説明

結合非対称量子閉じ込め構造

結合非対称量子閉じ込め構造(300)は、量子井戸または量子ドットのような、第1の量子閉じ込め構造(302)および第2の量子閉じ込め構造(322)を含み、第1および第2の構造は、幅(320、324)のような少なくとも1つの物理的な寸法が異なり、連続して結合される。結合された構造(300)は、光信号の遅延および/または周波数に影響を与えることができ、フォトニック集積回路のコンポーネントとして使用されうる。第1および第2の構造(320、322)は、共通の基板(311)上に形成されうる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フォトニック集積回路には、光遅延技術が利用されうる。従来の光遅延方法は、通常、長い光ファイバを用いて所望の光遅延を実現する。
【発明の概要】
【0002】
以下の説明では、特許請求される主題の完全な理解をもたらすように、具体的な詳細とともにさまざまな例を述べる。しかし、特許請求される主題は、本明細書で開示される具体的な詳細のいくつかまたはそれよりも多くを伴わずに実行されうることが、当業者には理解されよう。さらに、いくつかの状況では、よく知られた方法、手順、システム、コンポーネントおよび/または回路は、特許請求される主題を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細には説明されていない。以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する、添付の図面が参照される。図面中、別段文脈から示されない限り、同様の記号は通常同様のコンポーネントを指す。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲において説明される例示的な実施形態は、限定することは意図されない。本明細書で提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を加えることができる。本明細書で全般的に説明され、図面で例示される本開示の態様は、多種多様な異なる構成で、配置し、置換し、組み合わせ、分離し、設計することができ、これらの全てが明示的に考慮され、本開示の一部をなすことが、容易に理解されよう。
【0003】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照され、全体において同様の番号は同様の部分を指し、対応する要素または類似する要素を示しうる。説明を簡潔にするため、および/または明瞭にするために、図面で示される要素は、必ずしも寸法通りに描かれてはいないことが理解されよう。たとえば、いくつかの要素の寸法は、明瞭にするために、他の要素に対して誇張されていることがある。さらに、特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的な変更および/または論理的な変更が行われうることを理解されたい。方向および基準、たとえば、上、下、上部、下部などは、図面についての議論を手助けするために用いることができ、特許請求される主題の適用を制限することは意図されないことにも、留意されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味にとられるべきではなく、特許請求される主題の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその等価物により定義される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】誘電体媒質に関する3つのエネルギー状態の間の遷移の表である。
【図2】誘電体媒質に関する3つのエネルギー状態の間の遷移の表である。
【図3】結合非対称量子閉じ込め構造(coupled asymmetric quantum confinement structure)の例示的な実施形態の一部の断面斜視図である。
【図4】結合非対称量子閉じ込め構造を組み込んだ集積回路の例示的な実施形態を示す図である。
【図5】結合非対称量子閉じ込め構造を生成するための処理の例示的な実施形態の流れ図である。
【図6】本開示にしたがって構成されたコンピューティングデバイスの例示的な実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は、とりわけ、結合非対称量子閉じ込め構造(coupled asymmetric quantum confinement structures)に関連する方法、装置およびシステムを対象としている。
【0006】
本明細書で用いられる場合、用語「量子閉じ込め構造」は、量子井戸、量子細線、量子ドットおよび/または同様のものを含む、量子閉じ込めが可能な構造を指しうる。たとえば、上記の量子井戸は、1つの空間次元に粒子を閉じ込め、その粒子に平面領域を占有させることができる構造を指しうる。同様に、上記の量子細線は、2つの空間次元に粒子を閉じ込め、その粒子を量子細線の横断方向に移動させることができる構造を指しうる。同様に、上記の量子ドットは、3つの空間次元に粒子を閉じ込めることができる構造を指しうる。本明細書で説明されるいくつかの例では、具体的に、量子井戸の実装形態に言及することに留意されたい。この場合、量子井戸に言及する例は、別段明示的に述べられない限り、量子細線および/または量子ドットを含む量子閉じ込め構造全般に適用可能であることが理解されよう。
【0007】
光電子デバイスのサイズは、光のサブ波長の領域で動作するように、小さくなりうる。そのような場合、光電子発光(optoelectronic luminescence)および/または光検出効率が低下しうる。たとえば、光電子デバイスに組み込まれた誘電体の導波構造は、サブ波長領域では不十分なことがある。より具体的には、誘電体の導波構造の幅は、1ミクロン前後でありうる。しかし、光のサブ波長領域の寸法で動作する光電子デバイス、たとえば、約0.1ミクロンよりも狭い導波路の幅で動作するデバイスでは、新しい種類の導波路が利用されうる。
【0008】
たとえば、調整可能な光遅延技術が、フォトニック集積回路における光バッファ用途に利用されうる。光信号のそのような遅延は、伝送媒体中の光の群速度を低下させることで実現されうる。伝送媒体中の群速度Vgは、以下の式1により与えられうる。
【0009】
【数1】


(式1)
【0010】
