説明

絶縁トランスおよび電力変換装置

【課題】経時劣化を抑制し、信頼性および耐環境性を向上させつつ、外部磁束に起因するノイズとしての影響を軽減するとともに、低圧側と高圧側とを電気的に絶縁しながら信号の授受を行えるようにする。
【解決手段】絶縁トランスには、絶縁性基板111に形成された1次側コイル110と、半導体基板101に形成された2次側コイル100が設けられ、絶縁性基板111の第1の主面上には、電極パターン114、115の接続部が1次コイルパターン113および電極パターン114とともに覆われるようにして絶縁性スペーサ層117を積層し、1次コイルパターン113が形成された絶縁性基板111を、1次コイルパターン113の形成面が半導体基板101に対向するようにして、接着層118にて半導体基板101上に固着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は絶縁トランスおよび電力変換装置に関し、特に、絶縁トランスの1次側巻線と2次側巻線との絶縁にガラス基板を用いる方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年の車両機器では、高効率化および省エネ対策を図るために、駆動力を生む電動機の駆動システムに、昇降圧コンバータおよびインバータの搭載が行われている。
図6は、従来の昇降圧コンバータを用いた車両駆動システムの概略構成を示すブロック図である。
図6において、車両駆動システムには、昇降圧コンバータ1102に電力を供給する電源1101、電圧の昇降圧を行う昇降圧コンバータ1102、昇降圧コンバータ1102から出力された電圧を3相電圧に変換するインバータ1103および車両を駆動する電動機1104が設けられている。なお、電源1101は、架線からの給電電圧または直列接続されたバッテリーから構成することができる。
【0003】
そして、車両駆動時には、昇降圧コンバータ1102は、電源1101の電圧(例:280V)を電動機1104の駆動に適した電圧(例:750V)に昇圧し、インバータ1103に供給する。そして、スイッチング素子をオン/オフ制御することにより、昇降圧コンバータ1102にて昇圧された電圧を3相電圧に変換して、電動機1104の各相に電流を流し、スイッチング周波数を制御することで車両の速度を変化させることができる。
【0004】
一方、車両の制動時には、インバータ1103は、電動機1104の各相に生じる電圧に同期してスイッチング素子をオン/オフ制御することにより、整流動作を行い、直流電圧に変換してから、昇降圧コンバータ1102に供給する。そして、昇降圧コンバータ1102は、電動機1104から生じる電圧(例:750V)を電源1101の電圧(例:280V)に降圧して電力の回生動作を行うことができる。
【0005】
図7は、図6の昇降圧コンバータの概略構成を示すブロック図である。
図7において、昇降圧コンバータ1102には、エネルギーの蓄積を行うリアクトルL、電荷の蓄積を行うコンデンサC、インバータ1103に流入する電流を通電および遮断するスイッチング素子SW1、SW2、スイッチング素子SW1、SW2の導通および非導通を指示する制御信号をそれぞれ生成する制御回路1111、1112が設けられている。
【0006】
そして、スイッチング素子SW1、SW2は直列に接続されるとともに、スイッチング素子SW1、SW2の接続点には、リアクトルLを介して電源1101が接続されている。ここで、スイッチング素子SW1には、制御回路1111からの制御信号に従ってスイッチング動作を行うIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)1105が設けられ、IGBT1105に流れる電流と逆方向に電流を流すフライホイールダイオードD1がIGBT1105に並列に接続されている。
【0007】
また、スイッチング素子SW2には、制御回路1112からの制御信号に従ってスイッチング動作を行うIGBT1106が設けられ、IGBT1106に流れる電流と逆方向に電流を流すフライホイールダイオードD2がIGBT1106に並列に接続されている。そして、IGBT1106のコレクタは、コンデンサCおよびインバータ1103の双方に接続されている。
【0008】
図8は、昇圧動作時に図7のリアクトルLに流れる電流の波形を示す図である。
図8において、昇圧動作では、スイッチング素子SW1のIGBT1105がオン(導通)すると、IGBT1105を介してリアクトルLに電流Iが流れ、LI2/2のエネルギーがリアクトルLに蓄積される。
次に、スイッチング素子SW1のIGBT1105がオフ(非導通)すると、スイッチング素子SW2のフライホイールダイオードD2に電流が流れ、リアクトルLに蓄えられたエネルギーがコンデンサCに送られる。
【0009】
一方、降圧動作では、スイッチング素子SW2のIGBT1106がオン(導通)するとIGBT1106を介してリアクトルLに電流Iが流れ、LI2/2のエネルギーがリアクトルLに蓄積される。
次に、スイッチング素子SW2のIGBT1106がオフ(非導通)すると、スイッチング素子SW1のフライホイールダイオードD1に電流が流れ、リアクトルLに蓄えられたエネルギーが電源1101へ回生される。
【0010】
ここで、スイッチング素子のオン時間(ON Duty)を変更することで、昇降圧の電圧を調整することが可能であり、概略の電圧値は以下の(1)式にて求めることができる。
L/VH=ON Duty(%) (1)
ただし、VLは電源電圧、VHは昇降圧後の電圧、ON Dutyはスイッチング素子SW1、SW2のスイッチング周期に対する導通期間の割合である。
【0011】
ここで、実際には負荷の変動、電源電圧VLの変動などがあるので、昇降圧後の電圧VHを監視し、昇降圧後の電圧VHが目標値となるように、スイッチング素子SW1、SW2のオン時間(ON Duty)の制御が行われている。
また、車体筐体に接地される制御回路1111、1112側は低圧であり、スイッチング素子SW1、SW2に接続されるアーム側は高圧となる。このため、スイッチング素子SW1、SW2の破壊などの事故が発生しても、人体が危険に晒されることがないようにするために、アーム側とは、フォトカプラを用いて制御回路1111、1112と電気的に絶縁しながら信号の授受が行われる。
【0012】
図9は、従来の昇降圧コンバータ用インテリジェントパワーモジュールの概略構成を示すブロック図である。
図9において、昇降圧コンバータ用インテリジェントパワーモジュールには、負荷へ流入する電流を通電および遮断するスイッチング素子SWU、SWDおよびスイッチング素子SWU、SWDの導通および非導通を指示する制御信号をそれぞれ生成する制御回路1が設けられている。ここで、制御回路1は、CPU4または論理IC、あるいは論理ICとCPUが搭載されたシステムLSIなどで構成することができる。
【0013】
また、スイッチング素子SWU、SWDはそれぞれ上アーム2用および下アーム3用として動作するように直列に接続されている。そして、スイッチング素子SWUには、ゲート信号SU4に従ってスイッチング動作を行うIGBT6が設けられ、IGBT6に流れる電流と逆方向に電流を流すフライホイールダイオードDU1がIGBT6に並列に接続されている。また、IGBT6が形成されたチップには、チップの温度変化に起因するダイオードDU2のVF変化を測定原理として用いた温度センサ、および抵抗RU1、RU2を介してIGBT6のエミッタ電流を分流して主回路電流を検出する電流センサが設けられている。
