説明

給湯装置および設置構造

【課題】 寒冷地であったり、既設の建物であっても容易に施工でき、効率良く高温水を得ることができる給湯装置と、その設置構造を提供する。
【解決手段】第一冷媒を圧縮する圧縮機21、四方弁22、前記第一冷媒と熱媒体とを熱交換する第一熱交換器11、および前記第一冷媒と第二冷媒とを熱交換する第二熱交換器12が設けられた第一冷媒回路2と、第二冷媒を圧縮する圧縮機31、前記第二熱交換器12、および前記第二冷媒と水とを熱交換する第三熱交換器13が設けられた第二冷媒回路3と、前記第三熱交換器13、およびエンジン廃熱と水とを熱交換する第五熱交換器15が設けられた温水回路4と、を具備し、温水回路4で得られた温水を利用側へ供給する給湯装置1において、熱源から熱媒体が吸収した熱を前記第一熱交換器11に供給する第一熱媒体回路5を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを利用した給湯装置と、その設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヒートポンプを利用して得られた温水を利用側へ供給する給湯装置として、異なった二つの冷媒による冷凍サイクルをそれぞれ行うことができる二つの冷媒回路を有する給湯装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、圧縮機を駆動するエンジン廃熱を利用する給湯装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−17376号公報
【特許文献2】特開昭59−197772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の特許文献1記載の給湯装置の場合、二つの冷媒回路の間に中温度の熱媒体通路を形成しているため、床暖房などの比較的中低温の循環水に対応することができるが、設置場所が寒冷地であったり、パネルヒータなどの比較的温度の高い循環水が必要な場合に、この熱媒体通路では十分な温度の循環水を確保することができない。
【0006】
また、上記従来の特許文献2記載の給湯装置の場合、給湯タンクの加熱を、冷媒回路とエンジン廃熱とで個別に行う構成となっており、給湯時に効率よく給湯することができない。
【0007】
さらに、上記従来の特許文献1記載の給湯装置の場合、暖房時に、第一熱交換器と室内熱交換器とが凝縮熱を分け合うことになるため、第一冷媒回路の第一熱交換器では十分な凝縮熱が得られず、十分な温度の温水を作り出すことができない。
【0008】
さらに、上記従来の給湯装置の場合、冷凍サイクルにおける凝縮器は、空気を熱源とするファンコイルユニットを用いているため、寒冷地で使用するような場合には、着霜して使用できなくなる。そのため、ファンコイルユニットを施設内に設置することが考えられるが、この場合は施設内に給排気ダクトを確保する必要があり、既設の建物に設置するような場合は、この給排気ダクトのスペースを確保することができない。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、寒冷地であったり、既設の建物であっても容易に施工でき、効率良く高温水を得ることができる給湯装置と、その設置構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明の給湯装置は、第一冷媒を圧縮する圧縮機、四方弁、前記第一冷媒と熱媒体とを熱交換する第一熱交換器、および前記第一冷媒と第二冷媒とを熱交換する第二熱交換器が設けられた第一冷媒回路と、第二冷媒を圧縮する圧縮機、前記第二熱交換器、および前記第二冷媒と水とを熱交換する第三熱交換器が設けられた第二冷媒回路と、前記第三熱交換器、およびエンジン廃熱と水とを熱交換する第五熱交換器が設けられた温水回路と、を具備し、温水回路で得られた温水を利用側へ供給する給湯装置において、熱源からの熱媒体を前記第一熱交換器に供給する第一熱媒体回路を有するものである。
【0011】
