説明

給電システムおよび給電システムの制御方法

【課題】自立運転において優れた負荷追従性を有しつつ、燃料電池の燃料費を節約することができる給電システムを提供する。
【解決手段】給電システム1は、水素および酸素を化学反応させて電力を発生する燃料電池30と、電力系統からの電力および燃料電池30からの電力の少なくとも一方を給電対象の負荷100に給電する解列部50と、水の電気分解により水素および酸素を生成する水電解部80と、解列部50が電力系統から電力を受電しない状態になった場合、または負荷100において今後需要が見込まれる予測電力量が所定値を超える場合、燃料電池30が発生する電力を負荷100に給電するとともに、その余剰電力を用いて水電解部80に電気分解を行わせ、水電解部80で発生した水素および酸素の少なくとも一方を燃料電池30に供給するように制御する制御部90と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電システムおよび給電システムの制御方法に関するものであり、特に、燃料電池が発電する電力を出力することができる給電システムおよび給電システムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料の有しているエネルギーを直接電気エネルギーに変換するものとして、燃料電池が知られている。燃料電池は、電解質層を挟んで燃料極と空気極の一対の多孔質電極を配置するとともに、燃料極に水素を、空気極に酸素を接触させた構造が一般的である。このような構造の燃料電池は、水素と酸素を電気化学的に反応させて、発電を行うようになっている。
【0003】
太陽光発電等の自然エネルギーを利用した発電システムにおいては、自然環境によって発電能力が変動する。しかしながら、燃料電池は、燃料および空気が供給されている限りにおいて、安定して電気エネルギーを供給することができる。このため、燃料電池を利用して、停電時など自家発電を行う際に、系統電力との接続を遮断した状態で発電する自立運転の機能に対応するための措置が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1には、負荷機器の電力負荷に追従する運転(以下、単に「追従運転」という)を容易にする燃料電池システムが提案されている。この燃料電池システムは、原燃料を水素に改質する際に、部分酸化反応等の発熱反応を採用している。これにより、燃料電池本体の排ガスを、燃料改質部の加熱源として使用しないようにしている。この燃料電池システムは、燃料電池本体で、電力需要および熱需要に応じて、燃料改質部への原燃料の供給量および燃料電池本体の燃料利用率を変更することができる。
【0005】
また、最近では、停電時に電力系統(商用電源)から受電せずに自立運転が可能な燃料電池を備えた給電システムと、家庭内の負荷機器とを制御するHEMS(Home Energy Management System)が研究されている。このようなHEMSにおいて、家庭内の負荷消費電力よりも大きな余剰電力を予め燃料電池に発電させておき、その余剰分の電力を、家庭内の適切な負荷に消費させる制御を行うものも提案されている。このようなHEMSによれば、燃料電池の負荷追従性能の低さをある程度向上させることができるとともに、余剰電力を適切に消費することで、停電時においてもある程度快適な環境を作り出せることが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−516397号公報
【特許文献2】特開2007−18781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような燃料電池を利用した自立運転においては、不都合な点も想定される。
【0008】
例えば、ユーザが負荷機器を新たに燃料電池システムに接続した場合など、燃料電池に対する負荷が増大した場合、燃料電池は、当該燃料電池に供給する燃料ガスおよび空気の量を増加させて、発電量を増加させる。この時、この系の時定数すなわち応答特性の分だけ発電量の増加が遅れるため、燃料電池システムは、瞬時に増大する負荷には追従することができない。すなわち、燃料電池は、一般的に負荷追従性が低い。また、燃料電池内部の温度が低い場合、あるいは負荷が増大するまでの負荷電力が小さかった場合は、燃料電池内での電気化学反応が鈍化して系の時定数が大きくなるため、負荷追従性が低くなる。
【0009】
このような場合、電力系統に接続した状態で燃料電池を発電させる連系運転においては、増加する負荷に対して系統電力からの給電で追従することにより、燃料電池からの給電を後追いで追従させることが可能ではある。
【0010】
しかしながら、例えば停電時の運転のような、電力系統と接続を遮断した状態の燃料電池を発電させる自立運転においては、燃料電池単体が負荷に追従する必要がある。この場合、燃料電池の負荷追従性が低いと、急に増大する負荷には対応できない。このため、仮に燃料電池が自立運転に対応していたとしても、停電時には、ユーザが負荷機器を使用する際に制限を要したり、いくつかの負荷機器を使用できないということが多分に想定される。
【0011】
そこで、燃料電池の負荷追従性を向上させる技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。上記特許文献2に記載の技術は、負荷機器の負荷電力が小さくなった際の余剰電力によって、水を電気分解して、水素および酸素を生成している。そして、上記特許文献2に記載の技術においては、生成した水素および酸素を貯蔵し、負荷が大きくなった際には、貯蔵していた水素および酸素を燃料電池に供給することにより、負荷追従性を高めるものである。
【0012】
しかしながら、この特許文献2に記載の技術では、負荷が小さい状態が続く場合には、燃料電池が発電する電力量は少ない状態で安定するが、次に負荷が急に増大した際は、やはり電気化学反応が鈍化する。このため、この特許文献2に記載の技術では、たとえ生成して貯蔵していた水素および酸素を供給したとしても、燃料電池が充分な負荷追従性を得ることはできない。
