説明

結晶性多孔質有機金属骨格物質を製造する方法

【課題】少なくとも2座の有機化合物少なくとも1種を含有する反応媒体中で、金属イオン少なくとも1個に配位結合した少なくとも2座の有機化合物少なくとも1つを含有している結晶性多孔質有機金属骨格物質を電気化学的に製造する方法。
【解決手段】この反応媒体中で、相応する金属を含有するアノード少なくとも1個の酸化によって金属イオン少なくとも1個を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性多孔質有機金属骨格物質を電気化学的に製造する方法に関する。この方法の範囲では、骨格物質中に含有される金属イオンが少なくとも部分的にアノード酸化によって供給される。同様に本発明は、本発明により製造された骨格物質そのもの並びに例えば液体及びガスの貯蔵媒体としての有利なその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶性多孔質有機金属骨格物質、いわゆる特定の孔又は孔分布及び大きい比表面積を有する「有機金属フレームワーク:Metal-Organic Frameworks(MOF)」は、近年、広範囲な研究活動の課題となっている。
【0003】
例えば、US5648508は、温和な反応条件下にテンプレート化合物の存在下に1金属イオン及び1リガンドから製造されうる微孔質有機金属物質を記載している。
【0004】
WO02/088148は、同様な骨格位相幾何学を有する一連の化合物の製造を開示している。これらのいわゆるIMOF(等網状(isoreticular)有機金属フレームワーク)−構造は、ガスの非常に高い貯蔵能を有する単結晶でメソ多孔質の骨格物質である。
【0005】
Eddaoudi 等は、Science,295(2002) 469-472頁に、例えばいわゆるMOF−5の製造を記載しており、ここでは、亜鉛塩、即ち硝酸亜鉛から出発しており、この際、MOFの合成のために、この塩及び1,4−ベンゼンジカルボン酸(BDC)がN,N’−ジエチルホルムアミド(DEF)中に溶かされている。
【0006】
Chen等は、Science,291(2001)、1021-1023頁に、例えばいわゆるMOF−14の製造を記載しており、ここでは、銅塩、即ち硝酸銅から出発しており、この際、MOFの合成のためにこの塩及び4,4’,4''−ベンゼン−1,3,5−トリルトリ安息香酸(HBTC)が、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)及び水中に溶かされている。
【0007】
従って技術水準では、この多孔質有機金属骨格物質の製造のために常に、それにリガンドが配位結合する金属イオンが、相応する金属塩溶液を介して供給され、この際にいずれの場合にも、溶かされた金属塩を含有する溶液を、適当なテンプレート化合物の存在下にリガンドと接触させる方法が記載されている。
【0008】
この処理法は、いずれにせよ重大な技術的安全性の問題を有する。それというのも、例えば銅含有有機金属骨格物質の製造の際には多くの場合に、溶液中に銅イオンと共に、この銅塩を介して反応系中に導入されうる硝酸塩アニオンも存在するからである。従ってこの合成から濃硝酸塩含有相中に高表面積の金属錯体が生じ、この際、この相中には更に有機溶剤が含有されている。このような相は、過熱時に自然に崩壊する傾向がありうる。これに対して、硝酸塩含有金属塩溶液の代わりに、技術水準で同様に多くの場合に記載されているようなハロゲニドをベースとする溶液を使用する場合には、これが工業的使用時に装置機材の急速な腐食をもたらすので、高価な耐食性材料が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US5648508
【特許文献2】WO02/088148
【特許文献3】DE19533773A1
【特許文献4】WO94/29408
【特許文献5】EP0592050A1
【特許文献6】WO94/13584
【特許文献7】JP03−037156A
【特許文献8】EP0102544B1
【特許文献9】EP0389041A1
【特許文献10】EP0200260A1
【特許文献11】WO95/19222
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Eddaoudi 等、Science,295(2002) 469-472頁
【非特許文献2】Chen等、Science,291(2001)、1021-1023頁
【非特許文献3】J.Chaussard 等、J.Appl.Electrochem. 19(1989) 345-348
【非特許文献4】Pure Appl.Chem. 45(1976)、71頁以降
【非特許文献5】DIN66131
【非特許文献6】DIN66135
【非特許文献7】DIN66134
【非特許文献8】Ullmann's Enzyklopaedie der Technischen Chemie,4.Auflage, Band 2, 313頁以降
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の根底にある課題は、これらの欠点を有しない方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、完全に異なる種類の研究手法から出発し、骨格物質のリガンドがそれに配位結合している金属イオンを、金属塩を介してではなく、電気化学的方法で供給する方法によって解決された。従って、本発明の方法の範囲では、有機金属骨格物質中の少なくとも1種の金属イオンが、少なくとも部分的にアノード酸化を介してこの反応系中に導入される。
【0013】
相応して、本発明は、少なくとも2座の有機化合物少なくとも1種を含有する反応媒体中で、金属イオン少なくとも1個に配位結合した少なくとも2座の有機化合物少なくとも1つを含有している結晶性多孔質有機金属骨格物質を電気化学的に製造する方法に関し、これは、この反応媒体中で、相応する金属を含有するアノード少なくとも1個の酸化によって金属イオン少なくとも1種を供給することを特徴とする。
【0014】
本発明の範囲で使用されているような概念「電気化学的に製造する」とは、反応生成物少なくとも1種の形成が電荷の移動又は電位の生起と結びついている製造法を意味している。
【0015】
本発明の範囲で使用されているような概念「金属イオン少なくとも1個」とは、金属イオン少なくとも1個又は第1の金属イオン少なくとも1個と第1の金属とは異なる第2の金属イオン少なくとも1個がアノード酸化により供給される実施形を意味している。
【0016】
相応して、本発明には、金属少なくとも1種のイオン少なくとも1個がアノード酸化によってかつ、金属少なくとも1種のイオン少なくとも1個が金属塩を介して供給される実施形が包含され、この際、金属塩中の金属少なくとも1種及びアノード酸化を介して金属イオンとして供給される金属少なくとも1種は、同じ又は相互に異なっていてよい。従って本発明は、例えば反応媒体が1金属の種々の塩1種以上を含有し、かつこの塩中の又はこの塩中に含有されている金属イオンが付加的に、この金属を含有するアノード少なくとも1個のアノード酸化によって供給される実施形を包含している。同様に本発明は、反応媒体が少なくとも1金属の種々の塩1種以上を含有し、かつこの金属とは異なる金属少なくとも1種がアノード酸化を介して反応媒体中で金属イオンとして供給される、実施形を包含している。
【0017】
本発明の有利な1実施形によれば、金属イオン少なくとも1種が、少なくともこの1金属を含有するアノード少なくとも1個のアノード酸化によって供給され、この際、1金属塩を介して他の金属は供給されない。
【0018】
従って本発明には、少なくとも1個のアノードが特有の1種又は2種以上の金属を含有する実施形が包含され、この際、アノードが特有の1金属を含有する場合には、この金属がアノード酸化によって供給され、かつアノードが金属2種以上を含有する場合には、これら金属の少なくとも1種がアノード酸化によって供給される。
【0019】
更に本発明には、少なくとも2個のアノードが使用される実施形が包含され、この際、これら双方は同じ又は相互に異なっていてよい。この場合に、少なくとも2個のアノードの各々は特有の1種又は2種以上の金属を含有することができる。この場合に、例えば、2個の異なるアノードが同じ金属であることが可能であるが、これらは異なる割合で含有している。同様に、例えば異なるアノードの場合には、第1のアノードが第1の金属を含有し、第2のアノードが第2の金属を含有することが可能であり、この際、第1のアノードは第2の金属を含有せず、かつ/又は第2のアノードは第1の金属を含有しない。
【0020】
本発明の範囲で使用されるような概念「金属」には、アノード酸化によって電気化学的方法で反応媒体中で供給され得、かつ少なくとも2座の有機化合物少なくとも1種と共に有機金属多孔質骨格物質少なくとも1種を形成することができる、周期律系の全ての元素が包含される。
【0021】
本発明の範囲では、元素の周期律系の第Ia、IIa、IIIa、IVa〜VIIIa並びにIb及びVIb族の元素が殊に有利である。これらの元素の中で、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、As、Sb及びBiが有利である。Zn、Cu、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh、Fe、Mn、Ag及びCoが更に有利である。本発明の範囲では、Cu、Fe、Co、Zn、Mn及びAgが更に有利である。Cu、Fe及びZnが殊に有利である。
【0022】
反応媒体中でアノード酸化によって供給されうる金属イオンとしては、殊に次のものが挙げられる:Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh+、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+及びBi。特にCu2+、Cu、Fe2+、Fe3+、Zn2+、Co3+、Co2+、Ag、Mg2+及びMn2+が特に有利である。Cu2+、Cu、Fe2+、Fe3+及びZn2+が殊に有利である。
【0023】
相応して本発明は、金属イオン源として銅及び/又は鉄及び/又は亜鉛及び/又は銀及び/又はマンガンを含有するアノードを使用することを特徴とする前記の様な方法も記載している。
【0024】
同様に本発明は、金属イオン源として、銅及び/又は鉄及び/又は亜鉛及び/又はマンガンを含有するアノードを使用することを特徴とする前記のような方法をも記載している。
【0025】
有利な1実施形によれば、本発明は、金属イオン源として銅及び/又は鉄及び/又は亜鉛を含有するアノードを使用することを特徴とする前記のような方法にも関する。
【0026】
本発明の方法で使用されるアノードの構造は、アノード酸化によって反応媒体中で少なくとも1種の金属イオンが多孔質有機金属骨格物質の形成のために供給できるように選択される限りにおいて、原則的には任意に選択することができる。
【0027】
特に、ロッド及び/又はリング及び/又はディスク、例えばリングディスク及び/又はプレート及び/又はチューブ及び/又はベッド及び/又はシリンダー及び/又はコーン及び/又は斜切頭コーンの形のアノードが有利である。
【0028】
有利な1実施形によれば本発明の方法は、犠牲アノード少なくとも1個の使用下に実施される。本発明の方法の範囲で使用されるような概念「犠牲アノード(Opferanode)」とは、本発明の方法の過程で少なくとも部分的に溶出するアノードを称している。この場合に、溶出したアノード材料の少なくとも一部分をこの方法の過程で交換する実施形も包含される。このことは例えば、新しいアノード少なくとも1個をこの反応系中に入れるか又は有利な1実施形によって1アノードをこの反応系中に入れ、かつ本発明の方法の過程で連続的に又は非連続的にこの反応系中で補充することによって実現することができる。
【0029】
本発明の方法では、金属イオン源として作用する金属少なくとも1種から成るか又は金属少なくとも1種が好適な担持材料少なくとも1つの上に施与されて含有しているアノードを使用するのが有利である。
【0030】
担持材料少なくとも1個の形状には、実質的な限定はない。例えば織布及び/又はシート及び/又はフェルト及び/又は篩及び/又はロッド及び/又はキャンドル及び/又はコーン及び/又は斜切頭コーン及び/又はリング及び/又はディスク及び/又はプレート及び/又はチューブ及び/又はベッド及び/又はシリンダーの形の担持材料の使用が可能である。
【0031】
本発明によれば担持材料として、例えば金属、例えば前記の金属、合金、例えば鋼又は青銅又は真鍮の少なくとも1種、グラファイト、フェルト又はフォームがこれに該当する。