式1で示されるように、cは真空中の光速を表すことができ、nは伝送媒体の屈折率を表すことができ、ωは光の角周波数を表すことができる。伝送媒体中の光を減速するために、1つの条件は、光の周波数においてδn/δω>0の関係を有することであり、これは屈折率の分散の傾きが正であることを示す。たとえば、光信号の群速度Vgは、屈折率の傾きを変えることに少なくとも一部基づいて、調整されうる。したがって、伝送媒体中の光信号を遅延させることが可能になりうる。量子光学では、屈折率の分散の傾きを正にすることは、いくつかの手法を通じて実現可能でありうる。
【0011】
伝送媒体の原子が3つのエネルギー状態を有する場合、コヒーレントトラッピングまたは電磁的に誘導された透過性のいずれかが、量子閉じ込め構造(量子井戸、量子細線、量子ドットおよび/または同様のものを含む)により利用され、伝送媒体中の光を減速することができる。本明細書で用いられる場合、用語「コヒーレントトラッピング」は、3つのエネルギー状態の下側2つの準位をコヒーレントに制御し、伝送媒体中の光を減速することを指しうる。用語「コヒーレントトラッピング」は、コヒーレントポピュレーション振動(coherent population oscillation)とも呼ばれうる。同様に、本明細書で用いられる場合、用語「電磁的に誘導された透過性」は、3つのエネルギー状態の上側2つの準位をコヒーレントに制御し、伝送媒体中の光を減速することを指しうる。
【0012】
図1は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、誘電体媒質に関する3つのエネルギー状態の間の遷移の表を示す。一例では、図1はコヒーレントトラッピングを示し、これは伝送媒体中の光信号を減速するために実施されうる。そのような場合、そのコヒーレントトラッピングを実施するために、3準位エネルギー状態系の下側2つの準位が制御されうる。伝導帯の電子の基底状態は1S状態であり、価電子帯は、重い正孔(HH)と軽い正孔(LH)の状態に分かれうる。たとえば、軽い正孔のエネルギー準位104と重い正孔のエネルギー準位106との間の遷移102とともに、軽い正孔のエネルギー準位104と1Sのエネルギー準位110との間の遷移108が、制御されうる。そのような場合、重い正孔のエネルギー準位106と1Sのエネルギー準位110との間の遷移112が、(点線で示されるように)可能になりうる。たとえば、双極子モーメントは、電子と軽い正孔と重い正孔との間の平均距離に関係しうる。以下でさらに詳細に論じられるように、これらの平均距離は、量子閉じ込め構造の物理的な寸法、量子閉じ込め構造に印加されるゲート電圧、および/または量子閉じ込め構造を形成する半導体材料により制御されうる。たとえば、コヒーレントトラッピングの量子力学的記述は、時間tにおける1S状態(110)の占有の確率振幅(C(t))、時間tにおけるHH状態(106)の占有の確率振幅(C(t))、時間tにおけるLH状態(104)の占有の確率振幅(C(t))を含むことができ、初期条件はC(0)=0、C(0)=cos(θ/2)、C(0)=sin(θ/2)exp(−iψ)のように表すことができる。そのような場合、θは、準位106および104の相対的な占有を決定するパラメータを表し、ψは、2つの状態106および104の位相差を表す。シュレーディンガー方程式を解くと、以下の式が得られる。
【0013】
【数2】


(1)
【0014】
【数3】


(2)
【0015】
【数4】


(3)
【0016】
この例では、ΩR1exp(−iφ)およびΩR2exp(−iφ)は、3準位系の光場108および110の結合に関連する、複素ラビ周波数をそれぞれ表す。そのようなラビ周波数はまた、双極子モーメントに比例しうる。この例では、ΩR1=ΩR2、θ=π/2、φ−φ−ψ=±πという条件が、コヒーレントトラッピングに適しうる。
【0017】
図2は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、誘電体媒質に関する3つのエネルギー状態の間の遷移の表を示す。別の例では、図2は、伝送媒体中の光信号を減速するために実装されうる、電磁的に誘導された透過性を示す。そのような場合、3準位エネルギー状態系の上側2つの準位は、そのような電磁的に誘導される透過性を実装するように制御されうる。たとえば、軽い正孔のエネルギー準位104と1Sのエネルギー準位110との間の遷移108は、重い正孔のエネルギー準位106と1Sのエネルギー準位110との間の遷移112により制御されうる。この場合、遷移112のラビ周波数は、駆動場の強度により制御されうる。そのような場合、軽い正孔のエネルギー準位104と重い正孔のエネルギー準位106との間の遷移102が、(点線で示されるように)可能になりうる。
【0018】
図3は、結合非対称量子閉じ込め構造300の例示的な実施形態の一部の、断面斜視図を示す。より具体的には、図3は、結合非対称量子閉じ込め構造300を作るための例示的な構造を示す。図3は例示を目的に与えられるものであり、正確な寸法、形状などを有する構造を示すことは意図されておらず、また、いくつかの実装形態では存在しうるが、特許請求される主題を不必要に不明瞭にすることを避けるために図3から除外された、コンポーネントまたは構造の全てを示すことも意図されていない。
【0019】
図3の例で示されるように、第1の量子井戸302のような第1の量子閉じ込め構造は、ダブルヘテロ構造304を含んでもよく、第1の半導体材料の内側層306は、第2の半導体材料の2つのクラッド層308/310に挟まれてもよい。たとえば、あるそのようなダブルヘテロ構造304は、インジウムガリウムヒ素を含む第2の半導体材料の2つのクラッド層308/310に挟まれた、ガリウムヒ素を含む第1の半導体材料の内側層306を含んでもよい。そのようなインジウムガリウムヒ素/ガリウムヒ素ベースの第1の量子井戸302は、1.5ミクロン付近の周波数の光信号の用途に適しうる。しかし、これは一例に過ぎず、別の適切な材料および/または周波数が、本明細書で開示される方法および/またはデバイスに関して利用されうる。たとえば、1つまたは複数の量子閉じ込め構造は、他の適切な材料および/または周波数を含みうる。他の適切な材料および/または周波数は、赤外線の周波数の光信号に適しうるインジウムガリウムアンチモン(InGaSb)と、赤色の周波数の光信号に適しうるインジウムガリウムリン(InGaN)と、青色の周波数の光信号に適しうるインジウム窒化ガリウム(InGaN)と、II−VI族半導体と、青色から青緑色の周波数の光信号に適しうる酸化カドミウム亜鉛(CdZnO)と、赤色から緑色の周波数の光信号に適しうる硫セレン化カドミウム(CdSSe)など、および/またはこれらの組み合わせを含む。