【0013】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、自立運転において優れた負荷追従性を有しつつ、燃料電池の燃料費を節約することができる給電システムおよび給電システムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する第1の観点に係る給電システムの発明は、
水素および酸素を化学反応させて電力を発生する燃料電池と、
電力系統からの電力および前記燃料電池からの電力の少なくとも一方を給電対象の負荷に給電する解列部と、
水の電気分解により水素および酸素を生成する水電解部と、
前記解列部が電力系統から電力を受電しない状態になった場合、または前記負荷において今後需要が見込まれる予測電力量が所定値を超える場合、前記燃料電池が発生する電力を前記負荷に給電するとともに、その余剰電力を用いて前記水電解部に電気分解を行わせ、前記水電解部で発生した水素および酸素の少なくとも一方を前記燃料電池に供給するように制御する制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る給電システムにおいて、
前記水電解部は、前記燃料電池が水素および酸素を化学反応させることにより発生した水を電気分解するものである。
【0016】
第3の観点に係る発明は、第1の観点に係る給電システムにおいて、
前記負荷への給電に必要な負荷電力を検出する負荷検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記燃料電池が発生する電力のうち前記負荷検出部が検出する前記負荷電力に応じた電力を前記負荷に給電するように制御するものである。
【0017】
第4の観点に係る発明は、第1乃至第3のいずれか1つの観点に係る給電システムにおいて、
前記制御部は、前記負荷において今後需要が見込まれる予測電力量が所定値を超える場合、前記予測電力量が前記所定値を超える期間以前から前記水電解部に電気分解を行わせ、前記水電解部で発生した水素および酸素の少なくとも一方を前記燃料電池に供給するように制御するものである。
【0018】
第5の観点に係る発明は、第3または第4の観点に係る給電システムにおいて、
前記制御部は、前記解列部が電力系統から電力を受電可能な場合であって、前記負荷検出部が検出する前記負荷への給電に必要な負荷電力が不足する場合、当該不足する負荷電力が系統電力から給電されるように制御するものである。
【0019】
第6の観点に係る発明は、第1の観点に係る給電システムにおいて、
電力系統の停電を検出する停電検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記停電検出部が停電を検出した場合、電力系統からの電力を受電しない自立運転に切り替えられるように制御するものである。
【0020】
第7の観点に係る発明は、第1乃至第6のいずれか1つの観点に係る給電システムにおいて、
前記制御部は、前記燃料電池が電力を発生する際に当該燃料電池に供給される水素の量が、前記水電解部における電気分解で発生した水素の量を差し引いた供給量になるように制御するものである。
【0021】
第8の観点に係る発明は、第1乃至第6のいずれか1つの観点に係る給電システムにおいて、
前記制御部は、前記燃料電池が電力を発生する際に当該燃料電池に供給される酸素の量が、前記水電解部における電気分解で発生した酸素の量を差し引いた供給量になるように制御するものである。
【0022】
第9の観点に係る発明は、第1乃至第8のいずれか1つの観点に係る給電システムにおいて、
前記制御部に対して指示を入力可能な管理部をさらに備え、
前記制御部は、前記管理部による制御に基づいて、前記解列部が電力系統からの電力を受電しない状態に切り替えられるように制御するものである。
【0023】
また、上記目的を達成する第10の観点に係る給電システム制御方法の発明は、
水素および酸素を化学反応させて電力を発生する電力発生ステップと、
電力系統からの電力および前記燃料電池からの電力の少なくとも一方を給電対象の負荷に給電する受電切替ステップと、
水の電気分解により水素および酸素を生成する水電解ステップと、
前記受電切替ステップにおいて電力系統から電力を受電しない状態になった場合、または前記負荷において今後需要が見込まれる予測電力量が所定値を超える場合、前記電力発生ステップにおいて発生した電力を前記負荷に給電するとともに、その余剰電力を用いて前記水電解ステップにおいて電気分解を行い、当該水電解ステップにて発生した水素および酸素の少なくとも一方を前記電力発生ステップのために供給するように制御する制御ステップと、
を含むものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、自立運転において優れた負荷追従性を有しつつ、燃料電池の燃料費を節約することができる給電システムおよび給電システムの制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る給電システムの概略構成の例を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る給電システムの連系運転時の処理を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る給電システムの自立運転時の処理を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る給電システムにおける負荷電力と水電解部の受電電力との関係の一例を示すグラフである。概念的に説明する図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る給電システムの概略構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る給電システムの概略構成の例を示す図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る給電システム1は、燃料供給部10、改質部20、燃料電池30、インバータ部40、解列部50、停電検出部60、負荷検出部70、水電解部80、制御部90を含んで構成される。図1において、各機能部の間で制御信号のやりとりを示す制御ラインは破線で表し、各機能部の間で酸素および水素などの燃料関係の物質の流れを示す燃料ラインは実線で表し、各機能部の間で電力の流れを示す電力ラインは太い実線で表してある。
