説明

給液装置

【課題】本発明は、並列に接続された複数の給液部から供給される液体を集約して給液口より出液する給液装置に関する。
【解決手段】複数の給液部201、202、203の各々から給液口301に供給される液体の流量を測定する流量センサ401で測定される流量に基づいて複数の給液部201、202、203の各々から給液口301に供給される液体の流量を調整する流量調整弁501を、複数の給液部201、202、203の各々から給液口301に供給される液体の流量の差が小さくなるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列に接続された複数の給液部から液体を共通の給液口に供給する給液装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
給液装置として、例えば、常温水を加熱した高温水を液体として供給する給湯装置がある。この給湯装置は、一般的に、電気料金割引時間帯である夜間電力を利用して加熱運転(例えば、ヒートポンプ運転)を行い、常温水を、例えば、65℃〜90℃の高温水に加熱してタンクに蓄え、昼間にタンクに蓄積された高温水を用いて給湯を行う構成とされている。そして、給湯機は、給湯時には、蛇口が開いたとき、タンク内の高温水に常温水を混ぜて適温水、例えば、42℃程度にして出湯する。
【0003】
一方、飲食店、福祉施設、宿泊施設などでは、大量に温水を使用している。これらの施設に設けられる給湯機は、複数のタンクを並列に接続して、複数のタンクに貯湯された温水を集約して共通の出湯流路から出湯することにより、大量の温水の使用を可能な構成としている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
複数のタンクを並列に接続して使用する場合、給湯時に各タンクの出湯量に差が生じる。これにより、タンクの残湯量が異なるようになる。このため、一つのタンクでは湯余り状態であるにもかかわらず、他のタンクでは湯切れ状態となる現象が生じる。湯切れ状態となったタンクには、高温水を補充する必要がある。この場合、給湯中(電気料金割引時間帯以外の時間帯)に、湯余り状態のタンクがあるにもかかわらず、湯切れ状態のタンクに高温水を補充するために給湯機を稼働する必要が生じる。よって、熱効率の向上が望めなかった。
このため、特許文献1では、複数のタンクの残湯量を各々測定し、各タンクの残湯量に基づいて各タンクへの注水量を調整し、残湯量を均一化することにより、出湯量を均一化していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−134063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の給湯機などの給液装置は、タンクの残液量に基づいてタンクへの注水量を制御し、タンクの残液量を均一にすることにより、複数のタンクで出水量を均一にする構成であり、各タンクの出湯量を検出し、制御するものではなかった。
【0007】
本発明は、複数の給液部から出液される液体の出液量を均一化することができる給液装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、並列に接続された複数の給液部からの液体を共通の給液口に供給する給液装置であって、前記複数の給液部の各々に設けられ、前記複数の給液部の各々から前記給液口に供給される前記液体の流量を測定する流量センサと、前記複数の給液部の各々に設けられ、前記複数の給液部の各々から前記給液口に供給される前記液体の流量を調整する流量調整弁と、前記複数の給液部の流量センサで測定された測定流量に基づいて、前記複数の給液部の各々から前記給液口に供給される液体の流量の差が小さくなるように、前記複数の給液部に設けられた流量調整弁を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の給液部から給液口に出液される液体の出液量を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態のブロック構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態の加熱部のブロック構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態の給液調整制御動作の処理フローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態の給液調整制御動作の処理フローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態の流量調整弁の現在開度に対する開度の制御量を示す図である。
【図6】本発明の第3実施形態の給液調整制御動作の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の給液装置の実施の形態を説明する。
本発明の給液装置の一実施形態として、ヒートポンプ給湯機について説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
(全体構成)
まず、本発明の第1実施形態の全体構成を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のブロック構成図を示す。
本実施形態の給液装置100は、給湯装置である。この給液装置100は、並列に接続された3つの給液部(給湯部)201、202、203から供給される高温の液体(高温水)が集約されて給液口(給湯口)301から出液(出湯)される構成とされている。なお、本実施形態では、3つの給液部201、202、203を並列に接続した構成の例を示しているが、給液部の数は、3つに限定されるものではなく、2つ、又は4つ以上であってもよい。
【0013】
3つの給液部201、202、203は、互いに並列に接続されている。この給液部201、202、203は、それぞれ、例えば、常温の液体(常温水)を加熱する加熱部211と、加熱部211で加熱された高温の液体(高温水;湯)を貯蔵するタンク部212とを備えている。
加熱部211は、常温の液体(常温水)を加熱して、タンク部212に供給する。タンク部212は、加熱部211で加熱された高温の液体(高温水;湯)を貯蔵する。そして、タンク部212に貯蔵された高温の液体(高温水;湯)は、給液口(給湯口)301に集約されて出液(出湯)される。
【0014】
(流量センサ401/流量調整弁501)
次に、流量センサ401、および流量調整弁501を説明する。
給液部201と給液口301との間には、給液部201から供給される高温の液体の流量を測定する流量センサ401a、および給液部201から給液口301に供給される高温の液体の流量を調整する流量調整弁501aが設けられている。また、給液部202と給液口301との間にも、同様に、給液部202で加熱された高温の液体の流量を測定する流量センサ401b、および給液部202から給液口301に供給される加熱された高温の液体の流量を調整する流量調整弁501bが設けられている。さらに、給液部203と給液口301との間にも、同様に、給液部203から給液口301に供給される高温の液体の流量を測定する流量センサ401c、および給液部203から給液口301に供給される高温の液体の流量を調整する流量調整弁501cが設けられている。