【0014】
また、スイッチング素子SWDには、ゲート信号SD4に従ってスイッチング動作を行うIGBT5が設けられ、IGBT5に流れる電流と逆方向に電流を流すフライホイールダイオードDD1がIGBT5に並列に接続されている。また、IGBT5が形成されたチップには、チップの温度変化に起因するダイオードDD2のVF変化を測定原理として用いた温度センサ、およびIGBT5のエミッタ電流を抵抗RD1、RD2を介して分流して主回路電流を検出する電流センサが設けられている。
【0015】
そして、上アーム2側には、温度センサからの過熱検知信号SU6および電流センサからの過電流検知信号SU5を監視しながら、IGBT6の制御端子を駆動するためのゲート信号SU4を生成する保護機能付きゲートドライバIC8が設けられるとともに、IGBT6の温度に対応したPWM信号を生成するアナログPWM変換器CUが設けられている。
また、下アーム3側には、温度センサからの過熱検知信号SD6および電流センサからの過電流検知信号SD5を監視しながら、IGBT5の制御端子を駆動するためのゲート信号SD4を生成する保護機能付きゲートドライバIC7が設けられるとともに、IGBT5の温度に対応したPWM信号を生成するアナログPWM変換器CDが設けられている。
【0016】
また、車体筐体に接地される制御回路1側と、高圧となる上アーム2側および下アーム3側との間には、フォトカプラFU1〜FU3、FD1〜FD3がそれぞれ介挿され、制御回路1では、フォトカプラFU1〜FU3、FD1〜FD3を用いて上アーム2側および下アーム3側と電気的に絶縁しながら信号の授受が行われる。
すなわち、上アーム2側において、CPU4から出力されたゲートドライブ用PWM信号SU1は、フォトカプラFU1を介して保護機能付きゲートドライバIC8に入力される。また、保護機能付きゲートドライバIC8から出力されたアラーム信号SU2は、フォトカプラFU2を介してCPU4に入力される。また、アナログPWM変換器CUから出力されたIGBTチップ温度PWM信号SU3は、フォトカプラFU3を介してCPU4に入力される。
【0017】
一方、下アーム3側において、CPU4から出力されたゲートドライブ用PWM信号SD1は、フォトカプラFD1を介して保護機能付きゲートドライバIC7に入力される。また、保護機能付きゲートドライバIC7から出力されたアラーム信号SD2は、フォトカプラFD2を介してCPU4に入力される。また、アナログPWM変換器CDから出力されたIGBTチップ温度PWM信号SD3は、フォトカプラFD3を介してCPU4に入力される。
【0018】
図10は、フォトカプラの周辺回路の概略構成を示すブロック図である。
図10において、フォトカプラ2008には、順電流Ifによって赤外光を放射する赤外発光ダイオード2003、放射された赤外光を受光する受光ダイオード2004および受光ダイオード2004で発生した光電流をベース電流として電流増幅動作を行うバイポーラトランジスタ2005が設けられている。そして、赤外発光ダイオード2003のカソードは抵抗2002を介して電界効果型トランジスタ2001に接続され、バイポーラトランジスタ2005のコレクタは、抵抗2006を介して電源電圧Vcc2に接続されるとともに、バイポーラトランジスタ2005のコレクタを介して出力される出力信号VoutはIGBTドライブIC2007に入力される。
【0019】
そして、電界効果型トランジスタ2001のゲートに信号SPが入力されると、順電流Ifが赤外発光ダイオード2003に流れ、赤外光が放射される。そして、赤外発光ダイオード2003から放射された赤外光は、受光ダイオード2004にて受光され、その赤外光に応じた光電流がバイポーラトランジスタ2005のベースに流れる。そして、バイポーラトランジスタ2005のベースに光電流が流れると、バイポーラトランジスタ2005にコレクタ電流Icが流れ、片端を電源電圧Vcc2に接続された抵抗2006にコレクタ電流Icを流すことにより、抵抗2006の他端電圧の変化が出力信号VoutとしてIGBTドライブIC2007に入力される。
【0020】
ここで、フォトカプラ2008単体の入出力特性は、電流変換効率(CTR:Current Transfer Ratio)、すなわちIc/Ifにて定義することができる。そして、フォトカプラ2008を用いて回路設計を行う際には、(1)バイポーラトランジスタ2005の電流増幅率hfeの温度特性、(2)赤外発光ダイオード2003の発光効率の寿命劣化、(3)CTRのバラツキなどの点を考慮する必要がある。
【0021】
図11は、フォトカプラの電流変換効率の温度特性を示す図である。
図11において、低温になるほど、フォトカプラ2008の電流変換効率は低下し、この要因はバイポーラトランジスタ2005の電流増幅率hfeの温度特性である。
図12は、フォトカプラの電流変換効率の経時劣化特性を示す図である。
図12において、フォトカプラ2008のCTRは、発光ダイオード2003の順電流、環境温度、累積使用時間に依存して低下し、特に、フォトカプラ2008の連続使用時間が1000時間を越えると、CTRの低下が顕著に表れる。
【0022】
図13は、フォトカプラの電流変換効率のバラツキを示す図である。
図13において、フォトカプラの電流変換効率はバラツキが大きく、この要因として、発光ダイオード2003の発光効率やバイポーラトランジスタ2005の電流増幅率hfeのバラツキが挙げられる。
そして、図9の昇降圧コンバータ用インテリジェントパワーモジュールの絶縁伝送手段としてフォトカプラを用いた場合、上述した点を考慮しながら回路設計を行う必要があるが、車両や産業機器などの高温雰囲気で10年以上に及ぶ連続使用を満足させるのは困難である。
一方、フォトカプラ以外の伝送信号の絶縁手段として絶縁トランスを用いる方法が挙げられる。そして、このような絶縁トランスとして、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用して大幅に小型化されたマイクロトランスが数社より製品化されている。
【0023】
図14(a)は、従来の絶縁トランスの概略構成を示す断面図、図14(b)は、図14(a)の絶縁トランスの概略構成を示す平面図である。
図14において、半導体基板11には引き出し配線層12が埋め込まれるとともに、半導体基板11上には1次コイルパターン14が形成されている。そして、1次コイルパターン14は引き出し部13を介して引き出し配線層12に接続されている。そして、1次コイルパターン14上には平坦化膜15が形成され、平坦化膜15上には、2次コイルパターン17が形成され、2次コイルパターン17は保護膜18にて覆われている。そして、保護膜18には、2次コイルパターン17の中心を露出させる開口部19が形成され、開口部19を介して2次コイルパターン17の中心にボンディングワイヤを接続することにより、2次コイルパターン17からの引き出しを行うことができる。
