説明

給油所における注油管の点検口の構造

【課題】金属管の電食などによる腐食を防止し得ると共に、耐火性が高く、更に点検の容易な給油所における注油管の点検口の構造を提供する。
【解決手段】注油口部3の下方において開口を覆う耐火ボード5がピット本体4上に配置され、耐火ボード5は複数の金属管10bが挿通される複数の円形のボード貫通孔が形成された第1ボード部51と、金属管10bの並んだ方向に沿って延びるボード分割部55において第1ボード部51から分割された第2ボード部52とを包含し、耐火ボード5上に金属製のボードカバー6が配置され、ボードカバー6は複数の金属管10bが挿通される複数の円形のカバー貫通孔が形成された第1カバー部61と、ボード分割部に沿って延びるカバー分割部において第1カバー部61から分割された第2カバー部62とを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給油所における注油管の点検口の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、給油所における注油管の点検口の構造が提案されている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭52−115910号
【特許文献2】実用新案登録第3144351号
【特許文献3】特開昭59−163184号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8Aおよび図8Bは従来の給油所および点検口の構造の一例を示す。
なお、図8Bにおいて、樹脂管には網点でハッチングを施してある。
一般に、図8Aに示す給油所には複数の地下タンク100が地下に埋設されている。給油所の地上には給油機103が設けられており、前記給油機103と地下タンク100とは給油管104で連結されている。
一方、前記地下タンク100には、注油管10の一端が連結されている。前記注油管10の他端は地上に突設されている。前記地下タンク100には、エアベント管105も接続されている。
前記注油管10は傾斜した斜管106と、連結部材107によって前記斜管106に連結された鉛直管108とで構成されている。
なお、図示していないが、前記注油管10はタンクごとに設けられている。
【0005】
ここで、前記注油管10は、地下に埋設された金属が腐食するのを避けるために、特に所謂電食を避けるために、図8Bに示すように、地下埋設部分の大部分が樹脂管10aで形成されており、前記樹脂管10aに地上部分に通じる金属管10bが接続されている。前記樹脂管10aと金属管10bとは、それぞれの端部に形成されたフランジ110,111により接続されている。
【0006】
前記フランジ111,110部分は、地中に設けられた点検ボックス150内に収められ、蓋151を取り外すと該フランジ111,110の状態を視認することができるようになっている。
【0007】
しかし、前記従来の構造では金属管10bの一部は、地中に埋設されており、依然として電食により腐食するおそれがある。
【0008】
したがって、本発明の主目的は、金属管の電食などによる腐食を防止し得ると共に、耐火性が高く、更に点検の容易な給油所における注油管の点検口の構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の給油所における注油管の点検口の構造は、地下に埋設された複数の地下タンクごとに燃料油を注油するための注油管が設けられ、前記各注油管は地下に埋設された樹脂管と、地上に突出した金属管とが点検ピット内において継手部で互いに接続され、前記点検ピットから突出した前記複数の金属管が互いに近接した状態で1列に配列された給油所における注油管の点検口の構造であって、タンクローリに接続される注油口部の真下に前記点検ピットが配置され、前記点検ピットを構成し上方が開口した容器状のピット本体に前記複数の樹脂管および金属管の各々一部分と前記複数の継手部とが収納され、前記注油口部の下方において前記開口を覆う耐火ボードが前記ピット本体上に配置され、前記耐火ボードは前記複数の金属管が挿通される複数の円形のボード貫通孔が形成された第1ボード部と、前記金属管の並んだ方向に沿って延びるボード分割部において前記第1ボード部から分割され前記ボード貫通孔を有しない第2ボード部とを包含し、前記耐火ボード上に金属製のボードカバーが配置され、前記ボードカバーは前記複数の金属管が挿通される複数の円形のカバー貫通孔が形成された第1カバー部と、前記ボード分割部に沿って延びるカバー分割部において前記第1カバー部から分割され前記カバー貫通孔を有しない第2カバー部とを包含する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、地上に突出した金属管が挿通する貫通孔が形成された第1ボード部およびカバー部に対し、前記貫通孔が形成されていない第2ボード部およびカバー部を分割したので、前記第1ボード部およびカバー部を点検ピットの前記開口に残したまま、前記第2ボード部およびカバー部のみを前記開口から除去ないし移動して前記点検ピット内を目視で点検することができる。
