説明

給湯ユニット

【課題】敷地面積を拡大することなく給湯ユニットの設置を可能とし、かつ、耐圧性能を抑えることが可能な給湯ユニットを提供すること。
【解決手段】温水を貯留するための貯湯タンク1と、この貯湯タンク1内の水を加熱する水熱交換器22をタンク下部に設置したヒートポンプ装置2と、貯湯タンク1に接続され、貯湯タンク1内に水を供給する給水管14および貯湯タンク1内の温水を建物内に供給する給湯管15と、を備えた給湯ユニットであって、貯湯タンク1は、上下面11a,11bが側面11cよりも大きな面積の形状に形成され、かつ、貯湯タンク1は、建物の屋根RF上に、上面11aの一端側を他端側よりも上方に配置して傾斜させるとともに、屋根RFとの間にヒートポンプ装置2を含む機器の設置用スペースSPを形成して設置されていることを特徴とする給湯ユニットとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、集合住宅などで用い、加熱手段により加熱した温水を貯留する貯湯タンクを備えた給湯ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプ装置などの加熱手段により加熱した温水を貯湯タンクに貯留し、住宅の配管に給湯するようにした給湯ユニットが知られている。
さらに、上記給湯ユニットに、太陽熱で過熱した温水を導くことで、より省エネルギーを図るようにしたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−14316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような給湯ユニットでは、貯湯タンクを地上に設置するようになっているため、給湯ユニット設置用の敷地が必要であった。特に、集合住宅において各戸独立に給湯ユニットを設置する場合には、給湯ユニットの設置数が多くなり、必要な敷地面積が広くなる。しかも、積層住宅では、2階以上に給湯する場合、給湯ユニットから加圧して給湯する必要があり、この場合、貯湯タンクや配管の耐圧性を高く設定する必要がある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決することを目的とするものであり、敷地面積を拡大することなく給湯ユニットの設置を可能とし、かつ、耐圧性能を抑えることが可能な給湯ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、温水を貯留するための貯湯タンクと、この貯湯タンク内の水を加熱する加熱器をタンク下部に設置した加熱装置と、前記貯湯タンクに接続され、前記貯湯タンク内に水を供給する給水管および前記貯湯タンク内の温水を建物内に供給する給湯管と、を備えた給湯ユニットであって、前記貯湯タンクは、上下面が側面よりも大きな面積の形状に形成され、かつ、前記貯湯タンクは、前記建物の屋根上に、前記上面の一端側を他端側よりも上方に配置して傾斜させるとともに、前記屋根との間に前記加熱装置を含む機器の設置用スペースを形成して設置されていることを特徴とする給湯ユニットとした。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給湯ユニットにおいて、前記貯湯タンクの上面を覆って設けられて太陽熱を集める集熱器と、前記貯湯タンクの下部に設けられて前記集熱器で加熱された熱媒体が循環されて放熱を行う放熱器とを有した太陽集熱装置を備えていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の給湯ユニットにおいて、前記太陽集熱装置の前記集熱器を覆って太陽光発電装置の太陽電池モジュールが設けられ、この太陽電池モジュールは、太陽光を前記集熱器に透過可能に形成されているとともに、前記集熱器に支持されて形状保持されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の給湯ユニットにおいて、前記屋根において上方を前記貯湯タンクで覆われている位置で、前記給水管および前記給湯管が前記屋根を貫通して前