上記給湯装置において、第一冷媒回路には、第一冷媒と水とを熱交換する第四熱交換器が第二熱交換器と直列に設けられ、温水回路には、第四熱交換器が第三熱交換器と並列に設けられ、温水は、三方弁により、第三熱交換器または第四熱交換器に切替可能となされたものであってもよい。
【0012】
上記給湯装置において、第二冷媒回路の第二冷媒の臨界温度が、第一冷媒回路の第一冷媒の臨界温度以上であってもよい。
【0013】
上記給湯装置において、要求される水温と、熱源との温度差に応じて第二冷媒回路の運転が運転または停止可能となされたものであってもよい。
【0014】
上記給湯装置において、温水回路には、温水タンクと、温水利用機器とが接続されるとともに、温水タンクおよび/または湯水利用機器に温水を切替供給する三方弁が設けられたものであってもよい。
【0015】
上記給湯装置において、第一熱媒体回路には、熱源と第一熱交換器と直列に、エンジン廃熱と熱交換を行う第六熱交換器が設けられ、当該第六熱交換器と、第五熱交換器とが、三方弁により切替可能となされたエンジン冷却水回路を有するものであってもよい。
【0016】
上記給湯装置において、熱源にファンコイルユニットが用いられ、第一熱交換器には、四方弁の切替により高温の第一冷媒が供給され、第六熱交換器には、三方弁の切替によりエンジン廃熱が供給されて、ファンコイルユニットの除霜運転が可能となされたものであってもよい。
【0017】
上記課題を解決するための本発明の給湯装置の設置構造は、地中に埋設した配管を第一熱媒体回路に接続して閉鎖回路とし、地熱から熱媒体が吸収した熱を第一熱交換器に供給して熱媒体を循環させるように設置されたものである。
【0018】
また、本発明の給湯装置の設置構造は、河川水または地下水を引き込む配管を第一熱媒体回路に接続して開放回路とし、この河川水または地下水を熱源、かつ、熱媒体として第一熱交換器に供給するように設置されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、本発明によると、寒冷地や既設の建物であっても、容易に取り付けることができ、効率良く高温水を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る給湯装置の暖房運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【図2】本発明に係る給湯装置の給湯運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【図3】本発明に係る給湯装置の暖房運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【図4】本発明に係る給湯装置の除霜運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【図5】本発明に係る給湯装置の冷房運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【図6】本発明に係る他の給湯装置の暖房給湯運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【図7】本発明に係る他の給湯装置の冷房給湯運転時の状態を示す冷媒回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0022】
図1ないし図5は給湯装置1の各運転動作時の状態を示している。
【0023】
この給湯装置1は、圧縮機21、四方弁22、第一熱交換器11、および第二熱交換器12を設けた第一冷媒回路2と、圧縮機31、第二熱交換器12、第三熱交換器13を設けた第二冷媒回路3と、第三熱交換器13、および第五熱交換器15を設けた温水回路4とを具備する給湯装置1において、第一熱交換器11と熱交換する第一熱媒体回路5を有するものである。
【0024】
第一冷媒回路2は、暖房運転時において、圧縮機21からの第一冷媒が、四方弁22から第四熱交換器14、第二熱交換器12を通過して凝縮した後、膨張弁23を通過して第一熱交換器11で蒸発し、再度四方弁22を介して圧縮機21へと戻るように構成されている。冷房運転時は、四方弁22が切り替えられ、圧縮機21からの第一冷媒が、四方弁22から第一熱交換器11を通過して凝縮した後、膨張弁23を通過して第二熱交換器12、第四熱交換器14で蒸発し、再度四方弁22を介して圧縮機21へと戻ることとなる。
