説明

給紙装置

【課題】ピックアップローラーを下方に回動させて給紙トレイに積載されたシートに接触させる際に、シートとの衝突によって大きな音が発生するのを簡単に抑制する。
【解決手段】給紙ローラー21を回転させる給紙用回転軸21aに回動可能に設けられた回動部材23にピックアップローラー22を取り付け、回動部材によりピックアップローラーを下方に回動させて給紙トレイに積載されたシートに接触させた状態で、このピックアップローラーを回転させてシートを給紙ローラーに導く給紙装置において、ピックアップローラーが回動部材を介して自重により下方に回動する際に締め付けられて、ピックアップローラーが下方に回動される速度を軽減させるスプリング部材21c,26bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機,ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置や画像読取装置等において、給紙トレイに積載されたシートを給紙させるのに使用する給紙装置に関するものである。特に、給紙トレイに積載されたシートを給紙ローラーに導くピックアップローラーが、支軸に回動可能に設けられた回動部材に取り付けられて上下方向に回動可能に設けられた給紙装置において、ピックアップローラーを下方に回動させて給紙トレイに積載されたシートに接触させる際に、シートとの衝突によって大きな音が発生するのを簡単に抑制できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機,ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置や画像読取装置等においては、給紙トレイに積載されたシートを給紙装置によって給紙させるようにしている。
【0003】
そして、このような給紙装置においては、一般に、給紙トレイに積載されたシートを、ピックアップローラーにより給紙して給紙ローラーに導き、この給紙ローラーによりシートを1枚ずつ送りローラーに送り出すようにしている。
【0004】
ここで、このような給紙装置においては、前記のピックアップローラーを給紙ローラーの回転軸等の支軸に回動可能に設けられた回動部材に取り付け、この回動部材を介してピックアップローラーを上下方向に回動させるようにしている。
【0005】
そして、給紙トレイの上に積載されたシートを給紙させる前は、回動部材を上方に回動させて、ピックアップローラーを上方の待機位置に保持させる一方、シートを給紙させる際には、前記の回動部材を下方に回動させて、ピックアップローラーを給紙トレイの上に積載されたシートの上に接触させるようにしている。
【0006】
ここで、前記のように回動部材を下方に回動させて、ピックアップローラーを給紙トレイに積載されたシートの上に接触させるにあたり、従来においては、ピックアップローラー及び回動部材の自重により、回動部材を下方に回動させるようにし、或いは、特許文献1に示されるように、前記の回動部材を給紙ローラーの回転軸に取り付け、この給紙ローラーの回転軸を回転させて、回動部材を下方に回動させるようにしていた。
【0007】
しかし、前記のようにして回動部材を下方に回動させて、ピックアップローラーを給紙トレイに積載されたシートに接触させるようにした場合、上方の待機位置に保持されたピックアップローラーと給紙トレイに積載されたシートとの距離が大きくなると、ピックアップローラーが給紙トレイに積載されたシートに接触する際における衝撃音が大きくなるという問題があった。
【0008】
このため、従来においては、特許文献2に示されるように、ピックアップローラーを上下に回動させる前記の回動部材に扇形ギアを設けると共に、この扇形ギアと噛み合うように駆動ギアを設け、この駆動ギアをステッピングモータにより回転させ、扇形ギアを介して前記の回動部材を下方に回動させるようにすると共に、給紙トレイに積載されたシートまでの距離を測距センサーにより測定し、ピックアップローラーが所定位置まで下降した時点で、回動部材を下方に回動させる速度を遅くするようにしたものが提案されている。
【0009】
しかし、この場合には、別個にステッピングモータや測距センサーなどを設けることが必要になり、コストが高くつくと共に、これらの制御も面倒になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−76681号公報
