説明

給湯装置

【課題】浴槽内の温水を自動的に入れ替えて、清潔な入浴が可能な給湯装置を提供する。
【解決手段】給湯装置Hは、ミキシングバルブ(混合弁)70にて所定温度とされた貯湯タンク20内の温水を追焚き用回路としての二次流路55を介して浴槽60に供給すると共に、ポンプ(追焚き用ポンプ)56の運転により浴槽戻り配管58から吸引した浴槽60内の浴槽水を追焚き用熱交換器50に循環させて加熱した後、浴槽往き配管57から浴槽60内に戻す追焚き運転が可能とされたものであって、ポンプ56の吐出側とミキシングバルブ70の接続部との間の二次回路55に排水装置100を接続し、ポンプ56の運転により、浴槽戻り配管58から浴槽60内の浴槽水を吸引し、排水装置100から排出可能に構成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプの運転により浴槽内の浴槽水を追焚き用の熱交換器に循環させて加熱した後、浴槽内に戻す追焚き運転が可能とされた給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の給湯装置、例えば、ヒートポンプ式の給湯装置では、温水を貯留可能な貯湯タンクと、圧縮機、熱交換器及び蒸発器を有するヒートポンプ冷媒回路とを備えて、貯湯タンクの下部から低温水(或いは、冷たい水)を取り出してヒートポンプ冷媒回路の熱交換器に流し、熱交換器を流れる高温冷媒と熱交換させて加熱して高温水とした後、貯湯タンクの上部に戻して、貯湯タンク内に蓄えるものであった。
【0003】
ところでこのような給湯装置では、浴槽内の浴槽水を適温に保持する、或いは、冷めた浴槽内の浴槽水を加熱するための追焚き機能を具備している。具体的に、図3を用いて説明すると、給湯装置は、ポンプ56と、追焚き用熱交換器50と、浴槽60の往き配管57及び戻り配管58とを有した追焚き用回路55を備える。そして、ポンプ56の運転により浴槽戻り配管58から吸引した浴槽内の浴槽水を追焚き用熱交換器50に循環させて加熱した後、浴槽往き配管57から浴槽60内に戻すものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−138513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような追焚き機能を備えた給湯装置では、上述したように追焚き運転により浴槽内の浴槽水を適温に維持することが可能であるが、その反面、この温度は細菌の増殖にも適した温度であるため、定期的に浴槽内から排水して、浴槽内の浴槽水を張り替えなければ細菌の繁殖の温床にもなりかねない。しかしながら、従来の給湯装置では浴槽内の浴槽水の排出は、浴槽の底部に設けられた排水口のみからであった。即ち、浴槽内の浴槽水の排出はユーザー依存となるため、場合によっては何日も排水されない恐れもあった。特に、追焚き用の回路には、機器の故障を防ぐためのフィルタを備えており、浴槽内の浴槽水を追焚き回路に循環させることで当該フィルタにより目に見えるゴミ類が除去されるため、ユーザーが清潔な温水であると勘違いして、長期間浴槽水の張り替えがなされないという事例も少なくなかった。
【0005】
このように、浴槽水の張り替えを行わないで繰り返し使用すると、浴槽水に細菌が繁殖し、この細菌が繁殖した浴槽水に入浴することとなるため、不衛生的であると共に、アレルギー等の疾患が現れる可能性が高くなるという問題が生じていた。
【0006】
本発明は、係る従来の技術的問題を解消するために成されたものであり、人為的な操作を介さずに、浴槽内の浴槽水を自動的に入れ替えることができる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の給湯装置は、温水を貯留する貯湯タンクと、追焚き用ポンプ、追焚き用熱交換器、浴槽往き配管及び浴槽戻り配管を有した追焚き用回路と、追焚き用ポンプの吐出側と追焚き用熱交換器の間の追焚き用回路に配管接続された混合弁とを備え、この混合弁にて所定温度とされた貯湯タンク内の温水を追焚き用回路を介して浴槽に供給すると共に、追焚き用ポンプの運転により浴槽戻り配管から吸引した浴槽内の浴槽水を追焚き用熱交換器に循環させて加熱した後、浴槽往き配管から浴槽内に戻す追焚き運転が可能とされたものであって、追焚き用ポンプの吐出側と混合弁の接続部との間の追焚き用回路に接続された排水装置とを備え、追焚き用ポンプの運転により、浴槽戻り配管から浴槽内の浴槽水を吸引し、排水装置から排出可能とされていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明の給湯装置は、上記発明において排水装置は、追焚き用回路に介設され、排水口に連通された流路切換弁から成り、この流路切換弁により追焚き用ポンプの吐出側が排水口に連通するよう流路を切り替えることにより、浴槽内の浴槽水を排水口から排出することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明の給湯装置は、請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の発明において流路切換弁により追焚き用ポンプの吐出側が排水口に連通するよう流路を切り替え、混合弁から追焚き用熱交換器を経て浴槽往き配管から浴槽に注湯すると共に、追焚き用ポンプを運転して浴槽内の浴槽水を排水口から排出することにより、洗浄運転を実行することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明の給湯装置は、請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の発明において追焚き用回路を用いた追焚き運転を実行する前に、排水装置により浴槽内の浴槽水を一部排出することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明の給湯装置は、請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載の発明において浴槽内の浴槽水を循環させて凍結防止運転を実行する前、或いは、この凍結防止運転の実行中に、排水装置により前記浴槽内の浴槽水を一部排出して、混合弁から追焚き用回路を介して浴槽に注湯することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明の