説明

給湯システム

【課題】給湯システムにおいて、貯湯タンクを不要として、設置面積が少なくて済み、しかも簡単な構成にて即湯することができるようにする。
【解決手段】給湯システム1は、湯を沸上げる複数のヒートポンプ2と、沸上げられた湯を出湯し、出湯端末へ送出する給湯配管3と、を備える。複数のヒートポンプ2の出湯側に、沸上げられた湯を貯える貯湯タンクが設けられていない。給湯配管3は、沸上げられた湯を出湯する複数の第1の給湯配管4と、沸上げられた湯を出湯端末へ送出する第2の給湯配管5と、を含む。給湯配管3よりも大きい口径を持つ給湯バッファ配管6が、複数の第1の給湯配管4と第2の給湯配管5との間に設けられている。出湯端末の給湯口が開かれると、湯がヒートポンプ2により沸上げられ、沸き上げられた湯が第1の給湯配管4、給湯バッファ配管6、及び第2の給湯配管5を通って、給湯口から出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出湯端末で即湯が可能な給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、湯を沸上げるヒートポンプと、ヒートポンプにより沸上げられた湯を貯える貯湯タンクと、を備えて、貯湯タンクに貯えられた湯を給湯配管により出湯端末に送出する給湯システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−267708号公報
【発明の概要】
【0004】
上記のような給湯システムが、ビル等の建物内にある、敷地面積が限られた飲食店等の店舗において用いられることがある。そのとき、上記店舗で利用される給湯システムでは、即湯、すなわち、出湯端末の給湯口が開かれると、所定温度の湯が、瞬時に給湯口から出されることが求められる。そのため、貯湯タンクを出湯端末にできるだけ近いところに配置することになるが、貯湯タンクは一般に比較的、大型であるので、給湯システムの設置面積が大きくなり、設置が困難なことがある。なお、即湯のために、貯湯タンクと出湯端末との間に湯を循環させるものもあるが、その構成を採用したとしても、上記課題は解決しないし、構成は複雑となる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、貯湯タンクを不要として、設置面積が少なくて済み、しかも簡単な構成にて即湯することができる給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給湯システムは、湯を沸上げる熱源機と、前記熱源機により沸上げられた湯を出湯し、出湯端末へ送出する給湯配管と、前記熱源機の出湯側に設けられ、前記給湯配管よりも大きい口径を持つ給湯バッファ配管と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この給湯システムにおいて、前記熱源機から出湯された湯の温度を検出する湯温検出手段と、前記熱源機から出湯された湯を前記出湯端末へ送出する第1の経路と該熱源機から出湯された湯を該熱源機の給水側へ返送する第2の経路とを切替える切替手段と、前記湯温検出手段及び前記切替手段を制御する制御手段と、をさらに備えたことが好ましい。
【0008】
この給湯システムにおいて、前記熱源機が複数個、連結されていることが好ましい。
【0009】
この給湯システムにおいて、前記給湯バッファ配管は、前記複数の熱源機から出湯された湯が流入される互いに独立した複数の個別配管と、前記複数の個別配管を出湯端末側で合流させる合流配管と、を有したことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る給湯システムによれば、熱源機の出湯側に貯湯タンクを有していなくとも、熱源機により沸上げられた湯が、給湯配管及び給湯バッファ配管を通って、出湯端末へ送出されるようにしたので、出湯端末に即湯することができる。また、給湯システムの設置面積が低減されるので、設置に制約されることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る給湯システムの構成を示す平面図。