なお、流量センサ401a、401b、401cを総括的に指すときは、流量センサ401と表記する。同様に、流量調整弁501a、501b、501cを総括的に指すときは、流量調整弁501と表記する。
【0015】
なお、本実施形態では、流量センサ401は、給液部201、202、203の各々のタンク部212の給液口301側、タンク部212の下流側に設けられているが、タンク部212の上流側に設けるようにしてもよく、要は、給液部201、202、203の各々のタンク部212から給液口301に供給される液体の流量を測定できる位置であれば、設置位置は限定されない。また、流量調整弁501a、501b、501cも、給液部201、202、203の各々のタンク部212の給液口301側、タンク部212の下流側に設けられているが、タンク部212の上流側に設けるようにしてもよく、要は、給液部201、202、203の各々のタンク部212から給液口301に供給される液体の流量を調整できる位置であれば、その設置位置は限定されない。
【0016】
流量センサ401は、例えば、羽根車式、コリオリ式、カルマン式、電磁式流量センサなどのうちのいずれかの流量センサから構成されている。この流量センサ401は、上記のように、給液部201、202、203の各々に設けられている。給液部201について言えば、給液部201から流量調整弁501aを介して給液口301に供給される高温の液体の流量を流量センサ401aが測定し、その測定値を、給液部201の制御部237(図2参照)に供給する。
【0017】
例えば、流量調整弁501aは、電動流量調整弁などから構成されており、流量センサ401aと給液口301との間に設けられ、給液部201から給液口301に供給される高温の液体の流量を、給液部201の制御部237(図2参照)からの指令により調整する。他の流量調整弁501b、501cについても、この流量調整弁501aと同様である。
【0018】
給液部201の制御部237(図2参照)は、後で説明するように、3つの給液部201、202、203の流量センサ401(401a、401b、401c)で測定された流量の測定信号を収集し、3つの給液部201、202、203の各々から給液口301へ供給される高温の液体の流量の偏りが小さくなるように、3つの給液部201、202、203の流量調整弁501(501a、501b、501c)を制御する。なお、給液部201の制御部237での流量調整制御方法は、後記する。
【0019】
(給液部201、202、203)
次に、給液部201、202、203を説明する。なお、3つある給液部201、202、203はいずれも同じ構成であるので、そのうちの1つである給液部201を例に説明する。
給液部201は、液体を加熱する加熱部211と、加熱部211で加熱された高温の液体を貯蔵するタンク部212(図中の破線の枠参照)とタンク部212の上流側に接続された減圧弁213を備える構成とされている。
【0020】
このうち、加熱部211は、後で詳細に説明するが、管路を介してタンク部212の下部から供給される常温の液体(常温水)を、ヒートポンプ技術を利用したヒートポンプ加熱装置などにより加熱して、管路を介してタンク部212の下流側に供給する。
【0021】
タンク部212は、後で詳細に説明するが、3つのタンク221、222、223を給液口301側から見て、この順に直列的に接続した構成とされている。この3つのタンク221、222、223は、断熱構造とされ、内部は満水状態で運転される。
【0022】
なお、タンク221の上部(頂部)には、加熱部211(出側)が接続されるとともに、流量センサ401a、および流量調整弁501aを介して給液口301が接続される。また、タンク223の下部(底部)には、減圧弁213を介して注液口601が接続されるとともに、加熱部211(入側)が接続される。なお、図1では、タンク221、222、223というように、タンク部212が3つのタンクからなる例を示しているが、タンクの数は、1つでも、2つでも、4つ以上でもよい。
【0023】
減圧弁213は、タンク部212側の圧力(二次側圧力)が注液口601側の圧力(一次側圧力)より低減すると、図示しない弁体が開放され、注液口601からタンク部212に常温の液体(常温水)を注入する。つまり、タンク部212の内部(各タンク221、222、223)は、この減圧弁213を介した注液口601側の圧力により、加圧されている。
【0024】
(加熱部211)
次に、加熱部211を説明する。
図2は、本発明の第1実施形態の加熱部211のブロック構成図を示す。
加熱部211は、例えば、ヒートポンプ式加熱装置であり、図2に示すように、圧縮機231、液熱媒体熱交換器232、膨張弁233、空気熱交換器234、送風部235、ポンプ236、制御部237、温度センサ238、熱媒体配管239、液配管240を備える構成とされている。なお、加熱部211は、ヒートポンプ式加熱装置に限られるものではなく、電熱ヒータなどを用いた加熱装置であってもよい。
【0025】
圧縮機231、液熱媒体熱交換器232、膨張弁233、および空気熱交換器234は、熱媒体配管239を介して環状に接続した閉ループを構成しており、その中には、熱媒体が封入されて、ヒートポンプ熱媒体回路を構成している。なお、熱媒体としては、例えば、熱媒体ガスである。この熱媒体ガスは、二酸化炭素ガスでもよい。また、ガスではなく、例えば、潜熱蓄熱材入りの液体、ブライン、不凍液などを介して熱交換を行うようにしてもよい。また、電気ヒータによる加熱でもよい。つまり、加熱部211がヒートポンプを利用したものであるというのは一例に過ぎない。
【0026】
圧縮機231は、空気熱交換器234で空気から熱を吸収した熱媒体を圧縮して、液熱媒体熱交換器232に供給する。この圧縮機231は、容量制御が可能とされており、多量の給湯を行う場合には大きな容量で運転することができるように構成とされている。また、圧縮機231は、PWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)電圧制御、PAM(Pulse Amplitude Modulation;パルス振幅変調)電圧制御、およびこれらの組み合わせ制御により、低速、例えば、700回転/分から高速、例えば、7000回転/分まで回転速度制御ができるように構成されている。これにより加熱性能を可変できる構成とされている。
【0027】
圧縮機231で圧縮された熱媒体は、液熱媒体熱交換器232に供給される。液熱媒体熱交換器232は、熱媒体側伝熱管232aおよび液側伝熱管232bを備えており、圧縮機231で圧縮された熱媒体は、熱媒体側伝熱管232aに供給される。また、液側伝熱管232bには、タンク223からポンプ236を介して常温の液体(常温水)が供給される。
【0028】
液熱媒体熱交換器232は、熱媒体側伝熱管232aと液側伝熱管232bとが隣接して設けられており、熱媒体側伝熱管232aを流れる熱媒体から液側伝熱管232bを流れる常温の液体に熱を移動させることによって液側伝熱管232bを流れる常温の液体を加熱し、高温の液体を送出する。液熱媒体熱交換器232で加熱された高温の液体(高温水)は、タンク221の上部に供給される。
【0029】
膨張弁233は、例えば、電子膨張弁、電動膨張弁などから構成されている。この膨張弁233には、液熱媒体熱交換器232から熱媒体が送られている。膨張弁233は、熱媒体熱交換器232から送られてくる熱媒体を減圧して、空気熱交換器234に送る。
