説明

結晶性アルミノシリケート:UZM−13、UZM−17、UZM−19及びUZM−25

【課題】新しい微細孔質ゼオライトUZM−25とその製造方法を提供する。
【解決手段】特定のテンプレートを用いて一連の結晶性層状アルミノシリケート組成物が調製された。これらの組成物は重層構造を有し、UZM−13、UZM−17及びUZM−19であると特定される。400℃から600℃での焼成に際して、これらの組成物は、三次元骨格構造を有し、UZM−25であると特定される微細孔質結晶性ゼオライトを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい微細孔質ゼオライトUZM−25、並びに焼成によってこのUZM−25に変化する三つの新しい層状アルミノシリケート、UZM−13、UZM−17及びUZM−19の合成に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くのゼオライト系が焼成の際の層状前駆体の凝縮から発生することが証明されている。これは、いくつかのフェリエライト系(L. Schreyeck et. al., J Chem Soc., Chem. Commun., (1995), 2187 参照)及びMCM−22などのMWW材(S.L. Lawton et. al,, J. Phys Chem., (1996) 100, 3788-3798 参照)にも該当する。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、焼成によって新しい微細孔質ゼオライトUZM−25に変化する三つの新しい層状アルミノシリケート、UZM−13、UZM−17及びUZM−19の合成を開示する。例えばジエチルジメチルアンモニウム(DEDMA)テンプレートを用いて、UZM−13が調製される。例えばエチルトリメチルアンモニウム(ETMA)をテンプレートとして用いることによって、UZM−17が調製される。一方、例えばジ第四級アンモニウム陽性テトラメチレン(ビス−1,4−トリメチルアンモニウム)(Diquat−4)をテンプレートとして用いることによって、UZM−19が調製される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
UZM−13、UZM−17及びUZM−19は、合成したままの形態、かつ無水換算で下記の実験式によって表される組成物を有している。
【0005】
【化1】

【0006】
ここでMは、少なくとも一つの交換性カチオンであり、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びそれらの混合物から構成される群より選択され、“m”はMのSiに対するモル比であり、0.01から0.35まで変化する。Mカチオンの具体例は、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びその混合物などである。Rは、有機カチオンであって、プロトン化アミン、プロトン化ジアミン、第四級アンモニウムイオン、ジ第四級アンモニウムイオン、プロトン化アルカノールアミン及び第四級化アルカノールアンモニウムイオンから構成される群より選択される。RのSiに対するモル比である“r”の値は、0.05から1.0まで変化する。Mの加重平均原子価である“n”の値は、1及び2の間で変化する。Rの加重平均原子価である“p”の値は、1から2まで変化する。水酸基プロトンのSiに対するモル比である“w”の値は、0から1.0まで変化する。AlのSiに対するモル比である“x”の値は、0から0.25まで変化する。Eは、四面体配位されており、骨格中に存在し、またガリウム、鉄、クロム、インジウム、ホウ素及びそれらの混合物から構成される群より選択される成分である。EのSiに対するモル比であるyの値は、0から0.25まで変化し、ここでx+yの値は0.25以下であって、一方“z”はOのSiに対するモル比であり、式によって表される。

Z=(m・n+r・p+w+3・x+3・y+4)/2
【0007】
ここで、Mは一つのみの金属であり、加重平均原子価は上記一つの金属の原子価、つまり+1価あるいは+2価である。しかし、二つ以上のM金属が存在した場合、総量は:
【0008】
【数1】

そして加重平均原子価“n”は以下の式によって表される:
【0009】
【数2】

【0010】
R有機カチオンが一つのみ存在する場合、加重平均原子価は単一Rカチオンの原子価、つまり+1価あるいは+2価である。二つ以上のRカチオンが存在する場合は、Rの総量は以下の式で表される。
【0011】
【数3】