なお、例えば、1次コイルパターン14および2次コイルパターン17の巻線幅は5〜10μm、厚みは4〜5μm、巻線の最外径は500μmとすることができる。
【0024】
図15および図16は、従来の絶縁トランスの製造方法を示す断面図である。
図15(a)において、As、P、Bなどの不純物を半導体基板51内に選択的に注入することにより、1次コイルパターン55aの中心からの引き出しを行うための引き出し拡散層52を半導体基板51に形成する。なお、半導体基板51の材質としては、例えば、Si、Ge、SiGe、SiC、SiSn、PbS、GaAs、InP、GaP、GaNまたはZnSeなどの中から選択することができる。
【0025】
次に、図15(b)に示すように、引き出し拡散層52が形成された半導体基板51上にプラズマCVDなどの方法にて絶縁層53を形成する。なお、絶縁層53の材質としては、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜などを用いることができる。
次に、図15(c)に示すように、フォトリソグラフィー技術を用いることにより、1次コイルパターン55aの中心からの引き出し部分に対応して開口部54aが設けられたレジストパターン54を絶縁層53上に形成する。
【0026】
次に、図15(d)に示すように、開口部54aが形成されたレジストパターン54をマスクとして絶縁層53をエッチングすることにより、1次コイルパターン55aの中心からの引き出し部分に対応した開口部53aを絶縁層53に形成する。
次に、図15(e)に示すように、レジストパターン54を薬品により絶縁層53から剥離する。
次に、図15(f)に示すように、スパッタや蒸着などの方法により、導電膜55を絶縁層53上に形成する。なお、導電膜55の材質としては、AlやCuなどの金属を用いることができる。
【0027】
次に、図15(g)に示すように、フォトリソグラフィー技術を用いることにより、1次コイルパターン55aに対応したレジストパターン56を形成する。
次に、図15(h)に示すように、レジストパターン56をマスクとして導電膜55をエッチングすることにより、1次コイルパターン55aを絶縁層53上に形成する。
次に、図15(i)に示すように、レジストパターン56を薬品により1次コイルパターン55aから剥離する。
【0028】
次に、図15(j)に示すように、1次コイルパターン55aが形成された絶縁層53上にプラズマCVDなどの方法にて平坦化膜57を形成する。なお、平坦化膜57の材質としては、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜などを用いることができる。
次に、図15(k)に示すように、斜めエッチングあるいはCMP(Chemical Mechanical Polishing)などの方法により、平坦化膜57を平坦化し、平坦化層57の表面の凹凸を除去する。
次に、図15(l)に示すように、フォトリソグラフィー技術を用いることにより、2次コイルパターン60aの外端の配線取出し部分に対応して開口部58aが設けられたレジストパターン58を平坦化膜57上に形成する。
【0029】
次に、図16(a)に示すように、開口部58aが設けられたレジストパターン58をマスクとして平坦化膜57をエッチングすることにより、2次コイルパターン60aの外端の配線取出し部分に対応した開口部57aを平坦化膜57に形成する。
次に、図16(b)に示すように、レジストパターン58を薬品により平坦化膜57から剥離する。
次に、図16(c)に示すように、1次コイルパターン55aと2次コイルパターン60aとの分離層59を平坦化膜57上に形成する。なお、分離層59の形成方法としては、ポリイミド層を平坦化膜57上にスピンコートにて形成する方法などを用いることができる。あるいは、分離層59の形成方法としては、スパッタにてシリコン酸化膜を平坦化膜57上に成膜するようにしてもよい。
【0030】
次に、図16(d)に示すように、スパッタや蒸着などの方法により、導電膜60を分離層59上に形成する。なお、導電膜60の材質としては、AlやCuなどの金属を用いることができる。
次に、図16(e)に示すように、フォトリソグラフィー技術を用いることにより、2次コイルパターン60aに対応したレジストパターン61を形成する。
次に、図16(f)に示すように、レジストパターン61をマスクとして導電膜60をエッチングすることにより、2次コイルパターン60aを分離層59上に形成する。
次に、図16(g)に示すように、レジストパターン61を薬品により2次コイルパターン60aから剥離する。
【0031】
次に、図16(h)に示すように、2次コイルパターン60aが形成された分離層59上にプラズマCVDなどの方法にて保護膜62を形成する。なお、保護膜62の材質としては、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜などを用いることができる。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて保護膜62をパターニングすることにより、2次コイルパターン60aの端部および中央部を露出させる。
【0032】
また、例えば、特許文献1には、第1の配線層及び第2の配線層から形成されたトランス素子において、鉛直上方向及び鉛直下方向の一方から第1の配線層及び第2の配線層の一方に投影した時に、投影された外形線が予め定められた基準面を基準として対称な形状を有し、かつ投影された外形線が第1の配線層及び第2の配線層の一方上で交差し合う部分については、第1の配線層及び第2の配線層を使って交差しないよう構成することで、トランス素子の専有面積を削減する方法が開示されている。
【0033】
また、例えば、特許文献2には、水平方向に保護リングで囲まれた第1および第2のコイルが設けられた空芯トランスが開示されている。
また、例えば、特許文献3には、コイル導体をそれぞれ表面に設けた磁性体シートと、ガラス絶縁層をそれぞれ表面に設けた磁性体シート等で積層トランスを構成することで、積層トランスのコイル同士の結合量の低下を抑制しつつ、部品の高さ寸法を大きくしないでコイル間の絶縁耐圧を上げる方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−5685号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/230837号公報
【特許文献3】特開2005−310959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
しかしながら、図15および図16の絶縁トランスの製造方法において、分離層59としてポリイミド層をスピンコートにて形成する方法では、表面の平坦性を維持するために、分離層59の膜厚は20μm以下に制限される。
また、分離層59としてシリコン酸化膜をスパッタにて形成する方法では、成膜時の熱応力による表面の不均一性や成膜レートを考慮して、分離層59の膜厚は10μm以下に制限される。
【0035】
