説明

絞り染め調斑染めセルロース系繊維製品の染色方法

【課題】白地を有する、又は多色染め地よりなるなだらかな濃度勾配を有する色相の、絞り染め調斑染めセルロース系繊維製品を得る。
【解決手段】皺付け加工したセルロ−ス系繊維製品を水、糊剤溶解水溶液、反応染料と染色助剤を含む染色液のいずれかで染色浴の浴比、糊剤を含む液の粘度を選択して前処理した後、前処理に応じて更に染色液、糊剤を含む液を選択、追加して浸漬処理するセルロース系繊維製品の絞り染め調斑染め染色方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皺付け加工が施されたセルロース系繊維製品を前処理した後、反応染料で染色する方法であり、白地となだらかな勾配を有する色相に斑染めされた絞り染め調セルロース系繊維製品または白地のないなだらかな勾配を有する色相に斑染めされた絞り染め調セルロース系繊維製品の簡便な染色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維製品は、消費者ニーズやファション性の観点から、通常染料または顔料によって色彩が施され製品化されるのが一般的である。その染色方法は浸染と捺染に大別されるが、単一素材を用いる編織物を浸染する場合には単一色相に染色すること、また、異素材の経糸と緯糸からなる交織物を浸染する場合には、経糸と緯糸を異色相に染め分けることが商品価値を決定する重要な指標となっている。
一方、近年消費者ニーズの多様化やファション性の向上を目的に人為的に染色斑を発生させ、新しい感性に富んだ商品の開発も行われている。人為的に染色斑を作る方法として絞り糸や蝋等を用いる物理的作用を利用する防染方法や有機酸等の化学的防染剤を用いる防染方法や、酸化剤や還元剤で染料分子を分解させる抜染剤を用いる抜染方法が知られている。これらの方法を用いて高品質の製品を得る為には、使用する薬品の濃度や処理温度等の工程管理が複雑でかつ細心の注意が必要であるため、より簡便な方法が求められていた。
【0003】
これらの方法の一つとして、布帛をロープ状に集束するか、及び/または、押込捲縮をなし、これと同時もしくは直後に染色して布帛に皺模様を発現せしめる方法が開示されている。(特許文献1参照。)この方法は、染色時に皺の状態で染料を付与するものであるので部分的に染色されず白地が残る場合があるが、その皺模様は経方向のみでありランダムな方向性を有する絞り染め調の製品を得ることはできなかった。
また、セルロース系繊維構造物に皺付け加工を施した後、該繊維構造物を袋詰めし、次いでビニルスルホン型反応性染料とアルカリからなる処理液、または、ビニルスルホン型反応性染料とアルカリと糊剤とからなる処理液に浸漬して放置することにより皺模様を有する繊維構造物の製造方法が開示されている。(特許文献2参照。)この方法では濃淡の皺模様を有する繊維構造物が得られるが、白地は残らず絞り染め調の製品を得ることはできなかった。
【0004】
化学的防染剤を用いる方法の一つとしてポリハロゲノポリアジン化合物、またはスルファトエチルスルフォン化合物を繊維製品の官能基の一部に共有結合させ、その後染色することにより、該化合物と繊維製品の官能基が共有結合した非染色部分と、該化合物と繊維製品の官能基が反応せずその後に染色される染色部分からなり、非染色部分が全くないか、または非染色部分の密度が低い部分が高濃度に染色され、非染色部分の密度が高い部分が低濃度に染色されることにより、色彩の濃淡が自然な斑染めが表現できることが開示されている。(特許文献3参照。)この方法により白地となだらかな色調変化を有する絞り染め調の斑染め製品を得ることができるが、pHなど工程管理に要する手間は解消されていない。
【特許文献1】特開昭48ー96887号公報(第1頁1欄5〜8行)
【特許文献2】特開平7ー11591号公報(第2頁2欄6〜14行)
【特許文献3】特開平11ー81131号公報(第3頁3欄5〜13行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来にない感性とファション性に優れた、白色地を有する、又は、多色染め地の絞り染め調斑染め製品の簡便な染色方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、予め皺付け加工を施したセルロース系繊維製品を水、または、糊剤溶解水溶液で前処理した後、染色液で処理することにより白地となだらかな勾配を有する色相に斑染めされた絞り染め調セルロ−ス系繊維製品が得られ、あるいはまた、反応染料と染色助剤を含む染色液で前処理した後、糊剤を含む染色液で処理することにより白地のないなだらかな勾配を有する色相に斑染めされた絞り染め調セルロ−ス系繊維製品が簡便に得られることに着目し本発明に至った。
【0006】
即ち、斑染めされた絞り染め調セルロ−ス系繊維製品を得るに際し、染色に先立つ前処理工程と、染色液に加える糊剤の量を特定化することによって、製品に白地部分を残したり、白地部分を有しないなだらかな濃度勾配を有する斑染めされた絞り染め調セルロ−ス系繊維製品を得る方法を発明した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、第一の発明はセルロース系繊維製品を皺付け加工した後、前処理として染色浴中で糊剤を含み粘度が0.015〜1.400パスカル秒の水溶液を用いて浴比1:3〜1:5の範囲で浸漬処理し、次いで、同浴に反応染料と染色助剤を含む染色液を追加して浴比1:10〜1:15で浸漬処理することを特徴とする絞り染め調斑染めセルロース系繊維製品の染色方法である。
【0008】
第二の発明はセルロース系繊維製品を皺付け加工した後、前処理として染色浴中で水を用いて浴比1:3〜1:5の範囲で浸漬処理した後、次いで、同浴に反応染料と染色助剤と糊剤を含み粘度が1.0〜4.0パスカル秒の染色液を追加して浴比1:12〜1:15で浸漬処理することを特徴とする絞り染め調斑染めセルロース系繊維製品の染色方法である。
【0009】
第三の発明はセルロース系繊維製品を皺付け加工した後、前処理として染色浴中で反応染料と染色助剤を含む染色液を用いて浴比1:3〜1:5の範囲で浸漬処理し、次いで、同浴に反応染料と染色助剤と糊剤を含み粘度が0.05〜4.0パスカル秒の染色液を加えて浴比1:12〜1:15で浸漬処理することを特徴とする絞り染め調斑染めセルロース系繊維製品の染色方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の染色方法により得られる絞り染め調斑染めセルロース系繊維製品は、白地となだらかな濃度勾配を有する色相の絞り染め調斑染め製品、或いはなだらかな濃度勾配を有する色相の絞り染め調斑染め製品であるので、従来にない高い感性とファション性に優れ、ファション業界の新製品開発に大いに寄与することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のセルロース系繊維製品とは、木綿、麻等の天然セルロース系繊維やレーヨン、ポリノジック、リヨセル等の再生セルロース系繊維を含有する織物、編物、不織布、縫製品等をいう。これらの繊維製品は、混率が必ずしも100%である必要はなく,その他の繊維としてポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維が混紡、混繊、交織の形で混用されて用いられていてもよい。混用される合成繊維の混率は、任意の割合で用いることができるが、好ましくは、合成繊維の割合が50%未満であることが望ましい。混率が50%を越えると、合成繊維には本発明で行う絞り染め調斑染め染色の効果が望めないので、本発明による斑染め染色の効果が低くなる。
本発明の斑染めされた絞り染め調セルロース系繊維製品を得る方法は、セルロース系布帛に皺付け加工を施すのが必須である。皺付けの方法は、例えば、不定型に折畳む方法、ロープ状にした後折畳む方法、ルーズキャリア等に不定形に詰込む方法等の公知の方法を適宜用いることができる。
【0012】
本発明の第一の発明においては、皺付けされたセルロース系繊維製品を糊剤溶解水溶液を用いて浸漬処理するが、本発明に用いる糊剤はアルカリに耐久性のあるブリテイッシュガム、クリスタルガム、アラビアゴム、ローカストビーンガムエーテル、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等の中から単独、または、複数を選択し温湯に溶解させ、冷却した水溶液を適宜用いることができる。この前処理に用いる糊剤溶解水溶液の使用温度は常温でよく、浴比は1:3〜1:5の範囲であれば白地の面積となだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積の均衡が保てるので好ましい。浴比が1:3未満であると染色後の白地の面積が小さくなり、なだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積が大きくなり、両者の面積の均衡が崩れるので好ましくなく、浴比が1:5を越えると、逆に白地の面積が大きくなりなだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積が小さくなり、両者の面積の均衡が崩れるので好ましくない。
【0013】
前処理時間は、糊剤を含む水溶液が皺付けされたセルロース系繊維製品に浸透するのに必要な時間でよく、10〜30分間の範囲で好適に選択できる。また、前処理に用いる糊剤溶解水溶液の粘度は0.015〜1.400パスカル秒の範囲であれば白地の面積となだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積の均衡が保てるので好ましい。粘度が0.015パスカル秒未満であれば染色後の白地の面積が小さくなりなだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積が大きくなり、両者の面積の均衡が崩れるので好ましくなく、1.400パスカル秒を越えると、逆に白場の面積が大きくなりなだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積が小さくなり、両者の面積の均衡が崩れるので好ましくない。
【0014】