【0025】
この際、第一熱交換器11は、第一熱媒体回路5を流れるクーラントと第一冷媒とを熱交換するようになされている。第二熱交換器12は、第二冷媒回路3の第二冷媒と第一冷媒とを熱交換するようになされている。第四熱交換器14は、温水回路4の水と第一冷媒とを熱交換するようになされている。第二熱交換器12と第四熱交換器14とは直列に接続されており、第一冷媒は、暖房運転時に第四熱交換器14から第二熱交換器12へと流れ、冷房運転時に第二熱交換器12から第四熱交換器14へと流れる。
【0026】
第二冷媒回路3は、圧縮機31からの第二冷媒が、第三熱交換器13で凝縮した後、膨張弁32を通過して第二熱交換器12で蒸発し、圧縮機3へ戻るように構成されている。
【0027】
温水回路4は、第三熱交換器13、第五熱交換器15を通過して暖められた温水を、ポンプ41aを介して温水タンク41の上部へ供給し、当該温水タンク41の下部から第三熱交換器13へと戻って所定の温度になるまで循環することができるように構成されている。また、温水回路4は、温水タンク41と並列に温水利用機器42が接続されている。すなわち、第五熱交換器15を温水が通過した後の温水タンク41の上流の分岐ポイントAで温水タンク41と温水利用機器42との経路に分岐し、これら温水タンク41と温水利用機器42とを通過後の下流側の分岐ポイントBで合流するようになされている。さらに、温水回路4は、前記した下流側の分岐ポイントBよりも下流側に設けられた三方弁43によって、第三熱交換器13と並列に第四熱交換器14が接続されている。この第三熱交換器13と第四熱交換器14とは、前記三方弁43の位置で第三熱交換器13と第四熱交換器14とに分岐し、これら第三熱交換器13と第四熱交換器14とを通過後の下流側の分岐ポイントCで合流するようになされている。
【0028】
これにより、温水回路4は、熱供給側では、第三熱交換器13および第五熱交換器15の経路、または第四熱交換器14および第五熱交換器15の経路、に切り替えることができるようになされており、利用側では、温水タンク41または温水利用機器42に切り替えることができる。熱供給側の切替は、三方弁43によって行われる。熱利用側の切替は、温水タンク41の入口および出口の経路に設けられたバルブ41b,41cの開閉と、温水利用機器42の入口および出口の経路に設けられたバルブ42b,42cの開閉によって行われる。熱利用側の循環は、それぞれに設けられたポンプ41a,42aによって行われる。
【0029】
第一熱媒体回路5は、ポンプ51aによってファンコイルユニット51を通過したクーラントが、第一熱交換器11から第六熱交換器16を経て再度ポンプ51aへと戻って循環するように構成されている。この第一熱媒体回路5において、クーラントは、ファンコイルユニット51で吸熱し、第一熱交換器11で放熱する。第六熱交換器16は、ファンコイルユニット51に着霜して除霜の必要が生じた場合に、エンジン61の廃熱と熱交換してクーラントを加熱する際に用いられる。
【0030】
この第六熱交換器16は、エンジン61の冷却水循環回路6に組み込まれており、エンジン61を通過後、三方弁62を介して第六熱交換器16を通過した冷却水がポンプ63を介して再度エンジン61に戻るように構成されている。三方弁62の他方には前記第五熱交換器15が接続されている。つまり、冷却水循環回路6は、三方弁62を介して第五熱交換器15と第六熱交換器16とが並列に接続されており、三方弁62の選択により、第五熱交換器15または第六熱交換器16へとエンジン61の廃熱を供給できるようになされている。
【0031】
なお、エンジン61は、第一冷媒回路2の圧縮機21および第二冷媒回路3の圧縮機31を駆動する駆動源となる。この際、圧縮機21,31は、エンジン61と機械的に接続され、当該エンジン61によって駆動するように構成されたものであってもよいし、エンジン61によって発電された電気を利用して駆動するように構成されたものであってもよい。後者の場合、エンジン61は、圧縮機21,31以外に、この給湯装置1全体の出力電力をまかなうように構成されたものであってもよいし、それ以外の電気をまかなうように構成されたものであってもよい。
