説明

結合された強度の投影

本発明は、ボリュームの画像データのセットに基づいて画像をレンダリングするシステム100に関し、当該システムは、ボリュームの画像データのセットに含まれる対応するボクセルの対応するボクセル強度により定義される、画像のある画素の最初の画素強度を計算する計算ユニット110、最初の画素強度と対応するボクセルの位置とに基づいて、画素の最後の画素強度を計算する調節ユニット120を有する。したがって、本発明のシステムは、ボリュームの画像データのセットの視覚化を可能にする。有利なことに、画像データセットに含まれるボクセルの強度の調節を必要とするVIP技術を使用したシステムとは異なり、本発明のシステムは、画素の強度を調節する。これは、VIP技術の計算の複雑度に関して、本システムにより採用されるレンダリング技術の計算の複雑さを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療画像データの視覚化に関し、より詳細には、ボリュームの医療画像データの視覚化に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの観点から、ボリュームの視覚化(volume visualization)により、ユーザは、ボリュームの画像データのセットを迅速に調べ、放射線医師のようなユーザにとって関心のある領域を選択することができる。MIP(maximum intensity projection)、CVP(closest vessel projection)及びAIP(average intensity projection)のようなアルゴリズムは、レイキャスティング(ray casting)に基づいている。表示された画像のそれぞれの画素について、前記画素から、典型的にはスラブである画像データのボリュームを通してレイ(視線)が射出される。射出されたレイに沿ったボクセルの強度に基づいて、画素の強度が計算される。MIPについて、画素の強度は、最高の強度を有する射出されたレイに沿ったボクセルの強度である。CVPについて、画素の強度は、おそらくCVP閾値よりも大きいローカルの最高強度である、最高強度を有する射出されたレイに沿った第一のボクセルの強度である。AIPについて、画素の強度は、射出されたレイに沿ったボクセルの強度の平均である。しかし、これらの画像に含まれる情報は、射出されたレイに沿った画素の位置を考慮していない。
【0003】
近年、Philips Medical SystemsによりVIP(volume intensity projection)と呼ばれる新たな手法が導入された。VIPの考えは、ある画素から射出されたレイに沿ったボクセルの強度は、重み要素で乗算される。あるボクセルから前記画素への距離が長くなると、重み要素が小さくなる。次いで、重み付けされた強度をもつボクセルが使用され、たとえばMIPを使用して画像が計算される。
【0004】
現在のレンダリング技術は、それらの利点及び問題点を有する。たとえば、あるボリュームは、僅かに異なる輝度をもつ互いに近い多数の血管を含むことを想定している。VIP技術をこのケースに適用するとき、ビューイングプレーン(viewing plane)から更に離れた血管は、ビューイングプレーンに近い血管よりも暗く見え、このことは、放射線医師に対して、ビューイングプレーンから更に離れた血管が、ビューイングプレーンに近い血管よりも血液の流れが少ないという誤った印象を与える場合がある。他方で、あるボリュームが、脊椎の上に大動脈を含み、大動脈と脊椎の両者が同様に強度を有すると想定する。VIP技術をこのケースに適用することは、脊椎よりも大動脈が明るく見える結果となる。また、他のレンダリング技術は、ボリュームの画像データセットを視覚化するために有効な場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
視覚化されたボリュームの画像データセットに関する更なる情報を提供可能な新たなレンダリング技術を使用した、ボリュームの画像データのセットに基づいて画像をレンダリングするシステムを有することが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に対処するため、本発明の態様では、あるボリュームの画像データのセットに基づいて画像をレンダリングするシステムは、以下を有する。計算ユニットは、ボリュームの画像データのセットに含まれる対応するボクセルの対応するボクセル強度により定義される画像の画素の最初の画素強度を計算する。調節ユニットは、最初の画素の強度と対応するボクセルの位置とに基づいて、画素の最終的な画素強度を計算する。
【0007】
