説明

給紙装置

【課題】給紙装置において、給紙部に設けられている既設の昇降手段を用紙積載ボックスにも共用し、コストダウンを図ること。
【解決手段】積載された用紙を一方向に1枚ずつ給紙する給紙装置。用紙を積載可能であって給紙装置21に着脱自在な用紙積載ボックス50を備え、用紙積載ボックス50が装着されていない状態で、複数枚の用紙を押し上げて最上層の用紙を給紙部材に接触させる第1の押上げ板31と、第1の押上げ板31を昇降させる昇降手段32とを含む。用紙積載ボックス50は、該ボックス50に収容された複数枚の用紙を押し上げて最上層の用紙を給紙部材に接触させる第2の押上げ板51を含む。第1の押上げ板31は、給紙装置21に用紙積載ボックス50が装着される際には、用紙積載ボックス50の装着領域又は昇降手段32の動作領域から退避可能であり、昇降手段32は、第1の押上げ板31が退避して用紙積載ボックス50が装着された際には、第2の押上げ板51を昇降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置、特に、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に搭載される給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真法による画像形成装置にあっては、複数枚の用紙を給紙カセット又は給紙トレイからなる給紙部に積載し、給紙ローラによって1枚ずつ画像転写部に向けて給送する給紙装置を備えている。さらに、近年では、用紙積載ボックスを既設の給紙部に着脱自在に装着可能とすることが提案されている。用紙積載ボックスは、紙資源活用のために一度プリントされた用紙(いわゆる裏紙)を集めてその裏面にプリントするため、あるいは、表紙など特殊紙をプリントするためなどに使用される。以下、用紙積載ボックスに収容される用紙を特殊紙又は第2の用紙と称する。
【0003】
ところで、給紙部では、安定した給紙を実現するために、用紙の積載枚数に拘わらず給紙位置を一定に保つために、複数枚の用紙を押し上げて最上層の用紙を給紙ローラに接触させる押上げ板と、該押上げ板を昇降させる昇降手段とを設けている。一方、前記用紙積載ボックスにも収容されている特殊紙又は第2の用紙を押し上げる押上げ板や昇降手段が必要となる。従来では、特許文献1に記載のように、給紙部に既設の押上げ板や昇降手段とは別に、用紙積載ボックスに専用の押上げ板や昇降手段を設けている。しかし、同じ機能を有する専用部材を設けることは、コストアップにつながり好ましいものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−203656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、給紙部に設けられている既設の昇降手段を用紙積載ボックスにも共用し、コストダウンを図るようにした給紙装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するため、本発明の一形態である給紙装置は、
積載された用紙を一方向に1枚ずつ給紙する給紙部を備えた給紙装置において、
用紙を積載可能であって前記給紙部に着脱自在な用紙積載ボックスを備え、
前記給紙部は、前記用紙積載ボックスが装着されていない状態で、複数枚の用紙を押し上げて最上層の用紙を給紙部材に接触させる第1の押上げ板と、該第1の押上げ板を昇降させる昇降手段とを含み、
前記用紙積載ボックスは、該ボックスに収容された複数枚の用紙を押し上げて最上層の用紙を前記給紙部材に接触させる第2の押上げ板を含み、
前記第1の押上げ板は、前記給紙部に前記用紙積載ボックスが装着される際には、用紙積載ボックスの装着領域又は前記昇降手段の動作領域から退避可能であり、
前記昇降手段は、前記第1の押上げ板が退避して前記用紙積載ボックスが装着された際には、前記第2の押上げ板を昇降させること、
を特徴とする。
【0007】
前記給紙装置において、給紙部に用紙積載ボックスが装着される際には、給紙部に設けられている第1の押上げ板が用紙積載ボックスの装着領域又は昇降手段の動作領域から退避し、既設の昇降手段が第2の押上げ板を昇降させる。即ち、給紙部に設けられている既設の昇降手段を用紙積載ボックスにも共用しており、コストダウンが達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、給紙部に設けられている既設の昇降手段を用紙積載ボックスにも共用するため、コストダウンを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施例である給紙装置を搭載した画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】前記給紙装置における給紙カセットと用紙積載ボックスとを分離した状態で示す斜視図である。
