説明

給湯器

【課題】給湯器1を使用開始するときに給湯栓2から排出される無駄水を少なくすることで給湯器の節水を図る。
【解決手段】制御手段60は、給湯器1の使用開始時に、給湯栓2の開度が全開とされている場合であっても、熱交換器10への給水路3に備えられた給水量調節手段(流量制御弁5)の開度を全開状態からバーナB1の最低作動水量または最低作動水量をわずかに超えた水量までに絞る制御を行う。バーナの火炎検知器が、バーナ火炎が安定したことを検知した時点で、制御手段60は流量制御弁5を全開に復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯栓を備えた給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯栓を開くことによって生じる水の流れを検知してバーナを点火し、熱交換器においてバーナの燃焼ガスが持つ熱と給水との間で熱交換を行って温水とし、その温水を給湯栓から出湯して、台所やシャワー室で使用できるようにした給湯器は知られている。また、作られた温水を浴槽に貯湯し、あるいは暖房機器の熱源として使用できるようにした給湯器も知られている。そのような給湯器の例が、特許文献1や特許文献2等に記載されている。
【0003】
上記した従来知られた給湯器では、使用者が例えば給湯栓を開くことで熱交換器への給水路に水流が生じると、その水流が水量センサによって検出され、水量センサからの信号が制御手段に送られる。制御手段は、給水量が予め設定した最低作動水量以上であることを検知したときに、バーナ点火装置を作動してバーナを点火し、バーナに安定した火炎が形成されたことをフレームロッドによって確認した後に、バーナ点火装置の作動を停止する制御が行われる。通常の給湯器において、水量センサが水の流れを検出してからバーナに安定した火炎が形成されるまでに5秒程度の時間を要している。
【0004】
また、従来知られた給湯器には、前記した熱交換器への給水路に流量制御弁が取り付けてあり、通常は全開に保持されているが、熱交換器に給水される水の温度や環境温度が低くなりバーナが最大出力で燃焼しても、熱交換器によって使用者が設定した温度まで水温を上昇させることができない環境となったときに、温水出側の温度センサからの信号を受けて、前記流量制御弁の開度を絞り、熱交換器への給水量を小さくすることで、温水温度を設定温度にまで昇温させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−36475号公報
【特許文献2】特開2005−61677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
給湯器において、使用者が給湯栓を開き、停止状態にある給湯器から適温の温水を得ようとする場合、開栓当初は給湯栓から冷水が出るのは避けられない。前記したように、給湯栓の開栓で生じた水の流れを水量センサが検知してから、安全な火炎が形成されてバーナ点火装置が作動を停止するまでに約5秒程度の時間を要しているが、この間に流出する冷水はほとんどの場合そのまま捨てられており、無駄水となっている。
【0007】
一方、近年、給湯栓の開閉手段は、ねじ式のものからレバーの上げ下げ式に変化してきており、給湯器の使用を開始するときに、使用者はレバーを最大限度位置まで移動させるようになりがちであり、結果として、給湯器の使用開始当初から、給湯栓からは最大流量の水が流出することとなる。その最大流量の水が、前記のように、水の流れを水量センサが検知してからバーナ点火装置がOFFとなるまでの約5秒程度の間に流出し続けることとなり、無駄水の量が多くなる傾向にある。
【0008】
本発明は、上記したような従来公知の給湯器において普通に生じている水の無駄な消費を抑制し、それにより水の節約を可能とした給湯器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による給湯器は、熱交換器と、熱交換器を加熱するバーナと、前記熱交換器へ給水するための給水量調節手段を備えた給水路と、前記熱交換器で加熱された温水を出湯する給湯栓と、前記バーナの点火装置と、制御手段とを少なくとも備えた給湯器であって、前記点火装置は前記熱交換器への給水量が最低作動水量以上であることを検知したときにガスへの点火動作を行うものであり、前記制御手段は、前記点火装置によって点火されたバーナ火炎が安定したことを検知するまでは、前記給湯栓の開度が前記最低作動水量以上の水量が流出する開度とされている場合であっても、前記給水量調節手段を前記最低作動水量または最低作動水量をわずかに超えた水量の水を熱交換器に供給する節水モードに制御することを特徴とする。
【0010】
