説明

統合型ターボ機械酸素プラント

【課題】統合型ターボ機械酸素プラントを提供する。
【解決手段】統合型ターボ機械酸素プラント10は、ターボ機械16と空気分離ユニット36とを含む。1以上の圧縮機通路34が、圧縮機22から燃焼器28及びタービンエキスパンダ24の1以上を通して加圧空気32を流して、該燃焼器及び/又はタービンエキスパンダを冷却する。空気分離ユニットは、1以上の圧縮機通路に作動連結されかつ加圧空気を酸素40及び低酸素空気42に分離するように構成される。統合型ターボ機械酸素プラントにおいて空気を分離する方法は、ターボ機械の圧縮機内で空気の流れ26を加圧するステップを含む。加圧した空気の流れは、ターボ機械の燃焼器及びタービンエキスパンダの1以上を通して流されて、該燃焼器及び/又はタービンエキスパンダを冷却する。加圧空気の流れは、空気分離ユニットに導かれかつ酸素及び低酸素空気に分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題は、総括的にガス化発電プラントに関する。より具体的には、本主題の開示は、発電用の空気分離プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なガス化発電プラントは、酸素を使用して例えば石炭のような供給材料をガスタービンでの燃焼用の燃料ガスに変換して、該ガスタービンに連結された発電機により発電を行なう。統合型ガス化発電プラントでは、それから酸素を分離する空気が、ガスタービン圧縮機から供給され、従ってプラント効率が向上しかつコストが低減される。空気は、ガスタービンの圧縮機内で加圧され、また空気分離ユニットにおいて加圧空気の他の成分から酸素を分離することによって、該加圧空気から酸素が生成される。一般に使用される空気分離ユニットの1つのタイプは、膜ベースの空気分離ユニットである。膜ベースの分離ユニットでは空気分離は、約1400°F以上、一般的には約1400°F〜約1600°Fの範囲の温度で行なわれる。しかしながら、ガスタービン圧縮機からの加圧空気は、約600°F〜約1000°Fの範囲で利用可能である。従って、加圧空気は、熱交換器又は燃料過熱器により加熱して空気分離ユニットで利用するのに必要な1400°F〜1600°Fに温度上昇される。この熱交換器の利用により、付加的コストが追加されまた作動させるための付加的燃料が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7284362号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの態様によると、統合型ターボ機械酸素プラントは、燃焼器を含む。燃焼器に作動連結されたターボ機械は、圧縮機及びタービンエキスパンダを含む。1以上の圧縮機通路が、圧縮機から燃焼器及びタービンエキスパンダの1以上を通して加圧空気を流して、該燃焼器及び/又はタービンエキスパンダを冷却する。空気分離ユニットは、1以上の圧縮機通路に作動連結されかつ加圧空気を酸素及び低酸素空気に分離するように構成される。
【0005】
本発明の別の態様によると、統合型ターボ機械酸素プラントにおいて空気を分離する方法は、ターボ機械の圧縮機内で空気の流れを加圧するステップと、ターボ機械の燃焼器及びタービンエキスパンダの1以上を通して加圧空気の流れを流して、該燃焼器及び/又はタービンエキスパンダを冷却するステップとを含む。加圧空気の流れの温度は、燃焼器及び/又はタービンエキスパンダを通って流れることにより、空気分離ユニットの作動温度まで上昇される。加圧空気の流れは、空気分離ユニットに流されて、空気分離ユニットにおいて、加圧空気は酸素及び低酸素空気に分離される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】統合型ターボ機械酸素プラントにおける空気分離システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明では、図面を参照しながら実施例によって、本発明の実施形態をその利点及び特徴と共に説明する。
【0008】