【図2】同システムが備える給湯バッファ配管の構成を示す斜視図。
【図3】同システムの変形例の構成を示す平面図。
【図4】同給湯バッファ配管の変形例の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る給湯システムについて、図1及び図2を参照して説明する。給湯システム1は、湯を沸上げる複数のヒートポンプ(熱源機)2と、複数のヒートポンプ2により沸上げられた湯を出湯し、出湯端末(図示せず)へ送出する給湯配管3と、を備える。また、この給湯システム1におては、複数のヒートポンプ2の出湯側に、沸上げられた湯を貯える貯湯タンクが設けられていない。給湯配管3は、複数のヒートポンプ2により沸上げられた湯を出湯する複数の第1の給湯配管4と、沸上げられた湯を出湯端末へ送出する第2の給湯配管5と、を含む。給湯配管3よりも大きい口径を持つ給湯バッファ配管6が、複数の第1の給湯配管4と第2の給湯配管5との間に設けられている。出湯端末の給湯口が開かれると、湯がヒートポンプ2により沸上げられ、沸き上げられた湯が第1の給湯配管4、給湯バッファ配管6、及び第2の給湯配管5を通って、給湯口から出される。なお、給湯配管3の口径の大きさは、第1の給湯配管4及び第2の給湯配管5の各々の口径の大きさに等しい。図中の矢印は、湯水の流れを示す。
【0013】
複数のヒートポンプ2は、給水のための給水配管7及び複数の第1の給湯配管4に接続されており、出湯端末の給湯口が開かれると運転する。ヒートポンプ2は、複数個、連結されていることが好ましい。それにより、給湯システム1全体としての湯の沸上げ能力が向上する。この場合、1個のヒートポンプ2が給湯システム1に設けられた場合よりも、所定温度の湯が、瞬時に給湯口から出される。
【0014】
給湯配管3、すなわち、複数の第1の給湯配管4及び第2の給湯配管5は、ヒートポンプ2の出湯側に設けられている。複数の第1の給湯配管4の上流端が、ヒートポンプ2にそれぞれ接続されている。複数の第1の給湯配管4の下流端は、給湯バッファ配管6にそれぞれ接続されている。それにより、複数の第1の給湯配管4は、給湯バッファ配管6により、合流される。第1の給湯配管4の代わりに、例えばヒートポンプ2に設けられている、沸上げられた湯を出湯するための出湯配管を用いることができる。これにより、ヒートポンプ2と給湯バッファ配管4とが、互いに近接して設けられる。したがって、給湯システム1の設置面積が低減される。なお、給湯システム1の設置面積の低減がさらに要求される場合には、ヒートポンプ2と給湯バッファ配管6とを直接接続してもよい。
【0015】
第2の給湯配管5の上流端は、給湯バッファ配管6に接続されている。第2の給湯配管5の下流端は、出湯端末に接続されている。
【0016】
給湯バッファ配管6は、円筒形状に形成されている。給湯バッファ配管6の側面には、
複数のヒートポンプ2の台数に対応した複数の入湯口61が、互いに十分離間して設けられている。複数の入湯口61は、複数の第1の給湯配管4の下流端とそれぞれ接続されている。それにより、複数の第1の給湯配管4が、給湯バッファ配管6により合流される。給湯バッファ配管6の下流側の底面(下流端)には、出湯口62が設けられている。出湯口62は、第2の給湯配管5の上流端と接続されている。それにより、複数のヒートポンプ2により沸上げられた湯は、第1の給湯配管4を通り、入湯口61から給湯バッファ配管6内に流れ込み、出湯口62から第2の給湯配管5へ流れ出す。
【0017】
給湯バッファ配管4の口径は第1の給湯配管4及び第2の給湯配管5の各々の口径よりも大きいので、複数のヒートポンプ2の出湯側に給湯バッファ配管4が設けられていない場合よりも大量の湯が、複数のヒートポンプ2の出湯側に滞留する。このため、複数のヒートポンプ2の出湯側に滞留する湯の温度が、給湯バッファ配管4が設けられていない場合よりも冷め難くなる。それにより、複数のヒートポンプ2により沸上げられた湯と、湯が沸上げられたときに複数のヒートポンプ2の出湯側に滞留している湯との温度差が小さくなる。したがって、出湯端末の給湯口から出される湯の温度変動が抑制される。