そして加重平均原子価“p”は以下の式で表される。
【0012】
【数4】

【0013】
これらのアルミノシリケート組成物は、R、M、アルミニウム、シリコン、及び状況に応じてEの反応源を水系媒体内で合成することによって調製される反応混合物の水熱合成によって調製される。その結果、アルミニウム供給源は、アルミニウムアルコキシド、沈澱アルミナ、水酸化アルミニウム、アルミニウム塩及びアルミニウム金属などである。アルミニウムアルコキシドの具体的な例は、アルミニウムオルトsec−ブトキシド及びアルミニウムオルトイソプロポキシドなどである。シリカの供給源は、テトラエチルオルトシリケート、ヒュームド・シリカ、沈降シリカ及びコロイダル・シリカなどである。M金属の供給源は、ハロゲン化塩、硝酸塩、酢酸塩及び各アルカリあるいはアルカリ土類金属の水酸化物などである。E成分の供給源は、アルカリホウ酸塩、ホウ酸、沈殿オキシ水酸化沈殿ガリウム、硫酸ガリウム、硫酸第2鉄、塩化第2鉄、塩化クロム、硝酸クロム、塩化インジウム及び硝酸インジウムなどである。Rが第四級アンモニウムカチオンである場合、その供給源は水酸化物及びハロンゲン化合物などを含む。具体例としては、エチルトリメチル水酸化アンモニウム、ジエチルジメチル水酸化アンモニウム及び二水酸化テトラメチレン(ビス−1,4−トリメチルアンモニウム)、二水酸化トリメチレン(ビス−1,3−トリメチルアンモニウム)、二水酸化ジメチレン(ビス−1,2−トリメチルアンモニウム)、水酸化トリメチルプロピルアンモニウム、水酸化トリメチルブチルアンモニウム及び水酸化トリメチルペンチルアンモニウムなどを含む。またRの供給源は、反応混合物内で部分的にプロトン化する中性アミン、ジアミン、及びアルカノールアミンである。具体例としては、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、及びN,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミンがある。
【0014】
所望の成分の反応源を含む反応混合物は、酸化物のモル比という点に関して以下のような式に表すことができる:

aM2/nO:bR2/pO:cAl23:dE23:SiO2:eH2

式中において、“a”は、M酸化物のSiに対するモル比であって、0.01から0.35までの値を有する。“b”は、R酸化物のSiに対するモル比であって、0.05から0.75までの値を有する。“c”は、酸化アルミニウムのSiに対するモル比であって、0から0.175までの値を有する。“d”は、E酸化物のSiに対するモル比であって、0から0.175まで変化し、ここでc+dは0.175以下である。そして“e”は、水のSiに対するモル比であり、8から150までの値を有する。
【0015】
本発明の組成物を得るための好適な方法は、まず、Si、Alの供給源及び水酸化物形状のテンプレート(二つ以上のテンプレートが用いられるなら、その内の一つ)を含む均質アルミノシリケート溶液を用いて開始する。この結果、最終的な反応混合物内において独自の組成物が調製され、上記組成物は、反応混合物が反応する前に結晶化誘導するMの供給源を加えることによって増加させることができる。この好適な方法の他の実施の態様としては、これら均質アルミノシリケート溶液の内Si/Al比率の異なる二つを用いて、その後それらを一緒に混合して目標Si/Al比率を得、反応混合物を形成する方法も含まれる。これらの溶液は、アルミニウム、シリコン、R、及び随意的にEの反応供給源も含む。アルミニウム及びシリコン供給源としてアルコキシドを用いるならば、この第一溶液は、加水分解反応の副生成物として形成されるアルコールの少なくとも一部を蒸留するために要される十分な時間、25℃から100℃の温度まで加熱される。もう一つの方法として、アルコールは開放容器内での真空状態あるいは時間をかけた均質化を経由することによって除去してもよい。
【0016】
蒸留あるいはアルコール除去の後、上記第一の溶液は随意的に、0〜96時間のあいだ、25〜100℃の温度で熟成される。上記第一の溶液がアルミニウム及びアルコキシド以外のシリコン供給源、すなわちシリカゾル、ヒュームド・シリカ、沈降シリカ、アルミナを用いて調製される場合、初期の混合物は8〜240時間のあいだ、50〜100℃の温度まで加熱して均一な溶液の形成を確実にするのが望ましい。
【0017】
結晶化のための最終反応混合物を得るため、追加R供給源及び、必要であればM供給源からも構成される溶液を、これらの均質アルミノシリケート溶液に混合させる。Rは上記アルミノシリケート溶液中のRであっても、また異なるものであってもよい。
【0018】
複数の溶液が用いられようと、全ての反応供給源が一緒に混合されて反応混合物を形成しようと、上記反応混合物は、100〜200℃、好ましくは135〜175℃の温度で、12時間から21日間、好ましくは5日間から16日間、自己圧力下の密閉状反応容器内という条件下で反応させられる。結晶化が完了した後、固体生成物はろ過あるいは遠心分離などの手段によって不均一混合物より分離され、純水によって洗浄された後、最大100℃までの大気温度下で乾燥させられる。
【0019】
上記工程によって調製される結晶性組成物は、重層構造及び独自のX線回折パターンによって特徴付けられる。上記工程によって調製される組成物には、UZM−13、UZM−17及びUZM−19の称号が付される。これらの特定種は、少なくとも、d間隔並びに表A、B及びCにそれぞれ示される相対強度を有しているという点で特徴がある。
【0020】
【表A】