一方、車両や産業機器などの用途では、人体の静電気に相当する15〜30kVのESD(静電気放電)耐量が要求され、図16のようなマイクロトランスが1次側の回路および2次側の回路と組み合わせてICとしてパッケージ化されると、この15〜30kVの電圧が分離層59に印加される。そして、膜厚が20μmのポリイミド層では8〜11kV、膜厚が10μmのシリコン酸化膜では約7kVで絶縁破壊されることから、15〜30kVの電圧が分離層59に印加されると、分離層59が絶縁破壊されるという問題があった。
そこで、本発明の目的は、経時劣化を抑制し、信頼性および耐環境性を向上させつつ、外部磁束に起因するノイズとしての影響を軽減するとともに、低圧側と高圧側とを電気的に絶縁しながら信号の授受を行うことが可能な絶縁トランスおよび電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の絶縁トランスによれば、1次巻線と2次巻線のうちの一方が形成された半導体基板と、前記1次巻線と前記2次巻線のうちの他方が形成され、前記1次巻線と前記2次巻線とが互いに対向するように前記半導体基板に対して配置された絶縁性基板と、前記半導体基板と前記絶縁性基板の間を一定の間隔に保つようにして、前記1次巻線と前記2次巻線とを絶縁分離する絶縁性スペーサ層とを備えることを特徴とする。
【0037】
これにより、1次巻線や2次巻線が形成される表面の平坦性や均一性を損なうことなく、絶縁トランスの1次巻線と2次巻線との間の間隔を数十μm以上確保することができる。このため、微細加工技術にて絶縁トランスを微細化することを可能としつつ、15〜30kVのESD耐量を確保することが可能となり、信頼性および耐環境性を向上させつつ、外部磁束に起因するノイズとしての影響を軽減するとともに、低圧側と高圧側とを電気的に絶縁しながら信号の授受を行うことが可能となる。
【0038】
また、請求項2記載の絶縁トランスによれば、前記絶縁性基板に形成された貫通孔と、前記1次巻線または前記2次巻線が形成された前記絶縁性基板の第1の主面と対向する第2の主面に形成され、前記貫通孔を介して前記1次巻線または前記2次巻線と接続された配線取り出し用の電極とを備えることを特徴とする。
これにより、絶縁性基板に形成された1次巻線または2次巻線を、半導体基板に形成された2次巻線または1次巻線に対向させて配置した場合においても、絶縁性基板に形成された1次巻線または2次巻線から配線を取り出すことができ、絶縁性基板に形成された1次巻線または2次巻線を駆動することができる。
【0039】
また、請求項3記載の絶縁トランスによれば、前記絶縁性スペーサ層は、フィルム状の有機系絶縁層であることを特徴とする。
これにより、1次巻線と2次巻線のうちの一方が形成された半導体基板と、1次巻線と2次巻線のうちの他方が形成された絶縁性基板との間にフィルム状の有機系絶縁層を挟み込むことで、絶縁トランスの1次巻線と2次巻線との間の間隔を数十μm以上確保しつつ、1次巻線と2次巻線とを対向配置することができ、微細加工技術にて絶縁トランスを微細化することを可能としつつ、15〜30kVのESD耐量を確保することが可能となる。
【0040】
また、請求項4記載の絶縁トランスによれば、前記有機系絶縁層はフィルム状のポリイミド層であることを特徴とする。
これにより、1次巻線と2次巻線のうちの一方が形成された半導体基板と、1次巻線と2次巻線のうちの他方が形成された絶縁性基板との間にポリイミドフィルムを挟み込むことで、絶縁トランスの1次巻線と2次巻線との間の間隔を数十μm以上確保しつつ、1次巻線と2次巻線とを対向配置することができ、微細加工技術にて絶縁トランスを微細化することを可能としつつ、15〜30kVのESD耐量を確保することが可能となる。
【0041】
また、請求項5記載の絶縁トランスによれば、前記1次巻線または前記2次巻線が形成された絶縁性基板は前記絶縁性スペーサ層よりも比誘電率が大きいことを特徴とする。
これにより、絶縁性スペーサ層の表面に発生する電界を緩和することができ、ESDにて印加される電圧よりも絶縁性スペーサ層に実際に印加される電圧を小さくすることが可能となることから、ESD耐量を向上させることができる。
【0042】
また、請求項6記載の絶縁トランスによれば、前記1次巻線または前記2次巻線が覆われるようにして前記絶縁性スペーサ層下に形成された絶縁性被膜をさらに備えることを特徴とする。
これにより、ESDにて印加される電圧を絶縁性スペーサ層と絶縁性被膜との2層構造にて受け持たせることができ、ESD耐量をより一層向上させることができる。
【0043】
また、請求項7記載の電力変換装置によれば、上アーム用および下アーム用としてそれぞれ作動するように互いに直列に接続され、負荷へ流入する電流を通電および遮断する1対のスイッチング素子と、前記スイッチング素子の導通および非導通を指示する制御信号を生成する制御回路と、前記制御信号に基づいて前記スイッチング素子の制御端子を駆動する駆動回路と、前記制御回路と前記駆動回路とが絶縁されるように1次巻線と2次巻線とが互いに対向配置され、前記1次巻線と前記2次巻線とがフィルム状の有機系絶縁層にて互いに絶縁分離された絶縁トランスとを備えることを特徴とする。
【0044】
これにより、微細加工技術にて絶縁トランスを微細化することを可能としつつ、15〜30kVのESD耐量を確保することが可能となり、絶縁トランスの信頼性を確保した上で、外部磁束に起因するノイズとしての影響を軽減することが可能となるとともに、低圧側と高圧側とを電気的に絶縁しながら信号の授受を行うために、フォトカプラを用いる必要がなくなり、経時劣化を抑制しつつ、耐環境性を向上さることが可能となる。
【発明の効果】
【0045】
以上説明したように、本発明によれば、微細加工技術にて絶縁トランスを微細化することを可能としつつ、絶縁トランスの1次巻線と2次巻線との間の間隔を数十μm以上確保することができ、信頼性および耐環境性を向上させつつ、外部磁束に起因するノイズとしての影響を軽減するとともに、低圧側と高圧側とを電気的に絶縁しながら信号の授受を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態に係る絶縁トランスについて図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るパワーエレクトロニクス機器が適用される昇降圧コンバータ用インテリジェントパワーモジュール(IPM:Inteligent Power Module)の概略構成を示すブロック図である。
図1において、昇降圧コンバータ用インテリジェントパワーモジュールには、負荷へ流入する電流を通電および遮断するスイッチング素子SWU、SWDおよびスイッチング素子SWU、SWDの導通および非導通を指示する制御信号をそれぞれ生成する制御回路1が設けられている。ここで、制御回路1は、CPU4または論理IC、あるいは論理ICとCPUが搭載されたシステムLSIなどで構成することができる。
【0047】
また、スイッチング素子SWU、SWDはそれぞれ上アーム2用および下アーム3用として動作するように直列に接続されている。そして、スイッチング素子SWUには、ゲート信号SU4に基づいてスイッチング動作を行うIGBT6が設けられ、IGBT6に流れる電流と逆方向に電流を流すフライホイールダイオードDU1がIGBT6に並列に接続されている。また、IGBT6が形成されたチップには、チップの温度変化に起因するダイオードDU2のVF変化を測定原理として用いた温度センサ、および抵抗RU1、RU2を介してIGBT6のエミッタ電流を分流して主回路電流を検出する電流センサが設けられている。