【0020】
加えて、または代替的に、第1の量子井戸302は、第1のクラッド層308が堆積されうる基板311を含みうる。たとえば、基板311は、ガリウムヒ素(GaAs)、リン化インジウム(InP)、窒化ガリウム(GaN)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化ケイ素(SiC)、サファイア(Al2O3)、ケイ素(Si(111))などを含みうる。n+領域312およびp+領域314が、第1のクラッド層308に形成されうる。n+領域312およびp+領域314は、電荷キャリアを内側層306に注入することができるp−n接合を画定することができる。ゲート電極316は、第2のクラッド層310に堆積されうる。動作中、ゲート電極316は、第1の量子井戸302の作用を受ける(operated on by first quantum well 302)光信号318の遅延に影響しうるゲート電圧を与えることができてもよい。
【0021】
上で論じられたように、伝送媒体の原子が3つのエネルギー状態を有する場合、コヒーレントトラッピングまたは電磁的に誘導される透過性のいずれかが、量子閉じ込め構造(量子井戸、量子細線、量子ドット、および/または同様のものを含む)により利用され、光信号318を遅延させることができる。第1の量子井戸302の場合、第1の量子井戸302は、光信号318を遅延させるためにコヒーレントトラッピングを実施することができる。あるいは、第1の量子井戸302は、光信号318を遅延させるために電磁的に誘導される透過性を実装することができる。
【0022】
しかし、設計制約により、光信号318の遅延および/または周波数に影響を与えることができる単一の量子閉じ込め構造を設計および/または実装することが、実際には難しいことがある。したがって、2つ以上の量子閉じ込め構造が、互いと連動して動作するように、連続して結合されうる。2つ以上の量子閉じ込め構造をそのように結合することで、個々の量子閉じ込め構造を設計および/または実装する際に、自由度を上げることができる。たとえば、第1の量子井戸302は、光信号318への所望の調整の一部(たとえば遅延の調整および/または周波数の調整)を実現するために設計および/または実装することができ、そのような所望の調整の残りは、第2の量子井戸322および任意選択の追加の量子閉じ込め構造(図示せず)のような、第2の量子閉じ込め構造により実現されうる。
【0023】
第2の量子井戸322は、第1の量子井戸302と同様の、または同一の何らかの構造を有しうる。示された例では、第2の量子井戸322は、第1の量子井戸302と同様の構造で列挙されている。第1の量子井戸302および第2の量子井戸322は、光信号318に相互に影響を与えるように、連続して結合されうる。結合された第1の量子井戸302および第2の量子井戸322は、光信号318の遅延および/または周波数に影響を与えることができてもよい。
【0024】
第2の量子井戸322および任意選択の追加の量子井戸(図示せず)は、光信号318を遅延させるために、同じ技術を実施することができる。たとえば、第1の量子井戸302が、光信号318を遅延させるためにコヒーレントトラッピングを実施する場合、第2の量子井戸322および任意選択の追加の量子井戸(図示せず)も、コヒーレントトラッピングを実施する。あるいは、第1の量子井戸302が、光信号318を遅延させるために、電磁的に誘導される透過性を実装することができる場合、第2の量子井戸322および任意選択の追加の量子井戸(図示せず)も、電磁的に誘導される透過性を実装することができる。したがって、第1の量子井戸302および第2の量子井戸322は、3準位エネルギー状態系として動作しうる。
【0025】
第2の量子井戸322および任意選択の追加の量子井戸(図示せず)は、第1の量子井戸302と比較して非対称となるように実装されうる。本明細書で用いられる用語「非対称な」は、量子井戸302および322の物理的な寸法、量子井戸302および322に印加されるゲート電圧、ならびに/または量子井戸302および322を形成するのに用いられる半導体材料を指すことができ、たとえば、コヒーレントトラッピングまたは電磁的に誘導される透過性の実装に影響を与えうる。したがって、量子井戸302および322の物理的な寸法、量子井戸302および322に印加されるゲート電圧、ならびに/または量子井戸302および322を形成する半導体材料は、光信号318の遅延および/または周波数に影響を与えることができてもよい。
【0026】
一例では、第2の量子井戸322は、第1の量子井戸302と比べて非対称の物理的な寸法を少なくとも1つ含んでもよい。たとえば、第1の量子井戸302に関連する幅320は、第2の量子井戸322に関連する幅324と比べて非対称であってよい。そのような非対称の物理的な寸法は、光信号318の遅延および/または周波数に影響を与える能力がありうる。たとえば、井戸の幅は、屈折率nおよび角周波数wの制御の助けになりうるとともに、光吸収の傾きn/wの制御の助けにもなりうる。そのような場合、井戸の幅は、主に光信号318の周波数に影響を与えるために利用されうる。加えて、井戸の幅は、光信号318の遅延に影響を与えるために利用されうる。
【0027】
加えて、または代替的に、第2の量子井戸322は、第1の量子井戸302と比べて非対称な半導体材料を少なくとも1つ含んでもよい。たとえば、第1の量子井戸302に関連する、内側層306、クラッド層308、および/またはクラッド層310は、第2の量子井戸322に関連する、内側層306、クラッド層308、および/またはクラッド層310と比べて非対称であってよい。上で論じられたように、第2の量子井戸322および任意選択の追加の量子井戸(図示せず)は、第1の量子井戸302と比べて非対称となるように実装されうる。たとえば、用語「非対称な」は、第2の量子井戸322を形成するのに用いられる半導体材料が、第1の量子井戸302を形成するのに用いられる半導体材料の少なくとも一部と異なることを指しうる。そのような非対称の半導体材料は、光信号318の遅延および/または周波数に影響を与える能力がありうる。
【0028】
加えて、または代替的に、第2の量子井戸322は、第1の量子井戸302と比べて非対称なゲート電圧と関連付けられうる。たとえば、第1の量子井戸302に関連するゲート電圧は、第2の量子井戸322に関連するゲート電圧と比べて非対称であってよい。そのような非対称なゲート電圧は、光信号318の遅延に影響を与える能力がありうる。たとえば、ゲート電圧は双極子モーメントと制御を助けることができるので、ゲート電圧の調整は、光吸収の勾配δn/δωの傾きの制御を助けることができる。そのような場合、ゲート電圧は、主に光信号318の遅延に影響を与えるために利用されうる。
