説明

給紙装置

【課題】給紙装置の除湿を行う構成がヒータの熱を循環させる場合、ファンの設置スペースを設ける必要がある。例えば、幅広のロール紙やシートを適用する場合、その幅に応じてファンの数を増やしたり、増設したファンよりも風量のある別のファンを設置したりする必要がある。そこで、給紙装置の大型化や、ファンおよびファンの電力消費によるコストを低減する。
【解決手段】媒体Pを収容する収容部100と、収容部100の上方を覆うカバー部200と、該収容部100内を所定範囲内の温度に保つように加熱し、収容部100内の湿度を媒体Pに良好な画像を得るようにする加熱手段300とを有し、収容部100に媒体Pが載置されたカバー部200の対向側には、調整手段400が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、プロッタ、サーマルプリンタ等の画像形成装置により、画像等を印刷する媒体を収容する給紙装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置により、画像等を印刷する媒体を収容する給紙装置として特許文献1のようなものがある。
【0003】
特許文献1において、給紙装置は、ロール紙カセット2と複写機本体1とからなり、ロ−ル状記録紙40を収容するロール紙カセット2を複写機本体1に装填する構成となっている。
【0004】
この構成は、ロール紙カセット2内に収容されたロール状記録紙40は外気からの影響を受けやすく、ロール状記録紙40が湿気を帯びてしまうという問題がある。この問題を解決するものとして、特許文献2がある。
【0005】
特許文献2は、複数のシートカセット(14、15、16)と、ヒータ17と、循環ファン10と、検知スイッチ7と、これらを密閉状態に収容する筐体2とからなる。ヒータ17と循環ファン10は筐体2の下部に配置され、検知スイッチ7は筐体2に設けられている。
【0006】
この構成のもと、特許文献2は、ヒータ17をオンして、ヒータ17の熱を循環ファン10で循環させて、筐体2内の温度を上昇させる。この間、検知スイッチ7は筐体2内の状況を検知する。検知スイッチ7は、筐体2内の湿度が一定湿度またはそれ以下になったと検知した場合、ヒータをオフし、さらに、筐体2内の湿度が一定湿度より高くなった場合にはヒータをオンして、筐体2内部の湿度を調整している。
【特許文献1】特開昭54−9932号公報
【特許文献2】実開昭50−94922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2の構成は、ヒータの熱を循環させる構成であるため、ファンの設置スペースを設ける必要がある。例えば、幅広のロール紙やシートを適用する場合、その幅に応じてファンの数を増やしたり、増設したファンよりも風量のある別のファンを設置したりする必要がある。この結果、給紙装置の大型化や、ファンおよびファンの電力消費によりコストがかかってしまうという問題を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、本発明は、請求項1の発明においては、媒体を収容する収容部と、収容部の上方を覆うカバー部200と、該収容部内を所定範囲内の温度に保つように加熱し、収容部内の湿度を媒体に良好な画像を得るようにする加熱手段とを有し、収容部に媒体が載置されたカバー部200の対向側には、調整手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明においては、調整手段は熱伝導性の良い金属からなることを特徴とする。
請求項3においては、具体的に、加熱手段は、収容部内の温度が所定より低い場合には、収容部内および調整手段を暖めるとともに、収容部内の温度が所定より高い場合には加熱手段の動作を停止することを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項4の発明においては、収容部の外気温が急激に下がった場合、調整手段は、収容部内の熱の放散を防止するとともに、収容部内の熱の放散分を調整手段に蓄積された熱で行い、調整手段に蓄積された熱と、加熱手段とにより、収容部内を暖め、収容部内を所定範囲内の温度に保つようにすることを特徴とする。さらにまた、請求項5の発明においては、媒体を、ロール状に巻かれたウェブまたは予め所定の長さにカットされたカット紙とすることを特徴とする
【発明の効果】
【0011】