計算ユニットは、限定されるものではないが、MIP及びCVPといった様々なレンダリング方法を採用して、最初の画素の強度を計算する場合がある。調節ユニットは、たとえばMIPのケースにおいて、対応するボクセルの位置に基づいて、計算された最初の画素の強度を調節可能であり、あるボクセルは、最初の強度を計算するために計算ユニットにより使用される、前記画素から射出されたレイに関して、ボクセルのうちで最高の強度を有する。たとえば、最終的な画素強度は、画素を含むビューイングプレーンへの前記対応するボクセルの距離に比例して弱くなる場合がある。したがって、本発明のシステムは、ボリュームの画像データのセットの新たな視覚化を可能にする。システムが上手く適用される場合があるボリュームの画像データのセットの例は、後景において僅かに異なる強度をもつ、互いに接近した微小な交差する血管を含む画像である。有利なことに、画像データセットに含まれるボクセルの強度を調節するのを必要とするVIP技術を使用したシステムとは異なり、本発明のシステムは、画素の強度を調節するために構成される。これは、VIP技術の計算上の複雑さに関して、システムにより採用されるレンダリング技術の計算上の複雑さを低減する。
【0008】
システムの実施の形態では、システムは、対応するボクセルの位置に基づいて、画素の画素重みを計算する重みユニットを更に有し、最後の画素強度は、最初の画素強度と画素の重みとの積である。最初の画素の強度と画素の重みとの積として最後の画素の強度を定義することは、実現が簡単であり、解釈するのが容易である。典型的に、画素の重みは、画像の前景における構造の視覚化を強調し、画像の後景における構造の視覚化を抑圧するために定義される。
【0009】
本発明の実施の形態では、直交レイキャスティング(orthogonal ray casting)を使用して画像が低減され、最終的な画素強度は、対応するボクセルからビューイングプレーンまでの距離に依存する。これにより、MIP及びCVPのような多くのレンダリング技術では視覚化されない、ボクセルの深さを視覚化することができる。
【0010】
システムの実施の形態では、MIP又はCVPに基づいて最初の画素強度が計算される。これら計算的に安価なレンダリング技術は高速であり、システムの大部分のユーザ、放射線医師のような医療の専門家は、これらの技術の少なくとも1つに慣れている。
【0011】
システムの実施の形態では、ユーザ入力に基づいて画素の重みが計算される。この重みは、重み関数に基づいて計算される。重み関数は、対応するボクセルからビューイングプレーンへの距離の関数である場合がある。システムは、重み関数を決定する手段を有する。たとえば、重み関数は、幾つかのユーザ定義された制御ポイントにより制御されるBスプライン又はBezier曲線を使用して定義される。これにより、ユーザは、最適な画像をレンダリングするために重みを操作することができる。
【0012】
本発明の更なる態様では、本発明に係るシステムは、画像取得装置に含まれる。
本発明の更なる態様では、本発明に係るシステムは、ワークステーションに含まれる。
【0013】
本発明の更なる態様では、ボリュームの画像データのセットに基づいて画像をレンダリングする方法は、以下を含む。計算ステップは、ボリュームの画像データのセットに含まれる対応するボクセルの対応するボクセル強度により定義される画像の画素の最初の画素強度を計算する。調節ステップは、最初の画素強度に基づいて、及び対応するボクセルの位置に基づいて、画素の最後の画素強度を計算する。
【0014】
本発明の更なる態様では、コンピュータアレンジメントによりロードされるコンピュータプログラムは、ボリュームの画像データのセットに基づいて画像をレンダリングする命令を含み、コンピュータアレンジメントは、処理ユニット及びメモリを有し、当該コンピュータプログラムは、ロードされた後に、前記処理ユニットに以下のタスクを実行する機能を提供する。ボリュームの画像データのセットに含まれる対応するボクセルの対応するボクセルの強度により定義される画像の画素の最初の画素強度を計算すること、及び最初の画素の強度に基づいて、及び対応するボクセルの位置に基づいて、該画素の最後の画素強度を計算すること。
【0015】
画像取得する装置の変更及び変形、ワークステーションの変更及び変形、方法の変更及び変形、及び/又は、コンピュータプログラムの変更及び変形は、当該システムの変更及び変形に対応するものであり、本発明の説明に基づいて当業者により実行することができる。
【0016】