【0029】
燃料供給部10は、燃料ガス、空気、および水の各物質を改質部20に供給する手段を備えている。この手段は、具体的には、燃料ガス、空気、および水を、改質部20へ送るためのポンプおよび配管などとすることができる。また、燃料供給部10は、上記各物質それぞれの供給量を検出して、当該検出結果を制御部90に通知する手段を備えている。この手段は、具体的には、燃料ガス、空気、および水の供給量を検出して、その供給量を制御部90に通知する流量計などとすることができる。
【0030】
改質部20は、燃料供給部10から供給された燃料ガスおよび水から、化学反応によって水素を生成するとともに、生成した水素を燃料電池30に供給する。また、改質部20は、燃料供給部10から供給された空気を燃料電池30に供給する。給電システム1が自立運転している時は、改質部20は、水電解部80で生成した水素と自ら生成した水素とを合流させて燃料電池30に供給し、水電解部80で生成した酸素と燃料供給部10から供給された空気とをそれぞれ合流させて燃料電池30に供給する。
【0031】
燃料電池30は、改質部20から供給された水素および空気を電気化学反応させることにより発電を行い、発電した電力をインバータ部40に送出する。本実施の形態において、燃料電池30は、系統電力からの電力を受けずに稼動する、すなわち自立運転することが可能であるものとする。本実施の形態において、燃料電池30が自立運転することができるように、改質部20など他の機能部も協働することができるものとする。
【0032】
インバータ部40は、燃料電池30が発電した電力を、系統電力との接続が可能な状態または負荷機器100での使用が可能な状態に調整してから、解列部50に送る。具体的には、燃料電池30が発電した電力は直流であるため、給電システム1が系統電力からの電力を受けて運転される時(すなわち連系運転時)、インバータ部40は、発電した直流電力を、系統電力と同じ位相および同じ電圧の交流電力に変換する。また、給電システム1が系統電力からの電力を受けずに運転される時(すなわち自立運転時)、インバータ部40は、燃料電池30が発電した直流発電電力を、負荷機器100が使用可能な位相および電圧の交流電力に変換する。さらに、給電システム1の自立運転時であって、負荷機器100が直流給電機器の場合、インバータ部40は、燃料電池30が発電した直流電力の電圧を、負荷機器100で必要な電圧に変換する。
【0033】
解列部50は、インバータ部40から供給される電力および系統(電力会社が提供する商用電源)から供給される電力と、負荷機器との接続/遮断の切り替えを行う。すなわち、解列部50は、電力系統(商用電源)からの電力および燃料電池30からの電力の少なくとも一方を給電対象の負荷(負荷機器100)に給電する。具体的には、連系運転をしている時には、解列部50は、インバータ部40から供給される電力および系統から供給される電力を、負荷機器100に接続する。停電検出部60が系統電力の停電を検出した場合、解列部50は、系統から供給される電力と、インバータ部40から供給される電力との接続を遮断する。また、給電システム1に何らかの異常が発生した場合、解列部50は、インバータ部40から供給される電力および系統から供給される電力と、負荷機器100との接続を遮断する。
【0034】
停電検出部60は、系統電力が停電しているか否かを監視し、当該監視の結果を制御部90に通知する。すなわち、停電検出部60は、電力系統の停電を検出する。
【0035】
負荷検出部70は、負荷機器100が消費する電力(負荷電力)を監視し、当該監視の結果を制御部90に通知する。すなわち、負荷検出部70は、負荷機器100の負荷電力を検出する。
【0036】
水電解部80は、インバータ部40から送出される電力から負荷電力を差し引いた電力(余剰電力)を利用して水を電気分解して、水素および酸素を生成する。また、水電解部80は、生成した水素および酸素を改質部20に供給する。さらに、水電解部80は、負荷機器100の電力消費の状態に依存する余剰電力の変化に対応して、この余剰電力と水電解部80が受電する電力とが等しくなるように調整する。本実施形態において、停電時であって給電システム1が自立運転中にのみ、水電解部80を動作させるようにする。
【0037】
制御部90は、燃料供給部10から通知される燃料ガス、空気、および水の供給量、ならびに停電検出部60から通知される停電の監視結果、ならびに負荷検出部70から通知される負荷電力の監視結果などに基づいて、上記各機能部の動作を制御する。すなわち、上述した各機能部は、制御部90の制御に基づいて動作する。さらに、制御部90は、各種情報を記憶することができる記憶部(メモリ)を備えている。
【0038】
負荷機器100は、燃料電池30が発電した電力、あるいは系統電力を利用して給電される、例えば冷蔵庫、テレビ、空調機器および照明器具などのユーザが使用する機器の総称である。したがって、ここでは、負荷機器100は、給電システム1には含まれないものとして扱う。さらに、図1において、負荷機器100は、1つだけのブロックとして記載しているが、複数のユーザ使用機器を負荷機器100としてもよい。本明細書において、負荷機器は、適宜「負荷」と略記する。
【0039】
本実施形態において、図1に示した各機能部のうち、燃料供給部10、改質部20、インバータ部40、解列部50、停電検出部60、負荷検出部70、および制御部90は、系統電力または燃料電池30が発電した電力により動作する。また、本実施形態において、図1に示した各機能部のうち、水電解部80は、燃料電池30が発電した電力により動作する。