【特許文献2】特開平8−295427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、給紙トレイに積載されたシートを給紙ローラーに導くピックアップローラーが、支軸に回動可能に設けられた回動部材に取り付けられて上下方向に回動可能に設けられた給紙装置において、ピックアップローラーを下方に回動させて給紙トレイに積載されたシートに接触させる際に、シートとの衝突によって大きな音が発生するのを簡単に抑制できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明においては、前記のような課題を解決するため、給紙トレイに積載されたシートを給紙ローラーに導くピックアップローラーが、支軸に回動可能に設けられた回動部材に取り付けられて上下方向に回動可能に設けられ、この回動部材によりピックアップローラーが下方に回動されて給紙トレイに積載されたシートに接触した状態で、このピックアップローラーが回転してシートが給紙ローラーに導かれる給紙装置において、前記のピックアップローラーが回動部材を介して自重により下方に回動する際に締付け力が変化して、ピックアップローラーが下方に回動する速度を軽減させるスプリング部材を設けた。
【0013】
このように、ピックアップローラーが回動部材を介して自重により下方に回動する際にスプリング部材の締付け力が変化し、このスプリング部材によってピックアップローラーが下方に回動する速度が軽減されると、ピックアップローラーが回動部材を介して自重により下方に回動して給紙トレイに積載されたシートに接触する時の速度が遅くなる。
【0014】
ここで、前記の回動部材を回動可能に設ける支軸を別に設けるよりも、部品数を少なくするためには、給紙ローラーを回転させる給紙用回転軸を支軸として使用し、この給紙用回転軸と給紙ローラーとの間に前記のスプリング部材を設けるようにすることが好ましい。
【0015】
そして、このように給紙用回転軸と給紙ローラーとの間に前記のスプリング部材を設けるにあたっては、このスプリング部材によって前記の給紙用回転軸と給紙ローラーとを接続させ、このスプリング部材を給紙用回転軸の回転に伴う給紙ローラーの回転方向を規制するワンウェイクラッチとして作用させるようにすることができる。
【0016】
また、前記のようにスプリング部材によって前記の給紙用回転軸と給紙ローラーとを接続させた場合において、給紙用回転軸がシートを給紙する方向に回転する際に、前記の給紙ローラーが給紙用回転軸と一緒に回転される一方、給紙用回転軸がシートを給紙する方向と逆方向に回転する際に、前記の給紙ローラーがシートを給紙する方向と逆方向に回転するのが抑制されるようにすることが好ましい。
【0017】
また、このように給紙用回転軸がシートを給紙する方向と逆方向に回転される場合に、前記の回動部材が給紙用回転軸の回転に伴って上方に回動されるようにすることができる。
【0018】
また、このように回動部材を上方に回動させた状態で、この回動部材を係止させる係止手段を設けるようにすることができる。
【0019】
そして、このように回動部材を上方に回動させた状態で係止手段により係止させた場合において、この係止手段による係止を解除させても、ピックアップローラーが回動部材を介して自重により下方に回動されなくなる場合があるため、例えば、前記の給紙用回転軸を、シートを給紙させる方向に回転させて、前記のスプリング部材における締付け力を変化させ、前記の係止手段による係止を解除させた場合に、ピックアップローラーが回動部材を介して自重により下方に回動されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の給紙装置においては、前記のように回動部材によりピックアップローラーを下方に回動させて、このピックアップローラーを給紙トレイに積載されたシートに接触させるにあたり、ピックアップローラーが回動部材を介して自重により下方に回動する際に締付け力が変化するスプリング部材を設け、このスプリング部材の締付け力の変化によって、ピックアップローラーが下方に回動される速度を軽減させるようにしたため、ピックアップローラーが回動部材を介して自重により下方に回動して給紙トレイに積載されたシートに接触する時の速度が遅くなる。
【0021】
この結果、本発明の給紙装置においては、給紙トレイに積載されたシートの上にピックアップローラーを接触させ、このピックアップローラーによりシートを給紙ローラーに導くにあたり、回動部材を介して自重によりピックアップローラーを下方に回動させて、給紙トレイに積載されたシートにピックアップローラーを接触させる際に、シートとの衝突によって大きな音が発生するのを簡単に抑制できるようになる。