記建物内へ配管されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の給湯ユニットにおいて、前記加熱装置として、外気と熱交換を行って熱媒体を加熱する空気熱交換器と、この空気熱交換器で加熱された熱媒体が送られて放熱する水熱交換器とを有したヒートポンプ装置を備え、このヒートポンプ装置の水熱交換器を前記加熱器として用いたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の給湯ユニットにおいて、前記加熱装置として、前記貯湯タンクの上面を覆って設けられて太陽熱を集め熱媒体と熱交換を行って低温低圧ガス状の熱媒体を加熱する集熱器と、この集熱器で加熱されたガス状の熱媒体を加圧して高圧高温ガス状の熱媒体を形成する加圧器と、前記張湯タンクの底部に設けられて前記加圧器から送られた高圧高温ガス状の熱媒体の放熱を行う放熱器と、この放熱器で放熱を行ったガス状の熱媒体を膨張させて低温低圧ガス状とする膨張弁とを有した加圧型ヒートポンプ装置を備え、この加圧型ヒートポンプ装置の放熱器を前記加熱器として用いたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の給湯ユニットにおいて、前記屋根は、陸屋根であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の給湯ユニットでは、貯湯タンクを屋根の上に設置するため、給湯ユニット設置用の敷地が不要であり、特に、複数の給湯ユニットを設置する場合に必要な敷地面積を大幅に抑えることができる。
また、給湯ユニットは、貯湯タンクを屋根上に設置するため、給湯の際には重力を利用することが可能である。したがって、2階以上に給湯する場合であっても、加圧が不要あるいは加圧力を抑えることができ、貯湯タンクおよび給湯管の耐圧性能を抑えることができる。
しかも、貯湯タンクを上下面が側面よりも広い扁平形状として傾斜させたため、従来の直方体や円筒形状のタンクを起立状態で屋上に設置するのと比較して、全体容量は確保しつつ屋根上高さを抑えたコンパクトな設置が可能であり、かつ、貯湯タンクを略水平に設置したものと比較して、自然対流を促進させて低温の水をタンク下部に集めて加熱器による効率的な加熱を可能とするとともに、タンク上部における高温の温水部分の水位を確保して、安定した温水供給を可能とする。
加えて、貯湯タンクと屋根との間に設置用スペースを形成したため、加熱装置を含む器機の設置をコンパクトに行い、給湯ユニットの設置に必要な屋根面積を小さくすることが可能である。
【0009】
さらに、請求項2に記載の給湯ユニットでは、加熱装置と並列に太陽集熱装置を設けたため、日照が得られる昼間は、太陽熱で温水を加熱することができ、経済性に優れる。
加えて、扁平形状の貯湯タンク上に太陽集熱装置の集熱器を設置しているため、太陽集熱装置を貯湯タンクの水平方向に並列に設置するものと比較して、設置に必要な屋根上面積を抑えてコンパクトな設置が可能であり、かつ、集熱器の設置面積を広く確保することができる。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明では、太陽光発電装置を設けたため、給湯だけでなく、太陽光を利用した発電も可能となり、より省エネルギー性能を高めることができる。しかも、集熱器の上に太陽光発電モジュールを設置しているため、太陽光発電モジュールを貯湯タンクの水平方向に並列に設置するものと比較して、設置に必要な屋上面積を抑えてコンパクトな設置が可能であるとともに、集熱器により太陽光発電モジュールの形状保持を行う支持部材を兼用させることで、太陽光発電モジュール専用の支持部材を廃止することができ、軽量化およびコスト低減を図ることができる。