【0029】
図4は、基板401に形成される、マイクロプロセッサの一部のような集積回路(IC)400の例示的な実施形態の一部のブロック図を示す。IC400は、論理モジュール402および別の論理モジュール406を含む。IC400はまた、図3の結合非対称量子閉じ込め構造300のような、論理モジュール402と論理モジュール406とを通信可能に結合する、結合非対称量子閉じ込め構造410を含む。結合非対称量子閉じ込め構造410は、本明細書で説明される技術のいずれかを用いて形成されうる。結合非対称量子閉じ込め構造410は、論理モジュール402と論理モジュール406の間の光信号ベースの通信を容易にすることができる。したがって、IC400は、光マルチプレクサのような集積光回路、および/または類似のものを含みうる。
【0030】
図5は、結合非対称量子閉じ込め構造を生成するための処理500の、例示的な実施形態の流れ図である。処理500および本明細書で説明される他の処理は、処理のステップ、機能的な操作、事象および/または行動などとして表されうる、さまざまな機能ブロックまたは動作を説明する。本開示を踏まえると、図5に示される機能ブロックに対する多くの代替形態がさまざまな実装形態において実行されうることを、当業者は理解するだろう。たとえば、図5に示されるように、処理500が1つの特定の順序のブロックまたは動作を含んでも、これらのブロックまたは動作が提示される順序は、特許請求される主題を任意の特定の順序に必ずしも限定しない。同様に、特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、図5に示されない割り込みの動作および/または図5に示されない追加の動作を行うことができ、かつ/または図5に示される動作の一部が削除されうる。
【0031】
ブロック502において、基板が提供されうる。ブロック504において、第1のクラッド層が基板に堆積されうる。第1のクラッド層は、分子線エピタキシー、化学蒸着堆積、もしくは類似のもの、および/またはこれらの組み合わせにより堆積されうる。ブロック506において、内側層が第1のクラッド層の上に堆積されうる。内側層は、分子線エピタキシー、化学蒸着堆積、および/もしくは類似のもの、ならびに/またはこれらの組み合わせにより堆積されうる。ブロック508において、第2のクラッド層が内側層の上に堆積されうる。第2のクラッド層は、分子線エピタキシー、化学蒸着堆積、および/もしくは類似のもの、ならびに/またはこれらの組み合わせにより堆積されうる。内側層は第1の半導体材料を含んでもよく、第1および第2のクラッド層は第2の半導体材料を含んでもよい。ある例では、量子井戸は、第1の半導体材料の内側層が第2の半導体材料の2つのクラッド層で挟まれる、ダブルヘテロ構造を含んでもよい。たとえば、1つのそのようなダブルヘテロ構造は、インジウムガリウムヒ素を含む第2の半導体材料の2つのクラッド層に挟まれた、ガリウムヒ素層を含む第1の半導体材料の内側層を含みうる。そのようなインジウムガリウムヒ素/ガリウムヒ素ベースの量子井戸は、1.5ミクロン付近の周波数の光信号の用途に適しうる。しかし、これは一例に過ぎず、他の適切な材料および/または周波数が、本明細書で開示される方法および/またはデバイスについて利用されうる。
【0032】
加えて、または代替的に、ブロック510において、n+領域およびp+領域が第1のクラッド層に形成されうる。n+領域およびp+領域は、拡散、イオン注入、もしくは類似のもの、および/またはこれらの組み合わせで形成されうる。n+領域およびp+領域は、電荷キャリアを内側層に注入することができるp−n接合を画定しうる。ブロック512において、ゲート電極は、第2のクラッド層に堆積されうる。そのようなゲート電極は、内側層および/または2つのクラッド層と同様の材料で、またはそれとは異なる材料でできていてもよい。動作中、ゲート電極は、量子井戸により影響を受ける光信号の遅延に影響しうるゲート電圧を供給することができてもよい。
【0033】
処理500を利用して、(本例の量子井戸のような)2つ以上の結合非対称量子閉じ込め構造を同時に形成することができる。たとえば、ブロック506において、内側層を堆積することができ、内側層の第1の部分は第1の量子閉じ込め構造と関連付けられ、内側層の第2の部分は第2の量子閉じ込め構造と関連付けられる。そのような場合、第2の部分は、第1の量子閉じ込め構造と比べて非対称の物理的な寸法を少なくとも1つ含みうる。あるいは、処理500は、2つ以上の結合非対称量子閉じ込め構造を個別に形成するのに利用することができ、そのような量子閉じ込め構造は、後で互いに関連付けられうる。
【0034】
図6は、本開示にしたがって、結合非対称量子閉じ込め構造を生成するように構成された、コンピューティングデバイス600の例示的な実施形態のブロック図である。1つの例示的な基本構成601では、コンピューティングデバイス600は、1つまたは複数のプロセッサ610およびシステムメモリ620を含みうる。メモリバス630は、プロセッサ610とシステムメモリ620との間の通信に用いられうる。
【0035】
所望の構成に応じて、プロセッサ610は、限定はされないが、マイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラ(μC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、またはこれらの任意の組み合わせを含む、任意の種類のプロセッサであってよい。プロセッサ610は、レベル1キャッシュ611およびレベル2キャッシュ612のような1つまたは複数のレベルのキャッシュ、プロセッサコア613、およびレジスタ614を含んでもよい。プロセッサコア613は、算術論理演算装置(ALU)、浮動小数点演算装置(FPU)、デジタルシグナルプロセシングコア(DSPコア)、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。メモリコントローラ615もプロセッサ610とともに用いることができ、またはいくつかの実装形態では、メモリコントローラ615はプロセッサ610の内側部分であってもよい。
【0036】