【図3】前記給紙装置に設けた第1の押上げ板を示す斜視図である。
【図4】前記第1の押上げ板の動作を示す説明図である。
【図5】前記用紙積載ボックスを前記給紙装置に装着した状態を示す斜視図である。
【図6】前記用紙積載ボックスに設けた第2の押上げ板の動作を示す説明図である。
【図7】第2実施例である給紙装置の説明図である。
【図8】第3実施例である給紙装置に設けた第1の押上げ板を示す斜視図である。
【図9】第3実施例において第1の押上げ板の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る給紙装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各図において、同じ部品、部分には共通する符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(画像形成装置の全体構成、図1参照)
第1実施例である給紙装置を搭載した画像形成装置1(カラープリンタ)の概略構成を図1を参照して説明する。この画像形成装置1は、カラーの画像形成部10と、複数段に設置された給紙装置21〜24と、手差し給紙装置25と、トナー定着部30と、点線で示す用紙搬送経路とで構成されている。
【0012】
画像形成部10は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色の画像を形成するための、感光体ドラム12を中心として帯電器、現像器などを配置した画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kと、各画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kで形成されたトナー画像を1次転写して合成する中間転写ベルト15と、レーザビームによる露光ユニット16と、で構成されている。なお、この種の画像形成部10の構成及び作用は、従来から周知であり、詳細な説明は省略する。
【0013】
給紙装置21,22は、後端を支点として上下に昇降(搖動)する押上げ板31を備えた給紙カセットである。給紙装置23,24は、水平に配置されて上下に昇降する押上げ板32を備えた給紙トレイである。これらの押上げ板31,32上に積載収容された複数の用紙は、押上げ板31,32の上昇に伴って最上層がピックアップローラ26に当接するまで持ち上げられる。その状態で最上層の1枚がピックアップローラ26にてピックアップされ、給紙ローラ27とさばきローラ28とで給紙される。給紙装置23に関しては、水平搬送用ローラ対42が設置されている。
【0014】
前述のように給紙された用紙は、搬送ローラ対41で上方に搬送され、タイミングローラ対43から2次転写部17に送り込まれ、転写ローラ18から付与される電界によってトナー画像が中間転写ベルト15から転写される。
【0015】
その後、用紙は定着部30でトナーの加熱定着を施され、ローラ対44から画像形成装置1の上面に配置されたトレイ部2に収容される。用紙の第2面にもプリントする際には、第1面に画像を転写、定着された用紙は、ローラ対45でスイッチバックされ、ローラ対46からなる両面搬送経路を下方に搬送され、ローラ対47からタイミングローラ対43に戻される。
【0016】
給紙装置21〜24は、それぞれ、画像形成装置1に対して正面側に引出し可能に設置されており、正面側に引き出した状態において、押上げ板31は水平状態に移動し、押上げ板32は底部に下降する。オペレータはこれらの押上げ板31,32上に所定サイズの用紙を積載収容(補充)する。用紙の補充後、給紙装置21〜24を画像形成装置1内に押し込むと、押上げ板31,32が所定位置まで上昇し、給紙が可能な状態となる。
【0017】
(第1実施例、図2〜図6参照)
次に、前記給紙装置21を例にして用紙積載ボックス50(図2参照)を着脱する構成及び給紙動作について説明する。
【0018】
図2に示すように給紙装置21は、押上げ板31(以下、第1の押上げ板と称する)の両側に給紙方向Aに延在するサイド規制板37、及び、給紙方向Aの上流側に後端規制板38を備えている。第1の押上げ板31は、図3に示すように、用紙載置部31aと基板部31bとからなり、突片31cに形成した穴31dを給紙装置21の筺体部分に設けた支軸25(図4参照)に嵌め込むことにより、該支軸25を支点として上下方向に搖動可能に保持されている。第1の押上げ板31の直下には、図4に示すように、昇降手段としてのアーム33が配置され、該アーム33は図示しないモーターを駆動源として支軸34を支点として搖動する。
