説明

給湯装置

【課題】安全に容器に給湯できる給湯装置を提供する。
【解決手段】容器載部7の前方開口部を遮蔽又は開放する扉8と、該扉の開閉状態を判断する扉開閉判断手段9と、給湯ボタン13が操作された時、扉開閉判断手段により扉が閉状態と判断された場合は給湯し、扉が開状態と判断された場合は給湯を中止するよう制御する制御手段とを備えた。器体の前面には湯の温度等を表示する表示部23が設けられ、給湯ボタンが操作された時に扉が開状態と判断された場合は表示部に扉を閉めるよう促す警告を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯操作により容器に給湯する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水を浄化して純水を生成し、その純水を供給する給水装置に、前記純水を加熱してお湯にし、このお湯を供給する機能を有する冷温水給水装置は既に市場に導入されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、上記従来の給水装置は給水口(給湯口)の下方に容器を置く場所が配置され、容器を所定の場所に置いて給水ボタンを操作すると、前記容器に純水を給水することができ、又、お湯を必要とする場合も容器を所定の場所に置き、ロック解除ボタンを押した後、給湯ボタンを操作すると、前記容器にお湯が給湯されるものである。
【0003】
しかしながら、前記容器を置く場所は給水口(給湯口)の下方に位置して開放されており、容器を所定の場所に置いて給湯ボタンを押すことでお湯が給湯される為、操作者の手が給水口付近にある場合でも、そのままお湯が給湯されていた。
そのため、例えば、容器を所定の場所に置いてそのまま該容器を手で押え、その状態で給湯ボタンを押して給湯した場合、お湯が跳ねて手に掛かるといった危険性がある。又、給湯中に子供が容器付近に手を差し出し、お湯が手に掛かるといった危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−131251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、お湯を給湯する場合において安全にお湯を容器に給湯できる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に本発明の給湯装置は、器体の前面に備えられた注ぎ口の下方に容器載部が設けられ、給湯ボタンの操作により前記容器載部に載置した容器に前記給湯口からお湯が給湯される給湯装置において、前記容器載部の前方開口部を遮蔽又は開放する扉と、該扉の開閉状態を判断する扉開閉判断手段と、前記給湯ボタンが操作された時、前記扉開閉判断手段により扉が閉状態と判断された場合にお湯を給湯し、扉が開状態と判断された場合はお湯の給湯を中止するよう制御する制御手段と、を備えた構成を特徴とする(請求項1)。
前記容器載部の前方開口部を遮蔽又は開放する扉の開閉方向は左右方向、或いは上下方向の何れでもよい。
前記扉の閉状態とは、容器載部の前方開口部が扉で遮蔽されていることを意味し、扉の閉状態を固定するロック機構が付加されていても、或いは無くてもどちらでもよい。
本発明で言う容器とは、哺乳瓶、コップ或いは本給湯装置が配置される店舗が提供する決められた容器等、お湯又は水を入れる容器を意味する。
【0007】
上記手段によれば、お湯の給湯を開始する為に給湯ボタンが操作された時に、容器載部の前方開口部が扉で閉じられていなければ給湯が開始されない。即ち、容器載部の前方開口部が扉で閉じられているということは、少なくとも容器載部がある空間部には手等が存在しないことを意味し、従って安全にお湯を給湯することができる。
【0008】
前記器体の前面にはお湯の温度等を表示する表示部を設け、前記給湯ボタンが操作され、その時前記扉開閉判断手段により扉が開状態と判断された時、前記表示部に扉を閉めるよう促す警告を表示する報知手段を備えてもよい(請求項2)。
前記表示部に表示される警告のメッセージとしては、例えば「扉を閉じて下さい」、或いは「扉開いている、閉じて下さい」等が挙げられる。