【0018】
また、複数の入湯口61が互いに十分離間して設けられているので、各々のヒートポンプ2の運転有無又は複数のヒートポンプ2の特性のばらつき等による複数のヒートポンプ2への悪影響が防止される。この悪影響としては、例えば沸上げ能力が低い一のヒートポンプ2の出湯が、沸上げ能力が高い他のヒートポンプ2の出湯により阻害されること等が挙げられる。
【0019】
給水配管7は、ヒートポンプ2の給水側に設けられている。分岐した給水配管7の下流端が、複数のヒートポンプ2にそれぞれ接続されている。
【0020】
上記のように構成された給湯システム1の動作について説明する。出湯端末の給湯口が開かれると、水が、給水圧により給水配管7を通って、複数のヒートポンプ2にそれぞれ供給される。複数のヒートポンプ2は、供給された水を沸上げる。これにより、湯が沸上げられる。複数のヒートポンプ2により沸上げられた湯は、第1の給湯配管4を通って、給湯バッファ配管6に流れ込む。給湯バッファ配管6に流れ込んだ湯は、ヒートポンプ2により湯が沸上げられる直前に給湯バッファ配管6内に滞留していた湯と混合して、第2の給湯配管5へ流れ出し、出湯端末に送出される。こうして、所定温度の湯が、瞬時に給湯口から出される。
【0021】
このように、本実施形態に係る給湯システム1によれば、複数のヒートポンプ2の出湯側に貯湯タンクが設けられていなくとも、複数のヒートポンプ2により沸上げられた湯が、給湯配管3及び給湯バッファ配管6を通って、出湯端末へ送出される。したがって、出湯端末に即湯することができると共に、給湯システム1の設置面積が低減され、設置に制約されることがなくなる。
【0022】
次に、給湯システム1の変形例について、図3を参照して説明する。以下においては、変形例に係る給湯システム1aが、上記給湯システム1と異なる点について説明する。給湯システム1aは、ヒートポンプ2から出湯された湯の温度を検出する温度センサ(湯温検出手段)8と、ヒートポンプ2から出湯された湯の経路を切替える切替手段9と、温度センサ8及び切替手段9を制御する制御手段10と、を備える。温度センサ8及び切替手段9は、第2の給湯配管5に上流側から順に設けられている。切替手段9と給水配管7とを接続する配管11が設けられている。ヒートポンプ2から出湯された湯の経路は、ヒートポンプ2から出湯された湯を出湯端末へ送出する第1の経路と、ヒートポンプ2から出湯された湯をヒートポンプ2の給水側へ返送する第2の経路と、を含む。具体的には、第1の経路は、ヒートポンプ2から出湯された湯が、第1の給湯配管、給湯バッファ配管6、及び第2の給湯配管5を通って、出湯端末に送出される経路を示す。第2の経路は、ヒートポンプ2から出湯された湯が、第1の給湯配管4、給湯バッファ配管6、第2の給湯配管5、配管11、及び給水配管7を通って、ヒートポンプ2の給水側へ返送される経路を示す。
【0023】
温度センサ8は、第2の給湯配管5内の湯の温度を検出する。切替手段9は、例えば三方弁から成り、ヒートポンプ2から出湯された湯の経路を第1の経路又は第2の経路に切替える。制御手段10は、例えばCPU(中央演算処理装置)及びメモリ、又はマイクロコンピュータから成り、温度センサ8により検出された湯の温度を温度センサ8から取得して、取得した湯の温度に基いて切替手段9を制御する。具体的には、制御手段10は、温度センサ8から取得した湯の温度と予め定められた所定温度とを比較して、取得した湯の温度が所定温度に達している場合、ヒートポンプ2から出湯された湯の経路が第1の経路となるように切替手段9を切替える。所得された湯の温度が所定温度に達していない場合、制御手段10は、ヒートポンプ2から出湯された湯の経路が第2の経路となるように切替手段9を切替える。なお、所定温度は、使用者の所望の温度を制御手段10に予め記憶させることにより定められる。
【0024】
