説明

給紙カセットの静電気除去機構

【課題】給紙カセットに帯電した静電気を安全に除去することができる給紙カセットの静電気除去機構を提供する。
【解決手段】給紙カセット30に取り付けた端子部材60と、給紙カセット30を装着するカセット受部50に設けた接地面70とを備え、給紙カセット30がカセット受部50に装着される際に、端子部材60が接地面70に接触することで給紙カセット30に帯電した静電気が除去される給紙カセット30の静電気除去機構において、端子部材60は、接地面70に向かって突出する突出寸法が互いに異なる弾性を有する第1,第2接触片62a,62bを備え、給紙カセット30がカセット受部50に装着される際に、これら第1,第2接触片62a,62bが接地面70に順に接触していくことで、給紙カセット30に帯電した静電気が段階的に除去されるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を収納する給紙カセットに取り付けた端子部材と、給紙カセットを装着するカセット受部に設けた接地部とを備え、給紙カセットがカセット受部に装着される際に、端子部材が接地部に接触することで給紙カセットに帯電した静電気が除去される給紙カセットの静電気除去機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリやコピー機などの画像形成装置には、画像を記録する記録部へ供給する用紙を収納する給紙カセットが備えられている。この給紙カセットは、特許文献1に示すように、画像形成装置の本体部に設けたカセット受部に引き出し状に装着されており、該給紙カセット内には、用紙を載置するフラッパーが設置されていると共に、該フラッパーの上方位置にピックアップローラが設置されている。これにより、給紙カセット内の用紙がフラッパーの回動で持ち上げられてピックアップローラに圧接され、ピックアップローラの回転により給紙カセットから繰り出され、記録部へ搬送されるようになっている。
【特許文献1】特開2003−182875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような給紙カセットでは、用紙の補充等のためにカセット受部から出し入れする際に、給紙カセットのスライド移動等によって静電気が発生する。この発生した静電気は給紙カセットのフラッパー等に帯電するので、その状態で給紙カセットをカセット受部に戻すと、静電気が画像形成装置の他の機構部に流れてしまい、記録される画像の画質に影響が出るおそれがあった。また、給紙カセットに静電気が帯電していると、給紙カセット内に収納されている重なった複数の用紙が同時に搬送されるいわゆる重送が起こり易くなるという問題もあった。
【0004】
そこで、帯電した静電気を除去するために、給紙カセットに静電気除去機構を設けたものがある。この静電気除去機構は、給紙カセット側にコイルスプリング等の弾性を有する導電性の部材を取り付け、カセット受部側に板金フレーム等の接地された部材を設けたもので、給紙カセットをカセット受部に装着した際に、コイルスプリングが板金フレームに弾接することで、給紙カセットに帯電した静電気が除去されるように構成したものである。
【0005】
しかしながら、上記のような給紙カセットの静電気除去機構では、コイルスプリングが板金フレームに接触した瞬間に、給紙カセットに帯電していた静電気が接地部に一気に流れてしまうおそれがあった。そうすると、画像形成装置の機構部に大電流が流れることで機器のリセットや誤作動などの予期せぬ事態が起こったり、コイルスプリングと板金フレームの接触部分で高電圧のスパークが発生したりする可能性があった。特に、給紙カセットに帯電している静電気が大きな電荷を帯びた静電気である場合は、これらの事態が画像形成装置に与える影響が大きくなる。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、給紙カセットに帯電した静電気を安全に除去することができる給紙カセットの静電気除去機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本願の請求項1に記載の発明は、用紙を収納する給紙カセットに取り付けた端子部材と、前記給紙カセットを装着するカセット受部に設けた接地部とを備え、前記給紙カセットが前記カセット受部に装着される際に、前記端子部材が前記接地部に接触することで前記給紙カセットに帯電した静電気が除去される給紙カセットの静電気除去機構において、前記端子部材は複数の接触端子を備え、前記給紙カセットが前記カセット受部に装着される際に、前記複数の接触端子が前記接地部に順に接触していくように構成したことを特徴とする。