所望の構成に応じて、システムメモリ620は、限定はされないが、(RAMのような)揮発性メモリ、(ROM、フラッシュメモリなどのような)非揮発性メモリ、またはこれらの任意の組み合わせを含む、任意の種類のメモリであってよい。システムメモリ620は、オペレーティングシステム621、1つまたは複数のアプリケーション622、およびプログラムデータ624を含んでもよい。いくつかの例示的な実施形態では、アプリケーション622は、たとえば、図5の処理500に関して上で説明されたように、オペレーティングシステム上のプログラムデータ624とともに動作するように構成され、結合非対称量子閉じ込め構造を生成することができる。この説明された基本構成は、基本構成601を囲む点線内のコンポーネントによって図6で示される。
【0037】
コンピューティングデバイス600は、基本構成601と任意の必要なデバイスおよびインターフェースとの間の通信を容易にするために、追加の特徴または機能、および追加のインターフェースを有してもよい。たとえば、バス/インターフェースコントローラ640を用いて、記憶インターフェースバス641を介した、基本構成601と1つまたは複数のデータ記憶デバイス650の間の通信を容易にしてもよい。データ記憶デバイス650は、取り外し可能な記憶デバイス651、取り外し不可能な記憶デバイス652、またはこれらの組み合わせであってよい。取り外し可能な記憶デバイスおよび取り外し不可能な記憶デバイスの例は、いくつか挙げると、フレキシブルディスクドライブおよびハードディスクドライブ(HDD)のような磁気ディスクデバイス、コンパクトディスク(CD)ドライブまたはデジタル多目的ディスク(DVD)ドライブのような光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、テープドライブを含む。例示的なコンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータのような情報を保存するためのあらゆる方法または技術で実装される、揮発性のおよび非揮発性の、取り外し可能なおよび取り外し不可能な媒体を含みうる。
【0038】
システムメモリ620、取り外し可能な記憶装置651および取り外し不可能な記憶装置652は全て、コンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体は、限定はされないが、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多目的ディスク(DVD)もしくは他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶デバイス、または、所望の情報を保存するのに用いることができ、コンピューティングデバイス600によりアクセスされうる任意の他の媒体を含む。任意のそのようなコンピュータ記憶媒体は、デバイス600の一部であってよい。
【0039】
コンピューティングデバイス600は、さまざまなインターフェースデバイス(たとえば出力インターフェース、周辺インターフェース、および通信インターフェース)からの基本構成601への通信をバス/インターフェースコントローラ640を介して容易にするための、インターフェースバス642も含んでもよい。例示的な出力インターフェース660は、グラフィックス処理ユニット661および音声処理ユニット662を含んでもよく、これらは、ディスプレイまたはスピーカーのようなさまざまな外部デバイスに、1つまたは複数のA/Vポート663を介して通信するように構成されうる。例示的な周辺インターフェース670は、シリアルインターフェースコントローラ671またはパラレルインターフェースコントローラ672を含んでもよく、これらは、入力デバイス(たとえば、キーボード、マウス、ペン、音声入力デバイス、タッチ入力デバイスなど)または他の周辺デバイス(たとえば、プリンタ、スキャナなど)のような外部デバイスと、1つまたは複数のI/Oポート673を介して通信するように構成されうる。例示的な通信インターフェース680はネットワークコントローラ681を含んでもよく、ネットワークコントローラ681は、1つまたは複数の通信ポート682を介した、ネットワーク通信による1つまたは複数の他のコンピューティングデバイス690との通信を容易にするように構成されうる。通信接続は、通信媒体の一例である。通信媒体は、通常、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または搬送波または他の伝送機構のような変調データ信号における他のデータによって、具現化することができ、任意の情報伝達媒体を含みうる。「変調データ信号」は、信号の特性のセットのうちの1つまたは複数を有する信号であってよく、信号中に情報を符号化するような方式で変更されてもよい。限定ではなく例として、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続のような有線媒体、音響、高周波(RF)、赤外線(IR)および他の無線媒体のような無線媒体を含みうる。本明細書で用いられる用語コンピュータ可読媒体は、記憶媒体と通信媒体の両方を含みうる。
【0040】
コンピューティングデバイス600は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、個人用メディアプレーヤーデバイス、無線ウェブ閲覧デバイス、個人用ハンドセットデバイス、特定用途向けデバイス、または上記の機能のいずれかを含むハイブリッドデバイスのような、フォームファクタの小さい持ち運び可能な(または移動用の)電子デバイスの一部として実装されうる。コンピューティングデバイス600はまた、ラップトップコンピュータ構成およびラップトップコンピュータ以外の構成の両方を含む、パーソナルコンピュータとして実装されうる。加えて、コンピューティングデバイス600は、無線機基地局または他の無線システムまたはデバイスの一部として実装されてもよい。
【0041】
コンピューティングデバイス600は、図3の結合非対称量子閉じ込め構造300のような、結合非対称量子閉じ込め構造を含みうる。上で論じられたように、図4に関して、集積回路400は、結合非対称量子閉じ込め構造410を含みうる。したがって、コンピューティングデバイス600は、プロセッサ610、システムメモリ620、および/もしくは類似のもの、ならびに/またはこれらの組み合わせのような、1つまたは複数のコンポーネントに組み込まれる、結合非対称量子閉じ込め構造回路400を含みうる。
【0042】
