説明

給湯装置

【課題】湯張り中でなくても水漏れの検知が可能な使用性の高い給湯装置を提供すること。
【解決手段】本発明の給湯装置1は、浴槽13と、浴槽13へ湯水を供給する湯張り回路24と、浴槽13内の湯水の水位を検出する水位センサ21とを備え、水位センサ21で検出する浴槽13内の水位が、予め決定された範囲の時間勾配で減少している場合には、浴槽13内の湯水が漏れていると判断することにより、湯張り中でなくても検知することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯張り可能な給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から湯張り回路を有した給湯装置がある(例えば、特許文献1参照)。図5は従来の湯張り回路を備えた給湯装置の構成図である。図5において、従来の給湯装置は、浴槽13と風呂用熱交換器18を風呂往き管12と風呂戻り管20で連通した風呂循環回路23と、風呂循環回路23に設けた圧力センサからなる水位センサ21と、浴槽13へ給湯する湯張り回路24と、湯張り回路24に設けた水量センサ11を有している。
【0003】
そして水位センサ21で浴槽13内の水位を検知して設定水位までの給湯量を算出し、給湯量が算出した量に達したのを水量センサ11が検知した時給湯を停止する自動湯張り運転を行っている。
【0004】
このように構成された給湯装置において、自動湯張り運転中に水量センサ11の検出値と水位センサ21の検出値を用いて、水圧の変化に対する給湯量の変化の割合を算出してデータとして記憶し、次回以降の自動湯張り運転時に算出されるデータと記憶されているデータとの差が、設定範囲を越えた時に異常と判断して給湯を直ちに停止すると共に警報信号を発生するようにしていた。
【特許文献1】特開平7−174411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の給湯装置における異常判断では、湯張り中の水漏れ異常を検出するものであり、浴槽の底部にある浴槽栓が微妙に外れて発生する微小漏れや、浴槽に湯水を供給する配管に微小の水漏れが発生している場合には、水漏れの検知をすることができず、ユーザーが知らない間に浴槽内の湯水が減少してしまう(例えば、使用者が浴槽に湯を貯めておき、翌日にその浴槽の水を使用しようとしたときに、浴槽内の水が減少していたり、なくなっていたりする)という課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、湯張り中でなくても水漏れの検知が可能な使用性の高い給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の給湯装置は、浴槽と、前記浴槽へ湯水を供給する湯張り回路と、前記浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサとを備え、前記水位センサで検出する前記浴槽内の水位が、予め決定された範囲の時間勾配で減少している場合には、前記浴槽内の湯水が漏れていると判断することにより、湯張り中でなくても検知することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、湯張り中でなくても水漏れの検知が可能な使用性の高い給湯装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明の給湯装置は、浴槽と、前記浴槽へ湯水を供給する湯張り回路と、前記浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサとを備え、前記水位センサで検出する前記浴槽内の
水位が、予め決定された範囲の時間勾配で減少している場合には、前記浴槽内の湯水が漏れていると判断することにより、湯張り中でなくても検知することができる。
【0010】
第2の発明の給湯装置は、特に第1の発明において、給湯装置を操作する操作部を備え、前記操作部は異常を報知する報知部を有し、前記操作部にて湯張り運転をする/しないにかかわらず、前記水位センサで検出する前記浴槽内の水位が、予め決定された範囲の時間勾配で減少している場合には、前記浴槽内の湯水が漏れていると判断し、前記報知部より異常の報知をすることにより、湯張り運転を実施している/いないに関わらず浴槽内の湯水が無くなる前に使用者に知らせることができ、さらには、水漏れの発見をいち早く行い使用者に知らせるので、配管の修理などの処置を促すことができる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施例1の給湯装置を示す。図1において、給湯装置1の内部には貯湯タンク2が格納されており、市水等を供給する給水源からの給水は給水配管3を通り、減圧弁4により減圧された後に2つに分岐され、一方は貯湯タンク2へ給水され、もう一方は給湯混合弁5へ流れる。
【0013】
貯湯タンク2の上部にはヒーター6が内蔵されており、貯湯タンク2に貯まった水は湯に加熱される。給湯混合弁5では、貯湯タンク2から湯と給水源から供給された水が混合され、湯温の調節を行った後に端末(台所、洗面所、シャワー等)7へ給湯される。なお、本実施の形態では、貯湯タンク2内の湯水を加熱する加熱源としてヒーター6を使用しているが、これに限定されることはなく、例えば、ヒートポンプサイクルを利用した加熱源であっても問題は無い。この場合、貯湯タンク1の下部から水を取り出し、ヒートポンプサイクルで加熱した後の湯を貯湯タンク1の上部へ戻す構成で運転する。
【0014】
また、風呂混合弁8でも、貯湯タンク2から湯と給水源から供給された水が混合され、混合によって得られる湯水は風呂湯温の検出を行う風呂湯温検出器9、注湯電磁弁10及び風呂流量検出器11を介して、風呂往き管12を通り、端末(浴槽)13へ風呂アダプター14を介して給湯される。
【0015】
給湯混合弁5や風呂混合弁8により生成される湯水の温度調整は、操作部15により設定できる。操作部15で設定された湯水温度は制御器16へ伝えられ、制御器16は給湯混合弁5や風呂混合弁8での湯と水の混合比率を制御する。
【0016】
