説明

給紙装置

【課題】効率的且つ適切な設置作業をもたらす給紙装置を提供することが課題である。
【解決手段】画像形成装置にシートを供給する給紙装置であって、画像形成装置を支持する支持面を含む第1筐体と、画像形成装置へシートを給紙する給紙機構と、シートが前記給紙機構に接触する接触位置とシートが給紙機構から離間した離間位置との間でシートを変位させる変位機構と、変位機構を選択的に固定する固定機構と、を備え、固定機構は、支持面に対して出没する第1端部を備える変位棒と、変位棒から変位機構に向けて突出する突出片と、を含み、支持面から画像形成装置が除去され、第1端部が支持面に対して突出している間、突出片は、変位機構に接続され、変位機構を固定し、支持面が画像形成装置を支持し、第1端部が支持面に対して埋没している間、突出片は、変位機構の固定を解除することを特徴とする給紙装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置にシートを供給する給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機やプリンターといった画像形成装置に付属的に用いられる給紙装置は、シートの補充のための作業の頻度を低減させる。このような給紙装置は、必要に応じて、画像形成装置に接続されるので、画像形成装置とは別体に形成される。また、給紙装置は、しばしば画像形成装置とは別個に輸送される。
【0003】
給紙装置は、一般的には、シートを画像形成装置へ送り込むための給紙機構と、シートを給紙機構に接触させる接触位置と、シートを給紙機構から離間させる離間位置との間で変位させるリフト板といった変位機構を備える(例えば、特許文献1参照)。給紙装置からシートが供給されるとき、変位機構は、シートを接触位置に変位させる。画像形成装置に直接的に収容されたカセット或いは画像形成装置の筐体に取り付けられたトレイからシートが供給されるとき、給紙装置内の変位機構は、離間位置でシートを支持する。
【0004】
給紙装置が、例えば、搬送されている間、リフト板といった変位機構は、一般的には、固定テープや専用のプラスチック板を用いて、固定される。この結果、給紙装置が輸送されている間の変位機構のばたつきが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−24673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
給紙装置が輸送されている間の上述の固定手法は、固定テープや専用のプラスチック板といった固定要素の除去を、給紙装置を設置する作業者に要求する。このことは、給紙装置の設置作業を非効率にする。
【0007】
加えて、作業者が固定要素の除去をしないまま作業を完了するならば、変位機構が固定されたまま給紙装置はシートを画像形成装置に供給しようとするので、変位機構及び/又は変位機構に接続される部品に過度の負荷が加わる。この結果、給紙装置が損傷する危険性がある。
【0008】
本発明は、効率的且つ適切な設置作業をもたらす給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る画像を形成する画像形成装置にシートを供給する給紙装置は、前記画像形成装置を支持する支持面を含む第1筐体と、前記画像形成装置へ前記シートを給紙する給紙機構と、前記シートが前記給紙機構に接触する接触位置と前記シートが前記給紙機構から離間した離間位置との間で前記シートを変位させる変位機構と、前記変位機構を選択的に固定する固定機構と、を備え、該固定機構は、前記支持面に対して出没する第1端部を備える変位棒と、該変位棒から前記変位機構に向けて突出する突出片と、を含み、前記支持面から前記画像形成装置が除去され、前記第1端部が前記支持面に対して突出している間、前記突出片は、前記変位機構に接続され、前記変位機構を固定し、前記支持面が前記画像形成装置を支持し、前記第1端部が前記支持面に対して埋没している間、前記突出片は、前記変位機構の固定を解除することを特徴とする(請求項1)。
【0010】
上記構成によれば、給紙装置は、画像を形成する画像形成装置にシートを供給する。第1筐体の支持面は、画像形成装置を支持する。給紙機構は、画像形成装置へシートを給紙する。変位機構は、シートが給紙機構に接触する接触位置と、シートが前記給紙機構から離間した離間位置との間でシートを変位させる。固定機構は、変位機構を選択的に固定する。
【0011】
変位棒の第1端部は、支持面に対して出没する。突出片は、変位棒から変位機構に向けて突出する。第1端部が前記支持面に対して突出している間、変位機構に接続された突出片は、変位機構を固定する。支持面が画像形成装置を支持し、第1端部が支持面に対して埋没している間、突出片は、変位機構の固定を解除する。したがって、支持面が画像形成装置を支持しているか否かに応じて、固定機構は、変位機構に対する固定と当該固定の解除とを自動的に選択するので、給紙装置は、効率的且つ適切に設置される。
