説明

給液システム、給液方法、および塗布装置

【課題】安全性、経済性、生産性に優れた、塗布装置の給液システム等を提供する。
【解決手段】塗布装置100の塗布部120に薬液を供給するための給液システム1は、薬液を貯留するためのバッファタンク3と、管路5−1と、バッファタンク3と接続し、バッファタンク3に薬液を供給するための管路5−2と、バッファタンク3と接続し、バッファタンク3に加圧用の気体を供給するための管路5−4と、バッファタンク3および吐出部13、塗布ノズル14等の塗布部120と接続し、バッファタンク3から塗布部120に液体を供給するための管路5−5と、を具備し、管路5−1、管路5−2は、樹脂製容器17を取り外し可能に接続でき、管路5−1は、接続した樹脂製容器17に気体を供給することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給液システム、給液方法、および塗布装置に関する。より詳しくは、塗布装置の塗布部に給液を行う給液システム、これを用いた給液方法、およびこれを具備する塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶表示装置の製造工程における、レジストや顔料分散液等の薬液供給のため、薬液を包含するための袋状のライナーを金属容器内に装填し、そのライナー内に薬液を充填するシステムが広く使用されている。これは、ライナーと外側の金属容器の空隙に加圧送液用の気体を導入し、その圧力でライナーを収縮させてチューブを介して薬液を圧送するもので、内容薬液がライナーで覆われているので加圧用気体と薬液面が直接に接することがなく、加圧雰囲気下で気体が内容液体へ浸透、吸収されるのを防止することができる等の利点がある。このようなライナー及び金属容器の例が、特許文献1に示されている。
【0003】
上記の利点はラジカル重合を用いないポジレジスト(ノボラック樹脂とジアゾナフトキノン等を含有するものなど)で特に有益である。一方、光重合開始剤等を含むネガ用フォトレジスト等では、保存中に薬液中のモノマーやオリゴマーが熱エネルギーによりラジカルを発生し重合してしまうため(暗反応)、酸素を含む気体を溶存させたり薬液容器上部にレジスト液と接する空気層を所定容量確保することにより、空気中に含まれる酸素によって発生したフリーラジカルを不活性化して暗反応を阻害し、保存安定性の向上を図る。
【0004】
このため、空気との接触が少ないライナーへの密閉充填ではそうした効果が充分に得られず、ラジカル重合反応を用いるようなフォトレジストの最適な保存状態とはいえない。
【0005】
また、運用面では、外装容器の清掃や洗浄、使用済みライナーやチューブの交換により外装容器の再利用が可能であるが、外装容器調達の初期導入費用とライナーやチューブの消耗部材の交換や購入費用が発生し、また、外装容器の洗浄、輸送による期間等が生じるため定常的な運用には実際の容器使用数より多い予備在庫の準備も必要になるため、経済性の問題がある。
【0006】
また、使用済みのライナーやチューブは薬液の品質保持のために再利用が難しく廃棄物となることが多い。ライナー等に付着したレジストやライナー等に用いるテフロン(登録商標)素材はリサイクルが難しく、リサイクル効率が低下する。
【0007】
そこで、ドラムやペール缶等の金属製容器に薬液を入れて、薬液供給に適用することが考えられる。これは、薬液を入れた容器内に気体を導入して薬液を加圧し、サイホン効果によりサイホン管等を介して薬液を送液するものである。当該容器は金属のためリサイクルは容易である。しかし、輸送時などの耐衝撃や外力による陥没等の変形、損傷、内容物の漏洩の恐れがあり、取扱いが難しい。加えて、容器保護のための梱包などで廃棄物量が増加してしまう。
【0008】
これに対し樹脂製容器に薬液を入れて同様にして薬液供給に適用する場合がある。樹脂製容器を適用する薬液供給システムでは、ライナーを使用するタイプに比べ変動費が安価に抑えられ、クリーン仕様の樹脂製容器も市販品として入手が容易である。更に金属製容器等と比較して弾性を持つため、落下等の衝撃による外部からの損傷防止の面に優れている。また、樹脂製容器をポリエチレン等で作成すれば、使用済み容器のマテリアルリサイクルやサーマルリサイクルにより環境負荷の低減が可能である。
【0009】
ところで、半導体や液晶表示装置の製造の際には、異物等による歩留りの低下を防止するため、薬液を吐出ポンプ等の吐出部側に送液する配管経路には濾過フィルタが一般的に設けられる。濾過フィルタは凝集粒子やゲル状の異物等を除去するもので、例えばデプスやメンブレン、ファイバー等のフィルタをプリーツやディスク状に加工したものが単体または併用して用いられる(ポアサイズで0.1〜10μm程度のもの)。また、薬液中の溶存気体により発生するマイクロバブルのような微小な気泡を除去するために、脱気モジュール(例えば日東電工社製のニトセップ(登録商標)など)を設置することもある。
【0010】
しかしながら、濾過フィルタ等を管路に設置することにより、圧力損失が生じ、低圧での送液時に送液する力が不足することがある。そうした状況では薬液をサイホン効果によって吐出部側へ送液するために、圧力損失以上の力で薬液を押し出すか吐出部等で吸引させる必要がある。しかし、前者では高い加圧力を必要とし、後者では配管経路内が負圧状態になるため薬液中の溶存気体が発泡してマイクロバブルの発生の原因となったり、吸引の負荷によりポンプやそのモーター部品等が劣化、損傷したりする恐れがある。
【0011】
そのため、送液配管経路内の圧力損失を考慮して適宜必要な加圧力を薬液容器内の薬液に加えてサイホン管等を介して圧送することで、吸引時の負圧による溶存気体の発泡やポンプ等の負荷を低減させる方法がとられることがある。
【0012】
しかしながら、所望の時間内で必要な薬液供給量を得るには、その供給レートに応じた加圧力を薬液容器内の薬液に加える必要があり、時間当たりの薬液供給量が多いシステムほど、供給レートを向上させるためより高い加圧力を加える必要がある。
【0013】
液晶表示装置等の製造においては、近年のマザーガラスの大型化に伴い基板1枚当たりの処理に使用する薬液量も増加しており、そのため比較的高い圧力で送液することが多くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−007153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前述したような樹脂製容器(あるいはドラム、ペール缶等の金属性容器)は、耐圧容器ではないので容器内部のみを高い加圧力で直接加圧することは難しい。例えば樹脂製容器の場合には、樹脂の特性上、容器内部のみを直接加圧し、高い加圧状態を定常的に維持すると、容器の膨張変形により塑性変形を生じやすく、これにより容器が破損等することもある。
【0016】
そのため、当該容器の外側に円筒状の耐圧外装容器を用い、容器の内部を加圧して送液するとともに外部からも加圧を行う等の方策がとられることが一般的である。
【0017】
この例を図8に示す。大型のマザーガラスを用いた液晶表示装置等の製造では塗布工程にダイコート法が広く用いられているが、この種の塗布装置の一つに、往復動可能なステージまたはガントリ、塗布ノズル(ダイ)と、塗布ノズルに塗布する薬液を供給する薬液供給システムを備えたものがある。図8はその薬液供給システムにおける例を説明するものである。後述する図9も同様である。
【0018】