【0040】
次に、本実施形態に係る給電システム1が連系運転を行う際の処理を説明する。
【0041】
図2は、本実施形態に係る給電システム1が連系運転を行う際の処理を説明するフローチャートである。以下、給電システム1が、系統電力からの電力を受けて運転される時の処理を説明する。
【0042】
図2に示す給電システム1が連系運転を行う際の処理は、メンテナンス作業者等外部から、給電システム1を起動する指示を受けた時点で開始する。外部からの起動の指示を受けると、制御部90は、燃料供給部10、改質部20、およびインバータ部40の各機能部に対して起動の設定を行う(ステップS11)。
【0043】
具体的には、ステップS11において、制御部90は、燃料供給部10が燃料電池30の起動に必要な量の燃料ガス、空気、および水を、改質部20に供給するように制御する。また、制御部90は、改質部20が燃料供給部10から供給される燃料ガスおよび水から燃料電池30の起動に必要な量の水素を生成するように制御する。さらに、制御部90は、改質部20によって生成された水素および燃料供給部10から供給される空気を、燃料電池30に供給するように制御する。また、制御部90は、インバータ部40が燃料電池30の直流の発電電力を交流に変換するように制御する。さらに、制御部90は、系統電力と接続した状態で電力を負荷機器100に供給するために位相や電圧の調整を行うようにインバータ部40を制御する。ステップS11において、各機能部は、系統電力から給電される電力によって動作する。燃料電池30の発電電力が十分な値になったら、すなわち給電システム1が系統電力に接続する準備が整ったら、制御部90は、ステップS12の処理に移行する。
【0044】
ステップS12において、制御部90は、各機能部への給電元を系統電力から燃料電池30の発電電力に切り替える。また、制御部90は、解列部50が系統からの電力にインバータ部40から供給される電力を加えて、負荷機器100に供給される電力とするように制御する。
【0045】
ステップS12において系統電力に接続されたら、制御部90は、負荷機器100が消費する電力(負荷電力)の通知を負荷検出部70から受けることにより、負荷電力を検出するように制御する(ステップS13)。ステップS13において、制御部90は、通知された負荷電力を、内蔵された記憶部に記憶する。
【0046】
ステップS13において負荷電力を検出したら、制御部90は、検出された負荷電力および前回の負荷電力の検出結果に基づいて、負荷電力が変動したか否かを判断する(ステップS14)。負荷電力が変動していない場合は、ステップS13に戻り、制御部90は、発電電力の出力および負荷電力の監視を継続する。ステップS14において負荷電力が変動している場合、制御部90は、ステップS15の処理に移行する。
【0047】
ステップS14において負荷電力の変動が検出されたら、制御部90は、給電システム1が系統電力からの給電によって負荷電力の変化に過渡的に応答するように、すなわち負荷追従運転を行うように制御する(ステップS15)。具体的には、負荷電力が増加した場合、制御部90は、過渡的な応答として系統電力からの給電量が増加するように制御する。一方、負荷電力が減少した場合、制御部90は、過渡的な応答として系統電力からの給電量が減少するように制御する。
【0048】
ステップS15の次に、制御部90は、負荷電力が変動する量に応じて改質部20に供給する燃料ガス、空気、および水の量を算出し、算出された量の燃料ガス、空気、および水を燃料供給部10が改質部20に供給するように制御する(ステップS16)。ここで、負荷電力が増加した場合、制御部90は、燃料ガス、空気、および水の量をそれまでの量よりも増加させる。一方、負荷電力が減少した場合、制御部90は、燃料ガス、空気、および水の量をそれまでの量よりも減少させる。このようにして、本実施形態においては、系統電力からの給電によって負荷電力の変化に対して後追いで過渡的に応答させることにより、燃料電池30の発電電力を負荷変化に追従させる。
【0049】
上述した負荷追従運転において、制御部90は、燃料ガス、空気、および水を増加または減少させる量を、予め決められた条件式から算出する。この予め決められた条件式は、制御部90が備える記憶部に記憶しておくことができる。また、制御部90が備える記憶部に、予め決められた条件式に従って対応関係を規定したテーブルを記憶しておき、制御部90は、このテーブルを参照することにより、上記の量を算出してもよい。ここで、上述した条件式は、燃料電池の発電、燃料ガスおよび水からの水素の生成、空気からの酸素の供給について、それぞれ決められた化学反応および燃料ガスまたは空気の組成に基づいて、予め規定されたものを用いる。また、制御部90は、燃料供給部10から改質部20に実際に供給されている燃料ガス、空気、および水の量の通知を受けて、これらの物質が供給されるように制御した量と比較することにより、燃料供給部10が供給量を必要に応じて調整するように制御する。
【0050】
本実施形態において、制御部90は、メンテナンス作業者等外部から、給電システム1を停止する指示を受け付けるまで、ステップS13〜ステップS16の制御を繰り返し実行する(ステップS17)。ステップS17において外部から給電システム1を停止する指示を受け付けたら、制御部90は、ステップS18の処理に移行する。
【0051】
ステップS17において外部から停止指示を受け付けると、制御部90は、燃料供給部10、改質部20、インバータ部40、および解列部50に対して、動作を停止するための設定を行い、給電システム1を停止するように制御する(ステップS18)。具体的には、制御部90は、燃料供給部10が改質部20に供給する燃料ガス、空気、および水の量を徐々に減らし、最終的に供給を停止するように制御する。また、制御部90は、燃料供給部10から供給される燃料ガス、空気、および水の供給が停止されるのに応じて、改質部20が水素を発生させるとともに燃料電池30に水素および空気を供給するのを停止するように制御する。さらに、制御部90は、インバータ部40の動作を停止するように制御する。また、制御部90は、解列部50がインバータ部40から負荷機器100に供給されている電力の接続を遮断するように制御する。