【0009】
上記手段によれば、お湯の給湯を開始する為に給湯ボタンを操作しても、給湯が開始されない場合は、その理由(扉が開いている)を表示部の表示で認識することができる。従って、表示部に表示された警告に従って扉を閉じ、安全性を確保した後お湯の給湯が開始されるため、安全性が確保される。
【0010】
又、前記お湯の給湯中に、前記扉開閉判断手段により扉が開状態と判断された時、前記給湯を停止する給湯停止制御手段を備えてもよい(請求項3)。
【0011】
上記手段によれば、給湯が開始された後に、扉が何らかの理由で開状態となった場合は前記扉開閉判断手段で開状態と判断されてお湯の給湯が停止される。従って、給湯の途中に扉が開いた場合、或いは間違って扉を開けた場合でも、手にお湯が掛かる虞れはなく、更に安全性が確保される。
【0012】
また、前記給湯装置はお湯のみならず、水(冷水又は常温水)の給水機能を備えていてもよい。即ち、前記器体内に、水を提供する水提供手段を備え、給水ボタンの操作により注ぎ口から水が給水され、該給水ボタンが操作された時、前記扉の開閉状態は判断せず給水される構成としてもよい(請求項4)。
【0013】
上記手段によれば、1台の給湯装置で、お湯と水を給水することができる。そして、水が給水される時は、扉が開いていても水が注がれるので、例えば、給湯されて容器に入ったお湯が手に掛かった時でも、扉を開けて手に水が掛かるように水を出すことができるようになる。
【0014】
更に、水道水を浄化する浄水装置を備え、純水のお湯や水を提供するようにしてもよい(請求項5)。
【0015】
上記手段によれば、給湯されるお湯及び給水される水は何れも純水を使用するため、例えば調乳に適したお湯、水を供給できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の給湯装置は請求項1記載の構成により、お湯の給湯を開始する時に、容器載部の前方開口部が扉で閉じられていなければ給湯が開始されないので、必ず容器載部がある空間内に手等が存在しない状態でお湯の給湯が行なわれる。よって確実に安全性が確保される。
又、請求項2記載の構成により、表示部に表示された警告に従って扉を閉じ、安全性を確保した後お湯の給湯が開始されるため、安全性が確保される。
更に、請求項3記載の構成により、給湯の途中に扉が開いた場合、或いは間違って扉を開けた場合でも、手にお湯が掛かる虞れはなく、更に安全性が確保される。
【0017】
又、請求項4記載の構成により、1台の給湯装置で、お湯と水を給水することができる。
そして、水が給水される時は、扉が開いていても水が注がれるので、例えば、給湯されて容器に入ったお湯が手に掛かった時でも、扉を開けて手に水が掛かるように水を出すことができるようになる。
また、請求項5記載の構成により、純水が供給されるので、例えば調乳に適したお湯、水を供給できる。よって、例えば授乳室に適した給湯装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る給湯装置の一例を示す外観図。
【図2】(a)は本発明に係る給湯装置の要部の拡大正面図、(b)は断面図。
【図3】給湯装置の概略を示す配管図。
【図4】同装置の電気ブロック図。
【図5】給湯動作を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて、詳細に説明する。
図1は給湯装置Aの外観を示し、一般的な飲料の自動販売機と同様の外観を呈しており、器体1内部に、水道水を貯留する給水タンク2と、該給水タンク2の水を浄化する浄水装置3と、浄水装置3で生成された浄水(純水)を所定温度に冷却して給水する冷水タンク4と、純水を加熱手段で所定温度に加温して給湯する温水タンク5と、前記冷水タンク4及び温水タンク5からの排水を貯留する排水タンク6を備え、器体1正面には前記冷水タンク4から給水又は温水タンク5から給湯を受ける例えば哺乳瓶(容器)aを置く容器載部7が設けられ、その容器載部7の前方開口部には扉8が開閉可能に取り付けられ、更に前記容器載部7の上方前面には各種の操作ボタンと表示部が配設されている。
【0020】