収容部内を所定範囲内の温度に保つように加熱し、収容部内の湿度を媒体に良好な画像を得るようにする加熱手段の熱を、収容部に媒体が載置されたカバー部200の対向側に設けられた調整手段により、蓄熱または収容部外に放熱するという構成により、加熱手段の熱を循環させるファンをなくし、給紙装置の小型化にするとともに、給紙装置自体のコストを低くすることができる。
【0012】
また、調整手段を、熱伝導性の良い金属とすることにより、先に述べた効果を具体化することができる。さらに、加熱手段を、収容部内の温度が所定より低い場合には、収容部内および調整手段を暖めるとともに、収容部内の温度が所定より高い場合には加熱手段の動作を停止することにより、収容部内を所定範囲内の温度に保つ動作を具体化し、請求項1の効果を得ることができる。
【0013】
特に、調整手段に、収容部内の熱の放散の防止と、加熱手段の熱を蓄積する機能を持たせることにより、収容部の外気温が急激に下がった場合でも、収容部内を所定範囲内の温度に保つことができる。さらに、また、媒体を、ロール状に巻かれたウェブまたは予め所定の長さにカットされたカット紙とすることにより、給紙装置に汎用性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の給紙装置を適用した装置の概略図。
【図2】本発明の給紙装置の平面図。
【図3】図2の矢視aからみた図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、本発明の給紙装置を適用した装置Sの概略図を示す。この装置Sは、画像形成部Aと読取部Bと操作部Cと搬送部Dとからなり、本発明の給紙装置が着脱できる構成となっている。
【0016】
なお、この実施の形態において、給紙装置に収容されている媒体Pは、フィルム等の材質のシートをロール状に巻いたウェブ(以下、「ロール紙」という)としているが、これに限定されることはなく、例えば、収容される媒体Pが、予め所定の長さにカットされたカット紙であっても良い。
【0017】
画像形成部Aは、本発明の給紙装置から供給された媒体Pに、外部からのデータを入力して像を形成するものである。具体的には画像形成部Aは、感光体の周囲に除電、帯電、露光、現像、転写、清掃、定着のプロセスを行う電子写真装置である。
【0018】
読取部Bは、画像形成部Aに先に述べたデータを入力するものである。操作部Cは、画像形成装置の設定等を入力するものである。以上の構成のもと、画像形成部Aで形成された像を、収容部100から供給された媒体Pに出力(転写)し、この後、定着を行い、媒体Pは外部に排出される。
【0019】
搬送部Dは、先に述べたように本発明の給紙装置に収容された媒体Pを画像形成部Aに搬送するものである。搬送部Dは図2に示すように、繰り出しローラD1と切断手段D2と第一搬送ローラD3対と第二搬送ローラD4とからなる。
【0020】
これら繰り出しローラD1と切断手段D2と第一搬送ローラD3対と第二搬送ローラD4は、板金等で形成された筐体D5内に配置されている。後に述べる収容部100と向かい合う筐体D5の壁にはロール紙Pを搬送部D内に送る搬送口D7が設けられている。
【0021】
繰り出しローラD1は、一対のローラからなり、ロール紙Pの先端を切断手段D2側に引き出すものである。ロール紙Pの先端が引き出された後は、順次、切断手段D2側に繰り出されていく。
【0022】
切断手段D2は、繰り出しローラD1から繰り出されたロール紙Pを所定の長さにカットして、このロール紙Pをシートとして形成するものである。具体的に、切断手段D2は、ロータリ式、ギロチン式、円形回転刃等のカッタ式で構成されたオートカッタからなる。
【0023】
第一搬送ローラD3および第二搬送ローラD2は、繰り出しローラD1から繰り出されたロール紙Pを画像形成部A側に搬送するものである。これら、第一搬送ローラD3および第二搬送ローラD2は、図示していないが、ローラ軸と、ローラ軸に設けられた複数の補助ローラからなる。
【0024】
また、第二搬送ローラD2は、第一搬送ローラD3から繰り出されたロール紙Pの先端を突き当てて、ロール紙Pの先端を揃える役目を持つ。
【0025】
次に、本発明の給紙装置について説明する。図2に示すように、給紙装置は、収容部100とカバー部200と加熱手段300と調整手段400とからなる。
【0026】
収容部100は、ロール紙Pを収容するものであり、上方および搬送部D側が開口し装置Sから突出した構成となっている。この構成により、装置Sに収容部100を装着した状態でロール紙Pの着脱作業が可能となり、ロール紙Pを着脱する毎に、装置S外に引き出しおよび装置S内に引き入れる作業をなくすことができる。
【0027】