また、膨張弁233は、制御部237の制御信号により開いたり、絞られたりする。膨張弁233が開くことにより、熱媒体は、減圧されず比較的高い温度の状態で空気熱交換器234に供給される。これにより、空気熱交換器234の温度を上げ、空気熱交換器234に付着した霜を融かす、いわゆる、除霜動作を行わせることができる。除霜動作により空気と熱媒体との熱交換の効率を向上させることができる。
【0030】
膨張弁233により減圧された熱媒体は、空気熱交換器234に供給される。空気熱交換器234には、送風部235から外気が供給されている。送風部235は、ファンモータ、および送風ファンを備えている。送風部235は、ファンモータの回転により送風ファンが回転し、送風ファンの回転により外気を空気熱交換器234に供給する。
【0031】
空気熱交換器234は、送風部235によって取り込まれた外気の熱を熱媒体に移動させる、いわゆる、空気熱交換を行う。空気熱交換器234の外気の吸気側には、温度センサ238が取り付けられている。温度センサ238は、空気熱交換器234に引き込まれる外気温度を測定する。そして、温度センサ238で測定された外気温度の測定信号は、制御部237に供給される。
制御部237は、温度センサ238から供給される測定信号に応じて加熱部211の圧縮機231の容量、および膨張弁233の熱媒体循環量などを制御する。これにより、制御部237は、効率的に液体を加熱できるように制御を行う。
【0032】
空気熱交換器234で、外気の熱が移動された熱媒体は、上記の圧縮機231に供給される。また、加熱部211において、液熱媒体熱交換器232、ポンプ236は、液配管240を介してタンク221、223に接続されている。ポンプ236は、いわゆる、液体循環ポンプである。ポンプ236は、タンク223の下部(底部)から液配管240を介して液体を引き込み、液配管240を介して液熱媒体熱交換器232の液側伝熱管232bに供給する。
【0033】
液熱媒体熱交換器232は、上記の如く、熱媒体側伝熱管232aを流れる熱媒体から液側伝熱管222bを流れる液体に熱を移動させる。液熱媒体熱交換器232で熱媒体から熱が移動し、加熱された液体は、液配管240を介してタンク221の上部に供給される。
【0034】
ここで、給液部202、203の制御部237と、給液部201の制御部237との相違点を説明する。
給液部202の制御部237は、給液部202の流量センサ401bから流量を収集し、給液部201の制御部237に通知するとともに、給液部203の制御部237から通知される各種データを給液部201の制御部237に通知する。また、給液部201の制御部237からの指令により流量調整弁501bを制御する。
給液部203の制御部237は、給液部203の流量センサ401cから流量データを収集し、給液部202の制御部237を介して給液部201の制御部237に通知する。給液部201の制御部237からの指令により流量調整弁501cを制御する。
【0035】
(タンク部212)
次に、タンク部212を説明する。
タンク部212は、3つのタンク221、222、223を上記のように直列的に接続した構成とされており、加熱部211から供給される高温の液体を貯蔵する。タンク部212のうちタンク221の上部(頂部)側に貯蔵された高温の液体が、流量センサ401a、および流量調整弁501aを介して給液口301に供給される。
なお、タンク部212は、密閉型であり、給液口301に送出される高温の液体の送出量と同量の常温の液体が、減圧弁213の働きにより注液口601からタンク部212のタンク223の下部に注入される。
【0036】
タンク221、222、223の各々には、図1に示すように、外側面、上下方向の複数箇所、例えば、3カ所にわたって温度センサ241a、241b、241cが取り付けられている。温度センサ241a、241b、241cは、サーミスタなどから構成されており、温度センサ241a、241b、241cの出力信号は、制御部237に供給される。
【0037】
このタンク部212の構成においては、例えば、液体供給運転(給湯運転)のときに、タンク221の上部(頂部)から流量調整弁501aを介して高温の液体(高温水)が給液口301へと抜き出されると、タンク221の上部で発生した圧力の減少が、直ちにタンク222、223を通して減圧弁213に伝播される。そして、減圧弁213が作動し、減圧弁213を介して注液口601からタンク223に常温の液体が注入されるので、タンク部212の内部の液量が満たされ、かつ、内部の圧力も保持され、連続的に給湯することができる。つまり、液体供給運転時は、注液口601からの供給される常温の液体に押し出されるように、タンク223の下部(底部)の液体はその上部へと移動(上昇)し、タンク223の上部(頂部)の液体は押し出されるように次のタンク222の下部(底部)へと移動し、タンク222の下部の液体はその上部(頂部)へと移動(上昇)し、タンク222の上部の液体は押し出されるように次のタンク221の下部(底部)へと移動し、タンク221の下部の液体はその上部へと移動(上昇)し、タンク部221の上部(頂部)の液体は、押し出されるように流量調整弁501aを介して給液口301から排出される。即ち、タンク212から給液口301へと液体が排出される。
【0038】
一方、液体加熱運転(貯湯運転)のときには、加熱部211の後記するポンプ236の作動によりタンク223の下部から常温の液体(常温水)が加熱部211へと抜き出されると、タンク部212の各タンク221、222、223の内部では、上部から下部へと、前記の液体供給運転(給湯運転)のときとは逆の流れが起こる。つまり、タンク部212の下部(タンク223の下部)から抜き出された常温の液体(常温水)は加熱部211を経由して、タンク212の上部(タンク221の上部)に戻るように循環する。
なお、液体加熱運転(貯湯運転)は、加熱部211にタンク部212から液体を引き込み、加熱してタンク部212に戻す運転である。また、液体供給運転(給液運転)は、タンク部212に蓄積された高温の液体を流量センサ401、および流量調整弁501を介して給液口301に供給する運転である。
【0039】
(制御部237)
次に、制御部237を説明する。
制御部237は、温度センサ241a、241b、241cからの出力信号によりタンク221に貯蔵されている液体の貯蔵量、および温度を検知する。このとき、タンク221に貯蔵される液体の貯蔵量は、段階的水位として検知される。補足すると、前記のとおり、タンク221の内部は常に満液であるので、制御部237は、例えば、タンク221の上位の位置に配置された温度センサ241aの出力信号が所定温度より高い温度を示す値のときには、タンク221の上位の位置まで高い温度の液体が貯蔵されていると判定する。また、タンク221の中位の位置に配置された温度センサ241bの出力信号が所定温度より高い温度を示す値のときには、タンク221の中位の位置まで高い温度の液体が貯蔵されていると判定する。更に、タンク221の下位の位置に配置された温度センサ241cの出力信号が所定温度より高い温度を示す値のときには、タンク221の下位の位置まで高い温度の液体が貯蔵されていると判定する。制御部237によるこの判定は、他のタンク222、223でも同じである。
【0040】
給液部201の加熱部211の制御部237は、操作パネル701、および給液部202の制御部237と通信可能に接続されている。また、給液部202の加熱部211の制御部237は、給液部201の制御部237、および給液部203の制御部237と通信可能に接続されている。
【0041】