【0052】
次に、本実施形態に係る給電システム1が自立運転を行う際の処理を説明する。
【0053】
図3は、本実施形態に係る給電システム1が自立運転を行う際の処理を説明するフローチャートである。以下、給電システム1が、系統電力からの電力を受けずに運転される時の処理を説明する。このように、給電システム1が系統電力からの電力を受けずに運転される場合とは、例えば、系統電力が停電した場合、あるいは制御部90または後述する外部制御部100などの制御により系統電力から電力を給電しないように制御する場合などが想定される。
【0054】
図3に示すフローチャートは、給電システム1が停電を検出して自立運転に移行した際の処理の流れを説明している。図3において、給電システム1が自立運転を開始する時点においては、図2において説明した連系運転を行っているものとする。
【0055】
図3に示す処理が開始すると、制御部90は、停電検出部60が系統電力の停電を検出したか否かを判定する(ステップS21)。このため、制御部90は、停電検出部60が、給電システム1の動作中、系統電力の停電の有無を監視するように制御する。ステップS21において停電検出部60が系統電力の停電発生を検出しない場合、制御部90は、給電システム1が連系運転を継続するとともに、停電検出部60が系統電力の停電監視を継続するように制御する。一方、ステップS21において停電検出部60が系統電力の停電発生を検出した場合、制御部90は、ステップS22の処理に移行する。
【0056】
ステップS21において停電検出部60が停電の発生を検出すると、制御部90は、解列部50が、系統から供給される電力とインバータ部40から供給される電力との接続を遮断するように制御する(ステップS22)。
【0057】
ステップS22において系統電力から解列されたら、制御部90は、燃料供給部10、改質部20、インバータ部40、水電解部80の各機能部に対して、自立運転を実行するための設定を行う(ステップS23)。具体的には、ステップS23において、制御部90は、燃料供給部10が燃料電池30の発電電力を最大値とするための量の燃料ガス、空気、および水を、改質部20に供給できるように制御する。また、制御部90は、改質部20が自ら生成した水素および燃料供給部10から供給される空気に、水電解部80から供給される水素および酸素を合流させて、燃料電池30に供給するように制御する。さらに、制御部90は、インバータ部40が燃料電池30から最大の発電電力を供給されるようにして、供給された電力を負荷機器100が使用できる状態に調整するように制御する。また、制御部90は、水電解部80が余剰電力を受電して水を電気分解することができるように制御する。
【0058】
ステップS23において自立運転の設定が完了したら、制御部90は、負荷機器100が消費する電力(負荷電力)の通知を負荷検出部70から受けることにより、負荷電力を検出するように制御する(ステップS24)。
【0059】
ステップS24において負荷電力を検出したら、制御部90は、水電解部80が受電する電力量を調整するように制御する(ステップS25)。具体的には、ステップS25において、制御部90は、インバータ部40が出力する電力からステップS24で検出した負荷電力を差し引いた電力(余剰電力)を算出し、この余剰電力を水電解部80が受電するように制御する。このような制御により、水電解部80が受電する電力の量は調整される。
【0060】
図4は、負荷電力と水電解部80の受電電力の変化の一例を示す図である。ステップS23で自立運転の設定が完了した後、制御部90は、インバータ部40が燃料電池30の最大発電電力に対応した最大出力電力(Pout_max)を常時出力するように制御する。この最大出力電力(Pout_max)から負荷電力(Pload)を差し引いた電力が、水電解部80の受電する電力(Pelec)となる。負荷電力(Pload)は負荷機器100の負荷の状態により変動するため、水電解部80の受電電力も変動する。図4において、水電解部80の受電する電力(Pelec)を斜線部によって示してある。
【0061】
例えば、図4において、時刻t=1の時はPelec=Pout_max−Pload1となり、時刻t=2の時はPelec=Pout_max−Pload2となり、時刻t=3の時はPelec=Pout_max−Pload3すなわち0となり、時刻t=4の時はPelec=Pout_max−Pload4となる。制御部90は、ステップS24で検出した負荷電力に基づいて、燃料電池30が発電する電力は変化させずに、水電解部80が受電する電力を変化させるように制御する。このように、本実施形態においては、負荷機器100に給電する電力量を、負荷追従性の低い燃料電池30とは別の部位にて制御する。このため、本実施形態に係る給電システム1は、負荷が増減することに対する応答速度を速めることができる。
【0062】
ステップS25において水電解部80が受電する電力量の調整が完了したら、制御部90は、燃料供給部10が改質部20に供給する燃料ガス、空気、および水の量を調整するように制御する(ステップS26)。
【0063】
ステップS26は、具体的には、例えば以下のサブステップ1〜5に従って行うことができる。
サブステップ1:制御部90は、ステップS25で調整された水電解部80の受電量から、水電解部80で生成される水素および酸素の量を算出する。
サブステップ2:制御部90は、燃料電池30が最大発電電力で発電するために必要な水素および酸素の量から、サブステップ1で算出した水電解部80が生成される水素および酸素の量を差し引いた、水素および酸素の量を算出する。