給湯装置は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の発明において圧縮機、冷媒対水熱交換器及び蒸発器を有して構成されたヒートポンプ冷媒回路により、貯湯タンク内に温水を生成することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明の給湯装置は、請求項2に記載の発明において浴槽内の浴槽水を排水装置により一部排出した後、貯湯タンク内の温水を浴槽に注湯する差し湯を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、温水を貯留する貯湯タンクと、追焚き用ポンプ、追焚き用熱交換器、浴槽往き配管及び浴槽戻り配管を有した追焚き用回路と、追焚き用ポンプの吐出側と追焚き用熱交換器の間の追焚き用回路に配管接続された混合弁とを備え、この混合弁にて所定温度とされた貯湯タンク内の温水を追焚き用回路を介して浴槽に供給すると共に、追焚き用ポンプの運転により浴槽戻り配管から吸引した浴槽内の浴槽水を追焚き用熱交換器に循環させて加熱した後、浴槽往き配管から浴槽内に戻す追焚き運転が可能とされた給湯装置において、追焚き用ポンプの吐出側と混合弁の接続部との間の追焚き用回路に接続された排水装置とを備え、追焚き用ポンプの運転により、浴槽戻り配管から浴槽内の浴槽水を吸引し、排水装置から排出可能とされているので、当該排水装置により浴槽内の浴槽水を排出することができる。特に、排水装置を追焚き用回路に接続し、追焚き用ポンプの運転により浴槽内の浴槽水を吸引して排出可能に構成することで、浴槽水を浴槽内から吸引するための吸引手段を別途設けること無く、浴槽水を排出することができるので、コストアップを極力抑えることができる。
【0015】
また、請求項2の如く排水装置は、追焚き用回路に介設され、排水口に連通された流路切換弁から成り、この流路切換弁により追焚き用ポンプの吐出側が排水口に連通するよう流路を切り替えることにより、浴槽内の浴槽水を排水口から排出するものとすれば、簡単な構成で浴槽内の浴槽水を容易に排出可能となる。
【0016】
これらにより、ユーザーによる浴槽水の排出動作に依存すること無く、浴槽内の浴槽水を自動で排出することができるようになる。
【0017】
また、請求項3の発明によれば、請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の発明において流路切換弁により追焚き用ポンプの吐出側が排水口に連通するよう流路を切り替え、混合弁から追焚き用熱交換器を経て浴槽往き配管から浴槽に注湯すると共に、追焚き用ポンプを運転して浴槽内の浴槽水を排水口から排出することにより、洗浄運転を実行することができる。この洗浄運転により各配管及び浴槽内を衛生的に保つことができるようになる。
【0018】
請求項4の発明によれば、請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の発明において追焚き用回路を用いた追焚き運転を実行する前に、排水装置により浴槽内の浴槽水を一部排出するので、温度低下した浴槽の浴槽水を排水装置から排出し、新たに浴槽内に貯湯タンクから高温の温水を供給することができるので、追焚き運転の時間を短くすると共に、極力抑えることができる。これにより、給湯装置の効率を改善することができるようになる。
【0019】
請求項5の発明によれば、請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載の発明において浴槽内の浴槽水を循環させて凍結防止運転を実行する前、或いは、この凍結防止運転の実行中に、排水装置により前記浴槽内の浴槽水を一部排出して、混合弁から追焚き用回路を介して浴槽に注湯するので、貯湯タンクからより多くの高温水を流すことが可能となる。
【0020】
請求項6の発明によれば、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の発明において圧縮機、冷媒対水熱交換器及び蒸発器を有して構成されたヒートポンプ冷媒回路により、貯湯タンク内に温水を生成するので、電気ヒータにより貯湯タンク内に温水を生成する場合に比べてエネルギー効率がよく、省エネルギーを実現することができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、請求項2に記載の発明において浴槽内の浴槽水を排水装置により一部排出した後、貯湯タンク内の温水を浴槽に注湯する差し湯を実行するので、例えば、浴槽内の水位を調節する場合に、排水装置により浴槽内の浴槽水を一部排出し、貯湯タンク内の上部の高温水を浴槽内に適量差し湯することで、浴槽内の浴槽水の温度を上昇させながら、水位の調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、浴槽内の浴槽水が排出されること無く、繰り返し使用されることで浴槽水に細菌が繁殖し、衛生的に好ましくない状態となる不都合を解消するために成されたものである。ユーザーが操作することなく、自動的に浴槽内の浴槽水を排出して、張り替えるという云う目的を、追焚き用ポンプの吐出側と混合弁の接続部との間の追焚き用回路に接続された排水装置とを備え、追焚き用ポンプの運転により、浴槽戻り配管から浴槽内の浴槽水を吸引し、排水装置から排出可能に構成することで実現した。以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0023】
図1は、本発明をヒートポンプ式の給湯装置に適用した場合の一実施例の給湯装置の全体のシステムを示す回路図である。本実施例のヒートポンプ式給湯装置Hは、ヒートポンプユニットAと貯湯タンクユニットBとから構成されている。尚、実施例では、本発明をヒートポンプ冷媒回路により、貯湯タンク内に温水を生成するヒートポンプ式の給湯装置に適用して説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、電気ヒータを用いて貯湯タンク内の温水を生成する給湯装置であっても適用可能である。
【0024】