【0048】
また、スイッチング素子SWDには、ゲート信号SD4に従ってスイッチング動作を行うIGBT5が設けられ、IGBT5に流れる電流と逆方向に電流を流すフライホイールダイオードDD1がIGBT5に並列に接続されている。また、IGBT5が形成されたチップには、チップの温度変化に起因するダイオードDD2のVF変化を測定原理として用いた温度センサ、およびIGBT5のエミッタ電流を抵抗RD1、RD2を介して分流して主回路電流を検出する電流センサが設けられている。
【0049】
そして、上アーム2側には、温度センサからの過熱検知信号SU6および電流センサからの過電流検知信号SU5を監視しながら、IGBT6の制御端子を駆動するためのゲート信号SU4を生成する保護機能付きゲートドライバIC8が設けられるとともに、IGBT6の温度に対応したPWM信号を生成するアナログPWM変換器CUが設けられている。なお、保護機能付きゲートドライバIC8には、スイッチング素子SWD、SWUの状態信号を生成する自己診断回路を設けることができ、自己診断回路はスイッチング素子SWD、SWUの状態信号を生成することができる。
【0050】
また、下アーム3側には、温度センサからの過熱検知信号SD6および電流センサからの過電流検知信号SD5を監視しながら、IGBT5の制御端子を駆動するためのゲート信号SD4を生成する保護機能付きゲートドライバIC7が設けられるとともに、IGBT5の温度に対応したPWM信号を生成するアナログPWM変換器CDが設けられている。
また、車体筐体に接地される制御回路1側と、高圧となる上アーム2側および下アーム3側との間には、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3がそれぞれ介挿され、制御回路1では、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3を用いて上アーム2側および下アーム3側と電気的に絶縁しながら信号の授受が行われる。
【0051】
すなわち、上アーム2側において、CPU4から出力されたゲートドライブ用PWM信号SU1は、空芯型絶縁トランスTU1を介して保護機能付きゲートドライバIC8に入力される。また、保護機能付きゲートドライバIC8から出力されたアラーム信号SU2は、空芯型絶縁トランスTU2を介してCPU4に入力される。また、アナログPWM変換器CUから出力されたIGBTチップ温度PWM信号SU3は、空芯型絶縁トランスTU3を介してCPU4に入力される。
【0052】
一方、下アーム3側において、CPU4から出力されたゲートドライブ用PWM信号SD1は、空芯型絶縁トランスTD1を介して保護機能付きゲートドライバIC7に入力される。また、保護機能付きゲートドライバIC7から出力されたアラーム信号SD2は、空芯型絶縁トランスTD2を介してCPU4に入力される。また、アナログPWM変換器CDから出力されたIGBTチップ温度PWM信号SD3は、空芯型絶縁トランスTD3を介してCPU4に入力される。
【0053】
ここで、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3には、送信側の1次巻線および受信側の2次巻線がそれぞれ設けられている。そして、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3の1次巻線と2次巻線とは互いに対向配置されるように構成されている。例えば、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3の1次巻線と2次巻線とをそれぞれ異なる基板上に形成し、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3の1次巻線と2次巻線とがそれぞれ形成された基板を絶縁性スペーサ層を介して互いに積層することができる。また、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3は、半導体プロセス技術などの微細加工技術によって形成することができる。
【0054】
なお、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3の1次巻線と2次巻線とを絶縁分離する絶縁性スペーサ層としては、ポリイミドフィルムなどのフィルム状の有機系絶縁層を用いることができる。ここで、絶縁性スペーサ層の厚みは、15〜30kVのESD耐量を確保できるように設定することができ、例えば、数十μm〜数百μm程度に設定することができる。
【0055】
そして、CPU4は、IGBT5、6の導通または非導通をそれぞれ指示するゲートドライブ用PWM信号SD1、SU1を生成し、このゲートドライブ用PWM信号SD1、SU1を空芯型絶縁トランスTD1、TU1をそれぞれ介して保護機能付きゲートドライバIC7、8にそれぞれ絶縁伝送する。そして、保護機能付きゲートドライバIC7、8は、ゲートドライブ用PWM信号SD1、SU1にそれぞれ基づいてゲート信号SD4、SU4を生成し、IGBT5、6の制御端子を駆動することにより、IGBT5、6をスイッチング動作させる。
【0056】
ここで、温度センサから出力された過熱検知信号SD6、SU6が保護機能付きゲートドライバIC7、8にそれぞれ入力されるとともに、電流センサから出力された過電流検知信号SD5、SU5が保護機能付きゲートドライバIC7、8にそれぞれ入力される。そして、保護機能付きゲートドライバIC7、8は、IGBT5、6が破壊しない閾値を超過した場合には、空芯型絶縁トランスTD2、TU2をそれぞれ介してCPU4にアラーム信号SD2、SU2を伝送する。そして、CPU4は、保護機能付きゲートドライバIC7、8からアラーム信号SD2、SU2をそれぞれ受け取ると、ゲートドライブ用PWM信号SD1、SU1の生成をそれぞれ停止することにより、IGBT5、6に流れる電流を遮断する。
【0057】
なお、保護機能付きゲートドライバIC7、8は、温度センサから出力された過熱検知信号SD6、SU6および電流センサから出力された過電流検知信号SD5、SU5に基づいて、IGBTが破壊しない閾値を下回ったと判断した場合、一定の時間が経過した後にアラーム信号SD2、SU2を解除する。
さらに、細かい監視を行う場合には、温度センサから出力された過熱検知信号SD6、SU6がアナログPWM変換器CD、CUにそれぞれ入力される。そして、アナログPWM変換器CD、CUは、過熱検知信号SD6、SU6のアナログ値をデジタル信号にそれぞれ変換することにより、IGBTチップ温度PWM信号SD3、SU3をそれぞれ生成し、空芯型絶縁トランスTD3、TU3をそれぞれ介してCPU4にIGBTチップ温度PWM信号SD3、SU3を伝送する。そして、CPU4は、IGBTチップ温度PWM信号SD3、SU3からIGBT5、6のチップ温度をそれぞれ算出し、予め設けられた数段階の閾値に応じて、IGBT5、6のスイッチング周波数の段階的な低下を行ったり、スイッチング停止を行ったりすることができる。
【0058】
