説明

給紙カセット、及び画像形成装置

【課題】収納されている用紙を取り出す場合に、従来に比べて用紙変形が少なく、且つ用紙束の整合の乱れが少ない給紙カセットを提供すること。
【解決手段】シートが載置され、画像形成装置に設置される給紙カセット1であって、シートが載置される底面9と、載置されたシートを底面9から持ち上げるために用いられる孔15、又は切り欠き21とを備え、給紙するシートを載置する給紙スペース17と、保管するシートを載置する保管スペース18とを備え、孔15、又は切り欠き21は、給紙スペース17及び/又は保管スペース18の底面9に設けられている、給紙カセット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機等の画像形成装置に用いられる給紙カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、複写機等の画像形成装置では、用紙を収容する給紙カセットが、複数段配置されている。これらの給紙カセットはスライドレール上に設けられており、装置本体から引き出し可能に構成されている。更に、給紙カセットの、用紙の載置面上にリフト板が設けられており、このリフト板上に多数枚の用紙が重ねて載置され、収容される。
【0003】
そして、給紙カセットに載置され、収納された用紙は、リフト板によって持ち上げられ、給紙ローラや分離爪等によって装置本体の画像形成ユニットへと搬送される。
【0004】
又、A3用紙が収納可能な給紙カセットを用いてA4用紙を画像形成ユニットへと給紙する際に、給紙スペース以外の残りのスペースをA4用紙の保管スペースとして利用する給紙カセットが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−60064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、給紙カセットに収納されている用紙を取り除く際には、底面と用紙の間に指を挿入しなければならないため、用紙を変形させることなく取り除くことは困難であった。
【0006】
又、上記特許文献1のように、給紙スペースと保管スペースの両方にA4用紙を収納している場合や、A3用紙を収納している場合に、給紙カセットからA4又はA3の用紙を取り出す場合には、手を入れる隙間が非常に小さく、用紙を変形させることなく取り除くことは更に困難であった。又、用紙を分けて少しずつ取り出すことも考えられるが、用紙束の整合が乱れるため、整え直す必要があった。
【0007】
本発明は、従来の給紙カセットの課題を考慮して、収納されている用紙を取り出す場合に、従来に比べて用紙変形が少なく、且つ用紙束の整合の乱れが少ない給紙カセット及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
シートが載置され、画像形成装置に設置される給紙カセットであって、
前記シートが載置される底面と、
前記載置されたシートを前記底面から押し上げるために用いられる孔、又は切り欠きと、を備えた給紙カセットである。
【0009】
又、第2の本発明は、
前記切り欠きは、前記底面から側面に渡って形成されている、第1の本発明の給紙カセットである。
【0010】
又、第3の本発明は、
前記孔を覆うように前記底面に設けられ、前記給紙カセットの裏面側からの外力により前記シートの載置スペース側に移動可能な蓋を備えた、第1の本発明の給紙カセットである。
【0011】
又、第4の本発明は、
給紙する前記シートを載置する給紙スペースと、
保管する前記シートを載置する保管スペースと、を備え、
前記孔、又は前記切り欠きは、前記給紙スペース及び/又は前記保管スペースの前記底面に設けられている、第1の本発明の給紙カセットである。
【0012】
又、第5の本発明は、
第1の本発明の給紙カセットと、
前記給紙カセットから給紙された前記シートに画像を形成する画像形成ユニットと、
前記画像を前記シートに定着させる定着ユニットと、を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収納されている用紙を取り出す場合に、従来に比べて用紙変形が少なく、且つ用紙束の整合の乱れが少ない給紙カセット及び画像形成装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかる画像形成装置の一実施例としての複写機について説明するとともに、本発明の給紙カセットについても同時に述べる。
【0015】
はじめに、本発明にかかる実施の形態の複写機の構成について説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態における複写機は、その本体2の底部に、画像形成される用紙を収納するための4つの給紙カセット1を備えている。また、給紙カセット1の上部には、手差しトレイ3が設けられている。尚、給紙カセット1は、スライドレールにより本体2から引き出し可能に構成されている。
【0017】