このヒートポンプユニットAは、図2に示すように圧縮機11、冷媒対水熱交換器12、減圧手段としての膨張弁13及び蒸発器15を有して、これらを順次配管接続することによりヒートポンプユニットの冷媒回路10が構成されている。上記冷媒対水熱交換器12は冷媒回路10を流れる冷媒と貯湯タンクユニットBからの水とが熱交換可能に構成されている。具体的に、本実施例の冷媒対水熱交換器12は、冷媒回路10の圧縮機11から出た高温高圧の冷媒と、後述する貯湯タンクユニットBの貯湯タンク20に接続された温水生成回路30の配管31を流れる低温水(或いは、冷たい水)とを熱交換させるための熱交換器である。
【0025】
そして、上述したヒートポンプユニットAの圧縮機11が起動されると、圧縮機11に冷媒が吸い込まれ圧縮される。これにより、冷媒は高温高圧の冷媒ガスとなって圧縮機11から吐出され冷媒対水熱交換器12に流入する。そして、冷媒対熱交換器12に流入した冷媒は、前述した貯湯タンク20からの低温水(或いは、冷たい水)と熱交換して放熱した後、膨張弁13にて減圧され、蒸発器15に流入する。冷媒はこの蒸発器15において周囲の空気から熱を汲み上げて、即ち、周囲の空気から熱を奪って蒸発する。その後、冷媒は蒸発器15から出て圧縮機11に吸い込まれるサイクルを繰り返す。
【0026】
一方、前記貯湯タンクユニットBは、温水を貯留する貯湯タンク20と、後述する追焚き用回路としての二次流路55と、一次流路51と、ミキシングバルブ70とを備える。この貯湯タンク20は、前記ヒートポンプユニットAの冷媒対水熱交換器12にて冷媒と熱交換して加熱され、高温となった高温水を貯留可能とした略縦長円筒状を呈したタンクである。この貯湯タンク20の下方には当該タンク20内に水を供給するための給水配管41と、温水生成回路30の配管31と、前記一次流路51の配管45が接続されている。給水配管41は貯湯タンク20の底部に接続されて、一端が当該貯湯タンク20内の下部にて開口すると共に、他端は水道水などの図示しない給水源に接続されている。
【0027】
また、給水配管41には、給水源から貯湯タンク20に向かう方向を順方向とする逆止弁、給水源からの給水圧を所定の圧力に減圧する減圧弁及び給水源からの給水を制御するための開閉弁等が設けられている。
【0028】
上記給水配管41の途中部には、給水配管71の一端が接続されている。この給水配管71は給水配管41に接続された一端から延出し、他端はミキシングバルブ70の他方の入口に接続されている。
【0029】
上記温水生成回路30は、貯湯タンク20内の低温水(或いは、冷たい水)を前述した冷媒対水熱交換器12に流して、加熱して高温の温水を生成するための回路であり、配管31とこの配管31に介設された循環ポンプ33から構成されている。当該配管31は、貯湯タンク20内の下部にて開口する一端からヒートポンプユニットAの冷媒対水熱交換器12に延出され、その途中部が冷媒対水熱交換器12にて当該冷媒対熱交換器12を流れる冷媒と熱交換可能に配設されている。また、配管の他端は貯湯タンク20の上部に接続されている。
【0030】
上記循環ポンプ33は、貯湯タンク20下部から貯湯タンク20内の低温水を吸引し、ヒートポンプユニットAの冷媒対水熱交換器12に流した後、貯湯タンク20の上部に戻すためのポンプであり、制御装置Sにより運転が制御されている。即ち、制御装置Sにより当該循環ポンプ33が運転されると、貯湯タンク20内の下部の低温水が温水生成回路30の配管31に吸い込まれ、冷媒対水熱交換器12を通過した後、配管31を経て上部から貯湯タンク20に戻るサイクルを繰り返すこととなる。
【0031】
更に、前述した一次流路51は、貯湯タンク20の上部の高温水を、追焚き用熱交換器としての水々熱交換器50内に流して、当該水々熱交換器50にて一次流路51と交熱的に設けられた二次流路55を流れる浴槽60からの温水(浴槽水)を加熱するための追焚き用の流路である。この一次流路51の配管45にはポンプ52が介在されており、当該ポンプ52の運転により貯湯タンク20の上部に接続され一端から貯湯タンク20内上部に貯留された高温水が取り出し可能に構成されている。そして、配管45の途中部は、水々熱交換器50内にて二次流路55と交熱的に配設されている。また、配管45の他端は、貯湯タンク20の下部に接続されて、当該貯湯タンク20内の下部にて開口している。
【0032】
一方、前述した二次流路55は、浴槽60内の温水を追焚きするための追焚き用回路である。この二次流路55は、ポンプ(追焚き用ポンプ)56、水々熱交換器50、浴槽60に接続された浴槽往き配管57及び浴槽戻り配管58を有している。具体的に、浴槽60には、浴槽60内の浴槽水を取り出すための浴槽戻り配管58の一端が接続されている。
【0033】
この配管58の途中部にはポンプ56が介設されている。このポンプ56は、浴槽60内から浴槽水を吸引して水々熱交換器50内に循環させて、当該水々熱交換器50にて加熱するための追焚き用のポンプであり、水々熱交換器50に向かう方向が順方向となるよう配置されている。この浴槽戻り配管58の他端は後述する三方弁101に接続されている。また、三方弁101には浴槽60内に温水を戻すための浴槽往き配管57の一端も接続されている。更に、三方弁101には後述する排出配管110の一端も接続されている。
【0034】
上記配管57は、当該三方弁101に接続された一端から前記水々熱交換器50内に延出され、当該配管57の途中部が水々熱交換器50内にて前記一次流路51の配管45と交熱的に配置されている。その後、この浴槽往き配管57は、上記水々熱交換器50から出て、他端が浴槽60に接続され、係る環状の回路が構成されている。また、上記ポンプ56及び三方弁101は前記制御装置Sに接続されており、当該制御装置Sにより運転及び動作が制御されている。
【0035】
そして、追焚き運転を行う場合には、制御装置Sによりポンプ56が運転されると共に、三方弁101により配管57と配管58とが連通されるよう流路が切り換えられる。このポンプ56の運転により、浴槽戻り配管58から吸引された浴槽60内の浴槽水(温水)は水々熱交換器50を流れて、当該水々熱交換器50にて加熱された後、浴槽往き配管57から浴槽60内に戻るサイクルを繰り返すこととなる。
【0036】
他方、上記二次流路55のポンプ56の吐出側の浴槽往き配管57の途中部、即ち、本実施例では、三方弁101と水々熱交換器50との間の浴槽往き配管57(接続部105)には、温水供給配管62の他端が接続されている。この温水供給配管62は、一端が前記ミキシングバルブ70に接続されており、途中部には開閉弁63が介設されている。この開閉弁63は、ミキシングバルブ70にて混合された温水を浴槽60に流すための電磁弁であり、前記制御装置Sにより開閉が制御されている。