【0032】
次に、このようにして構成される給湯装置1の各運転動作について説明する。
【0033】
まず、暖房運転の場合、図1に示すように、第一冷媒回路2では、圧縮機21からの第一冷媒が、四方弁22から第四熱交換器14、第二熱交換器12を通過して第二熱交換器12で放熱して凝縮した後、膨張弁23を通過して第一熱交換器11で蒸発し、再度四方弁22を介して圧縮機21へと戻って循環を繰り返す。
【0034】
この際、第一熱媒体回路5は、第一熱交換器11での第一冷媒の蒸発により、当該第一熱交換器11が冷却されるので、クーラントを循環させてファンコイルユニット51から吸収した熱を順次第一熱交換器11へ循環させて熱交換する。
【0035】
また、第二冷媒回路3では、圧縮機31からの第二冷媒が第三熱交換器13を通過し、当該第三熱交換器13で放熱して凝縮した後、膨張弁32を通過して第二熱交換器12で蒸発し、再度圧縮機31へと戻って循環を繰り返す。
【0036】
この際、第二冷媒回路3を流れる第二冷媒は、第二熱交換器12において、第一冷媒の凝縮熱で蒸発し、第三熱交換器13で蒸発するため、第一冷媒よりも臨界温度が高い冷媒を用いることが、同一の冷媒を使用するよりもより好ましい。このように、第一冷媒と第二冷媒とによって二段加熱することで、第三熱交換器13は、第二熱交換器12よりも、より高温とすることができ、今までこの種の給湯装置1が使用不可能であった寒冷地であっても使用することができることとなる。
【0037】
そして、温水回路4では、上記第三熱交換器13で高温の第二冷媒と、温水回路4を流れる水とが熱交換して温水となる。この温水は、第五熱交換器15でエンジン廃熱によってさらに加熱された後、温水利用機器42で暖房に利用される。この際、温水利用機器42としては、パネルヒータや温水床暖房であっても良いし、温風暖房装置であってもよい。
【0038】
給湯運転の場合は、図2に示すように、温水回路4の温水を温水利用機器42では無く、温水タンク41側に接続し、温水タンク41が必要温度になるまで温水を循環させて運転を行う。
【0039】
必要温度が低い暖房運転の場合は、図3に示すように、第二冷媒回路3を停止させ、温水回路4の三方弁43を第三熱交換器13から第四熱交換器14に切り替えて運転を行う。
【0040】
第一冷媒回路2では、圧縮機21からの第一冷媒が、四方弁22から第四熱交換器14、第二熱交換器12を通過して第四熱交換器14で放熱して凝縮した後、膨張弁23を通過して第一熱交換器11で蒸発し、再度四方弁22を介して圧縮機21へと戻って循環を繰り返す。
【0041】
温水回路4では、上記第四熱交換器14の第一冷媒と、温水回路4を流れる水とが熱交換して温水となる。この温水は、第五熱交換器15でエンジン廃熱によってさらに加熱された後、温水利用機器42で暖房に利用される。
【0042】
この際、得られる温水は、前記した暖房運転の時のように、二段加熱した第三熱交換器13の第二冷媒と熱交換して得られるのでは無く、第四熱交換器14の第一冷媒と熱交換して得られるものであるため、前記した暖房運転の場合よりも低い温度の温水となる。したがって、温水利用機器42として温水床暖房のように比較的中低温の温水を必要とするような場合には、この運転を行うことが好ましい。
【0043】
冷房運転の場合は、図4に示すように、前記暖房運転から四方弁22を切り替える。また、冷却水循環回路6の三方弁62を第六熱交換器16側へと切り替えて、エンジン廃熱が第五熱交換器15へ行かないようにしておく。第二冷媒回路3は停止させ、温水回路4の三方弁43を第三熱交換器13から第四熱交換器14に切り替えて運転を行う。
【0044】
第一冷媒回路2では、圧縮機21からの第一冷媒が、四方弁22から第一熱交換器11で放熱して凝縮した後、膨張弁23を通過して第二熱交換器12、第四熱交換器14を通過し、第四熱交換器14で蒸発し、再度四方弁22を介して圧縮機21へと戻って循環を繰り返す。
【0045】
