する内面部を弾性材料より柔軟な軟性材料により形成してもよい。
【0009】
内面部と外面部とを別部材とする場合には、内面部を外面部に対して着脱可能にすることもできる。また、外面部と内面部との間に、硬性材料により形成された中間部材を設けてもよい。
【0010】
さらに、経鼻内視鏡用挿入補助具を装着者に固定するためのベルトやゴムバンド等の固定具を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる経鼻内視鏡用挿入補助具を装着すれば、経鼻内視鏡を引っ張るなどしても、経鼻内視鏡は開口の鼻尖部側の縁部に接触し、外鼻孔の周辺には接触せず、装着者に鼻が引っ張られるような不快感を与えない。また、装着されるのが鼻の外側であり、鼻の外面全体で力を受けるため、外鼻孔内に装着する従来例と比較して、装着時の外鼻孔が拡げられるような不快感が少なく、しかも、経鼻内視鏡の引き出し方向を変えたり、装着者が姿勢を変えたりした場合にも、外鼻孔に内側から力がかかることはなく、装着者に与える不快感を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、添付図面に基づいて、本発明を実施するための形態を説明する。図1〜図10は実施例1及びその変形例、図11〜図17は実施例2及びその変形例を示す。以下、順に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1の経鼻内視鏡用挿入補助具10の側面図、図2、図3、図4は、それぞれ経鼻内視鏡用挿入補助具10の平面図、正面図、断面図である。これらの図に示されるように、実施例1の経鼻内視鏡用挿入補助具10の外形は、装着者の鼻全体を外側から覆うように、平面的には装着者の鼻筋に沿って先細りとなる三角形状、正面から見ると中央が高い山形であり、中心を通る稜線が先端に向けて低くなるように形成されている。
【0014】
また、経鼻内視鏡用挿入補助具10の内側には、装着者の鼻背部、鼻尖部、鼻翼部にフィットするよう滑らかな窪み11が形成されている。そして、鼻柱部に対応する側には、装着者の外鼻孔を露出させるための開口12が形成されている。開口12は、ほぼ台形状であり、この開口12の鼻尖部側の縁部12aは、図4に示すように外鼻孔側に垂れ下がるように形成されている。
【0015】
実施例1の経鼻内視鏡用挿入補助具10は、全体が弾性材料により一体に形成されている。補助具10は、装着者の鼻に負担のかからない程度の柔軟性を持つ必要があり、弾性材料としては、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタン等を用いることができる。弾性部材で構成されることにより、装着者の個人差に合わせて変形させることができる。
【0016】
次に、実施例1の経鼻内視鏡用挿入補助具10を装着者の鼻に装着した状態を図5及び図6に基づいて説明する。図5は装着状態の断面図、図6は経鼻内視鏡を挿入した状態を示す装着状態の断面図である。
【0017】
図5に示すように、装着者の鼻1には、鼻背部1a、鼻尖部1b、鼻翼部1c、鼻柱部1dが存在する。経鼻内視鏡用挿入補助具10を鼻1に装着すると、窪み11が鼻背部1a、鼻尖部1b、鼻翼部1cにフィットし、鼻柱部1d側に形成された開口12は外鼻孔を露出させる。
【0018】
図6に示されるように、経鼻内視鏡2は、装着者の画面に対して正面から挿入される場合が多いため、これを装着者の外鼻孔に挿入すると、経鼻内視鏡2のチューブは経鼻内視鏡用挿入補助具10の開口12の鼻尖部1b側の縁部12aに接触し、経鼻内視鏡2と外鼻孔の周辺とが接触するのを防ぐことができる。
【0019】
このため、経鼻内視鏡用挿入補助具10が経鼻内視鏡2を使用する際のクッションとしての役割を果たし、鼻が引っ張られたり、外鼻孔が拡げられたりすることがなく、装着者の不快感を軽減することができる。
【0020】
次に、実施例1の変形例を図7〜図10に示す。図7、図8、図9は、それぞれ変形例の経鼻内視鏡用挿入補助具10Aの側面図、平面図、正面図であり、図10は装着状態を示す側面図である。変形例の経鼻内視鏡用挿入補助具10Aは、基本的な構成は実施例1と同一であるが、装着者に固定するための固定具を備える点が異なる。
【0021】
すなわち、経鼻内視鏡用挿入補助具10Aには、ベルト通しの貫通孔13が稜線の下を横切るように形成され、この貫通孔13に固定具としてベルト14が通されている。ベルト14の端部には、一面に面ファスナー15が貼り付けられており、装着者はベルト14を頭部に回して面ファスナー15で留めることにより、経鼻内視鏡用挿入補助具10Aを確実に鼻に装着することができる。