図8において、31は樹脂製容器、33はサイホン管、35は耐圧外装容器、37(37−1、37−2)は管路、39はバルブ、41はレギュレータ、43は濾過フィルタ、45は吐出部(吐出ポンプ等)、47は塗布ノズルである。
【0019】
図8の例では、樹脂製容器31を円筒状の形状を有する耐圧外装容器35内に密閉し、管路37−1を介して、圧縮空気などの気体を薬液が入れられた樹脂製容器31の内部、及び樹脂製容器31と耐圧外装容器35との空隙に導入する。また、吐出部45による吸引を行う。すると、加圧に伴うサイホン効果等により、サイホン管33、管路37−2を介して樹脂製容器31内の薬液が吐出部45に備えられた貯液部に供給され、その体積変化等に応じて塗布ノズル47より薬液が吐出される。樹脂製容器31はその内外から加圧されるので、加圧による変形を生じない。
【0020】
また、上記のように樹脂製容器31を耐圧外装容器35内に密閉するのではなく、樹脂製容器31の外周を樹脂製容器31よりも若干大きい程度の加圧プロテクターで覆い、樹脂製容器31の内部のみを直接加圧した場合の樹脂製容器31の膨張、変形を拘束する場合がある。この例を示したものが図9で、51は加圧プロテクターである。図9において、図8と同様の機能構成を有する要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0021】
図9の例では、管路37−1により、圧縮空気などの気体を、薬液が入れられた樹脂製容器31の内部に導入する。また、吐出ポンプ45による吸引を行う。すると、加圧に伴うサイホン効果等により、サイホン管33、管路37−2を介して樹脂製容器31内の薬液が吐出部45に備えられた貯液部に供給され、その体積変化等に応じて塗布ノズル47より薬液が吐出される。樹脂製容器31の加圧による膨張、変形は、その外側の加圧プロテクター51により拘束される。
【0022】
耐圧外装容器35や加圧プロテクター51は、ステンレス等の機械強度に優れた材質で作成され、加圧時の容器の膨張や変形を抑えるために有効である。
【0023】
しかし、耐圧外装容器35の直径は内部に装填する樹脂製容器31の胴部の直径以上の大きさとするため(一般的なガロン容器等でも内径200〜300mm程度の大きさの容器を要する)、生産時の交換効率がより高い大容量の樹脂製容器31を使用すると、それに伴って耐圧外装容器35の直径も大きくなる。
【0024】
そのため、例えば100kPa(大気圧基準、以降同様)程度の高い圧力を耐圧外装容器35内に加えると、その蓋部等に加わる力は非常に大きくなる。このとき、加圧状態の耐圧外装容器35を大気圧にパージする動作を行わずに蓋等の断面積の大きな密閉部を開放すると、加圧された蓋部等の部品や薬液が飛散する恐れがあり、安全確保のためには取扱い等に細心の注意が必要である。また、適切な安全機構を設けることで危険性を低下させてもいるが、潜在的な危険性が残るため、想定外の使用では作業者の安全確保は困難である。
【0025】
一方、加圧プロテクター51を用いて樹脂製容器31の変形を拘束しつつ、樹脂製容器31内に直接加圧力を加えて薬液を供給する方法では、膨張による塑性変形で樹脂製容器31が加圧プロテクター51と噛み合い、交換作業時に樹脂製容器31を容易に取り出せなくなったり、加圧プロテクター51に密着していない部位に膨張、変形の応力が集中し部分的な裂け、破裂、液漏れや転倒等の可能性があり安全面での懸念がある。
【0026】
また、加圧媒体(圧縮空気や圧縮窒素等の気体)による加圧力で薬液を圧送する場合には、加圧時間の経過とともに加圧雰囲気が薬液中へ徐々に溶解することで、薬液中の溶存気体量が増加する。高い加圧力を加えた場合には、溶存気体量はより多くなる。
【0027】
管路37−2等の配管経路のオリフィスや継ぎ手の部分等で配管内径が急激に細くなる箇所があったりすると、ベンチュリ効果で流速が上昇するとともに配管経路内の圧力が低下して、キャビテーションにより薬液中に溶存した気体が目に見えない程度の微小な気泡であるマイクロバブルとして発生する。これらは集合体となって大きな発泡に成長する恐れがある。
【0028】
こうした気泡混入による影響としては、マイクロバブルについては半導体や液晶表示装置の製造工程において塗布膜の屈折率や膜厚の均一性を悪化させ、この影響により加工品質が悪化し歩留まり等の生産性が低下する。
【0029】
また、基材に塗布したレジスト中に大きな気泡が残ると局所的な表面張力の差が生じ、膜厚の均一性の悪化や外観にムラを生じさせる一因となる。また、塗膜中に気泡が残留した状態で、これを減圧乾燥工程にて真空乾燥チャンバ内で乾燥させると、気泡が膨張、破裂して品質を低下させることもある。
【0030】
また、ダイコート法では、薬液の吸引等によって生じた吐出部45の貯液部の体積変化を塗布ノズル47と接続する配管内の薬液に圧縮力として伝えることによって、塗布ノズル47先端のスリット部からその体積変化と圧力変化に応じた薬液が吐出される。このため、塗布ノズル47からの吐出は吸引動作により生じる体積変化に対し遅延することなく追従する必要がある。小さな気泡が集まって吐出部45や塗布ノズル47のスリット部までの配管、継ぎ手や隙間で停滞すると、塗布動作の開始時の吸引動作によって生じた体積変化が、残留した気泡の収縮に作用してしまい、配管経路内の薬液吐出の圧力立ち上がりに時間(応答速度)の遅延が発生する要因にもなる。
【0031】
ダイコート法による毎葉方式での塗膜形成方法は、この薬液吐出の時間的遅延が塗布開始部や塗布完了部近傍の厚みの均一性の悪化やスジ、ムラ等の品質低下要因となるため好ましくない。
【0032】
対策として塗工速度を低下させ、応答遅延の影響をある程度緩和することも可能であるが、処理時間が長くなり、生産性が低下してしまうだけでなく、複数処理中に薬液の流れと共に気泡が移動、除去されることにより、塗液の応答性に変動が生じ、安定した均一性(再現性)での生産品質の維持が困難となる。
【0033】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたもので、安全性、経済性、生産性に優れた給液システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
前述した目的を達するために第1の発明は、塗布装置の塗布部に液体を供給するための給液システムであって、液体を貯留するための貯留部と、第1の流路と、前記貯留部と接続し、前記貯留部に液体を供給するための第2の流路と、前記貯留部と接続し、前記貯留部に気体を供給するための第3の流路と、前記貯留部および前記塗布部と接続し、前記貯留部から前記塗布部に液体を供給するための第4の流路と、を具備し、前記第1の流路、前記第2の流路は、所定の容器を取り外し可能に接続でき、前記第1の流路は、接続した前記所定の容器に気体を供給することが可能であることを特徴とする給液システムである。
【0035】
前記貯留部は、貯留部内を大気開放するための大気開放手段を有し、前記第1、第2、第3、第4の流路には、各流路を開閉するための開閉手段が設けられる。また、前記貯留部には、液面の高さを検知するための液面検知手段が設けられていることが望ましい。
【0036】
第1の発明の給液システムは、前記所定の容器を取り外し可能に接続できる容器接続部を更に具備し、前記第1の流路、前記第2の流路は、前記容器接続部を介して前記所定の容器を接続できることが望ましい。
【0037】
また、前記容器接続部は内周面に溝部を有し、前記溝部が前記所定の容器の開口部の外周面に設けられた凸部と螺合することで前記容器接続部と前記所定の容器を接続できることが望ましい。
【0038】