ここで、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3の1次巻線と2次巻線とが互いに対向配置されるように微細加工技術によって形成することにより、1次巻線と2次巻線の巻径を小さくすることが可能となるとともに、1次巻線と2次巻線との間隔を小さくすることができる。このため、1次巻線と2次巻線との結合係数を高めつつ、1次巻線および2次巻線に磁束が鎖交する面積を小さくすることができ、外部磁束に起因するノイズとしての影響を軽減することが可能となるとともに、低圧側と高圧側とを電気的に絶縁しながら信号の授受を行うために、フォトカプラを用いる必要がなくなり、経時劣化を抑制しつつ、耐環境性を向上さることが可能となる。
【0059】
また、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3の1次巻線と2次巻線とを絶縁分離するために、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3の1次巻線と2次巻線とを互いに異なる基板上に形成し、これらの基板間の間隔を絶縁性スペーサ層にて一定に保ちながら、1次巻線と2次巻線とが互い対向するようにこれらの基板を配置することで、空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3の1次巻線や2次巻線が形成される表面の平坦性や均一性を損なうことなく、その1次巻線と2次巻線との間の間隔を数十μm以上確保することができる。このため、微細加工技術にて空芯型絶縁トランスTU1〜TU3、TD1〜TD3を微細化することを可能としつつ、15〜30kVのESD耐量を確保することが可能となり、信頼性および耐環境性を向上させつつ、外部磁束に起因するノイズとしての影響を軽減するとともに、制御回路1と上アーム2および下アーム3とを電気的に絶縁しながら信号の授受を行うことが可能となる。
【0060】
図2は、本発明の第1実施形態に係る絶縁トランスの概略構成を示す断面図である。
図2において、絶縁トランスには、絶縁性基板111に形成された1次側コイル110と、半導体基板101に形成された2次側コイル100が設けられている。
ここで、2次側コイル100において、半導体基板101には引き出し配線層102が埋め込まれるとともに、半導体基板101上には、絶縁層103を介して2次コイルパターン104および電極パターン105、106が形成されている。なお、半導体基板101には、図1の保護機能付きゲートドライバIC7、8、アナログPWM変換器CU、CDなどの集積回路またはスイッチング素子SWU、SWDなどを形成するようにしてもよい。また、半導体基板101の材質としては、例えば、Si、Ge、SiGe、SiC、SiSn、PbS、GaAs、InP、GaP、GaNまたはZnSeなどの中から選択することができる。また、引き出し配線層102は、B、As、Pなどの不純物を半導体基板101に注入して形成された高濃度不純物拡散層を用いることができる。
【0061】
そして、2次コイルパターン104の中心部に配置された端部は、埋め込み配線107、引き出し配線層102および埋め込み配線108を介して電極パターン106に接続されている。また、2次コイルパターン104の外周部に配置された端部は、電極パターン105に接続されている。そして、2次コイルパターン104および電極パターン105、106上には、電極パターン105、106の接続面が露出されるようにして保護膜109が形成されている。なお、2次コイルパターン104および電極パターン105の材質はAlやCuなどの金属、保護膜109の材質はシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などを用いることができる。
【0062】
一方、1次側コイル110において、絶縁性基板111の第1の主面上には、1次コイルパターン113および電極パターン114が形成され、1次コイルパターン113および電極パターン114は、電極パターン114の接続面が露出するようにして絶縁層116にて覆われている。なお、絶縁性基板111としては、例えば、ガラス基板やセラミック基板や樹脂基板などを用いることができる。あるいは、Si基板などの半導体基板を用いるようにしてもよい。また、絶縁性基板111の素材が絶縁性を持たない場合、絶縁性を持たせるための絶縁層を表面に形成するようにしてもよい。
【0063】
一方、絶縁性基板111の第1の主面に対向する第2の主面上には、配線取り出し用の電極パターン115が形成され、電極パターン115は、絶縁性基板111に形成された貫通孔112を介して電極パターン114と接続されている。
そして、絶縁性基板111の第1の主面上には、電極パターン114、115の接続部が1次コイルパターン113および電極パターン114とともに覆われるようにして絶縁性スペーサ層117が積層され、絶縁性スペーサ層117上には接着層118が形成されている。
【0064】
なお、1次コイルパターン113および電極パターン114、115の材質はAlやCuなどの金属、保護膜116の材質はシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などを用いることができる。また、絶縁性スペーサ層117としては、フィルム状またはシート状の有機系絶縁層を用いることができ、例えば、ポリイミドフィルムを用いることができる。また、絶縁性スペーサ層117の厚みは20μm以上に設定することができ、人体の静電気に相当する15〜30kVのESD耐量を安定して確保するためには、絶縁性スペーサ層117の厚みは100μm以上に設定することが好ましい。また、接着層118としては、エポキシ樹脂などの接着フィルムを用いることができる。また、例えば、2次コイルパターン104および1次コイルパターン113の巻線幅は5〜10μm、厚みは3〜5μm、巻線の最外径は500μmとすることができる。
【0065】
そして、1次コイルパターン113が形成された絶縁性基板111は、1次コイルパターン113の形成面が半導体基板101に対向するようにして、接着層118にて半導体基板101上に固着されている。
そして、電極パターン105、106にボンディングワイヤを接続することにより、2次コイルパターン104からの引き出しを行うことができ、電極パターン115にボンディングワイヤを接続することにより、1次コイルパターン113からの引き出しを行うことができる。
【0066】
これにより、2次コイルパターン104や1次コイルパターン113が形成される表面の平坦性や均一性を損なうことなく、2次コイルパターン104や1次コイルパターン113との間の間隔を数十μm以上確保することが可能となるとともに、半導体プロセス技術によって2次コイルパターン104と1次コイルパターン113とを形成することが可能となる。このため、2次コイルパターン104や1次コイルパターン113との間隔を数十μm以上確保しつつ、絶縁トランスを半導体基板101上に集積化することができ、15〜30kVのESD耐量を確保した上で、信号伝送回路の小型化を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、2次コイルパターン104を半導体基板101に形成し、1次コイルパターン113を絶縁性基板111に形成する方法について説明したが、2次コイルパターン104を絶縁性基板111に形成し、1次コイルパターン113を半導体基板101に形成するようにしてもよい。
