説明

給湯機の黒鉛及び煤検知装置

【課題】煤や黒煙の発生や煤の堆積状態を的確に検知出来る給湯機の煤及び黒煙検知装置を提供する。
【解決手段】燃焼バーナの燃焼により発生した燃焼ガスで、熱交換器内を流通する水を加熱して温水とし、熱交換後の排ガスを排気経路を介して排出するもので、前記排気経路途中には、発光する発光素子と、この発光を受光してその光の強さを判別する受光素子とを備えたことにより、光の強さを判別することにより、煤の発生や黒煙の発生や堆積状態を簡単な構成で容易に検知することが可能となり、排気経路が閉塞される前に煤及び黒煙の発生自体で検知するので、大きな事故や修理を行う必要がなく、掃除や燃焼の調節のみで安価に修理することが出来、常に安心して使用出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子と受光素子を利用して黒鉛及び煤を検知して燃焼を停止させる給湯機の黒鉛及び煤検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、燃焼バーナの燃焼炎を直接受光素子で監視することで、異常燃焼時には確実に燃焼を停止させることが出来るものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−86928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、燃焼している火炎を監視して異常燃焼検知するので、火炎に異常がなく長期間の使用で排気経路に煤が付着し、これが排気経路を閉塞することで発生する黒煙は検知出来ず、これが大きな事故につながったり、修理が大変になったりする問題点を有するものであり、更に煤詰まり状態でも弱燃焼では正常な燃焼であっても、強燃焼になったとたんに黒煙が発生するなど、火炎の状態と黒煙及び煤の発生とは関係ないことが多く、確実に検知できないと言う課題も有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記課題を解決する為に、特にその構成を、請求項1では、燃焼バーナの燃焼により発生した燃焼ガスで、熱交換器内を流通する水を加熱して温水とし、熱交換後の排ガスを排気経路を介して排出するものに於いて、前記排気経路途中には、発光する発光素子と、この発光を受光してその光の強さを判別する受光素子とを備えたものである。
【0006】
又請求項2では、前記発光素子と受光素子は、透明なガラス板或いは磨りガラス板で形成した排ガス路を介して対向する位置に備えられたものである。
【0007】
又請求項3では、前記発光素子と受光素子は、透明なガラス板或いは磨りガラス板と鏡板で形成した排ガス路に対向して、透明なガラス板或いは磨りガラス板の裏側に並設され、鏡板に反射した光を受光するようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように請求項1によれば、光の強さを判別することにより、煤の発生や黒煙の発生や堆積状態を簡単な構成で容易に検知することが可能となり、排気経路が閉塞される前に煤及び黒煙の発生自体で検知するので、大きな事故や修理を行う必要がなく、掃除や燃焼の調節のみで安価に修理することが出来、常に安心して使用出来るものである。
【0009】
又請求項2、3によれば、発光素子や受光素子に直接煤や黒煙が付着することを防止できると共に、ガラス板や鏡板に付着した煤により堆積状態が予測出来、又付着した煤や黒煙は容易に拭き取ることが出来るものであり、しかも熱の影響を受けにくく誤検知したり焼損する心配もなく、修理点検も簡単に行え極めて使用勝手が良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施形態を示す給湯機の要部構成図。
【図2】同検知部の説明図。
【図3】同要部電気回路のブロック図。
【図4】同要部のフローチャート。
【図5】他の実施形態を示す検知部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は燃焼装置としての給湯機本体で、上端にガンタイプ式の燃焼バーナ2と燃焼ファン3を下向きに取り付けた燃焼室4が備えられており、更にこの燃焼室4内及び外周には燃焼バーナ2の排ガスの熱を流水と熱交換する熱交換器5が備えられている。
【0012】
6は燃焼室4の底部を一端に連通し燃焼音を消音するサイレンサで、他端には上部に放出口7を有する排気経路8が連通し、燃焼室4からの排ガスをサイレンサ6で、Uターンさせて排気経路8を介して放出口7から燃焼ファン3の送風力で排出するものである。
【0013】
9は前記排気経路8途中に備えられた煤や黒煙を検知する検知部で、2枚の透明或いは磨りガラス板10、11間(円筒状のガラス筒でも可能)を排ガスが流通する排ガス路12とし、この排ガス路12を介して対向するガラス板10、11の裏側位置には、発光ダイオードから成り発光する発光素子13と、この発光素子13の発光を受光してその光の強さを判定するフォトICから成る受光素子14とが設けられ、この受光素子14が判定する光の強さの違いにより煤や黒煙の発生を検知するものである。
【0014】