この際、第一熱媒体回路5は、第一熱交換器11での第一冷媒の放熱により、当該第一熱交換器11が過熱されるので、クーラントを循環させて第一熱交換器11で回収した熱を、ファンコイルユニット51から放熱させる。
【0046】
温水回路4では、上記第四熱交換器14で吸熱する第一冷媒と、温水回路4を流れる水とが熱交換して冷水となる。この冷水は、第五熱交換器15を通過するが、この第五熱交換器15にはエンジン廃熱が来ないように冷却水循環回路6を切り替えているので、前記冷水は、温水利用機器42で冷房に利用される。この際、温水利用機器42としては、輻射冷熱による冷却装置や、この輻射冷熱を冷風にして送風するように構成された冷房装置であってもよい。
【0047】
この給湯装置1において、上記した冷房運転を除く他の運転動作の際、第一熱媒体回路5は、第一熱交換器11での第一冷媒の蒸発により、当該第一熱交換器11が冷却されるので、クーラントを循環させてファンコイルユニット51から吸収した熱を順次第一熱交換器11へ循環させて熱交換することとなる。したがって、ファンコイルユニット51は、経時的使用により着霜し、機能低下する場合がある。したがって、このようにファンコイルユニット51に着霜した場合には、除霜運転を行う。この除霜運転は、図5に示すように、前記冷房運転と同じようにして運転を行う。ただし、温水回路4では、温水利用機器42に水を循環させるのではなく、温水タンク41に貯められた温水を循環させる。
【0048】
これにより、温水回路4を循環する温水は、第四熱交換器14において、第一冷媒と熱交換される。したがって、第一冷媒回路2における第一熱交換器11での凝縮温度は高くなり、第一熱媒体回路6を流れるクーラントは十分に加熱されることとなる。また、このクーラントは、第六熱交換器16においても、エンジン廃熱から熱を吸収して温度が高くなるため、ファンコイルユニット51に付着した霜を溶かすことができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、第一熱媒体回路6の熱源としてファンコイルユニット51によって熱交換される空気を利用しているため、除霜運転が必要となる。したがって、この熱源として、除霜運転の必要がない他のものを使用してもよい。具体的には、第一熱媒体回路6のパッケージ10の外のファンコイルユニット51に相当する部分を、地中に埋設した配管に変更し、この配管内にクーラントを循環させて地熱を利用するように構成してもよい。この場合、地熱は年間を通して温度が安定しているので、寒冷地であっても、除霜の心配をすることなく有効に使用することができる。また、このクーラントが循環する配管を、下水管の内側や外側に設けたりして下水から回収した熱を利用するように構成してもよい。さらに、第一熱媒体回路6を閉鎖回路にしてクーラントを循環させているが、開放回路にして河川水や地下水などを引き込むようにしてもよい。すなわち、第一熱媒体回路6のパッケージ10の外のファンコイルユニット51に相当する部分を、河川水や地下水を引き込む配管に変更して第一熱媒体回路6を開放回路とし、この河川水や地下水を熱源、かつ、熱媒体として第一熱媒体回路6に供給してもよい。
【0050】
通常の場合、第一熱交換器11に相当する部分がファンコイルユニットで構成されており、給湯装置1のパッケージ10全体が大型化し、このファンコイルユニットのための給排気ダクトの配管が確保できるか否かが懸念されるが、本発明の給湯装置1の場合は、パッケージ10には第一熱媒体回路6を構成する配管だけとなるため、パッケージ10全体のコンパクト設計が可能となる。特に、上記したように地熱や河川水や地下水などを使用する場合は、パッケージ10外に設けるファンコイルユニット51も省略でき、地熱や河川水、地下水などを引き込む配管だけ施工できるので、十分な配管スペースが確保できない既設の建物に設置する場合でも、簡単に無理なく施工することができる。すなわち、リフォームによって既設の建物に給湯装置1を導入するような場合には、設計の自由度が高くなる。
【0051】