【0008】
本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給紙カセットの静電気除去機構において、前記接触端子は、前記接地部に向かって突出する突出寸法が互いに異なる弾性を有する接触片であることを特徴とする。
【0009】
本願の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の給紙カセットの静電気除去機構において、前記給紙カセットは前記カセット受部に引き出し状に装着される構成であり、前記接触端子は、前記給紙カセットの装着方向の奥側の外側面に配置され、前記接地部は、前記カセット受部の前記装着方向の奥側の内側面に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の給紙カセットの静電気除去機構において、前記接地部における前記接触端子が最初に接触する位置に、前記接触端子に帯電した静電気を除去する除電シートを取り付けたことを特徴とする。
【0011】
本願の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の給紙カセットの静電気除去機構において、前記接地部における前記接触端子が最初に接触する位置に、前記接地部よりも導電性能が低い材質からなる導電抵抗部材を取り付けたことを特徴とする。
【0012】
本願の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の給紙カセットの静電気除去機構において、前記端子部材は、その一端に設けた前記接触端子が前記給紙カセットの外側に配置されていると共に、他端に設けた接続部が前記給紙カセット内に設置した導電性部材に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願の請求項1に記載の発明によれば、給紙カセットの静電気除去機構において、端子部材は複数の接触端子を備え、給紙カセットがカセット受部に装着される際に、これら複数の接触端子が接地部に順に接触していくように構成したので、給紙カセットに大きな電荷を帯びた静電気が帯電した場合でも、複数の接触端子が順に接地部に接触することで、静電気を段階的に放電して安全に除去することが可能となる。したがって、機器のリセットや誤作動など予期せぬ事態が起こったり、端子部材と接地部の接触部分で高電圧のスパークが発生したりすることを防止できる。
【0014】
本願の請求項2に記載の発明によれば、接触端子は、接地部に向かって突出する突出寸法が互いに異なる弾性を有する接触片なので、接触端子を接地部に確実に接触させることができ、給紙カセットに帯電した静電気をより安全に除去することができる。
【0015】
本願の請求項3に記載の発明によれば、給紙カセットはカセット受部に引き出し状に装着される構成であり、接触端子は、給紙カセットの装着方向の奥側の外側面に配置され、接地部は、カセット受部の装着方向の奥側の内側面に配置されているので、簡単な構成で、給紙カセットの装着に伴い静電気を段階的に放電して安全に除去することができるようになる。
【0016】
本願の請求項4に記載の発明によれば、接地部における接触端子が最初に接触する位置に、接触端子に帯電した静電気を除去する除電シートを取り付けたので、接触端子が接地部に接触した瞬間に接地部側に流れ込む静電気の電荷量を少なく抑えることができ、給紙カセットに帯電した静電気をより安全に除去することが可能となる。
【0017】
本願の請求項5に記載の発明によれば、接地部における接触端子が最初に接触する位置に、接地部よりも導電性能が低い材質からなる導電抵抗部材を取り付けたので、接触端子が接地部に接触した瞬間に接地部に静電気が急激に流れることを防止でき、給紙カセットに帯電した静電気をより安全に除去することが可能となる。
【0018】