【0019】
即ち、第1の押上げ板31は、用紙を補充する際には、図4(A)に示すように、アーム33は水平上に復帰し、第1の押上げ板31も自重で水平状態に復帰している。第1の押上げ板31上に用紙が補充され、給紙装置21が画像形成装置1内に格納されると、アーム33が支軸34を支点として上方に搖動し、第1の押上げ板31も支軸25を支点として上方に搖動する(図4(B)参照)。これにて、積載された用紙の最上層がピックアップローラ26に所定の圧力で押圧される。積載枚数が減少するに伴ってアーム33及び第1の押上げ板31が上方へ搖動し、所定の給紙圧を保持する(図4(C)参照)。
【0020】
サイド規制板37は給紙方向Aとは直交する矢印B,B’方向にスライド自在かつ用紙サイズに対応した所定位置で固定可能である。後端規制板38は給紙方向A及び逆方向にスライド自在かつ用紙サイズに対応した所定位置で固定可能である。なお、サイド規制板37と後端規制板38はこの種の画像形成装置1では従来から周知のものである。
【0021】
用紙積載ボックス50は、裏紙などの特殊紙を積載・収容するためのもので、特殊紙を給紙する場合のみ給紙装置21に装着される。用紙積載ボックス50は独自に第2の押上げ板51を備え、ボックス50が給紙装置21に装着された際に、第2の押上げ板51が給紙装置21のアーム33の直上に位置し、アーム33によって先端部が押し上げられ、収容されている特殊紙を給紙態勢に保持する。第2の押上げ板51はアーム33が下降すると同期して自重によって下降する。
【0022】
用紙積載ボックス50は、図5に示す状態で給紙装置21へ装着される。この装着時において、前記第1の押上げ板31は幅方向(給紙方向Aと直交する方向B,B’)にはサイド規制板37にて位置決めされる。給紙方向Aには図示しない位置決め部材によって位置決めされる。給紙方向Aには後端規制板38によって位置決めしてもよい。用紙積載ボックス50の装着時において、第1の押上げ板31は用紙積載ボックス50の装着領域又は第2の押上げ板51の動作領域から退避する必要がある。そのため、本第1実施例では、第1の押上げ板31は、支軸25を支点として給紙装置21の後部部分(給紙方向Aの上流側)に反転させることで、用紙積載ボックス50の装着領域から退避する(図5、図6参照)。
【0023】
図6(A)に示すように、用紙積載ボックス50の底部には開口部50aが形成されており、該開口部50aを介して前記アーム33が第2の押上げ板51を上方に搖動させる。詳しくは、用紙積載ボックス50は給紙装置21に図6(A)に示す状態で装着され、給紙装置21が画像形成装置1に収納されると、アーム33が上方に搖動し、第2の押上げ板51が支軸52を支点として上方に搖動する(図6(B),(C)参照)。これにて、積載された特殊紙の最上層がピックアップローラ26に所定の圧力で押圧される。積載枚数が減少するに伴ってアーム33及び第2の押上げ板51が上方へ搖動し、所定の給紙圧を保持する。
【0024】
以上のごとく、本第1実施例においては、給紙装置21に用紙積載ボックス50が装着される際には、第1の押上げ板31が用紙積載ボックス50の装着領域から退避し、既設のアーム33が第2の押上げ板51を昇降させる。即ち、給紙装置21に設けられている既設のアーム33を用紙積載ボックス50にも共用しており、コストダウンが達成される。
【0025】
なお、本第1実施例において、第1の押上げ板31は給紙装置21から取り外し可能であってもよい。この場合、取り外された第1の押上げ板31は用紙積載ボックス50が給紙装置21に装着されている間は他のスペースに保管されることになる。第1の押上げ板31の保管は給紙装置21内であることが好ましく、給紙装置21の後部部分(給紙方向Aの上流側)、即ち、図5に示したように、第1の押上げ板31を反転させた位置に保管スペースを確保することが好ましい。
【0026】
(第2実施例、図7参照)
第2実施例である給紙装置21は、図7(A),(B)に示すように、サイド規制板37に第1の押上げ板31の最上位置を規制する規制部材39を設け、該規制部材39をサイド規制板37から取り外すことで、第1の押上げ板31を後方に反転可能としたものである。本第2実施例における他の構成は前記第1実施例と同様であり、その作用効果も同様である。なお、規制部材39は図7(B)に示す規制位置から他の位置に移動することによって第1の押上げ板31を後方に反転可能としてもよい。
【0027】
(第3実施例、図8及び図9参照)
第3実施例である給紙装置21は、図8(A),(B)に示すように、第1の押上げ板31に開口部36を形成し、該開口部36にスペーサ35を着脱自在としたものである。スペーサ35は側部が開口部の縁部に設けたクリック部36aに嵌合すること、及び、小突起35aが開口部36の縁部に設けた凹部36bに嵌合することにより、開口部36に装着される。そして、スペーサ35は強制的に開口部36から引き抜くことが可能である。