図6および図7は、本発明に係る他の給湯装置1aの実施の形態を示している。この給湯装置1aにおいて、図1ないし図5に示す給湯装置1と同部材には同符号を付して説明を省略する。この給湯装置1aは、図1ないし図5に示す給湯装置1の温水回路4に3つの三方弁44,45,46を設けて温水回路4を異なった二つの流れに分流できるように構成したものである。この給湯装置1aは、図1ないし図5に示す給湯装置1に新たな機能が付加されたものであるため、この給湯装置1で可能な作用効果は、全て果たすことができる。
【0052】
温水回路4の追加の変更点について説明する。
【0053】
三方弁44は、温水タンク41の下側にある下流側の出口と、当該出口から温水利用機器42との分岐ポイントBにいたる経路に設けられており、第三熱交換器13から第五熱交換器15にいたる分岐ポイントDに、この三方弁44から分岐ポイントDにいたる新たな経路が設けられている。これにより、温水タンク41からの温水は、三方弁44の切り替えによって、分岐ポイントB側または分岐ポイントD側へと流すことができるようになされている。
【0054】
三方弁45は、第四熱交換器14の出口から温水利用機器42の入口にいたる経路と、分岐ポイントCにいたる経路とに分岐して設けられている。これにより、第四熱交換器14からの温水は、三方弁45の切り替えによって、温水利用機器42側または第五熱交換器15側へと流すことができるようになされている。
【0055】
三方弁46は、上記三方弁45から温水利用機器42の入口にいたる経路と、分岐ポイントAから温水利用機器42の入口にいたる経路とに分岐して設けられている。これにより、温水タンク41の入口へ流入する温水は、三方弁46の切り替えによって、第四熱交換器14側から、または第五熱交換器15側から流れるようにすることができる。
【0056】
次に、この給湯装置1の運転動作について説明する。
【0057】
必要温度が低い暖房運転で、かつ、給湯を行う暖房給湯運転の場合、図6に太線で示すような経路で運転が行われる。
【0058】
第一冷媒回路2では、圧縮機21からの第一冷媒が、四方弁22から第四熱交換器14、第二熱交換器12を通過して第四熱交換器14で放熱して凝縮した後、膨張弁23を通過して第一熱交換器11で蒸発し、再度四方弁22を介して圧縮機21へと戻って循環を繰り返す。
【0059】
温水回路4では、上記第四熱交換器14の第一冷媒と、温水回路4を流れる水とが熱交換して温水となる。この温水は、三方弁45,46を通過して、温水利用機器42で暖房に利用された後、三方弁43を通過して再度第四熱交換器14へと戻り、その後、循環する。
【0060】
また、この循環とは別に、温水回路4では、温水タンク41の水が、三方弁44を通過して第五熱交換器15へと流れ、エンジン廃熱により加熱されて温水となり、再度温水タンク41へと戻るようになされている。
【0061】
つまり、この暖房給湯運転では、温水回路4に二つの流れを形成することができるので、温水利用機器42で暖房に使用する温水を、第四熱交換器14を利用して作り出し、温水タンク41で給湯に使用する温水を第五熱交換器15を利用して作り出し、暖房運転と給湯運転とを同時に並行して行うことができる。
【0062】
冷房運転で、かつ、給湯を行う冷房給湯運転の場合、図7に太線で示すような経路で運転が行われる。
【0063】
第一冷媒回路2では、圧縮機21からの第一冷媒が、四方弁22から第一熱交換器11で放熱して凝縮した後、膨張弁23を通過して第四熱交換器14、第二熱交換器12を通過して第四熱交換器14で蒸発し、再度四方弁22を介して圧縮機21へと戻って循環を繰り返す。
【0064】
温水回路4では、上記第四熱交換器14の第一冷媒と、温水回路4を流れる水とが熱交換して冷却水となる。この冷却水は、三方弁45,46を通過して、温水利用機器42で冷房に利用された後、三方弁43を通過して再度第四熱交換器14へと戻り、その後、循環する。
【0065】
温水タンク41には、上記暖房給湯運転の場合と同様に、温水タンク41の水が、三方弁44を通過して第五熱交換器15へと流れ、エンジン廃熱により加熱されて温水となり、再度温水タンク41へと戻る。
【0066】