次いで、上記のように前処理をした、皺付けされたセルロース系繊維は、反応染料と染色助剤を含む染色液で浸漬処理するが、本発明で用いられる反応染料としては、直接性レベルが高く、反応性レベルの中程度から高程度レベルの反応染料、例えば、商品名の染料冠称がそれぞれスミフィックス(住友化学工業株式会社製)、レマゾール(ダイスター株式会社製)、ケイピーゾール(紀和化学工業株式会社製)スミフィックス スプラ(住友化学株式会社製)、レバフィックス(ダイスター株式会社製)、プロシオン(三井BASF染料株式会社製)、シバクロン(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製)、バシレン(三井BASF染料株式会社製)、カヤシオン(日本化薬株式会社製)等の反応染料が挙げられ、これらから単品、若しくは、色相の異なる2つ以上の反応染料を同称染料冠称での組合せ、または、異称染料冠称での組合せで適宜選択することができる。反応染料の使用量は、求める色相により適宜決定すればよい。
【0015】
染色助剤は、塩基性触媒の水溶液を単独で用いるか、または、中性塩及び塩基性触媒の水溶液を併用して用いることができる。塩基性触媒としては、苛性ソーダ、ソーダ灰、重曹等の固体を水に溶解して用いるか、または、液体アルカリ剤、例えば、珪酸ソーダ、商品名:ダイソーブレイン(ダイソー株式会社製)、商品名:ハイパー(大東薬品工業株式会社製)等の中から適宜選択して用いることができる。中性塩としては、食塩、無水芒硝等の固体を水に溶解して用いることができる。その使用量は反応染料を用いる浸染法、または、コールドバッチ法の定法に従って使用することができる。
【0016】
本発明の、前処理を行った皺付けされたセルロース系繊維を反応染料と染色助剤を含む染色液で染色する工程は、染色助剤水溶液と反応染料溶解水溶液を別々に調整した後、両者を混合・撹拌して前処理した染色浴に追加するが、アルカリミキサーにて両者を混合してから染色浴に追加することもできる。また、追加染色液に糊剤溶解水溶液を加え、粘度を1.4パスカル秒未満の範囲とした染色液を用いることもできる。その場合の反応染料と染色助剤と糊剤を含む染色液の追加手順は、糊剤溶解水溶液に染色助剤水溶液を加えて混合撹拌した後、最後に反応染料溶解水溶液を加えて撹拌し、前処理した染色浴に追加する。糊剤溶解水溶液と染色助剤水溶液の混合水溶液と反応染料溶解水溶液をアルカリミキサーにて混合させてから追加することもできる。本発明の染色方法の浴比は1:10〜1:15の範囲が好ましい。浴比が1:10未満であれば、糊剤水溶液、染料溶解液及び染色助剤溶解液の混合に時間を要するので好ましくなく、浴比が1:15を越えるとセルロース系繊維製品以外に水と反応する反応染料の量が増え、反応染料の有効利用が損なわれるので好ましくない。本発明の染色時間は用いる反応染料の種類に応じて3時間から20時間の範囲で好適に選択できる。
【0017】
浸漬処理が終了したら、水洗、湯洗、ソーピング、水洗し、次いで、遠心脱水、乾燥し、斑染めが終了する。染色工程が終了した被染物はソーピング、樹脂加工、仕上げ油剤処理等の工程に移るが、これらの工程は特に限定されるものではなく一般的に用いられている方法で行うことができる。
【0018】
本発明の第二の発明においては、第一の発明と同様の方法で皺付けされたセルロース系繊維製品を前処理として水を用いて浸漬処理するが、その温度は常温でよく、浴比は1:3〜1:5の範囲であれば白地となだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積の均衡が保てるので好ましい。浴比が1:3未満であれば白地の面積が少なく、白地のないなだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積が大きくなり、両者の面積の均衡が崩れるので好ましくなく、浴比が1:5を越えると、染色後の白地の面積が大きく、白地のないなだらかな色調変化を有する色相斑染めされた面積が小さくなり、両者の面積の均衡が崩れるので好ましくない。浸漬時間は水がセルロース系繊維製品に浸透する時間があれば十分であり、5分間〜30分間の範囲で好適に選択できる。
【0019】
次いで、反応染料と染色助剤と糊剤を含む染色液を追加して常温で浸漬処理するが、本発明で用いられる反応染料としては、第一の発明で用いられたものと同様のものが挙げられ、これらから単品、若しくは、色相の異なる2つ以上の反応染料を同称染料冠称での組合せ、または、異称染料冠称での組合せで適宜選択することができる。反応染料の使用量は、求める色相により適宜染色液に溶解させて用いることができる。
【0020】
本発明で用いる染色助剤は塩基性触媒の水溶液を単独で用いるか、または、中性塩及び塩基性触媒の水溶液を併用して用いることができる。塩基性触媒としては、第一の発明で用いられたものと同様のものから適宜選択して用いることができる。中性塩も同様に第一の発明で用いられたものと同様のものから適宜選択して用いることができる。その使用量は反応染料を用いる浸染法、または、コールドバッチ法の定法に従って用いることができる。本発明に用いる糊剤は、第一の発明で用いられたものと同様のものから単独、または、複数を選択し温湯に溶解させ、冷却した水溶液を適宜用いることができる。
【0021】
第二の発明における反応染料と染色助剤と糊剤を含む染色液の追加手順は、糊剤溶解水溶液に染色助剤水溶液を加えて混合撹拌した後、最後に反応染料溶解水溶液を加えて撹拌して完成させ、前処理した染色浴に追加する。追加工程においては、糊剤溶解水溶液と、染色助剤水溶液の混合水溶液と、反応染料溶解水溶液は、アルカリミキサーにて混合して追加することもできる。反応染料と染色助剤と糊剤を含む染色液の粘度は1.0〜4.0パスカル秒の範囲であれば白地となだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積の均衡が保てるので好ましい。粘度が1.0パスカル秒未満であれば染色後の白地の面積が小さくなり、白地のないなだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積が大きくなり、両者の面積の均衡が崩れるので好ましくなく、粘度が4.0パスカル秒を越えると染料溶解が難しくなるので好ましくない。前処理後の染色時間は用いる反応染料の種類に応じて3時間から10時間の範囲で好適に選択できる。
【0022】
染色が終了したら、水洗、湯洗、ソーピング、水洗し、次いで、遠心脱水、乾燥し、斑染めが終了する。染色工程が終了した被染物はソーピング、樹脂加工、仕上げ油剤処理等の工程に移るが、これらの工程は特に限定されるものではなく一般的に用いられている方法で行うことができる。
【0023】
第三の発明は、なだらかな濃度勾配を有する色相の絞り染め調斑染め製品を得るための染色方法である。第一の発明と同様の方法で皺付けされたセルロース系繊維製品は、反応染料と染色助剤を含む染色液に浸漬され1段目の染色が行われるが、本発明で用いられる反応染料としては、第一の発明で用いられたものと同様のものが挙げられ、これらから単品、若しくは、色相の異なる2つ以上の反応染料を同称染料冠称での組合せ、または、異称染料冠称での組合せで適宜選択することができる。反応染料の使用量は、求める色相により適宜染色液に溶解させて用いることができるが、次の工程における染色時の反応染料の使用量より少ないことが必須である。
【0024】
第三の発明で用いる染色助剤は塩基性触媒の水溶液を単独で用いるか、または、中性塩及び塩基性触媒の水溶液を併用して用いることができる。塩基性触媒としては、第一の発明で用いられたものと同様のものから適宜選択して用いることができる。中性塩も同様に第一の発明で用いられたものと同様のものから適宜選択して用いることができる。その使用量は反応染料を用いる浸染法、または、コールドバッチ法の定法に従って用いることができる。本発明の最初の染色に用いる染色液は、染色助剤水溶液と反応染料溶解水溶液を、使用する直前に混合して用いるが、アルカリミキサーにて混合させて用いることもできる。
【0025】
浴比は1:3〜1:5の範囲であれば白地のないなだらかな色調変化を有する色相に斑染めされるので好ましい。浴比が1:3未満であれば被染物であるセルロース系繊維製品に空気泡が残り白地のないなだらかな色調変化を有する色相に淡く斑染めされた部分中に空気泡の部分が白地となるので好ましくなく、浴比が1:5を越えると、染色後の白地のないなだらかな色調変化を有する色相に淡く斑染めされた面積が大きくなり、なだらかな色調変化を有する色相に濃く斑染めされた面積との均衡が崩れるので好ましくない。1段目の染色時間は、30分間〜4時間の範囲で好適に選択できる。
【0026】
次いで、反応染料と染色助剤と糊剤を含む染色液を追加し2段目の染色を行うが、第三の発明で用いられる反応染料としては、第一の発明で用いられたものと同様のものが挙げられ、これらから単品、若しくは、色相の異なる2つ以上の反応染料を同称染料冠称での組合せ、または、異称染料冠称での組合せで適宜選択することができる。反応染料の使用量は、求める色相により適宜溶解させて用いるが、1段目の染色時の使用量より多いことが必須である。
【0027】
第三の発明で用いる染色助剤は塩基性触媒の水溶液を単独で用いるか、または、中性塩及び塩基性触媒の水溶液を併用して用いることができる。塩基性触媒としては、第一の発明で用いられたものと同様のものから適宜選択して用いることができる。中性塩も同様に第一の発明で用いられたものと同様のものから適宜選択して用いることができる。その使用量は反応染料を用いる浸染法、または、コールドバッチ法の定法に従って用いることができる。糊剤は、第一の発明で用いられたものと同様のものから単独、または、複数を選択し温湯に溶解させ、冷却した水溶液を適宜用いることができる。
【0028】
また、反応染料と染色助剤と糊剤を含む染色液の粘度は0.05〜4.0パスカル秒の範囲であれば白地のないなだらかな色調変化を有する色相に淡く斑染めされた面積と、なだらかな色調変化を有する色相に濃く斑染めされた面積との均衡が保てるので好ましい。粘度が0.05パスカル秒未満であれば染色後の白地のないなだらかな色調変化を有する色相に、淡く斑染めされた面積が小さくなり、なだらかな色調変化を有する色相に濃く斑染めされた面積との均衡が崩れるので好ましくない。4.0パスカル秒を越えると、逆に染色後の白地のないなだらかな色調変化を有する色相に淡く斑染めされた面積が大きくなり、なだらかな色調変化を有する色相と濃く斑染めされた面積との均衡が崩れるので好ましくないと共に、粘度の増加により染料溶解水溶液及び染色助剤溶解水溶液との混合に時間を有するので好ましくない。
【0029】
第三の発明の反応染料と染色助剤と糊剤を含む染色液の2段目の染色工程は、糊剤溶解水溶液に染色助剤水溶液を加えて混合撹拌し、最後に反応染料溶解水溶液を加えて撹拌して完成させ、前処理した染色浴に追加するが、糊剤溶解水溶液と染色助剤水溶液の混合水溶液と反応染料溶解水溶液をアルカリミキサーにて混合させて追加することもできる。第三の発明の第二段目の染色工程の浴比は1:12〜1:15の範囲が好ましい。浴比が1:12未満であれば、糊剤水溶液、染料溶解液及び染色助剤溶解液の混合に時間を要するので好ましくなく、浴比が1:15を越えるとセルロース系繊維製品以外に水と反応する反応染料の量が増え、反応染料の有効利用が損なわれるので好ましくない。本発明の染色時間は用いる反応染料の種類に応じて3時間から20時間の範囲で好適に選択できる。