【0012】
上記構成において、前記変位機構は、前記シートを収容する第2筐体と、該第2筐体内で前記シートを前記接触位置と前記離間位置との間で変位させるリフト板と、を含み、前記第2筐体は、スリットが形成されたスリット壁を含み、前記第1端部が前記支持面に対して突出している間、前記突出片は、前記スリットを介して、前記第2筐体内に突出し、前記リフト板の変位を規制することが好ましい(請求項2)。
【0013】
上記構成によれば、変位機構は、シートを収容する第2筐体と、第2筐体内でシートを接触位置と離間位置との間で変位させるリフト板と、を含む。第2筐体は、スリットが形成されたスリット壁を含む。第1端部が支持面に対して突出している間、突出片は、スリットを介して、第2筐体内に突出し、リフト板の変位を規制するので、支持面が画像形成装置を支持していない間、突出片はリフト板を適切に固定できる。
【0014】
上記構成において、前記固定機構は、前記突出片を付勢する第1付勢機構を含み、前記支持面が前記画像形成装置を支持すると、前記突出片は、前記リフト板の変位を規制する第1位置から前記変位棒に沿う第2位置に向けて回動し、前記第1付勢機構は、前記第1位置に向けて前記突出片を付勢することが好ましい(請求項3)。
【0015】
上記構成によれば、支持面が画像形成装置を支持すると、突出片は、リフト板に向けて突出する第1位置から変位棒に沿う第2位置に向けて回動する。第1付勢機構は、第1位置に向けて突出片を付勢するので、突出片は、スリットを介して、第2筐体内に突出した姿勢を適切に保つ。したがって、支持面が画像形成装置を支持していない間、突出片はリフト板を適切に固定できる。
【0016】
上記構成において、前記固定機構は、前記第1端部が前記支持面から突出するように前記変位棒を付勢する第2付勢機構を含むことが好ましい(請求項4)。
【0017】
上記構成によれば、第2付勢機構は、第1端部が支持面から突出するように変位棒を付勢するので、支持面から画像形成装置が除去されると、変位棒の第1端部は支持面に対して突出する。したがって、突出片は、自動的に、リフト板を適切に固定することができる。
【0018】
上記構成において、前記変位棒は、前記第1端部と反対側の第2端部を含み、前記突出片は、前記第1端部と前記第2端部との間に取り付けられた第1突出片及び第2突出片を含み、前記リフト板は、前記第1突出片によって選択的に固定される第1リフト板と、前記第2突出片によって選択的に固定される第2リフト板と、を含み、前記第2付勢機構は、前記第2端部に接続されることが好ましい(請求項5)。
【0019】
上記構成によれば、第1突出片及び第2突出片は、第1端部及び第1端部に対して反対側の第2端部の間に取り付けられる。リフト板は、第1突出片によって選択的に固定される第1リフト板と、第2突出片によって選択的に固定される第2リフト板と、を含む。第2付勢機構は、第2端部に接続されるので、支持面から画像形成装置が除去されると、第1リフト板及び第2リフト板は、それぞれ適切に固定される。
【0020】
上記構成において、前記リフト板によって前記接触位置に変位された前記シートは、前記給紙機構に接触する先頭縁を含み、前記リフト板は、前記先頭縁に沿って延びる押上部を含み、第1位置に存する前記突出片は、前記押上部に当接することが好ましい(請求項6)。
【0021】
上記構成によれば、シートがリフト板によって接触位置に変位されると、シートの先頭縁は、押上部によって給紙機構に接触される。第1位置に存する突出片は、押上部に当接するので、リフト板は適切に固定される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に従う給紙装置は、効率的且つ適切に設置される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に従う給紙装置の概略的な斜視図である。
【図2】図1に示される給紙装置及び画像形成装置の内部構造を示す概略図である。
【図3】図1に示される給紙装置のカセットの概略的な斜視図である。
【図4】図3に示されるカセットの概略的な平面図である。
【図5】図3に示されるカセットの概略的な断面図である。
【図6】図3に示されるカセットの概略的な断面図である。
【図7】図1に示される給紙装置の概略的な断面図である。
【図8】図1に示される給紙装置の概略的な断面図である。
【図9】第2実施形態に従う給紙装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、添付の図面を用いて、給紙装置の一実施形態が説明される。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、給紙装置の原理を何ら限定するものではない。