ここで、第1ボード部およびカバー部の貫通孔の内周と前記金属管の外周との間はシール材でシールされているが、前記点検時に前記第1ボード部およびカバー部を取り外す必要がないので、前記シール材が損傷するおそれがない。したがって、点検後の復旧作業が容易になり、その結果、点検ピット内の点検作業が容易になる。
【0011】
また、本発明においては、タンクローリから荷降しを行うための給油ホースが接続される注油口部の真下に点検ピットが配置され、当該点検ピット内において樹脂管に金属管が接続されている。したがって、金属管の部分が地中に埋設されず、点検ピット内から地上に立ち上がる。そのため、金属管が電食などにより腐食するおそれがない。
【0012】
一方、前記点検ピットの上部は耐火ボードで覆われ、更に、その上が金属製のボードカバーで覆われている。したがって、耐火性能も高い。
なお、本発明において「耐火ボード」とは、燃焼しないか又は燃え難い材料で、かつ、熱を伝えにくい材料からなる板をいい、たとえば、建築基準法等において定められた不燃材料や、準不燃材料、難燃材料などの厚い板を用いることができ、少なくとも樹脂よりも燃えにくく、かつ、鉄やステンレススチール等の金属よりも熱を伝え難いもので、たとえば、珪酸カルシウム板を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1にかかる給油所における注油管の点検口の構造を示す概略分解斜視図である。
【図2】点検ピットの構造を示す概略縦断面図である。
【図3】金属管近傍の点検ピットの構造を示す縦断面図である。
【図4】ボードカバーの開閉構造を示す概略斜視図である。
【図5】点検口の点検方法を示す概略縦断面図である。
【図6】図6Aおよび図6Bは、各々、本発明の実施例2および3にかかる点検ピットの上部の構造を示す概略縦断面図である。
【図7】本発明の実施例4にかかる点検ピットの開閉構造を示す概略縦断面図である。
【図8】従来の給油所および注油管の点検口の構造を示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好適な実施例においては、前記第2ボード部および第2カバー部で閉塞された前記開口の一部から前記ピット本体内の前記継手部の一部または全部を目視できるように、前記第1ボード部および前記第1カバー部が前記開口の他部を覆ったままの状態で、前記第2ボード部および前記第2カバー部が前記開口の一部から除去ないし移動可能に設けられている。
この場合、第1ボード部および第1カバー部が開口の他部を覆ったままの状態で、ピット本体内の一部または全部を目視して点検することができる。
【0015】
本発明の更に好適な実施例においては、前記ピット本体は上方に向って開口した有底角筒状の下本体と、前記下本体の開口の周縁に固定された枠状の上本体とを包含する。
この場合、下本体に対し上本体の上下方向の位置を調節可能にすることができる。
【0016】
本発明の更に好適な実施例においては、前記各ボード部における前記ボード分割部以外の周縁を支える枠状のボード受け台が前記上本体の上に設けられている。
この場合、耐火ボードの周縁を枠状のボード受け台で支えることで、耐火ボードの位置決めが容易で、かつ、耐火ボードの周縁を保護し易くなり、耐火ボードの劣化を防止し得る。
【0017】
本発明の更に好適な実施例では、前記第1カバー部は水平面に沿った第1水平部と、前記第1水平部から斜め上方に向って立ち上がる第1斜板部とを有し、前記第2カバー部は水平面に沿った第2水平部と、前記第2水平部から斜上方に向って立ち上がる第2斜板部と、前記第2斜板部から斜下方に向って延びる第3斜板部とを有し、前記第3斜板部の下方に、かつ、前記第3斜板部と対面するように前記第1斜板部が配置されている。
【0018】
この場合、第1カバー部の第1斜板部と第2カバー部の第3斜板部との間で、2分割のボードカバーの雨じまいや水切りが実現され、ピット本体内に水や注油作業で零れた燃料油が侵入するのを防止し得る。
【0019】