【0030】
浸漬処理が終了したら、水洗、湯洗、ソーピング、水洗し、次いで、遠心脱水、乾燥し、斑染めが終了する。染色工程が終了した被染物はソーピング、樹脂加工、仕上げ油剤処理等の工程に移るが、これらの工程は特に限定されるものではなく一般的に用いられている方法で行うことができる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明について実施例により具体的に説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。尚、本実施例中の粘度については株式会社東京計器のB型粘度計、形式:BMを用いて25℃にて測定した結果を示した。
・斑染め外観の判定その1(第一及び第二の発明)
3名のパネラーにより、白地の面積が大きくなだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積が少なく両者の均衡が崩れている外観見本を0点、やや白地の面積が、なだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積より大きいが両者の均衡がとれている外観見本を1点、白地の面積となだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積の均衡がとれている外観見本を2点、白地の面積よりもなだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積がやや大きいが、両者の均衡がとれている外観見本を1点、白地の面積が小さくなだらかな色調変化を有する色相に斑染めされた面積が大きく、両者の均衡が崩れている外観見本を0点とし、各人の評価の合計点から下記の基準に従い斑染め外観を判定した。
6〜5点:○(良好)、3〜4点:△(ややよい)、0〜2点:×(悪い)
【0032】
・斑染め外観の判定その2(第三の発明)
3名のパネラーにより、なだらかな色調変化を有する色相に淡く斑染めされた面積の中に、白地が残っている外観見本を0点、ややなだらかな色調変化を有する色相に淡く斑染めされた面積が、なだらかな色調変化を有する色相に濃く斑染めされた面積より大きいが両者の均衡がとれている外観見本を1点、ややなだらかな色調変化を有する色相に淡く斑染めされた面積と、なだらかな色調変化を有する色相に濃く斑染めされた面積の均衡がとれている外観見本を2点、なだらかな色調変化を有する色相に淡く斑染めされた面積よりもなだらかな色調変化を有する色相に濃く斑染めされた面積がやや大きいが、両者の均衡がとれている外観見本を1点、なだらかな色調変化を有する色相に淡く斑染めされた面積が小さく、なだらかな色調変化を有する色相に濃く斑染めされた面積が大きく、両者の均衡が崩れている外観見本を0点とし、各人の評価の合計点から下記の基準に従い斑染め外観を判定した。
6〜5点:○(良好)、3〜4点:△(ややよい)、0〜2点:×(悪い)
【0033】
〔実施例1〕
糊剤としてアルギン酸ソーダ〔商品名:キミツアルギンBー3、株式会社キミカ製(以下アルギンと略称する。)〕及びカルボキシメチルセルロース〔商品名:ファインガムHEーSS、第一工業製薬株式会社製(以下CMCと略称する。)〕を1:1の混合比として、50℃の温湯に溶解させ4.0%濃度の水溶液を2リッター調整した。冷却後25℃で粘度を測定した結果は、8.12パスカル秒であった。
通常の条件で毛焼・糊抜・精練・漂白・マーセライズした綿100%の平織物(11.81tex×11.81tex/132本/2.54cm×80本/2.54cm)を約35cm×114cmの大きさに15枚切り取って、重量を夫々50gとした後、手で掴みシワを付けながら1リッターのポリ容器に詰め込み試料A-i〜試料O-iを用意した。
4.0%濃度の糊剤溶解水溶液に水を加えて希釈し約0.5%濃度の糊剤溶解水溶液を2リッター調整した。この約0.5%濃度の糊剤溶解水溶液の25℃での粘度は0.004パスカル秒であった。
【0034】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料A-iに、約0.5%濃度の糊剤溶解水溶液100gを加えて静置して30分間前処理を実施した。塩基性触媒である液体アルカリ剤〔商品名:ハイパー、大東薬品工業株式会社製(以下ハイパーと略称する。)20gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液200gを用意した。また、黒色反応染料〔商品名:KP ZOL Black C−100 Liquid、紀和化学工業株式会社製(以下黒色反応染料Aと略称する。)〕15.0%owf相当量を温湯に溶解させた反応染料溶解水溶液200gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液400gを調整した。前処理の終了した試料A-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料A’-iを得た。斑染めされた試料A’-iの外観の評価を下記の表1に記載した。
【0035】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料B-iに、約0.5%濃度の糊剤溶解水溶液150gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー17.5gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液175gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させた反応染料溶解水溶液175gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液350gを調整した。前処理の終了した試料B-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料B’-iを得た。斑染めされた試料B’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0036】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料C-iに、約0.5%濃度の糊剤溶解水溶液200gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー15gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液150gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させた反応染料溶解水溶液150gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液300gを調整した。前処理の終了した試料C-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料C’-iを得た。斑染めされた試料C’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0037】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料D-iに、約0.5%濃度の糊剤溶解水溶液250gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー12.5gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液125gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液125gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液250を調整した。前処理の終了した試料D-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料D’-iを得た。斑染めされた試料D’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0038】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料E-iに、約0.5%濃度の糊剤溶解水溶液300gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー10gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液100gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液100gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液200gを調整した。前処理の終了した試料E-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料E’-iを得た。斑染めされた試料E’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0039】
4.0%濃度の糊剤溶解水溶液に水を加えて希釈し約1.0%濃度の糊剤溶解水溶液を2リッター調整した。この糊剤水溶液の25℃での粘度は0.015パスカル秒であった。