また、前記第1の流路は、前記所定の容器内の圧力が5kPaから100kPaの範囲となるように、接続した前記所定の容器内へ気体を供給することが望ましい。
【0039】
また、前記塗布装置は、半導体装置または液晶表示装置の製造に用いるものとすることができる。
【0040】
なお、塗布装置の塗布部とは、吐出ポンプ等の吐出部や塗布ノズルなど、薬液を基板等に塗布するための機構を指す。
【0041】
上記構成により、所定の容器内の圧力状態と貯留部内の圧力状態を独立に制御し、所定の容器内に入れられた薬液等の液体を加圧により送液して一旦貯留部内に充填し、貯留部内を加圧しながら塗布装置の塗布部に液体を供給することができる。即ち、容器内から塗布部に直接液体を送液せず、塗布部へ送液する際には貯留部内を加圧することになる。従って、貯留部への送液のため容器内に加える圧力を例えば5kPaから100kPaの範囲と低圧とすることができる。このため、容器として高い加圧力に耐え得るものが必要なく、薬液の輸送等に通常用いられる樹脂製容器などの容器を所定の容器として、給液システムの流路に取り外し可能に接続してそのまま用いることができる。容器内の薬液を使い終わった後は、これを取り外して他の容器に交換することができ、経済性に優れる。容器内に加える圧力を低く抑えることができるので、容器の交換作業等を安全に行うことができる。
【0042】
また、所定の容器内を低圧とした状態で貯留部への給液を行うので、液体中の溶存気体量が過度にならない。従って、キャビテーションによるマイクロバブル等の気泡の発生を抑えることができる。このため、前述した気泡による品質への影響を抑え、また塗布部からの薬液塗布時に、配管内圧力の立ち上がり遅延時間を抑制して初期吐出量の不足を低減し、安定した均一性の、高い品質の製品を供給することが可能になる。さらに、塗布部への送液の際には、ポンプ等の吐出部による吸引動作と貯留部内の加圧による薬液の送液を併用することができるので、濾過フィルタ等を配管経路に設けた場合にも、濾過フィルタ等による圧力損失や、吸引動作に伴う負圧を相殺することができ、これも気泡の発生の抑制につながる。また、吸引負荷により吐出ポンプ等の吐出部やそのモーター部品等が劣化、損傷したりする可能性を低減させることができる。
【0043】
さらに、容器接続部を介して流路に所定の容器を接続することもできる。このとき、容器接続部の内周面に有する溝部が所定の容器の開口部の外周に設けられた凸部と螺合することで所定の容器を接続するようにすると、容器内の加圧時に容器接続部で気密性が生じて容器接続部の緩みや気体の漏れが生じ難くなる。また、容器の交換時には、容器接続部の緩みが生じても容器の凸部と容器接続部の溝部で引っ掛かりができるので、容器や容器接続部が飛散することがなく、また加圧気体が緩みにより生じた隙間から抜けることで、容器内を安全に大気圧とすることができる。従って容器の交換作業が更に安全なものになる。
【0044】
加えて、センサなどの液面検知手段を用いて液面位置に応じた薬液供給の制御ができるので、貯留部内には気体の層が常に存在する状態とできる。これにより、また液体中に溶存した気体は貯留部内の気体の層に逃がして液体から分離できる。従って、塗布部へ供給される液体内に混入する気体の量を低減させることができ、マイクロバブル等の気泡の発生をさらに抑えることができる。
【0045】
従って、特に半導体装置または液晶表示装置の製造において、安全性、経済性、生産性に優れた、塗布装置の塗布部に液体を供給する給液システムを提供することができる。
【0046】
前述した目的を達するために第2の発明は、液体を貯留するための貯留部と、第1の流路と、前記貯留部と接続し、前記貯留部に液体を供給するための第2の流路と、前記貯留部と接続し、前記貯留部に気体を供給するための第3の流路と、前記貯留部および塗布装置の塗布部と接続し、前記貯留部から前記塗布部に液体を供給するための第4の流路と、を具備し、前記第1の流路、前記第2の流路は、所定の容器を取り外し可能に接続でき、前記第1の流路は、接続した前記所定の容器に気体を供給することが可能である給液システムを用いた、塗布装置の塗布部に液体を供給するための給液方法であって、前記第1の流路、前記第2の流路と接続した前記所定の容器内を前記第1の流路を介して供給される気体により加圧し、前記所定の容器内の液体を前記第2の流路を介して前記貯留部内に供給する貯留部給液工程と、前記貯留部内を前記第3の流路を介して供給される気体により加圧し、前記貯留部内の液体を前記第4の流路を介して前記塗布部に供給する塗布部給液工程と、を具備することを特徴とする給液方法である。
【0047】
上記構成により、所定の容器内の圧力状態と貯留部内の圧力状態を独立に制御し、所定の容器内に入れられた薬液等の液体を加圧により送液して一旦貯留部内に充填し、貯留部内を加圧しながら塗布装置の塗布部に液体を供給することができる。即ち、容器内から塗布部に直接液体を送液せず、塗布部へ送液する際には貯留部内を加圧することになる。従って、貯留部への送液のため容器内に加える圧力を低圧とすることができる。このため、容器として高い加圧力に耐え得るものが必要なく、薬液の輸送等に通常用いられる樹脂製容器などの容器を所定の容器として、給液システムの流路に取り外し可能に接続してそのまま用いることができる。容器内の薬液を使い終わった後は、これを取り外して他の容器に交換することができ、経済性に優れる。容器内に加える圧力を低く抑えることができるので、容器の交換作業等を安全に行うことができる。
【0048】
また、所定の容器内を低圧とした状態で貯留部への給液を行うので、液体中の溶存気体量が過度にならない。従って、キャビテーションによるマイクロバブル等の気泡の発生を抑えることができる。このため、前述した気泡による品質への影響を抑え、また塗布部からの薬液塗布時に、配管内圧力の立ち上がり遅延時間を抑制して初期吐出量の不足を低減し、安定した均一性の、高い品質の製品を供給することが可能になる。さらに、塗布部への送液の際には、ポンプ等の吐出部による吸引動作と貯留部内の加圧による薬液の送液を併用することができるので、濾過フィルタ等を配管経路に設けた場合にも、濾過フィルタ等による圧力損失や、吸引動作に伴う負圧を相殺することができ、これも気泡の発生の抑制につながる。また、吸引負荷により吐出ポンプ等の吐出部やそのモーター部品等が劣化、損傷したりする可能性を低減させることができる。
【0049】
従って、安全性、経済性、生産性に優れた、塗布装置の塗布部に液体を供給する給液方法を提供することができる。
【0050】
前述した目的を達するために第3の発明は、第1の発明の給液システムを具備することを特徴とする塗布装置である。
【0051】
上記構成により、所定の容器内の圧力状態と貯留部内の圧力状態を独立に制御し、所定の容器内に入れられた薬液等の液体を加圧により送液して一旦貯留部内に充填し、貯留部内を加圧しながら塗布装置の塗布部に液体を供給することができる。即ち、容器内から塗布部に直接液体を送液せず、塗布部へ送液する際には貯留部内を加圧することになる。従って、貯留部への送液のため容器内に加える圧力を例えば5kPaから100kPaの範囲と低圧とすることができる。このため、容器として高い加圧力に耐え得るものが必要なく、薬液の輸送等に通常用いられる樹脂製容器などの容器を所定の容器として、給液システムの流路に取り外し可能に接続してそのまま用いることができる。容器内の薬液を使い終わった後は、これを取り外して他の容器に交換することができ、経済性に優れる。容器内に加える圧力を低く抑えることができるので、容器の交換作業等を安全に行うことができる。
【0052】