前記扉8は、容器載部7の内外を仕切るもので、透明な合成樹脂製板で構成され、その平板の幅方向の一側縁(図面では左側縁)が蝶番で開閉可能に支持され、且つ該扉8の反対側(図面では右側)の開閉操作レバー10側と、器体1側の受け部に亘って前記扉8の閉状態を検出する扉開閉判断手段9が装着されている。
前記扉開閉判断手段9は、例えばマグネット部9aとスイッチ部9bとからなるマグネットセンサを使用し、マグネット部9aを扉側に、スイッチ部9bを器体1側の対応箇所に設置し、マグネット部9aがスイッチ部9bと接合することで通電状態となり、扉8の閉状態がCPUで判断される。
【0021】
又、前記扉8には該扉8の閉状態を固定維持するロック機構11が装着されている。前記ロック機構11は、前記開閉操作レバー10の回動と一緒に作動する掛止片11aと、器体1側の掛止溝11bとで構成され、前記掛止片11aが掛止溝11bに嵌入することでロック状態が確立される。
【0022】
前記操作ボタンとしては、図2に示すように前記冷水タンク4から冷水を哺乳瓶(容器)aに給水するための冷水用操作ボタン12、前記温水タンク5からお湯を哺乳瓶(容器)aに給湯するための温水用操作ボタン13、前記給水タンク2から前記冷水タンク4或いは温水タンク5に水を補充する為の増水ボタン14、温水タンク5の水を所定温度に加温する為の再沸騰ボタン15、ロック解除ボタン16が設けられている。
又、表示部として、前記した各操作ボタンが操作されたことを表示する表示部の他に、冷水用操作ボタン12及び温水用操作ボタン13の側近には夫々冷水タンク4、温水タンク5が「空」であることを表示する表示部17,18、更に「エラー」表示部19、「給水タンク空」表示部20、「排水タンク満」表示部21、「お湯又は冷水」温度表示部22、更に、給湯時に前記扉8が開いている時にエラーメッセージを表示するフルドット表示部(報知手段)23が設けられている。
【0023】
図3は給湯装置Aの概略を示す配管図で、以下、簡単に説明すると、原水である水道水を貯留する給水タンク2の出口側と冷水タンク4及び温水タンク5の流入口とを連結する配管路の途中に浄水装置(逆浸透膜)3を設置し、且つその浄水装置3と前記給水タンク2との間に水道水に含まれる不純物を除去するフィルター(セディメント)F1、活性炭フィルター(プリカーボン)F2が配置され、更に前記フィルターF2と浄水装置3の流入口との間には前記フィルターを通過した水を浄水装置3に送り込むポンプP1が配置されている。浄水装置3を通過し濾過された透過水(純水)は二又に分岐された管路で冷水タンク4、温水タンク5に供給されるように構成されている。冷水タンク4への管路には電磁弁SV1と逆止弁CH1が、温水タンク5への管路には電磁弁SV2と逆止弁CH2が接続されている。
【0024】
又、前記浄水装置(逆浸透膜)3で分離された不純物を含む濃縮水(非透過水)は、一部をリサイクルのためにポンプP1より上流側の管路に戻し、残りは電磁弁SV3、逆止弁CH3を介して排水タンク6に流れるように配管されている。
前記冷水タンク4の給水口に電磁弁SV4が、排水口には電磁弁SV5が設けられている。又、前記温水タンク5の給水口に電磁弁SV6が、排水口には電磁弁SV7が設けられている。そして、前記冷水タンク4の給水口の端部と前記温水タンク5の給水口の端部は注ぎ口24に集められ、該注ぎ口24から冷水、及びお湯が容器載部7に置かれた容器aに注がれるようになっている。
また、前記冷水タンク4の排水口からの排水(1)、及び温水タンク5の排水口からの排水(2)、更に前記容器載部7にこぼれた水(3)は前記排水タンク6に流入するように配管されている。
【0025】
更に、前記給水タンク2の設置箇所には原水(水道水)がなくなりタンクが空になったことを検出するタンク空検出スイッチが、又、前記排水タンク6の設置箇所には該排水タンクの貯留量が満水(所定量)になったことを検出する満水検出スイッチ26と、排水タンク6が装着されているか否かを検出するタンク無し検出スイッチ27が設けられている