本発明の更に好適な実施例においては、前記第3斜板部と前記第1水平部とが蝶番を介して互いに連結されていることで、前記第2カバー部が前記第1カバー部に回転可能に連結されている。
この場合、第2カバー部を開口から容易に除去ないし移動することができる。
【0020】
また、本発明の好適な別の実施例においては、前記第2ボード部および前記第2カバー部で閉塞された前記開口の一部から前記ピット本体内を目視できるように以下の(1)〜(3)のうちのいずれか1つの構造を有する。
(1)前記第2カバー部がヒンジ部を介して前記カバー分割部に沿った水平軸線まわりに回転可能に前記第1カバー部に連結されていると共に、前記第2ボード部が前記ピット本体に対し上方に向って取り外し可能に設けられている。
(2)前記第2カバー部と前記第2ボード部とが互いに一体に固定されており、前記一体の第2カバー部および第2ボード部がヒンジ部を介して前記カバー分割部に沿った水平軸線まわりに回転可能に前記第1カバー部に連結されている。
(3)前記第2カバー部および前記第2ボード部が、前記第1カバー部および前記ピット本体に対して取り外し可能に設けられている。
【0021】
これらの場合、第2カバー部およびボード部を開口から容易に除去ないし移動することができる。
【実施例】
【0022】
実施例1:
図1〜図5は実施例1を示す。
以下に示す各図面において、樹脂管10に相当する部分は網点を施している。
また、図2以降の断面図において、耐火ボード5は網線からなるハッチングで示してある。
なお、本注油管の点検口は、図1に示すピット本体4内に継手部等から漏れた燃料油があるか否かを点検するための点検用である。
【0023】
前述したように、図8Aに示す地下に埋設された地下タンク100には、該地下タンク100ごとに、図1に示す燃料油を供給するための注油管10が設けられている。
【0024】
図2に示すように、前記注油管10は、地下に埋設された樹脂管10aと、地上Gに突出した金属管10bとが点検ピット1のピット本体4内において継手部2で互いに接続されている。すなわち、継手部2において、樹脂管10aに設けられた第1フランジ11と、金属管10bに設けられた第2フランジ12とが互いに接続されることで、樹脂管10aと金属管10bとが互いに接続されている。
【0025】
図1に示すように、前記点検ピット1から突出した複数の金属管10bは、互いに近接した状態で1列に配列されている。
図2に示す点検ピット1は、図示しないタンクローリに接続される注油口部3の真下に配置される。なお、一般的に注油口部3やエルボ10eの外径は金属管10bの外径よりも大きい。
【0026】
図1に示すように、点検ピット1は、ピット本体4、ボード受け台7、耐火ボード5およびボードカバー6を備えている。
【0027】
ピット本体4:
図1および図2に示すように、前記ピット本体4は、上方に向って開口した有底角筒状の下本体4aと、前記下本体4aに固定された枠状の上本体4bとを備えている。
前記下本体4aおよび上本体4bは、たとえばFRP(繊維強化プラスチック)のような樹脂製である。図2に示すように、前記下本体4aの下部は、土中に埋設され、下本体4aの上部および上本体4bはコンクリートC中に埋設されている。
【0028】
前記ピット本体4は、樹脂管10aおよび金属管10bの一部を収容する収容空間Sを形成している。
図1に示す前記ピット本体4は上方が開口した容器状に形成されており、図2に示すように、前記複数の樹脂管10aおよび金属管10bの各々一部分と複数の継手部2とが収納されている。
【0029】
図1に示すように、前記金属管10bは、仮想の直線Xに沿って一列に設けられている。前記上本体4bには、各金属管10bが並ぶ方向X1に沿って、該金属管10bを固定するためのアングル4cが設けられている。
図3に示すように、金属管10bは固定バンド4eを介してアングル4cに固定されている。
【0030】
図2に示す下本体4aと上本体4bとは図示しないボルトおよびナットによって互いに固定される。図3の前記上本体4bには、長孔4fが形成されていてもよい。かかる場合には、下本体4aに対して上本体4bが上下方向Zに調節可能に設定される。そのため、点検ピット1の施工時において、上本体4bの上面4sのレベル、すなわちボードカバー6のレベルが調節可能になる。
【0031】
ボード受け台7:
図1〜図3に示すように、前記上本体4bの上面4sには枠状のボード受け台7が図示しないボルトとナットで固定されている。前記ボード受け台7は、前記第1および第2ボード部51,52の周縁を支えるものであり、金属製で土中に埋設されず、かつ、コンクリートCに埋設されている。