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料F-iに、約1.0%濃度の糊剤溶解水溶液100gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー20gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液200gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液200gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液400gを調整した。前処理の終了した試料F-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料F’-iを得た。斑染めされた試料F’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0040】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料G-iに、約1.0%濃度の糊剤溶解水溶液150gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー17.5gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液175gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液175gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液350gを調整した。前処理の終了した試料G-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料G’-iを得た。斑染めされた試料G’ -iの外観の評価を表1に記載した。
【0041】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料H-iに、約1.0%濃度の糊剤溶解水溶液200gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー15gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液150gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液150gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液300gを調整した。前処理の終了した試料H-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料H’-iを得た。斑染めされた試料H’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0042】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料I-iに、約1.0%濃度の糊剤溶解水溶液250gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー12.5gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液125gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液125gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液250gを調整した。前処理の終了した試料Iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料I’-iを得た。斑染めされた試料I’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0043】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料J-iに、約1.0%濃度の糊剤溶解水溶液300gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー10gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液100gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液100gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液200gを調整した。前処理の終了した試料J-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料J’-iを得た。斑染めされた試料J’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0044】
4.0%濃度の糊剤溶解水溶液に水を加えて希釈し約2.0%濃度の糊剤溶解水溶液を2リッター調整した。この糊剤水溶液の25℃での粘度は1.37パスカル秒であった。
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料K-iに、約2.0%濃度の糊剤溶解水溶液100gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー20gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液200gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液200gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液400gを調整した。前処理の終了した試料K-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料K’-iを得た。斑染めされた試料K’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0045】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料L-iに、約2.0%濃度の糊剤溶解水溶液150gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー17.5gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液175gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液175gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液350gを調整した。前処理の終了した試料L-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料L’-iを得た。斑染めされた試料L’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0046】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料Mに、約2.0%濃度の糊剤溶解水溶液200gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー15.0gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液150gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液150gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液300gを調整した。前処理の終了した試料M-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料M’-iを得た。斑染めされた試料M’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0047】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料N-iに、約2.0%濃度の糊剤溶解水溶液250gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー12.5gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液125gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液125gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液250gを調整した。前処理の終了した試料N-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料N’-iを得た。斑染めされた試料N’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0048】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料O-iに、約2.0%濃度の糊剤溶解水溶液300gを加えて静置して30分間前処理を実施した。ハイパー10gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液100gを用意した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液100gを用意した。次いで、染色助剤溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液200gを調整した。前処理の終了した試料O-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料O’-iを得た。斑染めされた試料O’-iの外観の評価を表1に記載した。
【0049】
【表1】

【0050】
斑染めされた試料は、前処理に用いられた糊剤を含む水溶液の粘度に関係なく浴比が1:2では白地の面積が小さくなだらかな色調変化を有する灰色〜黒色に斑染めされた面積の大きい外観を呈し、浴比が増えるに従って、逆に白地の面積が大きくなだらかな色調変化を有する灰色〜黒色に斑染めされた面積が小さくなる外観を呈する傾向を示し、浴比1:3〜1:5の範囲で白地の面積となだらかな色調変化を有する灰色〜黒色に斑染めされた面積の均衡がほぼとれている外観を呈した。前処理浴比が1:6の被染物は、白地の面積がなだらかな色調変化を有する灰色〜黒色に斑染めされた面積に比べて大きく、両者の面積の均衡が崩れた外観を呈した。
【0051】
〔実施例2〕
綿100%、撚数19回/2.5cmの19.68tex単糸を用いて、福原株式会社製 XLー3PA 型編機(19インチ、24ゲージ、1296本針本数)で、編速150m/min にて目付146g/m、引目50mm/50コースの天竺丸編地を1反(約70m/反)を編成した後、定法に従い一浴精練漂白した。次いで、遠心脱水・乾燥した編地を約50cm×約100cmの大きさに3枚切り取って、重量を夫々60gとした後、手で掴みシワを付けながら1リッターのポリ容器に詰め込み試料P-i〜試料R-iを用意した。