【0037】
一方、貯湯タンク20の上部には、貯湯タンク20内から高温水を取り出すための温水供給配管68の一端が接続されている。この温水供給配管68の一端は、貯湯タンク20内の上部にて開口しており、ここから貯湯タンク20内の高温水を取り出し可能に構成されている。この温水供給配管68は、上述の如き貯湯タンク20内の上部にて開口する一端から延出し、他端がミキシングバルブ70の一方の入口に接続されている。
【0038】
このミキシングバルブ70は、給水配管41からの水道水と、貯湯タンク20内の上部からの高温水とを混合して、所定の温度の温水、例えば、+42℃程度の温水とするための電動可変ミキシングバルブである。当該ミキシングバルブ70の出口には、前述した温水供給配管62の一端が接続される。即ち、ミキシングバルブ70は、温水供給配管62を介してポンプ56の吐出側と水々熱交換器50の間の二次流路55に接続されている。係る構成により、当該配管62及び二次流路55を介してミキシングバルブ70にて所定温度とされた貯湯タンク20内の温水(即ち、貯湯タンク20内の上部からの高温水と水道水とが混合されて所定温度とされた温水)が浴槽60に供給可能とされている。
【0039】
具体的に、本実施例ではミキシングバルブ70で所定の温度に調整された温水が、開閉弁63の開放及び三方弁101の動作(即ち、配管57と配管58とを連通する動作)により、停止しているポンプ56を介して、及び、ポンプ56を介さずに水々熱交換器50を介して浴槽60に供給され、浴槽60内のお湯張り動作が成されることとなる。
【0040】
一方、図1において100は本発明の排水装置である。この排水装置100はポンプ56の吐出側と、ミキシングバルブ70の出口に一端が接続された温水供給配管62の他端の接続部105との間の二次流路55に設けられて、ポンプ56の運転により浴槽戻り配管58から浴槽60内の浴槽水を吸引し、排出可能に構成されている。
【0041】
具体的に、本実施例の排水装置100は、二次流路55の配管上(浴槽戻り配管58と浴槽往き配管57の間)に介設された流路切換弁としての前述した三方弁101から成る。この三方弁101には、前述した浴槽戻り配管58の他端と、浴槽往き配管57の一端が接続されると共に、排水口110Aを備えた排出配管110の一端も接続されている。即ち、排出配管110は、三方弁101に一端が接続されると共に、他端が給湯装置Hの外部に延出し、下水等にて開口しており、この他端の開口が排水口110Aとされている。
【0042】
この場合、三方弁101により浴槽戻り配管58と排出配管110とが連通するように、即ち、ポンプ56の吐出側が排水口110Aに連通するよう流路が切り換えられると、ポンプ56の運転により、浴槽戻り配管58から吸引した浴槽60内の浴槽水が三方弁101を介して排出配管110に流入し、排水口110Aから外部に排出されることとなる。当該排水動作、即ち、三方弁101の切り換え及びポンプ56の運転は、制御装置Sにて制御されている。
【0043】
尚、本実施例の貯湯タンク20の容量は、例えば、370Lとし、この貯湯タンク20には、制御装置Sに接続された複数の湯温検出センサが貯湯タンク20の下部から上部まで所定間隔を存して設けられている。各検出センサの検出湯温が、所定の温度以上、例えば、+55℃以上の場合には、貯湯タンク20内の上端からその位置までは、+55℃以上の温水が貯湯されており、制御装置Sは残湯ありと判断する。尚、本実施例では、残湯量が300Lの位置に検出センサS1、残湯量250Lの位置に検出センサS2、残湯量200Lの位置に検出センサS3、残湯量150Lの位置に検出センサS4、残湯量100Lの位置に検出センサS5、残湯量50Lの位置に検出センサS6がそれぞれ配置されているものとする。また、浴槽戻り配管58には、浴槽60内に貯留された浴槽水(温水)の温度を検出する温度センサS8と、水圧によって水位を検出する水位センサS9とが設けられている。
【0044】
そして、消費者は電力会社と所定の時間帯別電灯契約を結んで、料金の安い深夜時間帯内の所定の時刻に貯湯量から沸き上げ量、そして、全量沸き上げに必要な時間を算出し、沸き上げ終了時刻より前記必要な時間を考慮して、逆算した時刻から貯湯運転を開始し、全量沸き上げ終了、例えば、本実施例では配管31の一端近傍に設置された温度センサS7により貯湯タンク20の下部から取り出される温水の温度を検出し、当該温度センサS7にて検出される温水の温度が所定の沸き上げ終了温度(例えば、+55℃以上)となったら、当該貯湯運転を停止するよう制御装置Sにより制御されるものとする。更にまた、上記以外の時間帯では、残湯量が100Lより低下したら貯湯運転を開始し、150L以上となったらこの貯湯運転を停止するよう制御装置Sにより制御されるものとする。
【0045】
また、本実施例の給湯装置Hは、マイクロコンピュータ等からなる前記制御装置Sにより運転が制御されている。この制御装置Sには、前述した各センサS1乃至S9、お風呂場に設けられた風呂リモートコントローラ(以下、「風呂リモコン」と称する)L1や台所に設けられた台所リモートコントローラ(以下、「台所リモコン」と称する)L2などが接続されており、これらの入力情報に基づき電気信号や温度信号等に応じて、ヒートポンプユニットAの圧縮機11の運転と周波数、ポンプ52、56の運転、各開閉弁63(給水配管41の開閉弁は図示せず)の開閉、膨張弁13の開度、ミキシングバルブ70における高温水と低温水(本実施例では水道水)のミキシング量、三方弁101の流路切り換え制御等が実行されている。尚、上記風呂リモコンL1には、各種スイッチ、例えば、浴槽60のお湯張り運転を実行するためのお湯張りスイッチ、浴槽60の追焚き運転を実行するための追焚きスイッチ、浴槽60の排水運転を実行するための排水スイッチ、洗浄運転を実行するための洗浄スイッチや浴槽60内の温水の温度を設定するための温度設定スイッチ等が設けられている。
【0046】
特に、本実施例の制御装置Sは、定期的に前記排水装置100から浴槽60内の浴槽水の排出動作を実行する。また、上記以外(定期的以外)にも何らかの起点に基づいて、排水動作を実行する。例えば、制御装置Sは、ユーザーにより風呂リモコンL1が操作された場合(例えば、本実施例では、風呂リモコンL1に設けられた排水スイッチが押された場合)にも、前述したように排水装置100からの浴槽水の排出動作を実行する。本実施例において、制御装置Sは定期的な排出動作として、追焚き運転を実行する前に、排水装置100から浴槽60内の浴槽水を一部排出すると共に、風呂リモコンL1が操作された場合には排水装置100から浴槽60内の浴槽水を全て排出するものとする。