図に示すのは、統合型ターボ機械酸素プラント10の概略図である。プラント10は、例えば石炭のような供給原料から燃料ガス14を生成するガス化装置12を含むことができる。燃料ガス14は、例えばガスタービンのようなターボ機械16に作動連結された燃焼器28に供給される。燃焼器28は、燃料ガス14を燃焼させて燃焼生成物30を発生させ、燃焼生成物30は、例えば発電機20に連結されたターボ機械16のタービンシャフト18を駆動して、電力を発生させる。ターボ機械16は、シャフト18に沿って設置されかつタービンエキスパンダ24に作動連結された圧縮機22を含む。空気流26が、圧縮機22内に投入(入力)され、加圧されかつ燃焼器28に吐出(出力)されて、燃料ガス14と共に燃焼される。燃焼生成物30は、タービンエキスパンダ24に送られて、シャフト18を駆動する。
【0009】
プラント10は、空気内の他の成分から酸素を分離する空気分離システムを含む。加圧空気流32の一部分は、圧縮機22から一般的に約600°F〜1000°Fの範囲の圧縮機出力温度で送給される。加圧空気流32は、1以上の加圧空気通路34を介してタービンエキスパンダ24及び/又は燃焼器28に送られて、それらの中の構成要素に対して冷却を与えるが、一般的にそれら構成要素は、600°F〜1000°Fよりも非常に高い温度で作動しかつ有効寿命を達成するために該構成要素に対するそのような冷却をさらに必要としている。燃焼器28及び/又はタービンエキスパンダ24を通して送られた後に幾つかの実施形態では約1400°F〜1600°Fの温度となった加圧空気流32は、幾つかの実施形態では膜ベースでありかつエキスパンダ流出流と都合良く整合している1400°F〜1600°Fの範囲の作動温度を有する空気分離ユニット36に送られる。エキスパンダ流出流が空気分離ユニットの作動温度範囲よりも低い温度である幾つかのケースにおいて加圧空気流32の付加的加熱が必要である場合には、加圧空気流32は、熱交換器38又は同様のものを通して流して、該加圧空気流32の温度を空気分離ユニットの作動温度の範囲内まで上昇させることができる。燃焼器28及び/又はタービンエキスパンダ24の構成要素からの熱を利用して加圧空気流32の温度を所望のレベルまで上昇させることにより、従来技術のシステムで使用されているような付加的な熱交換器及び/又は加熱器の必要性が減少或いは排除される。
【0010】
加圧空気流32が空気分離ユニット36に流されると、空気分離ユニット36は、加圧空気流32を低圧高温酸素40の流れ及び低酸素空気42の流れに分離する。幾つかの実施形態では、低酸素空気42は、1以上の低酸素空気通路44を介してタービンエキスパンダ24に流されて、シャフト18の回転を駆動し、従ってターボ機械16の効率を増大させる。さらに、幾つかの実施形態では、低酸素空気42の少なくとも一部分は、空気分離ユニット36から1以上の燃焼器通路46を介して燃焼器28に送られかつ該燃焼器28に導入される。燃料ガス14と共に燃焼される燃焼器28内への低酸素空気42の導入により、プラント10の効率及び出力が増大しかつ燃焼器28からの例えばNOxのエミッションが低減される。幾つかの実施形態では、燃焼器28内への導入に先立って、低酸素空気42は、所望の燃焼器28入口温度に冷却される。幾つかの実施形態では、1以上の燃焼器通路46に対して、補助圧縮機22Aが連結される。補助圧縮機22Aは、燃焼器28に流れる低酸素空気42のストリーム内に付加的高圧空気を導入することによって1以上の燃焼器通路46を通る流れを推進して、プラント10の効率及び出力をさらに増大させるために使用される。
【0011】
高温酸素40の流れは、多くの異なる用途で利用することができる。例えば、幾つかの実施形態では、高温酸素40は、供給原料に加えてガス化装置12内に導入して、燃料ガス14を生成することができる。ガス化装置12の入力要件に応じて、高温酸素40の流れは、変更することができる。例えば、高温酸素40の流れは、熱交換器48内で冷却して、酸素40の温度を低下させることができる。さらに、酸素40の高圧流れが望ましい場合には、酸素40の流れは、酸素圧縮機50に導入して、その圧力を所望のレベルに増大させる。このプラント10の他の実施例では、天然ガス又は石油のような従来型のガスタービン燃料を使用することができ、また生成した酸素は、産業プラントで使用するために他へ輸送することができる。
【0012】