当業者であれば、本方法は、限定されるものではないが、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、US(Ultrasound)、PET(Positron Emission Tomography)、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)及びNM(Nuclear Medicine)といった様々な取得様式により取得される、ボリュームの、すなわち3次元(3D)及び4次元(4D)の画像データに適用される場合があることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に記載される実現及び実施の形態に関して、及び添付図面を参照して明らかとなるであろう。図面を通して類似の部材を示すため、同じ参照符号が使用される。
【図1】システムの例示的な実施の形態のブロック図を概念的に示す図である。
【図2】MIP及びCVPを使用した最初の強度の計算を概念的に例示する図である。
【図3】線形重み付け関数に基づいて画素の重み要素を決定する例示的な制御パネルを示す図である。
【図4】非線形重み関数に基づいて画素の重み要素を決定する例示的な制御パネルを示す図である。
【図5】本方法の例示的な実現を説明するフローチャートである。
【図6】画像取得装置の例示的な実施の形態を概念的に示す図である。
【図7】ワークステーションの例示的な実施の形態を概念的に示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、ボリュームの画像データのセットに基づいて画像をレンダリングするシステム100の例示的な実施の形態のブロック図を概念的に示しており、当該システムは、ボリュームの画像データのセットに含まれる対応するボクセルの対応するボクセルの強度により定義される画像の画素の最初の画素強度を計算する計算ユニット110、及び最初の画素強度に基づいて、対応するボクセルの位置に基づいて、その画素の最後の画素強度を計算する調節ユニット120を有する。
【0019】
当該システム100の例示的な実施の形態は、以下の任意のユニットを更に有する。重みユニット115は、対応するボクセルの位置に基づいて画素の重みを計算し、最後の画素強度は、画素の強度と画素の重みとの積である。制御ユニット160は、システム100における動作を制御する。ユーザインタフェース165は、システム100のユーザと通信する。メモリユニット170は、データを記憶する。
【0020】
システム100の実施の形態では、到来するデータ用の3つの入力コネクタ181,182及び183が存在する。第一の入力コネクタ181は、限定されるものではないが、ハードディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ又は光ディスクのようなデータストレージ手段から到来するデータを受ける。第二の入力コネクタ182は、限定されるものではないが、マウス又はタッチスクリーンのようなユーザ入力装置から到来するデータを受ける。第三の入力コネクタ183は、キーボードのようなユーザ入力装置から到来するデータを受ける。入力コネクタ181,182及び183は、入力制御ユニット180に接続される。
【0021】
システム100の実施の形態では、出力されるデータ用の2つの出力コネクタ191及び192が存在する。第一の出力コネクタ191は、ハードディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ又は光ディスクのようなデータストレージ手段にデータを出力する。第二の出力コネクタ192は、表示装置にデータを出力する。出力コネクタ191及び192は、出力制御ユニット190を介してそれぞれのデータを受ける。
【0022】
当業者であれば、システム100の入力装置を入力コネクタ181,182及び183に接続し、出力装置を出力コネクタ191及び192に接続する多くのやり方が存在することを理解されるであろう。これらのやり方は、限定されるものではないが、有線及び無線接続、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク、インターネット、デジタル電話回線網のようなデジタルネットワーク、アナログ電話回線網を含む。
【0023】