【0022】
また、本発明の給紙装置においては、回動部材を介して自重によりピックアップローラーを下方に回動させるため、従来のように、回動部材に扇形ギアを設けると共に、この扇形ギアと噛み合うように駆動ギアを設けたり、またシートまでの距離を測距センサーにより測定し、これに基づいてステッピングモータによる前記の駆動ギアの回転を制御して、ピックアップローラーを下方に回動させる速度を制御するという面倒な操作を行う必要がなくなると共に、コストも低減されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る給紙装置を用いる画像読取装置を示した概略斜視図である。
【図2】前記の画像読取装置において、本発明の実施形態に係る給紙装置を使用する状態を示し、給紙トレイに積載されたシートを給紙させる前の状態を示した概略断面説明図である。
【図3】前記の画像読取装置において、給紙トレイに積載されたシートの画像を読み取るように、前記の実施形態の給紙装置により給紙トレイに積載されたシートを給紙させて搬送させる状態を示した概略断面説明図である。
【図4】前記の実施形態に係る給紙装置を示し、(A)は概略底面図、(B)は概略平面図である。
【図5】前記の実施形態に係る給紙装置において、回動部材を介して下方に回動されたピックアップローラーを給紙トレイに積載されたシートに接触させ、ピックアップローラー及び給紙ローラーを正転させて、シートを給紙させる状態を示した概略説明図である。
【図6】前記の実施形態に係る給紙装置において、給紙ローラーを回転させる給紙用回転軸を逆転させて、回動部材を介してピックアップローラーを上方に回動させる状態を示した概略説明図である。
【図7】前記の実施形態に係る給紙装置において、上方に回動されて待機状態にあるピックアップローラーを下方に回動させて、給紙トレイに積載されたシートを給紙し、その後、ピックアップローラーを上方に回動させて待機状態に戻すまでの工程を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態に係る給紙装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る給紙装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0025】
この実施形態においては、図1〜図3に示すように、複写機等の画像形成装置1の上部に設けた画像読取装置10において、給紙トレイ11に積載された原稿からなるシートsを1枚ずつ給紙させるのに用いる給紙装置20について説明する。
【0026】
ここで、この画像読取装置10においては、図1に示すように、用紙送り方向と直交する給紙トレイ11の幅方向両側に、この給紙トレイ11に積載されたシートsをその送り方向と直交する両側で規制する一対の規制ガイド12を設けている。
【0027】
そして、この画像読取装置10においては、前記の給紙トレイ11に積載されたシートsを給紙装置20によって給紙させるようにしている。
【0028】
ここで、この実施形態における給紙装置20においては、給紙トレイ11に積載されたシートsを給紙ローラー21に導くピックアップローラー22を回転させるピックアップ用回転軸22aを、給紙ローラー21を回転させる給紙用回転軸21aに上下方向に回動可能に取り付けられた回動部材23に保持させ、この回動部材23によりピックアップローラー22を給紙ローラー21よりも給紙方向上流側の位置で上下方向に回動させるようにしている。
【0029】
そして、給紙トレイ11に積載されたシートsを給紙させる前は、図2に示すように、前記のように回動部材23によりピックアップローラー22を上方に回動させた待機位置において後述する係止手段24により係止させて、給紙トレイ11にシートsを積載させるのに邪魔にならないようにしている。
【0030】
一方、給紙トレイ11に積載されたシートsを給紙させる場合には、前記の回動部材23によりピックアップローラー22を下方に回動させて、ピックアップローラー22を給紙トレイ11に積載されたシートsに接触させるようにしている。
【0031】
そして、このようにピックアップローラー22を給紙トレイ11に積載されたシートsに接触させた状態で、このピックアップローラー22と前記の給紙ローラー21とをシートsを給紙する方向に回転(正転)させ、このピックアップローラー22により前記のシートsを給紙ローラー21と分離パッド25との間に導き、この給紙ローラー21と分離パッド25との間を通して前記のシートsを第1送りローラー13に送るようにする。ここで、ピックアップローラー22によって2枚以上のシートsが重なって給紙ローラー21と分離パッド25との間に導かれた場合には、重なって導かれたシートsを給紙ローラー21と分離パッド25との間で1枚に分離させるようにしている。