【0047】
尚、排出動作は上記に限定されるものではない。例えば、制御装置Sが浴槽60内にお湯張りが成されたことを検出したら、時間のカウントを開始し、所定時間経過したら、排水動作を実行するものとしても差し支えない。この場合、例えば、温度センサS8、或いは、水位センサS9により浴槽60内にお湯張りが成されたことを検出するものとしても良いし、制御装置Sによりお湯張り運転が実行されたら、時間のカウントを開始するものとしても構わない。若しくは、浴槽60内の浴槽水の細菌の繁殖を検出可能なセンサを設けて、制御装置Sが当該センサの検出に基づき排水動作を実行するものとしても本発明は有効である。また、本実施例の如く追焚き運転を実行する前に、排水動作を行う場合には、追焚き運転の実行の前に毎回排水装置100からの排水動作を実行するものとしても良いし、数回毎に排水動作を実行するものとしても良い。
【0048】
更に、本実施例では、制御装置Sは定期的な排出動作において、排水装置100から浴槽60内の浴槽水を一部排出するものとしたが、排水装置100から浴槽60内の浴槽水を全て排出するものとしても差し支えない。
【0049】
以上の構成で、次に本実施例の給湯装置Hの動作を説明する。
【0050】
(1)貯湯運転
始めに、貯湯タンク20内に温水を生成する貯湯運転について説明する。当該貯湯運転は、通常、電気料金の安い深夜時間帯において所定の時刻に貯湯量から沸き上げ量、そして、全量沸き上げに必要な時間を算出し、沸き上げ終了時刻より前記必要な時間を考慮して逆算した時刻Tから貯湯運転が開始される。また、それ以外の時間帯では残湯量が所定量(本実施例では100L)より低下したら、即ち、貯湯タンク20の残湯量が100Lの位置に配置された湯温検出センサS5にて検出される湯温が所定の温度未満(例えば、本実施例では+55℃未満)となった場合に貯湯運転が開始される。尚、この貯湯運転において、貯湯タンク20内に戻る高温水の温度が所定の高温、例えば、+85℃となるように制御装置Sにより、ヒートポンプユニットAの圧縮機11の回転数及び膨張弁13の弁開度は制御されているものとする。
【0051】
制御装置Sは、深夜時間帯における前述した時刻T、或いは、貯湯タンク20の残湯量が100Lの位置に配置された湯温検出センサS5にて検出される湯温が所定の温度未満(例えば、本実施例では+55℃未満)となると、ヒートポンプユニットAの圧縮機11の運転を開始する。これにより、圧縮機11に吸い込まれた低温低圧の冷媒ガスは、当該圧縮機11の圧縮機構部にて圧縮され、高温高圧の冷媒ガスとなって冷媒対水熱交換器12に吐出されて放熱し、膨張弁13にて減圧されて蒸発器15に流入し、当該蒸発器15にて周囲の熱を汲み上げて蒸発した後、圧縮機11に吸い込まれるサイクルを繰り返す。
【0052】
また、制御装置Sは上記ヒートポンプユニットAの圧縮機11の始動と同時に、温水生成回路の循環ポンプ33の運転を開始する。これにより、貯湯タンク20の下部に接続された配管31の一端から貯湯タンク20内下部の低温水(或いは、冷たい水)が取り出される。これにより、貯湯タンク20内下部から取り出された低温水は、温水生成回路30の配管31に流入し、冷媒対水熱交換器12を通過する。このとき、冷媒対熱交換器12において、当該配管31内を流れる低温水と圧縮機11からの高温冷媒とが熱交換される。即ち、貯湯タンク20内下部から取り出された低温水は圧縮機11からの高温冷媒と熱交換することで、当該冷媒により加熱されて、高温水となる。この冷媒対水熱交換器12にて加熱されて、高温となった温水は冷媒対水熱交換器12から出て、貯湯タンク20の上部に戻るサイクルを繰り返す。
【0053】
そして、深夜時間帯における貯湯運転では、全量沸き上げが終了すると(即ち、本実施例では配管31の一端側に設けられた温度センサS7にて検出される貯湯タンク20内下部から取り出される温水の温度が所定の温度(例えば、+55℃)に上昇すると、或いは、深夜以外の時間帯では残湯量が所定値(例えば、150L)以上になると、制御装置SはヒートポンプユニットAの圧縮機11の運転及び循環ポンプ33を停止し、上述した給湯運転を終了する。
【0054】
(2)お湯張り動作
次に、浴槽60のお湯張りを行う動作について説明する。例えば、ユーザーがお風呂場に設けられた風呂リモコンL1のお湯張りスイッチを押すと、制御装置Sは、浴槽60のお湯張り運転を開始する。当該お湯張り運転において、制御装置Sは開閉弁63を開放すると共に、配管57と配管58とを連通するよう三方弁101を制御する。このとき、二次流路55のポンプ56は停止された状態のままである。また、制御装置Sによりミキシングバルブ70にて所定の温度(例えば、+42℃)の温水が生成されて、浴槽60に供給されるように、貯湯タンク20の高温水の取り出し量及び当該高温水と混合される水道水の量が制御されているものとする。
【0055】
お湯張り運転が開始されると、貯湯タンク20の上部に接続された温水供給配管68から貯湯タンク20内の高温水が取り出される。この高温水は、ミキシングバルブ70に流入する。当該ミキシングバルブ70にて貯湯タンク20からの高温水は、配管71から供給された水道水と混合されて、約+42℃程度の温水とされた後、ミキシングバルブ70から出て温水供給配管62を介して、二次流路55に入り、停止しているポンプ56及びポンプ56を介さずに水々熱交換器50を介して浴槽60に供給される。そして、所定量の温水が浴槽60に供給されると、例えば、浴槽戻り配管58に設けられた水位センサS9により所定量の水位が検出されると、制御装置Sはこのお湯張り運転を終了する。
【0056】
(3)追焚き動作及び追焚き運転前の排水動作(自動排水動作)
次に、浴槽60内の浴槽水(温水)の追焚き運転における動作について説明する。この場合、本実施例では、前述したように追焚き運転を実行する前に、排水装置100からの排出動作を実行するものとするので、制御装置Sは、ユーザーにより風呂リモコンL1の追焚きスイッチが押される、若しくは、温度センサS8にて検出される浴槽60内の浴槽水の温度が所定の温度に低下すると、通常の追焚き運転に入る前に、排水装置100からの排水動作を実行する。即ち、制御装置Sは、二次流路55のポンプ56を始動すると共に、三方弁101により浴槽戻り配管58と排出配管110とを連通して、ポンプ56の排出側が排水口110Aに連通するよう流路を切り換える。これにより、浴槽戻り配管58から浴槽60内の浴槽水が吸引される。この浴槽水は、浴槽戻り配管58から三方弁101を介して排出配管110に入り、排水口110Aより外部に排出される。
