説明

給湯ヘッダの制御方法

【課題】 一の系統が給湯使用中に他の系統で運転状況が変動しても、一の系統での出湯流量を設定流量に維持しつつも、一の系統の末端の給湯栓操作による出湯流量の変更調整をも可能として給湯使用の使用感の向上を図り得る給湯ヘッダの制御方法を提供する。
【解決手段】 検出流量に基づき各系統の流量制御弁の開度を設定流量になる適正位置に収束させ、その適正位置を記憶する。一の系統の流量制御弁を記憶位置に保持した状態で(S21)、他の系統での運転状況が変動すれば(S22でYES)、設定流量を維持するように新たな適正位置に再度収束させて記憶更新させる。他の系統での運転状況の変動がなければ、一の系統での検出流量が変動しても一の系統の流量制御弁の設定流量維持のための開度変更を禁止して同一開度に保持する(S23)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の給湯先に対応する2以上の混合弁に対し同じ給湯源及び給水源から湯と水とを供給し、各混合弁で湯と水との混合比を変更制御することにより各給湯先に対し各給湯先毎に互いに異なる温度(多温度)及び流量で給湯可能とするために用いられる給湯ヘッダの制御方法に関するものであり、特に各給湯先での出湯流量についての制御方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
2以上の給湯先に対し互いに異なる温度で給湯する給湯ヘッダとしては、例えば特許文献1又は特許文献2にその構成が開示されている。例えば図1に示すように、熱源機2において給水管21からの入水を加熱しこの湯を給湯ヘッダ3に入湯させる一方、上記給水管21から分岐させて上記給湯ヘッダ3に入水させ、給湯ヘッダ3の各混合弁で水と湯とを対応する給湯先の設定温度に基づいて所定の混合比で混合させることにより、各給湯先毎に互いに異なる温度での給湯を可能としている。すなわち、給湯源からの湯と給水源からの水とを混合して給湯先に給湯するという混合−給湯のための系統を、給湯先の数と少なくとも同数備えている。
【0003】
又、上記の各系統における給湯先での出湯流量については、各系統毎に混合弁の下流位置に配設した流量制御弁及び流量センサにより調整可能とされている。すなわち、系統毎に所望の設定流量が例えばリモコンにユーザが設定するなどして予め設定されており、この設定された設定流量と、上記流量センサによる検出流量とに基づいて上記流量制御弁の開度が例えばFB制御により制御され、これにより、系統毎に設定温度の湯が設定流量で出湯されるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−270868号公報
【特許文献2】特開2003−302101号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の如き給湯ヘッダでは、共通の給湯源及び給水源からの湯及び水を受けて2以上の系統に分けて給湯するようにしているため、各系統の運転状況の如何によって運転中(給湯使用中)の系統の混合弁に入湯又は入水する湯又は水の流量が変動することになる。例えば2以上ある系統の内の1つの系統だけ運転中の場合と、全ての系統が運転中の場合とでは、各系統の混合弁への入湯流量又は入水流量は互いに異なるものとなる。このため、ある系統で流量制御弁の制御により設定流量で給湯し続けているときに、他の系統で給湯が開始されたり、他の系統で継続していた給湯が停止されたりというように運転状況が変動すると、上記のある系統に流入する入湯流量又は入水流量が変動するため、そのある系統の流量制御弁ではそれまでの設定流量を維持するように開度が自動的に変更調整され、これにより、設定流量での出湯が維持されるようになっている。
【0006】
しかしながら、、上記の如く運転状況が変動しても各系統で設定流量を維持するように流量制御弁の自動制御を実行させると、出湯流量についてのユーザ側の変更意図に反する結果を招くおそれがある。
【0007】
すなわち、運転中の系統の末端の給湯栓からの出湯流量を少し小さくするために例えばユーザが給湯栓を少し閉側に操作したとしても、その流量変動の検出により上流側の流量制御弁が設定流量を維持するために開側に自動制御されてしまうことになる。このため、給湯栓を閉側に操作したにも拘わらず、一時的に出湯流量が小さくなるだけで、結局、元の出湯流量に戻ってしまうことになる。さらに、給湯栓操作を繰り返すことにより流量制御弁が全開状態に至れば、給湯栓の操作に応じた出湯流量の変化を得られるものの、それまでは上記の如く流量制御弁による自動制御に基づき出湯流量が維持されてしまうことになる。これにより、ユーザ側の出湯流量の変更意図に反し、使用感を損なう結果を招くおそれがある。