サブステップ3:制御部90は、サブステップ2で算出した量の水素および酸素を燃料電池30に供給するために、改質部20に供給することが必要な燃料ガス、空気、および水の量を算出する。
サブステップ4:制御部90は、サブステップ3で算出した量の燃料ガス、空気、および水を、燃料供給部10が改質部20に供給するように制御する。
サブステップ5:制御部90は、燃料供給部10から改質部20に実際に供給されている燃料ガス、空気、および水の量の通知を受けて、これらの物質がサブステップ4で供給されるように制御した量と比較する。制御部90は、前記比較に基づいて、燃料供給部10がサブステップ4で供給されるように制御した量の燃料ガス、空気、および水の供給量を必要に応じて調整するように制御する。
【0064】
サブステップ1〜3において、制御部90は、燃料ガス、空気、および水を増加または減少させる量を、予め決められた条件式から算出する。ここで、上述した条件式は、水の電気分解、燃料電池の発電、燃料ガスおよび水からの水素の生成、空気からの酸素の供給について、それぞれ決められた化学反応および燃料ガスまたは空気の組成に基づいて、予め規定されたものを用いる。本実施形態においては、上述したステップS26の制御により、余剰電力から燃料となる水素および酸素を生成し、これらを燃料電池の発電に利用する。したがって、本実施形態においては、発電に必要な燃料ガスの供給量を低減することができるため、ユーザが負担しなければならない燃料ガスのコストを低減することができる。
【0065】
本実施形態において、制御部90は、停電検出部60が停電の解消を検出するまで、ステップS24〜ステップS26の制御を繰り返し実行する(ステップS27)。ステップS27において停電検出部60が停電の解消を検出したら、制御部90は、ステップS28の処理に移行する。ステップS24〜ステップS26の途中で停電の解消が検出された場合は、制御部90は、ステップS26までの処理が完了してから、ステップS28へ移行する。
【0066】
ステップS27において停電の解消が検出されたら、制御部90は、燃料供給部10、改質部20、インバータ部40、解列部50、および水電解部80が連系運転を行うための設定を行う(ステップS28)。具体的には、ステップS27において、制御部90は、燃料供給部10が負荷検出部70により検出された負荷電力に対応する電力を発電するための燃料ガス、空気、および水を改質部20へ送るように制御する。また、制御部90は、水電解部80から供給される水素および酸素を、改質部20が生成した水素および燃料供給部10から供給される空気に合流させないように改質部20を制御する。そして、制御部90は、改質部20が生成した水素および燃料供給部10から供給される空気のみを燃料電池30に供給するように制御する。さらに、制御部90は、負荷検出部70により検出された負荷電力に対応する電力であって系統電力の位相と同期をとった電力を、インバータ部40が出力するように制御する。また、制御部90は、解列部50が系統から供給される電力とインバータ部40が出力する電力とを接続するように制御する。ここでは、制御部90は、水電解部80が余剰電力の受電も行わず、水の電気分解も行わないように制御する。
【0067】
上述したように、本実施形態において、制御部90は、解列部50が電力系統から電力を受電しない状態になった場合、燃料電池30が発生する電力を負荷100に給電するように制御する。この制御とともに、制御部90は、その余剰電力を用いて水電解部80に電気分解を行わせ、水電解部80で発生した水素および酸素の少なくとも一方を燃料電池30に供給するように制御する。この場合、水電解部80は、燃料電池30が水素および酸素を化学反応させることにより発生した水を電気分解するようにするのが好適である。
【0068】
また、本実施形態において、制御部90は、燃料電池30が発生する電力のうち負荷検出部70が検出する負荷100への給電に必要な負荷電力に応じた電力を、負荷100に給電するように制御するのが好適である。
【0069】
さらに、本実施の形態において、負荷100の負荷電力が時間によって変動する際の当該変動を予想するテーブルを、予め制御部90等に備えておくようにしてもよい。このようにして、負荷100の負荷電力の予測に基づいて、本発明による水の電気分解の処理を行うような構成とすることもできる。例えば、負荷が大きくなることが予測される時間帯においては、系統からの電力を買電することができる状態であったとしても、その時間帯の少し前から、予め負荷100で必要とされる以上の発電電力で燃料電池30を動作させることができる。こうすることにより、予想通りに負荷100が増大した際に、燃料電池30の負荷追従性の低さに起因して系統から受電する電力の量を少なくすることができる。
【0070】
すなわち、本実施形態において、制御部90は、負荷100において今後需要が見込まれる予測電力量が所定値を超える場合に、燃料電池30が発生する電力を負荷100に給電するように制御するようにもできる。この制御とともに、制御部90は、その余剰電力を用いて水電解部80に電気分解を行わせ、水電解部80で発生した水素および酸素の少なくとも一方を燃料電池30に供給するように制御する。さらに、この場合、制御部90は、予測電力量が所定値を超える期間以前から水電解部80に電気分解を行わせ、水電解部80で発生した水素および酸素の少なくとも一方を燃料電池30に供給するように制御してもよい。
【0071】
ここで、予測電力量の「所定値」とは、例えば燃料電池30が発電する最大の電力量を考慮して、負荷100への給電に必要な負荷電力が比較的大きくなる際の電力量として予め設定することができる。また、「予測電力量が所定値を超える期間」は、例えば負荷電力の履歴を制御部90に内蔵された記憶部に記憶しておいて、当該負荷電力の履歴を参照することにより、制御部90が算出するようにできる。
【0072】
さらに、制御部90は、解列部50が電力系統から電力を受電可能な場合であって、負荷検出部60が検出する負荷100への給電に必要な負荷電力が不足する場合、その不足する負荷電力が系統電力から給電されるように制御するのが好適である。