図2に示すように、前記第1および第2ボード部51,52はボード分割部55において互いに分割されており、前記ボード受け台7は、前記ボード分割部55以外の周縁を支える。
【0032】
耐火ボード5:
図1に示す前記ボード受け台7には、耐火ボード5が配置されている。
前記耐火ボード5は、たとえば、珪酸カルシウム板で構成された第1ボード部51と第2ボード部52とからなる。前記第1ボード部51には、前記複数の各金属管10bが挿通される複数の円形のボード貫通孔50が形成されている。第2ボード部52は、前記複数の金属管10bの並んだ方向Xに沿って延びるボード分割部55(図2)において、前記第1ボード部51から分割されている。前記第2ボード部52はボード貫通孔50を有していない。
【0033】
図2に示すように、耐火ボード5は注油口部3の下方において、ピット本体4の上本体4bの開口4d(図1)を覆うものであり、該耐火ボード5はボード受け台7を介してピット本体4上に配置されている。
【0034】
ボードカバー6:
前記耐火ボード5上には金属製のボードカバー6が配置されている。前記ボードカバー6は、第1カバー部61および第2カバー部62を備えている。図2および図3に示すように、前記耐火ボード5は、金属製のボードカバー6およびボード受け台7によって、その側面および上面が覆われている。
【0035】
第1カバー部61;
前記第1カバー部61は、前記第1ボード部51の上面および上部の周囲を覆うものであり、第1ボード部51のボード貫通孔50に対応する位置に、複数の円形のカバー貫通孔60が形成されている。
【0036】
図3に示すように、前記ボード受け台7には溶接されて固定されたナット67が固着されており、ボルト66が第1カバー部61および第1ボード部51に挿通されて前記ナット67と螺合することで、ボード受け台7に第1カバー部61および第1ボード部51が互いに固定されている。
【0037】
前記ボード貫通孔50と金属管10bとの間は、耐火用コーキング材55aが充填されてシールされている。前記耐火用コーキング材55aとしては、たとえば、コニシ株式会社の耐火目地用シーラント120等を採用することができる。なお、前記コーキング材55aに加えゴムリング等のいわゆる乾式シール材を設けてもよいし、前記耐火用コーキング材55aに代えてゴムリングでシールしてもよい。
また、第1カバー部61の上面と金属管10bとの間はパテ材55bによってシールされている。前記パテ材55bとしては、前述した耐火用コーキング材を使用してもよいし、市販のシール材を使用してもよい。
これらのコーキング材やパテ材のシール材は、難燃材料、準不燃材料、不燃材料などと同等の耐火性能を有するのが好ましい。
【0038】
第2カバー部62;
図2に示す前記第2カバー部62は、前記第2ボード部52の上面および上部の周囲を覆い、前記ボード分割部55に沿って延びるカバー分割部65において前記第1カバー部61から分割されている。前記第2カバー部62にはカバー貫通孔60が形成されていない。
【0039】
前記ボード受け台7には溶接されて固着されたナット67が設けられており、ボルト66が第2カバー部62および第2ボード部52に挿通されてナット67と螺合することで、ボード受け台7に第2カバー部62および第2ボード部52が固定される。
なお、第2カバー部62はボルト66でボード受け台7に固定する代わりに、第2カバー部62を開けられないように錠前を設けてもよい。
【0040】
したがって、前記ピット本体4の開口4d(図1)は、図2に示す第1ボード部51および第1カバー部61によって覆われて閉じられた第1開口部4d1と、第2ボード部52および第2カバー部62により覆われて閉じられた第2開口部4d2からなる。
【0041】
第2カバー部62の開閉構造:
図3および図4Aに示すように、前記第1カバー部61は水平面に沿った第1水平部81と、前記第1水平部81から斜め上方に向って立ち上がる第1斜板部82とを有している。
一方、第2カバー部62は、水平面に沿った第2水平部91と、前記第2水平部91から斜め上方に向って立ち上がる第2斜板部92と、前記第2斜板部92から斜め下方に向って延びる第3斜板部93とを有している。
【0042】
前記第1斜板部82は、前記第3斜板部93の下方に、かつ、第3斜板部93と対面するように概ね平行に配置されている。
なお、図4Aに示すように、第2カバー部62の側面部94は前記第1斜板部82の側面を覆うように形成されている。
【0043】
前記第3斜板部93と第1水平部81とは、蝶番(ヒンジ部)70を介して互いに連結されている。そのため、第2カバー部62が第1カバー部61に対して蝶番70の中心軸線H(図4A)を中心に回転可能に連結されている。