システム100の実施の形態では、システム100は、メモリユニット170を有する。システム100は、入力コネクタ181,182及び183の何れかを介して外部装置から入力データを受け、受けた入力データをメモリユニット170に記憶する。入力データをメモリユニット170にロードすることで、システム100のユニットによる関連するデータ部分への迅速なアクセスが可能となる。入力データは、たとえば、ボリュームの画像データのセットを含む。メモリユニット170は、限定されるものではないがランダムアクセスメモリ(RAM)チップ、リードオンリメモリ(ROM)チップ、及び/又はハードディスクドライブ及びハードディスクのような装置により実現される場合がある。メモリユニット170は、出力データを記憶する。出力データは、たとえば、レンダリングされた画像データを含む場合がある。また、メモリユニット170は、メモリバス175を介して計算ユニット110、重みユニット115、調節ユニット120、制御ユニット160及びユーザインタフェース165を有するシステム100のユニットからのデータを受け、システム100のユニットにデータを伝達する。メモリユニット170は、出力コネクション191及び192の何れかを介して、出力データを外部装置にとって利用可能にする。メモリユニット170におけるシステム100のユニットからデータを記憶することは、システム100のユニットの性能と同様に、システム100のユニットから外部装置への出力データの転送のレートを改善する場合がある。
【0024】
代替的に、システム100は、メモリユニット170及びメモリバス175を有さない場合がある。システム100により使用される入力データは、システム100のユニットに接続される、外部メモリ又はプロセッサのような少なくとも1つの外部装置により供給される場合がある。同様に、システム100により生成される出力データは、システム100のユニットに接続される、外部メモリ又はプロセッサのような少なくとも1つの外部装置に供給される。システム100のユニットは、内部コネクション又はデータバスを介して、互いにデータを受ける。
【0025】
システム100の実施の形態では、システム100は、システム100における動作を制御する制御ユニット160を有する。制御ユニットは、システム100のユニットからの制御データを受け、システム100のユニットに制御データを供給する。たとえば、ある画素の最初の画素強度を計算した後、計算ユニット110は、制御データ“最初の画素強度が計算された”を制御ユニット160に送出し、制御ユニット160は、制御データ“最終的な画素強度を計算せよ”を調節ユニット120に供給して、調節ユニット120が最後の画素強度を計算するのを要求する。制御ユニット160は、画像の最後の画素の最初の画素強度が計算された後、最初の画素強度の計算を終了する。代替的に、制御機能は、システム100の別のユニットで実現される。
【0026】
システム100の実施の形態では、システム100は、システム100のユーザと通信するユーザインタフェース165を有する。ユーザインタフェース165は、どのように画素の重みを計算すべきかを定義する手段をユーザに提供する。任意に、ユーザインタフェース165は、計算ユニット110により採用されるべきレンダリング方法を選択するモードのような、システム100の動作モードを選択するユーザ入力を受ける。当業者であれば、より多くの機能がシステム100のユーザインタフェース165で有利に実現される場合があることを理解されるであろう。
【0027】
ボリューム、すなわち3次元(3D)の画像データセットは、データエレメントを有する。医療画像データのそれぞれのデータエレメント(x,y,z,I)は、画像データセットの座標系において3つのデカルト座標x,y,zにより典型的に表される位置(x,y,z)、及びこの位置での強度Iを有する。ボリュームの画像データの体積は、画像データエレメント(x,y,z,I)に含まれる全ての位置(x,y,z)を有する体積として定義される。データエレメントは、強度Iと、位置(x,y,z)に位置される、典型的には立方体又は直平行六面体である小体積を含むボクセルとして解釈され、位置(x,y,z)は、たとえば頂点の位置又はボクセルの中心の位置である。画像データのボリュームは、全てのボクセルの立方体又は直平行六面体の結合として解釈される。ボリュームの画像データセットは、たとえば画像データセットの座標系のz軸に実質的に垂直なセクション又はスライスである、画像ボリュームの実質的に平面のセクション又はスライスの集合として編成される。4D画像データセットは、異なる時間の瞬間で取得されるボリュームの画像データセットの集合を有する。
【0028】
2D画像データは、画像としても示され、2D画像データエレメントを含む。それぞれ2D画像データのエレメント(i,j,I)は、ディスプレイの座標系で2つのデカルト座標i,jにより典型的に表される位置(i,j)と、この位置での少なくとも1つの強度Iを含む。2D画像データエレメントは、たとえば画素の頂点又は中央の位置(i,j)によるといった、画素、すなわち画素の位置で記述される典型的に方形又は矩形であるディスプレイの小領域と、カラー画像のケースで幾つかの色値である画素の強度として解釈されることを、当業者であれば理解されるであろう。ディスプレイの平面とビューイングプレーンとの間には1対1の対応関係がある。したがって、ビューイングプレーンにおける位置は、ディスプレイにおける位置として言及され、逆もまた同様である。同様に、ディスプレイにおける画素は、ビューイングプレーンにおける画素とも呼ばれる。