【0073】
また、本実施形態において、制御部90は、停電検出部50が停電を検出した場合、電力系統からの電力を受電しない自立運転に切り替えられるように制御するのが好適である。
【0074】
さらに、本実施形態において、制御部50は、燃料電池30が電力を発生する際に燃料電池30に供給される水素および酸素の量が、水電解部80における電気分解で発生した水素および酸素に応じた供給量になるように制御するのが好適である。
【0075】
さらに、本実施形態において、制御部50は、燃料電池30が電力を発生する際に当該燃料電池に供給される水素の量が、水電解部80における電気分解で発生した水素の量を差し引いた供給量になるように制御するのが好適である。また、制御部50は、燃料電池30が電力を発生する際に当該燃料電池に供給される酸素の量が、水電解部80における電気分解で発生した酸素の量を差し引いた供給量になるように制御するのが好適である。
【0076】
上述した本実施形態においては、負荷100において今後需要が見込まれる予測電力量に基づく制御は、制御部90を主体として行うものとして説明した。しかしながら、このような制御は、図5に示すように、電力系統と解列部50との間に配される管理部200に担わせてもよい。この管理部200は、例えば、HEMS(Home Energy Management System)のような管理装置とすることができる。この場合、負荷100の負荷電力の変動を予想するテーブルも、管理部200に備えておくことができる。管理部200は、予測電力量が所定値を超える期間の少し前になると、水電気分解の処理を利用して燃料電池30を最大の発電電力で稼動させるモードに移行するように制御部90に指示を出すのが好適である。すなわち、本発明による給電システムは、制御部90に対して指示を入力可能な管理部200をさらに備え、制御部90は、管理部200による制御に基づいて、解列部50が電力系統からの電力を受電しない状態に切り替えられるように制御するようにもできる。その他、上述した制御部90による制御を、部分的に管理部200に担わせることもできる。
【0077】
このように、本実施形態に係る給電システム1によれば、燃料電池30が出力する電力は常時最大発電電力、つまり電気化学反応が最も盛んな状態で常に一定となる。また、本実施形態に係る給電システム1によれば、負荷機器100に給電する電力量および余剰電力の処理は、負荷追従性の低い燃料電池30とは別の部位で制御される。このため、本実施形態に係る給電システム1によれば、負荷が増減することに対する応答速度を速めることができる。したがって、本実施形態に係る給電システム1によれば、自立運転中にユーザが負荷機器100の使用を制限する必要がなくなるため、ユーザの利便性が向上する。
【0078】
また、本実施形態に係る給電システム1は、余剰電力を利用して燃料となる水素および酸素を生成し、これらを燃料電池の発電にそのまま利用して、不足分は外部から燃料ガスを供給する。この時、水の電気分解で生成される水素および酸素は、燃料電池に供給されて発電に利用されるだけでなく、排ガス中のCOの分解に利用することもできる。
【0079】
さらに、本実施形態に係る給電システム1は、給電システム1の発電に必要な水素量から水電解部80で生成される水素量を差し引いて燃料ガスの供給が必要な量を算出し、この量だけの燃料ガスを燃料電池30に供給するように調整する。また、本実施形態に係る給電システム1は、給電システム1の発電に必要な酸素量から水電解部80で生成される酸素量を差し引いて空気の供給が必要な量を算出し、この量だけの空気を改質部20に供給するように調整する。したがって、本実施形態に係る給電システム1によれば、発電に必要な燃料ガスの供給量を低減することができるため、ユーザが負担しなければならない燃料ガスのコストを低減することができる。
【0080】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各機能部、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0081】
例えば、図1に示した構成においては、改質部20と燃料電池30とを別個の機能部として説明したが、これら2つの機能部を1つのモジュールとした構成にしてもよい。また、図1に示した構成においては、インバータ部40と停電検出部60とを別個の機能部として説明したが、これら2つの機能部を1つのブロックとした構成にしてもよい。さらに、インバータ部40に、停電検出部60のみならず解列部50をも含めて、1つのインバータブロックとする構成としてもよい。
【0082】
図1に示した構成においては、水電解部80が受電電力の調整を行うものとして説明したが、インバータ部40から出力した電力の分配を行う機能部を別に設け、この機能部が水電解部80に分配する電力を調整するような構成としてもよい。また、図1に示した構成においては、給電システム1が停電検出部60を備えるものとして説明したが、上述した管理部200を備える構成(図5)においては、この停電検出部60が有する機能を管理部200に担わせることもできる。さらに、このような管理部200の機能を、他の機能部に担わせる構成にしてもよい。
【0083】
また、上述した実施形態においては、給電システム1が自立運転時に正常動作している場合について記載したが、給電システム1に異常が発生した場合は非常処理を行うようにしてもよい。具体的には、制御部90が各機能部の状態を監視することにより、いずれかの機能部に異常が検出された場合、制御部90は、当該機能部および/または関連する機能部の動作を停止して、例えば管理部200を介してユーザに異常発生を報知するよう制御することができる。
【0084】