【0032】
次いで、このように分離されたシートsを給紙ローラー21により第1送りローラー13、第2送りローラー14の順に送り、第2送りローラー14から前記のシートsを読取位置pに導き、この読取位置pにおいて読取装置(図示せず)によりシートsにおける画像を読み取った後、このシートsを排紙ローラー15により排紙トレイ16の上に排紙させるようにしている。
【0033】
ここで、この実施形態における給紙装置20においては、図4(A),(B)に示すように、給紙ローラー21を回転させる給紙用回転軸21aとピックアップローラー22を回転させるピックアップ用回転軸22aとの間に位置するようにして、アイドルギア26を回転可能に保持する保持軸26aを前記の回動部材23に設け、給紙用回転軸21aに設けられたギア21bとアイドルギア26とピックアップ用回転軸22aに設けられたギア22bとを噛み合わせるようにしている。
【0034】
また、前記の給紙用回転軸21aに設けられたギア21bと給紙ローラー21との間にスプリング部材21cを設け、このスプリング部材21cによって給紙用回転軸21aと給紙ローラー21とを接続させるようにしている。そして、前記の給紙用回転軸21aが給紙ローラー21によってシートsを給紙させる方向に回転(正転)する場合には、このスプリング部材21cが締め付けられ、給紙用回転軸21aの回転が給紙ローラー21に伝達されて、給紙ローラー21が給紙用回転軸21aと一緒に回転されるようにしている。一方、前記の給紙用回転軸21aがシートsを給紙させる方向と逆方向に回転(逆転)する場合には、前記のスプリング部材21cが緩められ、給紙用回転軸21aの回転が給紙ローラー21に伝達されるのが抑制されて、ワンウェイクラッチとして作用するようにしている。
【0035】
また、前記のアイドルギア26を回転可能に保持する保持軸26aとアイドルギア26とをスプリング部材26bによって連結させ、給紙用回転軸21aに設けられたギア21bが正転する場合には、アイドルギア26と保持軸26aとを連結する前記のスプリング部材26bが緩められ、給紙用回転軸21aに設けられたギア21bに伴ってアイドルギア26が回転されるようにしている。一方、前記の給紙用回転軸21aに設けられたギア21bが逆転してアイドルギア26が逆転する場合には、アイドルギア26と保持軸26aとを連結する前記のスプリング部材26bが締め付けられて、アイドルギア26の回転が抑制されるようにしている。
【0036】
また、ピックアップ用回転軸22aに設けられたギア22bとピックアップローラー22との間にスプリング部材22cを設け、このスプリング部材22cによってピックアップ用回転軸22aとピックアップローラー22とを接続させるようにしている。そして、前記のピックアップ用回転軸22aがピックアップローラー22によってシートsを給紙させる方向に回転(正転)する場合には、このスプリング部材22cが締め付けられ、ピックアップ用回転軸22aの回転がピックアップローラー22に伝達されて、ピックアップローラー22がピックアップ用回転軸22aと一緒に回転されるようにしている。一方、前記のピックアップ用回転軸22aがシートsを給紙させる方向と逆方向に回転(逆転)する場合には、前記のスプリング部材22cが緩められ、ピックアップ用回転軸22aの回転がピックアップローラー22に伝達されるのが抑制されて、ワンウェイクラッチとして作用するようにしている。
【0037】
また、モーター(図示せず)の回転を伝達する回転伝達軸27に、給紙クラッチ27aを介して回転伝達ギア27bを設け、この回転伝達ギア27bと前記の給紙用回転軸21aに設けられた回転伝達ギア21dとを噛み合わせるようにしている。そして、前記の給紙クラッチ27aをオンさせて、モーターの回転を前記の回転伝達軸27を介して給紙用回転軸21aに伝達させる一方、前記の給紙クラッチ27aをオフさせて、モーターの回転を給紙用回転軸21aに伝達させないようにしている。
【0038】