加えて、太陽光発電モジュールを、太陽光を集熱器に透過可能にしたことにより、太陽光発電モジュールを集熱器に重ねても集熱器による集熱を可能とすることができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明では、給水管および給湯管が屋根を貫通する部位を、貯湯タンクにより上方を覆われている位置としたため、この貫通部位が貯湯タンクに覆われていないものと比較して、雨水の建物内への浸入防止性能の向上を図ることができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明では、加熱手段として、ヒートポンプ装置を用いたため、貯湯タンク内の水を外気が有する熱エネルギーにより加熱することができ、経済性に優れる。特に、請求項2に記載の太陽集熱装置と並設した場合、日照が得られる昼間は、太陽集熱装置による加熱を行い、日照が得られない夜間は、ヒートポンプ装置による加熱を行うことにより、1日を通して経済性に優れた温水加熱を行うことができる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明では、日照時には、加圧型ヒートポンプ装置により、太陽熱を集める集熱器により熱媒体を加熱するため、外気温と熱交換を行うものと比較して、熱媒体を安価に高温に加熱できる。また、集熱器は、貯湯タンクの上面を覆い、広面積に形成することができるため、ファンにより外気を強制的に当てなくても、高い熱交換性能を確保可能である。
【0014】
また、請求項7に記載の発明では、屋根を平らな陸屋根としたため、貯湯タンクと屋根との間に設置用スペースを確保するのが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1の給湯ユニットAの構成の概略を示す断面図である。
【図2】実施の形態1の給湯ユニットAを設置した建物全体の概略を示す斜視図である。
【図3】実施の形態2の給湯ユニットBの構成の概略を示す断面図である。
【図4】実施の形態3の給湯ユニットCの構成の概略を示す断面図である。
【図5】実施の形態4の給湯ユニットDの構成の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1、図2により実施の形態1の給湯ユニットAについて詳細に説明する。
【0017】
この実施の形態1の給湯ユニットAについて説明するのにあたり、まず、図2に基づいて、実施例1の給湯ユニットAを設置した3階建てのユニット建物UHについて説明する。
【0018】
図2はユニット建物UHの概略を示す斜視図であり、このユニット建物UHは、工場で製作される複数の建物ユニットU1,U2,U3,・・・を建築現場で水平方向および上下方向に接合し、最上階に配置された建物ユニットU3に屋根RFを設けることによって形成されている。なお、この屋根RFには、勾配が殆ど無い、陸屋根が用いられている。
【0019】
各建物ユニットU1,U2,U3は、詳細な図示は省略するが、四隅に配置された鋼製の柱と、その柱の上端間および下端間に架け渡された鋼製の梁部材BE(図1参照)とによって、ボックス形のラーメン構造に形成されている。そして、本実施の形態では、ユニット建物UHは、集合住宅用のもので、建物ユニットU1〜U3は、それぞれ、矢印X方向で内部が連通されて1戸の住居が形成されている。また、各住居は、矢印Y方向および上下方向(矢印UPが上方を示す)には、図示を省略した区画壁と天井および床により相互に区画されている。
【0020】
給湯ユニットAは、ユニット建物UHの屋根RFの上に設置されている。
本実施の形態1では、1戸の住居ごとに独立した給湯ユニットAが設置されており、図示のように、最上階に配置された建物ユニットU3の1つに、3個の給湯ユニットAが矢印Y方向に並設されている。なお、給湯ユニットAが設置された建物ユニットU3と、その矢印Y方向に隣り合う建物ユニットU3とは、それぞれ、この建物ユニットU3の矢印X方向に延在された梁部材(図示省略)どうしが接することなく、両者の間に矢印Y方向に間隔を空けて結合されており、各給湯ユニットAに接続された配管(図1に示す給水管14および給湯管15)は、建物ユニットU1どうしの間、建物ユニットU21どうしの間、建物ユニットU3どうしの間では、それぞれこの間隔の部分を通って、その下方の給湯対象の住居まで配索されており、室内に突出することの無い建物内配管が図られている。