逆に上記給湯栓を開側に操作する場合においても、同様に元の出湯流量に戻ってしまい、使用感を損なう結果を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、給湯ヘッダのある系統で給湯使用中に他の系統での給湯使用の運転状況の変動が生じたとしても、そのある系統での出湯流量を設定流量に維持することを可能としつつも、上記のある系統での出湯流量についての変更意図があればそれに従って流量変更を可能とし得る制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、混合弁、流量制御弁及び流量センサを有する系統を2以上備え、各系統が上流側の共通の給湯源及び給水源から入湯及び入水を受けて上記混合弁における混合により所定温度に調整した湯を下流側の互いに異なる給湯先に給湯するように構成されてなる給湯ヘッダの制御方法を対象にして、次の特定事項を備えるようにした。
【0010】
すなわち、請求項1に係る発明では、給湯運転している系統毎に各系統からの給湯流量が下流側の給湯先で要求される設定流量に相当する流量を維持するように流量制御弁の弁位置を変更制御する一方、その後も給湯運転が継続される系統毎に各系統の流量制御弁の弁位置を自己の系統を除く他の系統に給湯流量の変動がない場合に限り自己の系統の流量センサが流量変動を検出したとしても上記設定流量に相当する流量を維持するための弁位置の変更を禁止するようにした。
【0011】
又、請求項2に係る発明では、給湯運転している系統毎に各系統からの給湯流量が下流側の給湯先で要求される設定流量に相当する流量で安定していると判定されたときの流量制御弁の弁位置を記憶し、その後も給湯運転が継続される系統毎に各系統の流量制御弁の弁位置を自己の系統を除く他の系統に給湯流量の変動があれば設定流量に相当する流量を維持するように変更制御して変更後の弁位置に記憶更新する一方、上記他の系統で給湯流量の変動がなければ上記自己の系統の流量制御弁の弁位置をその時点で記憶されている弁位置と同一に保持し弁位置の変更を禁止するようにした。
【0012】
上記の請求項1又は請求項2の発明の場合、給湯運転中の自己の系統の流量制御弁の弁位置は他の系統での給湯流量の変動がなければ弁位置の変更が禁止されることになる。このため、上記の自己の系統の給湯先で出湯流量の変更操作(例えば給湯先の給湯栓の開側もしくは閉側への操作)が行われた場合には、その変更操作に応じて出湯流量が変更されることになる。つまり、他の系統での流量変動に起因する場合のみならず自己の系統だけの流量変動であっても、流量変動が生じた場合には流量制御弁の作動制御により設定流量に相当する流量を維持するように弁位置の変更制御が本来は実行されるところ、本発明では、他の系統に給湯流量の変動がない場合にはたとえ自己の系統で流量変動が生じたとしても設定流量に維持するための弁位置の変更制御が禁止される。これにより、他の系統での流量変動が生じた場合には自己の系統の流量制御弁の変更制御により自己の系統の給湯流量が設定流量に維持される一方、他の系統での流量変動がなければ自己の系統の給湯先での上記変更操作に従った出湯流量の変更調整を可能とし得ることになる。このため、上記の変更操作として表れるユーザの流量変更意図に合致した出湯を実現させて、給湯使用の使用感の向上が図られることになる。
【0013】
上記の各発明においては、給湯運転を停止するとき、停止させる系統毎に流量制御弁の弁位置をその時点の弁位置又はその時点で記憶されている弁位置に保持して次回の給湯運転の再開まで待機させるようにする(請求項3)。つまり、給湯運転が停止されるときは各系統の流量制御弁は所定の待機位置に変更されて次回の給湯運転の再開まで待機することになるのが本来であるところ、かかる待機位置への弁位置の変更を行わずに、運転停止時点の弁位置(請求項1の場合)又はその時点で記憶されている弁位置(請求項2の場合)に保持して待機させるようにする。この場合には、次回の給湯運転が再開された際に給湯先に対する給湯流量を設定流量に相当する流量に迅速にすることが可能となったり、給湯先に対する給湯流量を運転再開直後から設定流量に相当する最適な流量にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、請求項1〜請求項3のいずれかの給湯ヘッダの制御方法によれば、各系統から給湯先への給湯流量を設定流量に維持させつつも、給湯先側での流量変更操作に基づく出湯流量の変更調整をも的確に実現させることができる。これにより、給湯ヘッダを介した複数の給湯先での給湯使用の使用感を向上させることができるようになる。
【0015】
特に請求項3によれば、次回の給湯運転開始直後から給湯先毎に対応する設定流量での最適な出湯流量を得ることができたり、あるいは、設定流量での出湯流量を迅速に得ることができることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の制御方法が適用される給湯ヘッダを用いた給湯システムの例を示す。この給湯システムは、共通の熱源機2により加熱された湯を、給湯ヘッダ3を経由させることにより2以上(図例では第1〜第3の3箇所)の給湯先4〜6に対し給湯先毎に異なる設定温度及び設定流量で分配して分岐給湯し得るようにしたものである。給湯先4〜6の例としては、第1給湯先4が台所の給湯栓、第2給湯先5が洗面台の給湯栓、第3給湯先6がシャワー栓である。