また、この実施形態における給紙装置20においては、前記の図2に示すように回動部材23によりピックアップローラー22を上方に回動させた前記の待機位置においてピックアップローラー22を係止させる係止手段24として、ソレノイド等を用いた伸縮装置24aによってロッド24bを伸縮させるようにしたものを用い、このロッド24bを伸長させて回動部材23の適当な位置に係合させ、このロッド24bにより回動部材23を介してピックアップローラー22を上方に回動させた待機位置において係止させるようにしている。
【0039】
ここで、この実施形態における給紙装置20において、図3や図5に示すように、回動部材23を下方に回動させてピックアップローラー22を給紙トレイ11に積載されたシートsに接触させ、給紙ローラー21とピックアップローラー22とをシートsを給紙する方向に回転させて、このピックアップローラー22によりシートsを給紙ローラー21と分離パッド27との間に導くにあたっては、給紙ローラー21の周速度をピックアップローラー22の周速度よりも速くし、ピックアップローラー22と給紙ローラー21との間でシートsが弛むのを防止するようにしている。なお、このように給紙ローラー21の周速度をピックアップローラー22の周速度よりも速くした場合、ピックアップローラー22は、前記のスプリング部材22cによりピックアップ用回転軸22aによる回転に拘束されることなく、給紙ローラー21によって搬送されるシートsに伴って回転し、ピックアップローラー22と給紙ローラー21との間でシートsが強く引っ張られて破れたりするということがない。
【0040】
そして、給紙ローラー21の回転によりシートsが第1送りローラー13に送られると、前記の給紙クラッチ27aをオフさせて、モーターの回転を給紙用回転軸21aに伝達させないようにする。この場合においても、給紙ローラー21は、前記のスプリング部材21cにより給紙用回転軸21aの回転とは別に、第1送りローラー13によって搬送されるシートsに伴って回転し、シートsが第1送りローラー13によって適切に搬送されるようになる。
【0041】
また、前記のようにして給紙トレイ11に積載されたシートsを給紙して、給紙トレイ11に積載された全てのシートsの画像を読み取った後、前記のように回動部材23を介してピックアップローラー22を上方に回動させて待機位置に待機させるにあたっては、前記のモーターを逆転させ、前記の回転伝達軸27により給紙用回転軸21aを、シートsを給紙させる方向と逆方向に回転(逆転)させる。
【0042】
このように、給紙用回転軸21aを逆転させると、前記のスプリング部材21cが緩められ、給紙用回転軸21aの回転が給紙ローラー21に伝達されるのが抑制されて、給紙用回転軸21aだけが逆転されるようになる。また、この給紙用回転軸21aの逆転に伴い、給紙用回転軸21aのギア21bと噛み合ったアイドルギア26が少し逆転して、このアイドルギア26と保持軸26aとを連結する前記のスプリング部材26bが締め付けられ、その後、アイドルギア26が逆転するのが抑制され、給紙用回転軸21aの逆転に伴って前記の回動部材23が上方に回動されるようになる。
【0043】
この結果、図2及び図6に示すように、給紙用回転軸21aの逆転により、回動部材23が給紙用回転軸21aを支点として上方に回動されて、前記のピックアップローラー22が前記の待機位置に導かれるようになる。
【0044】
そして、ピックアップローラー22が回動部材23により上方に回動されて待機位置に導かれた状態で、前記の係止手段24により回動部材23を上方に回動させた上方の待機位置において係止させる。
【0045】
ここで、このように給紙用回転軸21aを逆転させて回動部材23を上方に回動させた場合、前記のように給紙用回転軸21aにおけるスプリング部材21cが緩められて、給紙用回転軸21aの回転が給紙ローラー21に伝達されるのが抑制されると共に、アイドルギア26におけるスプリング部材26bが締め付けられ、アイドルギア26が逆転されて回転されるのを抑制されるため、前記の係止手段24による係止を解除させても、ピックアップローラー22が回動部材23を介して自重により下方に回動するようにはなっていない。
【0046】
このため、この実施形態の給紙装置20において、ピックアップローラー22が回動部材23を介して自重により下方に回動されて給紙トレイ11に積載されたシートsに接触されるようにするため、前記のように回動部材23により上方の待機位置に導かれたピックアップローラー22を係止手段24により係止させた状態で、前記の給紙用回転軸21aを適当量正転させるようにする。
【0047】