【0021】
次に、実施の形態1の給湯ユニットAの詳細について、図1に基づいて説明する。
給湯ユニットAは、貯湯タンク1、ヒートポンプ装置(加熱装置)2、太陽集熱装置3、太陽光発電装置4、加圧器5を備えている。
貯湯タンク1は、耐食性に優れた金属あるいは樹脂製で丸みを帯びた直方体箱状のタンク本体11を備えている。このタンク本体11は、上面11aおよび下面11bの面積が側面11cの面積よりも広い扁平な形状に形成されており、具体的には、本実施の形態1では、上下方向寸法300mm程度、図における左右方向の長さ2500mm程度、図の奥行き方向の幅900mm程度で400リットルほどの容量に形成されている。なお、タンク本体11は、その全周が発泡性の樹脂などの断熱材12に覆われている。
【0022】
本実施の形態1では、この貯湯タンク1は、上面11aおよび下面11bの図において右側端が左側端よりも高く配置されるように30度程度傾斜させるとともに、屋根RFとの間に機器設置用の設置用スペースSPを形成して支持部材6に支持されて屋根RFの上に設置されている。
なお、上述の建物ユニットU3は、図2の矢印X方向の幅が、2500mm程度の寸法に形成されており、建物ユニットU3の矢印X方向の両端部には、図1に示す梁部材BEが矢印Y方向に延在されている。
【0023】
支持部材6は、複数の脚部材61を備え、この脚部材61は、支持部材6で支える荷重が梁部材BEで支えられるように、梁部材BEと上下方向で重なるように配置され、さらに、脚部材61と梁部材BEとが、屋根RFを貫通する図示を省略した連結部材を介して結合されている。
【0024】
また、貯湯タンク1は、上端部に点検口13が開口されており、かつ、下端部に給水管14が接続されている一方、上部に設けられた給湯口15aに給湯管15が接続されている。なお、各管14,15は、一箇所に集められ、屋根RFを貫通して、後述する電力線43,70とともに、その下方の住居に配索されている。この屋根RFにおける両管14,15および電力線43,70の貫通部は、貯湯タンク1の真下で貯湯タンク1に覆われる位置に配置され、かつ、防水構造部7により防水が図られている。
【0025】
ヒートポンプ装置2は、周知のように、外気と熱交換を行なう空気熱交換器21と、この空気熱交換器21で得られた熱が管路23を介して循環される熱媒体により伝達されて貯湯タンク1のタンク本体11内の水を加熱する水熱交換器22とを備えている。そして、空気熱交換器21や図示を省略した圧縮機および膨張弁を備えた本体ユニット20が、設置用スペースSPに配置されて屋根RFの上に設置されている。また、水熱交換器22は、タンク本体11の内部の下部に設置されている。
【0026】
太陽集熱装置3は、集熱器31と循環配管32と放熱器(加熱器)33と循環器34とを備えている。
集熱器31は、貯湯タンク1の上面11aに沿って設けられており、図示は省略するが、太陽光を受けて加熱される集熱板を備えている。循環配管32は、集熱器31と放熱器33とで熱媒体を循環させるもので、詳細な図示は省略するが集熱板と熱交換可能に集熱器31に沿って蛇行して配索されているとともに、熱媒体を、集熱器31から、集熱器31の上部→放熱器33の下部→放熱器33の上部→循環器34→集熱器31の下部の順で循環させる。放熱器33は、タンク本体11の内部の下部に設置されており、集熱器31で加熱された熱媒体が有する熱をタンク本体11内の水に放熱する構造を有している。
循環器34は、ポンプを内蔵し、熱媒体を熱による対流方向に逆行させて集熱器31から放熱器33に供給および循環させるもので、タンク本体11の外部であって、設置用スペースSPに設置されている。
【0027】
太陽光発電装置4は、太陽光発電モジュール41,パワーコンディショナ42を備えている。
太陽光発電モジュール41は、太陽光により発電するもので、集熱器31の表面に沿って貼付されることで平面形状に保持され、発電した直流電流をパワーコンディショナ42に出力する。また、本実施の形態1では、太陽光発電モジュール41は、半透明で光を透過可能なものが用いられており、太陽光は太陽光発電モジュール41を通過して集熱器31により集熱することを可能としている。