特に、重さがかさむ幅広のロール紙Pを収容部100に装着する場合には、装置S外に引き出して収容部100からロール紙Pを外す作業と、収容部100にロール紙Pを装着して装置S内に収容部100を装着する作業をなくすことができ、作業の効率化を図ることができる。
【0028】
また、収容部100は、軽量化を図るため、耐熱性を有する樹脂部材、いわゆる耐熱性プラスチック等からなる。さらに、収容部100は、ロール紙Pを着脱する着脱手段120と、ロール紙Pを収容するスペース130と、搬送部Dの搬送口D7にロール紙Pを導くガイド板110と備える。
【0029】
着脱手段120は、一対のフォルダをロール紙Pの両端に装着するものである。なお、着脱手段120は、ロール紙Pの両端に装着するフォルダに限定されることはなく、スプールまたは軸によりロール紙Pを装着する攻勢であっても良い。
【0030】
スペース130は、各幅のロール紙Pを収容し、ロール紙Pの着脱作業を行うことができる空間を備える。この空間を備えることにより先に述べた作業を実現することが可能となる。
【0031】
カバー部200は収容部100の上方を覆うものであり、収容部100と同様に耐熱性を有する樹脂部材からなる。さらに、カバー部200は、一端が軸支され、多端が取手210を設けている。この取手210により、カバー部200材の開閉作業が行いやすいようになっている。
【0032】
加熱手段300は、カバー部200で覆った収容部100内の湿度を所定範囲内に保つようにするものであり、ガイド板110の裏面(収容部100の下方)と、収容部100に面する筐体D5の壁とに配置されている。ここで、収容部100内の湿度を保つ所定範囲とは、ロール紙Pに、画像形成部Aの画像を、良好に出力(転写)する範囲を指す。
【0033】
もう少し具体的にいうと、例えば、収容部100内の湿度が所定範囲よりも高いと、ロール紙Pに含まれる水分が多くなる場合と、ロール紙Pに含まれる水分が局部的に多くなる場合とが生じる。
【0034】
前者の場合は、画像の出力(転写)が良好な状態で行われずに、画像の白抜け等が生じてロール紙Pに出力する画像の品質が低下する問題が生じる。
【0035】
後者の場合は、ロール紙Pから蒸発する水分にむらがあるため、ロール紙Pの波打ち状態が生じ、ロール紙Pを搬送する際にジャムの発生原因となったり、さらに、定着時にロール紙Pの波打ち状態が顕著となり、出力した画像の見栄えが良くなくなったり等の問題が生じる。
【0036】
一方、収容部100内の湿度が所定範囲よりも低いと、ロール紙Pが乾燥してカールを起してしまい、搬送する際にジャムの発生原因の問題が生じる。このような問題を生じない範囲に収容部100の湿度を設定する。この湿度の調整は後に述べる加熱手段300と調整手段400とにより、温度を調整する。
【0037】
加熱手段300は、発熱体310と温度検出手段320とからなり、取付板330内に設けられている。図3に示すように、発熱体310はロール紙Pの幅の中央に対して対称に配置されている。取付板330は薄板状の部材からなり、収容部100内に取り付けられている。
【0038】
なお、この実施の形態では、発熱体310はロール紙Pの幅の中央に対して対称に一つずつ配置されているが、これに限定されることはなく、二つずつ以上であってもよいし、ロール紙Pの幅方向に対し一つでもよい。
【0039】
温度検出手段320は、各発熱体310に接続されている。温度検出手段320は、ある一定の温度となるように発熱体310をオン・オフ制御して、図示しない電源から電力の供給・停止させる機能を備えたものであり、具体的にはサーミスタである。
【0040】
この実施の形態において、発熱体310は、42℃以下になった場合にはオンし、50℃以上になった場合にはオフするようになっている。なお、このオン・オフの設定温度は、設置した場所の環境によって変わるものであり、この範囲に限定されない
【0041】
調整手段400は、発熱体310の熱を保持または外部に放出して、収容部100内を所定範囲内の湿度に保つように調整するものであり、カバー部200の裏面(収容部100に媒体Pが載置されたカバー部200の対向側)に設けられている。
【0042】
調整手段400は、外部の温度変化に対して収容部100内の温度が変動しにくい材料、すなわち、熱容量が大きい材料で形成されている。具体的に調整手段400の材料はステンレスを適用することが好ましいが、装置Sの軽量化を図るために、本発明の実施の形態ではアルミを適用している。
【0043】
以上の構成のもと、本発明の給紙装置の動作について説明する。例えば、冬の昼間の気温が高く、明くる日の早朝に、本発明の給紙装置を適用した装置Sを使用する場合、夜間中に、収容部100内の温度が低下し相対湿度が高くなる。