【0029】
ボリュームレンダリング技術は、ボリュームの画像データのセットに基づいて画像を計算する技術である。画像を計算することは、表示された画素の強度を計算することを含む。システム100の計算ユニット110による使用に適したレンダリング技術において、表示された画素の強度は、ボリュームの画像データのセットに含まれる対応するボクセルの強度から導出され、計算ユニット110により採用されるレンダリング技術により定義される。
【0030】
係る適切なレンダリング技術の例は、限定されるものではないが、MIP、CVP及びmIP(minimum intensity projection)を含む。これらのレンダリング技術は、レイキャスティングを使用する。直交レイは、ビューイングプレーンでの位置から画像データのボリュームに射出される。ビューイングプレーンの位置は、ディスプレイの画素に等価である。画素の強度は、レイの対応するボクセルのボクセル強度に基づいて計算される。システム100の実施の形態は、MIP及びCVPレンダリング技術を参照して記載される。しかし、当業者であれば、請求項の範囲はこれらのレンダリング技術に限定されず、他の適切なレンダリング技術もまたシステム100により採用されることを理解されるであろう。
【0031】
システム100の計算ユニット110は、ボリュームの画像データのセットに含まれる対応するボクセルの対応するボクセルの強度により定義される画像の画素の最初の画素強度を計算する。図2は、MIP及びCVPを使用した、最初の強度の計算を概念的に例示する。図2におけるそれぞれのドットは、ビューイングプレーンに直交するビューイング方向で、ビューイングプレーンにおける画素から射出されたレイのボクセルを示す。あるドットの水平座標は、レイのボクセルの位置を示し、あるドットの垂直座標は、レイのボクセルのボクセル強度を示す。図2は、ノイズレベルと、CVPにケースで最初の画素強度を計算するCVP閾値とを概念的に示す。
【0032】
レイのボクセルの強度は、関数Voxel_Intensity(Voxel_location)により記述される。MIPでは、最初の画素強度は、“MIP画素値”でラベル付けされた対応する画素から導出される。対応するボクセルは、関数Voxel_Intensity(Voxel_location)の絶対の最大により定義される。CVPでは、最初の画素値は、“CVP画素値”でラベル付けされた対応するボクセルから導出される。対応するボクセルは、CVP閾値よりも大きな関数Voxel_Intensity(Voxel_location)の最初の最大により定義される。
【0033】
システム100の調節ユニット120は、計算ユニット110により計算された前記画素の最初の画素強度及び計算ユニット110により使用された対応するボクセルの位置に基づいて、ある画素の最後の画素強度を計算し、前記画素の最初の画素強度を計算する。したがって、調節ユニット120は、関数Final_Pixel_Intensity(Initial_Pixel_Intensity, Corresponding_Voxel_Location)により記述され、ここでInitial_Pixel_Intensityは、最初の画素強度であり、Corresponding_Voxel_Locationは、画素の最初の画素強度を計算するため、計算ユニット110により決定される対応するボクセルの位置である。当業者であれば、様々な関数Final_Pixel_Intensity(Initial_Pixel_Intensity, Corresponding_Voxel_Location)は、ボリュームの画像データのセットを視覚化するために有効な場合があることを理解されたい。請求項の範囲は、この関数の特定の選択に限定されない。
【0034】
システム100の実施の形態では、システム100は、重み付けユニット115を更に有し、この重み付けユニットは、計算ユニット110により使用される対応するボクセルの位置に基づいて、ある画素の画素の重みを計算して、前記が素の最初の画素強度を計算し、最後の画素強度は、前記画素の最初の画素強度と画素の重みとの積である。したがって、調節ユニット110を記述する関数Final_Pixel_Intensity(Initial_Pixel_Intensity, Corresponding_Voxel_Location)は、積の関数Final_Pixel_Intensity(Initial_Pixel_Intensity, Corresponding_Voxel_Location)=Initial_Pixel_Intensity* Weight(Corresponding_Voxel_Location)として書くことができ、ここでWeight(Corresponding_Voxel_Location)は、Corresponding_Voxel_Locationに基づいて重みユニット115により計算される画素の重みである。