このようにすると、給紙用回転軸21aにおける前記のスプリング部材21cが締め付けられると共に、アイドルギア26における前記のスプリング部材26bの締め付けが緩められ、この状態で、前記の係止手段24による係止を解除させると、給紙用回転軸21aのギア21bと噛み合ってアイドルギア26が逆転しながら、前記の回動部材23を介してピックアップローラー22が自重により下方に回動されるようになる。
【0048】
また、このようにアイドルギア26が逆転しながら回動部材23を介してピックアップローラー22が自重により下方にある程度回動されると、前記のアイドルギア26の逆転により前記のスプリング部材26bが次第に締め付けられ、アイドルギア26が逆転するのが抑制されるようになると共に、給紙用回転軸21aにおける前記のスプリング部材21cを緩める方向の力が作用して、給紙用回転軸21aの回転が給紙ローラー21に伝達されるのが抑制される。
【0049】
この結果、回動部材23を介してピックアップローラー22が自重により下方に回動される速度が遅くなって、給紙トレイ11に積載されたシートsにピックアップローラー22が接触する時点での速度が遅くなり、ピックアップローラー22がシートsと衝突する際に大きな音が発生するのが防止されるようになる。なお、シートsと接触する前に、ピックアップローラー22が下方に回動するのが停止されたとしても、前記の給紙用回転軸21aを正転させることにより、回動部材23を介してピックアップローラー22が下方に回動されて、ピックアップローラー22がシートsに接触されるようになる。そして、この場合においても、給紙用回転軸21aを正転させ、ピックアップローラー22を下方に回動させてシートsに接触させるまでの距離が短くなり、ピックアップローラー22がシートsと衝突する際に大きな音が発生するのが防止されるようになる。
【0050】
次に、前記の回動部材23を介して上方に回動されて待機位置に導かれたピックアップローラー22を前記の係止手段24によって係止させ、前記の給紙用回転軸21aを適当量正転させて、ピックアップローラー22が自重によって下方に回動されるようにした待機状態から開始し、給紙トレイ11に積載されたシートsを給紙した後、元のスタート状態に戻すまでの工程を、図7に示したフローチャートに基づいて説明する。
【0051】
先ず、S1において、前記の係止手段24による係止を解除させ、待機状態にあるピックアップローラー22を前記のようにして回動部材23により下方に回動させ、このピックアップローラー22を給紙トレイ11に積載されたシートsに接触させるようにする。次いで、S2において、前記の給紙クラッチ27aをオンさせて、前記のモーターによって回転する回転伝達軸27と給紙用回転軸21aとを接続させた後、S3において、モーターを正転させて、前記の給紙ローラー21やピックアップローラー22等を回転させる。
【0052】
そして、S4において、ピックアップローラー22と給紙ローラー21との回転により給紙されたシートsが前記の第1送りローラー13に達したかを判断し、給紙されたシートsが第1送りローラー13に達するまでシートsを送り続ける。また、このシートsが第1送りローラー13に達した場合には、S5において、給紙クラッチ27aをオフさせて、給紙ローラー21が正転方向に従動回転されるようにする。
【0053】
次いで、S6において、前記の第1送りローラー13等によりシートsを読取位置pに搬送し、読取位置pにおいて画像を読み取るようにする。そして、S7において、画像読取後のシートsを排紙ローラー15により排紙トレイ16の上に排紙させる。
【0054】
そして、S8において、最終シートが排紙されたかを判断し、最終シートが排紙されていない場合には、前記の給紙クラッチ27aをオンさせるS2に戻り、最終のシートsが排紙されるまで、前記のS2〜S8の動作を繰り返して行い、最終のシートsが排紙された場合には、S9において、前記のモーターを停止させる。
【0055】
次いで、S10において、給紙クラッチ27aをオンさせた後、S11において、モーターを逆転させて、前記のように回動部材23を介してピックアップローラー22を上方に回動させ、S12において、ピックアップローラー22が待機位置に達したかを判断し、ピックアップローラー22が待機位置に達するまでは、モーターを逆転させて、回動部材23によりピックアップローラー22を上方に回動させる。そして、ピックアップローラー22が待機位置に達した場合には、S13において、モーターを停止し、S14において、回動部材23により待機位置に導かれたピックアップローラー22を、前記の係止手段24によって係止させる。
【0056】