【実施例2】
【0022】
次に、実施例2について説明する。図11は、実施例2の経鼻内視鏡用挿入補助具20の側面図、図12、図13、図14は、それぞれ経鼻内視鏡用挿入補助具20の平面図、正面図、断面図である。これらの図に示されるように、実施例2の経鼻内視鏡用挿入補助具20の外形は、実施例1の補助具10と共通であり、装着者の鼻全体を外側から覆うように、平面的には装着者の鼻筋に沿って先細りとなる三角形状、正面から見ると中央が高い山形であり、中心を通る稜線が先端に向けて低くなるように形成されている。
【0023】
また、経鼻内視鏡用挿入補助具20の内側には、装着者の鼻背部、鼻尖部、鼻翼部にフィットするよう滑らかな窪み21が形成されている。そして、鼻柱部に対応する側には、装着者の外鼻孔を露出させるための開口22が形成されている。開口22は、ほぼ台形状であり、この開口22の鼻尖部側の縁部22aは、図14に示すように外鼻孔側に垂れ下がるように形成されている。
【0024】
実施例2の経鼻内視鏡用挿入補助具20は、最も外周側を覆う外面部23、装着者の鼻に接触する内面部24、そして、これらの間に配置された中間部材25により3層構造で構成されている。外面部23は、シリコンゴム等の弾性材料により形成されている。装着者の鼻に接触する内面部24は、弾性材料より柔軟なゲル状の軟性材料により形成されている。そして、中間部材25は、プラスチック等の構成材料により形成されている。
【0025】
内面部24は、図14に示すように、図中左側となる先端側から開口22に接する部位にまで設けられている。中間部材25は、先端側から鼻尖部に対応する部分にまで設けられている。内面部24が柔軟な軟性材料により形成されているため、装着者に多少の個人差があっても、それぞれの装着者の鼻に合わせて内面部24が変形し、フィットさせることができる。
【0026】
なお、内面部24と中間部材25とは接着されて一体化しており、中間部材25は外面部23に対して図示せぬ係合部により着脱可能に取り付けられている。このため、装着者の個人差を考慮して異なるサイズの内面部24を用意しておけば、多くの装着者に対してより確実にフィットさせることができる。また、装着者に応じて内面部24と中間部材25とが一体化したユニットを交換すれば、全体を交換するより低いコストで衛生に配慮することができる。
【0027】
次に、実施例2の経鼻内視鏡用挿入補助具20を装着者の鼻に装着した状態を図15及び図16に基づいて説明する。図15は装着状態の断面図、図16は経鼻内視鏡を挿入した状態を示す装着状態の断面図である。
【0028】
図15に示すように、経鼻内視鏡用挿入補助具20を鼻1に装着すると、内面部24の内側(窪み21)が鼻背部1a、鼻尖部1b、鼻翼部1cにフィットし、鼻柱部1d側に形成された開口22は外鼻孔を露出させる。
【0029】
図16に示されるように、経鼻内視鏡2を装着者の外鼻孔に挿入すると、経鼻内視鏡2のチューブは経鼻内視鏡用挿入補助具20の開口22の鼻尖部1b側の縁部22aに接触し、経鼻内視鏡2と外鼻孔の周辺とが接触するのを防ぐことができる。
【0030】
このため、経鼻内視鏡用挿入補助具20が経鼻内視鏡2を使用する際のクッションとしての役割を果たし、鼻が引っ張られたり、外鼻孔が拡げられたりすることがなく、装着者の不快感を軽減することができる。
【0031】
図17は、実施例2の変形例の経鼻内視鏡用挿入補助具20Aの側面図である。変形例の経鼻内視鏡用挿入補助具20Aは、基本的な構成は実施例2と同一であるが、装着者に固定するための固定具を備える点が異なる。
【0032】
すなわち、経鼻内視鏡用挿入補助具20Aには、ベルト通しの貫通孔26が稜線の下を横切るように形成され、この貫通孔26に固定具としてベルト27が通されている。ベルト27の端部には、一面に面ファスナー28が貼り付けられており、装着者はベルト27を頭部に回して面ファスナー28で留めることにより、経鼻内視鏡用挿入補助具20Aを確実に鼻に装着することができる。
【0033】
なお、いずれの実施例でも、経鼻内視鏡用挿入補助具を頭部に回すベルトを面ファスナーで留めるようにしているが、ベルトを短くして両端にリング状の耳かけを形成し、耳にかけて留めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1にかかる経鼻内視鏡用挿入補助具の側面図である。
【図2】図1の経鼻内視鏡用挿入補助具の平面図である。