また、所定の容器内を低圧とした状態で貯留部への給液を行うので、液体中の溶存気体量が過度にならない。従って、キャビテーションによるマイクロバブル等の気泡の発生を抑えることができる。このため、前述した気泡による品質への影響を抑え、また塗布部からの薬液塗布時に、配管内圧力の立ち上がり遅延時間を抑制して初期吐出量の不足を低減し、安定した均一性の、高い品質の製品を供給することが可能になる。さらに、塗布部への送液の際には、ポンプ等の吐出部による吸引動作と貯留部内の加圧による薬液の送液を併用することができるので、濾過フィルタ等を配管経路に設けた場合にも、濾過フィルタ等による圧力損失や、吸引動作に伴う負圧を相殺することができ、これも気泡の発生の抑制につながる。また、吸引負荷により吐出ポンプ等の吐出部やそのモーター部品等が劣化、損傷したりする可能性を低減させることができる。
【0053】
さらに、容器接続部を介して流路に所定の容器を接続することもできる。このとき、容器接続部の内周面に有する溝部が所定の容器の開口部の外周に設けられた凸部と螺合することで所定の容器を接続するようにすると、容器内の加圧時に容器接続部で気密性が生じて容器接続部の緩みや気体の漏れが生じ難くなる。また、容器の交換時には、容器接続部の緩みが生じても容器の凸部と容器接続部の溝部で引っ掛かりができるので、容器や容器接続部が飛散することがなく、また加圧気体が緩みにより生じた隙間から抜けることで、容器内を安全に大気圧とすることができる。従って容器の交換作業が更に安全なものになる。
【0054】
加えて、センサなどの液面検知手段を用いて液面位置に応じた薬液供給の制御ができるので、貯留部内には気体の層が常に存在する状態とできる。これにより、また液体中に溶存した気体は貯留部内の気体の層に逃がして液体から分離できる。従って、塗布部へ供給される液体内に混入する気体の量を低減させることができ、マイクロバブル等の気泡の発生をさらに抑えることができる。
【0055】
従って、安全性、経済性、生産性に優れた塗布装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明により、安全性、経済性、生産性に優れた給液システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の給液システムの実施形態を示す図
【図2】給液システムにおける給液方法の流れを示す図
【図3】給液システムにおける給液方法の流れを示す図
【図4】給液システムにおける給液方法の流れを示す図
【図5】給液システムにおける給液方法の流れを示す図
【図6】給液システムにおける給液方法の流れを示す図
【図7】本発明の給液システムの別の実施形態を示す図
【図8】アタッチメントの例を示す図
【図9】塗布装置の構成の例を示す図
【図10】耐圧外装容器の例を示す図
【図11】加圧プロテクターの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下、図面を参照しながら、本発明の給液システム等の実施形態について説明する。まず、図1、図9を参照して、本実施形態の給液システムについて説明する。
【0059】
本実施形態の給液システム1は、図9に示すように、液晶表示装置や半導体装置の製造に用いる塗布装置100の一部として組み込まれる。塗布装置100は、給液システム1のほか、制御部110、塗布部120、基板保持部130等を具備する。
【0060】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等により構成され、給液システム1や塗布部120、基板保持部130の動作を制御する。
【0061】
塗布部120は、例えば貯液部を備えたポンプ等の吐出部や塗布ノズル(ダイ)等、またこれらを駆動する駆動機構を含み、基板上にレジスト等の薬液を実際に塗布する。
【0062】
基板保持部130は、例えば基板を載置し保持して往復動可能なステージ等、またこれを駆動する駆動機構を含む。
【0063】
図1に示すように、本実施形態の給液システム1は、バッファタンク3(貯留部)と、管路5(流路)、バルブ7(開閉手段)、レギュレータ9等を有し、樹脂製容器17(所定の容器)内のレジスト、顔料分散液等の薬液(液体)を吐出部13、塗布ノズル14(塗布部120)側に給液する。バルブ7やレギュレータ9、吐出部13等の動作は、制御部110により制御することができる。
【0064】
バッファタンク3は、100kPa以上の高圧気体(圧縮気体や圧縮窒素等)の供給状態でも変形に対する強度に優れた材質、構造で作成されることが好ましい。また、少なくとも200kPaの加圧状態に対しても気体や薬液の漏れや変形がなく、恒久的に耐圧性能を保持することが可能な容器設計がなされることが望ましい。但し、これらは具体的なバッファタンクの材質や形状を限定するものではない。例えば、バッファタンク3の材質としてはSUS304のステンレス鋼やアルミ等の金属を用いることができ、内容薬液が金属を腐食する性質をもつ場合や加工性を重視する際には耐圧性を満たす条件にてフッ素樹脂やNCナイロン等を素材として用いることができる。また、耐薬品性を付与するために内面を樹脂コーティングやメッキ処理してもよい。
【0065】
また、バッファタンク3には、タンク内の薬液の液面高さを検知する液面検知手段としてのセンサ4を設けることが望ましい。バッファタンク3内の上部には常に所定容量以上の空気の層が存在する状態としておくために、液面高さが予め定める上限位置以上とならないよう、例えばセンサ4が所定の(上限位置以下の)液面高さを検知することにより、管路に設けられたバルブの開閉制御が行われ薬液供給の遮断等が行われるようにしておくことが望ましい。センサ4は、例えば静電容量式センサや圧力センサ、フロートセンサ、超音波式変位センサ等を用いることができる。
【0066】
管路5(5−1、5−2、5−3、5−4、5−5)は、気体の供給もしくは大気開放のための、気体が流通可能な管路(5−1、5−3、5−4)と、薬液を供給するための、液体が流通可能な管路(5−2、5−5)を含む、気体または液体の流路である。その材質、形状等はこの種の管路として通常用いられるものが使用可能である。
【0067】
管路5−1(第1の流路)は、給気部(不図示)から延びて樹脂製容器17と接続する。管路5−1は、樹脂製容器17内を加圧するために樹脂製容器17内に給気部から気体を供給するための配管経路である。
【0068】
管路5−2(第2の流路)は、樹脂製容器17、バッファタンク3と接続する。管路5−2は、樹脂製容器17内の加圧に応じて、サイホン効果により樹脂製容器17内の薬液をバッファタンク3へ供給するための配管経路である。
【0069】
管路5−3は、外部とバッファタンク3を接続し、バッファタンク3を大気開放してバッファタンク3内を大気圧とするための配管経路である。
【0070】
管路5−4(第3の流路)は、管路5−1から分岐してバッファタンク3と接続する。管路5−4は、給気部とバッファタンク3を接続し、バッファタンク3内を加圧するためにバッファタンク3内に給気部から気体を供給するための配管経路である。
【0071】
管路5−5(第4の流路)は、バッファタンク3、吐出部13(塗布部120)と接続する。管路5−5は、バッファタンク3から吐出部13、塗布ノズル14等の塗布部120に薬液を供給するための配管経路である。
【0072】