【0035】
システム100の実施の形態では、画像は、直交レイキャスティングを使用してレンダリングされ、ある画素の最後の画素強度は、前記画素の最初の画素強度を計算するために計算ユニット110により使用される対応するボクセルからビューイングプレーンへの距離に依存する。したがって、関数Final_Pixel_Intensity(Initial_Pixel_Intensity, Corresponding_Voxel_Location)は、より簡単な関数Final_Pixel_Intensity(Initial_Pixel_Intensity, Corresponding_Voxel_Distance)により置き換えることができ、ここでCorresponding_Voxel_Distanceは、たとえばユークリッド距離といった、対応するボクセルからビューイングプレーンへの距離である。画像データセットの座標系は、ビューイングプレーンがxy平面に実質的に同じであるようなやり方で典型的に定義され、射出されたレイ及びビューシング方向は、実質的にz軸に平行である。Corresponding_Voxel_Distanceの値は、いわゆる画素のzバッファに典型的に記憶される。さらに、最後の画素強度が最初の画素強度と画素の重みとの積である場合、Weight(Corresponding_Voxel_Location)は、Weight(Corresponding_Voxel_Distance)により置き換えられる。
【0036】
システム100の実施の形態では、画素の重みは、ユーザ入力に基づいて計算される。ユーザインタフェース165は、たとえばコントロールパネルといった、画素の重みを計算するため、ユーザ入力を取得する手段を有する。任意に、コントロールパネルは、CVP閾値を定義する手段を有する。代替的に、画素の重み及び/又はCVP閾値は、予め決定されるか、たとえばシステム100を使用するプロトコルから導出される。係るプロトコルは、ボリュームの画像データのセットを取得するために使用されるボリュームの画像データ取得の様式に基づく。ボリュームの画像データ取得の様式に関する情報は、たとえばボリュームの画像データに関連するメタデータに含まれる。
【0037】
図3は、線形の重み関数に基づいて画素の重み要素を決定する例示的なコントロールパネルを示す。重みWeight(Corresponding_Voxel_Distance)は、Corresponding_Voxel_Distanceの線形関数である。Corresponding_Voxel_Distance=0について、すなわちビューイングプレーンに実質的に含まれるボクセルについて、画素の重みは100%である。重みスライダ31の位置は、最も離れたボクセルの重みを定義する。図3では、最も離れたボクセルの画素の重みは20%である。任意に、コントロールパネルは、CVP閾値を定義する閾値スライダ32を有する。
【0038】
図4は、非線形重み関数Weight(Corresponding_Voxel_Distance)に基づいて画素の重み要素を決定する例示的なコントロールパネルを示す。Weight(Corresponding_Voxel_Distance)は、Corresponding_Voxel_Distanceの非線形関数である。画素の重み関数は、重み関数のグラフを表す曲線41によりグラフィカルに表される。曲線上のあるポイントの垂直座標は、たとえば範囲[0,1]からの数である重みを定義する。曲線上のあるポイントの水平座標は、対応するボクセルからビューイングプレーンへの距離を定義する。曲線は、制御ポイントのセットにより制御される。制御ポイントは、たとえばマウス入力装置を使用して、ユーザにより定義及び制御される。曲線は、たとえばBスプラインを使用して実現される。任意に、コントロールパネルは、CVP閾値を定義するために閾値スライダ32を有する。
【0039】
典型的に、システム100は、ビューイングプレーンに比較的近いボクセルの視覚化を強調し、ビューイングプレーンから比較的離れたボクセルの視覚化を弱めるために使用される。しかし、システム100は、ビューイングプレーンからの任意の距離の範囲におけるボクセルの視覚化を高め、この範囲外のボクセルの視覚化を弱めるために使用される。