操作パネル701は、給液部201の制御部237に接続されており、図示しないキースイッチ、ディスプレイなどを含む構成とされている。ユーザが操作パネル701のディスプレイを見ながらキースイッチを操作することにより、給液部201、202、203の運転、運転停止、液量、温度設定、運転時間設定などの各種設定を行うことができる。
【0042】
操作パネル701、給液部201の制御部237、給液部202の制御部237、および給液部203の制御部237は、例えば、デイジーチェーン方式で接続されている。また、給液部201の制御部237は、操作パネル701からの入力設定により給液部201、202、203の全体の運転制御を行っており、給液部202の制御部237、および給液部203の制御部237に対してマスタ装置として働く。これに対して、給液部202の制御部237、および給液部203の制御部237は、スレーブ装置として働く。
【0043】
(給液調整制御動作)
次に、本発明の第1実施形態の給液部201の制御部237での給液調整制御動作について説明する。
まず、給液調整制御動作の概要を説明する。
本実施形態の給液調整制御動作は、給液部201、202、および203の各々から給液口301に供給される高温の流量を各流量センサ401により測定し、給液部201、202、203の各々から給液口301に供給される液体の流量が略均一になるように(差分が小さくなるように)、各給液部201、202、203の流量調整弁501を調整する制御である。このとき、制御部237は、流量センサ401の瞬時値ではなく所定時間当たりの流量に基づいて制御を行っている。
【0044】
また、制御部237は、給液部201、202、および203のうち流量の大きい給液部の流量と流量の小さい給液部の流量を順次に比較し、その差が所定値以上の場合に、流量調整弁501による調整を行っている。
ここで、給液装置100の給液部の数をMとし、M個の給液部から給液口301に給液される液体の流量のうち最小流量をR1、最大の流量をRMとすると、最大流量RMと最小流量R1同士、最大流量RMを1番目として2番目に大きい流量R(M−1)と最小流量R1を1番目として2番目に小さい流量(R2)同士、最大流量RMを1番目として3番目に大きい流量R(M−2)と最小流量R1を1番目として3番目に小さい流量R3同士のように、流量の順に順次に比較し、対応する(調整対象の)給液部の流量調整弁501を制御して、流量調整を行うようにしている。さらに、制御部237は、流量調整弁501を現在開度に対して所定の割合で開度を調整するように制御している。
【0045】
次に、給液調整制御動作の詳細を、図面を用いて説明する。
図3は、本発明の第1実施形態の給液調整制御動作の処理フローチャートを示す。
マスタ装置である給液部201の制御部237は、まず、ステップS1−1で、給液部201、202、203が給液運転中であるか否かの判定を行う。給液運転は、給液部201、202、203のタンク部212に貯蔵された高温の液体を集約して給液口301から送出する運転である。
【0046】
制御部237は、ステップS1−1において給液運転中である場合には(ステップS1−1でYes)、ステップS1−2で各給液部201、202、203の流量センサ401からの流量の収集を開始する。以降、各給液部201、202、203の流量センサ401からの流量の収集は、所定時間、例えば、10秒ごとに、給液運転が停止するまでの間、行われる。
【0047】
給液部201の制御部237は、続いて、ステップS1−3で給液部201、202、203のうち正常に稼動している給液部の数Mを確認する。なお、図1の構成では、Mは、「0」〜「3」の整数のうちのいずれかの値となる。なお、ここでは、例えば、M=3とする(給液部201、202、203のすべてが正常稼動)。
【0048】
次に、制御部237は、ステップS1−4で、流量安定待機タイマを作動させる。流量安定待機タイマは、流量が安定するまで流量測定を行わない時間である流量安定待機時間を計時するタイマであり、例えば、制御部237にプログラムとして実装されたタイマである。流量安定待機タイマにより計時される流量安定待機時間は、例えば、1分に設定されている。流量安定待機時間の間、給液部201、202、203から給液口301の液体が供給され、給液口301から出液される液体の流量が安定する。
【0049】
制御部237は、流量安定待機タイマによる流量安定待機時間の計時が経過した後に、ステップS1−5で給液部201、202、203の各々の流量センサ401で10秒毎に測定されている流量を所定時間、例えば、1分間、加算して測定流量R(例えば、リットル/分)を算出する。
制御部237は、ステップS1−6で、ステップS1−5において算出したM個の測定流量を流量の小さい順、「R1」、「R2」・・・「R(M−1)」、「RM」の順に整列させる。
【0050】
なお、整列順「2、3・・・(M−1)」の場合は、最小値の順番n=2、最大値の順番N=(M−1)の状態である。ここで、nを測定流量の最小値の順番、Nを測定流量の最大値の順番とする。整列順「1、2・・・(M−1)、M」の場合は、最小値の順番n=1、最大値の順番N=Mの状態である。すなわち、最大流量RMと最小流量R1とを比較し、最大流量から2番目に大きい流量R2と最小流量から2番目に小さい流量R(M−1)とを比較し、最大流量から3番目に大きい流量R3と最小流量から3番目に小さい流量R(M−2)とを比較する。
【0051】
例えば、図1の構成において、給液部201に対して設けられた流量センサ401aで測定された流量を最小流量、給液部203に対して設けられた流量センサ401cで測定された流量を最大流量、給液部202に対して設けられた流量センサ401bで測定された流量を最小値と最大値との間の流量とすると、給液部201から給液口301に供給される流量は、最小流量R1となり、給液部203から給液口301に供給される流量は、M=3であるので、最大流量RM=R3となり、給液部202から給液口301に供給される流量は、流量R2となる。すなわち、図1の給液部が3つの場合には、流量R2と流量R(M−1)とは同じになる。
よって、図1の構成においては、例えば、給液部201の流量R1、給液部202の流量R2、給液部203の流量R3の順に整列する。
【0052】
次に、制御部237は、ステップS1−7でn番目の流量とN番目の流量との差が所定値未満か否かを判定する。所定値は、例えば、1リットル/分程度である。
例えば、図1の構成で、給液部201に対して設けられた流量センサ401aで測定された流量を最小値、給液部203に対して設けられた流量センサ401cで測定された流量を最大値とすると、n番目である給液部201の流量とN番目である給液部203の流量との差が1リットル/分未満か否かを判定する。なお、このフローチャートでの「n」の初期値は「1」、Nの初期値は「3」である。
【0053】
制御部237は、ステップS1−7においてn番目の流量とN番目の流量との差が所定値未満でない、すなわち、所定値以上の場合には(ステップS1−8でNo)、ステップS1−8で、n、Nが、n=N、またはN≦M/2、またはn≧M/2か否かを判定する。
制御部237は、ステップS1−8において順番n、Nが、n=N、またはN≦M/2、またはn≧M/2のいずれでもない場合には(ステップS1−9でNo)、ステップS1−9で、給液部201、202、および203のうち対応する(調整対象の)給液部の流量調整弁501の開度情報を取得する。
【0054】