糊剤としてアルギンを50℃の温湯に溶解させ、1.0%濃度の糊剤溶解水溶液1リッターを調整した。25℃における粘度は0.28パスカル秒であった。別に、実施例1と同様に糊剤アルギンとCMCを1:1の混合比として、50℃の温湯に溶解させ4.0%濃度の糊剤溶解水溶液を1リッター調整した。
【0052】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料P-iに、1.0%濃度の糊剤溶解水溶液180gを加えて静置状態で30分間前処理を実施した。別に、実施例1と同一の4.0%濃度の糊剤溶解水溶液を135g秤量し、水で希釈して糊剤溶解水溶液200gを用意した。次いで、ハイパー21.6gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液80gを用意した。両者を混合・撹拌して糊剤と染色助剤の混合溶解水溶液280gを用意した。赤色反応染料〔商品名:Sumifix Brilliant Red BB 150% gran.、住友化学工業株式会社製(以下赤色反応染料Aと略称する。)〕0.27%owf、青色反応染料〔商品名:Sumifix Brilliant Blue R 150% gran.、住友化学工業株式会社製(以下青色反応染料Aと略称する。)〕1.12%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液200gを用意した。次いで、糊剤と染色助剤の混合溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液480gを調整した。この染色液の25℃の粘度は0.078パスカル秒であった。前処理の終了した試料P-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で4時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料P’-iを得た。紺色に斑染めされた試料P’-iの外観の評価を表2に記載した。
【0053】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料Q-iに、1.0%濃度の糊剤溶解水溶液300gを加えて静置して10分間前処理を実施した。別に、実施例1と同一の4.0%濃度の糊剤溶解水溶液150gを水で希釈して糊剤溶解水溶液200gを調整した。次いで、中性塩〔商品名:中性無水芒硝、東ソー株式会社製(以下芒硝と略称する。)〕30gと塩基性触媒〔商品名:ソーダ灰、セントラル硝子株式会社製(以下ソ−ダ灰と略称する。)〕12gを温湯で溶解し染色助剤溶解水溶液150gを用意した。両者を混合・撹拌して糊剤と染色助剤の混合溶解水溶液350gを調整した。赤色反応染料〔商品名:Sumifix Supra Brilliant Red 3BF 150% gran.、住友化学工業株式会社製(以下赤色反応染料Bと略称する。)〕0.27%owf、青色反応染料〔商品名:Sumifix Supra Blue BRF 150% gran.、住友化学工業株式会社製(以下青色反応染料Bと略称する。)〕1.12%owf相当量を温湯に溶解させ反応染料溶解水溶液250gを用意した。次いで、糊剤と染色助剤の混合溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液600gを調整した。この染色液の25℃の粘度は0.081パスカル秒であった。前処理の終了した試料Q-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で6時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料Q’-iを得た。紺色に斑染めされた試料Q’-iの外観の評価を下記の表2に記載した。
【0054】
1リッターのポリ容器に詰め込んだ試料R-iに、1.0%濃度の糊剤溶解水溶液240gを加えて静置して30分間前処理を実施した。別に、実施例1と同一の4.0%濃度の糊剤溶解水溶液300gを水で希釈して糊剤溶解水溶液400gを容易した。次いで、ハイパー30gを水で希釈して染色助剤溶解水溶液100gを用意した。両者を混合・撹拌して糊剤と染色助剤の混合溶解水溶液500gを調整した。赤色反応染料〔商品名:Sumifix Brilliant Red G special、住友化学工業株式会社製(以下赤色反応染料Cと略称する。)〕1.0%owf、青色反応染料B1.0%owf相当量を温湯に溶解させ反応染料溶解水溶液100gを用意した。次いで、糊剤と染色助剤の混合溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して、染色液600gを調整した。この染色液の25℃の粘度は0.92パスカル秒であった。前処理の終了した試料R-iの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で17時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料R’-iを得た。紫色に斑染めされた試料R’-iの外観の評価を表2に記載した。
【0055】
【表2】

【0056】
紺色に斑染めされた試料P’-i及び試料Q’-iは白地の面積となだらかな色調変化を有する淡青色〜紺色に斑染めされた面積の均衡がほぼとれている外観を呈し、また、紫色に斑染めされた試料R’-iは白地の面積となだらかな色調変化を有する淡紫色〜濃紫色に斑染めされた面積の均衡がほぼとれている外観を呈した。
【0057】
〔実施例3〕
糊剤としてアルギンを50℃の温湯に溶解させ5.0%濃度の糊剤溶解水溶液を2リッター調整した。
実施例2と同一の一浴精錬漂白した編地を約30cm×約120cmの大きさに5枚切り取って、重量を夫々60gとした後、手で掴みシワを付けながら1リッターのポリ容器に詰め込み試料A-ii〜試料E-iiを用意した。
試料A-iiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、工業用水120gを注入して静置状態で30分間浸漬処理を実施した。次いで、5.0%濃度の糊剤溶解水溶液270gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解液370gを用意した。ハイパー27gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解水溶液70gを用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合・撹拌して糊剤と染色助剤の溶解水溶液440gを調整した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液100gを用意した。次いで、染色助剤と糊剤の溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液540gを調整した。この染色液の25℃における粘度は1.13パスカル秒であった。前処理の終了した試料A-iiの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料A’-iiを得た。斑染めされた試料A’-iiの外観の評価を下記の表3に記載した。
【0058】
試料B-iiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、工業用水180gを注入して静置状態で15分間浸漬処理を実施した。次いで、5.0%濃度の糊剤溶解水溶液300gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解液400gを用意した。ハイパー30gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解水溶液100gを用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合・撹拌して糊剤と染色助剤の溶解水溶液500gを調整した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液100gを用意した。次いで、染色助剤と糊剤の溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液600gを調整した。この染色液の25℃における粘度は1.15パスカル秒であった。前処理の終了した試料B-iiの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料B’-iiを得た。斑染めされた試料B’-iiの外観の評価を表3に記載した。
【0059】
試料C-iiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、工業用水240gを注入して静置状態で20分間浸漬処理を実施した。次いで、5.0%濃度の糊剤溶解水溶液300gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解液400gを用意した。ハイパー30gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解水溶液100gを用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合・撹拌して糊剤と染色助剤の溶解水溶液500gを調整した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液100gを用意した。次いで、染色助剤と糊剤の溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液600gを調整した。この染色液の25℃における粘度は1.11パスカル秒であった。前処理の終了した試料C-iiの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料C’-iiを得た。斑染めされた試料C’-iiの外観の評価を表3に記載した。
【0060】