【図3】図1の経鼻内視鏡用挿入補助具の正面図である。
【図4】図1の経鼻内視鏡用挿入補助具の断面図である。
【図5】図1の経鼻内視鏡用挿入補助具を装着者の鼻に装着した状態を示す断面図である。
【図6】図1の経鼻内視鏡用挿入補助具を装着者の鼻に装着し、経鼻内視鏡を挿入した状態を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例1の変形例にかかる経鼻内視鏡用挿入補助具の側面図である。
【図8】図7の経鼻内視鏡用挿入補助具の平面図である。
【図9】図7の経鼻内視鏡用挿入補助具の正面図である。
【図10】図7の経鼻内視鏡用挿入補助具の断面図である。
【図11】本発明の実施例2にかかる経鼻内視鏡用挿入補助具の側面図である。
【図12】図11の経鼻内視鏡用挿入補助具の平面図である。
【図13】図11の経鼻内視鏡用挿入補助具の正面図である。
【図14】図11の経鼻内視鏡用挿入補助具の断面図である。
【図15】図11の経鼻内視鏡用挿入補助具を装着者の鼻に装着した状態を示す断面図である。
【図16】図11の経鼻内視鏡用挿入補助具を装着者の鼻に装着し、経鼻内視鏡を挿入した状態を示す断面図である。
【図17】本発明の実施例2の変形例にかかる経鼻内視鏡用挿入補助具の側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 鼻
2 経鼻内視鏡
10,20 経鼻内視鏡用挿入補助具
11 窪み
12 開口
13,26 貫通孔
14,27 ベルト
15,28 面ファスナー
23 外面部
24 内面部
25 中間部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、経鼻内視鏡を外鼻孔から挿入する際に用いられる経鼻内視鏡用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
上部消化器官の検査に当たり、経口内視鏡に代えて経鼻内視鏡が利用される機会が増えている。経鼻内視鏡では、咽頭反射が起きにくく、被検者の負担が軽減されるため、今後も検査に利用される機会は拡大すると考えられる。
【0003】
経口内視鏡を使用する場合には、被検者にマウスピースをくわえてもらい、このマウスピースを介して内視鏡を挿入している。経鼻内視鏡用の器具としては、例えば特許文献1に開示されるように、外鼻孔に挿入して使用される器具が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−326063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される器具は、外鼻孔に挿入して使用されるため、装着時には外鼻孔が押し拡げられ、かつ、経鼻内視鏡の引き出し方向を変えたり、装着者が姿勢を変えたりした場合には、器具が挿入されている外鼻孔に内側から力がかり、装着者に不快感を与えやすい。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、経鼻内視鏡の利用に当たって、装着者に与える不快感をできるだけ軽減することができる経鼻内視鏡用挿入補助具を提供することを目的(課題)とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために案出された本発明の経鼻内視鏡用挿入補助具は、装着者の鼻背部、鼻尖部、鼻翼部にフィットするよう内側に窪みが形成され、鼻柱部側に外鼻孔を露出させる開口が形成され、この開口の鼻尖部側の縁部を挿入される経鼻内視鏡に接触させることにより、経鼻内視鏡と外鼻孔の周辺とが接触するのを防ぐようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記の経鼻内視鏡用挿入補助具は、全体を弾性材料により形成してもよいし、外面部を弾性材料により形成し、装着者の鼻に接触する内面部を弾性材料より柔軟な軟性材料により形成してもよい。
【0009】
内面部と外面部とを別部材とする場合には、内面部を外面部に対して着脱可能にすることもできる。また、外面部と内面部との間に、硬性材料により形成された中間部材を設けてもよい。
【0010】