これにより、冷房給湯運転では、温水回路4に二つの流れを形成することができるので、温水利用機器42で冷房に使用する冷却水を、第四熱交換器14を利用して作り出し、温水タンク41で給湯に使用する温水を第五熱交換器15を利用して作り出し、冷房運転と給湯運転とを同時に並行して行うことができる。
【0067】
なお、この給湯装置1aは、上記した図1ないし図5に示す給湯装置1の各運転動作についても、同様に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る給湯装置は、各種給湯設備に用いられる。
【符号の説明】
【0069】
1 給湯装置
1a 給湯装置
11 第一熱交換器
12 第二熱交換器
13 第三熱交換器
14 第四熱交換器
15 第五熱交換器
16 第六熱交換器
2 第一冷媒回路
21 圧縮機
22 四方弁
3 第二冷媒回路
31 圧縮機
4 温水回路
41 温水タンク
42 温水利用機器
43 三方弁
44 三方弁
45 三方弁
46 三方弁
5 第一熱媒体回路
51 ファンコイルユニット
6 エンジン冷却水回路
61 エンジン
62 三方弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一冷媒を圧縮する圧縮機、四方弁、前記第一冷媒と熱媒体とを熱交換する第一熱交換器、および前記第一冷媒と第二冷媒とを熱交換する第二熱交換器が設けられた第一冷媒回路と、
第二冷媒を圧縮する圧縮機、前記第二熱交換器、および前記第二冷媒と水とを熱交換する第三熱交換器が設けられた第二冷媒回路と、
前記第三熱交換器、およびエンジン廃熱と水とを熱交換する第五熱交換器が設けられた温水回路を具備し、温水回路で得られた温水を利用側へ供給する給湯装置において、
熱源から熱媒体が吸収した熱を前記第一熱交換器に供給する第一熱媒体回路を有することを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
第一冷媒回路には、第一冷媒と水とを熱交換する第四熱交換器が第二熱交換器と直列に設けられ、
温水回路には、第四熱交換器が第三熱交換器と並列に設けられ、温水は、三方弁により、第三熱交換器または第四熱交換器に切替可能となされた請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
第二冷媒回路の第二冷媒の臨界温度が、第一冷媒回路の第一冷媒の臨界温度以上である請求項1記載の給湯装置。
【請求項4】
要求される水温と、熱源との温度差に応じて第二冷媒回路の運転が運転または停止可能となされた請求項1記載の給湯装置。
【請求項5】
温水回路には、温水タンクと、温水利用機器とが接続されるとともに、温水タンクおよび/または湯水利用機器に温水を切替供給する三方弁が設けられた請求項1記載の給湯装置。
【請求項6】
第一熱媒体回路には、熱源と第一熱交換器と直列に、エンジン廃熱と熱交換を行う第六熱交換器が設けられ、当該第六熱交換器と、第五熱交換器とが、三方弁により切替可能となされたエンジン冷却水回路を有する請求項1記載の給湯装置。
【請求項7】
熱源にファンコイルユニットが用いられ、第一熱交換器には、四方弁の切替により高温の第一冷媒が供給され、第六熱交換器には、三方弁の切替によりエンジン廃熱が供給されて、ファンコイルユニットの除霜運転が可能となされた請求項6記載の給湯装置。
【請求項8】
地中に埋設した配管を第一熱媒体回路に接続して閉鎖回路とし、地熱から熱媒体が吸収した熱を第一熱交換器に供給して熱媒体を循環させるように設置された請求項1ないし6の何れか一に記載の給湯装置の設置構造。
【請求項9】
河川水または地下水を引き込む配管を第一熱媒体回路に接続して開放回路とし、この河川水または地下水を熱源、かつ、熱媒体として第一熱交換器に供給するように設置された請求項1ないし6の何れか一に記載の給湯装置の設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−104590(P2013−104590A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247461(P2011−247461)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】