【0028】
以上の構成からなる第1の押上げ板31は、用紙積載ボックス50が装着されていないとき、図8(A)に示すように、スペーサ35が開口部36に嵌合されており、その上に積載された用紙を給紙する。用紙積載ボックス50を給紙装置21に装着する際に、スペーサ35を取り外すと、開口部36が開放されてアーム33が第2の押上げ板51を上方に搖動させることが可能となる(図9(A),(B),(C)参照)。
【0029】
即ち、スペーサ35が昇降手段であるアーム33の動作領域から退避することにより、アーム33を第2の押上げ板51の昇降手段として共用することができ、コストダウンが達成される。なお、スペーサ35は第2の押上げ板51上で平面的に移動可能に設置されていてもよい。例えば、図8(B)に二点鎖線で示す位置に移動することによってアーム33の動作領域から退避するように構成してもよい。
【0030】
(他の実施例)
なお、本発明に係る給紙装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0031】
特に、給紙装置や用紙積載ボックスの構成、形状の細部は任意であり、第1及び第2の押上げ板の形状なども任意である。また、画像形成装置としては、フルカラーのプリンタ、複写機以外に、モノクロ機であったり、ファクシミリ機能などを備えた複合機であってもよい。また、画像形成装置以外の給紙装置に対して本発明を適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明は、給紙装置に有用であり、特に、既設の昇降手段を用紙積載ボックスにも共用できる点で優れている。
【符号の説明】
【0033】
1…画像形成装置
21〜24…給紙装置
31…第1の押上げ板
33…アーム(昇降手段)
35…スペーサ
50…用紙積載ボックス
51…第2の押上げ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載された用紙を一方向に1枚ずつ給紙する給紙部を備えた給紙装置において、
用紙を積載可能であって前記給紙部に着脱自在な用紙積載ボックスを備え、
前記給紙部は、前記用紙積載ボックスが装着されていない状態で、複数枚の用紙を押し上げて最上層の用紙を給紙部材に接触させる第1の押上げ板と、該第1の押上げ板を昇降させる昇降手段とを含み、
前記用紙積載ボックスは、該ボックスに収容された複数枚の用紙を押し上げて最上層の用紙を前記給紙部材に接触させる第2の押上げ板を含み、
前記第1の押上げ板は、前記給紙部に前記用紙積載ボックスが装着される際には、用紙積載ボックスの装着領域又は前記昇降手段の動作領域から退避可能であり、
前記昇降手段は、前記第1の押上げ板が退避して前記用紙積載ボックスが装着された際には、前記第2の押上げ板を昇降させること、
を特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記第1の押上げ板は前記給紙部から取り外し可能であること、を特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記第1の押上げ板は、前記給紙部から取り外した際には、前記給紙部内の他の箇所に装着可能であること、を特徴とする請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記第1の押上げ板は、前記第1の用紙を押し上げるために前記給紙部に支軸を支点として搖動自在に取り付けられており、該支軸を支点として反転させることで前記用紙積載ボックスの装着領域から退避すること、を特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記第1の押上げ板の最上位置を規制する規制部材を前記給紙部に着脱可能又は移動可能に設置されており、該規制部材を離脱又は移動させることで前記第1の押上げ板が反転可能となること、を特徴とする請求項4に記載の給紙装置。
【請求項6】
前記第1の押上げ板は、前記昇降手段の動作領域に干渉する部分が着脱可能又は移動可能であること、を特徴とする請求項1に記載の給紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−60292(P2013−60292A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201241(P2011−201241)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】