【0057】
その後、浴槽60内の水位が所定値に低下すると、若しくは、ポンプ56を起動してから所定時間経過すると、ポンプ56を停止して、排出運転を終了し、追焚き運転に移行する。この場合、上記排出運転により浴槽60内の水位が低下しているので、制御装置Sは、先ず、浴槽60内の水位が所定の水位に到達するまで、例えば、浴槽戻り配管58に設けられた水位センサS9により所定量の水位が検出されるまで、前述したお湯張り運転が実行された後(お湯張り運転は上記で説明した通りであるので、ここでは説明を省略する)、追焚き運転が実行される。
【0058】
即ち、制御装置Sは、一次流路51のポンプ52と二次流路55のポンプ56を運転すると共に、二次流路55の浴槽戻り配管58と浴槽往き配管57とを連通するように三方弁101の流路を切り換える。これにより、貯湯タンク20内の高温水と浴槽60内からの浴槽水(温水)とを水々熱交換器50で熱交換して、浴槽60の浴槽水を追焚きすることができる。
【0059】
具体的に、追焚き運転が開始されると(上記各ポンプ52、56が始動すると)、ポンプ52の運転により貯湯タンク20の上部から一次流路51に取り出された高温水は、水々熱交換器50内を通過する。同様に、ポンプ56の始動により二次流路55に浴槽60内の浴槽水が取り出され、当該浴槽水は水々熱交換器50内に入る。上述したように水々熱交換器50内において一次流路51と二次流路55とは交熱的に配置されているので、当該水々熱交換器50内を通過する過程で二次流路55を流れる浴槽60からの浴槽水(温水)は、この二次流路55と交熱的に設けられた一次流路51を流れる貯湯タンク20上部からの高温水と熱交換して、加熱される。そして、水々熱交換器50にて一次流路51を流れる高温水から熱を奪って加熱された浴槽水は当該水々熱交換器50から出て再び浴槽60に戻るサイクルを繰り返す。
【0060】
他方、水々熱交換器50にて二次流路55を流れる浴槽水と熱交換して温度低下した一次流路51を流れる温水は、当該水々熱交換器50から出て貯湯タンク20の下部から貯湯タンク20内に戻るサイクルを繰り返す。
【0061】
上述した追焚き運転を継続することで、浴槽戻り配管58に設けられた温度センサS8にて検出される浴槽60内の浴槽水の温度が所定の温度(例えば、+42℃に上昇)すると、制御装置Sは上記各ポンプ52、56を停止して、追焚き運転を終了する。
【0062】
このように、本発明の給湯装置Hでは、ポンプ56の吐出側とミキシングバルブ70の接続部105との間の二次流路55に排水装置100を接続し、ポンプ56の運転により、浴槽戻り配管58から浴槽60内の浴槽水を吸引し、排水装置100から排出可能とされているので、当該排水装置100により浴槽60内の浴槽水を排出することができる。特に、本実施例の如く排水装置100を追焚き用回路としての二次流路55に接続し、ポンプ56の運転により浴槽60内の浴槽水を吸引して排出可能に構成することで、浴槽水を浴槽60内から吸引するための吸引手段を別途設けること無く、排出することができるので、コストアップを極力抑えることができる。
【0063】
更に、本実施例の給湯装置Hのように排水装置100を二次流路55に介設され、排水口110Aに連通された流路切換弁としての三方弁101にて構成し、この三方弁101によりポンプ56の吐出側が排水口110Aに連通するよう流路を切り替えることにより、浴槽60内の浴槽水を排水口110Aから排出するものとすれば、簡単な構成で浴槽60内の浴槽水を容易に排出可能となる。
【0064】
従来の装置では浴槽内の浴槽水の排出は、浴槽の底部に設けられた排水口のみからであり、ユーザーの操作によって成されるものであった。即ち、浴槽内の浴槽水の排出はユーザー依存となるため、場合によっては何日も排水されない恐れもあった。特に、追焚き用の回路には、機器の故障を防ぐためのフィルタを備えており、浴槽内の温水を当該追焚き回路に循環させることで当該フィルタにより目に見えるゴミ類は除去されるため、ユーザーが清潔な温水であると勘違いして、長期間浴槽水の張り替えが成されないという事例も少なくなかった。このように、浴槽水の張り替えを行わないで繰り返し使用すると、浴槽水に細菌が繁殖し、この細菌が繁殖した浴槽水に入浴することとなるため、不衛生的であると共に、繁殖した細菌によりアレルギー等の疾患が現れる可能性が高くなるという問題が生じていた。
【0065】
しかしながら、本発明によれば、上記排水装置100によりユーザーの操作による人為的な浴槽水の排出動作に依存すること無く、浴槽60内の浴槽水を自動で排出することができる。これにより、浴槽60内の浴槽水の細菌の繁殖を回避することが可能となり、常に清潔な入浴が可能となる。
【0066】
特に、浴槽60内の水位を調節する場合に、排水装置100により浴槽60内の浴槽水を水位以下になるように排出し、貯湯タンク20内の上部の高温水を適量浴槽60に注湯する差し湯を行うことで、浴槽60内の水位が必要な高さになるようにしている。そして、浴槽60内の浴槽水の温度が最適な温度に達していなければ、追焚き運転を行って、浴槽60内の浴槽水の温度を最適な温度にする。このように、浴槽60内の水位を調整する場合に、排水装置100により浴槽60内の浴槽水を一部排出した後、貯湯タンク20内の上部の高温水を浴槽60に注湯する差し湯を実行することで、浴槽60内の水位を調節しながら、浴槽60内の浴槽水の温度の調節(浴槽水の温度上昇)もできるので、効率を改善出来ると共に、その後の追焚き運転の時間を短く、若しくは、極力抑えることができる。
(4)給湯運転
尚、本実施例では浴槽以外の台所やシャワー等で温水を使用する場合、所謂、給湯運転については、特に説明しないが、貯湯タンク20には当該給湯タンク20内の上部の高温水を取り出すための取出配管と、当該取出配管から取り出した高温水と水道水とを混合して、所定の温度(シャワーや台所リモコンL2等で使用者により設定された温度、例えば、+36℃〜+48℃の何れかの温度、又は、+60℃)とするためのミキシングバルブと、このミキシングバルブにて調節された温水をシャワーや台所等に供給するための給湯配管等を備えるものとする。そして、使用者によりシャワーや台所の蛇口が操作されると、貯湯タンク20から温水が取り出され、ミキシングバルブにて水道水と混合されて所定の温度とされた後、給湯配管を介してシャワーや台所等に供給されるものとする。