例えば、図1の構成で、給液部201に対して設けられた流量センサ401aで測定された流量を最小値、給液部203に対して設けられた流量センサ401cで測定された流量を最大値である状態では、n=1、N=M=3であるので、n=N、またはN≦M/2、またはn≧M/2のいずれにも対応しない。このため、制御部237は、ステップS1−9で、流量の調整の対象である給液部201に対して設けられた流量調整弁501a、および給液部203に対して設けられた流量調整弁501cの開度情報を取得する。
【0055】
次に、制御部237は、ステップS1−10でN番目の流量を調整する流量調整弁501の開度が下限開度か否かを判定する。下限開度は、流量調整弁501の開度が下限であり、それ以下に絞ることができない状態を示す。ここでは、下限開度は、例えば、全開を100%したときの開度30%の状態であり、流量調整弁501をそれ以上絞ることはできない状態を示す。なお、この実施の形態では、全開を100%としたときの下限開度を30%としているが、下限開度は、これに限定されるものではなく、30%以下であってもよい。
【0056】
制御部237は、ステップS1−10において、N番目の流量を調整する流量調整弁501の開度が下限開度の場合には(ステップS1−10でYes)、ステップS1−11でn番目の流量を調整する流量調整弁501の開度が上限開度か否かを判定する。上限開度は、流量調整弁501の開度が上限、100%であり、流量調整弁501をそれ以上開くことができない状態を示す。
【0057】
制御部237は、ステップS1−11において、n番目の流量を調整する流量調整弁501の開度が上限開度でない場合には(ステップS1−11でNo)、n番目の流量を調整する流量調整弁501を開くことができるため、ステップS1−12でn番目の流量を調整する流量調整弁501を開く。例えば、流量調整弁501の現在の開度を100%としたとき、その開度を110%程度に開く調整が行われる。
n番目の流量を調整する流量調整弁501を開くことにより、最小流量であるn番目の流量を大きくでき、最大流量との差分を小さくすることができる。
【0058】
また、制御部237は、ステップS1−10において、N番目の流量を調整する流量調整弁501の開度が下限開度でない場合には(ステップS1−10でNo)、ステップS1−15でn番目の流量を調整する流量調整弁501の開度が上限開度か否かを判定する。
制御部237は、ステップS1−15においてn番目の流量を調整する流量調整弁501の開度が上限開度の場合には(ステップS1−15でYes)、ステップS1−16でN番目の流量を調整する流量調整弁501を絞る。例えば、流量調整弁501の現在の開度を100%としたとき、その開度を90%程度に絞る調整を行う。N番目の流量を調整する流量調整弁501の開度を絞ることにより、最大流量であるN番目の流量を小さくでき、最小流量との差分を小さくすることができる。
【0059】
さらに、制御部237は、ステップS1−15において、n番目の流量を調整する流量調整弁501の開度が上限開度でない場合には(ステップS1−15でNo)、ステップS1−17でn番目の流量を調整する流量調整弁501を開き、ステップS1−18でN番目の流量を調整する流量調整弁501を絞る。例えば、n番目の流量を調整する流量調整弁501の開度を現在の開度の110%程度とし、N番目の流量を調整する流量調整弁501の開度を現在の開度の90%程度とする。n番目の流量を調整する流量調整弁501を開き、N番目の流量を調整する流量調整弁501を絞ることにより、最大流量であるN番目の流量を小さくでき、最小流量であるn番目の流量を大きくすることができ、最大流量と最小流量との差分を小さくすることができる。
【0060】
制御部237は、ステップS1−12、S1−16、およびステップS1−17、S1−18において流量調整弁501の開度を調整した後、ステップS1−13で「N」を「(N−1)」とし、「n」を「(n+1)」とした後、ステップS1−7の処理に戻る。
【0061】
また、制御部237は、ステップS1−1において給液運転中でない場合(ステップS1−1でNo)、ステップS1−7においてN番目とn番目の流量との差が所定値未満の場合(ステップS1−7でYes)、ステップS1−8においてN=n、またはN≦M/2、またはn≧M/2の場合(ステップS1−8でYes)、およびステップS1−11においてn番目の流量の流量調整弁501の開度が上限開度の場合(ステップS1−11でYes)には、これ以上流量調整弁501を開くことができないため、ステップS1−14で流量安定待機タイマをリセットするとともに、流量センサ401からの流量の収集を停止し、ステップS1−1に戻る。
例えば、図1に示す構成では、N=3、n=1であるので、「N」を「(N−1)」、「n」を「(n+1)」とすると、N=n=2となり、ステップS1−8でN=nとなるので、最小流量に対応する給液部201の流量調整弁501、および最大流量の給液部203の流量調整弁501の調整が終了すると、ステップS1−1に戻り制御が行われる。
【0062】
なお、制御部237は、上記の給液調整制御の他に、熱媒体回路の運転・停止、および圧縮機231の回転速度の制御、膨張弁233の開度の制御、タンク部212への貯蔵を行う貯蔵運転、除霜運転等の制御を行っている。
例えば、制御部237は、貯蔵運転時には、圧縮機231の回転速度を制御し、運転開始から徐々に回転速度を増して高速回転とし、加熱の立上げ時間を早め、加熱が安定した後は中低速運転を行う制御を行う。このとき、制御部237は、熱負荷、および加熱温度に見合った回転速度で運転するよう圧縮機231の回転速度を制御する。
【0063】
また、制御部237は、その日の高温の液体の使用が終了すると、タンク221、222、223内の高温の液体の残量を温度センサ241a、241b、および241cを用いて測定し、翌日の液体の使用量を推定して、タンク部112に蓄積される高温の液体の量が使用推定量より大きくなるように、加熱部211の運転を行う。このとき、制御部237は、夜間割引電気料金の適用時間、例えば、23時〜7時内に加熱運転が終了するように運転開始時刻を設定し、設定時刻になると貯蔵運転を開始し、終了するように制御している。
【0064】
以上のように、本実施形態よれば、給液部201、202、203の流量センサ401で測定された流量のうちの最大流量と最小流量との差分が小さくなるように給液部201、202、203の流量調整弁501を調整することにより、給液部201、202、203から給液口301に供給される液体の流量の差分を小さくできる。これによって、給液部201、202、203の稼働率を均一にできる。給液部201、202、203の加熱部211の稼働率を均一にできることで、給液部201、202、203のうち特定の給液部の加熱部211が過剰に運転されることを防止できる。これにより、加熱部211の圧縮機231の寿命の短縮を防止できる。また、タンク部212に貯蔵される高温の液体の使用も均一化されるため、高温の液体が使用されないことによる温度低下を防止でき、熱効率の向上を図ることができる。
【0065】
なお、本実施形態では、最大流量と最小流量との差分を小さくするように流量調整弁501を調整したが、流量調整弁501の流量が規定流量となるように調整するようにしてもよい。
【0066】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、構成は、第1実施形態と同じであり、給液部201の制御部237での給液調整制御方法が第1実施形態とは相違する。したがって、構成の説明は省略する。