本願の請求項6に記載の発明によれば、端子部材は、その一端に設けた接触端子が給紙カセットの外側に配置されていると共に、他端に設けた接続部が給紙カセット内の導電性部材に接続されているので、給紙カセット内の導電性部材に帯電した静電気を端子部材で効果的に除去できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る給紙カセットの静電気除去機構を備えた画像形成装置を示す斜視図である。まず、同図を用いて画像形成装置の概略全体構成について説明する。本発明を適用する画像形成装置としては、給紙カセットを備えた画像形成装置であれば、コピー機やファクシミリ装置やプリンタあるいはこれらの機能を兼ね備えたいわゆる複合機のうちのいずれであっても良い。同図に示す画像形成装置1は、上段側に設置された読取部2と、下段側に設置された記録部3とを備えている。
【0020】
読取部2は、原稿の画像を走査して読み取る画像読取装置4と、画像読取装置4の前面側に取り付けられた操作パネル5と、画像読取装置4の上部にその一辺が図示しないヒンジ機構で開閉可能に取り付けられた原稿押えカバー6とを備えている。原稿押えカバー6の一端部には、画像読取装置4に原稿用紙を搬送する自動原稿搬送装置(ADF装置)7が設置されている。ADF装置7は、原稿供給トレイ8上に載置された複数枚の原稿を順に画像読取装置4に搬送し、画像読取装置4で原稿の画像を読み取った後、原稿を原稿排出トレイ9へ排出するようになっている。
【0021】
記録部3には、用紙に画像を記録する記録装置10と、記録装置10へ用紙を供給する給紙装置20が設置されている。記録装置10は、図示及び詳細な説明は省略するが、内部に形成された用紙搬送経路に沿って配置された現像器、帯電ブラシ、感光体ドラム、転写ローラ、露光ヘッド及び定着ローラなどの各部を備えて構成されている。
【0022】
ここで、給紙装置20の構成を詳細に説明する。図1に示すように、給紙装置20は、用紙を収納する給紙カセット30と、給紙カセット30を引出状に装着するカセット受部50とを備えている。カセット受部50は、画像形成装置1の本体ケーシング1aの下段部に設けた矩形状の開口部である。図2は、これら給紙カセット30とカセット受部50を示す概略側断面図(下記する装着方向の手前側から見た断面図)であり、図3は、給紙カセット30を示す概略平面図である。なお以下の説明では、図3に示すように、給紙カセット30をカセット受部50に装着する方向を装着方向といい、給紙カセット30内で用紙が搬送される方向を給紙方向という。
【0023】
給紙カセット30は、上記の装着方向と給紙方向とが互いに直交する方向に設定されている。そして、装着方向の手前側の外側面には、前面カバー31が設けられている。また、給紙方向と装着方向の両側にはそれぞれ側壁32,32と側壁33,33が設けられ、側壁32,32の外側には、図2に示すように、装着方向に沿って直線状に突出する突出部34,34が形成されており、側壁32,32に対向するカセット受部50の内側面52,52には、突出部34,34が係合する溝部54,54が形成されている。これら突出部34と溝部54とで、給紙カセット30をカセット受部50に出し入れする際のスライド移動をガイドするガイド機構55が構成されている。
【0024】
また、図3に示すように、給紙カセット30の側壁32,32と側壁33,33に囲まれた内部は、用紙を収納する用紙収納部35になっている。用紙収納部35内には、金属材料で構成された平板状の部材であるフラッパー36が設置されている。フラッパー36は、両側壁33,33の内側に設けたヒンジ部37,37を支点に上下方向に回動(揺動)可能に設置されている。また図2に示すように、フラッパー36の給紙方向の前端部近傍の下面側には、用紙収納部35の底面35aとの間に介在するコイルスプリング38が設けられている。このコイルスプリング38の弾発力によって、ヒンジ部37,37を支点としてフラッパー36の前端部が上方に付勢されて回動するようになっている。また、図示は省略するが、フラッパー36上に用紙が載置される際に、コイルスプリング38の弾発力に抗して押し下げられたフラッパー36をその押下位置でロックするロック機構が設けられている。
【0025】
また、図3に示すように、フラッパー36の周囲には、フラッパー36上に載置する用紙のサイズを規定するエンドガイド39及びサイドガイド40,40が設置されている。エンドガイド39は、給紙方向における用紙の後端部に当接するもので、サイドガイド40,40は用紙の両側に当接するものである。これらエンドガイド39及びサイドガイド40,40は、用紙収納部35の底面35aに設けた案内溝39a、40a、40aに沿って進退可能に設置されており、各案内溝39a,40a,40a上の任意の位置で固定することが可能になっている。
【0026】