(5)排水動作(ユーザーの操作に基づく排水動作)
他方、前述した追焚き運転前の排水動作以外に、本実施例の制御装置Sは、ユーザーにより風呂リモコンL1に設けられた排水スイッチが押されると、排水動作を実行する。即ち、制御装置Sは、二次流路55のポンプ56を始動すると共に、三方弁101により浴槽戻り配管58と排出配管110とを連通し、ポンプ56の排出側が排水口110Aに連通するよう流路を切り換える。これにより、浴槽戻り配管58から浴槽60内の浴槽水が吸引される。この浴槽水は、浴槽戻り配管58から三方弁101を介して排出配管110に入り、排水口110Aより外部に排出される。
【0067】
その後、浴槽60内の浴槽水が全て排出されると、若しくは、ポンプ56を起動してから浴槽60内の浴槽水が全て排出されたと推定される所定の時間が経過すると、ポンプ56を停止して、当該排水運転を終了する。
(6)洗浄運転
ところで、本実施例の給湯装置Hでは、上述した排水装置100により洗浄運転を実行することができる。ここで、当該洗浄運転における動作について具体的に説明する。本実施例では、上述した排水運転が実行される毎に、また、風呂リモコンL1に設けられた洗浄スイッチが操作された場合にも、洗浄運転が行われるものとする。
【0068】
当該洗浄運転において、制御装置Sは、開閉弁63を開放し、三方弁101によりポンプ56の吐出側が排水口110Aに連通するよう流路を切り換えると共に、ポンプ56の運転を開始する。これにより、ミキシングバルブ70から温水供給配管62を介して二次流路55の浴槽往き配管57に流入した温水は、水々熱交換器50を経て浴槽60に供給される。即ち、ミキシングバルブ70から水々熱交換器50を経て浴槽60に注湯される。更に、浴槽60内の温水はポンプ56の運転により浴槽戻り配管58から吸引され、三方弁101を介して排出配管110に入り、排水口110Aから外部に排出される。
【0069】
このように、洗浄運転を実行することで、ミキシングバルブ70からの注湯により各配管68、62、57、58及び浴槽60を洗い流すことができる。また、これらを洗い流した後の温水は、排水口110Aから排出されるので、当該洗浄運転により各配管及び浴槽60内を衛生的に保つことができるようになる。
【0070】
尚、本実施例では、排水装置100による排水動作が実行される毎、及び、ユーザーにより風呂リモコンL1に設けられた洗浄スイッチが押された場合に、洗浄運転が行われるものとして説明したが、これ以外に、別の動作の前や後に自動的に洗浄運転が実行されるものとしても構わない。
(7)凍結防止運転
他方、このような給湯装置Hを、冬季など外気温度が氷点下となる環境下で使用すると、浴槽60に接続された二次流路55の配管(浴槽往き配管57及び浴槽戻り配管58)が凍結する恐れがある。このように、配管57、58の凍結する恐れがある環境下で使用される場合には、制御装置Sにより凍結防止運転が実行されることとなる。
【0071】
この凍結防止運転では従来より浴槽60内の浴槽水が使用されていた。具体的に、従来の凍結防止運転では、ポンプ56の運転により浴槽戻り配管58から浴槽60内の浴槽水を吸引し、水々熱交換器50を通過させた後、浴槽往き配管57から浴槽60内に戻す循環を繰り返すことで、浴槽60内の浴槽水により二次流路55内の機器の凍結を防止するものとされていた。
【0072】
このような従来の凍結防止運転では、浴槽60内の浴槽水が使用されるため、当該浴槽水の温度が低い場合には当該浴槽水を二次流路55に流しても凍結防止の効果を十分に発揮させることができない。この場合、従来の給湯装置では貯湯タンクから高温水を継ぎ足して、浴槽水の温度を上げることができない。即ち、図3に示す従来の給湯装置では、本発明の如き自動で排水できる排水装置100が無いので、浴槽60内に貯湯タンク20から注湯すると、浴槽60内の水位が上昇して、浴槽60から温水が溢れ出る恐れがあるため、係る貯湯タンク20からの注湯ができない、或いは、少ししか注湯することができない。このため、係る温度低下した浴槽水の温度を上げることが困難であった。この場合、凍結防止運転に使用する浴槽水の温度を上げるためには、追焚き運転を行っていたが、浴槽60内の湯量が多く追焚きにより温度を上昇させるのに時間がかかった。
【0073】
しかしながら、本発明の給湯装置Hでは、排水装置100を備えるので、凍結防止運転が実行される前に、排水装置100により浴槽60内の浴槽水を一部排出することが可能である。具体的に、本実施例の給湯装置Hにおける凍結防止運転の動作を説明する。先ず、制御装置Sは、三方弁101によりポンプ56の吐出側が排水口110Aに連通するよう流路を切り換えると共に、ポンプ56の運転を開始する。これにより、浴槽60内の浴槽水はポンプ56の運転により浴槽戻り配管58から吸引され、三方弁101を介して排出配管110に入り、排水口110Aから外部に排出される。
【0074】
その後、浴槽60内の水位が所定値に低下すると、若しくは、ポンプ56を起動してから所定時間経過すると、ポンプ56を停止する。以上が凍結防止運転が実行される前に、排水装置100により浴槽60内の浴槽水を一部排出する動作である。
【0075】
次に、制御装置Sは、前述したお湯張り運転時と同様に開閉弁63を開放すると共に、配管57と配管58とを連通するよう三方弁101を制御する。これにより、ミキシングバルブ70から温水供給配管62を介して二次流路55の浴槽往き配管57に流入した温水は、停止しているポンプ56及びポンプ56を介さずに水々熱交換器50を介して浴槽60に供給される。水々熱交換器50を経て浴槽60に供給される。
【0076】
一方、係るミキシングバルブ70から二次流路55を介した浴槽60内への注湯により、浴槽60内の浴槽水の水位が所定の水位に到達すると、開閉弁63を閉じると共に、ポンプ56を運転して、前述した従来の凍結防止運転を実行する。
【0077】
このように、凍結防止運転が実行される前に、排水装置100により浴槽60内の浴槽水を一部排出することで、貯湯タンク20からより多くの高温水を浴槽60内に供給することができる。これにより、二次流路55に循環させる浴槽水の温度を効果的に上昇させて、有効、且つ、効率的な凍結防止運転を実現することができる。