限られた数の実施形態に関してのみ本発明を詳細に説明してきたが、本発明がそのような開示した実施形態に限定されるものではないことは、容易に理解される筈である。むしろ、本発明は、これまで説明していないが本発明の技術思想及び技術的範囲に相応するあらゆる数の変形、変更、置換え又は均等な構成を組込むように改良することができる。さらに、本発明の様々な実施形態について説明してきたが、本発明の態様は説明した実施形態の一部のみを含むことができることを理解されたい。従って、本発明は、上記の説明によって限定されるものと見なすべきではなく、本発明は、特許請求の範囲の技術的範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0013】
10 プラント
12 ガス化装置
14 燃料ガス
16 ターボ機械
18 タービンシャフト
20 発電機
22 圧縮機
22A 補助圧縮機
24 タービンエキスパンダ
26 空気流
28 燃焼器
30 燃焼生成物
32 加圧空気流
34 加圧空気通路
36 分離ユニット
38 熱交換器
40 酸素
42 低酸素空気
44 低酸素空気通路
46 燃焼器通路
48 熱交換器
50 酸素圧縮機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合型ターボ機械酸素プラント(10)であって、
燃焼器(28)と、
前記燃焼器(28)に作動連結されかつ圧縮機(22)及びタービンエキスパンダ(24)を備えたターボ機械(16)と、
前記圧縮機(22)から前記燃焼器(28)及びタービンエキスパンダ(24)の1以上を通して加圧空気(32)を流して、該燃焼器(28)及び/又はタービンエキスパンダ(24)を冷却する1以上の圧縮機通路(34)と、
前記1以上の圧縮機通路(34)に作動連結されかつ前記加圧空気(32)を酸素(40)及び低酸素空気(42)に分離するように構成された空気分離ユニット(36)と
を含むプラント(10)。
【請求項2】
前記1以上の圧縮機通路(34)に沿って配置されて、前記加圧空気(32)の温度をさらに上昇させる1以上の熱交換器(38)をさらに含む、請求項1記載のプラント(10)。
【請求項3】
前記空気分離ユニット(36)から前記タービンエキスパンダ(24)に前記低酸素空気(42)を流して、該タービンエキスパンダ(24)の回転を駆動する1以上の低酸素空気通路(44)をさらに含む、請求項1記載のプラント(10)。
【請求項4】
前記空気分離ユニット(36)から前記燃焼器(28)に前記低酸素空気(42)を流して、該燃焼器(28)内で燃料ガスと共に燃焼させる1以上の燃焼器通路(46)をさらに含む、請求項1記載のプラント(10)。
【請求項5】
前記1以上の燃焼器通路(46)に沿って配置されて、該1以上の燃焼器通路(46)を通って流れる前記低酸素空気(42)の温度を低下させる熱交換器をさらに含む、請求項4記載のプラント(10)。
【請求項6】
前記1以上の燃焼器通路(46)に連結されて、該1以上の燃焼器通路(46)を通る流れを推進する補助圧縮機(22A)をさらに含む、請求項4記載のプラント(10)。
【請求項7】
前記空気分離ユニット(36)が約1400°F〜約1600°Fの範囲の温度で作動するように構成される、請求項1記載のプラント(10)。
【請求項8】
前記加圧空気(32)が約600°F〜約1000°Fの範囲の温度での前記圧縮機(22)からの出力である、請求項1記載のプラント(10)。
【請求項9】
前記加圧空気(32)の温度が約1400°F〜約1600°Fの範囲に上昇される、請求項8記載のプラント(10)。
【請求項10】
ガス化装置(12)で生成した燃料ガスが前記燃焼器(28)に供給される、請求項1記載のプラント(10)。

【図1】
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【公開番号】特開2012−102724(P2012−102724A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192214(P2011−192214)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)