上記の給湯器では、使用者が、給湯開始時に給湯栓の開度を最大にして熱交換器への給水を行う場合でも、制御手段は、熱交換器へ給水するため給水路に備えた給水量調節手段を制御して、熱交換器への給水量を、空焚きを防止するために当該給湯器に予め設定されている前記点火装置が作動しうる最低作動水量または最低作動水量をわずかに超えた水量に調整し、節水モードとする。そして、点火装置によって点火されたバーナ火炎が安定した状態となったときに、制御手段は、給水量調節手段による流量制限を解除、すなわち前記節水モードを解除する。そのために、使用開始時から点火されたバーナ火炎が安定した状態となるまでに給湯栓から放出される水量を、バーナが燃焼を開始するのに必要な量に抑制することが可能となり、節水効果が得られる。節水モードが解除されると、それ以降は使用者が給湯栓の開度に応じて設定した量の温水が給湯栓から放出されるようになるので、使用者に格別の不快感を与えることもない。
【0011】
本発明による給湯器の一態様では、給湯器はさらにエネルギー節約モード選択手段を備えており、エネルギー節約モードが選択されていないときは、前記制御手段は前記給水量調節手段を前記節水モードにする制御を行わないことを特徴とする。
【0012】
本発明による給湯器では、使用開始時から点火されたバーナ火炎が安定した状態となるまでに給湯栓から放出される水量は、使用者が設定した給湯栓側の開度でなく、熱交換器への給水路に備えた給水量調節手段で設定される流量に依存する。そして、その流量はバーナが燃焼を開始するのに必要な最低作動水量あるいはそれをわずかに超えた水量であり、結果として、使用者に温水が届くまでの時間(湯待ち時間)が長くなって、使用者に不快感を与えることが起こり得る。これを回避するために、上記態様の給湯器は、別途、エネルギー節約モード選択手段を備える。そして、使用者がエネルギー節約モード選択手段の使用を選択したときにのみ、制御手段は前記した節水モードによる運転を行い、選択しないときには、節水モードによる運転を行わないようにする。それによって、短時間で温水が供給されることを希望する使用者に対しても、格別の不快感を与えることなく、給湯器の使用が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による給湯器を用いることにより、給湯器の使用開始時に起こっている無駄水の排出量を抑制することが可能となり、節水に対する社会的要請に応えることができる。ちなみに、給湯栓を最大限に開けたときの流量を10L/min、バーナが安定燃焼するのに必要な最低作動水量を3L/min(この値は、現在使用されている給湯器での平均的な値である)とすると、本発明よる給湯器では、5秒間で約0.6Lの節水が可能となる。一日の給湯使用回数を51回と仮定すると、約30L/日、年間で11m/年、つまり500mlのペットボトル約2万2千本分の節水が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による給湯器の循環回路の一例を示す図。
【図2】リモートコントローラを説明する図。
【図3】本発明による給湯器の運転フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明による給湯器の一実施の形態を温水の循環回路とともに示している。
この実施の形態において、給湯器1は、給湯栓2へ温水を供給するための第1の熱交換器10と、第1の熱交換器10への給水路3と、熱交換器10で加熱された温水を給湯栓2に導く給湯路4とを備える。給水路3には給水量調節手段としての流量制御弁5が取り付けてあり、給湯路4には水量センサ6が取り付けてある。必須ではないが、この例において、前記第1の熱交換器10は、潜熱をも回収できるタイプのものであり、点火装置を備えたバーナB1の上方に位置し主に燃焼排気の顕熱を吸熱して熱交換する主熱交換部11と、この主熱交換部11の上方に位置し主に潜熱を吸熱して熱交換する副熱交換部12とを備えている。また、給水路3と給湯路4は、流量調整用のサーボ弁7を備えたバイパス通路8で接続されている。
【0016】
給水路3からの水道水は、副熱交換部12を通過することで潜熱による加熱を受け、次いで主熱交換部11を通過することで燃焼排気の顕熱を吸熱して昇温し、温水となる。温水は、給湯路4を通って前記した給湯栓2から排出される。なお、この例において、給湯栓2は操作レバー2aを備えており、該操作レバー2aを上下することで、給湯栓2の弁は全開から全閉まで調節される。
【0017】
本発明による給湯器1においては、必須のものではなく省略することも可能であるが、給湯器1は、さらに、浴槽20への給湯路21と、浴槽20内の温水を追い焚きするための追い焚き用循環路22と、追い焚き用熱交換器23を備える。前記浴槽用給湯路21は、水量センサ6よりも上流位置で前記給湯路4から分岐しており、水量センサ24が取り付けられている。追い焚き用循環路22は、水量センサ24より下流位置で給湯路21から分岐しており、追い焚き用ポンプP1を有している。追い焚き用ポンプP1の作動により浴槽20内の温水を吸引し、追い焚き用熱交換器23で昇温させた後、温水は浴槽20内に戻される。