【0040】
当業者であれば、システム100の他の実施の形態も可能であることを理解されるであろう。特に、システムのユニットを定義し直すこと、それらの機能を分散し直すことが可能である。たとえば、システム100の実施の形態では、重みユニット115は、調節ユニット120のコンポーネントである場合がある。システム100の更なる実施の形態では、計算ユニット110を置き換える複数の計算ユニットが存在する。複数の計算ユニットのそれぞれの計算ユニットは、異なるレンダリング方法を採用するために構成される場合がある。採用される方法は、ユーザ選択に基づく場合がある。
【0041】
システム100のユニットは、プロセッサを使用して実現される場合がある。通常、それらの機能は、ソフトウェアプログラムの制御下で実行される。実行の間、ソフトウェアプログラムは、RAMのようなメモリに通常ロードされ、そこから実行される。プログラムは、ROM、ハードディスク又は、磁気及び/又は光ストレージのようなバックグランドメモリからロードされるか、又は、インターネットのようなネットワークを介してロードされる場合がある。任意に、特定用途向け集積回路は、記載された機能を提供する場合がある。
【0042】
図5は、ボリュームの画像データのセットに基づいて画像をレンダリングする方法500の例示的な実現のフローチャートを示す。本方法500は、ボリュームの画像データのセットに含まれる対応するボクセルの対応するボクセルの強度により定義される画像の画素の最初の画素強度を計算する計算ステップ510で開始する。計算ステップ510の後、本方法500は、画像データのボリュームにおける対応するボクセルの位置に基づいて、画素の重みを計算する重みステップ515に継続する。重みステップ515の後、本方法は、最初の画素強度に基づいて、及び対応する位置に基づいて計算された重みに基づいて、該画素の最後の画素強度を計算する調節ステップ520に継続する。調節ステップ520の後、本方法500は、終了する。任意に、本方法は、新たな画素の重みを使用した最後の画素強度の更なる調節がユーザにより要求された場合、重みステップ515を継続する。
【0043】
本方法500におけるステップの順序は、強制的なものではなく、当業者であれば、幾つかのステップの順序を変えるか、本発明により意図される概念から逸脱することなしに、threadingモデル、マルチプロセッサシステム又はマルチプルプロセスを使用して同時に幾つかのステップを実行する場合がある。任意に、本発明の方法500の2以上のステップは、1つのステップに結合される場合がある。任意に、本発明の方法500のステップは、複数のステップに分割される場合がある。
【0044】
図6は、システム100を採用する画像取得装置600の例示的な実施の形態を概念的に示しており、当該画像取得装置600は、システム100との内部接続を介して接続される画像取得ユニット610、入力コネクタ601、及び出力コネクタ602を有する。このアレンジメントは、画像取得装置600の機能を有利に増加し、ボリュームの画像データのセットに基づいて、画像をレンダリングするシステム100の有利な機能を前記画像取得装置600に提供する。画像取得装置の例は、限定されるものではないが、CTシステム、X線システム、MRIシステム、USシステム、PETシステム、SPECTシステム及びNMシステムを含む。
【0045】
図7は、ワークステーション700の例示的な実施の形態を概念的に示す。ワークステーションは、システムバス701を有する。プロセッサ701、メモリ720、ディスク入力/出力(I/O)アダプタ730、及びユーザインタフェース(UI)740は、システムバス701に作用的に接続される。ディスクストレージシステム731は、ディスクI/Oアダプタ730に動作的に接続される。キーボード741、マウス742、及びディスプレイ743は、UI740に動作的に結合される。本発明のシステム100は、コンピュータプログラムとして実現され、ディスクストレージ装置731に記憶される。ワークステーション700は、プログラム及び入力データをメモリ720にロードし、プロセッサ710でプログラムを実行する。ユーザは、キーボード741及び/又はマウス742を使用して、ワークステーション700に情報を入力する。ワークステーションは、表示装置743及び/又はディスク731に情報を出力する。当業者であれば、当該技術で知られるワークステーション700の様々な他の実施の形態が存在すること、本実施の形態が本発明を例示する目的を果たすこと、特定の実施の形態に本発明が限定されるものとして解釈されないことを理解されるであろう。
【0046】