【0067】
本実施形態の給液調整制御方法では、制御部237は、流量測定を複数回、例えば、6回行い、移動平均を測定流量とすることにより測定のばらつきを小さくしている。また、制御部237は、測定流量を予め規定した規定流量と比較し、測定流量が規定流量となるように、流量調整弁501の流量制御を行っている。制御部237は、流量調整弁501の制御量(調整量)は現在開度に対して調整開度区分を設定し、その区分に従って流量調整弁501の開度の制御量(調整量)を決定している。
【0068】
以下に、本実施形態の給液調整制御の詳細を、図面を用いて説明する。
図4は、本発明の第2実施形態の制御部での給液調整制御のフローチャートを示す。
給液部201の制御部237は、ステップS2−1で、現在、給液部201、202、203が給液運転中であるか否かの判定を行う。制御部237は、ステップS2−1において給液部201、202、203が給液運転中である場合には(ステップS2−1でYes)、ステップS2−2で給液部201、202、203のうち正常に稼動している給液部の数Mを確認する。なお、図1の構成では、Mは、「0」〜「3」の範囲の整数のうちのいずれかの値となる。
【0069】
制御部237は、次に、ステップS2−3で、流量安定待機タイマを動作させる。流量安定待機タイマが動作すると、流量安定待機時間の間、待機状態となる。流量安定待機時間は、例えば、1分である。
制御部237は、ステップS2−3において流量安定待機時間経過後、ステップS2−4で給液部201、202、203の各流量センサ401から測定流量を算出する。測定流量は、所定時間、例えば、10秒ごとに所定回数、例えば、6回、流量センサ401から流量を収集し、所定回数の流量の平均、すなわち、移動平均を算出した結果である。
このように、本実施形態によれば、測定流量として収集した流量の移動平均を採用することにより流量のばらつきを低減することができる。なお、本実施形態では、所定回数の単純移動平均を測定流量としたが、加重移動平均など他の平均の計算を行い、その結果を測定流量にしてもよい。
【0070】
次に、制御部237は、ステップS2−5で、ステップS2−4において計測された各給液部201、202、203の測定流量が予め決められた規定流量(閾値流量)、例えば、10リットル/分と比較して、大きいか、等しいか、小さいかの判定を行う。
制御部237は、ステップS2−5において、規定流量よりも測定流量が小さい場合には(ステップS2−5で規定流量>測定流量)、ステップS2−6で給液部201、202、203のうちの対応する給液部の流量調整弁501の開度調整が可能か否かを判定する。制御部237は、ステップS2−6において給液部201、202、203のうちの対応する給液部の流量調整弁501の開度調整が可能な場合には、ステップS2−7で給液部201、202、203のうちの対応する給液部の流量調整弁501を開く。
【0071】
また、制御部237は、ステップS2−5において規定流量よりも測定流量が大きい場合には(ステップS2−5で規定流量<各測定流量)、ステップS2−8で給液部201、202、203のうちの対応する給液部の流量調整弁501の開度調整が可能か否かを判定する。制御部237は、ステップS2−8において給液部201、202、および203のうちの対応する給液部の流量調整弁501の開度調整が可能な場合には、ステップS2−9で給液部201、202、203のうちの対応する給液部の流量調整弁501を絞る。
制御部237は、ステップS2−7、S2−9において、流量調整弁501を調整するとき、上記したように現在開度に対して開度区分を設定し、その区分に従って開度の制御量(調整量)を決定している。
【0072】
図5は、本発明の第2実施形態の流量調整弁の現在開度に対する開度の制御量を示す図である。図5(a)は、流量調整弁501の開度を大きくする(開く)場合の現在開度に対する開度の制御量、図5(b)は、流量調整弁501の開度を小さくする(絞る)場合の現在開度に対する開度の制御量(調整量)を示す図である。
【0073】
図5(a)に示すように流量調整弁501の開度を大きくする場合には、全開の状態を100%としたとき、現在の開度が全開の20〜49%の場合、流量調整弁501を現在の開度から10%開き、現在の開度が全開の50〜79%の場合、流量調整弁501を現在の開度から5%開き、現在の開度が全開の80〜100%の場合、流量調整弁501を現在の開度から2%開くようにする。すなわち、現在の開度が小さい場合には、開度の制御量が大きくなり、現在の開度が大きい場合には、開度の制御量が小さくなる。
【0074】
また、図5(b)に示すように流量調整弁501の開度を小さくする場合には、流量調整弁501の全開の状態を100%としたとき、現在の開度が20〜49%の場合、流量調整弁501を現在の開度から2%絞り、現在の開度が全開の50〜79%の場合、流量調整弁501を現在の開度から5%絞り、現在の開度が全開の80〜100%の場合、流量調整弁501を現在の開度から10%絞るようにする。すなわち、流量調整弁501の現在の開度が小さい場合には、流量調整弁501の開度の制御量は、小さくなり、現在の開度が大きい場合には、流量調整弁501の開度の制御量は、大きくなる。なお、この実施の形態では、全開を100%としたときの下限開度を20%としているが、下限開度は、これに限定されるものではなく、20%以下、または30%以上であってもよい。
【0075】
ここで、図4に戻って説明を続ける。
制御部237は、ステップS2−5において測定流量と規定流量とが等しい場合(ステップS2−5で規定流量=測定流量)、ステップS2−6、S2−8において流量調整弁501の調整が可能でない場合(ステップS2−6、およびS2−8でNo)、およびステップS2−7、ステップS2−9で流量調整弁501を制御して、流量の調整を行った後には、ステップS2−10で、すべての給液部の測定流量を規定流量と比較したか否かの判定を行う。すべての給液部の測定流量を規定流量と比較したか否かの判定は、例えば、M回、すなわち、正常稼働している給液部の数、Mだけ測定流量と規定流量との比較が行われたか否かを判定することにより行うことができる。
【0076】
制御部237は、ステップS2−10において、すべての給液部の測定流量と規定流量との比較が行われていなければ(ステップS2−10でNo)、ステップS2−5に戻って、次の測定流量を規定流量と比較する。また、制御部237は、ステップS2−10において、すべての給液部の測定流量と規定流量との比較が行われると(ステップS2−10でYes)、正常稼働しているすべての給液部について測定流量と規定流量との比較が完了したものと判断する。
【0077】
制御部237は、ステップS2−1で給液運転中でない場合(ステップS2−1でNo)、およびステップS2−10で正常稼働しているすべての給液部201、202、および203について測定流量と規定流量との比較判定が完了した場合には(ステップS2−10でYes)、ステップS2−11で流量安定待機タイマをリセットして、各給液部201、202、203の流量センサ401からの流量の収集を停止し、ステップS2−1に戻る。
【0078】
なお、制御部237は、ステップS2−5における規定流量として、所定の閾値流量、例えば、10±0.5リットル/分を設定し、この範囲内の測定流量は規定流量と等しいものと判断し、この範囲を超えた測定流量について流量調整弁501の開度調整を行う。