【0018】
上記熱源機2は水道管等の給水元管21からの水の給水を受けて燃焼バーナ及び熱交換器等からなる加熱手段22により所定の高温度(例えば60〜75℃)まで加熱し、加熱した湯を給湯路23を通して上記給湯ヘッダ3の給湯口31に供給するようになっている。上記加熱手段の加熱作動は内蔵された熱源機側コントローラ24により制御されるようになっている。なお、この熱源機側コントローラ24は後述のヘッダ側コントローラ7と有線又は無線により相互通信可能に接続されている。又、上記の給水元管21は熱源機2よりも上流側から分岐して水を給湯ヘッダ3の給水口32に供給するようになっている。上記の熱源機2が給湯源を、給水元管21が給水源をそれぞれ構成している。
【0019】
上記給湯ヘッダ3は入湯路33と、入水路34と、上記給湯先4〜6に対応する数の第1〜第3の系統35〜37と、各系統35〜37による給湯運転を制御するコントローラ(ヘッダ側コントローラ)7とを含む各種機器がハウジング30内に内蔵されたものである。上記の第1〜第3の各系統35〜37は、上記入湯路33及び入水路34からの湯・水を所定の混合比で混合する混合弁351,361,371と、混合後の温度を検出する出湯温度センサ352,362,372と、混合後の湯の通過流量を制御する流量制御弁353,363,373と、各給湯先4〜6に給湯される湯の流量を検出する流量センサ354,364,374とを備え、これらが各給湯先4〜6に続く給湯路上に配設されている。上記の流量制御弁353,363,373はサーボ弁により構成されている。
【0020】
上記入湯路33は、その上流端が上記給湯口31に接続され、下流側がそれぞれ分岐して上記各混合弁351,361,371に対し湯を供給するように接続されている。そして、上記入湯路33には、入湯の全体流量を調整する全閉機能付きの流量制御弁331と、入湯温度を検出する入湯温度センサ332と、万一の断水発生時等における各混合弁351,361,371からの逆流を防止するための逆止弁333,334,335とが介装されている。
【0021】
上記入水路34は、その上流端が上記給水口32に接続され、下流側がそれぞれ分岐して上記各混合弁351,361,371に対し個別に水を供給するように接続されている。そして、上記入水路34には、入水の全体流量を調整する全閉機能付きの流量制御弁341と、入水温度を検出する入水温度センサ342と、万一の断水発生時等における各混合弁351,361,371からの逆流を防止するための逆止弁343,344,345とが介装されている。
【0022】
また、上記各給湯先4〜6にはそれぞれリモコン71,72,73が設置され、この各リモコン71,72,73にユーザが入力設定した出湯温度についての設定温度及び出湯流量についての設定流量等の情報を上記コントローラ7に出力するようになっている。なお、本実施形態では給湯先毎にリモコンを設置しているが、これに限らず、いずれかに設置された1つのリモコンにより各給湯先毎の設定温度及び設定流量について入力設定し得るようにしてもよい。
【0023】
上記コントローラ7は図2に示すように第1〜第3の全系統の混合弁351,361,371を制御対象として混合比を変更制御する混合制御部74と、第1〜第3の全系統の流量制御弁353,363,373を制御対象としてその作動を制御する流量制御部75とを備えている。
【0024】
上記混合制御部74は、各リモコン71〜73から出力される設定温度と、入湯温度センサ332により検出される入湯温度と、入水温度センサ342により検出される入水温度との各出力を前提情報として受け、出湯温度センサ352,362,372により検出される混合後の温度に基づいて、混合後の温度が上記の設定温度になる混合比を演算し、その混合比に対応する位置に混合弁351,361,371を作動させるようになっている。そして、以後、運転状況が変動しても、設定温度を維持するように混合比を増減変更するようになっている。
【0025】
次に、上記流量制御部75による流量制御について説明する。この流量制御部75による主要な制御は、給湯ヘッダ3の現在の運転状況下において給湯運転状態にある系統35,36又は37の流量制御弁353,363又は373を対象としてその系統に設定された設定流量を流通させる上で適正な弁位置(開度)へ収束させる収束制御と、一の系統以外の他の系統での運転状況は変動していないものの上記一の系統で出湯流量の変動が検出されたときに、その一の系統の流量制御弁についての上記収束制御の実行を禁止する個別制御との各ルーチンを含むものである。つまり、上記収束制御によって、いずれかの給湯先4,5又は6で給湯使用が開始されて運転開始されたときに、運転開始された系統での出湯流量を設定流量にするための制御が行われる一方、給湯運転中の一の系統以外のいずれか他の系統での運転状況の変動に起因して一の系統に対する入湯流量や入水流量が変動したときにも一の系統での出湯流量が設定流量での流通に維持されるようになっている。上記の運転状況の変動とは、それまで運転停止状態の系統の給湯運転開始、それまで給湯運転中の系統の運転停止、あるいは、給湯運転中の系統での出湯流量の変更等のことである。