【0032】
金属イオン源として作用する金属少なくとも1種から成るアノードが全く特別有利である。
【0033】
本発明の方法で使用されるカソードの構成は、アノード酸化によって反応媒体中で金属イオン少なくとも1種が多孔質有機金属骨格物質の形成のために供給することのできるように選択されるかぎりおいて、原則的に任意に選択することができる。
【0034】
本発明方法の有利な1実施形によれば、カソード少なくとも1個の導電性電極材料は、反応媒体中で障害性副反応が起こらないように選択される。特に有利なカソード材料としては、特にグラファイト、銅、亜鉛、錫、マンガン、銀、金、白金又は合金、例えば鋼、青銅又は真鍮が挙げられる。
【0035】
金属イオン源として作用するアノード材料と導電性カソード材料との特に有利な組み合わせとしては、例えば次のものが挙げられる:
【表1】

【0036】
少なくとも1個のカソードの形状には本質的な限定はない。例えば、ロッド及び/又はリング及び/又はディスク及び/又はプレート及び/又はチューブの形のカソードの使用が可能である。
【0037】
本発明の範囲内では、本質的に電気化学で慣用のセルタイプの任意のものが使用できる。本発明の方法では犠牲電極の使用のために好適である電解セルが全く特別に有利である。
【0038】
原則的には、特に、例えば面平行な電極配置又はローソク形電極を有する分割セルを使用することが可能である。セルコンパートメントの間の分離媒体としては、例えばイオン交換体膜、微孔質膜、ダイヤフラム、非導電子性材料製のフィルター織布、ガラスフリット及び/又は多孔質セラミックを使用することができる。イオン交換体膜、殊にカチオン交換体膜が有利に使用され、この際更に、テトラフルオロエチレンとスルホン酸基を含有するペルフルオル化されたモノマーとからのコポリマーから成っているような膜が有利に使用される。
【0039】
本発明の方法の有利な1実施形の範囲では、非分割セル1個以上を使用するのが有利である。
【0040】
相応して本発明は、方法を非分割電気分解セル中で実施することを特徴とする前記のような方法にも関する。
【0041】
アノードとカソードとからの形状の組み合わせが全く特別に有利であり、ここで、アノードとカソードとの相互に向き合っている側は共通して均一な厚さの間隙を形成している。
【0042】
非分割セル少なくとも1個中では、電極は例えば有利に面平行に配置されており、この際、この電極間隙は、例えば0.5mm〜30mmの範囲、有利には0.75mm〜20mmの範囲、特に有利には1〜10mmの範囲の均一な厚さを有する。
【0043】
有利な実施形の範囲では、例えば、1カソードと1アノードとを、生じるセル中で0.5〜30mmの範囲、有利には1〜20mmの範囲、更に有利には5〜15mmの範囲、殊に有利には8〜12mmの範囲、例えば約10mmの範囲の均一の厚さの電極間隙が形成されるように面平行に配置することが可能である。このような種類のセルを、本発明の範囲では、概念「ギャップセル(Spaltzelle)」と称している。
【0044】
本発明方法の有利な1実施形によれば、前記のセルが二極接続セルとして使用される。
【0045】
前記のセルと並んで、本発明方法の範囲での同様に有利な1実施形によれば、電極は単独で又は複数積重ねて使用される。後者の場合には、これは相応して記載のプレート積重ねセルとして有利に直列に二極接続されるいわゆる積重ね電極(Stapelelektrode)である。殊に、工業的規模での本発明の実施のためには、少なくとも1個のカップセル(Topfzelle)及び殊に有利に直列に接続されたプレート積重ねセル(これらの基本構成は、本願発明との関連で参照として引用されるDE19533773A1中に記載されている)が使用される。
【0046】
プレート積重ねセルの有利な実施形の範囲では、例えば適当な材料製のディスク、例えば銅ディスクを、個々のディスクの間にそれぞれ0.5〜30mmの範囲の、有利には0.6〜20mmの範囲、更に有利には0.7〜10mmの範囲、更に好ましくは0.8〜5mmの範囲、殊に0.9〜2mm、例えば約1mmの範囲の均一の厚さを有する間隙が形成されるように面平行に配置するのが有利である。この場合に個々のディスクの間の間隔は同じ又は異なっていてよく、この際特に有利な実施形によれば、ディスクの間の間隔は本質的に同じである。更なる1実施形によれば、プレート積重ねセルの1ディスクの材料はプレート積重ねセルの他のディスクの材料とは異なっていてよい。例えば1ディスクはグラファイトから、他の1ディスクは銅から形成されていてよく、この際、有利に銅ディスクはアノードとして、グラファイトディスクはカソードとして接続されている。
【0047】
更に、本発明の範囲内では、例えばJ.Chaussard 等のJ.Appl.Electrochem. 19(1989) 345-348(この関連内容は、本出願との関連で参照して引用される)に記載されているような、いわゆる「ペンシルシャープナー」−セルを使用するのが有利である。本発明の方法では、ロッド状の補充可能な電極(stabfoermigen,nachfuehrbaren Elektroden)を有するペンシル−シャープナー電極が殊に有利に使用される。
【0048】
従って殊に本発明は、方法をギャップセル中又はプレート積重ねセル中で実施することを特徴とする前記のような方法をも記載している。
【0049】
1mm以下の範囲の電極間隔を有するセルは、毛細管セルと称される。
【0050】
本発明の方法の同様に有利な実施形によれば、例えば金属ベッドからの多孔質電極又は例えば金属ネットからの多孔質電極又は例えば金属ベッド及び金属ネットからの電極を有する電解セルを使用することができる。
【0051】
更に有利な1実施形によれば、本発明方法で、丸形ディスク状断面を有する犠牲アノード少なくとも1個及びリング状断面を有するカソード少なくとも1個を有する電解セルが使用され、この際、特に有利には、好ましい円柱状アノードの直径はカソードの内径よりも小さく、かつこのアノードは、カソード中に、アノードの円柱状外套の外面とこのアノードを少なくとも部分的に包囲しているカソードの内面との間に均一厚さの間隙が形成されるように取り付けられている。
【0052】
本発明の範囲では、転極によって当初のアノードをカソードに、かつ当初のカソードをアノードにすることも可能である。この変法の範囲では、例えば種々異なる金属を含有する電極の適切な選択の場合に、先ず1金属を、アノード酸化を介して金属カチオンとして有機金属骨格物質の構成のために使用し、第2工程で、転極によりもう一つの金属を有機金属骨格物質の構成のために使用することが可能である。同様に、交流の適用により転極を実施することが可能である。
【0053】
原則的に、この方法をバッチ法で又は連続的に又は混合操作法で実施することが可能である。この方法を連続的に少なくとも1個のフローセル(Duerchflusszell)中で実施するのが有利である。
【0054】
本発明の方法で使用される電圧は、その都度のアノード少なくとも1個の多孔質有機金属骨格物質の金属イオン源として作用する金属少なくとも1種に、及び/又は2座有機化合物少なくとも1種の特性に及び/又は場合によっては下記の溶剤少なくとも1種の特性に及び/又は場合により下記の導電性塩少なくとも1種の特性に及び/又は下記のカソード分極化合物少なくとも1種の特性に適合させることができる。
【0055】
一般に、1電極対当たりの電圧は、0.5〜100Vの範囲、有利には2〜40Vの範囲、特に有利には4〜20Vの範囲内にある。有利な範囲の例は、約4〜10V又は10〜20V又は20〜25V又は10〜25V又は4〜20V又は4〜25Vである。この場合に、本発明方法の過程での電圧は一定であってよいか又はこの方法の過程で連続的に又は非連続的に変ることができる。
【0056】
例えば銅がアノード酸化される場合には、電圧は一般に3〜20Vの範囲、有利には3.5〜15Vの範囲、特に有利には4〜15Vの範囲にある。
【0057】
多孔質有機骨格物質の本発明による製造の範囲で現れる電流密度は、一般に0.01〜1000mA/cmの範囲、有利には0.1〜1000mA/cmの範囲、更に有利には0.2〜200mA/cmの範囲、更に有利には0.3〜100mA/cmの範囲、特に有利には0.5〜50mA/cmの範囲である。
【0058】
本発明方法で使用される電流(Ah)は、少なくとも2座の化合物少なくとも1種の使用酸当量の量を中和するために必要である電流量の30〜200%の範囲にあるのが有利である。
【0059】
本発明の方法は一般に、0℃〜その都度の反応媒体又は使用される溶剤少なくとも1種の沸点の範囲、有利には20℃〜沸点の範囲の温度で、有利には常圧下に実施される。同様にこの方法を圧力下に実施することが可能であり、この際、圧力及び温度は、反応媒体が少なくとも部分的に液状であるように選択するのが有利である。
【0060】
一般に、本発明の方法は、0.5〜50バールの範囲、有利には1〜6バールの範囲の圧力、殊に有利には常圧で実施される。
【0061】
反応媒体の成分の種類及び凝集状態に応じて、本発明による多孔質有機金属骨格物質の電気化学的製造は、原則的に溶剤の付加的添加なしで実施することもできる。このことは、殊に例えば、少なくとも2座の化合物少なくとも1種が反応媒体中で溶剤又は溶剤混合物としての機能をする場合である。
【0062】
同様に原則的に本発明の方法を、溶剤の使用なしで、例えば融液中で実施することが可能であり、この際には、反応媒体の成分少なくとも1種が溶融状態で存在する。
【0063】
本発明の有利な1実施形によれば、反応媒体は少なくとも2座の有機化合物少なくとも1種及び場合による導電性塩少なくとも1種及び場合によるカソード減極化合物少なくとも1種に加えて、好適な溶剤少なくとも1種を含有する。この場合に、溶剤少なくとも1種の化学特性及び量は、少なくとも2座の有機化合物少なくとも1種に及び/又は導電性塩少なくとも1種に及び/又はカソード減極化合物少なくとも1種に及び/又は金属イオン少なくとも1種に適合させることができる。
【0064】
相応して本発明は、反応媒体が少なくとも2座の有機化合物少なくとも1種に加えて付加的に溶剤少なくとも1種を含有することを特徴とする前記のような方法をも記載している。
【0065】
溶剤としては原則的に、この方法で使用される出発物質が、圧力及び温度のような選択反応条件下に少なくとも部分的にその中に溶解するか又は懸濁することができる全ての溶剤又は全ての溶剤混合物が考えられる。有利に使用される溶剤の例は特に次のものである:
− 水;
− 炭素原子数1、2、3又は4を有するアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール;
− 炭素原子数1、2、3又は4を有するカルボン酸、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸又は酪酸;
− ニトリル、例えばアセトニトリル又はシアノベンベンゼン;
− ケトン、例えばアセトン;
− ハロゲン少なくとも1個で置換された低級アルカン、例えば塩化メチレン又は1,2−ジクロロエタン;
− 酸アミド、例えば炭素原子数1、2、3又は4を有するカルボン酸のような低級カルボン酸のアミド、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸又は酪酸のアミド、例えばホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド(DEF)、t−ブチルホルムアミド、アセトタミド、ジメチルアセタミド、ジエチルアセタミド又はt−ブチル−アセタミド;
− 環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン又はジオキサン;
− N−ホルミルアミド又はN−アセチルアミド又は1級、2級又は環状のアミン、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペリジン又はモルホリンの対称性又は非対称性尿素誘導体;
− アミン、例えばエタノールアミン、トリエチルアミン又はエチレンジアミン;
− ジメチルスルホキシド;
− ピリジン;
− トリアルキルホスファイト及びホスフェート;
又は前記化合物の2種以上からの混合物。
【0066】
前記のように使用される概念「溶剤」には、純粋な溶剤も、他の化合物少なくとも1種、例えば有利に水を少量で含有する溶剤もこれに属する。この場合に、前記溶剤の水分含有率は、1質量%までの範囲、有利には0.5質量%までの範囲、特に有利には0.01〜0.5質量%の範囲、殊に有利には0.1〜0.5質量%の範囲である。例えば本発明の範囲での概念「メタノール」又は「エタノール」又は「アセトニトリル」又は「DMF」又は「DEF」の下で、それぞれ殊に有利に水を0.1〜0.5質量%の範囲で含有していてよい溶剤も理解される。
【0067】
本発明方法では有利な溶剤として、メタノール、エタノール、アセトニトリル、DMF、DEF又はこれら化合物の2種以上からの混合物が使用される。溶剤として、メタノール、エタノール、DMF、DEF及びこれら化合物の2種以上からの混合物が全く特別有利である。
【0068】
有利な実施形の範囲内で、溶剤としてプロトン性溶剤少なくとも1種が使用される。このことは、特に下記のアノード酸化により供給される金属イオン少なくとも1種のカソード上での再沈殿を避けるために水素のカソード形成が達成されるべき場合に有利に使用される。
【0069】
例えば溶剤としてメタノールが使用される場合には、本発明の方法の常圧での温度は、一般に0〜90℃の範囲;有利には0〜65℃の範囲、殊に有利には25〜65℃の範囲である。
【0070】
例えば溶剤としてエタノールが使用される場合には、本発明方法の常圧での温度は、一般に0〜100℃の範囲;有利には0〜78℃の範囲、殊に有利には25〜78℃の範囲である。
【0071】
反応媒体のpH値は、本発明方法では、それが合成又は安定性のため又は有利には骨格物質の合成及び安定性のために好適であるように調節される。例えばpH値を、少なくとも1種の導電性塩によって調節することができる。
【0072】
反応がバッチ反応で実施される場合には、この反応時間は一般に30時間までの範囲、有利には20時間までの範囲、更に有利には1〜10時間の範囲、殊に有利には1〜5時間の範囲である。
【0073】
本発明の範囲内で使用される概念「少なくとも2座の有機化合物」とは、所定の1金属イオンに対して少なくとも2個の、有利には2個の配位結合を形成する及び/又は2個以上の、有利には2個の金属原子に対してそれぞれ1個の配位結合を形成することができる官能基少なくとも1個を含有する有機化合物を称している。
【0074】
それを介して前記の配位結合を形成することができる官能基としては、殊に次の官能基が挙げられる:−COH、−CSH、−NO、−B(OH)、−SOH、−Si(OH)、−Ge(OH)、−Sn(OH)、−Si(SH)、−Ge(SH)、−Sn(SH)、−POH、−AsOH、−AsOH、−P(SH)、−As(SH)、−CH(RSH)、−C(RSH)、−CH(RNH、−C(RNH、−CH(ROH)、−C(ROH)、−CH(RCN)、−C(RCN)、ここで、Rは例えば有利に炭素原子数1、2、3、4又は5を有するアルキレン基、例えばメチレン−、エチレン−、n−プロピレン−、i−プロピレン、n−ブチレン−、i−ブチレン−、t−ブチレン又はn−ペンチレン基又は芳香核1又は2個、例えば2個のC−環(これらは場合により縮合されていてもよく、かつ相互に無関係にそれぞれ少なくとも1個の置換基で適切に置換されていてよく、かつ/又は相互に無関係にそれぞれ少なくとも1個のヘテロ原子、例えばN、O及び/又はSを含有していてよい)を有するアリール基を表す。同様に有利な実施形によれば、前記の基Rを有しない官能基を挙げることができる。これに関して、特に−CH(SH)、−C(SH)、−CH(NH、−C(NH、−CH(OH)2、−C(OH)、−CH(CN)又は−C(CN)を挙げることができる。
【0075】
少なくとも2官能性の基は原則的に、これらの官能基を有する有機化合物が配位結合を形成及び骨格物質を製造することができるかぎりにおいて、任意の好適な有機化合物に結合されていてよい。
【0076】
有利に、少なくとも2官能性の基を含有する有機化合物は、飽和又は不飽和脂肪族化合物又は芳香族化合物から又は脂肪族でも及び芳香族でもある化合物から生じている。
【0077】
脂肪族化合物又は脂肪族でも芳香族でもある化合物の脂肪族部分は、直線状及び/又は分枝状及び/又は環状であってよく、この際、1化合物当たり複数の環も可能である。更に有利には、脂肪族化合物又は脂肪族でも芳香族でもある化合物の脂肪族部分は、C−原子1〜15、更に有利には1〜14、更に有利には1〜13、更に有利には1〜12、更に有利には1〜11、殊に有利には1〜10を、例えばC−原子1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個を有する。この場合に、殊にメタン、アダマンタン、アセチレン、エチレン又はブタジエンが有利である。
【0078】
芳香族化合物又は芳香族でも脂肪族でもある化合物の芳香族部分は、1個以上の核、例えば2、3、4又は5個の核を有していてよく、この際、これらの核は相互に分離して及び/又は少なくとも2個の核が縮合した形で存在していてよい。芳香族化合物又は脂肪族でも芳香族でもある化合物の芳香族部分が、1、2又は3個の核を有するのが特に有利であり、この際、1又は2個の核が特に有利である。相互に無関係に更に前記の化合物の各々の核は、少なくとも1個のヘテロ原子、例えばN、O、S、B、P、Si、Al、有利にはN、O及び/又はSを含有していてよい。芳香族化合物又は脂肪族でも芳香族でもある化合物の芳香族部分が1個又は2個のC−核を有するのが更に有利であり、この際、2個は相互に分離して又は縮合された形で存在する。殊に芳香族化合物として、ベンゼン、ナフタリン及び/又はビフェニル及び/又はビピリジル及び/又はピリジンが挙げられる。
【0079】
例えば、特にトランス−ムコン酸又はフマル酸又はフェニレンビスアクリル酸を挙げることができる。
【0080】
例えば、本発明の範囲では、ジカルボン酸、例えば
1,4−ブタンジカルボン酸、4−オキソ−ピラン−2,6−ジカルボン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、1,8−ヘプタデカンジカルボン酸、1,9−ヘプタデカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、アセチレンジカルボン酸、1,2−ベンゼンジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、ピリジン−2,3−ジカルボン酸、1,3−ブタジエン−1,4−ジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸、p−ベンゼンジカルボン酸、イミダゾール−2,4−ジカルボン酸、2−メチルキノリン−3,4−ジカルボン酸、キノリン−2,4−ジカルボン酸、キノキサリン−2,3−ジカルボン酸、6−クロルキノキサリン−2,3−ジカルボン酸、4,4’−ジアミンフェニルメタン−3,3’−ジカルボン酸、キノリン−3,4−ジカルボン酸、7−クロル−4−ヒドロキシキノリン−2,8−ジカルボン酸、ジイミドジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、2−メチルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸、チオフェン−3,4−ジカルボン酸、2−イソプロピルイミダゾール−4,5−ジカルボン酸、テトラヒドロピラン−4,4−ジカルボン酸、ペリレン−3,9−ジカルボン酸、ペリレンジカルボン酸、プリオールE200−ジカルボン酸、3,6−ジオキサオクタンジカルボン酸、3,5−シクロヘキサジエン−1,2−ジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ペンタン−3,3−カルボン酸、4,4’−ジアミノ−1,1’−ジフェニル−3,3’−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ベンジジン−3,3’−ジカルボン酸、1,4−ビス−(フェニルアミノ)−ベンゼン−2,5−ジカルボン酸、1,1’−ジナフチル−8,8’−ジカルボン酸、7−クロロ−8−メチルキノリン−2,3−ジカルボン酸、1−アニリノアントラキノン−2,4’−ジカルボン酸、ポリ−テトラヒドロフラン−250−ジカルボン酸、1,4−ビス−(カルボキシメチル)−ピペラジン−2,3−ジカルボン酸、7−クロロキノリン−3,8−ジカルボン酸、1−(4−カルボキシ)−フェニル−3−(4−クロロ)−フェニル−ピラゾリン−4,5−ジカルボン酸、1,4,5,6,7,7−ヘキサクロロ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、フェニルインダン−ジカルボン酸、1,3−ジベンジル−2−オキソ−イミダゾリジン−4,5−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサン−ジカルボン酸、ナフタリン−1,8−ジカルボン酸、2−ベンゾイルベンゼン−1,3−ジカルボン酸、1,3−ジベンジル−2−オキソ−イミダゾリジン−4,5−シス−ジカルボン酸、2,2’−ビキノリン−4,4’−ジカルボン酸、ピリジン−3,4−ジカルボン酸、3,6,9−トリオキサウンデカン−ジカルボン酸、o−ヒドロキシ−ベンゾフェノン−ジカルボン酸、プリオールE300−ジカルボン酸、プリオールE400−ジカルボン酸、プリオールE600−ジカルボン酸、ピラゾール−3,4−ジカルボン酸、2,3−ピラジン−ジカルボン酸、5,6−ジメチル−2,3−ピラジン−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル−ジイミド−ジカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルメタン−ジイミドジカルボン酸、4,4’−ジアミノ−ジフェニルスルフォン−ジイミドジカルボン酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸、1,3−アダマンタン−ジカルボン酸、1,8−ナフタリンジカルボン酸、2,3−ナフタリンジカルボン酸、8−メトキシ−2,3−ナフタリンジカルボン酸、8−ニトロ−2,3−ナフタリンジカルボン酸、8−スルホ−2,3−ナフタリンジカルボン酸、アントラセン−2,3−ジカルボン酸、2’,3’−ジフェニル−p−ターフェニル−4,4''−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、イミダゾール−4,5−ジカルボン酸、4(1H)−オキソ−チオクロメン−2,8−ジカルボン酸、5−t−ブチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸、7,8−キノリンジカルボン酸、4,5−イミダゾールジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、ヘキサトリアコンタンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、1,7−ヘプタンジカルボン酸、5−ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジカルボン酸、ピラジン−2,3−ジカルボン酸、フラン−2,5−ジカルボン酸、1−ノネン−6,9−ジカルボン酸、エイコセンジカルボン酸、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン−3,3’−ジカルボン酸、1−アミノ−4−メチル−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−2,3−ジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、シクロヘキセン−2,3−ジカルボン酸、2,9−ジクロロフルオロビン−4,11−ジカルボン酸、7−クロロ−3−メチルキノリン−6,8−ジカルボン酸、2,4−ジクロロベンゾフェノン−2’,5’−ジカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、2,6−ピリジン−ジカルボン酸、1−メチルピロール−3,4−ジカルボン酸、1−ベンジル−1H−ピロール−3,4−ジカルボン酸、アントラキノン−1,5−ジカルボン酸、3,5−ピラソールジカルボン酸、2−ニトロベンゼン−1,4−ジカルボン酸、ヘプタン−1,7−ジカルボン酸、シクロブタン−1,1−ジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、5,6−デヒドロノルボルナン−2,3−ジカルボン酸又は5−エチル−2,3−ピリジンジカルボン酸、
トリカルボン酸、例えば
2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、7−クロロ−2,3,8−キノリントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、2−ホスホノ−1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、4,5−ジヒドロ−4,5−ジオキソ−1H−ピロロ[2,3−F]キノリン−2,7,9−トリカルボン酸、5−アセチル−3−アミノ−6−メチルベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、3−アミノ−5−ベンゾイル−6−メチルベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸又はアウリントリカルボン酸、
又はテトラカルボン酸、例えば
1,1−ジオキシド−ペリロ[1,12−BCD]チオフェン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸、例えばペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸又はペリレン−1,12−スルホン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、例えば1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸又はメソ−1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、デカン−2,4,6,8−テトラカルボン酸,1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン−2,3,11,12−テトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,11,12−ドデカンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ヘキサン−テトラカルボン酸、1,2,7,8−オクタン−テトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタリンテトラカルボン酸、1,2,9,10−デカンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸又はシクロペンタンテトラカルボン酸、例えばシクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸を挙げることができる。
【0081】
本発明の方法の範囲で場合により好適な少なくとも1個の置換基を有する単核、二核、三核又はより多核の芳香族ジ−、トリ−又はテトラカルボン酸を使用するのが全く特別に有利であり、この際、各々の核はヘテロ原子少なくとも1個を含有していてよく、この際、2個以上の核が同じ又は異なるヘテロ原子を含有していてよい。例えば、単核のジカルボン酸、単核のトリカルボン酸、単核のテトラカルボン酸、二核のジカルボン酸、二核のトリカルボン酸、二核のテトラカルボン酸、三核のジカルボン酸、三核のトリカルボン酸、三核のテトラカルボン酸、四核のジカルボン酸、四核のトリカルボン酸及び/又は四核のテトラカルボン酸が有利である。好適なヘテロ原子は、例えばN、O、S、B、P、Si、Alであり、ここで有利なヘテロ原子は、N、S及び/又はOである。これに関して好適な置換基としては、特に−OH、ニトロ基、アミノ基又はアルキル基又はアルコキシ基が挙げられる。
【0082】
相応して、本発明は少なくとも2座の有機化合物として芳香族ジ−、トリ−及び/又はテトラカルボン酸を使用することを特徴とする前記のような方法にも関する。
【0083】
本発明の方法で、少なくとも2座の有機化合物として次のものを使用するのが殊に有利である:アセチレンジカルボン酸(ADC)、ベンゼンジカルボン酸、ナフタリンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、例えば4,4’−ビフェニルジカルボン酸(BPDC)、ビピリジンジカルボン酸、例えば2,2’−ビピリジンジカルボン酸、、例えば2,2’−ビピリジン−5,5’−ジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、例えば1,2,3−ベンゼントリカルボン酸又は1,3,5−ベンゼントリカルボン酸(BTC)、アダマンタンテトラカルボン酸(ATC)、アダマンタンジベンゾエート(ADB)、ベンゼントリベンゾエート(BTB)、メタンテトラベンゾエート(MTB)、アダマンタンテトラベンゾエート又はジヒドロキシテレフタル酸、例えば2,5−ジヒドロキシテレフタル酸(DHBDC)。
【0084】
本発明の範囲では、特にテレフタル酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸又は2,2’−ビピリジン−5,5’−ジカルボン酸が全く特別有利に使用される。
【0085】
例えば有利な1実施形によれば、少なくとも2座の有機化合物として、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸が使用される。溶剤少なくとも1種が使用される場合には、例えば有利に、溶剤としてメタノール又はエタノール又はメタノールとエタノールが使用される。エタノールが特に有利である。
【0086】
もう一つの例えば有利な実施形によれば、少なくとも2座の有機化合物として、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸が使用される。溶剤少なくとも1種が使用される場合には、溶剤として例えばメタノール又はエタノール又はメタノールとエタノールが有利に使用される。メタノールが特に有利である。
【0087】
もう一つの例えば有利な実施形によれば、少なくとも2座の有機化合物としてテレフタル酸が使用される。溶剤少なくとも1種が使用される場合には、例えば有利に溶剤としてジメチルホルムアミド又はジエチルホルムアミド又はジメチルホルムアミドとジエチルホルムアミドが使用される。ジエチルホルムアミドが特に有利である。
【0088】
もう一つの例えば有利な実施形によれば、少なくとも2座の有機化合物としてジヒドロキシテレフタル酸が使用される。溶剤少なくとも1種が使用される場合には、例えば有利に溶剤として、ジメチルホルムアミド又はジエチルホルムアミド又はジメチルホルムアミドとジエチルホルムアミドが使用される。ジエチルホルムアミドが特に有利である。
【0089】
もう一つの例えば有利な実施形によれば、少なくとも2座の有機化合物として、ナフタリン−2,6−ジカルボン酸が使用される。溶剤少なくとも1種が使用される場合には、溶剤としてメタノール又はエタノール又はメタノールとエタノールが有利に使用される。メタノールが特に有利である。
【0090】
少なくとも2座の有機化合物少なくとも1種は、一般に0.1〜30質量%の範囲、有利には0.5〜20質量%の範囲、特に有利には2〜10質量%の範囲(それぞれ、アノードとカソードの質量を引いたこの反応系の合計質量に対する)の濃度で使用される。相応して、この場合の概念「濃度」には、反応系中に溶かされた、かつ例えばこの反応系中に場合により懸濁された少なくとも2座の化合物少なくとも1種の量が包含される。
【0091】
本発明の方法の有利な1実施形によれば、少なくとも2座の化合物少なくとも1種が、電気分解の進行に依存して、かつ殊にアノードの分解又は金属イオン少なくとも1種の遊離に依存して、かつ/又は有機金属骨格物質の形成に依存して、連続的及び/又は非連続的に添加される。
【0092】
本発明の範囲では、例えばアノード酸化によって金属カチオン少なくとも1種を供給する金属、少なくとも2座の化合物及び溶剤からの次の組み合わせが有利である:
【化1】

【0093】
ここで、略字は次のものを意味する:
BDC ベンゼンジカルボン酸
m−BDC m−ベンゼンジカルボン酸
BDC ジヒドロテレフタル酸
N−BDC アミノテレフタル酸
4,4’−BP−2,2’−DC 4,4’−ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸
4,4’−BPDC 4,4’−ビフェニルジカルボン酸
BTB ベンゼントリベンゾエート
1,3,5−BTC 1,3,5−ベンゼントリカルボン酸
1,2,3−BTC 1,2,3−ベンゼントリカルボン酸
DHBDC 2,5−ジヒドロキシテレフタル酸
2,6−NDC 2,6−ナフタリンジカルボン酸
1,4−NDC 1,4−ナフタリンジカルボン酸
PDC ピレンジカルボン酸 。
【0094】
本発明の方法の殊に有利な1実施形によれば、反応媒体は、好適な導電性塩少なくとも1種を含有する。使用される少なくとも2座の化合物少なくとも1種及び/又は場合により使用される溶剤に依存して、本発明の方法では、有機金属骨格物質の製造を付加的な導電性塩なしに実施することも可能である。
【0095】
本発明による方法で使用可能な導電性塩に関して、本質的に限定は存在しない。例えば鉱酸、スルホン酸、燐酸、硼酸、アルコキシスルホン酸又はカルボン酸の又は他の酸化合物、例えばスルホン酸アミド又はイミドの塩が有利に使用される。
【0096】
導電性塩少なくとも1種の可能なアニオン成分は、相応して特に、スルフェート、ニトレート、ニトライト、スルファイト、ジスルファイト、ホスフェート、ヒドロゲンホスフェート、ジヒドロゲンホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、ホスファイト、クロリド、クロレート、ブロミド、ブロメート、ヨージド、ヨーデート、カーボネート又はヒドロゲンカーボネートである。
【0097】
本発明で使用可能な導電性塩のカチオン成分としては、特にアルカリ金属イオン、例えばLi、Na、K又はRb、アルカリ土類金属イオン、例えばMg2+、Ca2+、Sr2+又はBa2+、アルミニウムイオン又はホスホニウムイオンを挙げることができる。
【0098】
アンモニウムイオンに関して、4級アンモニウムイオン及びプロトン化されたモノ−、ジ−及びトリアミンを挙げることができる。
【0099】
本発明により有利に使用される4級アンモニウムイオンの例は特に次のものである:
− 対称性アンモニウムイオン、例えば有利に、C〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチルを有するテトラアルキルアンモニウム、例えばテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム又は
− 非対称性アンモニウムイオン、例えば有利にC〜C−アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチルを有する非対称性テトラアルキルアンモニウム、例えばメチルトリブチルアンモニウム又は
− アリール少なくとも1個、例えばフェニル又はナフチル又はアルカリール少なくとも1個、例えばベンジル又はアラルキル少なくとも1個及びアルキル少なくとも1個、有利にC〜C−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、例えばアリールトリアルキルを有するアンモニウムイオン、例えばベンジルトリメチルアンモニウム又はベンジルトリエチルアンモニウム。
【0100】
特に有利な1実施形によれば、本発明の方法では少なくとも1種のカチオン成分としてメチルトリブチルアンモニウムイオンを含有する導電性塩少なくとも1種が使用される。
【0101】
特に有利な1実施形によれば、本発明の方法では、導電性塩としてメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェートが使用される。
【0102】
本発明方法では導電性塩として、イオン性液体、例えばメチル−エチル−イミダゾリウムクロリド又はメチル−ブチル−イミダゾリウムクロリドも使用可能である。
【0103】
同様に有用な1実施形によれば、本発明方法では、導電性塩としてメタンスルホネートが使用される。
【0104】
導電性塩少なくとも1種のカチオン成分として、本発明によればプロトン化された又は4級化されたヘテロ環化合物、例えばイミダゾリウムイオンを挙げることができる。
【0105】
本発明の方法の特に有利な1実施形の範囲では、導電性塩少なくとも1種のカチオン成分及び/又はアニオン成分を介して、有機金属骨格物質の構成のために使用される化合物を、反応媒体中に供給することが可能である。これら化合物は、有機金属骨格物質の構造の形成に影響するが生じる骨格物質中には含有されないもの及び生じる骨格物質中に含有されるものでもある。殊に本発明の方法では、少なくとも1種の化合物が、生じる有機金属骨格物質中に含有される導電性塩少なくとも1種を介して供給されうる。
【0106】
これに関して、特にテトラアルキルアンモニウムカルボキシレート、例えば1,3,5−ベンゼントリカルボン酸のモノテトラアルキルアンモニウム塩が例として挙げられる。この実施形の範囲では、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸を、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドと一緒に溶剤としてのメタノール中で使用するのが特に有利である。この方法実施は、特に、テトラアンモニウムヒドロキシドが通常は水溶液として使用され、従って、水が自動的に反応媒体の主成分になる利点を提供する。
【0107】
相応して本発明は、有機金属骨格物質の構成のために必要な化合物少なくとも1種、有利には製造すべき有機金属骨格物質中に含有される化合物少なくとも1種を、少なくとも部分的に導電性塩少なくとも1種を介して反応系中で供給することを特徴とする前記のような方法をも記載している。
【0108】
従って、本発明の方法の1実施形の範囲では、金属イオン源としてのアノード少なくとも1個に加えて、金属イオンを、導電性塩少なくとも1種のカチオン成分を介して反応媒体中に供給することが可能である。同様に、導電性塩少なくとも1種のカチオン成分を介して、アノード酸化を介して供給される金属イオン少なくとも1種とは異なる金属イオン少なくとも1種を反応媒体中に供給することができ、この際、この違いはカチオンの価数及び/又は金属の種類に関連しうる。
【0109】
同様に本発明の方法の範囲では、塩を、そのアニオン成分が有機金属骨格物質の構成のために使用される化合物である導電性塩として使用することが可能である。従って、そのアニオン成分が例えばモノカルボキシレート又はジカルボキシレート又はトリカルボキシレート又はテトラカルボキシレート又はモノスルホネート又はジスルホネート又はトリスルホネート又はテトラスルホネート、有利にはジカルボキシレート又はトリカルボキシレート又はテトラカルボキシレート及び更に有利には、有利に使用される芳香族ジ−、トリ−又はテトラカルボン酸のジカルボキシレート又はトリカルボキシレート又はテトラカルボキシレートである導電性塩を使用することができる。
【0110】
相応して本発明は、少なくとも1種の導電性塩が、少なくとも2座の化合物少なくとも1種の化合物の塩を含有していることを特徴とする前記のような方法をも記載している。
【0111】
更に本発明は、導電性塩少なくとも1種がカチオン成分として4級アンモニウム塩を含有し、かつアニオン成分として少なくとも2座の化合物少なくとも1種のカルボキシレートを含有していることを特徴とする前記のような方法をも記載している。
【0112】
導電性塩少なくとも1種の濃度は、本発明の範囲では一般に、0.01〜10質量%の範囲、有利には0.05〜5質量%の範囲及び殊に有利には0.1〜3質量%の範囲(それぞれ反応系中に存在する導電性塩の全質量及び更にアノード及びカソードを考慮しないこの反応系の全質量に対する)である。
【0113】
従って、本発明の方法の重要な1利点は、前記の厳密なアニオン、例えば慣用の方法で金属塩少なくとも1種を介して反応媒体中に供給されるハロゲニド又はニトレートのいずれも化学量論的量では供給されず、高々導電性塩少なくとも1種を介してむしろ化学量論を下回る量で、即ち本質的に触媒作用量で供給されることにある。
【0114】
この方法がバッチ法で実施される場合には、一般に先ず出発物質を含有する反応媒体を調製し、引き続き電流を通し、次いでポンプ循環させる。
【0115】
この方法が連続的に実施される場合には、一般にこの反応媒体から一部分流を流出させ、その中に含有されている結晶性多孔質有機金属骨格物質を単離させ、かつ母液をリサイクルさせる。
【0116】
技術水準から公知の方法(これは多孔質有機金属骨格物質の製造の際に、金属塩から出発する)に比べた本発明の方法が提供するもう一つの利点は、本発明によれば1合成バッチ当たり反応媒体中で高い固体含分を得ることができる事実にある。それというのも、この固体含分は使用された出発塩の量によって限定されないからである。このことは、金属カチオンがアノードを介して任意の量で補充されうることに由来する。
【0117】
本発明の範囲で使用されるような概念「固体含分」とは、反応バッチの全量に対して反応の後に分離される固体の量を称している。
【0118】
リガンドのみならず金属塩をも溶解すべきである技術水準による製造法とは反対に、本発明の方法の範囲では、溶剤少なくとも1種が、リガンドを完全に溶解及び/又は懸濁させ、有利には溶解させるために利用される。
【0119】
このことは殊に、本発明の方法の連続的変法(この方法ではアノードが、アノード酸化により溶出される程度に応じて補充される)に当てはまる。このことは、前記のように例えばペンシル−シャープナーセルの範囲で実施される。アノードの補充と同様に少なくとも2座の化合物少なくとも1種が後配量添加される。この場合には、有機金属骨格物質を含有する生じる懸濁液を連続的に取り出すことができる。
【0120】
この実験的に簡単な方法で実施できるアノードの補充を介しての金属カチオンの補充によって、多孔質有機金属骨格物質の製造のためのこの方法の経済性は著しく高められる。
【0121】
一般にこの固体含分は、少なくとも0.5質量%、特に有利には0.5〜50質量%の範囲である。
【0122】
相応して本発明は、固体含分が0.5〜50質量%の範囲内にあることを特徴とする前記のような方法にも関する。
【0123】
殊に有利な1実施形による本発明の方法は、アノード酸化により遊離された金属イオンがカソード上で再沈殿することが阻止されるように実施される。
【0124】
本発明によればこの再沈殿は、例えば有利に、所定の反応媒体中で好適な水素過電圧を有するカソードを使用することによって阻止される。このようなカソードは、例えば既に記載のグラファイト−、銅−、亜鉛−、錫−、マンガン−、銀−、金−、白金−カソード又は合金、例えば鋼、青銅又は真鍮を含有しているカソードである。
【0125】
この再沈殿は本発明によって、例えば有利に、反応媒体中で水素のカソード形成を促進する電解液を使用することによって充分に阻止される。このためには特に、プロトン性溶剤少なくとも1種を含有する電解液が有利である。このような溶剤の有利な例は先に挙げられている。ここでアルコールが特に有利であり、メタノール及びエタノールが殊に有利である。
【0126】
この再沈殿は本発明によって、例えば有利に、反応媒体中に、カソード減極をもたらす化合物少なくとも1種を含有していることによって阻止される。カソード減極をもたらす化合物とは、本発明の範囲では、所定の反応条件下にカソード上で還元される任意の化合物と理解される。
【0127】
カソード減極剤としては、特にカソード上でハイドロダイマー化される化合物が有利である。例えば、この関連において、アクリロニトリル、アクリル酸エステル及びマレイン酸エステル、例えば更に好ましくはマレイン酸ジメチルエステルが特別有利である。
【0128】
カソード減極剤としては更に、特にカソード上で還元されるカルボニル基少なくとも1個を有する化合物が有利である。このようなカルボニル基含有化合物の例は、例えばエステル、例えばフタル酸ジアルキルエステル及びケトン、例えばアセトンである。
【0129】
カソード減極剤としては、カソード上で還元されうる窒素−酸素−結合、窒素−窒素−結合及び/又は窒素−炭素−結合少なくとも1個を有する化合物が特に有利である。このような化合物の例は、例えばニトロ基、アゾ基、アゾキシ基を有する化合物、オキシム、ピリジン、イミン、ニトリル及び/又はシアネートである。
【0130】
本発明の方法の範囲では更に、カソード再沈殿の阻止のための前記の可能な手段少なくとも2つを組み合わせことが可能である。例えば、水素のカソード形成を促進する電解液を使用することも、好適な水素過電圧で電極を使用することも可能である。同様に、水素のカソード形成を促進する電解液もカソード減極をもたらす化合物少なくとも1種を添加することも可能である。同様に、カソード減極をもたらす化合物少なくとも1種を添加することも、好適な水素過電圧を有するカソードを使用することも可能である。更に、水素のカソード形成を促進する電解液を使用することも、好適な水素過電圧を有する電極を使用することも、カソード減極をもたらす化合物少なくとも1種を添加することも可能である。
【0131】
相応して本発明は、金属イオン少なくとも1種のカソード再沈殿を次の手段の少なくとも1つによって少なくとも部分的に阻止することを特徴とする前記のような方法にも関する:
(i) 水素のカソード形成を促進する電解液の使用;
(ii) カソード減極をもたらす化合物少なくとも1種の添加;
(iii)好適な水素過電圧を有するカソードの使用。
【0132】
従って本発明は同様に、(i)による電解液が少なくとも1種のプロトン性溶剤、殊にアルコール、更に有利にはメタノール及び/又はエタノールを含有することを特徴とする前記のような方法にも関する。
【0133】
従って本発明は同様に、カソード減極がハイドロダイマー化、殊にマレイン酸ジエステルの、更に有利にはマレイン酸ジメチルエステルのハイドロダイマー化であることを特徴とする前記のような方法にも関する。
【0134】
殊に有利に本発明は、この再沈殿の阻止のために、プロトン性溶剤少なくとも1種、有利にはアルコール、更に有利にはメタノール又はエタノール又はメタノールとエタノールとからの混合物も、カソードでハイドロダイマー化できる化合物少なくとも1種、有利にはマレイン酸ジエステル及び更に有利にはマレイン酸ジメチルエステルをも使用することを特徴とする前記のような方法を記載している。
【0135】
特に有利な1実施形によれば、本発明の方法はリサイクル法で操作される。本発明の範囲で「電気分解サイクル」とは、電気分解セル中に存在する反応系の少なくとも一部分をこの電気分解セルから流出させ、場合によっては少なくとも1つの中間処理工程に、例えば少なくとの1つの熱処理に供し、又は流出された少なくとも1成分を添加及び/又は分離に供し、かつ電解セル中に戻す方法実施であると理解される。本発明の範囲でのこのような電気分解サイクルは、プレート積重ねセル、チューブセル又はペンシルシャープナーセルと組み合わせて特に有利に実施される。
【0136】
製造実施の後に、一般に結晶性骨格物質が一次結晶の形で母液中に存在している。
【0137】
有機金属骨格物質の製造の実施の後に、この骨格物質固体を母液から分離させる。この分離操作は原則的に全ての好適な方法により行うことができる。有利にこの骨格物質固体は、固−液−分離、遠心分離、抽出、濾過、膜濾過、クロスフロー濾過、透析濾過、限外濾過、凝集補助剤、例えば非イオン性、カチオン性及び/又はアニオン性助剤の使用下での凝集、添加剤、例えば塩、酸又は塩基の添加によるpH−移動、浮選、スプレー乾燥、スプレー造粒又は高温での又は真空中での母液の蒸発及び固体の濃縮によって分離される。
【0138】
この分離の後に、付加的な少なくとも1洗浄工程、付加的な少なくとも1乾燥工程及び/又は付加的な少なくとも1か焼工程を接続することができる。
【0139】
本発明の方法で少なくとも1洗浄工程を接続している場合には、合成時に使用される溶剤少なくとも1種で洗浄するのが有利である。
【0140】
本発明の方法で場合により少なくとも1洗浄工程の後に少なくとも1乾燥工程を接続する場合には、骨格物質固体を一般に20〜120℃の範囲、有利には40〜100℃の範囲、特に有利には56〜60℃の範囲の温度で乾燥させる。
【0141】
同様にこの乾燥を真空中で行うのが有利であり、この際、温度を一般に、少なくとも1種の洗浄剤が少なくとも部分的に、有利には本質的に完全に、結晶性多孔質有機金属骨格物質から除去され、同時に骨格物質は崩壊されないように選択することができる。
【0142】
乾燥時間は、一般に0.1〜15時間の範囲、有利には0.2〜5時間の範囲、殊に有利には0.5〜1時間の範囲である。
【0143】
場合による少なくとも1洗浄工程及び場合による少なくとも1乾燥工程に、少なくとも1か焼工程を接続することができ、この際に温度を、この骨格物質の構造が崩壊されないように選択するのが有利である。
【0144】
殊に洗浄及び/又は乾燥及び/又はか焼によって、例えば場合により骨格物質の本発明による電気化学的製造のために使用されたテンプレート化合物少なくとも1種を少なくとも部分的に、有利には本質的に定量的に除去することが可能である。
【0145】
電気化学的製造法と同様に本発明は、前記の方法によって製造される多孔質有機金属骨格物質にも関する。
【0146】
この結晶性多孔質有機金属骨格物質は、一般に微細な粉末として得られ、この際、結晶は0.1〜100μmの範囲の大きさ(SEM(走査電子顕微鏡検査)により測定)を有する。
【0147】
本発明により製造される多孔質有機金属骨格物質の孔径は、少なくとも2座の有機化合物の種類及び数によって及び/又は金属イオン少なくとも1種の種類及び場合による酸化数によって広い範囲で調節することができる。
【0148】
従って、本発明により製造される骨格物質は、マイクロ孔又はメソ孔又はマクロ孔又はマイクロ−及びメソ孔又はマイクロ−及びマクロ孔又はメソ−及びマクロ孔又はマイクロ−及びメソ−及びマクロ孔を有することが可能である。殊に有利に本発明により製造される骨格物質は、マイクロ孔又はメソ孔又はマイクロ−及びメソ孔を含有する。本発明の範囲で使用されるような概念「マイクロ孔」とは、2nmまでの直径を有する孔を称している。本発明の範囲で使用されるような概念「メソ孔」とは、2nmより大きく50nmまでの直径を有する孔を称している。これらの定義は、Pure Appl.Chem. 45(1976)、71頁以降、殊に79頁に記載されている定義に一致する。マイクロ−及び/又はメソ孔の存在は、DIN66131及びDIN66135及びDIN66134に従う77Kでの窒素吸収測定によって確認することができる。
【0149】
相応して本発明は、マイクロ孔又はメソ孔又はマイクロ−をもメソ孔をも含有することを特徴としている前記のような骨格物質をも記載している。
【0150】
本発明により製造された結晶性多孔質有機金属骨格物質の比表面積(DIN 66135により測定)は、一般に最低で5m/gであり、殊に5m/gを上まわり、更に有利には最低で10m/gであり、殊に10m/gを上まわり、更に有利には最低で50m/gであり、殊に50m/gを上まわり、更に有利には最低で100m/gであり、殊に100m/gを上まわり、更に有利には最低で250m/gであり、殊に250m/gを上まわり、更に有利には最低で500m/gであり、殊に500m/gを上まわり、この際、この比表面積は1000m/gを上まわるまでであり、例えば2000m/gを上まわり、更に例えば3000m/gを上まわり、殊に例えば4000m/gを上まわることができる。
【0151】
本発明の範囲で使用されるような概念「比表面積」とは、DIN66135に従うラングミュアモデルにより77Kで測定されるような表面積を称している。
【0152】
相応して本発明は、DIN66135に従って測定した比表面積250m/g以上を有することを特徴とする前記のような有機金属骨格物質にも関する。
【0153】
本発明の方法のもう一つの実施形によれば、母液から分離された多孔質有機金属骨格物質は、1種以上の成形体に成形されうる。
【0154】
この成形体の可能な形状に関しては本質的な限定は存在しない。特にペレット、例えばディスク形のペレット、タブレット、球、顆粒、押出成形体、例えばストランド、ハニカム、格子又は中空体が例として挙げられる。
【0155】
原則的に好適な全ての方法がこれら成形体の製造のために可能である。本発明の範囲では、特に次の方法実施が有利である:
− 混合物を得るための、骨格物質単独での又は結合剤少なくとも1種及び/又はペースト化剤少なくとも1種及び/又はテンプレート化合物少なくとも1種と一緒の混和;
得られた混合物を少なくとも1つの好適な方法、例えば押出しにより成形する;
押出成形体を場合により洗浄及び/又は乾燥及び/又はか焼する;
場合により状態調整する、
− 場合による多孔質の担持材料少なくとも1種上への骨格物質の施与;得られる物質を、次いで前記の方法により更に加工して成形体にすることができる;
− 場合により多孔質の基材少なくとも1種上への骨格物質の施与。
【0156】
混和及び成形は、例えばUllmann's Enzyklopaedie der Technischen Chemie,4.Auflage, Band 2, 313頁以降に記載のような任意の好適な方法(その関連内容は、本出願の関係で充分に参照することができる)によって行うことができる。
【0157】
この混和及び/又は成形は、例えば有利に結合剤少なくとも1種の存在又は不存在下でのピストンプレス(Kolbenpress)、ローラプレス(Walzenpress)、コンパウンディング、ペレット化、錠剤化、押出し、共押出し、発泡、紡糸、コーティング、造粒、有利にはスプレー造粒、霧化、スプレー乾燥又はこれら方法の2種以上の組み合わせを用いて実施することができる。
【0158】
本発明の方法では、ペレット及び/又はタブレットが全く特別に製造される。
【0159】
混和及び/又は成形は、例えば室温から300℃までの範囲の高い温度で、及び/又は例えば常圧から数百バールまでの範囲の高い圧力で、及び/又は保護ガス雰囲気中で、例えば希ガス少なくとも1種、窒素又はこれらの2種以上の混合物の存在下に行うことができる。
【0160】
混和及び/又は成形は、本発明の方法のもう一つの実施形によれば、結合剤少なくとも1種の添加下に実施され、この際、結合剤としては原則的に、混和及び/又は成形されるべき組成物の混和及び/又は成形のために好適な粘度が確保される任意の化合物が使用される。相応して、本発明の意味における結合剤は、粘度上昇性化合物であっても粘度低下性化合物であってもよい。
【0161】
特に有利な結合剤としては、例えば次のものが挙げられる:例えばWO94/29408に記載のような酸化アルミニウム又は酸化アルミニウム含有結合剤、EP0592050A1に記載されているような二酸化珪素、WO94/13584に記載されているような二酸化珪素と酸化アルミニウムとからの混合物、JP03−037156Aに記載されているような無機クレー、例えばモンモリロナイト、カオリン、ベントナイト、ジャロサイト、ディッカイト(Dikit)、ナクライト(Nacrit)及びアノウキサイト(Anauxit)、EP0102544B1に記載のようなアルコキシシラン、例えばテトラアルコキシシラン、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン又は例えばトリアルコキシシラン、例えばトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリブトキシシラン、アルコキシチタネート、例えばテトラアルコキシチタネート、例えばテトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、テトラブトキシチタネート又は例えばトリアルコキシチタネート、例えばトリメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、トリプロポキシチタネート、トリブトキシチタネート、アルコキシジルコネート、例えばテトラアルコキシジルコネート、例えばテトラメトキシジルコネート、テトラエトキシジルコネート、テトラプロポキシジルコネート、テトラブトキシジルコネート又は例えばトリアルコキシジルコネート、例えばトリメトキシジルコネート、トリエトキシジルコネート、トリプロポキシジルコネート、トリブトキシジルコネート、シリカゾル、両親媒性物質及び/又はグラファイト。グラファイトが殊に有利である。
【0162】
粘度上昇性化合物として、例えば前記の化合物に加えて、有機化合物及び/又は親水性ポリマー、例えばセルロース又はセルロース誘導体、例えばメチルセルロース及び/又はポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート及び/又はポリビニルアルコール及び/又はポリビニルピロリドン及び/又はポリイソブテン及び/又はポリテトラヒドロフランも使用できる。
【0163】
ペースト化剤としては、特に有利に水又は少なくとも1種のアルコール、例えばC−原子数1〜4を有するモノアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール又は2−メチル−2−プロパノール又は水と記載のアルコール少なくとも1種以上とからの混合物又は多価アルコール、例えばグリコール、有利には水と混和可能な多価アルコール単独又は水と及び/又は前記の1価のアルコール少なくとも1種との混合物として使用することができる。
【0164】
混和及び/又は成形のために使用できる他の添加剤は、特にアミン又はアミン誘導体、例えばテトラアルキルアンモニウム化合物又はアミノアルコール及び炭酸塩を含有する化合物、例えば炭酸カルシウムである。このような他の添加剤は、例えばEP0389041A1、EP0200260A1又はWO95/19222に記載されている(その関連内容は、本発明の関係での参照により充分理解できる)。
【0165】
成形及び混和の際の添加剤、例えばテンプレート化合物、結合剤、ペースト化剤、粘度上昇性物質の順序は、原則的には厳密ではない。
【0166】
本発明の方法のもう一つの有利な実施形によれば、混和及び/又は成形により得られる成形体を少なくとも乾燥させる、これは、一般に25〜300℃の範囲、有利には50〜300℃の範囲、特に有利には100〜300℃の範囲の温度で実施される。同様に真空中で又は保護ガス雰囲気中で又はスプレー乾燥により乾燥させることも可能である。
【0167】
特に有利な1実施形によれば、この乾燥工程の範囲で添加剤として添加された化合物少なくとも1種は、少なくとも部分的にこの成形体から除去される。
【0168】
本発明の方法のもう一つの実施形によれば、骨格物質が、場合により多孔質材料少なくとも1種上に施与される。この場合には有利に多孔質基材が使用される。
【0169】
この施与は、液体での含浸、液体中への浸積、吹き付け、液相からの沈降、気相からの沈降(蒸着)、沈殿、共沈、塗布によって殊に有利に行われる。
【0170】
場合よる多孔質の基材としては有利に、酸化アルミニウム、シリカゲル、珪酸塩、珪藻土、カオリン、酸化マグネシウム、活性炭、二酸化チタン及び/又はゼオライトが使用される。
【0171】
例えば非孔質基材が使用される場合には、本発明方法のもう一つの実施形によれば、この非孔質成形体上に多孔質有機金属骨格物質を施与することにより、シェル触媒として公知であるようなシェル構造を形成させることができる。
【0172】
相応して本発明は、前記のような多孔質有機金属骨格物質少なくとも1種を含有する成形体及び/又は前記の方法により得られる骨格物質にも関する。
【0173】
勿論本発明方法の範囲では、成形体の製造時に好適な気孔形成剤(Porenbildner)少なくとも1種を添加することも可能である。本発明方法では気孔形成剤として、完成成形体に特定の気孔寸法、特定の気孔寸法分布及び/又は特定の気孔容積を提供する全ての化合物を使用することができる。本発明方法における気孔形成剤として、特にポリマービニル化合物、例えばポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミド及びポリエステルが有利である。気孔形成剤としては、例えば本発明方法のか焼温度で少なくとも部分的に、有利には本質的に完全に除去することのできる化合物が全く特別に有利である。これに関しては例えばマロン酸が挙げられる。
【0174】
本発明により製造された多孔質有機金属骨格物質及び/又は本発明より製造された多孔質有機金属骨格物質少なくとも1種を含有する本発明により製造された成形体は、原則的に任意の考え得る方法で使用することができる。顔料又はセンサー、導電体又はイオン伝導体としての使用が特別に有利である。
【0175】
この場合に、骨格物質の高い比表面積が利用されうる用途が殊に有利である。
【0176】
場合により成形体中に含有される骨格物質は、ガス及び/又は液体の清浄化のために、触媒として、液体及び/又はガスの吸収及び/又は貯蔵及び/又は放出のために殊に有利に使用される。
【0177】
相応して本発明は、前記のような多孔質有機金属骨格物質又は前記の方法により得られる多孔質有機金属骨格物質の、液体少なくとも1種及び/又はガス少なくとも1種の清浄化のための又は液体少なくとも1種及び/又はガス少なくとも1種の貯蔵媒体としての使用にも関する。
【0178】
少なくとも1種のガスの貯蔵のための使用が特別有利であり、この際、ガスとしては殊に水素、C〜C−炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン及び殊にメタンを挙げることができる。
【0179】
更に、本発明による多孔質有機金属骨格物質は、ガス少なくとも1種及び/又は液体少なくとも1種の、特に有利にはガス少なくとも1種の貯蔵のため、殊に有利にはメタン又は水素の貯蔵のために、1容器中で1〜750バールの範囲、例えば有利には1〜150バールの範囲、更に有利には1〜80バール、更に好ましくは45〜80バールの範囲、特別有利には50〜80又は例えば有利には45〜750バールの範囲、更に有利には45〜150バールの範囲、更に有利には50〜150バールの範囲、特別有利には50〜80バールの範囲の圧力下に使用される。
【0180】
このような容器は、例えば静止、移動性及び/又はポータブル用途の作動のために使用されうるような、燃料電池の分野で使用することができる。このような用途としては、例えば発電機、自動車、トラック、バス、無線用途、移動電話又はラップトップが挙げられる。
【0181】
この場合にこれら容器は、原則的に任意の好適な形状を有することができる。本発明により可能な低い圧力によって、標準−円柱形状から外れており、その都度の必要性、例えば自動車製造での特異的な必要空間に可変に適合可能である容器も有利に可能である。これによって、可変の形状化可能な容器は、自動車の他では利用し得ない空間に適合させることができ、貴重な積込み空間(Stauraum)及び有効空間(Nutzraum)を得させることができる。
【0182】
次の実施例及び図面につき本発明を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】例2によるCu−MOFのX線回折曲線である。横軸は2θ−スケールを示しており、縦軸にはLin(カウント)がプロットされている。
【図2】例3によるCu−MOFのX線回折曲線である。横軸は2θ−スケールを示しており、縦軸にはLin(カウント)がプロットされている。
【図3】例5によるCu−MOFのX線回折曲線である。横軸は2θ−スケールを示しており、縦軸には、Lin(カウント)がプロットされている。
【図4】例9によるCu−MOFのX線回折曲線である。横軸は2θ−スケールを示しており、縦軸にはLin(カウント)がプロットされている。
【図5】試料のエッジの一次導関数の比較を示している。
【実施例】
【0184】
例1:ギャップセル中のZn−MOFの製造
加熱ジャケット、磁気攪拌機、内部温度計及び1cmの間隔で面平行に配置された2個の亜鉛電極(厚さ約2mm;対向表面積それぞれ7.1cm)を有する、N−ガスシールされた100mlガラスシリンダー中で、ジエチルホルムアミド47.5g、テレフタル酸4.0g、マレイン酸ジメチルエステル5.0g及びメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート(MTBS)1.0gからの混合物を、53〜57℃で電気分解させた。0.2Aの一定電流強度で、この電気分解の過程でセル電圧は1.58Vから3時間かかって徐々に19.2Vまで上昇した。この電気分解の終了は、30Vを超えるまでの更に明確な電圧上昇で認識できた。4時間後に停止させた。濃密な白色懸濁液が生じ、これは急速に沈殿した。得られた沈殿を窒素気流中で濾過し、クロロホルム50mlで2回洗浄した。濾過ケーキを窒素雰囲気中でガラス瓶中に移し、高度真空(5*10−5ミリバールまで達した)下に活性化させた。収量:4.8g(DIN66135に従うラングミュアによる表面積:350m/g)。
【0185】
例2:ギャップセル中のCu−MOFの製造
加熱ジャケット、磁気攪拌機、内部温度計及び1cmの間隔で面平行に配置された2個の銅電極(厚さ約2mm;対向表面積:それぞれ9.9cm)を有する、N−ガスシールされた100mlガラスシリンダー中で、ジエチルホルムアミド47.5g、テレフタル酸4.0g、マレイン酸ジメチルエステル5.0g及びメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート(MTBS)1.0gからの混合物を、21℃で電気分解させた。0.2Aの一定電流強度で、この電気分解の過程でセル電圧は23.1Vから33.8Vまで上昇した。4時間後に停止させた。濃密な帯緑青色懸濁液が生じ、これは急速に沈殿した。得られた沈殿を窒素気流中で濾過し、クロロホルム50mlで2回洗浄した。濾過ケーキを、窒素雰囲気中でガラス瓶中に移し、高度真空(5*10−5ミリバールまで達した)下に活性化させた。収量:5.1g(DIN66135に従うラングミュアによる表面積:256m/g)。
【0186】
例3:ギャップセル中のCu−MOFの製造
加熱ジャケット、磁気攪拌機、内部温度計及び1cmの間隔で面平行に配置された2個の銅電極(厚さ約2mm;対向表面積:それぞれ9.9cm)を有する、N−ガスシールされた100mlガラスシリンダー中で、ジエチルホルムアミド47.5g、テレフタル酸4.0g、マレイン酸ジメチルエステル5.0g及びメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート(MTBS)1.0gからの混合物を、58〜61℃で電気分解させた。0.2Aの一定電流強度で、この電気分解の過程でセル電圧は、13.8Vから18.0Vまで上昇した。4時間後に停止させた。濃密な帯緑青色懸濁液が生じ、これは急速に沈殿した。得られた沈殿を窒素気流中で濾過し、クロロホルム50mlで2回洗浄した。濾過ケーキを、窒素雰囲気中でガラス瓶中に移し、高度真空(5*10−5ミリバールまで達した)下に活性化させた。収量:4.5g(DIN66135に従うラングミュアによる表面積:477m/g)。
【0187】
例4:ギャップセル中のMg−MOFの製造
加熱ジャケット、磁気攪拌機、内部温度計及び1cmの間隔で面平行に配置された2個の電極(厚さ約2mm;対向表面積:それぞれ9.9cm)を有する(ここで、アノードはマグネシウムから成り、カソードは銅から成っていた)、N−ガスシールされた100mlガラスシリンダー中で、ジエチルホルムアミド47.5g、テレフタル酸4.0g、マレイン酸ジメチルエステル5.0g及びメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート(MTBS)1.0gからの混合物を58〜61℃で電気分解させた。0.2Aの一定電流強度で、この電気分解の過程でセル電圧は、13.8Vから18.0Vまで上昇した。4時間後に停止させた。淡灰色懸濁液が生じ、これは急速に沈殿した。得られた沈殿を窒素気流中で濾過し、クロロホルム50mlで2回洗浄した。濾過ケーキを、窒素雰囲気中でガラス瓶中に移し、高度真空(5*10−5ミリバールまで達した)下に活性化させた。収量:3.5g(DIN66135に従うラングミュアによる表面積:10.7m/g)。
【0188】
例5:ギャップセル中のCu−MOFの製造
加熱ジャケット、磁気攪拌機、内部温度計及び1cmの間隔で面平行に配置された2個の銅電極(厚さ約2mm;対向表面積:それぞれ9.9cm)を有する、N−ガスシールされた100mlガラスシリンダー中で、エタノール50.0g、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸5.3g及びメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート(MTBS)1.0gからの溶液を53〜58℃で電気分解させた。0.2Aの一定電流強度で、この電気分解の過程でセル電圧は18.0Vから20Vまでであった。この電気分解の終点は、30Vを超えるまでの強い電圧上昇により判明した。4時間後に停止させた。濃密な帯緑青色懸濁液が生じ、これは急速に沈殿した。得られた沈殿を窒素気流中で濾過し、クロロホルム50mlで2回洗浄した。濾過ケーキを、窒素雰囲気中でガラス瓶中に移し、高度真空(5*10−5ミリバールまで達した)下に活性化させた。収量:6.3g(DIN66135に従うラングミュアによる表面積:1260m/g)。
【0189】
例6:ギャップセル中のCu−MOFの製造
加熱ジャケット、磁気攪拌機、内部温度計及び1cmの間隔で面平行に配置された2個の銅電極(厚さ約2mm;対向表面積それぞれ9.9cm)を有する、N−ガスシールされた100mlガラスシリンダー中で、メタノール50.0g、2,2’−ビピリジン−5,5’−ジカルボン酸1.0g及びメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート(MTBS)0.3gからの混合物を51〜54℃で電気分解させた。0.1Aの一定電流強度で、この電気分解の過程でセル電圧は6Vで安定していた。1.3時間後に停止させた。灰色懸濁液が生じ、これは急速に沈殿した。上澄み溶液は無色であった。得られた沈殿を吸引濾過し、メタノールで数回洗浄し、乾燥させた。収量:1.4g。この沈殿は、1:2:12の原子Cu/N/C−比を有した。
【0190】
例7:ギャップセル中のCo−MOFの製造
加熱ジャケット、磁気攪拌機、内部温度計及び1cmの間隔で面平行に配置された2個のコバルト電極(厚さ約2mm;対向表面積:それぞれ9.9cm)を有する、N−ガスシールされた100mlガラスシリンダー中で、メタノール50g、テレフタル酸4.0g及びメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート(MTBS)1.0gからの混合物を54〜65℃で電気分解させた。0.2Aの一定電流強度で、この電気分解の過程のセル電圧は5Vであった。4時間後に停止させた。紅色懸濁液が生じ、これは直ちに沈殿した。得られた沈殿を窒素気流中で濾過し、クロロホルム50mlで2回洗浄した。濾過ケーキを窒素雰囲気中でガラス瓶中に移し、高度真空(5*10−5ミリバールまで達した)下に活性化させた。収量:5g(DIN66135に従うラングミュアによる表面積:7m/g)。電極はこの電気分解の過程で1.19gを失なった(これは1.5F/Coモルの浸食率に相当)。
【0191】
例8:ギャップセル中のZn−MOFの製造
加熱ジャケット、磁気攪拌機、内部温度計及び1cmの間隔で面平行に配置された2個の亜鉛電極(厚さ約2mm;対向表面積それぞれ0.99cm)を有する、N−ガスシールされた100mlガラスシリンダー中で、ジエチルホルムアミド47.5g、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸4.8g、マレイン酸ジメチルエステル5.0g及びメチルトリブチルアンモニウムメチルスルフェート(MTBS)1.0gからの混合物を52〜61℃で電気分解させた。0.2Aの一定電流強度で、この電気分解の過程でセル電圧は12.5Vから3時間かかって徐々に37.0Vまで上昇した。4時間後に停止させた。濃密な黄ベージュ色懸濁液が生じ、これは直ちに沈殿した。得られた沈殿を窒素気流中で濾過し、クロロホルム50mlで2回洗浄した。濾過ケーキを、窒素雰囲気中でガラス瓶中に移し、高度真空(5*10−5ミリバールまで達した)下に活性化させた。収量:4.3g(DIN66135に従うラングミュアによる表面積:21m/g)。
【0192】
例9:プレート積重ねセル中のCu−MOFの製造
回転ポンプ、電解液の熱処理用ガラス冷却器、排ガス冷却器、流量測定用の、セル電圧の、プレート積重ねセルの電流密度及び温度の測定のための測定装置からなる電気分解回路で電気分解させた。このプレート積重ねセルは、各側面当たりの面積各々61.9cm及び厚さ5mmを有する円形銅ディスク5個を有した。直径1.5cmの中心孔を有するこれらのディスクは積重ねて配置されていた。間隔板によって各電極は1mmの間隙で隣接電極から分離されていた。最下段の電極は、カソード接触されており、最上段はアノード接触されていた。中央の3電極は、それぞれ1個のカソード側及びアノード側を有した(二極構成)。このセルの底板を経て、電解液をプレートの中心孔を通して導入し、この間隙を通って流した。底板上に固定されているガラスキャップを経て電解液をセル回路中に放流させてアノード接触を実現させた。この装置は窒素で不活性化されていた。
【0193】
このセル回路中でメタノール1075.7g、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸83.3g及びMTBS21gから成る電解液をポンプ循環させた(130リットル/h)。1.3Aの電流強度、12.6〜19.1Vのセル電圧及び20〜23℃の温度で、2時間半電気分解させた。沈殿を濾過し、冷メタノール50mlで2回洗浄した。淡青色沈殿を120℃で一晩活性化させると、色は暗青色に変わった。収量:43.6g(DIN66135に従うラングミュアによる表面積:1649m/g)。
【0194】
例10:プレート積重ねセル中のCu−MOFの製造
溶剤としてのエタノール中での例9と同様な実験で、DIN66135に従うラングミュアによる表面積1585m/gを有する生成物が、15.5gの収量で得られた。
【0195】
例11:管形セル中のCu−MOFの製造
1,3,5−ベンゼントリカルボン酸144.8g、MTBS38g及びメタノール1867.2gからなる電解液をセル回路中に充填した。このセル回路は、管形セル、ガラスクーラー、回転ポンプ及びセルの下の分離容器から成っていた。ポンプは電解液又は生じる懸濁液を循環させ、この際、生じるCu−MOFの主要量が分離容器中に集まった。この分離容器は、底ドレインを有する500ml内容量のガラスフラスコから成っていた。この管形セルは、ポリプロピレン頭部及びポリプロピレン底部を有する不錆鋼管(長さ:55cm、内径:4.1cm)から成っていた。頭部及び底部には、このセル循環系を循環する電解液の供給用及び排出用の開口部を有していた。頭部は、それによって銅アノードが気密に保持されるねじ締め可能な開口部を有していた。底部は、3mm厚さの円形凹み(直径はアノード棒に一致)を有し、その中にアノードが固定されていた。頭部の開口部と底部の凹みは、鋼カソードの断面と同心的に配置されており、これによってカソードとアノードとの間の環形の均一な間隔を保証していた。銅アノードは、直径4cmを有する100cm長さの銅棒から成っており、これは鋼カソードの範囲内で先細にされていた。ここでこれは、3.7cmの直径を有し、これは639cmの活性表面積に相当した。
【0196】
14.5Aの電流強度及び5.6〜5.9Vのセル電圧で、1.5F/(ベンゼントリカルボン酸1モル)の電流消費に達するまで操作した。引き続き無電流で数時間更にポンプ循環させ、この際、MOF−懸濁液の大部分が分離容器中に集まった。こうして、セル中又はセル回路中に固体が集積することなしに、新たな電気分解チャージの多数のバッチを順次に作動させることができた。
【0197】
このMOF−取出し物の後処理により、平均して1バッチ当たり、DINに従がうラングミュアにより測定された表面積1300〜1500m/gを有する固体105〜115gをもたらした。
【0198】
例12:1,3,5−ベンゼントリカルボン酸のテトラプロピルアンモニウム塩の製造
メタノール1kg当たり1,3,5−ベンゼントリカルボン酸0.35モルのメタノール溶液(7.2質量%)は、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド0.035モル(HO中50%)の添加の際に、1.0mS/cmの比導電率に達した。この溶液中で1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の10モル%がモノ塩に変換されていた。この溶液は、水7.1g(0.7質量%に相当)を含有した。
【0199】
例13:本発明により製造されたCu−MOF類と慣用法で製造された銅−MOF類との比較
電気化学的方法で製造されたCu−MOF2種(EMOF−1及びEMOF−2)をX線吸収分光分析に供し、技術水準により製造されたCu−MOF(MOF−ST)と比較した。
【0200】
EMOF−STを次のように製造する:
出発物質 モル 計算 実験
1)1,3,5−ベンゼン 0.116モル 24.4g 24.4g
トリカルボン酸
2)エタノール 2.13モル 98.5g 98.5g
3)硝酸銅(II)*2.5水 0.233モル 54.3g 54.3g
3)脱イオン水 6.94モル 125.0g 125.0g
2個のオートクレーブビーカー中で、エタノール49.3g中に撹拌下にそれぞれベンゼントリカルボン酸12.2gを懸濁させる。2個のガラスビーカー中で、硝酸銅それぞれ27.2gを水62.5g中に溶かす。次いでこの硝酸銅溶液をガラスビーカー中に充填させると、淡青色ゲルが生じる。これを30分間撹拌し、その後これらオートクレーブビーカーを閉じる。
【0201】
結晶化を110℃で18時間にわたり実施する。
【0202】
沈殿を濾過し、水で2回洗浄する。濾過ケーキを110℃で乾燥させる。
【0203】
分析:
ラングミュア表面積:1316m/g(N/77Kで測定)。
【0204】
化学分析:
Cu:32%
N:1.1% 。
【0205】
EMOF−1の場合には、メタノール1788.3g、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸70.0g、MTBS(メタノール中60%)28.6g並びにCu−電極を使用し、前記の例と同様にすると、EMOF−1が得られる。
【0206】
ラングミュア表面積:1766m/g(N/77Kで測定)。
【0207】
従って、MOF−STとEMOF−1は直接比較可能である。EMOF−1が大きい活性表面積を有することが明らかである。
【0208】
EMOF−2はEMOF−1と同様にして製造される。しかしながらこの場合には、イソフタル酸が使用される。後に詳述されているX線吸収分光分析検査は、これらEMOF類のスペクトルが比較可能なスペクトル特性を有し、MOF−STとは著しく異なっていることを示している。
【0209】
試料調製及び引き続くX線吸収分光分析の測定を、全てのCu−MOF類について同じ条件下で実施する。
【0210】
試料前処理のために、全ての試料をエタノールと共に13mmの直径を有するポリエチレン圧縮体上に載せる。PE−圧縮体上の試料の安定化のために、これらは接着テープ中にパックされている。X線吸収スペクトルの測定を、HASYLABのビーム線E4を用い、DESYで実施した。この装置はSi(111)二結晶モノクロメーター(Doppel-kristallmonochromator)及び金コーティングされた集光鏡を備えている。高い調波(Harmonische)を充分に抑制するために金コーティングされた平面鏡を使用する。フィードバックコントロールを有するピエゾ素子を用いて、ブラッグピーク(Braggpeak)の最大強度の60%で付加的測定を実施する。CuK−エッジでの測定のために、次のアルゴン圧を調節する:第1電離箱70ミリバール、第2電離箱550ミリバール及び第3電離箱800ミリバール。このことは、それぞれ、第1電離箱中で10%、第2電離箱中で50%及び第3電離箱中でほぼ100%の吸収に相当する。エネルギー尺度の検定のための参照として、第2電離箱と第3電離箱との間の銅シートを共に測定する。
【0211】
銅エッジの測定プログラムは次の通りである:
【表2】

【0212】
1エッジ位置が示しているエネルギーから、k−空間内での等間隔ステップで、kの1間隔ステップ当たりの測定時間の強調を用いて測定される。試料スペクトルを数回測定し;参照試料も同様に測定した。
【0213】
データ評価を、ソフトウエアWinXAS3.1(Ressler T.,J.Synchrotron Radiat .,5(1998),118)を用いて実施した。データ換算は標準法を用いて行った。エネルギー検定のために、各々のスペクトルで同時に測定される参照シートのEを利用する。ここで重要な銅試料のXANES範囲を得るために、プリエッジ(Vorkanten:Preedge)(8.84keV−8.94keV)に関する一次多項式及びEXAFS範囲(9.16keV−9.98keV)に関する二次多項式をバックグラウンドの除去のために使用する。標準化はエッジリフト(Kantenhub)に基づく。k−空間への変換のために、試料スペクトルのエッジ上の第2変曲点が使用される。μ0適合は、1.59k−13.1kの範囲のスプライン関数(スプライン7)を用いて行われる。
【0214】
EXAFSを用いる空間群Ccでの黒銅鉱のモデルとの比較並びにプリエッジピークの欠如は、全ての試料中の銅が4面配位されている(vierfach planar koordiniert ist)ことを示している。しかしながら、試料のエッジの一次導関数の比較は、技術水準により製造された試料MOF−STが約8.9798keVで付加的な最大を有することを示している。
【0215】
このことは、図5に示されている。ここで、曲線は次のものを表している:
───── MOF−ST
─・─・─ EMOF−2
− − − − EMOF−1
・・・・・・ 黒銅鉱 。
【0216】
オリジナル吸収スペクトル中の変曲点に相当する最大は、本発明により製造されたCu−MOF類には存在しない。試料スペクトルと黒銅鉱のそれとの比較は更に、エッジ構造のエネルギー的に同じ位置に基づき、検査試料中の銅は2価で存在することを示している。ここで、試料MOF−STについて、エッジ上の付加的変曲点に基づくいくらか低い平均酸化状態は除外できない。
【0217】
本発明により製造された銅−MOF類のX線吸収スペクトルと技術水準により製造されたそれとの比較は、明らかな違いを示しており、従って本発明で製造されたMOF類は、技術水準で製造されたMOF類に比べて新規物質であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2座の有機化合物少なくとも1種を含有している反応媒体中で、金属イオン少なくとも1個に配位結合した少なくとも2座の有機化合物少なくとも1つを含有している結晶性多孔質有機金属骨格物質を電気化学的に製造する方法において、この反応媒体中で、相応する金属を含有しているアノード少なくとも1個の酸化によって金属イオン少なくとも1個を供給することを特徴とする、結晶性多孔質有機金属骨格物質を電気化学的に製造する方法。
【請求項2】
次の手段の少なくとも一つ:
(i) 水素のカソード形成を促進する電解液の使用;
(ii) カソード減極をもたらす化合物少なくとも1種の添加;
(iii)好適な水素過電圧を有するカソードの使用
によって、金属イオン少なくとも1個のカソード再沈殿を少なくとも部分的に阻止することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i)による電解液がプロトン性溶剤少なくとも1種を含有していることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
カソード減極はハイドロダイマー化であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
方法を、非分割電気分解セル中で実施することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
方法を、ギャップセル又はプレート積重ねセル中で実施することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ギャップセル又はプレート積重ねセルを二極接続することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
反応媒体は、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド又はこれらの2種以上の混合物を含有していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
金属イオン源として、銅及び/又は鉄及び/又は亜鉛を含有しているアノードを使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも2座の有機化合物として、芳香族ジ−、トリ−及び/又はテトラカルボン酸を使用することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
反応媒体は、導電性塩少なくとも1種を含有していることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
導電性塩少なくとも1種は、カチオン成分として4級アンモニウムイオンを含有し、かつアニオン成分としてアルコキシスルフェートを含有することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
固体含有率は0.5質量%に等しいか又はそれより大きい範囲にあることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法により得られる結晶性多孔質有機金属骨格物質。
【請求項15】
5m/gに等しいか又はそれより大きい、DIN66135に従って測定された比表面積を有することを特徴とする、請求項14に記載の骨格物質。
【請求項16】
液体少なくとも1種及び/又はガス少なくとも1種の貯蔵媒体としての、請求項14又は15のいずれか1項による結晶性多孔質有機金属骨格物質又は請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法により得られる結晶性多孔質有機金属骨格物質の使用。
【請求項17】
触媒、顔料、センサー、導電体又はイオン伝導体としての、請求項14又は15のいずれか1項による結晶性多孔質有機金属骨格物質又は請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法により得られる結晶性多孔質有機金属骨格物質の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−42881(P2011−42881A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255287(P2010−255287)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2006−540359(P2006−540359)の分割
【原出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】