【0028】
パワーコンディショナ42は、太陽光発電モジュール41で発電した直流電力を交流電力に変換して、住居側に供給するもので、設置用スペースSPに設置されている。また、パワーコンディショナ42に接続された電力線43は、両配管14,15と共に、防水構造部7を通って住居側に配索されている。
【0029】
加圧器5は、給湯管15の途中に介在され、貯湯タンク1で加熱された温水を加圧して住居側に供給するもので、設置用スペースSPに設置されている。なお、本実施の形態1では、安定した給湯を図るために加圧器5を設置した例を示しているが、貯湯タンク1が屋上に配置されていることから、重力のみを利用した給湯も可能であり、加圧器5は設けなくてもよい。
【0030】
次に、実施の形態1の作動を説明する。
(昼間の日照時)
太陽が照っているときには、太陽光発電モジュール41が太陽光を受けて発電し、電力をパワーコンディショナ42から住居に供給可能とする。
また、太陽光発電モジュール41を透過した太陽光は、集熱器31により集熱され、集熱器31を通る熱媒体が加熱される。同時に、循環器34を駆動させて、集熱器31で加熱された熱媒体が放熱器33に循環され、タンク本体11に貯留された水が加熱される。
【0031】
貯湯タンク1では、放熱器33により加熱された温水は、図の矢印に沿うように自然対流によりタンク本体11の上部に集まり、相対的に低温の温水は、図の矢印に沿うようにタンク本体11の下部に対流した後、放熱器33により加熱されて上部へ対流する。この対流を繰り返すことにより、タンク本体11の内部では、高温の温水ほど上部に貯留される。このとき、貯湯タンク1は傾斜させているため、略水平に設置したものと比較して、自然対流を促進させて低温の水をタンク下部に集めて放熱器33による効率的な加熱を可能とする。
【0032】
また、住居側で温水を使用する場合は、給湯管15を介して、タンク本体11の上部の温水が供給される。そして、本実施の形態1では、貯湯タンク1を傾斜させているため、水平に設置したものと比較して、高温の温水が溜まったときの上下方向の高さを確保でき、その分、給湯口15aから高温の温水を給湯可能な水位変化を確保でき、安定した給湯が可能となる。
なお、この給湯によりタンク本体11の水量が低下すると、随時、給水管14を介して水が補充される。
【0033】
(夜間や日照不足時)
夜間など日照が得られない場合は、ヒートポンプ装置2を駆動させ、空気熱交換器21により空気中から吸熱し、これにより得られた熱を水熱交換器22に送って放熱させてタンク本体11内の水を加熱する。この場合、夜間は、深夜電力を使用することができ、経済性に優れる。
【0034】
本実施の形態1では、以上のように太陽熱を利用した加熱および外気温度を利用した加熱を行うことができるため、タンク本体11内の水温を検出する水温センサ、太陽集熱装置3の熱媒体温度を検出する熱媒体温度センサ、ヒートポンプ装置2の水熱交換器22の発熱温度を検出する発熱温度センサの検出温度に基づいて、選択的に効率的な加熱を行って1日を通して加熱することが可能である。また、貯湯タンク1内の温水温度が集熱器31における温度よりも高温となっている間は循環器34を停止させることで、消費電力を抑えることができる。
【0035】
(実施の形態1の効果)
a)給湯ユニットAを屋根RFの上に設置するようにしたため、給湯ユニットAの設置用の敷地が不要であり、特に、本実施の形態1のように、集合住宅において複数の給湯ユニットAを設置する場合に必要な敷地面積を大幅に抑えることができる。
【0036】
b)給湯ユニットAは、貯湯タンク1を屋根RFの上に設置するため、重力を利用した給湯が可能であり、貯湯タンク1および給湯管15の耐圧性能を抑えることができる。これにより、貯湯タンク1および給湯管15の軽量化および低コスト化を図ることができる。また、本実施の形態1のように加圧器5を設ける場合でも、その出力を抑えて耐圧性を抑え、軽量化および低コスト化を図ることができる。
【0037】