これら給紙カセット1又は手差しトレイ3から供給された用紙にトナー画像を形成するための、感光体ドラム、帯電器、露光器、現像器、転写器、及びクリーニングユニット等から構成される画像形成ユニット4が設けられている。
【0018】
更に、トナー画像を用紙に定着するための定着ユニット5と、トナー画像が定着された用紙を排出するための排出ユニット6が設けられている。
【0019】
又、本実施の形態における複写機は、本体2の上部に、露光ランプ、レンズ、ミラー等により原稿の画像を読み取る原稿読み取りユニット7を備えている。尚、図1に示されている点線の矢印は光路を示しており、矢印が接している部分で感光体ドラムに静電潜像が形成される。又、実線矢印は紙の搬送路を示しており、給紙カセット1から画像形成ユニット4へと用紙を供給するための、給送ローラ8が給紙カセット1の上部に配置されている。
【0020】
図2は、本発明にかかる実施の形態における給紙カセット1の外観図である。
【0021】
図2に示すように、本実施の形態における給紙カセット1は、本体2の画像形成ユニット4へと給紙する用紙を載置するための底面9と、底面9の周囲に形成されている側枠10とを備えている。又、給紙カセット1の裏側の面1aには、本体2にセットされたときに給紙カセット1と本体2を電気的に接続するためのコネクタ11が設けられている。尚、給紙カセット1から画像形成ユニット4へと用紙が給送される給紙方向が矢印Aによって示されている。又、給紙カセット1を本体2にセットする際の挿入方向が矢印Bによって表されている。
【0022】
又、給紙カセット1の底面9には、給紙するために用紙を持ち上げるためのリフト板12が設けられており、用紙を給送する際に、リフト板12は給紙方向Aの端が持ち上がるように回動し、用紙を持ち上げる(図1参照)。
【0023】
又、給紙方向Aと垂直方向の用紙幅の位置決めを行うための1対の移動可能な用紙ガイド13が設けられている。更に、給紙方向Aを基準として、用紙の後端の位置決めするための、移動可能な用紙後端ガイド14が設けられている。
【0024】
本実施の形態の給紙カセット1は、用紙後端ガイド14を給紙方向Aと反対方向に最も移動させた場合に、A3の用紙を載置することが可能となる大きさに形成されている。
【0025】
側枠10の内側面のうち、給紙方向Aに位置する内側面を10aとし、内側面10aに対向する位置(給紙方向Aの反対方向)にある内側面を10bとすると、内側面10b近傍の底面9には、貫通孔である孔15が形成されている。
【0026】
次に、A4用紙を載置した状態について説明する。
【0027】
図3は、本実施の形態の給紙カセットにA4用紙を載置している状態を示す図である。
【0028】
図3に示すように、A4用紙を載置する場合には、給紙方向Aを基準として、内側面10aに用紙16の先端16aが当接するように載置され、一対の用紙ガイド13によって幅方向の位置が規定されている。又、用紙16の後端16bの位置が用紙後端ガイド14によって規定されている。このように、用紙後端ガイド14を基準として給紙方向A側のスペースである給紙スペース17に、給送するための用紙16が載置される。
【0029】
一方、図3に示すように給紙カセット1の、用紙後端ガイド14を基準にして給紙方向Aと反対側のスペースは、A4用紙19を保管するための保管スペース18として用いられている。尚、用紙16と用紙19は、同じA4の用紙であるが、載置されている場所によって、説明のために符号を変更している。尚、本発明の載置スペースの一例は、本実施の形態の給紙スペース17及び保管スペース18に相当する。
【0030】
このように給送用の用紙16と保管用の用紙19が収納された後、給紙カセット1は、スライドレールに沿って本体2にセットされる。
【0031】
そして、給紙スペース17に載置されている用紙16がなくなると、挿入方向Bと反対方向に給紙カセット1を引き出し、保管スペース18に収納されている用紙19を取り出し、給紙スペース17へ載置する。
【0032】
ここで、用紙19を取り出す際に、給紙カセット1の裏面1c側から孔15に指を挿入し、用紙19を持ち上げて、用紙19を取り出す。
【0033】
そして、取り出した用紙19が給紙スペース17に載置された後、給紙カセット1は本体2にセットされる。
【0034】
以上のように、孔15を通して底から指で用紙を持ち上げることが出来るため、用紙を取り出すときに用紙の端の折れや、ヨレ等の変形の発生を低減することが可能となる。
【0035】
尚、本実施の形態では、保管用のA4用紙を取り出す際を例に挙げて説明したが、A3用紙に画像を形成するために、複数枚のA3用紙を給紙カセット1に載置し、使用後に余ったA3用紙を取り出す際にも、孔15に指を挿入してA3用紙を持ち上げ、用紙を取り出すことが出来る。
【0036】
すなわち、A3用紙が載置されている場合や、A4用紙が給紙スペース17及び保管スペース18に載置されている場合には、側枠10との隙間が小さいため手を挿入し難いため、従来は用紙を取り出すことが困難であったが、本実施の形態では、底から用紙を持ち上げることが出来るため容易に用紙を取り出すことが可能となる。