【0044】
この時、温度検出手段320は収容部100内の温度が低いことを検知して、発熱体310に電力を供給する。発熱体310は、収容部100内を暖めて、収容部100内の温度を上げる。これにより、収容部100内の湿度が下がる。
【0045】
また、これと同時に、収容部100に面する筐体D5の壁に配置される加熱手段300は、筐体D5内を暖めるとともに、この加熱手段300の発熱体310の熱が筐体D5の壁を伝わって収容部100内を暖める。これにより、筐体D5内の湿度を下げるとともに収容部100内の湿度を下げることを補助する。
【0046】
温度検出手段320は、収容部100内の温度が一定以上になると、発熱体310の電源をオフする。この間、収容部100内および筐体D5内を暖めると同時に、その暖めた熱が調整手段400に蓄積される。この結果、収容部100内を所定の温度に維持して、収容部100内の湿度を所定範囲内に保つことができる。
【0047】
次に、収容部100内の温度・湿度が所定範囲内にある状態から、装置S外の温度が急激に下がった場合は、カバー部200材の裏面に調整部材が設けられているため、容易に、収容部100内の温度が装置S外に放出されない。
【0048】
さらに、調整手段400が設けられていないカバー部200の部位から収容部100の熱が放出されたとしても、その放出された分は調整手段400で蓄えられた熱で補われるため、装置S外の温度が急激に下がったとしても、収容部100内の温度・湿度は緩やかに変化する。
【0049】
この結果、その変化分を回復させる時間を短くすることができる。また、この時、収容部100に面する筐体D5の壁に配置される加熱手段300と、収容部100の加熱手段300とが作動するため、収容部100内および筐体D5内を所定の温度に維持して、ロール紙Pの搬送やロール紙Pに画像を形成するときに悪影響を及ぼさない湿度に保つことができる。
【符号の説明】
【0050】
100 収容部
200 カバー部
300 加熱手段
400 調整手段
S 装置
A 画像形成部
P 媒体(ロール紙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の画像形成部で形成された画像を転写する媒体が収容され、該画形成装置から着脱可能な給紙装置において、
前記媒体を収容する収容部と、
前記収容部の上方を覆うカバー部と、
該収容部内を所定範囲内の温度に保つように加熱し、前記収容部内の湿度を前記媒体に良好な画像を得るようにする加熱手段と
を有し、
前記収納部に前記媒体が載置された前記カバー部の対向側には、調整手段が設けられていることを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記調整手段は熱伝導性の良い金属からなることを特徴とする請求項1または2記載の給紙装置。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記収容部内の温度が所定より低い場合には、前記収容部内および前記調整手段を暖めるとともに、前記収容部内の温度が所定より高い場合には前記加熱手段の動作を停止することを特徴とする請求項1または2記載の給紙装置。
【請求項4】
前記収容部の外気温が急激に下がった場合、前記調整手段は、前記収容部内の熱の放散を防止するとともに、前記収容部内の熱の放散分を前記調整手段に蓄積された熱で行い、前記調整手段に蓄積された熱と、前記加熱手段とにより、前記収容部内を暖め、収容部内を所定範囲内の温度に保つようにすることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の給紙装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記媒体を前記収容部から前記画像形成部に搬送する搬送部を備え、
前記加熱手段は、前記収納部に隣接する前記搬送部側に設けられていることを特徴とする請求項1、3乃至4記載いずれか記載の給紙装置。
【請求項6】
前記媒体は、ロール状に巻かれたウェブまたは予め所定の長さにカットされたカット紙であることを特徴とする請求項1または5記載の給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−187783(P2012−187783A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52412(P2011−52412)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】