この状態で、S15において、前記のモーターを所定時間正転させて、前記のように回動部材23を介してピックアップローラー22が自重により下方に回動されるようにした後、S16において、モーターを停止させ、その後、S17において、給紙クラッチ27aをオフさせて、工程を終了する。
【0057】
なお、この実施形態においては、給紙装置20を画像形成装置1の上部に設けた画像読取装置10に用いる場合について説明したが、給紙装置20を用いる場所は特に限定されない。例えば、図示していないが、上記のような給紙装置20を、画像形成を行うシートを給紙させるのに使用し、このように給紙させたシートに対して画像形成を行うようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置
10 画像読取装置
11 給紙トレイ
12 規制ガイド
13 第1送りローラー
14 第2送りローラー
15 排紙ローラー
16 排紙トレイ
20 給紙装置
21 給紙ローラー,21a 給紙用回転軸,21b ギア,21c スプリング部材,21d 回転伝達ギア
22 ピックアップローラー,22a ピックアップ用回転軸,22b ギア,22c スプリング部材
23 回動部材
24 係止手段,24a 伸縮装置,24b ロッド
25 分離パッド
26 アイドルギア ,26a 保持軸,26b スプリング部材
27 回転伝達軸,27a 給紙クラッチ,27b 回転伝達ギア
p 読取位置
s シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙トレイに積載されたシートを給紙ローラーに導くピックアップローラーが、支軸に対して上下方向に回動可能に取り付けられた回動部材に保持され、この回動部材によりピックアップローラーが下方に回動されて給紙トレイに積載されたシートに接触した状態で、このピックアップローラーが回転してシートが給紙ローラーに導かれる給紙装置において、前記の回動部材を介してピックアップローラーが自重により下方に回動する際に締付け力が変化して、ピックアップローラーの下方に回動する速度を軽減させるスプリング部材が設けられてなることを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置において、回動部材が回動可能に取り付けられる前記の支軸が、給紙ローラーを回転させる給紙用回転軸であり、この給紙用回転軸と給紙ローラーとの間に前記のスプリング部材が設けられていることを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項2に記載の給紙装置において、前記のスプリング部材によって前記の給紙用回転軸と給紙ローラーとが接続され、前記のスプリング部材が給紙用回転軸の回転に伴う給紙ローラーの回転方向を規制するワンウェイクラッチとして作用することを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の給紙装置において、前記の給紙用回転軸がシートを給紙する方向に回転する際に、前記の給紙ローラーが給紙用回転軸と一緒に回転される一方、給紙用回転軸がシートを給紙する方向と逆方向に回転する際に、前記の給紙ローラーがシートを給紙する方向と逆方向に回転するのが抑制されることを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の給紙装置において、前記の給紙用回転軸がシートを給紙する方向と逆方向に回転される際に、前記の回動部材が給紙用回転軸の回転に伴って上方に回動されることを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の給紙装置において、前記の回動部材が上方に回動された状態で、この回動部材を係止させる係止手段が設けられていることを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項6に記載の給紙装置において、前記の係止手段による係止を解除させる前に、前記のスプリング部材における締付け力を変化させて、前記のピックアップローラーが回動部材を介して自重により下方に回動されるようにすることを特徴とする給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−40012(P2013−40012A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177903(P2011−177903)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】