バルブ7(7−1、7−2、7−3、7−4、7−5)は、管路5内の液体や気体の流れを開放したり遮断したりする開閉手段であり、その構造等は特に限定されず、既知の様々なものが使用可能である。また、各種の条件により必要に応じて制御部110がエアオペレーションバルブ等でこれらのバルブの開閉を自動的に制御するようにすることができる。さらに、オペレータ等がマニュアル操作にてこれらのバルブを開閉するようにしてもよい。
【0073】
バルブ7−1(V1)は管路5−1に、バルブ7−3(V3)は管路5−3に、バルブ7−4(V4)は管路5−4に設けられ、それぞれその開閉により、対応する管路5を流れる気体の流れを調整する。
【0074】
なお、バルブ7−3は、その開閉により管路5−3を介した気体の流通を制御し、バッファタンク3内の大気開放(および遮断)を行う大気開放手段としての役割を果たす。但し、バッファタンク3内を大気開放する機構はこれに限ることはない。例えば、バッファタンク3の外面が直に大気と接していれば、バッファタンク3の一部を開閉するだけでも大気開放手段としての役割を果たし得る。
【0075】
また、バルブ7−2(V2)は管路5−2に、バルブ7−5(V5)は管路5−5に設けられ、それぞれその開閉により、対応する管路5を流れる薬液の流れを調整する。
【0076】
また、特に図示しないが、上記のバッファタンク3には、タンク内の薬液を回収するための管路や、バッファタンク3内を洗浄するための溶剤を注入する管路が接続されていてもよく、各管路には、その開閉により管路内の液体の流れを制御するためのバルブが設けられていてもよい。
【0077】
レギュレータ9(9−1、9−2、9−3)は、樹脂製容器17またはバッファタンク3内の気体による加圧力が任意の一定圧力値になるよう、給気部より供給される気体の圧力を調圧し保持するための調圧手段である。バルブ7と同様、その制御は各種の条件により制御部110が自動的に行うようにすることができるが、オペレータ等がマニュアル操作にて行うものでもよい。
【0078】
レギュレータ9−1(REG1)は、管路5−1で管路5−4との分岐部分よりも給気部側に設けられ、樹脂製容器17またはバッファタンク3に供給される気体の圧力を調圧する。
【0079】
レギュレータ9−2(REG2)は、管路5−1で管路5−4との分岐部分より樹脂製容器17側に設けられ、樹脂製容器17に供給される気体の圧力を調圧する。
【0080】
レギュレータ9−3(REG3)は管路5−4に設けられ、バッファタンク3に供給される気体の圧力を調圧する。
【0081】
管路5−5には濾過フィルタ11が設けられる。濾過フィルタ11は、前述したように、凝集粒子やゲル状の異物等を除去するもので、例えばデプスやメンブレン、ファイバー等のフィルタをプリーツやディスク状に加工したものが単体または併用して用いられる(ポアサイズで0.1〜10μm程度のもの)。また、前述したような脱気モジュールをさらに設置することもできる。
【0082】
吐出部13は管路5−5に接続する。吐出部13は、例えば吐出ポンプやディスペンサ等であり、塗布ノズル14へ供給する薬液を貯留する貯液部(不図示)を備える。吐出部13は、貯液部に薬液を吸引して、貯液部の体積変化に応じた量の薬液を塗布ノズル14に送り込む。
【0083】
塗布ノズル14は、ダイヘッドやシリンジ針等であり、吐出部13と流路を介して接続する。塗布ノズル14は、吐出部13より供給された薬液を、スリットなどの開口部から基材上に塗布する。
【0084】
吐出部13および塗布ノズル14は、塗布装置100の塗布部120として機能し、半導体や液晶表示装置の製造における塗布工程において、基板上へ薬液の塗布を実際に行う。
【0085】
樹脂製容器17はレジストや顔料分散液等の薬液を貯蔵する容器で、加圧による変形が小さいものを用いる。具体的には、内部に50kPaの気体加圧を加え続けた環境下において、初期から12時間後で、変形による容器体積変化量を5%以下に抑えることのできる容器を用いる。このため、好適には曲げ弾性率が500MPa以上である樹脂を材質とした樹脂製容器であることが望ましい。但しこれは樹脂製容器17の材質や形状を限定するものではなく、例えばポリエチレンやフッ素樹脂を材質として用いることができる。
【0086】
なお、薬液は樹脂製の容器に貯蔵された状態でレジストメーカー等より輸送が行われ供給される場合が多いが、その際の容器は、輸送時の安全のため上記の強度を満たしている場合が多い。即ち、輸送に用いた薬液容器をそのまま本給液システム1に適用することができ、その場合、給液システム1のための特別な容器を用いたりする必要がなく、経済性の面で有利である。
【0087】
なお、上記の条件を満たせば、容器の材質は樹脂に限られることもなく、樹脂製容器17に代えて金属等の容器を用いることも可能である。但し、前述したように、樹脂製容器17を用いることは、樹脂のもつ弾性により、落下等の衝撃による外部からの損傷を防止する面で優れている。また、樹脂製容器をポリエチレン等で作成すれば、使用済み容器のマテリアルリサイクルやサーマルリサイクルにより環境負荷の低減が可能である点でも有利である。
【0088】
樹脂製容器17は、アタッチメント15(容器接続部)を介して管路5−1、管路5−2と取り外し可能に接続する。図8に示すように、樹脂製容器17の上部の開口部24(注ぎ口)の側面の外周面には、外周に沿ってらせん状に連続し、開口部24の平面外側方向に突出する凸部25が設けられている。アタッチメント15の内周面には、この凸部25に対応する、らせん状に連続する溝部27が設けられている。これらを噛み合わせて、アタッチメント15に樹脂製容器17の上部の開口部24を取り付けて固定することができる。取り付けの際には、樹脂製容器17とアタッチメント15を相対的に回転し、凸部25と溝部27を螺合させて、樹脂製容器17の上部の開口部24をアタッチメント15に取り付ける。
【0089】
アタッチメント15は、耐圧性を有し、かつ樹脂製容器17の材質よりも圧力による変形が少ない材質を用いることが望ましく、例えばアルミやSUS304のステンレス鋼等の金属を材質として、あるいは耐薬品性が必要な箇所にはテフロン(登録商標)等の材質をこれに組み合わせて作成されることが望ましいが、これらに限定されることはない。
【0090】
薬液供給時に樹脂製容器17内が直接加圧されると、樹脂製容器17は内側から若干膨張する。このとき樹脂製容器17の開口部24の外周面の凸部25が変形強度の高いアタッチメント15の溝部27を内側から等方に圧して互いの噛み合いが生じ、気密性が向上するのでアタッチメント15の緩みやこれによる気体の漏れが生じ難くなる。
【0091】
また、アタッチメント15の緩みが生じても樹脂製容器17の凸部25とアタッチメント15の溝部27で引っ掛かりができるので、凸部25が溝部27により係止されてアタッチメント15が飛散することがなく、また加圧用の気体が緩みにより生じた隙間から抜けることで、樹脂製容器17内を安全に大気圧とすることができる。
【0092】
加えて、アタッチメント15の断面積は、樹脂製容器17の上部の開口部24(胴部に比べ縮径している)の断面積程度に抑えることができるので、アタッチメント15に加わる力は、樹脂製容器17の胴部の直径以上の大きさとなる前述の耐圧外装容器の蓋部に比べ小さく、安全な作業環境を提供することができる。
【0093】
例えば、円筒状の耐圧外装容器(ステンレスベッセル等)の蓋の直径が300mmとすると、その内部を100kPaで加圧したとき蓋部全体にかかる力は約7065N/mとなる。
【0094】
一方、樹脂製容器17の注ぎ口に取り付けるアタッチメント15の直径は80mm程度とできる。このとき樹脂製容器17内を10kPaで加圧する(後述するが、給液システム1では樹脂製容器17内を低圧とすることができる)と、アタッチメント15にかかる力は約50.24N/mと1/100以下の大きさとなり、安全性がより向上することがわかる。