【0044】
なお、前記コンクリートCの上には、図示しない給油口ボックスが載せられる。給油口ボックスには前記注油口部3を覆うと共に、施錠された扉を有する。
【0045】
ここで、前述したように、第1斜板部82は第3斜板部93の下方に配置されていると共に、第2カバー部62の側面部94が前記第1斜板部82を側面から覆うように形成されている。そのため、2分割のボードカバー6の雨じまいや水切りが実現され、ピット本体4内に水が侵入するのを防止することができる。
【0046】
注油管の点検方法:
ピット本体4内の点検を行うには、まず、前記図示しない給油口ボックスの回転扉を開け、図2に示す第2ボード部52を貫通するボルト66を取り外した後、図5Aに示すように、第2カバー部62を開く。すなわち、図4Aに示す閉状態の第2カバー部62を、図4Bおよび図4Cに示すように、蝶番70を中心に回動(移動)させて開く。
その後、図5Aおよび図5Bに示すように、ボード受け台7から第2ボード部52を上方に向って取り除く(除去する)と、ピット本体4の第2開口4d2が露出される。その後、第2開口部4d2からピット本体4内を目視して点検を行う。
【0047】
前記点検後、図5Bに示す第2ボード部52をボード受け台7に嵌め込んだ後、図5Aに示す第2カバー部62を閉める。その後、図2のボルト66を第2カバー部62側からボード受け台7のナット67に螺合させ、第2ボード部52および第2カバー部62をボード受け台7に固定する。
【0048】
実施例2:
図6Aは実施例2を示す。
図6Aに示すように、本実施例2では、上本体4bの上面4sがピットの外側に向って突出して形成されている。そのため、図3に示すように、前述した実施例1の上本体4bの上面4sがそれぞれ内側に向って形成された場合とは異なり、図6Aに示すように、ピット本体4の開口4dを大きく形成することができる。したがって、点検時の視認性が高まる。
【0049】
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【0050】
実施例3:
図6Bは実施例3を示す。
図6Bに示すように、第2カバー部62と第2ボード部52とは、ボルト66、ナット67で互いに締結され一体となっている。
【0051】
第2カバー部62の上面には取手68が固着されている。一方、本実施例3の第2カバー部62には、前述した実施例1で説明した蝶番が設けられていない。
第2カバー部62の第1カバー部61側には、第1カバー部61の上面を覆う覆部94が形成されている。前記覆部94と第1カバー部61との間にはシール部材95が設けられている。
【0052】
ピット本体4内の点検を行うには、作業者が取手68を持って、一体となった第2カバー部62および第2ボード部52を引き上げて、第2開口4d2を開く。
なお第2カバー部62には、雨じまいや水切りの為に、コンクリートCの表面に接触するシール部材96が固定されている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
実施例4:
図7Aおよび図7Bは実施例4を示す。
図7Aおよび図7Bに示すように、本実施例4では、第2カバー部62と第2ボード部52とが一体に形成されており、図7Bに示すように、第2ボード部52が第2カバー部62と一体に回動して開くことができる。
【0054】
前記第2カバー部62と第2ボード部52とは図示しない別のボルトで互いに一体に固定されている。
前記第2ボード部52の回動時に、第2ボード部52がボード受け台7に接触しないように第2ボード部52の下部が切欠されている。
なお、ボード分割部55の位置は、第2ボード部52の回転時において、第1斜板部82に第2ボード部52が接触しないように、第2斜板部92と第3斜板部93とにより形成される山形の頂点付近に設けられている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は給油所における注油管の点検口の構造に採用することができる他、エアベントやオイル用の注油管の点検口の構造に採用することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1:点検ピット
2:継手部
3:注油口部
4:ピット本体
4a:下本体
4b:上本体
5:耐火ボード
6:ボードカバー
7:ボード受け台
10:注油管
10a:樹脂管
10b:金属管
50:ボード貫通孔
51:第1ボード部
52:第2ボード部
55:ボード分割部