また、制御部237は、ステップS2−10において、全ての給液部201、202、および203の測定流量について規定流量との比較を行ったかを判定しているが、測定流量が規定流量より大きいものの中で一番大きいものと、測定流量が規定流量より小さいものの中で一番小さいものを比較し、対応する流量調整弁501を調整するようにしてもよい。
【0079】
さらに、最大流量RM、および最大流量RMを1番目として2番目に大きい流量R(M−1)、並びに最小流量R1、および最小流量R1を1番目として2番目に小さい流量R2とを比較し、対応する流量調整弁501を調整するようにしてもよい。このように、稼働中のすべての給液部に対して流量の調整を行う必要はなく、任意の給液部に対して流量の調整を行うようにしてもよい。
【0080】
本実施形態によれば、給液部201、202、203の各々から給液口301に供給される液体の流量を規定流量となるように制御することにより、給液部201、202、および203の各々から給液口301に供給される液体の流量を均一化することができる。これにより、給液部201、202、203のうち特定の給液部の圧縮機231の過剰な運転されることを防止できる。したがって、特定の圧縮機231の寿命が短縮することを防止でき、また、熱効率の向上を図ることができる。
【0081】
なお、本実施形態では、測定流量を規定流量に一致するように流量調整を行う例について説明したが、給液口301から給液される液体の平均流量に基づいて各給液部201、202、203からの流量を調整するようにしてもよい。
【0082】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態について説明する。なお、構成は、第1実施形態、および第2実施形態と同じであり、給液部201の制御部237での給液調整制御方法が第1実施形態、および第2実施形態とは相違する。したがって、その構成の説明は省略する。
【0083】
本実施形態の給液調整制御方法では、第2実施形態と同様に流量測定を数回行い、得られた測定流量を平均化することでばらつきを小さくする。また、この平均値を各給液部201、202、203の測定流量とし、全ての給液部201、202、203の測定流量を合計することで給液口301から送出される給液量を取得し、更に、この給液量を稼動中の給液部201、202、203の数M(=3)で割ることで各給液部201、202、203から供給すべき高温の液体の平均流量を得る。本実施形態の給液調整制御は、各給液部201、202、203の測定流量がこの平均流量となるように流量調整弁501による流量調整を行う。
【0084】
次に、本実施の形態の給液調整制御の詳細を、図面を用いて説明する。
図6は、本発明の第3実施形態の給液調整制御のフローチャートを示す。
給液部201の制御部237は、ステップS3−1で、現在、給液部201、202、203が給液運転中であるかの判定を行う。制御部237は、ステップS3−1において給液部201、202、203が給液運転中である場合には(ステップS3−1でYes)、ステップS3−2で、給液部201、202、203のうち正常に稼動している給液部の数Mを確認する。なお、図1の構成では、Mは、「0」〜「3」の範囲の整数のいずれかの値となる。
【0085】
制御部237は、次に、ステップS3−3で、流量安定待機タイマを作動させ、流量安定待機時間の間、流量センサ401からの流量の収集は行われない。
制御部237は、ステップS3−3において流量安定待機タイマにより流量安定待機時間、例えば、1分が経過すると、ステップS3−4で、給液部201、202、203の測定流量を算出する。測定流量は、所定時間、例えば、10秒ごとに規定回数、例えば、6回、流量センサ401から流量を収集し、規定回数分の移動平均を算出することにより算出される。このように、測定した流量の規定回数分の移動平均を測定流量とすることにより測定流量のばらつきを低減することができる。
【0086】
次に、制御部237は、ステップS3−5で平均流量を算出する。平均流量は、収集したM個の測定流量の総和を算出し、測定流量の総和を稼働中の給液部の個数「M」で除算することにより算出される。
次に、制御部237は、ステップS3−6で、各給液部201、202、および203の各測定流量を平均流量と比較して、大きいか(平均流量>各測定流量)、等しいか(平均流量=各測定流量)、小さいか(平均流量<各測定流量)の判定を行う。
【0087】
制御部237は、ステップS3−6において、平均流量よりも給液部201、202、203のうちのいずれかの測定流量が小さい場合には(ステップS3−6で平均流量>各測定流量)、ステップS3−7で給液部201、202、203のうち対応する(測定対象の)給液部の流量調整弁501の開度情報を取得する。
次に制御部237は、ステップS3−8で、流量調整弁501の開度情報に基づいて給液部201、202、および203のうち対応する給液部の流量調整弁501で調整が可能か否かを判定する。すなわち、流量調整弁501の開度が全開の状態では、これ以上は、流量調整弁501を開くことはできないので、流量調整弁501の開度調整を行うことはできないと判断できる。
【0088】
制御部237は、ステップS3−8において給液部201、202、203のうちの対応する給液部の流量調整弁501の開度調整が可能な場合には(ステップS3−8でYes)、ステップS3−9で給液部201、202、203のうちの対応する給液部の流量調整弁501を開く。なお、このとき、制御部237は、ステップS3−9において流量調整弁501の全開の状態を100%としたとき、流量調整弁501を現在の開度から全開の5%程度開く調整を行う。
【0089】
また、制御部237は、ステップS3−6において平均流量よりも測定流量が大きい場合には(ステップS3−6で平均流量<各測定流量)、ステップS3−10で給液部201、202、203のうち対応する給液部の流量調整弁501の開度情報を取得する。次に制御部237は、ステップS3−11で、流量調整弁501の開度情報に基づいて給液部201、202、203のうちの対応する給液部の流量調整弁501で調整が可能か否かを判定する。すなわち、流量調整弁501の開度を最小限に絞った状態、例えば、全開を100%としたとき、開度が30%の状態では、これ以上、流量調整弁501を絞ることはできなくなる。よって、流量調整弁501の開度調整を行うことはできないと判断できる。
【0090】
制御部237は、ステップS3−11において給液部201、202、203のうち対応する給液部の流量調整弁501の開度調整が可能な場合には(ステップS3−11でYes)、ステップS3−12で給液部201、202、203のうち対応する給液部の流量調整弁501を絞る。なお、このとき、ステップS3−12では、流量調整弁501の全開の状態を100%としたとき、流量調整弁501を現在の開度から全開の5%絞る調整を行う。
【0091】
制御部237は、ステップS3−6において測定流量と平均流量とが等しい場合(ステップS3−6で平均流量=各測定流量)、ステップS3−8、およびステップS3−11の流量調整弁501の開度判定において開度調節できない場合(ステップS3−8、およびS3−11でNo)、およびステップS3−9、およびステップS3−12で流量調整弁501の開度調節後には、ステップS3−13で、すべての給液部の測定流量を平均流量と比較したか否かの判定を行う。すべての給液部の測定流量を平均流量と比較したか否かの判定は、例えば、M回、すなわち、正常稼働している給液部の数、Mだけ測定流量と規定流量との比較が行われたか否かを判定することにより行うことができる。