【0067】
図3および図4は、図2の絶縁トランスの1次側コイルの製造方法を示す断面図である。
図3(a)において、スパッタや蒸着などの方法により、導電膜121を絶縁性基板111上に形成する。なお、導電膜121の材質としては、AlやCuやAuやAgなどの金属を用いることができる。ここで、導電膜121の材質は、後工程とのプロセスの整合性や組立工程で必要な仕様を参考にして決定することができ、例えば、1次コイルパターン113からの配線の引き出しにワイヤボンディングを用いる場合には、Alを用いることが好ましい。また、導電膜121の膜厚は、コイル素子に必要な直流抵抗から決定することができ、例えば、3μm程度に設定することができる。また、1次コイルパターン113と絶縁性基板111との密着性を向上させるために、Alの下地層としてTiを形成するようにしてもよい。
【0068】
次に、図3(b)に示すように、スピンコートなどの方法にてフォトレジスト液を導電膜121上に塗布し、縮小投影露光法にてフォトレジスト液を露光し、その露光後に現像することで、1次コイルパターン113および電極パターン114に対応したレジストパターンR101を導電膜121上に形成する。なお、レジストパターンR101の膜厚は、後のエッチング工程に耐えることができるように設定することができる。また、1次コイルパターン113の線幅は、例えば、5μm、パターン間の間隔は、例えば、1μmに設定することができる。また、パターン間の間隔が3μmを超える場合、等倍露光装置を用いるようにしてもよい。
【0069】
次に、図3(c)に示すように、レジストパターンR101をマスクとしてRIE(反応性イオンエッチング)などの方法にて導電膜121をパターニングすることにより、1次コイルパターン113および電極パターン114を絶縁性基板111上に形成する。なお、導電膜121をパターニングする場合、RIE以外にも、イオンビームエッチング法やプラズマエッチング法などを用いるようにしてもよい。また、ウェットエッチング法やリフトオフ法を用いるようにしてもよい。
【0070】
次に、図3(d)に示すように、レジストパターンR101を薬品により1次コイルパターン113および電極パターン114から剥離し、1次コイルパターン113および電極パターン114を洗浄する。
次に、図3(e)に示すように、1次コイルパターン113および電極パターン114が形成された絶縁性基板111上に感光性ポリイミドを塗布し、プリベーク後、露光および現像を行うことにより、電極パターン114の接続面が露出されるようにして、1次コイルパターン113を覆う保護膜116を絶縁性基板111上に形成する。
【0071】
なお、保護膜116としては、感光性ポリイミド以外にも、非感光性ポリイミドやシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜などの無機材料を用いるようにしてもよい。例えば、保護膜116としてシリコン酸化膜を用いる場合、1次コイルパターン113および電極パターン114が形成された絶縁性基板111上にプラズマCVDなどの方法にてシリコン酸化膜を形成する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いることにより、電極パターン114の接続面を露出させる開口部をシリコン酸化膜に形成することができる。
【0072】
次に、図3(f)に示すように、サンドブラスト用のドライフィルムレジストを絶縁性基板111の両面にラミネートする。そして、ドライフィルムレジストを露光および現像することで、貫通孔112を作製するための穴あけ加工用マスクR102を絶縁性基板111の両面に形成する。なお、穴あけ加工用マスクR102の穴の径は、例えば、130μmとすることができる。
【0073】
次に、図3(g)に示すように、穴あけ加工用マスクR102を介して絶縁性基板111のサンドブラスト加工を行うことにより、絶縁性基板111に貫通孔112を形成する。なお、貫通孔112を形成する場合、サンドブラスト加工以外にも、レーザ加工、超音波加工、ドリル加工、ドライエッチング加工などを用いるようにしてもよい。これらの加工方法は、コスト、加工速度、加工可能な最小径などを考慮して選択することができる。
次に、図3(h)に示すように、穴あけ加工用マスクR102を絶縁性基板111から剥離し、絶縁性基板111を洗浄する。なお、穴あけ加工用マスクR102の穴の径を130μmとした場合、貫通孔112の寸法は絶縁性基板111の表面で160μmだった。
【0074】
次に、図4(a)に示すように、スパッタや蒸着などの方法により、貫通孔112の側壁および絶縁性基板111の両面に導電膜122を形成する。なお、導電膜122の材質としては、AlやCuやAuやAgなどの金属を用いることができる。また、電極パターン115と絶縁性基板111との密着性を向上させるために、Alの下地層としてTiを形成するようにしてもよい。
【0075】
次に、図4(b)に示すように、ドライフィルムレジストを絶縁性基板111の両面にラミネートする。そして、ドライフィルムレジストを露光および現像することで、電極パターン115に対応したレジストパターンR103を絶縁性基板111の両面に形成する。なお、レジストパターンR103を形成する方法としては、ドライフィルムレジストを用いる方法以外にも、絶縁性基板111にレジスト液を塗布する方法を用いてもよいが、絶縁性基板111に貫通孔112が形成されていることから、スピンコート法は適しておらず、スプレー塗布法を用いることが好ましい。
【0076】
次に、図4(c)に示すように、レジストパターンR103をマスクとしてRIE(反応性イオンエッチング)などの方法にて導電膜122をパターニングすることにより、貫通孔112を介して電極パターン114に接続された電極パターン115を絶縁性基板111上に形成する。なお、導電膜122をパターニングする場合、RIE以外にも、イオンビームエッチング法やプラズマエッチング法などを用いるようにしてもよい。また、ウェットエッチング法やリフトオフ法を用いるようにしてもよい。
【0077】
次に、図4(d)に示すように、レジストパターンR103を絶縁性基板111から剥離し、絶縁性基板111を洗浄する。
次に、図4(e)に示すように、1次コイルパターン113および電極パターン114が形成された絶縁性基板111の第1の主面上に絶縁性スペーサ層117を形成する。なお、絶縁性基板111の第1の主面上に絶縁性スペーサ層117を形成する場合、接着シートを介してポリイミドフィルムを絶縁性基板111の第1の主面上にラミネートすることができる。この場合、例えば、接着シートの膜厚は10μm、ポリイミドフィルムの膜厚は125μmとすることができる。そして、接着シートを介してポリイミドフィルムを絶縁性基板111の第1の主面上にラミネートした後に、200℃の温度で20分間の熱処理を行うことにより、熱硬化させることができる。
【0078】