【0037】
又、保管スペース18にA4用紙に限らずB5等の他のサイズの用紙を保管しておき、取り出す際に孔15に指を挿入して取り出しても良い。
【0038】
又、本実施の形態では、孔15は保管スペース18の底面9にのみ形成されているが、給紙スペース17の底面9にのみ形成されていてもよいし、双方に形成されていてもよい。尚、給紙スペース17の底面9に形成されている場合には、例えば、途中で用紙サイズを変更するために残ったA4用紙やB5用紙を取り出す際に利用することが出来る。
【0039】
又、本実施の形態では、孔15が形成されているだけであるが、図4に示すように孔15を覆うように蓋20が設けられていてもよい。この蓋20は、上方に向かって開閉自在に底面2に取り付けられている。図5は、蓋20が開いた状態の給紙カセットの外観図である。図6は、給紙カセット1の蓋20が形成されている部分の断面図である。図6に示されているように、給紙カセット1の裏面1c側から指で蓋20を上方へ持ち上げることによって、用紙19を持ち上げることが出来る。尚、本発明の裏面側からの外力の一例は、本実施の形態では、指による力に相当するが、治具をもちいて蓋20を持ち上げても良い。
【0040】
又、本実施の形態の孔15ではなく、図7に示すような切り欠き21が形成されていても良い。この切り欠き21は、底面9から内側面10bに渡って形成されている。図8は、図7の切り欠き21の側断面図である。図8に示すように、下方から指を入れて、切り欠き21に沿って指を移動させながら、用紙19を持ち上げることにより、用紙19を取り出すことが容易となる。
【0041】
又、本実施の形態では、保管スペース18の底面9に孔15は1つしか形成されていないが、例えば、保管スペース18の底面9に複数個形成されていてもよい。又、切り欠き21も、複数個形成されていてもよい。例えば、面1aを形成する側枠10に、更に切り欠きが形成されていれば、2つの切り欠きに指を入れ用紙を持ち上げることにより、用紙をより取り出しやすくなる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の給紙カセットは、従来と比較して、収納されている用紙を取り出す場合に、従来に比べて用紙変形が少なく、且つ用紙束の整合の乱れが少ないという効果を有し、複写機等の画像形成装置に用いる給紙カセットとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明にかかる実施の形態における複写機の正面構成図
【図2】本発明にかかる実施の形態における給紙カセットの斜視図
【図3】本発明にかかる実施の形態における給紙カセットに用紙を載置した状態の斜視図
【図4】本発明にかかる実施の形態における給紙カセットの変形例の斜視図
【図5】本発明にかかる実施の形態における給紙カセットの変形例の斜視図
【図6】本発明にかかる実施の形態における給紙カセットの変形例の断面図
【図7】本発明にかかる実施の形態における給紙カセットの変形例の斜視図
【図8】本発明にかかる実施の形態における給紙カセットの変形例の断面図
【符号の説明】
【0044】
1 給紙カセット
2 本体
3 手差しトレイ
4 画像形成ユニット
5 定着ユニット
6 排出ユニット
7 原稿読み取りユニット
8 給送ローラ
9 底面
10 枠体
11 コネクタ
12 リフト板
13 用紙ガイド
14 用紙後端ガイド
15 貫通孔
16、19 用紙
17 給紙スペース
18 保管スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが載置され、画像形成装置に設置される給紙カセットであって、
前記シートが載置される底面と、
前記載置されたシートを前記底面から押し上げるために用いられる孔、又は切り欠きと、を備えた給紙カセット。
【請求項2】
前記切り欠きは、前記底面から側面に渡って形成されている、請求項1記載の給紙カセット。
【請求項3】
前記孔を覆うように前記底面に設けられ、前記給紙カセットの裏面側からの外力により前記シートを載置する載置スペース側に移動可能な蓋を備えた、請求項1記載の給紙カセット。
【請求項4】
給紙する前記シートを載置する給紙スペースと、
保管する前記シートを載置する保管スペースと、を備え、
前記孔、又は前記切り欠きは、前記給紙スペース及び/又は前記保管スペースの前記底面に設けられている、請求項1記載の給紙カセット。
【請求項5】
請求項1記載の給紙カセットと、
前記給紙カセットから給紙された前記シートに画像を形成する画像形成ユニットと、
前記画像を前記シートに定着させる定着ユニットと、を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−230699(P2007−230699A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52948(P2006−52948)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】