【0092】
制御部237は、ステップS3−13において、すべての給液部201、202、203の測定流量を平均流量と比較していなければ(ステップS3−13でNo)、ステップS3−6に遷移し、次の給液部の測定流量と平均流量との比較を行う。なお、比較の順番は、例えば、流量順や操作パネル701に制御部237を接続した順やランダムによって決定する。
【0093】
制御部237は、ステップS3−1において給湯運転中でない場合(ステップS3−1でNo)、およびステップS3−13において給液部201、202、203のすべての流量比較が完了した場合には(ステップS3−13でYes)、ステップS3−14で流量安定待機タイマのリセットを行い、ステップS3−1に戻る。
なお、制御部237は、ステップS3−6において、平均流量に所定幅(±0.5リットル/分)を設定し、この範囲内(「(平均流量)±0.5リットル/分」)に測定値が収まる場合は、測定流量が平均流量と等しいと判断し、この範囲を超えた流量について流量調整弁501の開度調整を行うものとする。
【0094】
〔効果〕
上記第1乃至第3の実施形態によれば、給液部201、202、203の各々から給液口301に供給される液体の流量を平均流量となるように制御することにより、給液部201、202、203の各々から給液口301に供給される液体の流量を均一化することができる。これにより、給液部201、202、203のうちの特定の給液部の加熱部211の圧縮機231が過剰に運転されることを防止でき、特定の給液部の加熱部211の圧縮機231の寿命が短縮することを防止できる。
【0095】
また、給液運転中に、高温の液体の残量が減り、特定の給液部の加熱部211の圧縮機231の稼働することを防止できる。これにより、貯蔵運転でタンク部212に貯蔵された加熱された高温の液体で、給液を行うことができるので、熱効率の向上を図ることができる。
【0096】
なお、本発明は、上述した第1乃至第3実施形態に限定されるものではなく、変形、削除または組み合わせて使用できることは言うまでもない。例えば、第1実施形態から第3実施形態の給液調整方法は、相互に利用可能である。また、第1実施形態から第3実施形態までの流量調整弁501の開度の調整方法も、互いに入れ替えて適用することが可能である。
【0097】
上記実施形態では、図1に示すように、3つの給液部201、202、203を並列に接続した構成を例に説明を行ったが、給液部の数は、3つに限定されるものではなく、2つ、又は4つ以上複数の給液部を含む構成であってもよい。
【0098】
また、タンク部212は、3つのタンク221、222、および223から構成されているが、タンク部212は、一つのタンクで構成されるものであってもよく、また、2つ、または4つ以上複数のタンクによって構成されるものであってもよい。
さらに、上記実施形態では、図1に示すように、タンク部212を構成する3つのタンク221、222、223を直列に接続した構成としているが、並列に接続した構成であってもよい。
【0099】
さらに、上記実施形態では、図1に示すように、流量センサ401は、タンク部212の下流側に配置されているが、流量センサ401は、タンク部212の上流側に配置されてもよい。同様に、流量調整弁501もタンク部212の下流側に配置されているが、タンク部212の下流側に配置されてもよい。要するに、流量センサ401は、給液部201、202、203の各々から給液口301に供給される液体の流量を検出できる箇所であれば、いずれの箇所であってもよい。また、同様に、流量調整弁501も給液部201、202、203の各々から給液口301に供給される液体の流量を調整できる箇所であれば、いずれの箇所であってもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、図1に示すように、3つの給液部201、202、203の各々に加熱部211、およびタンク部212を設けたが、単一の加熱部211を3つの給液部201、202、203で共通化してもよい。
【0101】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲で、種々の実施形態に適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0102】
100 給液装置
201、202、203 給液部
211 加熱部
212 タンク部
237 制御部
301 給液口
401(401a、401b、401c) 流量センサ
501(501a、501b、501c) 流量調整弁
601 注液口
701 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された複数の給液部からの液体を共通の給液口に供給する給液装置であって、
前記複数の給液部の各々に設けられ、前記複数の給液部の各々から前記給液口に供給される前記液体の流量を測定する流量センサと、
前記複数の給液部の各々に設けられ、前記複数の給液部の各々から前記給液口に供給される前記液体の流量を調整する流量調整弁と、
前記複数の給液部の流量センサで測定された測定流量に基づいて、前記複数の給液部の各々から前記給液口に供給される液体の流量の差が小さくなるように、前記複数の給液部に設けられた流量調整弁を制御する制御部とを備えることを特徴とする給液装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の給液部の各々の流量センサで測定された前記複数の給液部から前記給液口に供給される液体の最大流量と最小流量との差分が小さくなるように、前記最大流量に対応する前記流量調整弁と前記最小流量に対応する前記流量調整弁のいずれか一方を、前記流量の順に順次に調整する請求項1に記載された給液装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の給液部の各々に設けられた前記流量センサで測定された前記複数の給液部の各々から前記給液口に供給される液体の前記測定流量が、予め設定された規定流量になるように前記複数の給液部に設けられた前記流量調整弁を各々に制御することを特徴とする請求項1に記載された給液装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の給液部の各々に設けられた前記流量センサ毎に複数回、流量を測定し、測定した流量を平均化した測定流量を算出し、前記測定流量の合計を前記給液部の数で割ることにより平均流量を算出し、前記測定流量が前記平均流量となるように前記複数の給液部の各々に設けられた前記流量調整弁を制御することを特徴とする請求項1に記載された給液装置。
【請求項5】
前記複数の給液部は、各々、前記液体を加熱する加熱部と、
前記加熱部で加熱された液体を貯蔵し、前記給液口に供給するタンク部とを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の給液装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−2458(P2012−2458A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139513(P2010−139513)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】