上述された実施の形態は本発明を限定するものではなく例示するものであって、当業者であれば、特許請求の範囲から逸脱することなしに代替的な実施の形態を設計することができる。請求項では、括弧間に配置さてる参照符号は請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。単語「有する“comprising”」は、請求項又は発明の詳細な説明で列挙されたエレメント又はステップの存在を排除しない。エレメントに先行する単語“a”又は“an”は、複数の係るエレメントの存在を排除しない。本発明は、幾つかの個別のエレメントを有するハードウェアにより、プログラムされたコンピュータにより実現される。幾つかのユニットを列挙したシステムの請求項では、これらのユニットの幾つかは、同一アイテムのハードウェア又はソフトウェアにより実施される。第一、第二及び第三等の単語の使用は、任意の順序を示さない。これらの単語は、名前として解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリュームの画像データのセットに基づいて画像をレンダリングするシステムであって、
前記ボリュームの画像データのセットに含まれる対応するボクセルの対応するボクセル強度により定義される前記画像におけるある画素の最初の画素強度を計算する計算ユニットと、
前記最初の画素強度と前記対応するボクセルの位置とに基づいて、前記画素の最後の画素強度を計算する調節ユニットと、
を有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記対応するボクセルの位置に基づいて、前記画素の重みを計算する重みユニットを更に有し、
前記最後の画素強度は、前記最初の画素強度と前記画素の重みとの積である、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記画像は、直交レイキャスティングを使用してレンダリングされ、
前記最後の画素強度は、前記対応するボクセルからビュープレーンへの距離に依存する、
請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記最初の画素強度は、MIP(maximum intensity projection)又はCVP(closest vessel projection)に基づいて計算される、
請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記画素の重みは、ユーザ入力に基づいて計算される、
請求項1記載のシステム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムを有する画像取得装置。
【請求項7】
請求項1記載のシステムを有するワークステーション。
【請求項8】
ボリュームの画像データのセットに基づいて画像をレンダリングする方法であって、
前記ボリュームの画像データのセットに含まれる対応するボクセルの対応するボクセル強度により定義される前記画像におけるある画素の最初の画素強度を計算する計算ステップと、
前記最初の画素強度と前記対応するボクセルの位置とに基づいて、前記画素の最後の画素強度を計算する調節ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
ボリュームの画像データのセットに基づいて画像をレンダリングする命令を含む、コンピュータアレンジメントによりロードされるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータアレンジメントは、処理ユニットとメモリとを有し、
当該コンピュータプログラムは、ロードされた後に、前記処理ユニットに、
前記ボリュームの画像データのセットに含まれる対応するボクセルの対応するボクセル強度により定義される前記画像におけるある画素の最初の画素強度を計算し、
前記最初の画素強度と前記対応するボクセルの位置とに基づいて、前記画素の最後の画素強度を計算する、
処理を実行する機能を提供することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−508570(P2010−508570A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534038(P2009−534038)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054365
【国際公開番号】WO2008/053420
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】