【0078】
更にまた、本発明の給湯装置Hでは、浴槽60内に供給された温水を排水装置100にて排出しながら、凍結防止運転を行うことも可能である。具体的に、このような凍結防止運転を行う場合、制御装置Sは、前述した洗浄運転時と同様に開閉弁63を開放し、三方弁101によりポンプ56の吐出側が排水口110Aに連通するよう流路を切り換えると共に、ポンプ56の運転を開始する。これにより、ミキシングバルブ70から温水供給配管62を介して二次流路55の浴槽往き配管57に流入した温水は、水々熱交換器50を経て浴槽60に供給される。更に、浴槽60内の浴槽水(温水)はポンプ56の運転により浴槽戻り配管58から吸引され、三方弁101を介して排出配管110に入り、排水口110Aから外部に排出される。
【0079】
このように、排水装置100を備えることで、上記のように浴槽60内に供給された温水を排水装置100にて排出しながら、凍結防止運転を行うことも可能である。特に、本発明によれば、前記のように凍結防止運転が実行される前に、排水装置100により浴槽60内の浴槽水を一部排出した後、ミキシングバルブ70から温水供給配管62を介して二次流路55の停止しているポンプ56及びポンプ56を介さずに水々熱交換器50を介して浴槽60に供給する凍結防止運転と、二次流路55に浴槽60内の浴槽水を循環させる従来の凍結防止運転と、貯湯タンク20から高温水を供給し、且つ、供給された温水を排水装置100から排出する凍結防止運転とを切り換えて行うことも可能である。
【0080】
尚、上記実施例では本発明をヒートポンプ式の給湯装置Hに適用して説明した。このようにヒートポンプ式の給湯装置Hに本発明を適用した場合には、電気ヒータにより貯湯タンク内の水を加熱する給湯装置に比べてエネルギー効率がよいため、より一層の省エネルギーを実現することができる。しかしながら、請求項1乃至請求項5の発明ではヒートポンプ式の給湯装置に限定されるものではなく、電気ヒータにより温水を生成する給湯装置に本発明を適用しても有効である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施例の給湯装置の全体のシステム回路図である(実施例1)。
【図2】図1のヒートポンプユニットの冷媒回路図である。
【図3】従来の給湯装置の全体のシステム回路図である。
【符号の説明】
【0082】
A ヒートポンプユニット
B 貯湯タンクユニット
H ヒートポンプ給湯装置
S 制御装置
S1〜S9 センサ
10 冷媒回路
11 圧縮機
12 冷媒対水熱交換器
13 膨張弁
15 蒸発器
20 貯湯タンク
30 温水生成回路
33 循環ポンプ
41 給水配管
50 水々熱交換器
51 一次流路
52 ポンプ
55 二次流路
56 ポンプ(追焚き用ポンプ)
57 浴槽往き配管
58 浴槽戻り配管
60 浴槽
63 開閉弁
70 ミキシングバルブ
100 排水装置
101 三方弁
110 排水配管
110A 排水口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯留する貯湯タンクと、追焚き用ポンプ、追焚き用熱交換器、浴槽往き配管及び浴槽戻り配管を有した追焚き用回路と、前記追焚き用ポンプの吐出側と前記追焚き用熱交換器の間の前記追焚き用回路に配管接続された混合弁とを備え、該混合弁にて所定温度とされた前記貯湯タンク内の温水を前記追焚き用回路を介して浴槽に供給すると共に、前記追焚き用ポンプの運転により前記浴槽戻り配管から吸引した前記浴槽内の浴槽水を前記追焚き用熱交換器に循環させて加熱した後、前記浴槽往き配管から前記浴槽内に戻す追焚きき運転が可能とされた給湯装置において、
前記追焚き用ポンプの吐出側と前記混合弁の接続部との間の前記追焚き用回路に接続された排水装置とを備え、前記追焚き用ポンプの運転により、前記浴槽戻り配管から前記浴槽内の浴槽水を吸引し、前記排水装置から排出可能とされていることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記排水装置は、前記追焚き用回路に介設され、排水口に連通された流路切換弁から成り、該流路切換弁により前記追焚き用ポンプの吐出側が前記排水口に連通するよう流路を切り替えることにより、前記浴槽内の浴槽水を前記排水口から排出することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記流路切換弁により前記追焚き用ポンプの吐出側が前記排水口に連通するよう流路を切り替え、前記混合弁から前記追焚き用熱交換器を経て前記浴槽往き配管から前記浴槽に注湯すると共に、前記追焚き用ポンプを運転して前記浴槽内の浴槽水を前記排水口から排出することにより、洗浄運転を実行することを特徴とする請求項2に記載の給湯装置。
【請求項4】
前記追焚き用回路を用いた追焚き運転を実行する前に、前記排水装置により前記浴槽内の浴槽水を一部排出することを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちの何れかに記載の給湯装置。
【請求項5】
前記浴槽内の浴槽水を循環させて凍結防止運転を実行する前、或いは、該凍結防止運転の実行中に、前記排水装置により前記浴槽内の浴槽水を一部排出して、前記混合弁から前記追焚き用回路を介して前記浴槽に注湯することを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載の給湯装置。
【請求項6】
圧縮機、冷媒対水熱交換器及び蒸発器を有して構成されたヒートポンプ冷媒回路により、前記貯湯タンク内に温水を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の給湯装置。
【請求項7】
前記浴槽内の浴槽水を前記排水装置により一部排出した後、前記貯湯タンク内の温水を前記浴槽に注湯する差し湯を実行することを特徴とする請求項2に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−78178(P2010−78178A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244066(P2008−244066)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】