試料D-iiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、工業用水300gを注入して静置状態で10分間浸漬処理を実施した。次いで、5.0%濃度の糊剤溶解水溶液300gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解液400gを用意した。ハイパー30gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解水溶液100gを用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合・撹拌して糊剤と染色助剤の溶解水溶液500gを調整した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液100gを用意した。次いで、染色助剤と糊剤の溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液600gを調整した。この染色液の25℃における粘度は1.14パスカル秒であった。前処理の終了した試料D-iiの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料D’-iiを得た。斑染めされた試料D’-iiの外観の評価を表3に記載した。
【0061】
試料E-iiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、工業用水360gを注入して静置状態で30分間浸漬処理を実施した。次いで、5.0%濃度の糊剤溶解水溶液330gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解液460gを用意した。ハイパー33gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解水溶液100gを用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合・撹拌して糊剤と染色助剤の溶解水溶液560gを調整した。また、黒色反応染料A15.0%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液100gを用意した。次いで、染色助剤と糊剤の溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液660gを調整した。この染色液の25℃における粘度は1.15パスカル秒であった。前処理の終了した試料E-iiの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料E’-iiを得た。斑染めされた試料E’-iiの外観の評価を表3に記載した。
【0062】
【表3】

【0063】
斑染めされた試料は前処理浴比が1:2の被染物A’-iiでは白地の面積が小さくなだらかな色調変化を有する灰色〜黒色に斑染めされた面積の大きい外観を呈し、前処理浴比が増えるに従って、逆に白地の面積が大きくなだらかな色調変化を有する灰色〜黒色に斑染めされた面積が小さくなる外観を呈する傾向を示し、浴比1:3〜1:5の範囲である被染物B’-ii〜D’-iiは白地の面積となだらかな色調変化を有する灰色〜黒色に斑染めされた面積の均衡がほぼとれている外観を呈した。前処理浴比が1:6の被染物E’-iiは白地の面積がなだらかな色調変化を有する灰色〜黒色に斑染めされた面積に比べて大きく、両者の面積の均衡が崩れた外観を呈した。
【0064】
〔実施例4〕
実施例1と同様に糊剤としてアルギン及びCMCを1:1の混合比として、50℃の温湯に溶解させ4.0%濃度の糊剤溶解水溶液を1リッター調整した。
実施例1と同一の毛焼・糊抜・精練・漂白・マーセライズした綿100%の平織物を25cm×100cmの大きさに4枚切り取って、重量を夫々50gとした後、手で掴みシワを付けながら1リッターのポリ容器に詰め込み試料F-ii〜試料I-iiを用意した。
試料F-iiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、工業用水200gを注入して静置状態で30分間浸漬処理を実施した。次いで、4.0%濃度の糊剤溶解水溶液137.5gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解液200gを用意した。ハイパー27.5gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解水溶液100gを用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合・撹拌して糊剤と染色助剤の溶解水溶液300gを調整した。また、黄色反応染料〔商品名:Sumifix Yellow GR 150% gran.、住友化学工業株式会社製(以下黄色反応染料Aと略称する。)〕0.56%owf、橙色反応染料〔商品名:Sumifix Brilliant Orange 3R 150% gran.、住友化学工業株式会社製(以下橙色反応染料と略称する。)〕1.71%owf、黒色反応染料〔商品名:Sumifix Black B 150% gran.、住友化学工業株式会社製(以下黒色反応染料Bと略称する。)〕0.0003%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液250gを用意した。次いで、染色助剤と糊剤の溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液550gを調整した。この染色液の25℃における粘度は0.09パスカル秒であった。前処理の終了した試料F-iiの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料F’-iiを得た。橙色に斑染めされた試料F’-iiの外観の評価を下記の表4に記載した。
【0065】
試料G-iiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、工業用水200gを注入して静置状態で30分間浸漬処理を実施した。次いで、4.0%濃度の糊剤溶解水溶液250gを量り採り、次いで、ハイパー20gを追加して、更に工業用水を追加・撹拌して糊剤と染色助剤の溶解水溶液300gを調整した。また、黄色反応染料A1.13%owf、赤色反応染料A0.74%owf、黒色反応染料B1.63%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液100gを用意した。次いで、染色助剤と糊剤の溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液400gを調整した。この染色液の25℃における粘度は1.13パスカル秒であった。前処理の終了した試料G-iiの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で10時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料G’-iiを得た。黒色に斑染めされた試料G’-iiの外観の評価を表4に記載した。
【0066】
試料H-iiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、工業用水200gを注入して静置状態で30分間浸漬処理を実施した。4.0%濃度の糊剤溶解液390gを用意した。芒硝27.5gとソーダ灰11.0gを温湯で溶解し染色助剤溶解水溶液100gを用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して染色助剤と糊剤の溶解水溶液490gを調整した。赤色反応染料B0.27%owf、青色反応染料B1.12%owfを温湯に溶解し60gの反応染料溶解水溶液を用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤と糊剤の溶解水溶液を混合撹拌して染色液550gを調整した。この染色液の25℃の粘度は2.04パスカル秒であった。前処理の終了した試料H-iiの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で5時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料H’-iiを得た。紺色に斑染めされた試料H’-iiの外観の評価を表4に記載した。
【0067】
試料I-iiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、工業用水200gを注入して静置状態で30分間浸漬処理を実施した。実施例3と同一の5.0%濃度の糊剤溶解水溶液352gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解液400gを用意した。ハイパー27.5gを量り採り、工業用水を追加・撹拌して染色助剤溶解水溶液50gを用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合・撹拌して糊剤と染色助剤の溶解水溶液450gを調整した。また、黄色反応染料〔商品名:Sumifix Supra Yellow 3RF 150% gran.、住友化学工業株式会社製(以下黄色反応染料Bと略称する。)〕1.11%owf、赤色反応染料B2.58%owf、青色反応染料〔商品名:Sumifix Supra Navy Blue 3GF 150% gran.、住友化学工業株式会社製(以下青色反応染料Cと略称する。)〕0.17%owf相当量を温湯に溶解させ、反応染料溶解水溶液100gを用意した。次いで、染色助剤と糊剤の溶解水溶液と反応染料溶解水溶液を混合・撹拌して染色液550gを調整した。この染色液の25℃における粘度は3.98パスカル秒であった。前処理の終了した試料I-iiの1リッターのポリ容器に、この染色液を追加して静置状態で4時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料I’-iiを得た。臙脂色に斑染めされた試料I’-iiの外観の評価を表4に記載した。
【0068】
【表4】

【0069】
橙色に斑染めされた試料F’-iiは白地の面積が小さくなだらかな色調変化を有する淡橙色〜濃橙色に斑染めされた面積が大きく、両者の面積の均衡が崩れた外観を呈し、黒色に斑染めされた試料G’-iiは白地の面積となだらかな色調変化を有する灰色〜黒色に斑染めされた面積の均衡がとれた外観を呈し、紺色に斑染めされた試料H’-iiは白地の面積となだらかな色調変化を有する淡青色〜紺色に斑染めされた面積の均衡がとれた外観を呈し、臙脂色に斑染めされた試料I’-iiは白地の面積となだらかな色調変化を有する淡赤茶色〜臙脂色に斑染めされた面積の均衡がとれた外観を呈した。