【0021】
【表B】

【0022】
【表C】

【0023】
合成直後、ゼオライトは交換性あるいは電荷平衡カチオンをその細孔に有している。これらの交換性カチオンは他のカチオンと交換され、あるいは有機カチオンの場合は、制御された条件下で加熱することにより除去される。イオン交換には、ゼオライトを、交換条件において所望のカチオン(モル過剰)を含む溶液と接触させる過程も含まれる。交換条件とは、15℃〜100℃の温度及び20分〜50時間の時間を含んでいる。交換されるカチオンは、アルカリあるいはアルカリ土類金属、ランタンなどの希土類金属あるいはそれらの混合物などを含んでいる。焼成条件は、300℃〜600℃の温度で2〜24時間処理する条件を含んでいる。UZM−13、UZM−17、あるいはUZM−19のいずれかが焼成される際に、少なくともAlO2及びSiO2の四面体単位の三次元骨格構造を有する微細孔質ゼオライトが形成されることが明らかとなっている。このゼオライトは、焼成体及び無水ベースで以下の実験式によって表される;
【0024】
【化2】

ここでE,“m”、“n”、“x”及び“y”の定義は上記の通りである。M1は、水素イオン、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びそれらの混合物から構成される群より選択される交換性カチオンである。そして、z=(m・n + 3・x + 3・y + 4)/2である。この焼成ゼオライトにはUZM−25の称号が付され、以下の表Dに示される少なくともd間隔及び相対強度を有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
【0025】
【表D】

