説明

給湯装置

【課題】ホット飲料の販売待機時の消費電力量を減少させて省エネを図ることができる給湯装置を提供する。
【解決手段】温水タンク21は、湯を貯留するタンク本体22、メインヒータ23とサブヒータ24、水ポンプ13を運転して飲用水弁14を開くと水リザーバ12から供給される飲用水を温水タンク21の底部21aに導いて給水口25aから放水して供給する導水パイプ25、温水タンク21の上部に設けられて湯弁27を開くと貯留している湯を吐出して湯管路28を介してコーヒーブリュア43やミキシングボウル45に供給する湯吐出口26、飲料売り切れ表示湯温度を検知する温度センサ29、メインヒータ23およびサブヒータ24への通電制御用の温度を検知する温度センサ30を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲用水を加熱した湯を貯留し、この湯でホット飲料を調理して販売に供する自動販売機や給茶機などに備えられる給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カップ式自動販売機などに備えられている給湯装置が知られている。例えば、特許文献1の図2には、焙煎されたコーヒー豆を貯蔵するコーヒー豆キャニスタ、コーヒー豆キャニスタから供給されたコーヒー豆を粉砕刃で所定の粒度に粉砕して挽き豆とするミル、ミルから供給された挽き豆と温水タンクの湯弁を開いて湯管路を介して供給された高温の湯との混合液をペーパーフィルタで濾過してコーヒー成分を含むコーヒー液を抽出するコーヒーブリュア、砂糖やクリームなどを貯蔵する粉末原料キャニスタ、コーヒーブリュアで抽出されたコーヒー液に粉末原料キャニスタから供給された砂糖やクリームを混合してコーヒー飲料とするミキシングボウルなどを備えるカップ式自動販売機の概略構成が開示されている。
また、コーヒーブリュアやミキシングボウルに高温の湯を供給する給湯装置を構成する温水タンクは、例えば、特許文献1の図3に示されるように、飲用水の給水口、メインヒータ(例えば、1000W)とサブヒータ(例えば、500W)の2本の電気ヒータ、温度センサ(湯温センサ)、湯吐出口(温水引出口)、フロートの動きにより貯留している湯の水位を検知する湯量スイッチなどから構成されている。なお、メインヒータとサブヒータに同時に通電することはカップ式自動販売機の設置されている電気容量の関係で行われることはなく、温度センサが検知している温度に基づいてメインヒータまたはサブヒータの何れかに通電するように制御される。
【0003】
そして、飲用水(冷水)は温水タンクの外部に設けられている水入口を通って温水タンクの上部から入り、温水タンク内の配管を通って給水口から温水タンクの底部に放水されて供給される。温水タンクの底部に放水された飲用水は、メインヒータまたはサブヒータに通電されることにより、温度センサが上限温度設定値(例えば、97℃)を検知するまで加熱昇温されて温水タンク内に貯留され、ホット飲料調理信号により湯弁が開かれると、湯吐出口から吐出した高温の湯が湯管路を介してコーヒーブリュアやミキシングボウルに供給されて調理に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−315244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、カップ式自動販売機では、ホット飲料の調理に使用する湯温が低下すると販売する飲料の品質(味や香り)を保てなくなるため、温水タンクの湯吐出口近傍に配設した温度センサで湯温を検知して温度信号を制御部に出力し、制御部は温度センサが出力する温度信号に基づいてメインヒータまたはサブヒータに通電して所定温度(例えば、95℃〜97℃)に保持し、温水タンクからコーヒーブリュアやミキシングボウルに供給する湯を高温に保つようにしている。
また、ホット飲料の販売時に温水タンクの湯吐出口から湯を吐出すると、この吐出した湯量に相当する飲用水(冷水)を温水タンクに供給するが、この飲用水の供給は温水タンクの底部に放水することが一般的に行われている。これは、水は湯よりも比重が大きいため、温水タンクの底部に放水された飲用水はそのまま底部に留まるので、ホット飲料の販売時に温水タンクの湯吐出口から吐出した湯量に相当する飲用水が温水タンクに供給されても湯吐出口周辺の湯温度を急激に低下させないようにするためである。
しかしながら、温水タンクの湯吐出口から吐出した湯量に相当する飲用水が温水タンクの底部に放水されるとそのまま底部に留まっているため、ホット飲料の連続販売が行われ、温水タンクに飲用水が連続して供給されても、この供給された飲用水が温度センサの近くまで押し上げられてくるまで温度センサは湯温の低下を検知することができない。このように、温水タンク下部の温度が飲用水の大量供給によって低下しても検知することができず、温水タンク全体の湯温が低下するまで電気ヒータに通電制御することができない。