一方、図2に示すように、カセット受部50内の給紙方向の前方の上部には、フラッパー36上に積載された用紙を繰り出すピックアップローラ51が設置されている。ピックアップローラ51は、回転軸51aの軸方向から見た形状が円形である円柱状の部材で、その側面がローラ面51bになっており、このローラ面51bがフラッパー36上に載置された用紙の上面に当接した状態で、図示しないモータなどの回転駆動機構により回転するようになっている。
【0027】
次に、給紙カセット30に設置した静電気除去機構について説明する。図4は、静電気除去機構の構成を説明するための図で、図3のA−A矢視断面図である。図3及び図4に示すように、給紙カセット30の装着方向の奥側の側壁33には、導電性の端子部材60が取り付けられている。また、カセット受部50内の装着方向の奥側の内側面53には、導電性の接地面70が露出している。これら端子部材60と接地面70とによって、給紙カセット30をカセット受部50に装着した際に、給紙カセット30に帯電した静電気を除去する静電気除去機構が構成されている。
【0028】
図5は、端子部材60と接地面70の詳細構成を示す斜視図である。なお同図では、端子部材60を取り付けている給紙カセット30の側壁33の図示は省略している。端子部材60は、同図に示すように、弾性金属材料からなる板状の細片を折り曲げて一体に形成した板バネ部材で、略コ字状の本体部61と、該本体部61の一端に設けた接触端子部62と、本体部61の他端に設けた円形の開口部63aを有する接続部63とを備えて構成されている。図4に示すように、本体部61は、側壁33の内側と外側を接続するようにその下側に設けた連通部33aを通って配設されており、側壁33の外側に露出して配置された接触端子部62と、給紙カセット30内でフラッパー36を回動自在に支持しているヒンジ部37に接続された接続部63とが、この本体部61によって連結されている。なお、端子部材60はネジ又はリベット65で側壁33に固定されており、接続部63は、金属製のネジ又はリベット37aでヒンジ部37に接続されている。
【0029】
図4及び図5に示すように、端子部材60の接触端子部62は、本体部61の一端が複数に分岐してなるブラシ状に形成された部分であり、接地面70に向かって突出する突出寸法が互いに異なる第1接触片(第1接触端子)62aと第2接触片(第2接触端子)62bとを備えている。これら第1接触片62aと第2接触片62bは、互いの長さが異なることで接地面70に向かって突出する突出寸法が異なるようになっている。即ち、第2接触片62bよりも第1接触片62aの方がその長さが長く、接地面70に向かって突出する突出寸法も大きくなっている。なお、本実施形態では、第2接触片62bは、同一の長さ及び形状の2本の接触片を備えている。
【0030】
一方、図4及び図5に示すように、カセット受部50内の接地面70は、内側面53に配置された板金フレーム71の表面であり、この板金フレーム71は、画像形成装置1内に設けた図示しない接地部品に接続されている。そして、図5に示すように、接地面70における第1接触片62aが接触する位置、即ち、接触端子部62が最初に接触する位置には、除電シート72が貼付されている。この除電シート72は、静電気が帯電した物体が接触するとその静電気を空中に放電する働きを有するシート状の部材で、一例として、ポリエステルなどの極細繊維で構成された不織布の表面に、有機高分子による導電性材料を反応形成してなる部材がある。なお本実施形態では、この除電シート72は、接地面70の第1接触片62aが接触する位置にのみ貼付されており、第2接触片62bが接触する位置には貼付されていない。
【0031】
また、接地面70における第1接触片62aが接触する位置には、上記のように除電シート72を貼付する以外にも、図示は省略するが、接地面70を構成する板金フレーム71よりも導電性能が低い材質からなる導電抵抗部材を取り付けても良い。この導電抵抗部材としては、板金フレーム71よりも導電性能が低い金属やカーボンなどの材料で構成されたシート状の部材がある。
【0032】
次に、上記の構成の給紙装置20において、用紙を装填した給紙カセット30をカセット受部50に装着する手順を説明する。まず、給紙カセット30に用紙を装填するには、前面カバー31を画像形成装置1の手前側に引き、給紙カセット30をカセット受部50から引き出す。給紙カセット30が引き出されたら、用紙収納部35内のフラッパー36をコイルスプリング38の弾発力に抗して押し下げて、ロック機構でロックする。そして、サイドガイド40,40を互いに近付ける方向に移動させて、装填する用紙のサイズに合わせた位置で停止させる。その状態で、フラッパー36上に用紙を載置する。用紙を載置したら、給紙カセット30をカセット受部50に装着する。