又、前記冷水タンク4と温水タンク5には夫々収容されている水、お湯の量を検出する水位センサ28、29が設けられ、且つ冷水タンク4には殺菌の為の紫外線を照射する照射部を構成する紫外線照射ランプ30(図面では「UVランプ」と表示)が装着されている。そして、水、お湯の水位センサ28、29はそれぞれ冷水タンク4、温水タンク5のタンク底部近傍28−1,29−1、タンクの略中間28−2,29−2、タンクの上部28−3,29−3の3段階の水位を検知する為、3つの水位センサを備えている。
前記紫外線照射ランプ30は水銀ランプを用い、制御手段によって点灯/消灯が制御されるようになっている。
又、前記冷水タンク4には大気と連通する空気孔31が、前記タンクの蓋部であって紫外線照射ランプ30の隣に設けられている。そして、紫外線照射ランプ30は蓋部から吊り下げられ上下方向に伸びた形状をしているので、空気孔31から雑菌を含む空気が冷水タンク4内に流入したとしても、空気は紫外線照射ランプ30に沿って流入されるので瞬時に殺菌することができ、結果的にタンク内に拡散する前に殺菌することができる。
【0026】
図4は同装置の電気ブロック図で、CPUはROMに記憶された動作プログラムを読み出して実行することにより、装置全体の制御を行うものである。
RAMは、CPUが動作する為に必要なワークエリアが設けてあり、各種設定データを記憶する書き換え可能なメモリーである。
時計部は、紫外線照射ランプ30の照射開始時間や、浄水(純水)が冷水タンク4、温水タンク5に供給された日時を計時する。
浄水制御部は、給水装置Aに組み込まれている電磁弁SV1〜SV7、ポンプP1等、給水装置を制御するものである。
UV制御部(制御手段)は、冷水タンク4に装着された紫外線照射ランプ30の点灯/消灯を制御するものである。
給水スイッチ(冷水用操作ボタン12)は、冷水タンク4の給水口に取り付けられた電磁弁SV4を開いて、給水する。つまり、給水スイッチが押下されている間だけ、冷水が注がれる。
給湯スイッチ(温水用操作ボタン13)は、温水タンク5の給湯口に取り付けられた電磁弁SV6を開いて、給湯する。つまり、給湯スイッチが押下されている間だけ、お湯が注がれる。
増水スイッチ(増水ボタン14)は、ポンプP1を駆動し、電磁弁SV1を開いて浄水装置3で生成した浄水(純水)を冷水タンク4、又は電磁弁SV2を開いて浄水(純水)を温水タンク5に供給する。供給する量は水位センサ28−3、29−3が検知(満水)するまで。
そして、前記した浄水装置3、UV制御部、給水スイッチ(冷水用操作ボタン12)、給湯スイッチ(温水用操作ボタン13)、増水スイッチ(増水ボタン14)、水位センサ28、29はインターフェースを介して前記CPU、及びRAM、ROM、時計部と接続されている。
扉センサ(扉開閉判断手段9)は、扉8の閉状態を検知するセンサで、例えばマグネットセンサを用いた場合は、通電状態(閉状態)がCPUで判断される。
【0027】
次に、本発明に関する給湯装置AのCPUの動作(給湯)の概略を図5のフローチャートに基づいて説明する。尚、このフローチャートは、給湯装置の電源をオンすることでスタートする。
S1…操作部の「ロック解除」ボタン16が押され、容器載部7に哺乳瓶(容器)aが置かれ、「お湯」ボタン(温水用操作ボタン)13が押されたか否かを判断する。押された場合(YES)はS2へ進み、押されていない場合(NO)はS9へ進む。
S2…扉8が閉状態か判断される。具体的には、扉開閉判断手段9(扉センサ)が通電状態か、非通電状態かを判断する。扉が閉状態(通電状態)と判断された場合(YES)はS3に進み、扉が開状態(非通電状態)と判断された場合(NO)はS8へ進む。尚、扉8が完全に開いていなくても、開閉操作レバー10が閉じ位置にないときは非通電状態となるので、扉8は開いていると判断する。
S3…操作部の「お湯」ボタン(温水用操作ボタン)13が押されている間、CPUから温水タンク5の給湯口に接続された電磁弁SV6を開放する開放信号が出力され続け、お湯が温水タンク5から注ぎ口24を介して容器載部7上の哺乳瓶(容器)aに給湯される。
S4…操作部の「お湯」ボタン(温水用操作ボタン)13の押下げが解除されると、電磁弁SV6を閉鎖する閉鎖信号がCPUから出力され、お湯の給湯が停止される。