【0006】
例えば、図4に示すように、ホット飲料の連続販売により短時間の間に飲用水が大量に供給されても温度センサが温度低下を検知するまでに時間を要し、サブヒータに通電されるまでにホット飲料7杯に相当する飲用水が温水タンクに供給され、さらにホット飲料20杯に相当する飲用水が供給されないとメインヒータに通電されなかった。そのため、ホット飲料の連続販売時に電気ヒータに通電するタイミングが非常に遅くなり、連続販売可能な飲料杯数が少なくなるので、ホット飲料の販売待機時には多量の高温の湯を貯留して保温しておく必要が生じ、その結果、温水タンク容量が大きくなり、温水タンク壁面からの放熱が多くなることにより電力消費が多くなるという課題があった。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、ホット飲料の販売待機時の消費電力量を減少させて省エネを図ることができる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る給湯装置は、温水タンクに貯留している湯を温度センサによる温度検知と電気ヒータによる加熱とにより温度を制御する制御部を備え、前記温水タンクの上部に設けた湯吐出口から湯を吐出し、この吐出した湯量に相当する水を前記温水タンクの底部に設けた給水口から供給する給湯装置において、
前記湯吐出口水位近傍に設けられて第1の湯温度を検知する第1の温度センサより前記底部側に所定寸法離して第2の温度センサを設けたことを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る給湯装置は、上述した請求項1において、前記電気ヒータはメインヒータとサブヒータとからなり、前記制御部は、前記第2の温度センサが第2の湯温度を検知すると前記サブヒータに通電し、第3の湯温度を検知すると前記サブヒータへの通電を停止して前記メインヒータに通電するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、温水タンクに貯留している湯を温度センサによる温度検知と電気ヒータによる加熱とにより温度を制御する制御部を備え、前記温水タンクの上部に設けた湯吐出口から湯を吐出し、この吐出した湯量に相当する水を前記温水タンクの底部に設けた給水口から供給する給湯装置において、前記湯吐出口水位近傍に設けられて第1の湯温度を検知する第1の温度センサより前記底部側に所定寸法離して第2の温度センサを設けたので、ホット飲料の連続販売時に温水タンクの底部の湯温が低下したことを温度センサが早期に検知することが可能となり、電気ヒータに通電するタイミングを早めてホット飲料連続販売可能な湯量を早期に増加させることができるので、ホット飲料販売待機時に保温しておく湯量を少なくしてホット飲料の販売待機時の消費電力量を減少させて省エネを図ることができる給湯装置を提供することが可能となる。
また、請求項2の発明によれば、前記電気ヒータはメインヒータとサブヒータとからなり、前記制御部は、前記第2の温度センサが第2の湯温度を検知すると前記サブヒータに通電し、第3の湯温度を検知すると前記サブヒータへの通電を停止して前記メインヒータに通電するように制御することにより、温水センサが検知している湯温に基づいてメインヒータまたはサブヒータに好適な通電制御を行うことができるので、効率良く加熱昇温させて省エネを図ることができる給湯装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る給湯装置を備えたカップ式自動販売機の概要図である。
【図2】本発明に係る給湯装置を示す概要図である。
【図3】図2の給湯装置の電気ヒータの通電制御を示すチャート図である。
【図4】従来の給湯装置の電気ヒータの通電制御を示すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る給湯装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は本発明の実施の形態に係る給湯装置を備えたカップ式自動販売機の概要図であり、図2は給湯装置を示す概要図である。ここで例示するカップ式自動販売機1は、貨幣の投入後に利用者の選択に応じてホット飲料もしくはコールド飲料を調理し、これをベンドステージ47に載置されたカップCに注ぎ入れるものである。その機内には、水リザーバ12、冷却水槽15、カーボネータ18、オーガ式製氷機19、給湯装置20、温水タンク21、コーヒー豆キャニスタ41、ミル42、コーヒーブリュア(レギュラーコーヒー抽出装置)43、粉末原料キャニスタ44、ミキシングボウル45、などを備えている。