【0025】
(全体構成)
図1は、シートに画像を形成する画像形成装置を支持する給紙装置の概略的な斜視図である。図1を用いて、給紙装置及び画像形成装置が説明される。尚、本実施形態において、プリンターが画像形成装置として例示される。コピー機やシートに画像を形成することができる他の装置が画像形成装置として用いられてもよい。
【0026】
給紙装置100は、プリンター900に供給されるシートを収容するカセット200と、カセット200を収容する筐体300と、を備える。カセット200内に収容されたシートは、プリンター900に供給される。筐体300は、カセット200に加えて、カセット200内のシートをプリンター900に供給するための様々な要素を収容する。
【0027】
カセット200は、筐体300に対して、引き出し可能に形成されたカセット筐体250を備える。使用者は、カセット筐体250を筐体300から図1において右方向に引き出し、シートをカセット200に収容することができる。その後、使用者は、カセット200を筐体300内に押し込むことができる。本実施形態において、カセット筐体250は、第2筐体として例示される。
【0028】
略矩形箱状の筐体300の上面301は、プリンター900を支持する。本実施形態において、筐体300は、第1筐体として例示される。また、筐体300の上面301は、支持面として例示される。
【0029】
プリンター900は、略矩形箱状の主筐体901を備える。主筐体901は、筐体300の上面301上に載置される。プリンター900及び給紙装置100を設置する作業者は、プリンター900を筐体300上に据え付けた後、プリンター900と給紙装置100とを電気的に接続する。
【0030】
プリンター900は、主筐体901の上部に取り付けられたコントロールパネル902を備える。使用者は、コントロールパネル902及び/又はプリンター900に接続された外部装置(例えば、パーソナルコンピューター)を操作し、プリンター900及び給紙装置100に所望の指示を与えることができる。プリンター900及び給紙装置100は、コントロールパネル902及び/又はプリンター900に接続された外部装置(例えば、パーソナルコンピューター)を通じて入力された指示にしたがって動作する。
【0031】
プリンター900は、主筐体901の下部に挿入されたカセット903を備える。カセット903は、給紙装置100のカセット200と略同様の構造を備えてもよい。使用者は、コントロールパネル902及び/又はプリンター900に接続された外部装置(例えば、パーソナルコンピューター)を操作し、カセット200及びカセット903のうち1つを給紙元として選択してもよい。
【0032】
図2は、給紙装置100及びプリンター900の内部構造を示す概略図である。図1及び図2を用いて、給紙装置100及びプリンター900が更に説明される。
【0033】
給紙装置100は、カセット200内に配設されたシートをプリンター900へ給紙するための給紙機構310を備える。給紙機構310は、シートをカセット200外へ送り出すピックアップローラー311と、ピックアップローラー311の直後に配設された給紙ローラー312と、給紙ローラー312に隣接する分離ローラー313と、を含む。
【0034】
ピックアップローラー311によってカセット200外へ送り出されたシートは、給紙ローラー312と分離ローラー313との間を通過する。給紙ローラー312は、シートを更に下流へ送り出すように回転する一方で、分離ローラー313は、シートをカセット200に戻すように回転する。したがって、ピックアップローラー311が複数のシートを略同時にカセット200外へ送り出すならば、給紙ローラー312に直接的に接触するシートのみが下流へ更に送り出され、他のシートは、カセット200へ戻される。かくして、シートは、1枚ずつ、プリンター900へ送り出される。尚、シートを1枚ずつカセット200からプリンター900へ送り出すために、既知の他の構造が給紙機構として用いられてもよい。
【0035】
給紙機構310は、筐体300の上面301の近傍に配設された搬送ローラー対314と、給紙ローラー312と搬送ローラー対314との間でシートを案内する案内プレート319を更に含む。給紙ローラー312は、シートを搬送ローラー対314に向けて送り出す。搬送ローラー対314は、シートをプリンター900内に送り込む。
【0036】
給紙装置100の筐体300内には、鉛直に延びる給紙搬送路315が形成される。給紙搬送路315の上端及び下端は、筐体300の上面301及び下面302において開口する。したがって、複数の給紙装置100が積み重ねられるならば、給紙搬送路315は連結される。
【0037】