前述の詳細な説明の一部は、コンピュータメモリのようなコンピューティングシステムメモリの中に保存されるデータビットまたはバイナリデジタル信号に対する操作の、アルゴリズムまたは記号による表現の形で提示される。これらのアルゴリズムによる説明または表現は、データ処理技術の当業者が別の当業者に自身の成果の本質を伝えるために用いる技術の例である。アルゴリズムとは、ここでは、かつ一般に、所望の結果をもたらす操作または同様の処理の、一貫した手順であると考えられる。ここでは、操作または処理は、物理量の物理的な操作に関わる。必須ではないが通常、そのような量は、保存され、移送され、結合され、比較され、または他の方法で操作されうる、電気信号または磁気信号の形態をとりうる。主に一般的に使われているという理由で、場合によっては、そのような信号を、ビット、データ、値、要素、記号、文字、語、数、番号などと呼ぶことが便利であることがわかっている。しかし、これらの用語および同様の用語の全ては適切な物理量と関連付けられ、便利な呼び方に過ぎないということを理解されたい。別段具体的に述べられない限り、以下の議論から明らかなように、本明細書の全体において、「処理する」、「計算する(computing)」、「算出する(calculating)」、「決定する」などのような語を用いる議論は、メモリ、レジスタ、他の情報記憶デバイス、伝送デバイス、またはコンピューティングデバイスの表示デバイスの中の、電気的な物理量または磁気的な物理量として表されるデータを操作または変換する、コンピューティングデバイスの動作または処理を指すことが理解される。
【0043】
特許請求される主題の範囲は、本明細書で説明される具体的な実装形態には限定されない。たとえば、いくつかの実装形態は、デバイスまたはデバイスの組み合わせに影響を与えるために用いられるようなハードウェアであってよく、一方で、他の実装形態はたとえば、ソフトウェアおよび/またはファームウェアであってよい。同様に、特許請求される主題の範囲はこの点において限定されないが、いくつかの実装形態では、信号担持媒体、記憶媒体、および/または複数の記憶媒体のような、1つまたは複数の物品を含みうる。CD−ROM、コンピュータディスク、フラッシュメモリなどのようなこの記憶媒体は、たとえば、コンピューティングシステムのようなコンピューティングデバイスによって実行されると、たとえば、コンピューティングプラットフォームまたは他のシステムに、前に説明された実装形態のうちの1つのような、特許請求される主題にしたがったプロセッサを実行させることができる、命令を格納していてもよい。1つの可能性として、コンピューティングデバイスは、1つまたは複数のプロセシングユニットまたはプロセッサと、ディスプレイ、キーボード、および/またはマウスのような1つまたは複数の入力/出力デバイスと、スタティックランダムアクセスメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、および/またはハードドライブのような1つまたは複数のメモリとを含みうる。
【0044】
システムの側面でのハードウェアの実装形態とソフトウェアの実装形態との間には、ほとんど相違が残されていない。ハードウェアまたはソフトウェアの使用は、一般に(いつもそうではないが、ある状況ではハードウェアとソフトウェアの間の選択が重要になり得るという点で)コスト対効果のトレードオフを表す設計上の選択である。本明細書に記載された、プロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術をもたらすことができるさまざまな達成手段があり(たとえば、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア)、好ましい達成手段は、プロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術が導入される状況によって異なる。たとえば、実装者が速度と正確性が最も重要であると決定すると、実装者は主にハードウェアおよび/またはファームウェアの達成手段を選択することができる。フレキシビリティが最も重要なら、実装者は主にソフトウェアの実装形態を選択することができる。または、さらに別の代替案として、実装者は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの何らかの組み合わせを選択することができる。
【0045】
前述の詳細な説明では、ブロック図、フローチャート、および/または例の使用によって、装置および/またはプロセスのさまざまな実施形態を説明してきた。そのようなブロック図、フローチャート、および/または例が1つまたは複数の機能および/または動作を含む限りにおいて、そのようなブロック図、フローチャート、または例の中のそれぞれの機能および/または動作は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または実質上それらの全ての組み合わせにより、個別におよび/または集合的に実装可能であることが、当業者には理解されるであろう。ある実施形態では、本明細書に記載された主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、または他の集積化方式によって実装することができる。しかし、本明細書で開示された実施形態のいくつかの態様が、全体においてまたは一部において、1つまたは複数のコンピュータ上で動作する1つまたは複数のコンピュータプログラムとして(たとえば、1つまたは複数のコンピュータシステム上で動作する1つまたは複数のプログラムとして)、1つまたは複数のプロセッサ上で動作する1つまたは複数のプログラムとして(たとえば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ上で動作する1つまたは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは実質上それらの任意の組み合わせとして、等価に集積回路に実装することができることを、当業者は認識するであろうし、電気回路の設計ならびに/またはソフトウェアおよびもしくはファームウェアのコーディングが、本開示に照らして十分当業者の技能の範囲内であることを、当業者は認識するであろう。さらに、本明細書に記載された主題のメカニズムをさまざまな形式のプログラム製品として配布することができることを、当業者は理解するであろうし、本明細書に記載された主題の例示的な実施形態が、実際に配布を実行するために使用される信号伝達媒体の特定のタイプにかかわらず適用されることを、当業者は理解するであろう。信号伝達媒体の例には、フレキシブルディスク、ハードディスクドライブ(HDD)、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリ、などの記録可能なタイプの媒体、ならびに、デジタル通信媒体および/またはアナログ通信媒体(たとえば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンクなど)の通信タイプの媒体が含まれるが、それらには限定されない。