c)貯湯タンク1を扁平に形成し傾斜させて設置したため、従来の直方体や円筒形状のタンクを起立状態で屋上に設置するのと比較して、全体容量は確保しつつ屋根上高さを抑えたコンパクトな設置が可能であり、かつ、貯湯タンクを略水平に設置したものと比較して、自然対流を促進させて低温の水をタンク下部に集めて放熱器33による効率的な加熱を可能とするとともに、タンク上部における高温の温水部分の水位を確保して、安定した温水供給を可能とする。加えて、貯湯タンク1と屋根RFとの間に形成される空間を設置用スペースSPとし、この設置用スペースSPに加熱手段としてのヒートポンプ装置2や、循環器34や、パワーコンディショナ42や、加圧器5を配置するようにしているため、スペースの有効利用を図り、効率的でコンパクトな設置が可能となる。
【0038】
d)加熱装置として、ヒートポンプ装置2を用いたため、貯湯タンク1内の水を外気の熱エネルギーにより加熱することができ、安価な加熱が可能である。しかも、屋根RFの上に設置しているため、例えば、建物の北側の地上に設置した場合と比較して、夜間の周囲温度が高くなる場合が多く、空気熱交換器21における集熱性が高い。
【0039】
e)貯湯タンク1内の水を加熱する加熱装置としてのヒートポンプ装置2と並列に太陽集熱装置3を設けたため、日照が得られる際の安価な加熱が可能であり、両者を選択的に使用して、効率的な加熱を行うことが可能である。
【0040】
f)扁平な形状の貯湯タンク1の上に太陽集熱装置3の集熱器31を設置したため、集熱器31を貯湯タンク1の水平方向に並列に設置するものと比較して、設置に必要な屋上面積を抑えてコンパクトな設置が可能であるとともに、集熱器31が貯湯タンク1の影に入りにくく、集熱効率に優れ、かつ、集熱器31を支持する部材を省略でき、重量および経済性の点で有利である。しかも、集熱器31により貯湯タンク1を覆っていることで、貯湯タンク1の保護を図り、貯湯タンク1の耐久性を向上させることができる。
【0041】
g)扁平形状の貯湯タンク1の上に太陽光発電装置4の太陽光発電モジュール41を設置しているため、太陽光発電モジュール41を貯湯タンク1の水平方向に並列に設置するものと比較して、設置に必要な屋根RFの面積を抑えてコンパクトな設置が可能である。さらに、本実施の形態1では、太陽光発電モジュール41を集熱器31の上に重ねることで、いっそうコンパクトな設置が可能であるとともに、太陽光発電モジュール41を透光可能とすることにより、太陽光発電モジュール41を集熱器31に重ねても集熱器31による集熱を妨げることがない。しかも、集熱器31が太陽光発電モジュール41を支持する部材を兼ねることにより、全体構成の軽量化を図ることができる。
【0042】
h)各管14,15および電力線43,70が屋根RFを貫通する部位を、貯湯タンク1の下方に配置して貯湯タンク1に覆われるようにしたため、この貫通部位に、雨雪がかかりにくくなり、建物の内部への漏水発生を抑制できる。
【0043】
i)集合住宅であるユニット建物UHにおいて、各戸独立して給湯ユニットAを設置したため、各戸独立した電気代および水道代の検出が可能となる。
【0044】
(他の実施の形態)
以下に、他の実施の形態の給湯ユニットについて説明する。
なお、他の実施の形態を説明するのにあたり、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付けて説明を省略する。作用についても、実施の形態1と相違する作用について説明し、実施の形態1と同じ作用については説明を省略する。
【0045】
(実施の形態2)
実施の形態2の給湯ユニットBは、図3に示すように、実施の形態1の給湯ユニットAから太陽光発電装置4を省くとともに、加熱装置としてヒートポンプ装置2に替えて電力駆動の加熱装置200を設置した例である。
【0046】
すなわち、実施の形態2の給湯ユニットBは、図3に示すように、加熱装置200と太陽集熱装置3とが併設されている。
加熱装置200は、住居側から供給される電力により駆動する制御部201と、この制御部201に電力線203を介して接続され、制御部201により駆動をコントロールされ貯湯タンク1の下部に設置されて貯湯タンク1内の水を加熱する加熱器202とを備えている。