【0026】
図3のフローチャートを参照しつつ具体的に説明すると、いずれかの給湯先4,5又は6の給湯栓が開かれて給湯使用が開始されると制御が開始され、その時点(現在)の運転状況下において給湯運転中の各系統35,36又は37毎に実行する上記の収束制御(ステップS1)と、この収束制御により設定流量に対する流量制御弁353,363又は373の適正位置(設定流量を実現し得る適正開度)を取得した後に実行する上記の個別制御(ステップS2)とを全系統35〜37の給湯運転が停止されるまで繰り返す(ステップS3でNO,ステップS1・S2)。そして、全系統35〜37の給湯運転が停止されれば(ステップS3でYES)、流量制御弁353,363又は373の位置(開度)を上記のステップS1で取得し記憶した各適正位置に保持しこの状態で待機させて(ステップS4)、終了する。
【0027】
上記のステップS1の収束制御についてより詳細に説明する。図4に給湯運転中のある1つの系統35,36又は37について示すように、流量制御弁353,363又は373の作動を許可し、設定流量の流通流量になるように収束させる(ステップS11)。第1系統35を例に説明すると、流量制御弁353の位置(開度)を流通流量が上記の設定流量になるように流量センサ354による検出流量に基づいてFB制御する。これを検出流量が設定流量とほぼ同じ(所定の許容範囲内)になるまで続け(ステップS12でNO,ステップS11)、そのほぼ同じになった状態が所定時間(例えば10〜20秒間)だけ持続することで安定状態に至ったと判定する(ステップS13でYES)。そして、安定的に設定流量を流通させている流量制御弁353の現在位置(現在開度)を記憶部751(図2参照)に記憶する(ステップS14)。以上を給湯運転中の各系統35,36又は37について実行し、各リモコン71,72又は73に設定された設定流量を実現する上記現在位置を流量制御弁353,363又は373毎に個別に記憶する。
【0028】
上記のステップS2の個別制御の詳細を、図4と同様に給湯運転中のある1つの系統35,36又は37について示す図5に基づいて説明する。上記と同様に第1系統35を例に説明すると、流量制御弁353を上記の記憶した位置に保持した状態に維持し(ステップS21)、他の第2系統36又は第3系統37の運転状況が変動したか否かを監視する(ステップS22)。この変動発生の有無は、流量センサ354,364又は374の検出流量の変動状況によって判定する。検出流量が例えば上記の許容範囲以上に変動したり、それまでゼロだったのが給湯運転の開始により有意の数値に変化したり、それまでの設定流量とほぼ同数値であったのが給湯運転の停止によりゼロに変化したりすれば運転状況の変動が発生したと判定する。そして、他の系統36又は37の運転状況が変動した場合には(ステップS22でYES)、図3のステップS3を経てステップS1の収束制御が実行され、これにより、設定流量での出湯が維持されるように流量制御弁353の位置が変更調整され、新たな適正位置に記憶更新される(図4のステップS14参照)。
【0029】
逆に、他の系統36及び37に運転状況の変動は生じていないにも拘わらず、第1系統35の流量センサ354の検出流量が上記許容範囲以上に変動した場合、つまり設定流量を逸脱するような変動を示した場合には(ステップS22でNO)、流量制御弁353の位置(開度)を変更するような作動の実行を禁止し(ステップS23)、それまでの記憶位置(記憶開度)に保持し続ける(ステップS21,ステップS22でNO)。要するに、上記のステップS23による処理により、流量センサ354の検出流量に変動が生じても、設定流量を維持しようとする流量制御弁353に対する収束制御(図3のステップS1)の実行を禁止するのである。以上の処理を、給湯運転中であれば各系統35,36又は37毎に行う。
【0030】
上記の禁止処理によって、例えば第1系統35の場合であれば、給湯先4の給湯栓が例えばユーザにより閉じ側に操作されると、流量制御弁353が同一位置に保持されるため、そのユーザ操作に応じて出湯流量が絞られて、出湯流量についてのユーザの変更意図通りの給湯使用を実現させることができるようになる。その一方、他の系統36又は37での運転状況が変動した場合には、第1系統35の流量制御弁353に対し原則通り収束制御が実行されて、給湯先4からの出湯流量を設定流量に維持させることができる。つまり、流量制御弁353,363,373を用いて設定流量での出湯状態に維持させる自動制御の利点を得つつも、給湯先4,5,6の末端の給湯栓操作による出湯流量調整の利点をも併せて得ることができるのである。これにより、給湯ヘッダ3を介した複数の給湯先での給湯使用の使用感を向上させることができるようになる。