使用者は、コントロールパネル902及び/又はプリンター900に接続された外部装置(例えば、パーソナルコンピューター)を操作し、複数の給紙装置100のうち1つを給紙元として選択してもよい。選択された給紙装置100から送り出されたシートは、給紙搬送路315を通じて、プリンター900に供給される。
【0038】
主筐体901の下面904には、開口部905が形成される。開口部905は、給紙搬送路315の上端に連通する。給紙装置100の搬送ローラー対314は、開口部905を通じて、プリンター900の主筐体901内にシートを送り込む。
【0039】
主筐体901内には、開口部905から上方に延びる搬送路906が形成される。プリンター900は、搬送路906に沿って配設された搬送ローラー対911並びにレジストローラー対912を備える。シートは、給紙装置100の搬送ローラー対314からプリンター900の搬送ローラー対911へ受け渡される。搬送ローラー対911は、その後、シートをレジストローラー対912へ送る。
【0040】
プリンター900は、トナー画像を形成する画像形成部920を備える。画像形成部920は、略円筒状の感光体ドラム921と、感光体ドラム921の周面を帯電させる帯電器922と、帯電した感光体ドラム921の周面にレーザ光を照射する露光装置923と、を含む。
【0041】
パーソナルコンピューターといった外部装置から動作指示がなされると、感光体ドラム921は回転する。帯電器922は、回転する感光体ドラム921の周面を略一様に帯電する。露光装置923は、外部装置から送られる画像信号に従って、レーザ光を感光体ドラム921の周面上で走査する。この結果、感光体ドラム921の周面上に、静電潜像が形成される。
【0042】
画像形成部920は、静電潜像が形成された感光体ドラム921の周面にトナーを供給する現像装置924と、現像装置924にトナーを供給するトナーコンテナー925と、を更に含む。現像装置924からのトナーの供給によって、感光体ドラム921の周面に形成された静電潜像は現像され、トナー画像となる。トナーコンテナー925から現像装置924へ適宜トナーが補充される。
【0043】
本実施形態において、4つのトナーコンテナー925は、マゼンタ色のトナー、イエロー色のトナー、シアン色のトナー及びブラック色のトナーをそれぞれ供給する。したがって、4つの感光体ドラム921の周面には、マゼンタ色のトナー画像、イエロー色のトナー画像、シアン色のトナー画像及びブラック色のトナー画像がそれぞれ形成される。
【0044】
プリンター900は、転写部930を更に備える。転写部930は、トナーコンテナー925と感光体ドラム921との間で、略水平に延びる転写ベルト931と、感光体ドラム921上のトナー画像を転写ベルト931に転写させる第1転写ローラー932と、転写ベルト931を駆動する駆動ローラー933と、駆動ローラー933と協働して転写ベルト931を保持するアイドラー934と、を含む。
【0045】
第1転写ローラー932及び感光体ドラム921は、転写ベルト931を挟み、ニップ部を形成する。駆動ローラー933によって駆動された転写ベルト931が、第1転写ローラー932と感光体ドラム921との間を走行する間、感光体ドラム921上のトナー画像は、転写ベルト931に転写される。
【0046】
感光体ドラム921上でのトナー画像の形成タイミングは、マゼンタ色のトナー画像、イエロー色のトナー画像、シアン色のトナー画像及びブラック色のトナー画像が転写ベルト931上で重ね合わせられるように調整される。したがって、転写ベルト931上で、これらのトナー画像が重ね合わせられ、フルカラーのトナー画像となる。
【0047】
転写部930は、フルカラーのトナー画像をシートに転写するための第2転写ローラー935を更に含む。第2転写ローラー935及び駆動ローラー933は、転写ベルト931を挟み、ニップ部を形成する。
【0048】
レジストローラー対912は、第2転写ローラー935と駆動ローラー933との間のニップ部へのフルカラーのトナー画像の到達に合わせて、シートを送り出す。この結果、シートの適所にフルカラーのトナー画像が転写される。
【0049】
プリンター900は、シートにトナー画像を定着させる定着装置940を更に備える。定着装置940は、トナーを加熱並びに溶融する加熱ローラー941と、シートを加熱ローラー941に圧接させる加圧ローラー942と、を備える。転写部930でトナー画像が転写されたシートは、定着装置940に供給される。定着装置940は、トナー画像をシートに定着させる。
【0050】
プリンター900は、搬送路906の上端に配設された排出ローラー対913を更に備える。排出ローラー対913は、定着装置940を通過したシートを主筐体901外に排出する。
【0051】
(カセット)
図3は、給紙装置100に挿入されるカセット200を概略的に示す斜視図である。図3を用いて、カセット200が説明される。
【0052】