また、太陽集熱装置3は、本実施例2では、集熱器31が上方に露出している。他の構成については実施の形態1と同様である。
【0047】
実施の形態2では、加熱装置として電力駆動による加熱装置200を設けたため、夜間や日照不足時、あるいは外気が極低温時にも、加熱器202により貯湯タンク1内の水を加熱することができる。また、実施の形態1と同様に、日照がある場合は、太陽集熱装置3により安価に貯湯タンク1の水を加熱することができる。
なお、この実施の形態2の給湯ユニットBでも、実施の形態1と同様に、a)b)c)、f)h)i)の効果を得ることができる。
【0048】
(実施の形態3)
【0049】
実施の形態3の給湯ユニットCは、図4に示すように、実施の形態2の給湯ユニットBから太陽集熱装置3を省いた例である。
【0050】
したがって、実施の形態3の給湯ユニットCでは、電力駆動の加熱装置200により貯湯タンク1内の水を加熱する。
なお、実施の形態3の給湯ユニットCでも、実施の形態1と同様に、a)b)c)h)i)の効果を得ることができる。
【0051】
(実施の形態4)
実施の形態4の給湯ユニットDは、図5に示すように、加熱装置として実施の形態3の給湯ユニットCの加熱装置200に替えて加熱型ヒートポンプ装置403を用いた例である。
【0052】
この加熱型ヒートポンプ装置403は、実施例1で示した集熱器31を熱交換機としている。そして、この集熱器31をガス密閉構造とし、熱媒体としての低圧低温ガス(例えば、CO)を加熱するようにしている。
【0053】
また、集熱器31と放熱器33との間で熱媒体を循環させる循環配管432には、加圧器434と膨張弁435とが設けられており、この循環配管432は、図示のように、集熱器31の上部と加圧器434とを結ぶ配管432aと、加圧器434と放熱器33の下部とを結ぶ配管432bと、放熱器33の上部と膨張弁435とを結ぶ配管432cと、膨張弁435と集熱器31の下部とを結ぶ配管432dとを備え、ヒートポンプサイクルを形成している。
【0054】
すなわち、この加熱型ヒートポンプ装置403のヒートポンプサイクルでは、集熱器31において低温低圧ガスを加熱して低圧中温ガスとなった熱媒体が、加圧器434で加圧されて高圧高温ガスとして放熱器33に送られる。そして、放熱器33で放熱して貯湯タンク1内の水を加熱し、高温中温ガスとなった熱媒体が、膨張弁435で膨張されて低圧低温ガスとなって集熱器31に戻される。
【0055】
したがって、実施の形態1で示したヒートポンプ装置2は、比較的低温な外気温をファンで強制的にあてて加熱しているが、本実施の形態4では、集熱器31は、昼間は外気温よりもかなり高温となり、高額な昼間電気料金を節約できる。また、夜間は、集熱器31は外気温となるが、従来通り深夜電力を利用して加熱することができる。また、集熱器31は、熱交換機面積が大きいのでファンが不要である。
【0056】
なお、実施の形態1で示したように、集熱器31に太陽光発電モジュール41を貼付してこれを加熱型ヒートポンプ装置403の電源に利用することもできる。
また、本実施の形態4にあっても、上記a)b)c)d)f)h)i)の効果を得ることができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【0058】
例えば、実施の形態1〜4では、集合住宅に適用した例を示したが、戸建て住宅にも適用できる。また、集合住宅に適用した場合でも、1戸を形成するユニットの数や、配置は任意であり、また、建物の階数も実施の形態1〜4で示した3階建てに限らず、1階建て、2階建て、4階以上の建物に適用することができる。
【0059】
また、実施の形態1〜4では、屋根として陸屋根を示したが、屋根が傾斜した建物にも設置可能である。
【0060】
また、実施の形態1で示した循環器34は、電動であり住居からの配線で駆動するようにしたものを示したが、屋根RFの上に設置していることから、太陽電池により駆動するものを用いてもよい。この場合、太陽集熱装置3による加熱は太陽光が照射されている間成され、この間は、循環器も太陽電池で駆動して熱媒体の循環を行うことができ、効率的な作動を行うことができる。