また、上述した実施形態では、ステップS16およびステップS26において、予め規定された条件式をもとに水素および酸素の量、ならびに燃料ガス、空気、および水の量を算出した。しかしながら、制御部90が燃料電30発電電力および/または水電解部80が水素および酸素を生成する量等の各機能部の状態を監視することにより、その監視結果に基づいて、前記条件式を補正するようにしてもよい。さらに、前記条件式は、メンテナンス作業者などが後から変更できるようにしてもよい。
【0085】
また、上述した実施形態においては、ステップS22においてインバータ部40と負荷機器100との接続を遮断しない場合について説明した。しかしながら、ステップS22において上記の接続を遮断して、ステップS23において自立運転の設定が完了した後に、再度インバータ部40と負荷機器100とを接続するようにしてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態においては、給電システム1自身が停電の有無の監視、および自立運転と連系運転と間を移行する判断を行う場合について説明した。しかしながら、例えば、上述したエネルギー管理システムのような外部制御部200(図5参照)を設けるようにしてもよい。この場合、給電システム1よりも上位の外部制御部200がこれらの制御を行い、外部制御部200からの指示に基づいて、給電システム1が自立運転と連系運転と間を移行するように制御してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1,2 給電システム
10 燃料供給部
20 改質部
30 燃料電池
40 インバータ部
50 解列部
60 停電検出部
70 負荷検出部
80 水電解部
90 制御部
100 負荷機器
200 管理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素および酸素を化学反応させて電力を発生する燃料電池と、
電力系統からの電力および前記燃料電池からの電力の少なくとも一方を給電対象の負荷に給電する解列部と、
水の電気分解により水素および酸素を生成する水電解部と、
前記解列部が電力系統から電力を受電しない状態になった場合、または前記負荷において今後需要が見込まれる予測電力量が所定値を超える場合、前記燃料電池が発生する電力を前記負荷に給電するとともに、その余剰電力を用いて前記水電解部に電気分解を行わせ、前記水電解部で発生した水素および酸素の少なくとも一方を前記燃料電池に供給するように制御する制御部と、
を備える給電システム。
【請求項2】
前記水電解部は、前記燃料電池が水素および酸素を化学反応させることにより発生した水を電気分解する、請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記負荷への給電に必要な負荷電力を検出する負荷検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記燃料電池が発生する電力のうち前記負荷検出部が検出する前記負荷電力に応じた電力を前記負荷に給電するように制御する、請求項1に記載の給電システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記負荷において今後需要が見込まれる予測電力量が所定値を超える場合、前記予測電力量が前記所定値を超える期間以前から前記水電解部に電気分解を行わせ、前記水電解部で発生した水素および酸素の少なくとも一方を前記燃料電池に供給するように制御する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記解列部が電力系統から電力を受電可能な場合であって、前記負荷検出部が検出する前記負荷への給電に必要な負荷電力が不足する場合、当該不足する負荷電力が系統電力から給電されるように制御する、請求項3または4に記載の給電システム。
【請求項6】
電力系統の停電を検出する停電検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記停電検出部が停電を検出した場合、電力系統からの電力を受電しない自立運転に切り替えられるように制御する、請求項1に記載の給電システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記燃料電池が電力を発生する際に当該燃料電池に供給される水素の量が、前記水電解部における電気分解で発生した水素の量を差し引いた供給量になるように制御する、請求項1から6のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記燃料電池が電力を発生する際に当該燃料電池に供給される酸素の量が、前記水電解部における電気分解で発生した酸素の量を差し引いた供給量になるように制御する、請求項1から6のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項9】
前記制御部に対して指示を入力可能な管理部をさらに備え、
前記制御部は、前記管理部による制御に基づいて、前記解列部が電力系統からの電力を受電しない状態に切り替えられるように制御する、請求項1から8のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項10】
水素および酸素を化学反応させて電力を発生する電力発生ステップと、
電力系統からの電力および前記燃料電池からの電力の少なくとも一方を給電対象の負荷に給電する受電切替ステップと、
水の電気分解により水素および酸素を生成する水電解ステップと、
前記受電切替ステップにおいて電力系統から電力を受電しない状態になった場合、または前記負荷において今後需要が見込まれる予測電力量が所定値を超える場合、前記電力発生ステップにおいて発生した電力を前記負荷に給電するとともに、その余剰電力を用いて前記水電解ステップにおいて電気分解を行い、当該水電解ステップにて発生した水素および酸素の少なくとも一方を前記電力発生ステップのために供給するように制御する制御ステップと、
を含む、給電システムの制御方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate