説明

結束装置

【課題】
棒線状の物品からなる結束対象物を粘着テープで束ねて結束する結束装置について、平面的な設置スペースを充分に小さくし、束ねられる結束対象物が損傷しないようにする。
【解決手段】
棒線状の物品からなる結束対象物Pが集積される断面形状がほぼU字形のバケット24を有して結束対象物Pを搬送する搬送機構2と、搬送機構2の搬送経路の途中に配置されて搬送機構2によって搬送される結束対象物Pを粘着テープ31で束ねて結束する結束機構3とを備えている。搬送機構2は、バケット24が上下方向に配置された駆動ギア21,従動ギア22にエンドレス状に掛渡されたチェーン23にU字形の開放部分を斜め上方に向けて上昇しU字形の開放部分を斜め下方に向けて降下するように取付けられている。結束機構3は、粘着テープ31が搬送機構2の降下するバケット24のU字形の開放部分の外側方向から結束対象物Pを包込むように束ねるものとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒線状の物品からなる結束対象物を粘着テープで束ねて結束する結束装置に係る技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
現在、ニラ,ネギ,アスパラガス等の野菜からなる結束対象物を粘着テープロールから繰出された粘着テープで包込むようにして束ねる結束装置が提供され、野菜の結束作業の自動化,半自動化が実現されている。この結束装置については、野菜が出荷される一般農家に設置されて使用されるものであることから、平面的な設置スペースを小さくすることが要請されている。
【0003】
従来、結束装置の平面的な設置スペースを小さくすることを指向した技術としては、例えば、以下に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−34310号公報
【0005】
特許文献1には、棒線状の物品からなる結束対象物(ニラ等の野菜)が集積される断面形状がほぼU字形のバケットを有して結束対象物を搬送する搬送機構と、搬送機構の搬送経路の途中に配置されて搬送機構によって搬送される結束対象物を粘着テープで束ねて結束する結束機構とを備えた結束装置が記載されている。搬送機構は、バケットが上下方向,横方向に配置された駆動ギア,従動ギアに3角のエンドレス状に掛渡されたチェーンにU字形の開放部分を斜め下方に向けて斜に上昇しU字形の開放部分を上方に向けて横移動しU字形の開放部分を側方に向けて降下するように取付けられている。結束機構は、粘着テープが搬送機構の降下するバケットの下方向から結束対象物を包込むように束ねるものとなっている。
【0006】
特許文献1に係る結束装置は、搬送機構の搬送経路を途中で搬送方向が変更される3角にすることで、直線(長円の往復形)の搬送経路の結束装置よりも平面的な設置スペースが小さくなるようにするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に係る結束装置では、搬送機構の搬送経路が改良されているものの、依然として平面的な設置スペースが充分には小さくなっていないという問題点がある。また、粘着テープが結束対象物を束ねる際に、粘着テープが下方向から結束対象物を搬送機構のバケットの側壁部に押付ける格好となるため、結束対象物が損傷しやすいというという問題点がある。
【0008】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、平面的な設置スペースを充分に小さくすることができ、しかも束ねられる結束対象物が損傷することのない結束装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明に係る結束装置は、特許請求の範囲の各請求項に記載の手段を採用する。
【0010】
即ち、請求項1では、棒線状の物品からなる結束対象物が集積される断面形状がほぼU字形のバケットを有して結束対象物を搬送する搬送機構と、搬送機構の搬送経路の途中に配置されて搬送機構によって搬送される結束対象物を粘着テープで束ねて結束する結束機構とを備えた結束装置において、搬送機構はバケットが上下方向に配置された駆動ギア,従動ギアにエンドレス状に掛渡されたチェーンにU字形の開放部分を斜め上方に向けて上昇しU字形の開放部分を斜め下方に向けて降下するように取付けられ、結束機構は粘着テープが搬送機構の降下するバケットのU字形の開放部分の外側方向から結束対象物を包込むように束ねるものとなっていることを特徴とする。
【0011】
この手段では、搬送機構のチェーンに取付けられるバケットのU字形の開放部分の向きが改良されチェーンが掛渡される駆動ギア,従動ギアが上下方向に配置されることで、搬送機構の搬送経路が上下方向の直線とされる。また、結束機構の粘着テープが搬送機構の降下するバケットのU字形の開放部分の外側方向から結束対象物を包込むように束ねることで、粘着テープが結束対象物をバケットの側壁部に押付けることなく湾曲した底壁部に押戻す格好となる。
【0012】
また、請求項2では、請求項1の結束装置において、搬送機構はバケットのU字形の開放部分を開閉する抜止部材が支持された取付用ブラケットを介してバケットがチェーンに取付けられ、搬送機構のチェーンの内側に搬送機構の抜止部材の開閉を規制するカムが配置されていることを特徴とする。
【0013】
この手段では、搬送機構のバケットに集積された結束対象物の脱落を防止する抜止部材が搬送機構のチェーンの内側に配置されたカムによって開閉されることで、搬送機構のチェーンの外側への連係する部材の配置が避けられている。
【0014】
また、請求項3では、請求項2の結束装置において、搬送機構の抜止部材はチェーンの内側に延びる連係アームを有し、カムは搬送機構の抜止部材の連係アームが当接してスライドするレール状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
この手段では、搬送機構は抜止部材がカムに当接してスライドし梃子のように動作され。
【0016】
また、請求項4では、請求項3の結束装置において、搬送機構の抜止部材はバケットの側壁部に切込まれた溝に対して起伏する抜止バーを有していることを特徴とする。
【0017】
この手段では、搬送機構の抜止部材がバケットの側壁部に切込まれた溝に侵入することで、搬送機構のバケットに集積された結束対象物を散乱させずに湾曲した底壁部に押込むことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る結束装置は、搬送機構のチェーンに取付けられるバケットのU字形の開放部分の向きが改良されチェーンが掛渡される駆動ギア,従動ギアが上下方向に配置されることで、搬送機構の搬送経路が上下方向の直線とされるため、平面的な設置スペースを充分に小さくすることができる効果がある。また、結束機構の粘着テープが搬送機構の降下するバケットのU字形の開放部分の外側方向から結束対象物を包込むように束ねることで、粘着テープが結束対象物をバケットの側壁部に押付けることなく湾曲した底壁部に押戻す格好となるため、束ねられる結束対象物が損傷することがない効果がある。
【0019】
さらに、請求項2として、搬送機構のバケットに集積された結束対象物の脱落を防止する抜止部材が搬送機構のチェーンの内側に配置されたカムによって開閉されることで、搬送機構のチェーンの外側への連係する部材の配置が避けられているため、平面的な設置スペースをより充分に小さくすることができる効果がある。
【0020】
さらに、請求項3として、搬送機構は抜止部材がカムに当接してスライドし梃子のように動作されることで、構造を複雑化させることなく搬送機構の抜止部材の開閉を円滑に行わせることができる効果がある。
【0021】
さらに、請求項4として、搬送機構の抜止部材がバケットの側壁部に切込まれた溝に侵入することで、搬送機構のバケットに集積された結束対象物を散乱させずに湾曲した底壁部に押込むことができるため、結束機構の粘着テープによる結束対象物の包込みが円滑に行われる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る結束装置を実施するための形態の側面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の要部の拡大図である。
【図4】図3の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る結束装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
この形態では、棒線状の物品からなる結束対象物Pとして野菜のニラに適用されるものを示してある。
【0025】
この形態は、図1,図2に示すように、機枠1,搬送機構2,結束機構3,カム4の各部を主要部として構成されている。
【0026】
機枠1は、搬送機構2,結束機構3,カム4を支持する縦長の門形の金属フレーム11の下部にキャスタ12が取付けられ、結束対象物Pである野菜のニラの収穫期に収納されている一般農家の物置から作業場所に簡単に引出して使用することができるようになっている。
【0027】
搬送機構2は、上下方向に配置された駆動ギア21,従動ギア22にエンドレス状に掛渡されたチェーン23にバケット24が一定の間隔を介して複数個(図面では6個)が取付けられている。駆動ギア21は、機枠1の金属フレーム11の下方側に回転可能に支持された駆動軸25に固定されている。従動ギア22は、機枠1の金属フレーム11の上方側に回転可能に支持された従動軸26に固定されている。チェーン23は、ローラチェーンタイプからなるもので、駆動軸25に連結された駆動モータ27の駆動によって駆動ギア21,従動ギア22の間で上下方向の直線(長円の往復形)となる搬送経路を形成するように動作する。バケット24は、湾曲形の底壁部24aと平面形の側壁部24bとにより断面形状がほぼU字形に形成されて樋形にある程度の長さを有したもので、長さ方向の一端部寄りの一部が切除されて結束機構3の連係動作を可能にする結束連係空間24cが設けられて、U字形の開放部分24d(側壁部24bの間の先端部分)がチェーン23の斜め外側を向くように取付用ブラケット28を介してチェーン23に取付けられている。なお、バケット24の結束連係空間24cが設けられたことに対応して、前述の駆動ギア21,従動ギア22,チェーン23が3組配置されて駆動の円滑性が確保されている(図2参照)。バケット24の側壁部24bには、底壁部24a方向に切込まれた溝24eが設けられている。取付用ブラケット28は、チェーン23にローラピンを利用して取付けられる基部28aから斜めにバケット24が取付けられるバケット取付部28bが延びたく字形に形成されている。取付用ブラケット28の基部28aには、抜止部材29が支持されている。抜止部材29は、取付用ブラケット28の基部28aの先端部に回転可能に支持された支軸29aと、支軸29aに固定されてバケット24の溝24eに対して起伏する抜止バー29bと、抜止バー29bをバケット24の溝24eの内部に倒伏するように付勢するバネ29cと、支軸29aに固定されて抜止バー29bとは逆の方向(長円形に配設されたチェーン23の内側方向)へ延びた連係アーム29dと、連係アーム29dの先端に回転可能に支持されたローラ29eとからなる。
【0028】
結束機構3は、粘着テープ31が巻回された粘着テープローラ32から駆動モータ33の駆動で回動して粘着テープ31を搬送機構2の方向へ繰出す供給アーム34と、粘着テープ31の繰出し端が保持されて粘着テープ31の結束端を切断する粘着テープ端末受部35と、粘着テープ31の結束の余長端を電動モータ36の駆動で回転するローラで重ね貼着処理する粘着テープ端末処理部37とからなる。供給アーム34は、搬送機構2のチェーン23の下降動作側に少し離れた上方に配置されて機枠1の金属フレーム11に支持されている。粘着テープ端末受部35は、搬送機構2のチェーン23の下降動作側の上部のバケット24の結束連係空間24cに配置されて機枠1の金属フレーム11に支持されている。粘着テープ端末処理部37は、搬送機構2のチェーン23の下降動作側のほぼ中央部のバケット24の結束連係空間24cに配置されて機枠1の金属フレーム11に支持されている。
【0029】
カム4は、搬送機構2の駆動ギア21よりも小さな径の円弧形のレール状に形成されて駆動ギア21と同軸線に配置され、搬送機構2のチェーン23の下降動作から上昇動作に移行する転回部分で搬送機構2の抜止部材29のローラ29eが当接するようになっている。
【0030】
この形態によると、搬送機構2が駆動モータ27によって駆動(例えば、間欠送り駆動)されると、搬送機構2のバケット24が上下方向の直線となっている搬送経路に沿ってU字形の開放部分24dを斜め上方に向けて上昇しU字形の開放部分24dを斜め下方に向けて降下することになる。従って、搬送機構2の平面幅Sがかなり狭い構造となることから、装置全体の平面的な設置スペースを充分に小さくすることができる。
【0031】
搬送機構2のバケット24の動作に対しては、下降動作から上昇動作に移行する転回部分では搬送機構2の抜止部材29のローラ29eがカム4に当接してスライドし梃子により抜止部材29の抜止バーbがバネ29cの弾圧に抗してバケット24の溝24eから起立され、他の動作では搬送機構2の抜止部材29のローラ29eがカム4から離間して抜止部材29の抜止バーbがバネ29cの弾圧の付勢でバケット24の溝24eの内部に倒伏することになる。なお、抜止部材29のローラ29eとカム4との連係が転動構造であるため、スムースな動作,動作切換が期待できる。また、カム4が搬送機構2のチェーン23の内側に配置されて、搬送機構2のチェーン23の外側への連係する部材の配置が避けられているため、装置全体の平面的な設置スペースをより充分に小さくすることができる。また、搬送機構2の抜止部材29とカム4とが梃子を利用した簡素な構造であるため、構造を複雑化させることなく搬送機構2の抜止部材29の開閉を円滑に行わせることができる。
【0032】
従って、搬送機構2のバケット24が上昇動作に入る際にバケット24に結束対象物Pを投入すれば、バケット24の下降動作の下限までバケット24に集積された結束対象物Pが抜止部材29の抜止バーbで脱落防止され、バケット24の下降動作の下限で結束対象物Pがバケット24から排出されることになる。従って、作業者にとっては、椅子に座った状態で搬送機構2の上昇動作に入るバケット24に結束対象物Pに投入する作業を行うだけで足りることになる。特に、搬送機構2のバケット24のU字形の開放部分24dが斜め上方を向いているため、結束対象物Pの投入が容易である。なお、搬送機構2の抜止部材29の抜止バーbがバケット24の溝24eの内部に倒伏することで、バケット24に投入された結束対象物Pを底壁部24aに押込み結束に備えてある程度整列させることになるため、作業者によるバケット24への結束対象物Pの投入が乱雑であっても後述の結束に支障が生ずるようなことはない。
【0033】
搬送機構2のバケット24による結束対象物Pの搬送経路の途中であるバケット24の下降動作では、結束機構3による結束対象物Pの結束が実行される。
【0034】
搬送機構2のバケット24は、図4に示すように、下降動作の上部付近でU字形の開放部分24dが斜め下方を向いている。従って、搬送機構2のバケット24に集積されている結束対象物Pには、矢印aの方向に滑落する力が作用している。このような状態の結束対象物Pに対して、結束機構3の粘着テープ31が供給アーム34,粘着テープ端末受部35の配置から矢印bの方向から包込むように束ねることになる。結束機構3の粘着テープ31の束ねの動作は、搬送機構2のバケット24のU字形の開放部分24dの外側から結束対象物Pを搬送機構2のバケット24の側壁部24bに押付けることなく底壁部24aに押戻す格好となる。従って、結束機構3の粘着テープ31の束ねの動作によって、結束対象物Pが損傷することはない。また、結束機構3の結束され切断された粘着テープ31の結束の余長端が粘着テープ端末受部35とは別の粘着テープ端末処理部37で重ね貼着処理されるため、粘着テープ端末受部35の結束動作に粘着テープ端末処理部37の動作が影響を及ぼすことはない。
【0035】
なお、この形態では、結束対象物Pの端部(ニラの根本部分)をカットする切断機構5が結束機構3の粘着テープ端末受部35,粘着テープ端末処理部37の下方に配置され、結束された結束対象物Pを排出する排出コンベア6が搬送機構2の下方に配置されている。
【0036】
以上、図示した形態の外に、搬送機構2の駆動ギア21,従動ギア22の配置を上下逆に構成することも可能である。
【0037】
さらに、結束対象物Pの結束部分に対応して、搬送機構2のバケット24の結束連係空間24cの位置を変更することも可能である。
【0038】
さらに、結束対象物Pの結束部分を複数箇所として、結束機構3を複数基設けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る結束装置は、結束対象物として麺類等の加工食品や電子部品等の各種工業製品にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
2 搬送機構
21 駆動ギア
22 従動ギア
23 チェーン
24 バケット
24a 底壁部
24b 側壁部
24d 開放部分
28 取付用ブラケット
29 抜止部材
29b 抜止バー
29d 連係アーム
3 結束機構
31 粘着テープ
32 粘着テープローラ
4 カム
P 結束対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒線状の物品からなる結束対象物が集積される断面形状がほぼU字形のバケットを有して結束対象物を搬送する搬送機構と、搬送機構の搬送経路の途中に配置されて搬送機構によって搬送される結束対象物を粘着テープで束ねて結束する結束機構とを備えた結束装置において、搬送機構はバケットが上下方向に配置された駆動ギア,従動ギアにエンドレス状に掛渡されたチェーンにU字形の開放部分を斜め上方に向けて上昇しU字形の開放部分を斜め下方に向けて降下するように取付けられ、結束機構は粘着テープが搬送機構の降下するバケットのU字形の開放部分の外側方向から結束対象物を包込むように束ねるものとなっていることを特徴とする結束装置。
【請求項2】
請求項1の結束装置において、搬送機構はバケットのU字形の開放部分を開閉する抜止部材が支持された取付用ブラケットを介してバケットがチェーンに取付けられ、搬送機構のチェーンの内側に搬送機構の抜止部材の開閉を規制するカムが配置されていることを特徴とする結束装置。
【請求項3】
請求項2の結束装置において、搬送機構の抜止部材はチェーンの内側に延びる連係アームを有し、カムは搬送機構の抜止部材の連係アームが当接してスライドするレール状に形成されていることを特徴とする結束装置。
【請求項4】
請求項3の結束装置において、搬送機構の抜止部材はバケットの側壁部に切込まれた溝に対して起伏する抜止バーを有していることを特徴とする結束装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−179926(P2010−179926A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23332(P2009−23332)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(503052748)有限会社 昭栄工業 (4)
【Fターム(参考)】