水リザーバ12は、カーボネータ18やオーガ式製氷機19、温水タンク21に飲用水(水道水)を供給するためのもので、給水弁11を開くと飲用水が水リザーバ12に貯えられ、水ポンプ13を運転して飲用水弁14を開くと飲用水が温水タンク21に供給される。
カーボネータ18は、冷却水槽15に浸漬してあり、水リザーバ12から供給された飲用水に炭酸ガスボンベ16から供給された炭酸ガスを溶解して炭酸水とする。シロップタンク17は、炭酸ガスボンベ16から供給される炭酸ガスの圧力でシロップをノズル46からカップCに注ぎ入れる。
【0011】
オーガ式製氷機19は、製氷部と貯氷庫とを有し、水リザーバ12から供給された飲用水を製氷部で製氷して貯氷庫で貯蔵し、アイス飲料を販売するときに貯氷庫に貯蔵している氷をカップCに供給する。
給湯装置20は、図2に示すように、温水タンク21と制御部50とから構成されている。温水タンク21は、湯を貯留するタンク本体22、メインヒータ23(例えば、1000W)とサブヒータ24(例えば、500W)の2個の電気ヒータ、水ポンプ13を運転して飲用水弁14を開くと水リザーバ12から供給される飲用水を温水タンク21の底部21aに導いて給水口25aから放水して供給する導水パイプ25、温水タンク21の上部に設けられて湯弁27を開くと貯留している湯を吐出して湯管路28を介してコーヒーブリュア43やミキシングボウル45に供給する湯吐出口26が設けられている。
また、湯吐出口26が設けられている水位近傍には、カップ式自動販売機1の前扉の温度表示部(図示せず)に表示する湯温度、およびホット飲料選択ボタンに飲料売り切れ表示をする第1の湯温度(例えば、85℃以下)を検知する温度センサ(第1の温度センサ)29を設けている。さらに、温度センサ29より底部21a側に所定寸法離してメインヒータ23およびサブヒータ24への通電制御用の温度を検知する温度センサ(第2の温度センサ)30を設けている。この温度センサ30を設ける位置は、温水センサ30が検知している湯温に基づいてサブヒータ24またはメインヒータ23に好適な通電制御を行うことができる位置(例えば、ホット飲料の連続販売開始から2杯ほどでサブヒータ24に通電を開始する温度を検知できる位置)に設けることが良い。また、タンク本体22の上部には、湯量の変化に連動して昇降するフロート31、フロート31の昇降に連動して動作する高水位スイッチ32、低水位スイッチ33を設けている。
【0012】
制御部50は、温度センサ29、30が出力する温度信号、高水位スイッチ32、低水位スイッチ33が出力する水位信号などの各種信号に基づいて、飲用水弁14、メインヒータ23、サブヒータ24、湯弁27などへの通電を制御する。
コーヒーブリュア43は、コーヒー豆キャニスタ41から供給されたコーヒー豆をミル42で挽いた挽き豆に温水タンク21から供給された高温の湯を注ぐことによりコーヒー液を抽出する。
コーヒーブリュア43にはミキシングボウル45が接続してあり、コーヒーブリュア43で抽出したコーヒー液に粉末原料キャニスタ44から供給された砂糖やクリームを混合してノズル46からコーヒー飲料をカップCに注ぎ入れる。
以上説明したカップ式自動販売機1において、利用者により貨幣が投入され、ホット飲料の選択ボタン、例えばホットコーヒー飲料の選択ボタンが押されると、制御部50がホット飲料調理信号を出力する。まず、コーヒー豆キャニスタ41がコーヒー豆をミル42に供給し、ミル42で挽かれた挽き豆がコーヒーブリュア43に供給される。そして湯弁27が開かれると、温水タンク21に貯留されている高温の湯が湯管路28を介してコーヒーブリュア43内の挽き豆に供給される。コーヒーブリュア43内では挽き豆と高温の湯の混合液となり、この混合液をペーパーフィルタで濾過するとコーヒー成分を含むコーヒー液が抽出される。コーヒーブリュア43で抽出されたコーヒー液はミキシングボウル45に供給され、ミキシングボウル45内では粉末原料キャニスタ44から供給された砂糖やクリームと混合されてコーヒー飲料となり、ベンドステージ47に載置されたカップCにノズル46から注がれ、カップ式自動販売機1の利用者に引き渡される。
【0013】
このようにしてカップ式自動販売機1のホット飲料の選択ボタンが押され、湯弁27が開かれて温水タンク21に貯留されている高温の湯が湯吐出口26から吐出されると、フロート31が降下し、フロート31の降下に連動して動作する低水位スイッチ33が制御部50に低水位信号を出力する。制御部50は低水位スイッチ33から低水位信号を受けると、水ポンプ13を運転して飲用水弁14を開き、水リザーバ12に貯留している飲用水を温水タンク21に供給する。水リザーバ12から供給された飲用水は、導水パイプ25内を下方に向かって導かれて温水タンク21の底部21aに設けられている給水口25aから放水される態様で供給される。このようにして、湯吐出口26から吐出した湯量に相当する飲用水が導水パイプ25に設けられている給水口25aから温水タンク21の底部21aに供給される。