【符号の説明】
【0061】
1 貯湯タンク
2 ヒートポンプ装置(加熱装置)
3 太陽集熱装置
4 太陽光発電装置
7 防水構造部
11 タンク本体
11a 上面
11b 下面
11c 側面
14 給水管
15 給湯管
20 本体ユニット
21 空気熱交換器
22 水熱交換器
31 集熱器
33 放熱器
41 太陽光発電モジュール
200 加熱装置
202 加熱器
403 加圧型ヒートポンプ装置(加熱装置)
A 給湯ユニット
B 給湯ユニット
C 給湯ユニット
D 給湯ユニット
RF 屋根
SP 設置用スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯留するための貯湯タンクと、
この貯湯タンク内の水を加熱する加熱器をタンク下部に設置した加熱装置と、
前記貯湯タンクに接続され、前記貯湯タンク内に水を供給する給水管および前記貯湯タンク内の温水を建物内に供給する給湯管と、
を備えた給湯ユニットであって、
前記貯湯タンクは、上下面が側面よりも大きな面積の形状に形成され、かつ、前記貯湯タンクは、前記建物の屋根上に、前記上面の一端側を他端側よりも上方に配置して傾斜させるとともに、前記屋根との間に前記加熱装置を含む機器の設置用スペースを形成して設置されていることを特徴とする給湯ユニット。
【請求項2】
前記貯湯タンクの上面を覆って設けられて太陽熱を集める集熱器と、前記貯湯タンクの下部に設けられて前記集熱器で加熱された熱媒体が循環されて放熱を行う放熱器とを有した太陽集熱装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の給湯ユニット。
【請求項3】
前記太陽集熱装置の前記集熱器を覆って太陽光発電装置の太陽電池モジュールが設けられ、
この太陽電池モジュールは、太陽光を前記集熱器に透過可能に形成されているとともに、前記集熱器に支持されて形状保持されていることを特徴とする請求項2に記載の給湯ユニット。
【請求項4】
前記屋根において上方を前記貯湯タンクで覆われている位置で、前記給水管および前記給湯管が前記屋根を貫通して前記建物内へ配管されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の給湯ユニット。
【請求項5】
前記加熱装置として、外気と熱交換を行って熱媒体を加熱する空気熱交換器と、この空気熱交換器で加熱された熱媒体が送られて放熱する水熱交換器とを有したヒートポンプ装置を備え、このヒートポンプ装置の水熱交換器を前記加熱器として用いたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の給湯ユニット。
【請求項6】
前記加熱装置として、前記貯湯タンクの上面を覆って設けられて太陽熱を集め熱媒体と熱交換を行って低温低圧ガス状の熱媒体を加熱する集熱器と、この集熱器で加熱されたガス状の熱媒体を加圧して高圧高温ガス状の熱媒体を形成する加圧器と、前記張湯タンクの底部に設けられて前記加圧器から送られた高圧高温ガス状の熱媒体の放熱を行う放熱器と、この放熱器で放熱を行ったガス状の熱媒体を膨張させて低温低圧ガス状とする膨張弁とを有した加圧型ヒートポンプ装置を備え、この加圧型ヒートポンプ装置の放熱器を前記加熱器として用いたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の給湯ユニット。
【請求項7】
前記屋根は、陸屋根であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の給湯ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−208836(P2011−208836A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74752(P2010−74752)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】