さらに、経鼻内視鏡用挿入補助具を装着者に固定するためのベルトやゴムバンド等の固定具を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる経鼻内視鏡用挿入補助具を装着すれば、経鼻内視鏡を引っ張るなどしても、経鼻内視鏡は開口の鼻尖部側の縁部に接触し、外鼻孔の周辺には接触せず、装着者に鼻が引っ張られるような不快感を与えない。また、装着されるのが鼻の外側であり、鼻の外面全体で力を受けるため、外鼻孔内に装着する従来例と比較して、装着時の外鼻孔が拡げられるような不快感が少なく、しかも、経鼻内視鏡の引き出し方向を変えたり、装着者が姿勢を変えたりした場合にも、外鼻孔に内側から力がかかることはなく、装着者に与える不快感を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、添付図面に基づいて、本発明を実施するための形態を説明する。図1〜図10は実施例1及びその変形例、図11〜図17は実施例2及びその変形例を示す。以下、順に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、実施例1の経鼻内視鏡用挿入補助具10の側面図、図2、図3、図4は、それぞれ経鼻内視鏡用挿入補助具10の平面図、正面図、断面図である。これらの図に示されるように、実施例1の経鼻内視鏡用挿入補助具10の外形は、装着者の鼻全体を外側から覆うように、平面的には装着者の鼻筋に沿って先細りとなる三角形状、正面から見ると中央が高い山形であり、中心を通る稜線が先端に向けて低くなるように形成されている。
【0014】
また、経鼻内視鏡用挿入補助具10の内側には、装着者の鼻背部、鼻尖部、鼻翼部にフィットするよう滑らかな窪み11が形成されている。そして、鼻柱部に対応する側には、装着者の外鼻孔を露出させるための開口12が形成されている。開口12は、ほぼ台形状であり、この開口12の鼻尖部側の縁部12aは、図4に示すように外鼻孔側に垂れ下がるように形成されている。
【0015】
実施例1の経鼻内視鏡用挿入補助具10は、全体が弾性材料により一体に形成されている。補助具10は、装着者の鼻に負担のかからない程度の柔軟性を持つ必要があり、弾性材料としては、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタン等を用いることができる。弾性部材で構成されることにより、装着者の個人差に合わせて変形させることができる。
【0016】
次に、実施例1の経鼻内視鏡用挿入補助具10を装着者の鼻に装着した状態を図5及び図6に基づいて説明する。図5は装着状態の断面図、図6は経鼻内視鏡を挿入した状態を示す装着状態の断面図である。
【0017】
図5に示すように、装着者の鼻1には、鼻背部1a、鼻尖部1b、鼻翼部1c、鼻柱部1dが存在する。経鼻内視鏡用挿入補助具10を鼻1に装着すると、窪み11が鼻背部1a、鼻尖部1b、鼻翼部1cにフィットし、鼻柱部1d側に形成された開口12は外鼻孔を露出させる。
【0018】
図6に示されるように、経鼻内視鏡2は、装着者の画面に対して正面から挿入される場合が多いため、これを装着者の外鼻孔に挿入すると、経鼻内視鏡2のチューブは経鼻内視鏡用挿入補助具10の開口12の鼻尖部1b側の縁部12aに接触し、経鼻内視鏡2と外鼻孔の周辺とが接触するのを防ぐことができる。
【0019】
このため、経鼻内視鏡用挿入補助具10が経鼻内視鏡2を使用する際のクッションとしての役割を果たし、鼻が引っ張られたり、外鼻孔が拡げられたりすることがなく、装着者の不快感を軽減することができる。
【0020】
次に、実施例1の変形例を図7〜図10に示す。図7、図8、図9は、それぞれ変形例の経鼻内視鏡用挿入補助具10Aの側面図、平面図、正面図であり、図10は装着状態を示す側面図である。変形例の経鼻内視鏡用挿入補助具10Aは、基本的な構成は実施例1と同一であるが、装着者に固定するための固定具を備える点が異なる。
【0021】
すなわち、経鼻内視鏡用挿入補助具10Aには、ベルト通しの貫通孔13が稜線の下を横切るように形成され、この貫通孔13に固定具としてベルト14が通されている。ベルト14の端部には、一面に面ファスナー15が貼り付けられており、装着者はベルト14を頭部に回して面ファスナー15で留めることにより、経鼻内視鏡用挿入補助具10Aを確実に鼻に装着することができる。
【実施例2】
【0022】
次に、実施例2について説明する。図11は、実施例2の経鼻内視鏡用挿入補助具20の側面図、図12、図13、図14は、それぞれ経鼻内視鏡用挿入補助具20の平面図、正面図、断面図である。これらの図に示されるように、実施例2の経鼻内視鏡用挿入補助具20の外形は、実施例1の補助具10と共通であり、装着者の鼻全体を外側から覆うように、平面的には装着者の鼻筋に沿って先細りとなる三角形状、正面から見ると中央が高い山形であり、中心を通る稜線が先端に向けて低くなるように形成されている。