【0046】
本明細書で説明したやり方で装置および/またはプロセスを記載し、その後そのように記載された装置および/またはプロセスを、データ処理システムに統合するためにエンジニアリング方式を使用することは、当技術分野で一般的であることを当業者は認識するであろう。すなわち、本明細書に記載された装置および/またはプロセスの少なくとも一部を、妥当な数の実験によってデータ処理システムに統合することができる。通常のデータ処理システムは、一般に、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイ装置、揮発性メモリおよび不揮発性メモリなどのメモリ、マイクロプロセッサおよびデジタル信号プロセッサなどのプロセッサ、オペレーティングシステムなどの計算実体、ドライバ、グラフィカルユーザインターフェース、およびアプリケーションプログラムのうちの1つもしくは複数、タッチパッドもしくはスクリーンなどの1つもしくは複数の相互作用装置、ならびに/またはフィードバックループおよびコントロールモータを含むコントロールシステム(たとえば、位置検知用および/もしくは速度検知用フィードバック、コンポーネントの移動用および/もしくは数量の調整用コントロールモータ)を含むことを、当業者は理解するであろう。通常のデータ処理システムは、データコンピューティング/通信システムおよび/またはネットワークコンピューティング/通信システムの中に通常見られるコンポーネントなどの、市販の適切なコンポーネントを利用して実装することができる。
【0047】
本明細書に記載された主題は、さまざまなコンポーネントをしばしば例示しており、これらのコンポーネントは、他のさまざまなコンポーネントに包含されるか、または他のさまざまなコンポーネントに接続される。そのように図示されたアーキテクチャは、単に例示に過ぎず、実際には、同じ機能を実現する多くの他のアーキテクチャが実装可能であることが理解されよう。概念的な意味で、同じ機能を実現するコンポーネントの任意の構成は、所望の機能が実現されるように効果的に「関連付け」される。したがって、特定の機能を実現するために組み合わされた、本明細書における任意の2つのコンポーネントは、アーキテクチャまたは中間のコンポーネントにかかわらず、所望の機能が実現されるように、お互いに「関連付け」されていると見ることができる。同様に、そのように関連付けされた任意の2つのコンポーネントは、所望の機能を実現するために、互いに「動作可能に接続」または「動作可能に結合」されていると見なすこともでき、そのように関連付け可能な任意の2つのコンポーネントは、所望の機能を実現するために、互いに「動作可能に結合できる」と見なすこともできる。動作可能に結合できる場合の具体例には、物理的にかみ合わせ可能な、および/もしくは物理的に相互作用するコンポーネント、ならびに/またはワイヤレスに相互作用可能な、および/もしくはワイヤレスに相互作用するコンポーネント、ならびに/または論理的に相互作用する、および/もしくは論理的に相互作用可能なコンポーネントが含まれるが、それらに限定されない。
【0048】
本明細書における実質的に全ての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。さまざまな単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0049】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(たとえば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(たとえば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは複数の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む発明に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(たとえば、「a」および/または「an」は、通常、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、通常、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(たとえば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、通常、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、BおよびC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B、またはC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0050】
本明細書における「ある実装形態」、「一実装形態」、「いくつかの実装形態」、または「別の実装形態」への言及は、1つまたは複数の実装形態とともに説明される具体的な特徴、構造、または特性が、少なくともいくつかの実装形態に含まれうるが、全ての実装形態には必ずしも含まれないということを意味しうる。上の説明における、さまざまな箇所に現れる「ある実装形態」、「一実装形態」、または「いくつかの実装形態」は、全てが同一の実装形態を指しているとは限らない。
【0051】
ある例示的な技術が、さまざまな方法およびシステムを用いて本明細書で説明され示されてきたが、特許請求される主題から逸脱することなく、さまざまな他の修正を行うことができ、等価物により置き換えることができることを、当業者は理解されたい。加えて、具体的な状況を特許請求される主題の教示に適合させるために、本明細書で説明される主要な概念から逸脱することなく、多くの修正を行うことができる。したがって、特許請求される主題は、開示された具体的な例に限定されることは意図されず、そのような特許請求される主題は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に収まる、全ての実装形態も含みうることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の量子閉じ込め構造と、