【0095】
また、アタッチメント15は少なくとも1つ以上の加圧ポート22と送液ポート23を有し、加圧ポート22は管路5−1と、送液ポート23は管路5−2とそれぞれ取り外し可能に接続する。
【0096】
加圧ポート22は、一方の端部で管路5−1と接続し、アタッチメント15を樹脂製容器17方向に貫通する流路であり、管路5−1と樹脂製容器17内部を導通し接続させる。
【0097】
送液ポート23は、一方の端部で管路5−2と接続し、アタッチメント15を樹脂製容器17方向に貫通する流路であり、管路5−2と樹脂製容器17内部を導通し接続させる。また、別の端部はサイホン管19となっている。サイホン管19は、樹脂製容器17の下部まで延びる管体である。
【0098】
次に、図2から図6を用いて、本実施形態の給液システム1における給液方法の流れを説明する。
【0099】
給液システム1において給液を行う際には、管路5−1と加圧ポート22、管路5−2と送液ポート23を接続して管路5−1、管路5−2に予め取り付けたアタッチメント15に、樹脂製容器17の上部の開口部24を前述したように取り付ける。または、アタッチメント15に樹脂製容器17を取り付け、さらにアタッチメント15を管路5−1、管路5−2に取り付ける。
【0100】
続いて、図2に示すように、管路5−1等を介して樹脂製容器17内に加圧用の気体(圧縮空気や圧縮窒素等)を供給し、薬液が貯蔵された樹脂製容器17内を加圧する。この際、バルブ7−1は開かれている。本実施形態では、その加圧力は、レギュレータ9−1、レギュレータ9−2により10kPa程度に調圧し保持されている。さらに、バルブ7−4を閉じるとともにバルブ7−3を開き、バッファタンク3内を大気圧とする。また、バルブ7−5を閉じるとともにバルブ7−2を開き、バッファタンク3内に薬液を充填可能な状態にしておく。但し、バッファタンク3内は樹脂製容器17内よりも低い圧力状態であればよく、この限りにおいて大気圧より高い圧力状態であっても構わない。
【0101】
すると、樹脂製容器17内(10kPa)とバッファタンク3内(大気圧)の差圧に伴うサイホン効果により、樹脂製容器17内の薬液が管路5−2等を介してバッファタンク3内に供給されて、図3に示すようにバッファタンク3内に薬液が充填される。樹脂製容器17内は低圧状態となるので、薬液中に溶存する気体量が過度にならない。
【0102】
なお、大気圧環境下で、密封した樹脂製容器17内部に100kPaを超える加圧力が長時間にわたり定常的に加わると、時間経過につれて膨張が生じて液漏れや破裂、転倒の恐れがあり、作業者の安全性確保等に懸念が生じる。従って、本実施形態の給液システム1では、安全確保のため樹脂製容器17内部の気体による加圧力を5kPaから100kPaの範囲とする。また、安全性を更に確実なものとする場合には加圧力を5kPa〜50kPaの範囲として使用することが望ましい。但し、樹脂製容器17の強度によって、あるいは樹脂製容器17に代えて他の容器を用いた場合等では、液漏れや破裂、転倒の恐れがなく、作業者の安全性確保等が保証される限りにおいて、加えることのできる加圧力が変化する場合もある。
【0103】
ここで、21は気液分離面であり薬液の上部液面である。薬液の供給時には樹脂製容器17側の管路等から薬液に気泡が混入する可能性もあるが、このように、バッファタンク3では、薬液に混入する気泡と薬液とを分離して除去するための気液分離面21を設ける。即ち薬液の上部はバッファタンク3の上面に達せず、常に空気等の気体で満たされた空間が所定容量以上確保されるようにする。これにより、気泡が気液分離面21まで浮上し、上部の気体中に排出されて薬液から分離される。
【0104】
このために、バッファタンク3には前述したセンサ4を設けることが望ましい。そして、バッファタンク3内の上部に常に所定容量以上の空気の層が存在する状態とするため、気液分離面21が予め定める上限位置以上とならないよう、センサ4が適切な所定の(上限位置以下の)気液分離面21の高さを検知することにより、バルブの開閉制御等により薬液供給の遮断等が行われるようにしておくことが望ましい。
【0105】
なお、バッファタンク3単体での気液分離能力が不十分な場合は、管路等に別途気液分離容器や脱気モジュールなどの気泡除去機構を追加してもよい。
【0106】
また、バッファタンク3内でより効率よく脱気する例として、例えば円筒状のバッファタンク3の平面の内壁接線方向、または内壁に対して斜め方向に管路5−2を介して供給される薬液を流すための貫通孔をバッファタンク3に設け、当該貫通孔からバッファタンク3の内壁接線方向、または内壁に対して斜め方向に薬液が吐出されるようにしてもよい。このときバッファタンク3内に薬液の旋回流が発生してスワール効果が生じ、これによりバッファタンク3の内壁方向に密度の高い液体が、平面中央方向に密度の低い気体がそれぞれ移動する。気体はバッファタンク3の平面中央部より気液分離面21まで移動する。このようにして、気液分離性を向上させることもできる。
【0107】
また、供給する薬液量や流速が不足して上記のような脱気のための充分な旋回流が得られない場合には、マグネットスターラや攪拌スクリュー等の旋回翼をバッファタンク3内に設け、これにより強制的に薬液の旋回流を付与してもよい。このとき、旋回翼の形状を例えば上部に向かって広がるような形状とすれば、上方向の気液分離面21に向かうサイクロン状の旋回流が発生するので好適である。
【0108】
また、旋回流によりバッファタンク3の平面中央方向に移動する気泡を収集して上方の気液分離面21へ誘導し気体中へ排出するため、内部に気泡を取り込み捕集するための孔部を側面に有する管体である集泡管を設置してもよい。集泡管の内部では気泡が集合して大きな気泡となり上方への移動が促進される。
【0109】
上記のセンサ4で、液面高さ(気液分離面21)が所定の位置に達したことを検知したら、図4に示すようにバルブ7−2を閉じて管路5−2を介した給液を遮断する。また、バルブ7−3を閉じて大気遮断する一方、バルブ7−4を開放して、加圧用の気体(圧縮空気や圧縮窒素等)をバッファタンク3内に供給し、吐出部13(塗布部120)への送液に必要なバッファタンク3内の加圧を行う。なお、この際バルブ7−5は閉じたままである。
【0110】
この加圧力は、吐出部13による薬液吸引の際に差圧を生じず、濾過フィルタ11等による管路5−5での圧力損失や吐出部13の薬液吸引動作に伴う負圧を相殺できる程度の、薬液の圧送に必要な加圧力である。給液システム1においては、バッファタンク3内に、10kPa〜200kPa程度の範囲内で必要な圧力を加えるものとするが、これに限られることはなく、バッファタンク3の強度等によって、必要に応じて加えることのできる加圧力は変化する。
【0111】
上記所定の加圧力をバッファタンク3内の薬液に加えた後、図5に示すように、バルブ7−5を開くとともに、吐出部13による薬液の吸引を行い、吐出部13の貯液部への薬液のチャージを行い、塗布ノズル14より基材上に薬液を塗布する。
【0112】
管路5−5に設けた濾過フィルタ11等により管路5−5では圧力損失が生じる。また、吐出部13による吸引動作に伴い貯液部に負圧が生じ、吸引負荷となる。また、圧力損失の高い濾過フィルタ11等との間の流路内にも差圧が生じ、管路5−5の内部や貯液部内でのキャビテーションにより、薬液中に残った溶存気体が発泡する恐れがある。
【0113】