【0023】
また、経鼻内視鏡用挿入補助具20の内側には、装着者の鼻背部、鼻尖部、鼻翼部にフィットするよう滑らかな窪み21が形成されている。そして、鼻柱部に対応する側には、装着者の外鼻孔を露出させるための開口22が形成されている。開口22は、ほぼ台形状であり、この開口22の鼻尖部側の縁部22aは、図14に示すように外鼻孔側に垂れ下がるように形成されている。
【0024】
実施例2の経鼻内視鏡用挿入補助具20は、最も外周側を覆う外面部23、装着者の鼻に接触する内面部24、そして、これらの間に配置された中間部材25により3層構造で構成されている。外面部23は、シリコンゴム等の弾性材料により形成されている。装着者の鼻に接触する内面部24は、弾性材料より柔軟なゲル状の軟性材料により形成されている。そして、中間部材25は、プラスチック等の構成材料により形成されている。
【0025】
内面部24は、図14に示すように、図中左側となる先端側から開口22に接する部位にまで設けられている。中間部材25は、先端側から鼻尖部に対応する部分にまで設けられている。内面部24が柔軟な軟性材料により形成されているため、装着者に多少の個人差があっても、それぞれの装着者の鼻に合わせて内面部24が変形し、フィットさせることができる。
【0026】
なお、内面部24と中間部材25とは接着されて一体化しており、中間部材25は外面部23に対して図示せぬ係合部により着脱可能に取り付けられている。このため、装着者の個人差を考慮して異なるサイズの内面部24を用意しておけば、多くの装着者に対してより確実にフィットさせることができる。また、装着者に応じて内面部24と中間部材25とが一体化したユニットを交換すれば、全体を交換するより低いコストで衛生に配慮することができる。
【0027】
次に、実施例2の経鼻内視鏡用挿入補助具20を装着者の鼻に装着した状態を図15及び図16に基づいて説明する。図15は装着状態の断面図、図16は経鼻内視鏡を挿入した状態を示す装着状態の断面図である。
【0028】
図15に示すように、経鼻内視鏡用挿入補助具20を鼻1に装着すると、内面部24の内側(窪み21)が鼻背部1a、鼻尖部1b、鼻翼部1cにフィットし、鼻柱部1d側に形成された開口22は外鼻孔を露出させる。
【0029】
図16に示されるように、経鼻内視鏡2を装着者の外鼻孔に挿入すると、経鼻内視鏡2のチューブは経鼻内視鏡用挿入補助具20の開口22の鼻尖部1b側の縁部22aに接触し、経鼻内視鏡2と外鼻孔の周辺とが接触するのを防ぐことができる。
【0030】
このため、経鼻内視鏡用挿入補助具20が経鼻内視鏡2を使用する際のクッションとしての役割を果たし、鼻が引っ張られたり、外鼻孔が拡げられたりすることがなく、装着者の不快感を軽減することができる。
【0031】
図17は、実施例2の変形例の経鼻内視鏡用挿入補助具20Aの側面図である。変形例の経鼻内視鏡用挿入補助具20Aは、基本的な構成は実施例2と同一であるが、装着者に固定するための固定具を備える点が異なる。
【0032】
すなわち、経鼻内視鏡用挿入補助具20Aには、ベルト通しの貫通孔26が稜線の下を横切るように形成され、この貫通孔26に固定具としてベルト27が通されている。ベルト27の端部には、一面に面ファスナー28が貼り付けられており、装着者はベルト27を頭部に回して面ファスナー28で留めることにより、経鼻内視鏡用挿入補助具20Aを確実に鼻に装着することができる。
【0033】
なお、いずれの実施例でも、経鼻内視鏡用挿入補助具を頭部に回すベルトを面ファスナーで留めるようにしているが、ベルトを短くして両端にリング状の耳かけを形成し、耳にかけて留めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例1にかかる経鼻内視鏡用挿入補助具の側面図である。
【図2】図1の経鼻内視鏡用挿入補助具の平面図である。
【図3】図1の経鼻内視鏡用挿入補助具の正面図である。
【図4】図1の経鼻内視鏡用挿入補助具の断面図である。
【図5】図1の経鼻内視鏡用挿入補助具を装着者の鼻に装着した状態を示す断面図である。
【図6】図1の経鼻内視鏡用挿入補助具を装着者の鼻に装着し、経鼻内視鏡を挿入した状態を示す断面図である。
【図7】本発明の実施例1の変形例にかかる経鼻内視鏡用挿入補助具の側面図である。
【図8】図7の経鼻内視鏡用挿入補助具の平面図である。
【図9】図7の経鼻内視鏡用挿入補助具の正面図である。
【図10】図7の経鼻内視鏡用挿入補助具の断面図である。
【図11】本発明の実施例2にかかる経鼻内視鏡用挿入補助具の側面図である。