前記第1の量子閉じ込め構造に連続して結合される第2の量子閉じ込め構造であって、前記第1の量子閉じ込め構造と比べて非対称の物理的な寸法を少なくとも1つ含む、第2の量子閉じ込め構造と
を含む、結合非対称量子閉じ込め構造であって、
前記結合された第1の量子閉じ込め構造および第2の量子閉じ込め構造が、光信号の遅延および/または周波数に影響を与えることができる、結合非対称量子閉じ込め構造。
【請求項2】
前記第1の量子閉じ込め構造に連続して結合される1つまたは複数の追加の量子閉じ込め構造をさらに含む、請求項1に記載の結合非対称量子閉じ込め構造。
【請求項3】
前記第1の量子閉じ込め構造および前記第2の量子閉じ込め構造が、3準位エネルギー状態系を含む、請求項1に記載の結合非対称量子閉じ込め構造。
【請求項4】
前記非対称の物理的な寸法が、前記光信号の遅延および/または周波数に影響を与えることができる、請求項1に記載の結合非対称量子閉じ込め構造。
【請求項5】
前記第2の量子閉じ込め構造が、前記第1の量子閉じ込め構造と比べて非対称な半導体材料を少なくとも1つ含む、請求項1に記載の結合非対称量子閉じ込め構造。
【請求項6】
前記第2の量子閉じ込め構造が、前記第1の量子閉じ込め構造と比べて非対称な半導体材料を少なくとも1つ含み、前記非対称な半導体材料が、前記光信号の遅延および/または周波数に影響を与えることができる、請求項1に記載の結合非対称量子閉じ込め構造。
【請求項7】
前記第1の量子閉じ込め構造および前記第2の量子閉じ込め構造が、第1および第2の量子井戸、第1および第2の量子細線、または第1および第2の量子ドットのうちの1つを含む、請求項1に記載の結合非対称量子閉じ込め構造。
【請求項8】
第1の論理モジュールと、
第2の論理モジュールと、
前記第1の論理モジュールを前記第2の論理モジュールに通信可能に結合する、結合非対称量子閉じ込め構造と
を含む、集積回路であって、前記結合非対称量子閉じ込め構造が、
第1の量子閉じ込め構造と、
前記第1の量子閉じ込め構造に連続して結合される第2の量子閉じ込め構造であって、前記第1の量子閉じ込め構造と比べて非対称の物理的な寸法を少なくとも1つ含む、第2の量子閉じ込め構造と
を含み、前記結合された第1の量子閉じ込め構造および第2の量子閉じ込め構造が、光信号の遅延および/または周波数に影響を与えることができる、集積回路。
【請求項9】
前記第1の量子閉じ込め構造に連続して結合される1つまたは複数の追加の量子閉じ込め構造をさらに含む、請求項8に記載の集積回路。
【請求項10】
前記第1の量子閉じ込め構造および前記第2の量子閉じ込め構造が、3準位エネルギー状態系を含む、請求項8に記載の集積回路。
【請求項11】
前記非対称の物理的な寸法が、前記光信号の遅延および/または周波数に影響を与えることができる、請求項8に記載の集積回路。
【請求項12】
前記第2の量子閉じ込め構造が、前記第1の量子閉じ込め構造と比べて非対称な半導体材料を少なくとも1つ含み、前記非対称な半導体材料が、前記光信号の遅延および/または周波数に影響を与えることができる、請求項8に記載の集積回路。
【請求項13】
前記第1の量子閉じ込め構造および前記第2の量子閉じ込め構造が、第1および第2の量子井戸、第1および第2の量子細線、または第1および第2の量子ドットのうちの1つを含む、請求項8に記載の集積回路。
【請求項14】
基板を提供することと、
前記基板上に第1のクラッド層を堆積することと、
前記第1のクラッド層上に内側層を堆積することであって、前記内側層の第1の部分が第1の量子閉じ込め構造と関連付けられ、前記内側層の第2の部分が第2の量子閉じ込め構造と関連付けられ、前記第2の部分が、前記第1の量子閉じ込め構造と比べて非対称の物理的な寸法を少なくとも1つ含む、堆積することと、
前記内側層上に第2のクラッド層を堆積することと
を含む、結合非対称量子閉じ込め構造を製造するための方法。
【請求項15】
前記第1のクラッド層にn+領域およびp+領域を形成し、前記内側層に電荷キャリアを注入することができるp−n接合を画定することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のクラッド層上にゲート電極を堆積することをさらに含み、
前記ゲート電極が、前記結合非対称量子閉じ込め構造の作用を受ける光信号の遅延に影響を与えるゲート電圧を供給することができる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の量子閉じ込め構造および前記第2の量子閉じ込め構造が、3準位エネルギー状態系を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記非対称の物理的な寸法が、前記結合非対称量子閉じ込め構造の作用を受ける光信号の遅延および/または周波数に影響を与えることができる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の量子閉じ込め構造が、前記第1の量子閉じ込め構造に比べて非対称な半導体材料を少なくとも1つ含み、前記非対称な半導体材料が、前記光信号の遅延および/または周波数に影響を与えることができる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の量子閉じ込め構造および前記第2の量子閉じ込め構造が、第1および第2の量子井戸、第1および第2の量子細線、または第1および第2の量子ドットのうちの1つを含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2013−511064(P2013−511064A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538774(P2012−538774)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/KR2010/008181
【国際公開番号】WO2011/065702
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(511283930)ユニバーシティ オブ ソウル インダストリー コーポレーション ファウンデーション (7)
【Fターム(参考)】