さらに、連続してホット飲料の選択ボタンが押される状態、所謂、ホット飲料の連続販売が行われると、短時間の間に湯吐出口26から高温の湯が吐出され、この吐出した湯量に相当する飲用水が導水パイプ25内を下方に向かって導かれて給水口25aから温水タンク21の底部21aに放水される。このようにして温水タンク21の底部21aに飲用水(冷水)が放水されると、湯より比重の大きい飲用水は底部21aに留まるが、ホット飲料の連続販売により短時間の間に供給された飲用水の固まりが大きくなると、温度センサ30周囲の温度が下がりだす。
【0014】
そして、この温度センサ30が第2の湯温度(例えば、95℃)を検知すると、制御部50はサブヒータ24に通電して加熱昇温する(図3参照)。そして、さらにホット飲料の連続販売が行われると、湯吐出口26から高温の湯が吐出され、この吐出した湯量に相当する飲用水が温水タンク21の底部21aに供給されることにより温度センサ30の周囲温度もさらに低下する。このようにして温度センサ30が第3の湯温度(例えば、92℃)を検知すると、制御部50はサブヒータ24への通電を停止してメインヒータ23に通電する。
ところで、従来は、電気ヒータに通電制御するための温度を検知する温度センサ(湯吐出口)と飲用水の給水口とが離れていたために、ホット飲料の連続販売により短時間の間に飲用水が大量に供給されても温度センサが温度低下を検知するまでに時間を要し、サブヒータに通電されるまでにホット飲料7杯に相当する飲用水が温水タンクに供給され、さらにホット飲料20杯に相当する飲用水が温水タンクに供給されないとメインヒータに通電されなかった。
本発明に係る給湯装置20によれば、連続してホット飲料の選択ボタンが押される状態、所謂、ホット飲料の連続販売が行われても、ホット飲料2杯に相当する飲用水が供給されると温度センサ30が第2の湯温度(例えば、95℃)を検知して制御部50がサブヒータ24に通電して加熱昇温し、さらにホット飲料5杯に相当する飲用水が供給されると温度センサ30が第3の湯温度(例えば、92℃)を検知して制御部50がサブヒータ24への通電を停止してメインヒータ23に通電して加熱昇温することができるので、ホット飲料の連続販売可能な湯量を早期に最大限に増加させることによって、ホット飲料販売待機時に保温しておく湯量を少なくすることが可能となり、ホット飲料の販売待機時の消費電力量を減少させて省エネを図ることができる給湯装置を提供することができる。具体的には、従来の温水タンクの約70%のタンク容量で同等のホット飲料連続販売が可能となる。
【0015】
なお、温度センサを2個設けた実施例で説明しているが、それぞれのヒータに対応する温度センサを最適位置にさらに設けることにより、さらに精度の良い温度制御が可能となる。
【符号の説明】
【0016】
1 カップ式自動販売機
12 水リザーバ
14 飲用水弁
20 給湯装置
21 温水タンク
21a 底部
23 メインヒータ(電気ヒータ)
24 サブヒータ(電気ヒータ)
25 導水パイプ
25a 給水口
26 湯吐出口
27 湯弁
29 温度センサ(第1の温度センサ)
30 温度センサ(第2の温度センサ)
43 コーヒーブリュア
45 ミキシングボウル
50 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水タンクに貯留している湯を温度センサによる温度検知と電気ヒータによる加熱とにより温度を制御する制御部を備え、前記温水タンクの上部に設けた湯吐出口から湯を吐出し、この吐出した湯量に相当する水を前記温水タンクの底部に設けた給水口から供給する給湯装置において、
前記湯吐出口水位近傍に設けられて第1の湯温度を検知する第1の温度センサより前記底部側に所定寸法離して第2の温度センサを設けたことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記電気ヒータはメインヒータとサブヒータとからなり、前記制御部は、前記第2の温度センサが第2の湯温度を検知すると前記サブヒータに通電し、第3の湯温度を検知すると前記サブヒータへの通電を停止して前記メインヒータに通電するように制御することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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