【0031】
又、制御を終了して給湯ヘッダ3の運転を停止する際には、流量制御弁353,363,373の本来の待機位置まで戻さずに、記憶部751に記憶されているその時点での適正位置に保持して待機させるようにし(上述のステップS4の処理)、次回の給湯運転開始時には上記の適正位置からスタートさせるようにしているため、次回の給湯運転開始直後から給湯先4,5,6毎に対応する設定流量での最適な出湯流量を得ることができるようになるか、あるいは、設定流量での出湯流量を迅速に得ることができるようになる。上記のステップS4の処理を、給湯先4,5,6の給湯栓の閉止による運転停止時に加え、リモコン71,72,73がOFF操作されたときにも同様に実行させることで、次回の給湯運転開始時に上記と同様の効果を得ることができる。
【0032】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、給湯ヘッダ3として3つの系統35,36,37を備えたものを示したが、これに限らず、系統の数は2つ又は4つ以上であってもよく、又、入水路34に対し水のみを供給する分岐経路を付加して給湯ヘッダを構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態を適用する給湯ヘッダの例を示す模式図である。
【図2】コントローラの内容を示すブロック図である。
【図3】流量制御についての基本フローチャートである。
【図4】図3の基本フローチャート中のステップS1の処理を1系統について実行する場合のフローチャートである。
【図5】図3の基本フローチャート中のステップS2の処理を1系統について実行する場合のフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
2 熱源機(給湯源)
3 給湯ヘッダ
4,5,6 給湯先
21 給水元管(給水源)
35,36,37 系統
75 流量制御部
351,361,371 混合弁
353,363,373 流量制御弁
354,364,374 流量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合弁、流量制御弁及び流量センサを有する系統を2以上備え、各系統が上流側の共通の給湯源及び給水源から入湯及び入水を受けて上記混合弁における混合により所定温度に調整した湯を下流側の互いに異なる給湯先に給湯するように構成されてなる給湯ヘッダの制御方法において、
給湯運転している系統毎に各系統からの給湯流量が下流側の給湯先で要求される設定流量に相当する流量を維持するように流量制御弁の弁位置を変更制御する一方、
その後も給湯運転が継続される系統毎に各系統の流量制御弁の弁位置を自己の系統を除く他の系統に給湯流量の変動がない場合に限り自己の系統の流量センサが流量変動を検出したとしても上記設定流量に相当する流量を維持するための弁位置の変更を禁止するようにする
ことを特徴とする給湯ヘッダの制御方法。
【請求項2】
混合弁、流量制御弁及び流量センサを有する系統を2以上備え、各系統が上流側の共通の給湯源及び給水源から入湯及び入水を受けて上記混合弁における混合により所定温度に調整した湯を下流側の互いに異なる給湯先に給湯するように構成されてなる給湯ヘッダの制御方法において、
給湯運転している系統毎に各系統からの給湯流量が下流側の給湯先で要求される設定流量に相当する流量で安定していると判定されたときの流量制御弁の弁位置を記憶し、
その後も給湯運転が継続される系統毎に各系統の流量制御弁の弁位置を自己の系統を除く他の系統に給湯流量の変動があれば設定流量に相当する流量を維持するように変更制御して変更後の弁位置に記憶更新する一方、上記他の系統で給湯流量の変動がなければ上記自己の系統の流量制御弁の弁位置をその時点で記憶されている弁位置と同一に保持し弁位置の変更を禁止するようにする
ことを特徴とする給湯ヘッダの制御方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の給湯ヘッダの制御方法であって、
給湯運転を停止するとき、停止させる系統毎に流量制御弁の弁位置をその時点の弁位置又はその時点で記憶されている弁位置に保持して次回の給湯運転の再開まで待機させるようにする、給湯ヘッダの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−97935(P2006−97935A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282589(P2004−282589)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】