【0028】
S5…給湯後に温水タンク5内の温水の量、或いは、給水後に冷水タンク4内の冷水の量が足りるか判断される。具体的には、タンク底部近傍の水位センサ(28−1或いは29−1)により検知されているか否かを判断する。量が足りず検知されていないと判断された場合(NO)はS6へ進み、量が足りて検知されていると判断された場合(YES)は終了する。尚、水位の検知は、例えばセンサの先端に一対の電極を有し、該電極が通電しているか否かにより判断する。
S6…温水タンク5内の温水の量、或いは冷水タンク4内の冷水の量が足りないと判断された場合には、ポンプP1を駆動し、浄水装置3を透過した水(純水)を、冷水タンク4又は温水タンク5に供給すべく電磁弁SV1或いは電磁弁SV2を開放する。
S7…温水タンク5、或いは冷水タンク4内の略上部の水位センサ(29−3、28−3)にて検知されるまで浄水装置3の浄水動作が続けられる。尚、S5では水位センサ28−1、或いは29−1にて検知されるか否かにより、ポンプP1を駆動させて浄水(純水)を生成するようにしたが、S5で判断するお湯或いは水の量はタンクの略中間の水位を検知するセンサ29−2、28−2のセンサにて検知されるか否かにより判断するようにしてもよい。
【0029】
S8…S2で扉8が閉状態ではないと判断されると、フルドット表示部23に「扉を閉じて下さい」のメッセージを表示する。
S9…容器載部7に哺乳瓶(容器)aが置かれ、「冷水」ボタン(冷水用操作ボタン)12が押されたか否かを判断する。押された場合(YES)はS11へ進み、押されていない場合(NO)はS10へ進む。
S10…本発明に直接関係のない増水ボタン14や、再沸騰ボタン15が押された場合で、夫々の処理が実行される。
S11…操作部の「冷水」ボタン(冷水用操作ボタン)12が押されている間、CPUから電磁弁SV4を開放する開放信号が出力され続け、冷水が冷水タンク4から注ぎ口24を介して容器載部7上の哺乳瓶(容器)aに給水される。
S12…操作部の「冷水」ボタン(冷水用操作ボタン)12の押下が解除されると、CPUから電磁弁SV4を閉鎖する閉鎖信号が出力され、冷水の供給が停止される。
【0030】
このように、給湯の場合には扉が閉じているか否かが判断され、閉じている場合にのみ給湯が開始され、冷水の場合は扉の開閉状態は判断せずに、冷水ボタン12が押されると、直ちに給水動作が開始される。つまり、水の場合は、手や体の一部に水が掛かっても問題ないが、お湯の場合はお湯が掛かると危険であるので必ず扉が閉まっていることを給湯の条件とする。
また、一旦、容器に注がれたお湯がこぼれて、体の一部(例えば手)にお湯が触れて該部分を冷やしたい場合においても、給水を開始する条件に扉の開閉が条件になっていないので、扉を開き、例えば手を注ぎ口24の下に位置させて、冷水ボタン12を押すことで冷水が供給されるので手を冷やすことができる。
また、給湯や給水動作で温水タンクのお湯や冷水タンク内の水が足りなくなったら、自動的に浄水動作が開始されるので、温水タンク内のお湯や、冷水タンク内の水(冷水)が足りなくなることがない。
【0031】
又、前記S3で電磁弁SV6の開放信号が出力されお湯が給湯されている間、扉開閉判断手段9(扉センサ)の通電状態をCPUが判断し、「お湯」ボタンの押下げの解除とは別に非通電状態と判断した時は、前記電磁弁SV6を閉じる閉鎖信号がCPUから出力され、お湯の給湯を停止させるようにしてもよい。これにより、給湯途中で、何らかの理由により扉が開状態になった時、例えば、子供が扉を開けた場合等、お湯の給湯が停止されるので、誤って手等にお湯が掛かる虞れがなくなる。
尚、「冷水」を給水する場合、扉8の閉状態を「お湯」を給湯する場合と同様、給水の条件としてもよいし、条件にしなくてもよい。扉8の閉状態を給水の条件とした場合は、給水中は扉8が閉じられているため、哺乳瓶(容器)aへの給水にゴミや埃等が入るのを防止できる。
【0032】