【0033】
給紙カセット30をカセット受部50に装着する際に、給紙カセット30がカセット受部50内をスライド移動して挿入されると、端子部材60の接触端子部62がカセット受部50の接地面70に弾接することで、給紙カセット30に帯電している静電気が、端子部材60及び接地面70を介して画像形成装置1の本体部の設置部品に放電される。
【0034】
このとき、給紙カセット30のスライド移動に伴い、まず、第1接触片62aが接地面70(除電シート71)に弾接し、続いて第2接触片62bが接地面70に弾接する。即ち、第1,第2接触片62a,62bが接地面70に順番に弾接する。したがって、たとえ給紙カセット30に大きな電荷を帯びた静電気が帯電していても、この静電気は接地面70へ段階的に放電されるので、静電気を安全に除去することができる。これにより、画像形成装置1の機構部に急激な静電気の放電による大電流が流れることを防止でき、機器のリセットや誤作動などの予期せぬ事態が起こることを防げる。また、端子部材60と接地面70の接触部分で高電圧のスパーク等の危険な事態が発生することを防止できる。
【0035】
また、上記したように、接地面70における第1接触片62aが接触する位置に除電シート72を取り付けているので、第1接触片62aが接地面70に接触する際に、第1接触片62aに帯電している静電気の少なくとも一部を空中に放電できる。これにより、第1接触片62aが接地面70に接触した瞬間に接地面70に流れ込む静電気の電荷量を少なく抑えることができるので、静電気をより安全に除去することが可能となる。
【0036】
また、除電シート72に代えて、接地面70における第1接触片62aが接触する位置に上記の導電抵抗部材を取り付けた場合でも、この導電抵抗部材によって、第1接触片62aが接地部70に接触した瞬間に接地部70に静電気が急激に流れることを防止できるので、給紙カセット30に帯電した静電気を安全に除去することが可能となる。なおこの導電抵抗部材は、接地面70における第1接触片62aが接触する位置にだけ取り付けて、第2接触片62bが接触する位置には取り付けないようにする。そうすることで、第2接触片62bが接地面70に接触した際には、給紙カセット30に帯電している残りの静電気が接地面70にスムーズに流れ込むので、給紙カセット30に帯電した静電気が残留することなく効果的に除去されるようになる。
【0037】
また、給紙カセット30はカセット受部50に引き出し状に装着される構成であり、端子部材60の接触端子部62は、給紙カセット30の装着方向の奥側の外側面に配置され、接地面70は、カセット受部50の装着方向の奥側の内側面に配置されているので、簡単な構成で、給紙カセット30をスライド移動させて装着する際に、静電気を段階的に放電して安全に除去することができる。
【0038】
また、端子部材60の接触端子部62は、接地面70に向かって突出する突出寸法が互いに異なる弾性を有する接触片62a,62bで構成されているので、接触端子部62を接地面70に段階的に接触させることが確実に行えて、静電気を安全に除去することができる。さらに、端子部材60は、一端に設けた接触端子部62が給紙カセット30の外側に配置されていると共に、他端に設けた接続部63が給紙カセット30内の導電性部材であるフラッパー36に接続されているので、給紙カセット30に帯電した静電気を端子部材60に集めることで、端子部材60を介して効果的に除去することができる。
【0039】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書、図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、本発明の静電気除去機構における端子部材や接地部の具体的な構成は、上記実施形態に示すものには限定されない。一例として、端子部材60の接触端子部62が備える接触片62a、62bの本数や形状は、他の本数や形状であっても良い。また、端子部材60は、接地面70に向かって突出する接触片を備えているものであれば、その他の部分は上記以外の構成であっても良く、例えば、給紙カセット30上の導電性部材に接続する接続部63の形状は他の形状であっても良い。