【図12】図11の経鼻内視鏡用挿入補助具の平面図である。
【図13】図11の経鼻内視鏡用挿入補助具の正面図である。
【図14】図11の経鼻内視鏡用挿入補助具の断面図である。
【図15】図11の経鼻内視鏡用挿入補助具を装着者の鼻に装着した状態を示す断面図である。
【図16】図11の経鼻内視鏡用挿入補助具を装着者の鼻に装着し、経鼻内視鏡を挿入した状態を示す断面図である。
【図17】本発明の実施例2の変形例にかかる経鼻内視鏡用挿入補助具の側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 鼻
2 経鼻内視鏡
10,20 経鼻内視鏡用挿入補助具
11 窪み
12 開口
13,26 貫通孔
14,27 ベルト
15,28 面ファスナー
23 外面部
24 内面部
25 中間部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経鼻内視鏡を外鼻孔から挿入する際に用いられる経鼻内視鏡用補助具において、
装着者の鼻背部、鼻尖部、鼻翼部にフィットするよう内側に窪みが形成され、鼻柱部側に外鼻孔を露出させる開口が形成され、該開口の鼻尖部側の縁部を挿入される経鼻内視鏡に接触させることにより、経鼻内視鏡と外鼻孔の周辺とが接触するのを防ぐようにしたことを特徴とする経鼻内視鏡用挿入補助具。
【請求項2】
全体が弾性材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の経鼻内視鏡用挿入補助具。
【請求項3】
外面部が弾性材料により形成され、装着者の鼻に接触する内面部は前記弾性材料より柔軟な軟性材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の経鼻内視鏡用挿入補助具。
【請求項4】
前記内面部が前記外面部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項3に記載の経鼻内視鏡用挿入補助具。
【請求項5】
前記外面部と前記内面部との間に、硬性材料により形成された中間部材が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の経鼻内視鏡用挿入補助具。
【請求項6】
装着者に固定するための固定具を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の経鼻内視鏡用挿入補助具。
【請求項1】
経鼻内視鏡を外鼻孔から挿入する際に用いられる経鼻内視鏡用補助具において、
装着者の鼻背部、鼻尖部、鼻翼部にフィットするよう内側に窪みが形成され、鼻柱部側に外鼻孔を露出させる開口が形成され、該開口の鼻尖部側の縁部を挿入される経鼻内視鏡に接触させることにより、経鼻内視鏡と外鼻孔の周辺とが接触するのを防ぐようにしたことを特徴とする経鼻内視鏡用挿入補助具。
【請求項2】
全体が弾性材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の経鼻内視鏡用挿入補助具。
【請求項3】
外面部が弾性材料により形成され、装着者の鼻に接触する内面部は前記弾性材料より柔軟な軟性材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の経鼻内視鏡用挿入補助具。
【請求項4】
前記内面部が前記外面部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項3に記載の経鼻内視鏡用挿入補助具。
【請求項5】
前記外面部と前記内面部との間に、硬性材料により形成された中間部材が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の経鼻内視鏡用挿入補助具。
【請求項6】
装着者に固定するための固定具を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の経鼻内視鏡用挿入補助具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−325(P2009−325A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164590(P2007−164590)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
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