しかし、本給液システム1では、吐出部13による薬液吸引を行うとともに、バッファタンク3内を加圧して濾過フィルタ11等で生じる圧力損失や負圧を相殺できる程度の加圧力をかけて送液をアシストするので、上記のような管路5−5や貯液部内での発泡を防止することができる。さらに、吸引時に吐出ポンプのモーター等吐出部13への過剰な負荷で部品が劣化、損傷することを抑えることができる。
【0114】
なお、バッファタンク3内のアシスト加圧により、貯液部に若干の残圧が生じ、塗布開始時に薬液がオーバーシュートしたり、塗布ノズル14等から薬液が漏れたりする(可能性がある)場合は、本塗工の前にプリディスペンス動作を行うことで、塗布部120(貯液部から塗布ノズル14の開口部までの流路等)を大気圧に戻したり、あるいはバルブ7−3を開いてバッファタンク3内を大気開放してからバルブ7−5を開くことにより貯液部内の残圧を抜き塗布部120を大気圧と同等に揃えることができる。
【0115】
また、バッファタンク3内への薬液供給と、バッファタンク3から塗布部120への薬液供給を同時に行うことも可能である。この場合は、気液分離面21が所定の位置に達したら、バルブ7−2を開いたままバッファタンク3内の加圧およびバッファタンク3から吐出部13、塗布ノズル14等塗布部120への薬液供給を行うことになる。
【0116】
このとき、薬液と分離された気泡が薬液とともに管路5−5に吸い込まれたり、あるいは気体を充分に分離する前の薬液が管路5−5に吸い込まれたりする(可能性がある)場合には、まず薬液をバッファタンク3内に供給したあと、気体が分離され気泡が上方に排出されて気液分離が完了するのに必要な時間間隔を開けたあとにバルブ7−5を開いて管路5−5を介して塗布部への薬液供給を行うとよい。薬液の粘度や薬液に添加されている界面活性剤の影響で消泡性は異なることもあり、この際の待機時間は特に規定されるものではない。
【0117】
以上の操作により、樹脂製容器17内を低圧で加圧した状態とし薬液中への気体の溶存量を抑え、また、バッファタンク3内では薬液から気泡を分離し、塗布部120には液体のみを選択的に供給する。またバッファタンク3内のアシスト加圧により、濾過フィルタ11等で生じる圧力損失や吸引動作に伴う負圧を相殺して塗布部120へと薬液を供給することができる。これにより、前述した気泡による品質への影響を抑えることができる。また吐出部13による塗布ノズル14からの薬液吐出時に、配管内圧力の立ち上がり遅延時間の抑制や、それに伴う初期吐出量の不足を低減し、安定した均一性の、高い品質の製品を供給することが可能になる。
【0118】
なお、ポンプ13の貯液部へのチャージが完了したら、図6に示すように、バルブ7−4、バルブ7−5を閉じ、その後バルブ7−3を開いてバッファタンク3内を大気開放する。バルブ7−3より先にバルブ7−5を閉じるのは、大気開放時にバッファタンク3内に薬液が逆流するのを防ぐためである。
【0119】
バルブ7−2を開くと、図6に示すように、再び樹脂製容器17内とバッファタンク3内の差圧によるサイホン効果により、樹脂製容器17内の薬液がサイホン管19、送液ポート23、管路5−2を介してバッファタンク3内に圧送されて、バッファタンク3内に薬液が充填される。
【0120】
以上説明したように、本実施形態の給液システム1は、樹脂製容器17とバッファタンク3の内部を独立した圧力状態に分離し制御することができる。これにより、樹脂製容器17への低い加圧力(例えば5kPa〜100kPaの範囲)を維持しつつ、バッファタンク3内を大気圧にしてから管路5−2のバルブ7−2を開くことで、バッファタンク3へサイホン効果により薬液供給を行うことができる。
【0121】
従って、樹脂製容器17を耐圧外装容器や加圧プロテクターと併用して用いる、あるいは特別高い強度のものを使用する必要がなく、樹脂製容器17として輸送時等に通常用いられるような樹脂製の容器を単独で使用することができるので、設備費の削減や安全装置機構の簡略化につながり経済性が向上する。また、薬液容器内の残液を消費した際の容器交換や清掃等の作業性も向上し、効率的な運用が可能となる。さらにはリサイクル面でも好適である。また、容器内に加える圧力を低く抑えるので、容器の交換作業等を安全に行うことができる。
【0122】
また、樹脂製容器17内を低圧とした状態でバッファタンク3への給液を行うので、薬液中の溶存気体量が過度にならない。従って、管路5−5や貯液部内での発泡を抑えることができる。さらに、バッファタンク3内の薬液を塗布部120に供給する際には、濾過フィルタ11等で生じる圧力損失等を相殺する程度の弱い加圧力を加え、吐出ポンプ(シリンジ、チューブフラム、ダイヤフラム等)等の吐出部13による薬液の吸引動作をアシストするので、濾過フィルタ11等を管路5−5に設けた場合にも、濾過フィルタ11等による圧力損失や、吸引動作に伴う負圧を相殺し、管路5−5や貯液部内での発泡の抑制につながる。
【0123】
これにより、前述した気泡による品質への影響を抑えることができる。また、塗布開始時の圧力立ち上がり時間が気泡により遅延することを解消でき、安定的な薬液の送液による精密で均一な塗工が可能となる。従って、安定した均一性の、高い品質を維持することが容易となり、生産性を向上させることが可能となる。さらに、吸引時に吐出ポンプのモーター等吐出部13への過剰な負荷で部品が劣化、損傷することを抑えることができる。
【0124】
また、給液システム1においては、樹脂製容器17内を直接加圧するが、その際に管路5−1、管路5−2と樹脂製容器17をアタッチメント15を介して接続する。樹脂製容器17は、その開口部24(注ぎ口)の外周面の凸部25と、凸部25に対応するように設けられたアタッチメント15の内周部の溝部27とを螺合させて、アタッチメント15に取り付けられる。従って、加圧により樹脂製容器17が若干膨張した場合には、その開口部24の外周面の凸部25がアタッチメント15の溝部27と噛み合うので気密性が高くなり緩みや漏れの危険性は低くなる。
【0125】
また、容器の交換時など、アタッチメント15の緩みが生じても樹脂製容器17の凸部25とアタッチメント15の溝部27で引っ掛かりができるので、凸部25が溝部27により係止されてアタッチメント15が飛散することがなく、また加圧用の気体が緩みにより生じた隙間から抜けることで、樹脂製容器17内を安全に大気圧とすることができる。更に、アタッチメント15の断面積は、樹脂製容器17の開口部24程度に小さくすることができ、これによりアタッチメント15にかかる力は小さくなる。従って、さらに安全な作業環境を提供することが可能になる。
【0126】
また、バッファタンク3内にはセンサ4を設け、これにより液面位置に応じた薬液供給の制御を行い、バッファタンク3内には常に気体の層が一定容量存在する状態とできる。従って、管路5−2等より薬液中に混入した気体による気泡を浮上させ気液分離面21より排出し、薬液と分離することができる。これにより、気泡が吐出部13、塗布ノズル14等の塗布部120側の管路5−5内に混入することを抑制することができ、マイクロバブル等の気泡の発生を抑えることにつながる。
【0127】
さらに、過剰な圧力が吐出部13の貯液部の薬液に蓄積されず、また本塗工前にプリディスペンス動作を行ったり、バルブ7−5、バルブ7−3を開くことにより貯液部内の残圧を抜き大気圧と同等に揃えることにより、塗布前に塗布ノズル14内の薬液が押し出されたり、吐出開始時にオーバーシュートしたりすることを抑えることもできる。
【0128】