【0026】
本発明のUZM−25ゼオライトは、分子サイズ(運動直径)あるいは分子種の極性の程度に基づいて、分子種の混合物を分離することができる。分子種の分離が分子サイズに基づく場合、分離は、より大きな分子種を排除しながら結晶内空間に入り込む、より小さな分子種によって成し遂げられる。酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などの色々な分子の運動直径は、“D.W. Breck, Zeolite Molecular Sieves, John Wiley and Sons(1974年)636頁”に記載されている。
【0027】
本発明のUZM−25は、炭化水素転化処理において触媒あるいは触媒担体として用いることができる。炭化水素転化処理は当業者には公知であり、加熱分解、水素化分解、芳香族化合物及びイソパラフィンのアルキル化、異性化、ポリメリゼーション(重合)、改質、脱ワックス化、水素化、脱水素化、トランスアルキル化、脱アルキル化、水和、脱水、水素化処理、水素化脱窒素処理、水素化脱硫処理、メタン生成及び合成ガスシフト処理を含んでいる。これらの処理に用いられる特定の反応条件及び供給原料のタイプは、本明細書に参照として組み入れられている米国特許4,310,440及び4,440,871号明細書に詳しく述べられている。好適な炭化水素転化処理として、芳香族化合物のアルキル化及びキシレンの異性化がある。
【0028】
以下の実施例(及び上記の表)に示されるX線パターンは、標準X線粉末回折技術を用いて得られた。線源は、45kV及び35maにて操作される高強度X線管であった。銅Kα線からの回折パターンは、好適なコンピュータに基づく技術によって得られた。扁平圧縮粉末試料は、分毎に2°(2θ)で、2°から70°(2θ)まで連続的に走査された。オングストローム単位の格子面間隔(d)は、2θとして表される回折ピークの位置より得られた。ここでθは、デジタル化されたデータから観察されるブラッグ角である。強度は、バックグラウンドを減算した後、回折ピークの統合領域から判定された。“I”は最強線あるいはピークの強度であり、“I”は他の各ピークの強度である。
【0029】
当業者には理解されるように、パラメーター2θの判定は、人為的ミス及び機械のエラーの影響を免れない。これらを合わせて、2θの各申告値に±0.4の、ナノ結晶性材料の申告値に±0.5の不確定要素が生ずる。もちろん、この不確定要素はθの値から計算されるd間隔の申告値においても明白に示される。こうした不正確さは当該技術においては一般的であり、この結晶性材料を互いに区別すること、及び先行技術の組成物から区別することを不可能にするほどのものではない。申告されるX線パターンにおいては、d間隔の相対強度はvs、s、m、及びwの表記によって示される。非常に強い(very strong)、強い(strong)、中間(medium)、弱い(weak)をそれぞれ表している。100XI/I0として、上の表記は、w=0−15;m=15−60;s=60−80及びvs=80−100と定義される。場合によっては、合成物の純度はX線粉末回折パターンを参照して評価される。従って、例えば、試料が純粋であると述べられるならば、それは、試料のX線パターンに結晶性不純物に起因する線がない、ということのみを意図しているのであって、非晶質が存在していない、ということを意図しているのではない。
【0030】
本発明をより十分に説明するために、以下の実施例を示す。なお、これらの実施例は説明の目的のみで示されるのであって、添付の請求の範囲に詳しく述べられる本発明の広い範囲に過度な制限を設けることを意図したものではない。
【実施例1】
【0031】
(UZM−13)
20%水性の水酸化ジエチルジメチルアンモニウム(DEDMAOH)151.18gにアルミニウムトリsec−ブトキシド6.44gを溶解させることによって、アルミノシリケート溶液を調製した。その間に、撹拌しながら、純水80.62gを加え、さらにテトラエチルオルトシリケート(TEOS、98%)161.76gを加えた。そして結果として生じる混合物を、さらに1.5時間、均質化処理した。この反応混合物を丸底フラスコに移し、過剰なエタノールを蒸留して除去した。続いて上記溶液を化学分析した結果、Si8.66%及びAl0.27%の組成物が示された。
【0032】
上記アルミノシリケート溶液25.77gをビーカー内に移し、DEDMAOH(20%)14.30gをさらに加えた。そして結果として生じる溶液を均質化した。別のビーカー中で、NaCl1.21gを純水3.73gに溶解させ、この溶液を前記混合物に撹拌しながら加えた。この結果として生じる反応混合物をさらに20分間混合し、その後二つの45mlテフロン(登録商標)ライニングを施したオートクレーブに移した。上記オートクレーブを炉内で150℃で加熱し、168及び264時間後に取り出した。固形生成物を遠心分離によって回収し、純水によって洗浄し、95℃で乾燥させた。そして、その後の粉末X線回折によって、両生成物がUZM−13と指定される物質の特性線を有している、という特徴が示された。168時間後に取り出した生成物の回折線を表1に示す。元素分析によって、UZM−13が元素モル比Si/Al=48.9、Na/Al=1.51、N/Al=6.42、そしてC/N=6.08を含んでいることが示された。Na/Al及びN/Alの高い比率は、層状材料を示している。
【0033】
【表1】