カセット200は、上述のカセット筐体250に加えて、リフト板210を備える。リフト板210は、シートの先頭縁に沿って延びる押上部211と、押上部211と略平行に延びる基端部212と、基端部212と押上部211との間で延びる中間部213と、を含む。
【0053】
カセット筐体250は、シートの搬送方向に沿って延びる左壁251と、左壁251とは反対の右壁252と、リフト板210の下方の底壁253と、を含む。リフト板210の基端部212の左右端は、左壁251及び右壁252の内面に回動可能にそれぞれ接続される。したがって、リフト板210は、基端部212周りに上下に回動可能である。
【0054】
図4は、リフト板210を上下動させるための駆動機構を概略的に示すカセット200の平面図である。図1及び図4を用いて、カセット200が更に説明される。
【0055】
カセット200は、リフト板210の押上部211の下方で延びるシャフト221と、シャフト221の略中央に取り付けられたプレート222と、を更に備える。シャフト221の回転とともにプレート222は回転し、押上部211を押し上げる。
【0056】
カセット200は、右壁252を貫通したシャフト221の右端に取り付けられたギア223を更に備える。給紙装置100は、筐体300に取り付けられた駆動モータ224を更に備える。カセット200が筐体300内に挿入されると、ギア223は駆動モータ224に接続される。駆動モータ224が作動すると、シャフト221が回転し、押上部211は上方に変位する。
【0057】
図5及び図6は、カセット200の概略的な断面図である。図5は、シートがピックアップローラー311に接触する接触位置に変位したリフト板210を示す。図6は、シートがピックアップローラー311から離間した離間位置に変位したリフト板210を示す。図5及び図6を用いて、カセット200が更に説明される。
【0058】
図5及び図6に示される如く、使用者は、リフト板210上にシートSの束を載置することができる。シートSの先頭縁を支持する押上部211は、ピックアップローラー311の下方に配置される。
【0059】
プレート222が底壁253に対して直立するようにシャフト221が回転すると、押上部211は上方に変位し、シートSの先頭縁は、ピックアップローラー311に接触する。プレート222が底壁253に対して横たわるようにシャフト221が回転すると、押上部211は下方に変位し、シートSの先頭縁は、ピックアップローラー311から離れる。また、カセット200を筐体100から引き出すと、シャフト221のギア223が駆動モータ224から離れるため、プレート222及び押上部211は自重で落下する。かくして、シートSは、リフト板210によって、カセット筐体250内で、接触位置と離間位置との間で変位される。本実施形態において、カセット200は、変位機構として例示される。
【0060】
(固定機構)
図7は、給紙装置100の概略的な断面図である。図3及び図7を用いて、リフト板210を選択的に固定する固定機構が説明される。
【0061】
給紙装置100の筐体300は、上面301を形成する天壁303と、下面302を形成する底壁304と、を含む。天壁303には、開口部305が形成される。
【0062】
筐体300は、カセット筐体250の右壁252に沿う右内壁306と、右内壁306に隣接する右外壁307と、を更に含む。右内壁306と右外壁307との間には、例えば、上述の駆動モータ224が配設される。
【0063】
筐体300は、カセット筐体250の左壁251に沿う左内壁308と、左内壁308に隣接する左外壁309と、を更に含む。天壁303に形成された開口部305は、左内壁308と左外壁309との間の空間に連通する。
【0064】
給紙装置100は、リフト板210を選択的に固定する固定機構400を更に備える。固定機構400は、上端部411と上端部411と反対側の下端部412とを含む変位棒410を備える。変位棒410は、開口部305を通じて、左内壁308と左外壁309との間の空間に挿入される。
【0065】
給紙装置100は、変位棒410の下端部412と筐体300の底壁304の間にはコイルスプリング420を更に備える。筐体300の上面301がプリンター900を支持していない間、変位棒410を上方に付勢するコイルスプリング420は伸長し、上端部411を、開口部305を介して、上面301に対して突出させる。筐体300の上面301がプリンター900を支持している間、コイルスプリング420は縮み、上端部411は、上面301に対して略埋没する。本実施形態において、上端部411は、第1端部として例示される。また、下端部412は、第2端部として例示される。更に、コイルスプリング420は、第2付勢機構として例示される。尚、第2付勢機構として、第1端部を給紙装置の筐体に対して出没させることができる他の機構或いは要素が用いられてもよい。例えば、変位棒が磁性を有するならば、第2付勢機構は、変位棒を弾撥する磁石であってもよい。