浴槽内の湯を沸かし直す場合、風呂ポンプ17を起動させ、浴槽13の湯は風呂アダプター14から風呂往き管12を通り、風呂用熱交換器18で一次循環回路19と熱交換して風呂往きの湯の温度を上昇させた後、風呂戻り管20を通り風呂アダプター14から浴槽13に湯が戻される。
【0017】
風呂往き管の途中には圧力センサからなる水位センサ21が具備されており、浴槽13の水位が検出できるようになっている。浴槽13の底には浴槽の湯を排水するための排水栓22が具備されており、排水栓22を開けると浴槽13の湯を排水することが出来る。
【0018】
次に水漏れ検知の制御について説明する。図2に正常状態の水位センサで検出された水位と時間の関係を示す。通常の浴槽への湯張りから使用者が湯に入り、湯から上がり放置している時の水位を表している。
【0019】
正常な場合は、湯張りを開始して風呂アダプター14までは水位は変化せず、アダプターまで水位が到達した時に水位が上昇し始め、湯張りが終了すると水位の上昇は停止する。その後、使用者が入浴すると水位は急上昇し、使用者が湯から上がると水位は元の水位に戻る。その後、浴槽の排水栓22を閉めたまま放置しても水位は低下せず、一定のままである。
【0020】
図3に浴槽の排水栓を開けた時の水位センサで検出された水位と時間の関係を示す。使用者が浴槽から上がり、その後排水栓を開けると水位は急激に低下する。水位の勾配は水位の低下とh1と時間t1で表すとh1/t1となる。
【0021】
図4に浴槽の排水栓に微少漏れがある場合の水位センサで検出された水位と時間の関係を示す。使用者が浴槽から上がると水位は徐々に低下していく。このときの水位の勾配を水位の低下とh2と時間t2で表すとh2/t2となり、前述した排水栓を開けた時の水位低下の勾配h1/t1と比較すると小さくなっているが、そのまま放置しておくと最終的には浴槽の湯は全てなくなってしまう。
【0022】
また、排水栓に漏れがない場合、水の蒸発等で若干の水位低下はあるものの水位低下の勾配は前記のh2/t2より小さい。したがって水位低下の勾配がある範囲に入っている場合、浴槽の排水栓が漏れているとして、使用者に異常を報知することが可能である。なお、水漏れしているかどうかを判断する時間勾配は、実験値等から予め決定された時間勾配を用いており、予め実験等から決定された時間勾配よりも大きい場合には、何らかの水漏れが発生しているとし、小さい場合には、水漏れが発生していないと判断する。
【0023】
報知の手段としては、操作部15にスピーカーなど報知部を設けて異常を報知することにより、使用者に浴槽の排水栓が異常であることが報知され、浴槽の排水栓の漏れを早く修理することが可能となる。
【0024】
また、通常は浴槽から使用者が上がると操作部15の運転スイッチを切り、機器を休止状態にする場合があるが、操作部15の運転スイッチが入っておらず、休止状態になっていても、水位の変化を監視し、水位低下の勾配が所定の時間勾配の条件を満たす場合、浴槽の排水栓の漏れと検出して報知することができる。これにより、機器の運転状態に関係なく、浴槽の排水栓の漏れを検知することが可能となる。
【0025】
また、浴槽内の水位の低下が、予め決定された時間勾配よりも大きい場合であっても、使用者がわざと排水栓から湯水を排水している可能性もある。そのため、単に時間勾配だけで判断してしまうと、わざと排水している場合であっても報知部から使用者に異常を報知する可能性がある。そのため、湯張り運転をしていないときであって、所定時間継続的に所定の時間勾配で水位が減少していることを検知したときにのみ報知部から異常であることを報知することで、さらに使用性の向上した給湯装置を提供することができる。
【0026】
なお、水位の減少を検知する所定時間は、例えば、浴槽内に溜められた満タンの湯水を排水栓から排水した時に掛かる時間とすることで、排水時を水漏れと勘違いすることはない。ただし、これに限定することは無く、予め設計段階で決定した所定時間であっても問題は無い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明は、湯張り運転している/していないに関わらず水漏れを判断することができるので、非常に使用性・サービス性が高く、電器ヒーターやヒートポンプなど多種多様な熱源の給湯装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1における給湯装置の本体構成図
【図2】同実施の形態における浴槽内の水位遷移図
【図3】同実施の形態における浴槽内の水位遷移図
【図4】同実施の形態における浴槽内の水位遷移図
【図5】従来の給湯装置の本体構成図
【符号の説明】
【0029】
1 給湯装置
2 貯湯タンク
3 給水配管
4 減圧弁
5 給湯混合弁
6 ヒーター
7 端末(台所、洗面所)
8 風呂混合弁
9 風呂湯温検出器
10 注湯電磁弁
11 風呂流量検出器
12 風呂往き管
13 端末(浴槽)
14 風呂アダプター
15 操作部
16 制御器
17 風呂ポンプ
18 風呂用熱交換器
19 一次循環回路
20 風呂戻り管
21 水位センサー
22 排水栓
23 風呂循環回路
24 湯張り回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、前記浴槽へ湯水を供給する湯張り回路と、前記浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサとを備え、前記水位センサで検出する前記浴槽内の水位が、予め決定された範囲の時間勾配で減少している場合には、前記浴槽内の湯水が漏れていると判断することを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
給湯装置を操作する操作部を備え、前記操作部は異常を報知する報知部を有し、前記操作部にて湯張り運転をする/しないにかかわらず、前記水位センサで検出する前記浴槽内の水位が、予め決定された範囲の時間勾配で減少している場合には、前記浴槽内の湯水が漏れていると判断し、前記報知部より異常の報知をすることを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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