【実施例2】
【0034】
(UZM−13)
水酸化ジエチルジメチルアンモニウム(DEDMAOH)(20%)145.46gにアルミニウムトリsec−ブトキシド3.26gを溶解させることによって、アルミノシリケート溶液を調製した。その間に、撹拌しながら、純水87.44gを加え、さらにテトラエチルオルトシリケート(TEOS、98%)163.84gを加え、その後、結果として生じる反応混合物を、さらに1.5時間、均質化処理した。その後、この溶液を丸底フラスコに移し、過剰なエタノールを蒸留して除去した。続いて元素分析した結果、上記溶液がSi8.12%及びAl0.13%を含んでいることが示された。
【0035】
上記アルミノシリケート溶液26.48gをビーカー内に移し、DEDMAOH(20%)13.54gをさらに加えた。そして結果として生じる溶液を十分に混合した。別のビーカー中で、NaCl1.19gを純水3.79gに溶解させ、その後このNaCl溶液を前記アルミノシリケート溶液に加えた。そして結果として生じる反応混合物を、さらに20分間、混合した。その後上記反応混合物の一部を、45mlテフロン(登録商標)ライニングを施したオートクレーブに移し、そしてこの反応混合物を、自生圧力下で150℃で消化した。168時間後、上記オートクレーブを炉より取り出し、固体生成物を遠心分離によって回収し、純水によって洗浄し、95℃で乾燥させた。そして、その後の粉末X線回折によって、上記生成物がUZM−13と指定される物質の特性線を有している、という特徴が示された。表2に、この生成物の特性回折線が記載されている。上記分離固体の元素分析によって、元素モル比Si/Al=87.23、Na/Al=0.93、N/Al=9.49、そしてC/N=6.06を含んでいることが示された。N/Alの高い比率は、層状材料を示している。
【0036】
【表2】

【実施例3】
【0037】
(UZM−13)
Al(O−secBu)3(97%)11.40gを水酸化ジエチルジメチルアンモニウム(DEDMAOH)(20%)508.19gに溶解させ、さらにコロイダルシ・シリカ(Ludox AS−40、 40% SiO2)387.83gを加えることによって、アルミノシリケート溶液が調製された。これらの処理は全て強力に混合することによって行った。20分間混合した後、この混合物をテフロン(登録商標)ボトルに入れ、95℃の温度で10日間消化した。この段階では、澄明な溶液であった。元素分析によって、この溶液がSi7.53%及びAl0.15%を含んでいることが示された。
【0038】
DEDMAOH(20%)294.93gが、上記アルミノシリケート溶液の部分816.62gに加えられ、強力に混合された。一方で、NaCl39.13gを純水129.32gに溶解させることによって、塩化ナトリウム溶液が調製された。そして、上記塩化ナトリウム溶液を、強力に混合することによって、上記アルミノシリケート溶液に加え、そしてこの追加が完了した後もさらに撹拌処理を行った。上記反応混合物をParr社2L静止反応容器(static reactor)に入れ、150℃で8日間、自生圧力下で消化した。上記生成物を遠心分離によって分離し、純水で洗浄し、95℃にて乾燥させた。粉末X線回折によって上記生成物がUZM−13であることが示された。試料の回折線特性を表3に示す。上記固体の元素分析によって、元素モル比Si/Al=19.26、Na/Al=1.52、N/Al=3.43、そしてC/N=5.97を含んでいることが示された。
【0039】
【表3】

【実施例4】
【0040】
(UZM−17)
エチルトリメチルアンモニウム(ETMA)テンプレート用いる以外は実施例1−3と同様にして、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAOH)(12.8%)を用いてアルミノシリケート溶液を調製した。以下の化学量論を用いて溶液を調製した:Si/Al=23.7、ETMAOH/Si=0.542、H2O/Si=23.7。上記アルミノシリケート溶液の部分809μlに対して、ETMAOH(12.8%)291μlを加え、混合した。さらに続いてNaCl溶液(24.47%aq)100μlを加え、30分間、強力に混合した。この反応容器は密閉され、内容物を150℃で336時間、自生圧力下で消化した。上記固体生成物を遠心分離によって分離し、純水によって洗浄し、75℃にて乾燥させた。粉末X線回折によって、UZM−17と認められる生成物が示された。表4にUZM−17の特性回折線を示す。
【0041】
【表4】

【実施例5】
【0042】
(UZM−17)
実施例4と同様に、以下の化学量論を用いてアルミノシリケート溶液を調製した:Si/Al=48.42、ETMAOH/Si=0.521、H2O/Si=23.31。上記アルミノシリケート溶液の部分809μlに対して、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAOH)(12.8%)292μlを加え、混合した。さらに続いてNaCl溶液(24.47%aq)99μlを加え、30分間、強力に混合した。この反応容器は密閉され、内容物を150℃で168時間、自生圧力下で消化した。上記固体生成物を遠心分離によって分離し、純水によって洗浄し、75℃にて乾燥させた。粉末X線回折によって、UZM−17と認められる生成物が示された。表5にUZM−17のこの試料の特性回折線を示す。
【0043】
【表5】