【0018】
さらに、本発明による給湯器1において、必須のものではなく省略することも可能であるが、暖房用端末機器30に温水を供給するための暖房用循環ポンプP2を備えた端末機器用循環路40と、第2の熱交換器50も備えている。この例において、第2の熱交換器50も第1の熱交換器10と同様に、潜熱をも回収できるタイプのものであり、点火装置を備えたバーナB2の上方に位置し主に燃焼排気の顕熱を吸熱して熱交換する主熱交換部51と、この主熱交換部51の上方に位置し主に潜熱を吸熱して熱交換する副熱交換部52とを備えている。
【0019】
端末機器用循環路40は、暖房用循環ポンプP2が作動することより、シスターン41内の温水が、管路42を通って前記第2の熱交換器50における主熱交換部51に送られ、そこを通過することで燃焼排気の顕熱を吸熱して昇温して高温の温水となる。高温の温水は、高温暖房用出湯管路43を通って高温暖房用端末機器30Aに送られ、そこで所要の熱交換をした後に、暖房用戻り管路44を通って第2の熱交換器50における副熱交換部52側に送られ、そこを通過することで潜熱による加熱を受けた後、シスターン41に戻される。
【0020】
また、シスターン41内の温水は、暖房用循環ポンプP2が作動することにより、低温暖房用出湯管路45を通って低温暖房用端末機器30Bに送られ、そこで所要の熱交換をした後に、暖房用戻り管路44に合流し、第2の熱交換器50における副熱交換部52側に送られて、そこを通過することで潜熱による加熱を受けた後、シスターン41に戻される。
【0021】
端末機器用循環路40は、高温暖房用出湯管路43と暖房用戻り管路44とを短絡する第1のバイパス管路46と第2のバイパス管路47とをさらに備えており、第2のバイパス管路47は前記した追い焚き用熱交換器23内を放熱源側として通過する。それにより、追い焚き用熱交換器23において、前記追い焚き用循環路22と前記端末機器用循環路40との間での液・液熱交換が行われ、その熱交換により浴槽20内の温水が追い焚きされる。
【0022】
給湯器1は制御手段60を備える。制御手段60は、前記した水量センサ6、24からの信号を受けてのバーナB1、B2の燃焼制御や、追い焚き用ポンプP1と暖房用循環ポンプP2の運転制御や、前記した流量制御弁5の開度制御などを行う。制御手段60には、図2に示すようなリモートコントローラ90が接続している。このリモートコントローラ90は、通常のものと同様、温度設定部91、表示部92、運転開始スイッチ93、自動保温運転モード選択スイッチ94、追い焚き運転モード選択スイッチ(追い焚きスイッチ)95を備えるとともに、さらに、後に説明するエネルギー節約モード選択スイッチ96を備えている。
【0023】
この給湯器1において、使用者がリモートコントローラ90の運転開始スイッチ93をONにすると、給湯器1は立ち上がった状態とされる。そして、浴槽20への給湯および暖房用端末機器30への給湯が行われていない状態、換言すれば、前記水量センサ24は水の流れを検知してなく、バーナB1が消火している状態で、使用者が給湯栓2を開いたときに、本発明による給湯器の技術的特徴が発揮される。以下、その技術的特徴を説明する。
【0024】
バーナB1が消火している状態で給湯栓2が開かれると、給湯路4に水の流れが生じ、その流れが水量センサ6によって検出される。その時点では、第1の熱交換器10への給水路3に取り付けた流量制御弁5は従来の給湯器と同様に全開の状態に保持されている。水量センサ6が、第1の熱交換器10の空焚きを防止するために予め設定した最低作動水量(例えば3L/min未満)を超える流れを検出したときに、制御手段60は、バーナB1の点火装置に作動信号を送る。
【0025】
一方において、制御手段60は、第1の熱交換器10への給水路3を流れる水量が前記最低作動水量を超えるいかなる大きさの流量であっても、第1の熱交換器10への給水路3に取り付けた流量制御弁5の開度を、これまでの全開状態から、前記最低作動水量または最低作動水量をわずかに超えた水量となるように絞る制御を行う。この制御によって、節水された水量ではあるがバーナB1の燃焼が安定して継続する量の水が、第1の熱交換器10に送られることとなり、節水モードでの運転が可能となる。なお、最低作動水量をわずかに超えた水量とは、燃焼時に生じるハンチングなどによる影響を回避できるだけの量が増量した水量をいっており、一例として、最低作動水量が3L/minである場合、上限値が3.5〜4.0L/min程度の量である。
【0026】