【0070】
〔実施例5〕
実施例1と同様に糊剤としてアルギン及びCMCを1:1の混合比として、50℃の温湯に溶解させ4.0%濃度の糊剤溶解水溶液を2リッター調整した。
実施例1と同一の毛焼・糊抜・精練・漂白・マーセライズした綿100%の平織物を約35cm×114cmの大きさに5枚切り取って、重量を50gとした後、手で掴みシワを付けながら1リッターのポリ容器に詰め込み試料A-iii〜試料E-iiiを用意した。
黄色反応染料A0.28%owf、赤色反応染料A0.66%owf、黒色反応染料B0.04%owfを温湯に溶解させ50gの反応染料溶解水溶液を用意した。別に、ハイパー5.0gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液50gを用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して1段目の染色液100gを調整し、試料A-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、この染色液を注入して静置状態で1時間浸漬処理を実施した。
4.0%濃度の糊剤溶解水溶液337.5gを量り採りハイパー22.5gを追加し、更に水を加えて400gとした後混合撹拌して染色助剤と糊剤の溶解水溶液を調整した。
【0071】
黄色反応染料A0.58%owf、赤色反応染料A1.41%owf、黒色反応染料B0.11%owfを温湯に溶解し50gの反応染料溶解水溶液を用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤と糊剤の溶解水溶液を混合撹拌して2段目の染色液450gを調整した。この染色液の25℃の粘度は3.84パスカル秒であった。1段目の染色を終えた試料A-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、2段目の染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料A’-iiiを得た。斑染めされた試料A’-iiiの外観の評価を下記の表5に記載した。
【0072】
黄色反応染料A0.28%owf、赤色反応染料A0.66%owf、黒色反応染料B0.04%owfを温湯に溶解させ75gの反応染料溶解水溶液を用意した。別に、ハイパー7.5gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液75gを用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して1段目の染色液150gを調整し、試料B-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、この染色液を注入して静置状態で30分間浸漬処理を実施した。
4.0%濃度の糊剤溶解水溶液375.0gを量り採りハイパー25.0gを追加し、更に水を加えて440gとした後混合撹拌して染色助剤と糊剤の溶解水溶液を調整した。
【0073】
黄色反応染料A0.58%owf、赤色反応染料A1.41%owf、黒色反応染料B0.11%owfを温湯に溶解し60gの反応染料溶解水溶液を用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤と糊剤の溶解水溶液を混合撹拌して2段目の染色液500gを調整した。この染色液の25℃の粘度は3.91パスカル秒であった。1段目の染色を終えた試料B-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、2段目の染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料B’-iiiを得た。斑染めされた試料B’-iiiの外観の評価を表5に記載した。
【0074】
黄色反応染料A0.28%owf、赤色反応染料A0.66%owf、黒色反応染料B0.04%owfを温湯に溶解させ100gの反応染料溶解水溶液を用意した。別に、ハイパー8.0gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液100gを用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して1段目の染色液200gを調整し、試料C-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、この染色液を注入して静置状態で2時間浸漬処理を実施した。
4.0%濃度の糊剤溶解水溶液375.0gを量り採りハイパー25.0gを追加し、更に水を加えて440gとした後混合撹拌して染色助剤と糊剤の溶解水溶液を調整した。
黄色反応染料A0.58%owf、赤色反応染料A1.41%owf、黒色反応染料B0.11%owfを温湯に溶解し60gの反応染料溶解水溶液を用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤と糊剤の溶解水溶液を混合撹拌して2段目の染色液500gを調整した。この染色液の25℃の粘度は3.74パスカル秒であった。1段目の染色を終えた試料C-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、2段目の染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料C’-iiiを得た。斑染めされた試料C’-iiiの外観の評価を表5に記載した。
【0075】
黄色反応染料A0.28%owf、赤色反応染料A0.66%owf、黒色反応染料B0.04%owfを温湯に溶解させ125gの反応染料溶解水溶液を用意した。別に、ハイパー10.0gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液125gを用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して1段目の染色液250gを調整し、試料D-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、この染色液を注入して静置状態で4時間浸漬処理を実施した。
4.0%濃度の糊剤溶解水溶液375.0gを量り採りハイパー25.0gを追加し、更に水を加えて440gとした後混合撹拌して染色助剤と糊剤の溶解水溶液を調整した。
黄色反応染料A0.58%owf、赤色反応染料A1.41%owf、黒色反応染料B0.11%owfを温湯に溶解し60gの反応染料溶解水溶液を用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤と糊剤の溶解水溶液を混合撹拌して2段目の染色液500gを調整した。この染色液の25℃の粘度は3.89パスカル秒であった。1段目の染色を終えた試料D-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、2段目の染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料D’-iiiを得た。斑染めされた試料D’-iiiの外観の評価を表5に記載した。
【0076】
黄色反応染料A0.28%owf、赤色反応染料A0.66%owf、黒色反応染料B0.04%owfを温湯に溶解させ150gの反応染料溶解水溶液を用意した。別に、ハイパー12.0gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液150gを用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して1段目の染色液とし、試料E-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、この染色液300gを注入して静置状態で4時間浸漬処理を実施した。
4.0%濃度の糊剤溶解水溶液412.5gを量り採りハイパー27.5gを追加し、更に水を加えて480gとした後混合撹拌して染色助剤と糊剤の溶解水溶液を調整した。
黄色反応染料A0.58%owf、赤色反応染料A1.41%owf、黒色反応染料B0.11%owfを温湯に溶解し70gの反応染料溶解水溶液を用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤と糊剤の溶解水溶液を混合撹拌して2段目の染色液550gを調整した。この染色液の25℃の粘度は3.96パスカル秒であった。1段目の染色を終えた試料E-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、2段目の染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して斑染めされた試料E’-iiiを得た。斑染めされた試料E’-iiiの外観の評価を表5に記載した。
【0077】
【表5】

【0078】
斑染めされた試料は1段目染色浴比が1:2の被染物A’-iiiではなだらかな色調変化を有する淡い赤茶色に斑染めされた面積に比してなだらかな色調変化を有する濃い臙脂色に斑染めされた面積が大きい外観を呈し、1段目染色浴比が増えるに従って、逆になだらかな色調変化を有する淡い赤茶色に斑染めされた面積が大きくなだらかな色調変化を有する濃い臙脂色に斑染めされた面積が小さくなる外観を呈する傾向を示し、1段目染色浴比1:3〜1:6の範囲である被染物B’-iii〜D’-iiiではなだらかな色調変化を有する淡い赤茶色に斑染めされた面積となだらかな色調変化を有する濃い臙脂色に斑染めされた面積の均衡がほぼとれている外観を呈した。加えて浴比1:2ではなだらかな色調変化を有する淡い赤茶色に斑染めされた部分に空気泡と認められる白地が散見された。また、1段目染色浴比1:6の被染物E’-iiiはなだらかな色調変化を有する濃い臙脂色に斑染めされた面積に比してなだらかな色調変化を有する淡い赤茶色に斑染めされた面積が大きく、両者の面積の均衡がとれない外観を呈した。
【0079】
〔実施例6〕
実施例3と同様に糊剤としてアルギンを50℃の温湯に溶解させ5.0%濃度の糊剤溶解水溶液を1リッター調整した。
実施例2と同一の一浴精練漂白した編地を約50cm×約100cmの大きさに3枚切り取って、重量を夫々60gとした後、手で掴みシワを付けながら1リッターのポリ容器に詰め込み試料F-iii〜試料H-iiiを用意した。