60:カバー貫通孔
61:第1カバー部
62:第2カバー部
65:カバー分割部
70:蝶番
81:第1水平部
82:第1斜板部
91:第2水平部
92:第2斜板部
93:第3斜板部
100:地下タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下に埋設された複数の地下タンクごとに燃料油を注油するための注油管が設けられ、前記各注油管は地下に埋設された樹脂管と、地上に突出した金属管とが点検ピット内において継手部で互いに接続され、前記点検ピットから突出した前記複数の金属管が互いに近接した状態で1列に配列された給油所における注油管の点検口の構造であって、
タンクローリに接続される注油口部の真下に前記点検ピットが配置され、
前記点検ピットを構成し上方が開口した容器状のピット本体に前記複数の樹脂管および金属管の各々一部分と前記複数の継手部とが収納され、
前記注油口部の下方において前記開口を覆う耐火ボードが前記ピット本体上に配置され、
前記耐火ボードは前記複数の金属管が挿通される複数の円形のボード貫通孔が形成された第1ボード部と、前記金属管の並んだ方向に沿って延びるボード分割部において前記第1ボード部から分割され前記ボード貫通孔を有しない第2ボード部とを包含し、
前記耐火ボード上に金属製のボードカバーが配置され、
前記ボードカバーは前記複数の金属管が挿通される複数の円形のカバー貫通孔が形成された第1カバー部と、前記ボード分割部に沿って延びるカバー分割部において前記第1カバー部から分割され前記カバー貫通孔を有しない第2カバー部とを包含する、
給油所における注油管の点検口の構造。
【請求項2】
請求項1において、前記第2ボード部および第2カバー部で閉塞された前記開口の一部から前記ピット本体内の前記継手部の一部または全部を目視できるように、前記第1ボード部および前記第1カバー部が前記開口の他部を覆ったままの状態で、前記第2ボード部および前記第2カバー部が前記開口の一部から除去ないし移動可能に設けられている給油所における注油管の点検口の構造。
【請求項3】
請求項2において、前記ピット本体は上方に向って開口した有底角筒状の下本体と、前記下本体の開口の周縁に固定された枠状の上本体とを包含する給油所における注油管の点検口の構造。
【請求項4】
請求項3において、前記各ボード部における前記ボード分割部以外の周縁を支える枠状のボード受け台が前記上本体の上に設けられている給油所における注油管の点検口の構造。
【請求項5】
請求項4において、前記第1カバー部は水平面に沿った第1水平部と、前記第1水平部から斜め上方に向って立ち上がる第1斜板部とを有し、
前記第2カバー部は水平面に沿った第2水平部と、前記第2水平部から斜上方に向って立ち上がる第2斜板部と、前記第2斜板部から斜下方に向って延びる第3斜板部とを有し、
前記第3斜板部の下方に、かつ、前記第3斜板部と対面するように前記第1斜板部が配置されている給油所における注油管の点検口の構造。
【請求項6】
請求項5において、前記第3斜板部と前記第1水平部とが蝶番を介して互いに連結されていることで、前記第2カバー部が前記第1カバー部に回転可能に連結されている給油所における注油管の点検口の構造。
【請求項7】
請求項5において、前記第2ボード部および前記第2カバー部で閉塞された前記開口の一部から前記ピット本体内を目視できるように以下の(1)〜(3)のうちのいずれか1つの構造を有する給油所における注油管の点検口の構造
(1)前記第2カバー部がヒンジ部を介して前記カバー分割部に沿った水平軸線まわりに回転可能に前記第1カバー部に連結されていると共に、前記第2ボード部が前記ピット本体に対し上方に向って取り外し可能に設けられている
(2)前記第2カバー部と前記第2ボード部とが互いに一体に固定されており、前記一体の第2カバー部および第2ボード部がヒンジ部を介して前記カバー分割部に沿った水平軸線まわりに回転可能に前記第1カバー部に連結されている
(3)前記第2カバー部および前記第2ボード部が、前記第1カバー部および前記ピット本体に対して取り外し可能に設けられている。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−230800(P2011−230800A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103183(P2010−103183)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000154152)株式会社富永製作所 (44)
【Fターム(参考)】