上記のように構成された給湯システム1aの動作について説明する。出湯端末の給湯口が開かれると、上記の給湯システム1と同様に、水が、ヒートポンプ2に供給された後、沸上げられた湯が、ヒートポンプ2により湯が沸上げられる直前に給湯バッファ配管6内に滞留していた湯と混合して、第2の給湯配管5へ流れ出す。ここで、温度センサ8により検出された湯の温度が所定温度に達している場合、第2の給湯配管5へ流れ出した湯は、第1の経路を通って、出湯端末へ送出される。温度センサ8により検出された湯の温度が所定温度に達していない場合、第2の給湯配管5へ流れ出した湯は、第2の経路を通って、ヒートポンプ2の給水側へ返送される。
【0025】
このような給湯システム1aによれば、上記実施形態と同様に、即湯することができると共に、設置面積が低減される。また、ヒートポンプ2から出湯された湯が、所定温度に達するまでヒートポンプ2の給水側へ返送されるので、所定温度の湯が安定して出湯端末の給湯口から出される。
【0026】
次に、給湯バッファ配管6の変形例について、図4を参照して説明する。変形例に係る給湯バッファ配管6は、複数のヒートポンプ2から出湯された湯が流入される互いに独立した複数の個別配管6aと、複数の個別配管6aを出湯端末側で合流させる合流配管6bと、を有する。個別配管6aは、四角柱形状に形成されている。個別配管6aの形状は、四角柱形状に限らず、例えば円柱形状であってもよい。個別配管6aの側面には、ヒートポンプ2から出湯された湯を流入させる入湯口61が設けられている。個別配管6aの個数は、ヒートポンプ2の個数以上であれば、特に限定されない。合流配管6bは、上流側から下流側に向かって断面が漸次小さくなるように形成されている。合流配管6bの上流端は、複数の個別配管6aを合流するように、複数の個別配管6aの下流側の底面(下流端)と接続されている。合流配管6bの下流端は、第2の給湯配管5の上流端に接続されている。
【0027】
このような給湯バッファ配管6によれば、複数のヒートポンプ2から出湯された湯が、互いに独立した複数の個別配管6aにそれぞれ流れ込む。したがって、複数のヒートポンプ2への悪影響が十分に防止される。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、温度センサ8は、給湯バッファ配管6に設けられてもよい。また、給湯システム1において、温度センサ8、切替手段9、及び制御手段10が設けられてもよく、給湯システム1aにおいて、ヒートポンプ2が複数設けられもよい。また、ヒートポンプ2の代わりに、燃焼式の湯沸器、その他の湯沸器を用いてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 給湯システム
2 ヒートポンプ(熱源機)
3 給湯配管
4 第1の給湯配管
5 第2の給湯配管
6 給湯バッファ配管
6a 個別配管
6b 合流配管
8 温度センサ(湯温検出手段)
9 切替手段
10 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯を沸上げる熱源機と、
前記熱源機により沸上げられた湯を出湯し、出湯端末へ送出する給湯配管と、
前記熱源機の出湯側に設けられ、前記給湯配管よりも大きい口径を持つ給湯バッファ配管と、を備えたことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
前記熱源機から出湯された湯の温度を検出する湯温検出手段と、
前記熱源機から出湯された湯を前記出湯端末へ送出する第1の経路と該熱源機から出湯された湯を該熱源機の給水側へ返送する第2の経路とを切替える切替手段と、
前記湯温検出手段及び前記切替手段を制御する制御手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記熱源機が複数個、連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記給湯バッファ配管は、
前記複数の熱源機から出湯された湯が流入される互いに独立した複数の個別配管と、
前記複数の個別配管を出湯端末側で合流させる合流配管と、を有したことを特徴とする請求項3に記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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