そして、バーナB1に取り付けられている火炎センサが、火炎が安定したことを検知した時点で、制御手段60は点火装置の作動を停止する。通常、火炎センサにはフレームロッドのように検知部が受ける熱量を電流値に換算するセンサが用いられ、例えば1μA以上の電流値を検出したときに、火炎が安定したとの判断を下すようにされている。点火装置の作動停止と同時にあるいはそれと前後して、制御手段60は前記節水モードを解消する信号を流量制御弁5に送る。それにより流量制御弁5は従前の全開状態に復帰する。それ以降は、従来の給湯器と同様に給湯栓2の操作レバー2aで設定される流量の水が第1の熱交換器10に供給され、前記コントローラ90で使用者が設定した温度の温水となるように前記バイパス通路8から適量の水が混合された状態で、適温の温水が継続して給湯栓2から出てくることとなる。
【0027】
前記したように、給湯栓2を最大限に開けたときの流量を10L/min、バーナB1が安定燃焼するのに必要な最低作動水量を3L/minと仮定すると、本発明よる給湯器では、5秒間で約0.6Lの節水が可能となり、一日の給湯使用回数を51回と仮定すると、約30L/日、年間で11m/年、つまり500mlのペットボトル約2万2千本分の節水が可能となる。
【0028】
図2に示すリモートコントローラ90にはエネルギー節約モード選択スイッチ96が備えられており、使用者は、該選択スイッチ96を押すことでエネルギー節約モードを選択することができる。そして、制御手段60は、エネルギー節約モードが選択されているときにのみ、前記した第1の熱交換器10への給水路3に取り付けた流量制御弁5を絞り込む制御(すなわち、節水運転実行モード)を実行し、エネルギー節約モードが選択されてないときは、流量制御弁5を絞り込む制御を実行しない。この選択スイッチ96を設けることで、短時間で給湯栓2から温水が供給されることを希望する使用者に対して格別の不快感を与えることなく、給湯器1の使用が可能となる。
【0029】
図1に示す給湯器1において、給湯栓2が閉じている状態で、使用者が暖房用端末機器30の操作部を操作すると、制御手段60には暖房用端末機器30の運転開始が指示される。制御手段60は暖房用循環ポンプP2に駆動指令を出し、暖房用循環ポンプP2が駆動する。制御手段60はシスターン41内の水位を検知し、バーナB2の点火装置を作動してバーナB2を点火する。なお、制御手段60は、シスターン41内の水位を継続して検知することで、前記第2の熱交換器50が空焚き状態となるのを防止している。なお、この運転態様は、従来のものと同じである。
【0030】
使用者が、風呂を立てるときの運転態様も、従来のものと同じであってよい。例えば、自動保温運転モード選択スイッチ94がONされると、制御手段60は、浴槽20への給湯路21に取り付けた水量センサ24の信号を受けてバーナB1の点火装置を作動し、バーナB1を点火する。そのときに、第1の熱交換器10への給水路3に取り付けた流量制御弁5が全開の状態に維持されることも、従来知られた給湯器の場合と同様である。それにより、給湯路21を通して、温度設定部91で設定された温度の温水が浴槽20に供給される。設定量の温水が浴槽20に供給されると、バーナB1は消火し温水の供給も停止する。制御手段60は、浴槽20内の温水温度を検知しており、湯温が一定温度(例えば2℃程度)低下したことを検知すると、追い焚き用ポンプP1(および作動していない場合には暖房用循環ポンプP2の双方)を駆動して、追い焚きを行う。
【0031】
浴槽20内の温水は、追い焚き用循環路22を循環し、循環の過程で追い焚き用熱交換器23を通過する。一方、暖房用循環ポンプP2が駆動することで、端末機器用循環路40内の温水は第2の熱交換器50によって高温に加熱された後、高温暖房用出湯管路43と第2のバイパス管路47を通って循環する。前記したように、第2のバイパス管路47には追い焚き用熱交換器23が配置されており、そこにおいて、第2の熱交換器50によって高温に加熱された温水と浴槽20内の温度低下した温水との間で熱交換が行われ、浴槽20内の温水は所定の温度にまで昇温する。自動保温運転モードが解除されている状態で、使用者が追い焚き運転モード選択スイッチ95をONしたときも、同様にして浴槽20内の温水に対する追い焚きが行われる。上記した風呂の自動保温での運転態様および追い焚きでの運転態様も従来のものと同じであり、詳細な説明は省略する。
【0032】
浴槽20の湯張り中のようにバーナB1が燃焼している状態のときに、使用者が給湯栓2の操作レバー2aを動かして、給湯栓2からの給湯を求めたとする。そのときも、給湯栓2を開くことで新たな水の流れが生じ、その流れは給湯路4に設けた水量センサ6によって検出される。しかし、この場合には、バーナB1はすでに安定燃焼を継続しており、水量センサ6からの信号がバーナB1の燃焼に反映されることはない。また、第1の熱交換器10への給水路3に取り付けた流量制御弁5は、そのまま全開の状態に維持される。この状態も、従来の給湯器の場合と同様である。