【実施例6】
【0044】
二水酸化Diquat−4(16.5%)62.25gをコロイダル・シリカ(Ludox AS−40、 40% SiO2)29.57gに加え、強く撹拌することによって、反応混合物を調製した。次に、NaCl溶液(24.47%aq)9.41gを反応混合物に加え、さらに均質化処理をした。上記反応混合物の一部をテフロン(登録商標)ライニングを施したオートクレーブに移し、自生圧力下で165℃で168時間消化した。上記の生成物をろ過処理によって分離し、純水によって洗浄し、95℃で乾燥させた。粉末X線回折解析によって、UZM−19と認められる生成物が示された。表6にUZM−19生成物の特性回折線が示される。元素分析によって、上記生成物が以下の元素比率から構成されることが示された:Si/Al=127.1、Na/Al=0.67、N/Al=14.1、C/N=4.6。上記物質中のアルミニウムは、Ludox AS−40シリカ供給源からの混入物である。
【0045】
【表6】

【実施例7】
【0046】
(UZM−25)
各層状アルミノシリケートUZM−13(実施例1)及びUZM−19(実施例6)を焼成し、UZM−25であると識別される微細孔質結晶性ゼオライトを形成した。UZM−13を空気中で550℃で12時間焼成し、一方、UZM−19を空気中で520℃で4時間焼成し、UZM−25を得た。結果的に生じるUZM−25物質の粉末X線回折パターンからの特性回折線が、表7に示される。
【0047】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともSiO2及びAlO2四面体単位の三次元骨格構造、及び焼成状の実験組成物を有する結晶性アルミノシリケートゼオライトであって、上記結晶性アルミノシリケートゼオライトは無水換算で以下の実験式:

によって表され、上記式中、M1はプロトン、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びその混合物から構成される群より選択される少なくとも一つの交換性カチオンであって、“m”はM1のSiに対するモル比であって0.01から0.35まで変化し、“n”はM1の加重平均原子価であって1及び2の間で変化し、“x”はAlのSiに対するモル比であって0から0.25まで変化し、Eは、四面体配位されており、上記骨格構造内に存在し、ガリウム、鉄、クロム、インジウム、ホウ素及びそれらの混合物から構成される群より選択される成分であって、“y”はEのSiに対するモル比であって0から0.25まで変化し、ここでx+yは0.25以下であって、“z”はOのSiに対するモル比であって、以下の式:

Z=(m・n+3・x+3・y+4)/2

で表され、上記ゼオライトは、下記表Dに記載されているd間隔及び相対強度を少なくとも有するX線回折パターンを有していることを特徴とする結晶性アルミノシリケートゼオライト。

【請求項2】
炭化水素流を、炭化水素転化条件で微細孔質結晶性アルミノシリケートゼオライトと接触させ、転化生成物を発生させる工程を含む炭化水素転化方法であって、上記微細孔質結晶性ゼオライトは、焼成状で無水換算で以下の実験式:

によって表される組成物を有しており、上記式中では、M1は水素イオン、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びそれらの混合物から構成される群より選択される少なくとも一つの交換性カチオンであって、“m”はM1のSiに対するモル比であって、0.01から0.35まで変化し、“n”はM1の加重平均原子価であって1及び2の間で変化し、“x”はAlのSiに対するモル比であって、0から0.25まで変化し、Eは、四面体配位されており、上記骨格構造内に存在し、ガリウム、鉄、クロム、インジウム、ホウ素及びそれらの混合物から構成される群より選択される成分であって、“y”はEのSiに対するモル比であって、0から0.25まで変化し、ここでx+yの値は0.25以下であって、“z”はOのSiに対するモル比であって、以下の式:

Z=(m・n+3・x+3・y+4)/2

で表され、上記ゼオライトは、上記表Dに記載されるd間隔及び相対強度を少なくとも有するX線回折パターンを有していることを特徴とする炭化水素転化方法。

【公開番号】特開2011−140439(P2011−140439A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56428(P2011−56428)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【分割の表示】特願2006−528083(P2006−528083)の分割
【原出願日】平成16年9月20日(2004.9.20)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】