【0040】
また、給紙カセット30の用紙収納部35内では、フラッパー36だけでなく、用紙収納部35内に設置された静電気が帯電しうるすべての導電性部材を直接又は他の導電性部材を介して端子部材60の接続部63に接続しておくことが望ましい。そうすることで、給紙カセット30の各部に帯電した静電気をより効果的に除去できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る給紙カセットの静電気除去機構を備えた画像形成装置の全体構成例を示す斜視図である。
【図2】給紙カセットとカセット受部の構成例を示す側断面図である。
【図3】給紙カセットの構成例を示す平面図である。
【図4】静電気除去機構の構成例を示す図で、図3のA−A矢視断面図である。
【図5】静電気除去機構が備える端子部材と接触面の詳細構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置
20 給紙装置
30 給紙カセット
31 前面カバー
32 側壁
33 側壁
35 用紙収納部
36 フラッパー
37 ヒンジ部
38 コイルスプリング
39 エンドガイド
40 サイドガイド
50 カセット受部
51 ピックアップローラ
53 内側面
60 端子部材
61 本体部
62 接触端子部
62a 第1接触片(第1接触端子)
62b 第2接触片(第2接触端子)
63 接続部
70 接地面(接地部)
71 板金フレーム
72 除電シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を収納する給紙カセットに取り付けた端子部材と、前記給紙カセットを装着するカセット受部に設けた接地部とを備え、前記給紙カセットが前記カセット受部に装着される際に、前記端子部材が前記接地部に接触することで前記給紙カセットに帯電した静電気が除去される給紙カセットの静電気除去機構において、
前記端子部材は複数の接触端子を備え、前記給紙カセットが前記カセット受部に装着される際に、前記複数の接触端子が前記接地部に順に接触していくように構成したことを特徴とする給紙カセットの静電気除去機構。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙カセットの静電気除去機構において、
前記接触端子は、前記接地部に向かって突出する突出寸法が互いに異なる弾性を有する接触片であることを特徴とする給紙カセットの静電気除去機構。
【請求項3】
請求項2に記載の給紙カセットの静電気除去機構において、
前記給紙カセットは前記カセット受部に引き出し状に装着される構成であり、
前記接触端子は、前記給紙カセットの装着方向の奥側の外側面に配置され、前記接地部は、前記カセット受部の前記装着方向の奥側の内側面に配置されていることを特徴とする給紙カセットの静電気除去機構。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の給紙カセットの静電気除去機構において、
前記接地部における前記接触端子が最初に接触する位置に、前記接触端子に帯電した静電気を除去する除電シートを取り付けたことを特徴とする給紙カセットの静電気除去機構。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の給紙カセットの静電気除去機構において、
前記接地部における前記接触端子が最初に接触する位置に、前記接地部よりも導電性能が低い材質からなる導電抵抗部材を取り付けたことを特徴とする給紙カセットの静電気除去機構。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の給紙カセットの静電気除去機構において、
前記端子部材は、その一端に設けた前記接触端子が前記給紙カセットの外側に配置されていると共に、他端に設けた接続部が前記給紙カセット内に設置した導電性部材に接続されていることを特徴とする給紙カセットの静電気除去機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−120496(P2008−120496A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304310(P2006−304310)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】