【0033】
次に、給湯栓2からのみ温水を使用する状態のときでの、本発明による給湯器1の制御の一例を、図3の制御フローを参照してより詳細に説明する。なお、本発明は、バーナB1を点火する、すなわち給湯栓2に温水を供給するときに作動するバーナB1を点火するときに生じていた無駄水を少なくすることを課題とするものであり、図1に基づき説明した給湯器1のように、給湯栓2からの出湯でなく、浴槽20への給湯開始時に生じるバーナB1の点火時は、系外に捨てられる水は発生しないことから、本発明での操作の対象としていない。したがって、図3の制御フローは、S10で給湯栓2が開とされるときを出発点としている。
【0034】
S11で制御手段60は水量センサ6をONとする。次に、制御手段60は前記したエネルギー節約モード選択スイッチ96が押されているかどうかを判断する(S12)。押されている場合には、制御手段60は水量センサ6が検出する流量が予め規定した水量値、すなわち空焚きをすることなくバーナB1を燃焼させることのできる最低作動水量(例えば3L/min)以上であるかどうかを判断する(S13)。
【0035】
S13で水量センサ6が検出する水量が規定値以上の場合に、制御手段60は、S14において、第1の熱交換器10への給水路3に設けた全開の状態にある流量制御弁5を絞る制御、すなわち水量制御を実行する。この水量制御によって、給湯栓2の開度如何に関わらず、流量制御弁5の開度は前記最低作動水量まであるいはそれをわずかに超えた水量まで絞り込まれる。
【0036】
それ以降の制御は、従来の給湯器におけると同様であり、S15で初期チェックを行い異常が検出された場合にはエラー発報(S16)を行い、装置を停止する。正常の場合には、S17でバーナB1に付設の燃焼ファンをONとし、S18でバーナB1に設けられた点火装置を作動させる。次いで、S19でガス電磁弁をONとしてバーナB1に点火する。
【0037】
バーナ点火後、S20で、制御手段60はバーナB1に設けたフレームロッドからの情報で火炎が安定した状態となったかどうかを検知し、安定火炎が形成されたことを検知したときに、燃焼表示点灯を行い(S21)、点火装置の作動を停止する(S22)。最後に、水量制御を停止する(S23)。その結果として、第1の熱交換器10への給水路3に設けた流量制御弁5は全開の状態に復帰する。以下、従来の給湯器と同様にして、給湯栓2の開度に応じた温水が、給湯栓2から供給されるようになる。
【0038】
S12で、制御手段60がエネルギー節約モード選択スイッチ96が押されていないと判断した場合には、そのままS15に進む。すなわち、本発明による水量制御を行わない。また、S13において、水量規定値以上でない場合には、無駄水はほぼ発生していないので、そのままS15に進む。すなわち、本発明による水量制御を行わない。
【符号の説明】
【0039】
1…給湯器、
2…給湯栓、
3…第1の熱交換器への給水路、
4…熱交換器で加熱された温水を給湯栓に導く給湯路、
5…給水量調節手段としての流量制御弁、
6…水量センサ、
10…給湯栓へ温水を供給するための第1の熱交換器、
20…浴槽、
30…暖房用端末機器、
60…制御手段、
90…リモートコントローラ、
B1、B2…バーナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器と、熱交換器を加熱するバーナと、前記熱交換器へ給水するための給水量調節手段を備えた給水路と、前記熱交換器で加熱された温水を出湯する給湯栓と、前記バーナの点火装置と、制御手段とを少なくとも備えた給湯器であって、
前記点火装置は前記熱交換器への給水量が最低作動水量以上であることを検知したときにガスへの点火動作を行うものであり、前記制御手段は、前記点火装置によって点火されたバーナ火炎が安定したことを検知するまでは、前記給湯栓の開度が前記最低作動水量以上の水量が流出する開度とされている場合であっても、前記給水量調節手段を前記最低作動水量または最低作動水量をわずかに超えた水量の水を熱交換器に供給する節水モードに制御することを特徴とする給湯器。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯器であって、給湯器はさらにエネルギー節約モード選択手段を備えており、エネルギー節約モードが選択されていないときは、前記制御手段は前記給水量調節手段を前記節水モードにする制御を行わないことを特徴とする給湯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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