【0066】
カセット筐体250の左壁251には、スリット255が形成される。スリット255は、リフト板210の押上部211の左端に隣接する。また、筐体300の左内壁308には、開口部355が形成される。開口部355は、スリット255に隣接する。本実施形態において、左壁251は、スリット255として例示される。
【0067】
固定機構400は、変位棒410から、開口部355及びスリット255を介して、カセット200の内部に突出する突出片430と、突出片430と変位棒410とを回動可能に接続するヒンジ要素440と、を更に備える。突出片430は、変位棒410の上端部411が筐体300の上面301から突出している間、略水平に横たわり、開口部355及びスリット255を介して、カセット200の内部に突出する。この結果、固定機構400は、カセット200に接続される。このとき、突出片430は、リフト板210の押上部211の上面に当接する。或いは、突出片430は、押上部211の上方に位置し、押上部211の上方への変位を規制する。本実施形態において、突出片430の水平位置は、第1位置として例示される。
【0068】
ヒンジ要素440は、2つの部材を回動可能に接続するために一般的に用いられるヒンジ部材であってもよい。ヒンジ要素440は、捻りコイルバネ(図示せず)を備え、突出片430を水平位置に向けて付勢する。本実施形態において、ヒンジ要素440は、第1付勢部材として例示される。
【0069】
図8は、プリンター900を支持する給紙装置100の概略的な断面図である。図7及び図8を用いて、固定機構400の動作が説明される。
【0070】
筐体300の上面301がプリンター900を支持している間、変位棒410の上端部411は、プリンター900の下面904に押圧され、上面301に対して略埋没する。この結果、コイルスプリング420は、下端部412と底壁304との間で圧縮される。また、変位棒410は、底壁304に向けて変位する。
【0071】
変位棒410の下方への変位の結果、突出片430は、開口部355を規定する左内壁308の内縁356に引っかかり、略鉛直に延びる変位棒410に沿う直立位置に回動する。本実施形態において、突出片430の直立位置は、第2位置として例示される。この結果、突出片430はリフト板210から離れ、リフト板210の固定が解除される。
【0072】
プリンター900が除去されると、コイルスプリング420は再度伸長し、変位棒410の上端部411は、上面301に対して突出する。また、突出片430は、再度、カセット200の内部に再度突出する。かくして、プリンター900の設置及び除去に伴って、突出片430は、リフト板210を固定及び固定の解除を行うことができる。
【0073】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に従う給紙装置100Aの概略的な断面図である。図9を用いて、第1実施形態の給紙装置100との相違が説明される。尚、第1実施形態と同様の要素に対して、同様の符号が付されている。また、第1実施形態と同様の要素に対する説明は省略される。
【0074】
給紙装置100Aは、2つのカセット200を収容するための筐体300Aを備える。筐体300Aは、天壁303と底壁304との間に中間壁360を含む。天壁303と中間壁360との間、並びに、底壁304と中間壁360との間には、カセット200をそれぞれ収容するための収容空間が形成される。本実施形態において、上側のカセット200のリフト板210は、第1リフト板として例示される。また、下側のカセット200のリフト板210は、第2リフト板として例示される。
【0075】
筐体300Aは、カセット200の左壁251に沿う左内壁308Aを更に含む。左内壁308Aには、上側開口部361並びに上側開口部361の下方に形成された下側開口部362が形成される。
【0076】
給紙装置100Aは、上側のカセット200のリフト板210及び下側のカセット200のリフト板210をそれぞれ選択的に固定するための固定機構400Aを更に備える。固定機構400Aは、ヒンジ要素440を介して、変位棒410に回動可能に取り付けられた上側突出片363及び下側突出片364を備える。上側突出片363は、上側開口部361を通じて、上側のカセット200内に突出し、上側のリフト板210を固定する。下側突出片364は、下側開口部362を通じて、下側のカセット200内に突出し、下側のリフト板210を固定する。
【0077】