本発明の給湯装置は図示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では水道水を逆浸透膜方式の浄水装置で濾過して純水を生成し、該純水を温めたお湯を給湯する例で説明したが、浄化方式は逆浸透膜に限らず、例えば、麦飯石を用いて水の中に含まれるカルキや金属等を吸着し除去した水を温めるようにしてもよく、また、単に水道水を温めて供給する場合でもよく、提供する水の質は問わない。
(2)実施の形態は、冷水タンクと温水タンクを備え、冷水も給水できる装置で説明したが、温水タンクのみを備え、お湯のみを給湯する給湯装置であってもよい。
(3)実施の形態では、扉は左方向に開く構造であるが、これに限らず、右方向に開く構造、或いは上下方向に開閉する扉でもよい。又、扉が閉じられた時、その閉状態を電気的に維持する為の機構が付いていても良く、その場合、該閉状態を解除するボタンが操作されない限り扉を閉状態に維持するようにしてもよい。
(4)実施の形態では、水が設定温度に冷却された冷水を提供する例で説明したが、これに限らず、常温水を冷水タンク4に溜め、常温水を提供するようにしてもよい。
(5)実施の形態では、水道水を貯留する給水タンク、浄水後冷却した冷水を貯留する冷水タンク、浄水後加熱したお湯を貯留する温水タンクを有し、冷水タンクや温水タンク内のお湯や冷水が提供される例について説明したが、タンクを持たず、例えば水が通る管路の周囲に、該管路を流れる水を冷やしたり、或いは加熱する部材を設け、給水操作があった分だけの水が冷やされたり、或いは温められて注ぎ口から提供されるような機構であってもよい。つまり、提供する水やお湯を貯留するタンクを備える機構に限定される趣旨ではない。
(6)実施の形態では、水が給水される注ぎ口とお湯が給湯される注ぎ口が注ぎ口24を共通にする例で説明したが、それぞれ別の注ぎ口を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
A…給湯装置 a…哺乳瓶(容器)
1…器体 2…給水タンク
3…浄水装置 4…冷水タンク
5…温水タンク 7…容器載部
8…扉 9…扉開閉判断手段(扉センサ)
12…冷水用操作ボタン(給水ボタン) 13…温水用操作ボタン(給湯ボタン)
23…フルドット表示部(表示部) 24…注ぎ口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器体の前面に備えられた注ぎ口の下方に容器載部が設けられ、給湯ボタンの操作により前記容器載部に載置した容器に前記注ぎ口からお湯が給湯される給湯装置において、
前記容器載部の前方開口部を遮蔽又は開放する扉と、
該扉の開閉状態を判断する扉開閉判断手段と、
前記給湯ボタンが操作された時、前記扉開閉判断手段により扉が閉状態と判断された場合にお湯を給湯し、扉が開状態と判断された場合はお湯の給湯を中止するよう制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記器体の前面にお湯の温度等を表示する表示部が設けられ、前記給湯ボタンが操作され、その時前記扉開閉判断手段により扉が開状態と判断された時、前記表示部に扉を閉めるよう促す警告を表示する報知手段を有することを特徴とする請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
前記お湯の給湯中に、前記扉開閉判断手段により扉が開状態と判断された時、前記給湯を停止する給湯停止制御手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の給湯装置。
【請求項4】
前記器体内に、水を提供する水提供手段を備え、給水ボタンの操作により注ぎ口から水が給水され、該給水ボタンが操作された時は、前記扉の開閉状態は判断せず給水されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の給湯装置。
【請求項5】
水道水を純水に浄化する浄水装置を有し、前記注ぎ口から注がれるお湯及び水は、前記浄水装置で生成した純水であることを特徴とする請求項4記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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