次に図3に示す電気回路のブロック図で説明すれば、給湯機本体1のマイコンからなる給湯制御回路15内に受光素子14の出力を受ける異常判定部16と、基準光A、燃焼中断のスタンバイ中の光X、燃焼中の光Yとを記憶するメモリ17と判定の規定時間10秒を計時するタイマ18とを設け、異常判定部16の出力により燃焼制御部19を介して燃焼バーナ2の燃焼停止させたり、リモコン表示部20に煤詰まりのお掃除表示を行わせたりするものであり、前記燃焼制御部19はスタンバイ中や燃焼中に発光素子13を発光させるように出力するものである。
【0015】
次にこの一実施形態の作動について図4に示すフローチャートに従って説明すれば、ステップ21で燃焼中断のスタンバイ開始で、ステップ22に進み燃焼制御部19により発光素子13が発光し、この光の強度をガラス板10、11を介し煤の付着具合も含めて受光素子14が検知して、これをスタンバイ中の光Xとしてメモリ17に記憶させ、そしてステップ23に進んで異常判定部16でメモリ17に予め格納されていた基準光A=500ルクスからスタンバイ中の光Xを引き算したものがBの250ルクス以上かを判断し、YESでは排気経路8の煤詰まりが進行してガラス板10、11にも付着が確認されたと言うことで、ステップ24に進んでリモコン表示部20に煤詰まりのお掃除表示を行わせるものである。
【0016】
更にステップ23でNOでは、次にステップ25に進んで基準光Aからスタンバイ中の光Xを引き算したものがCの150ルクス以上かを判断し、YESでは煤詰まりが大変進行しており以後の燃焼は不可と言うことで、ステップ26に進んで燃焼を禁止して機器をロックアウトする。
【0017】
又ステップ25で煤付着がない場合や少ない時にはNOでステップ27に進み、一方ステップ24でリモコンから運転開始信号が出されると同じくステップ27に進み、燃焼開始を判断して給湯が開始されれば燃焼開始でYESとなりステップ28に進み、又燃焼が開始されなければNOでステップ22に戻るものであり、そしてステップ28では燃焼中に燃焼制御部19からの信号で発光素子13を発光させ、この光の強度をガラス板10、11を介し煤の発生状況及び付着具合も含めて受光素子14が検知して、これを燃焼中の光Yとしてメモリ17に記憶させ、そして基準光Aからスタンバイ中の光Xと燃焼中の光Yとを引き算したものがDの100ルクス以上かを判断する。
【0018】
燃焼中に煤が発生してガラス板10、11に多く付着した場合や黒煙が発生した場合には、基準光Aが多く残りYESとなってステップ29に進み燃焼を停止させると共に、修理しなければ以後の燃焼を禁止する機器ロックアウト状態として安全を確保するものであり、逆に煤や黒煙の発生がなくNOではステップ30に進んで、燃焼停止するかを判断してNOでは燃焼を継続しながらステップ28に戻り煤及び黒煙の検知動作を継続するものであり、YESでは燃焼停止でステップ21に戻ってスタンバイ状態となるものである。
【0019】
従って、発光素子13と受光素子14による煤及び黒煙の検知では、現在燃焼で発生する煤や黒煙の検知は勿論、スタンバイ中には排気経路8に堆積している煤の量まで予測して検知して、燃焼を停止は勿論、掃除の報知を行ったり、燃焼停止をロックし修理を促したりするので、簡単容易な構成でありながら極めて安心安全であり、長期に渡って良好に使用出来るものである。
【0020】
次に図5に示す検知部9の他の実施形態を説明するが、同一部分には同じ符号を付し、相違点のみ説明すると、1枚の透明或いは磨りガラス板10と鏡板31間を排ガスが流通する排ガス路12とし、この排ガス路12を介して対向するガラス板10の裏側位置には、発光ダイオードから成り発光する発光素子13と、この発光素子13の発光を鏡板31による反射で受光してその光の強さを判定するフォトICから成る受光素子14とが設けられ、この受光素子14が判定する光の強さの違いにより煤や黒煙の発生を検知するものであり、発光素子13から鏡板31に向かう光と、鏡板31から反射して受光素子14に向かう光の2つの光が排ガス路12を通過するので、より精度の高い検知部9とすることが出来るものである。
【符号の説明】
【0021】
2 燃焼バーナ
5 熱交換器
8 排気経路
9 検知部
10、11 ガラス板
12 排ガス路
13 発光素子
14 受光素子
31 鏡板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼バーナの燃焼により発生した燃焼ガスで、熱交換器内を流通する水を加熱して温水とし、熱交換後の排ガスを排気経路を介して排出するものに於いて、前記排気経路途中には、発光する発光素子と、この発光を受光してその光の強さを判別する受光素子とを備えた事を特徴とする給湯機の黒煙及び煤検知装置。
【請求項2】
前記発光素子と受光素子は、透明なガラス板或いは磨りガラス板で形成した排ガス路を介して対向する位置に備えられた事を特徴とする請求項1記載の給湯機の黒煙及び煤検知装置。
【請求項3】
前記発光素子と受光素子は、透明なガラス板或いは磨りガラス板と鏡板で形成した排ガス路に対向して、透明なガラス板或いは磨りガラス板の裏側に並設され、鏡板に反射した光を受光するようにした事を特徴とする請求項1記載の給湯機の黒鉛及び煤検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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