変位棒410の上端部411と下端部412との間に取り付けられた上側突出片363及び下側突出片364は、変位棒410の上下動に伴い、水平位置と直立位置との間で回動することができる。したがって、両方のカセット200は、同時に選択的に固定される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本実施形態の原理は、画像形成装置に取り付けられる給紙装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0079】
100,100A・・・・・給紙装置
200・・・・・・・・・・カセット(変位機構)
210・・・・・・・・・・リフト板(第1リフト板,第2リフト板)
211・・・・・・・・・・押上部
250・・・・・・・・・・カセット筐体(第2筐体)
251・・・・・・・・・・左壁(スリット壁)
255・・・・・・・・・・スリット
300・・・・・・・・・・筐体(第1筐体)
301・・・・・・・・・・上面(支持面)
310・・・・・・・・・・給紙機構
363・・・・・・・・・・上側突出片(第1突出片)
364・・・・・・・・・・下側突出片(第2突出片)
400,400A・・・・・固定機構
410・・・・・・・・・・変位棒
411・・・・・・・・・・上端部(第1端部)
412・・・・・・・・・・下端部(第2端部)
420・・・・・・・・・・コイルスプリング(第2付勢機構)
430・・・・・・・・・・突出片
440・・・・・・・・・・ヒンジ要素(第1付勢機構)
900・・・・・・・・・・プリンター(画像形成装置)
S・・・・・・・・・・・・シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成装置にシートを供給する給紙装置であって、
前記画像形成装置を支持する支持面を含む第1筐体と、
前記画像形成装置へ前記シートを給紙する給紙機構と、
前記シートが前記給紙機構に接触する接触位置と前記シートが前記給紙機構から離間した離間位置との間で前記シートを変位させる変位機構と、
前記変位機構を選択的に固定する固定機構と、を備え、
該固定機構は、前記支持面に対して出没する第1端部を備える変位棒と、該変位棒から前記変位機構に向けて突出する突出片と、を含み、
前記支持面から前記画像形成装置が除去され、前記第1端部が前記支持面に対して突出している間、前記突出片は、前記変位機構に接続され、前記変位機構を固定し、
前記支持面が前記画像形成装置を支持し、前記第1端部が前記支持面に対して埋没している間、前記突出片は、前記変位機構の固定を解除することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記変位機構は、前記シートを収容する第2筐体と、該第2筐体内で前記シートを前記接触位置と前記離間位置との間で変位させるリフト板と、を含み、
前記第2筐体は、スリットが形成されたスリット壁を含み、
前記第1端部が前記支持面に対して突出している間、前記突出片は、前記スリットを介して、前記第2筐体内に突出し、前記リフト板の変位を規制することを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記固定機構は、前記突出片を付勢する第1付勢機構を含み、
前記支持面が前記画像形成装置を支持すると、前記突出片は、前記リフト板の変位を規制する第1位置から前記変位棒に沿う第2位置に向けて回動し、
前記第1付勢機構は、前記第1位置に向けて前記突出片を付勢することを特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記固定機構は、前記第1端部が前記支持面から突出するように前記変位棒を付勢する第2付勢機構を含むことを特徴とする請求項3に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記変位棒は、前記第1端部と反対側の第2端部を含み、
前記突出片は、前記第1端部と前記第2端部との間に取り付けられた第1突出片及び第2突出片を含み、
前記リフト板は、前記第1突出片によって選択的に固定される第1リフト板と、前記第2突出片によって選択的に固定される第2リフト板と、を含み、
前記第2付勢機構は、前記第2端部に接続されることを特徴とする請求項4に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記リフト板によって前記接触位置に変位された前記シートは、前記給紙機構に接触する先頭縁を含み、
前記リフト板は、前記先頭縁に沿って延びる押上部を含み、
第1位置に存する前記突出片は、前記押上部に当接することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−201473(P2012−201473A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69267(P2011−69267)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】