黄色反応染料A1.25%owf、青色反応染料〔商品名:Sumifix Turqoise Blue G conc.、住友化学工業株式会社製(以下青色反応染料Dと略称する。)〕0.53%owf、黒色反応染料B0.30%owfを温湯に溶解させ120gの反応染料溶解水溶液を用意した。別に、ハイパー9.6gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液120gを用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して1段目の染色液240gを調整し、試料F-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、この染色液を注入して静置状態で3間浸漬処理を実施した。
【0080】
5.0%濃度の糊剤溶解水溶液96.0gを量り採り、水を加えて希釈し200gの糊剤溶解水溶液を用意した。ハイパー24.0gを量り採り、水を加えて希釈し100gの染色助剤溶解水溶液を用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して染色助剤と糊剤の溶解水溶液300gを調整した。
黄色反応染料A2.12%owf、赤色反応染料A0.04%owf、黒色反応染料B1.17%owfを温湯に溶解し180gの反応染料溶解水溶液を用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤と糊剤の溶解水溶液を混合撹拌して2段目の染色液480gを調整した。この染色液の25℃の粘度は0.05パスカル秒であった。1段目の染色を終えた試料F-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、2段目の染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して緑色に斑染めされた試料F’-iiiを得た。緑色に斑染めされた試料F’-iiiの外観の評価を下記の表6に記載した。
【0081】
赤色反応染料B0.023%owf、赤色反応染料〔商品名;Sumifix Supra Scarlet 2GF 150% gran. 、住友化学工業株式会社製(以下赤色反応染料Dと略称する。)〕0.008%owf、青色反応染料C0.0001%owfを温湯に溶解させ120gの反応染料溶解水溶液を用意した。別に、ハイパー9.6gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液120gを用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して1段目の染色液240gを調整し、試料G-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、この染色液を注入して静置状態で3間浸漬処理を実施した。
5.0%濃度の糊剤溶解液192.0gを量り採り、水を加えて希釈し300gの糊剤溶解水溶液を用意した。ハイパー24.0gを量り採り、水を加えて希釈し50gの染色助剤溶解水溶液を用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して染色助剤と糊剤の溶解水溶液350gを調整した。
赤色反応染料B0.0547%owf、赤色反応染料D0.011%owfを温湯に溶解し130gの反応染料溶解水溶液を用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤と糊剤の溶解水溶液を混合撹拌して2段目の染色液480gを調整した。この染色液の25℃の粘度は0.72パスカル秒であった。1段目の染色を終えた試料G-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、2段目の染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥してピンクに斑染めされた試料G’-iiiを得た。ピンクに斑染めされた試料G’-iiiの外観の評価を表6に記載した。
【0082】
黄色反応染料B0.24%owf、赤色反応染料C0.47%owf、青色反応染料C0.0004%owfを温湯に溶解させ120gの反応染料溶解水溶液を用意した。別に、ハイパー9.6gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液120gを用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して1段目の染色液240gを調整し、試料H-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、この染色液を注入して静置状態で3間浸漬処理を実施した。
5.0%濃度の糊剤溶解液288.0gを量り採り、水を加えて希釈し330gの糊剤溶解水溶液を用意した。ハイパー24.0gを量り採り、水を加えて希釈し50gの染色助剤溶解水溶液を用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して染色助剤と糊剤の溶解水溶液380gを調整した。
黄色反応染料B0.554%owf、赤色反応染料D1.311%owf、青色反応染料C0.03%owfを温湯に溶解し100gの反応染料溶解水溶液を用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤と糊剤の溶解水溶液を混合撹拌して2段目の染色液480gを調整した。この染色液の25℃の粘度は3.98パスカル秒であった。1段目の染色を終えた試料H-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、2段目の染色液を追加して静置状態で3時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥してオレンジに斑染めされた試料H’-iiiを得た。オレンジに斑染めされた試料H’-iiiの外観の評価を表6に記載した。
【0083】
【表6】

【0084】
斑染めされた試料F’-iiiはなだらかな色調変化を有する淡い黄緑色に斑染めされた面積となだらかな色調変化を有する濃い緑色に斑染めされた面積の均衡がほぼとれている外観を呈し、試料G’-iiiは、なだらかな色調変化を有する淡いピンクに斑染めされた面積となだらかな色調変化を有する濃いピンクに斑染めされた面積の均衡がほぼとれている外観を呈し、試料H’-iiiははなだらかな色調変化を有する淡いオレンジに斑染めされた面積となだらかな色調変化を有する濃いオレンジに斑染めされた面積の均衡がほぼとれている外観を呈した。
【0085】
〔実施例7〕
実施例3と同様に糊剤としてアルギンを50℃の温湯に溶解させ5.0%濃度の糊剤溶解水溶液を1リッター調整した。
実施例1と同一の毛焼・糊抜・精練・漂白・マーセライズした綿100%の平織物を約35cm×114cmの大きさに1枚切り取って、重量を50gとした後、手で掴みシワを付けながら1リッターのポリ容器に詰め込み試料I-iiiを用意した。
赤色反応染料A0.023%owf、橙色反応染料0.008%owfを温湯に溶解させ100gの反応染料溶解水溶液を用意した。別に、ハイパー10.0gを水で希釈し染色助剤溶解水溶液100gを用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して1段目の染色液200gを調整し、試料I-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、この染色液を注入して静置状態で2時間浸漬処理を実施した。
5.0%濃度の糊剤溶解水溶液220.0gを量り採り、水で希釈して糊剤溶解水溶液300gを用意した。芒硝27.5gとソーダ灰11.0gを温湯で溶解し染色助剤溶解水溶液150gを用意した。糊剤溶解水溶液と染色助剤溶解水溶液を混合撹拌して染色助剤と糊剤の溶解水溶液450gを調整した。赤色反応染料B0.27%owf、青色反応染料B1.12%owfを温湯に溶解し100gの反応染料溶解水溶液を用意した。次いで、反応染料溶解水溶液と染色助剤と糊剤の溶解水溶液を混合撹拌して2段目の染色液550gを調整した。この染色液の25℃の粘度は0.78パスカル秒であった。1段目の染色を終えた試料I-iiiの詰め込まれた1リッターのポリ容器に、2段目の染色液を追加して静置状態で5時間浸漬処理を実施した。次いで、水洗、湯洗、ソーピング、水洗、遠心脱水、乾燥して2色相に斑染めされた試料I’-iiiを得た。
2色相に斑染めされた試料I’-iiiはなだらかな色調変化を有する淡いピンクに斑染めされた面積となだらかな色調変化を有する青色〜紺色に斑染めされた面積の均衡がほぼとれている外観を呈した。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の斑染め染色方法で得られた被染物は、従来にない絞り染め調の高い感性とファッション性に優れた素材としてファッション業界の新製品開発に大いに寄与できると共に、洗浄工程を除いて室温で処理するので、省エネルギー染色方法として有力な染色方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース系繊維製品を皺付け加工した後、前処理として染色浴中で糊剤を含み粘度が0.015〜1.400パスカル秒の水溶液を用いて浴比1:3〜1:5の範囲で浸漬処理し、次いで、同浴中に反応染料と染色助剤を含む染色液を追加して浴比1:10〜1:15で浸漬処理することを特徴とする絞り染め調斑染めセルロース系繊維製品の染色方法。
【請求項2】
セルロース系繊維製品を皺付け加工した後、前処理として染色浴中で水を用いて浴比1:3〜1:5の範囲で浸漬処理した後、次いで、同浴中に反応染料と染色助剤と糊剤を含み粘度が1.0〜4.0パスカル秒の染色液を追加して浴比1:12〜1:15で浸漬処理することを特徴とする絞り染め調斑染めセルロース系繊維製品の染色方法。
【請求項3】
セルロース系繊維製品を皺付け加工した後、前処理として染色浴中で反応染料と染色助剤を含む染色液を用いて浴比1:3〜1:5の範囲で浸漬処理し、次いで、同浴中に反応染料と染色助剤と糊剤を含み粘度が0.05〜4.0パスカル秒の染色液を加えて浴比1:12〜1:15で浸漬処理することを特徴とする絞り染め調斑染めセルロース系繊維製品の染色方法。

【公開番号】特開2007−138337(P2007−138337A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334170(P2005−334170)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000005359)富士紡ホールディングス株式会社 (180)
【Fターム(参考)】