本発明の給液システムの別の実施形態について、図7を用いて説明する。図7において、図1と同様の機能構成を有する要素については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0129】
本実施形態の給液システム30において、管路5−6(第1の流路)は、給気部(不図示)から延びて樹脂製容器17と接続する。管路5−6は、樹脂製容器17内を加圧するために樹脂製容器17内に給気部から気体を供給する。
【0130】
また、管路5−7(第3の流路)は、給気部(不図示)から延びてバッファタンク3と接続する。管路5−7は、バッファタンク3内を加圧するためにバッファタンク3内に給気部から気体を供給する。
【0131】
即ち、本実施形態では、バッファタンク3に加圧用の気体を供給する管路(管路5−7)は、樹脂製容器17に加圧用の気体を供給する管路(管路5−6)から分岐することなく、これらは独立して給気部と接続するように配管される。管路5−6の途中にバルブ7−1とレギュレータ9−2が、管路5−7の途中にバルブ7−4とレギュレータ9−3がそれぞれ設けられ、樹脂製容器17、バッファタンク3内の加圧状態が独立に制御される。
【0132】
この場合も、上記したものと同様の方法、手順で吐出部13、塗布ノズル14等の塗布部120に薬液を供給して塗布を行うことができ、その際の効果も上記したものと同様である。即ち、管路やバルブ、レギュレータの配置等は、樹脂製容器17内に気体を導入し(低圧で)加圧してバッファタンク3内との差圧により薬液をバッファタンク3内へ供給した後、バッファタンク3内に気体を導入し所定の加圧力をバッファタンク3内の薬液に加えながら(吐出部13による薬液吸引動作と併用して)薬液を塗布部120に送液することができる限りにおいて、実施形態で示したものに限られることはない。
【0133】
以上説明したように、本実施形態によれば、安全性、経済性、生産性に優れた給液システム等を提供することができる。
【0134】
なお、本給液システム1の適用範囲とすることが望ましい薬液は、1〜100mPa・s程度、好適には1〜10mPa程度の粘度を有する液体であり、さらにニュートニアン流体であることが望ましい。これらはダイコート法での毎葉塗工に適した薬液の物性であるためであるが、チキソ性等を有する非ニュートニアン流体の薬液でも適用できる。
【0135】
別の観点で、適用範囲とすることが望ましい薬液は、主溶媒としてPGMEA、PGME、EEP、MBA、EDM、DMDG、酢酸ブチル、乳酸エチル等を使用している薬液であり、具体的な用途の例としては半導体や液晶表示装置の製造における半導体用フォトリソグラフィ、アクティブマトリクス素子、配線形成用フォトリソグラフィ、カラーフィルタ形成用フォトリソグラフィ等の工程が挙げられ、例えばカラーフィルタ形成用フォトリソグラフィの工程であれば、遮光用ブラックマトリクス形成、着色用RGBYまたはCMYカラー画素形成、White層や散乱層の形成、配向規制用突起形成、フォトスペーサ形成、オーバーコートレイヤーの形成等がある。
【0136】
また、薬液の塗布を行う被塗布基材には、シリコンウェハー、ガラス、金属、プラスチック、フィルム等がある。
【0137】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る給液システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0138】
1………給液システム
3………バッファタンク
4………センサ
5(5−1、5−2、5−3、5−4、5−5)………管路
7(7−1、7−2、7−3、7−4、7−5)………バルブ
9(9−1、9−2、9−3)………レギュレータ
11………濾過フィルタ
13………ポンプ
14………塗布ノズル
15………アタッチメント
17………樹脂製容器
19………サイホン管
21………気液分離面
22………加圧ポート
23………送液ポート
25………凸部
27………溝部
100………塗布装置
120………塗布部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布装置の塗布部に液体を供給するための給液システムであって、
液体を貯留するための貯留部と、
第1の流路と、
前記貯留部と接続し、前記貯留部に液体を供給するための第2の流路と、
前記貯留部と接続し、前記貯留部に気体を供給するための第3の流路と、
前記貯留部および前記塗布部と接続し、前記貯留部から前記塗布部に液体を供給するための第4の流路と、を具備し、
前記第1の流路、前記第2の流路は、所定の容器を取り外し可能に接続でき、前記第1の流路は、接続した前記所定の容器に気体を供給することが可能であることを特徴とする給液システム。
【請求項2】
前記貯留部は、貯留部内を大気開放するための大気開放手段を有し、
前記第1、第2、第3、第4の流路には、各流路を開閉するための開閉手段が設けられることを特徴とする請求項1記載の給液システム。
【請求項3】
前記貯留部には、液面の高さを検知するための液面検知手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の給液システム。
【請求項4】
前記所定の容器を取り外し可能に接続できる容器接続部を更に具備し、
前記第1の流路、前記第2の流路は、前記容器接続部を介して前記所定の容器を接続できることを特徴とする請求項1記載の給液システム。
【請求項5】
前記容器接続部は内周面に溝部を有し、前記溝部が前記所定の容器の開口部の外周面に設けられた凸部と螺合することで前記容器接続部と前記所定の容器を接続できることを特徴とする請求項4記載の給液システム。
【請求項6】
前記第1の流路は、前記所定の容器内の圧力が5kPaから100kPaの範囲となるように、接続した前記所定の容器内へ気体を供給することを特徴とする請求項1記載の給液システム。
【請求項7】
前記塗布装置は、半導体装置または液晶表示装置の製造に用いるものであることを特徴とする請求項1記載の給液システム。
【請求項8】
液体を貯留するための貯留部と、第1の流路と、前記貯留部と接続し、前記貯留部に液体を供給するための第2の流路と、前記貯留部と接続し、前記貯留部に気体を供給するための第3の流路と、前記貯留部および塗布装置の塗布部と接続し、前記貯留部から前記塗布部に液体を供給するための第4の流路と、を具備し、前記第1の流路、前記第2の流路は、所定の容器を取り外し可能に接続でき、前記第1の流路は、接続した前記所定の容器に気体を供給することが可能である給液システムを用いた、塗布装置の塗布部に液体を供給するための給液方法であって、
前記第1の流路、前記第2の流路と接続した前記所定の容器内を前記第1の流路を介して供給される気体により加圧し、前記所定の容器内の液体を前記第2の流路を介して前記貯留部内に供給する貯留部給液工程と、
前記貯留部内を前記第3の流路を介して供給される気体により加圧し、前記貯留部内の液体を前記第4の流路を介して前記塗布部に供給する塗布部給液工程と、
を具備することを特徴とする給液方法。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の給液システムを具備することを特徴とする塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−83737(P2011−83737A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240218(P2009−240218)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】