また、絶縁性スペーサ層117としては、ポリイミドフィルム以外にも、液晶ポリマーフィルムやポリアミド樹脂フィルムなどの有機材料系樹脂フィルムを用いるようにしてもよい。あるいは、有機材料系樹脂フィルム以外にも、ガラス基板やセラミック基板などの無機材料を用いるようにしてもよい。これらの材料の選択は、各材料の絶縁特性を考慮して決定することができる。だたし、ガラスやセラミックスの絶縁耐圧は100〜150kV/mm、ポリイミドの絶縁耐圧は300〜400kV/mmであることから、同じ膜厚であれば、絶縁耐圧を確保する上ではポリイミドを用いることが好ましい。
【0079】
次に、図4(f)に示すように、絶縁性スペーサ層117上に接着層118を積層する。例えば、絶縁性スペーサ層117上に接着層118を積層した後に絶縁性基板111をダイシングしてチップ化し、1次コイルパターン113が形成された絶縁性基板111を半導体基板101上にマウントするために、DAF(ダイアタッチメントフィルム)テープを用いることができる。
【0080】
なお、1次コイルパターン113および2次コイルパターン104の線幅が5μm、パターン間の間隔が1μm、膜厚が3μm、絶縁性スペーサ層117として膜厚10μmの接着シートおよび膜厚125μmのポリイミドフィルムを用いた場合、ESD耐量は25kVだった。また、1次コイルパターン113と2次コイルパターン104との間の結合係数は0.4であり、トランスとして正常に動作した。なお、1次コイルパターン113と2次コイルパターン104との間の結合係数を上げるには、絶縁性スペーサ層117の膜厚を75μmや50μmに減少させればよいが、その分だけESD耐量が減少することから、絶縁性スペーサ層117の膜厚は、トランス特性とESD耐量を考慮して決定することができる。
【0081】
図5は、本発明の第2実施形態に係る絶縁トランスの1次側コイルの概略構成を示す断面図である。
図5において、絶縁性基板211の第1の主面上には、1次コイルパターン213および電極パターン214が形成され、1次コイルパターン213および電極パターン214は、電極パターン214の接続面が露出するようにして絶縁層216にて覆われている。なお、絶縁性基板211としては、例えば、ガラス基板やセラミック基板や樹脂基板などを用いることができる。あるいは、Si基板などの半導体基板を用いるようにしてもよい。また、絶縁性基板211の素材が絶縁性を持たない場合、表面に絶縁性を持たせるための絶縁層を形成するようにしてもよい。
【0082】
一方、絶縁性基板211の第1の主面に対向する第2の主面上には、配線取り出し用の電極パターン215が形成され、電極パターン215は、絶縁性基板211に形成された貫通孔212を介して電極パターン214と接続されている。
そして、絶縁性基板211の第1の主面上には、電極パターン214、215の接続部が1次コイルパターン213および電極パターン214とともに覆われるようにして絶縁性被膜219が形成されている。そして、絶縁性被膜219上には絶縁性スペーサ層217が積層され、絶縁性スペーサ層217上には接着層218が形成されている。
【0083】
なお、1次コイルパターン213および電極パターン214、215の材質はAlやCuなどの金属、保護膜216の材質はシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などを用いることができる。また、絶縁性スペーサ層217としては、フィルム状またはシート状の有機系絶縁層を用いることができ、例えば、ポリイミドフィルムを用いることができる。また、絶縁性スペーサ層217の厚みは20μm以上に設定することができ、15〜30kVのESD耐量を安定して確保するためには、絶縁性スペーサ層217の厚みは100μm以上に設定することがコンマしい。また、接着層218としては、エポキシ樹脂などの接着フィルムを用いることができる。また、絶縁性被膜219は、例えば、ポリイミド層をスピンコートにて形成するようにしてもよいし、シリコン酸化膜をスパッタにて形成するようにしてもよい。
【0084】
そして、1次コイルパターン213が形成された絶縁性基板211は、1次コイルパターン213の形成面が図2の半導体基板101に対向するようにして、接着層218にて半導体基板101上に固着することができる。
これにより、ESDにて印加される電圧を絶縁性スペーサ層217と絶縁性被膜219との2層構造にて受け持たせることができ、ESD耐量をより一層向上させることができる。
【0085】
なお、1次コイルパターン113、213がそれぞれ形成された絶縁性基板111、211は、絶縁性スペーサ層117、217よりも比誘電率が大きいことが好ましい。例えば、絶縁性基板111、211としてガラス基板、絶縁性スペーサ層117、217としてポリイミドフィルムを用いた場合、ガラスの比誘電率は6程度、ポリイミドの比誘電率は3〜4程度であるため、絶縁性基板111、211は、絶縁性スペーサ層117、217よりも比誘電率が大きくなる。
【0086】
そして、絶縁性基板111、211は、絶縁性スペーサ層117、217よりも比誘電率が大きい場合、ESDの電圧が印加されると、絶縁性スペーサ層117、217の表面で電界が緩和され、ESDにて印加される電圧よりも絶縁性スペーサ層117、217に実際に印加される電圧を小さくすることが可能となることから、ESD耐量を向上させることができる。
例えば、図1の絶縁性スペーサ層117として膜厚125μmのポリイミドフィルム(比誘電率=3.9)を用いた場合、絶縁性基板111の比誘電率が6→8→10と上昇するに従って、25kV→26kV→27kVとESD耐量を増加させることができた。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る絶縁トランスが適用される昇降圧コンバータ用インテリジェントパワーモジュールの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る絶縁トランスの概略構成を示す断面図である。
【図3】図2の絶縁トランスの1次側コイルの製造方法を示す断面図である。
【図4】図2の絶縁トランスの1次側コイルの製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る絶縁トランスの1次側コイルの概略構成を示す断面図である。
【図6】従来の昇降圧コンバータを用いた車両駆動システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】図6の昇降圧コンバータの概略構成を示すブロック図である。
【図8】昇圧動作時に図7のリアクトルに流れる電流の波形を示す図である。
【図9】従来の昇降圧コンバータ用インテリジェントパワーモジュールの概略構成を示すブロック図である。
【図10】フォトカプラの周辺回路の概略構成を示すブロック図である。
【図11】フォトカプラの電流変換効率の温度特性を示す図である。
【図12】フォトカプラの電流変換効率の経時劣化特性を示す図である。
【図13】フォトカプラの電流変換効率のバラツキを示す図である。
【図14】図14(a)は、従来の絶縁トランスの概略構成を示す断面図、図14(b)は、図14(a)の絶縁トランスの概略構成を示す平面図である。
【図15】従来の絶縁トランスの製造方法を示す断面図である。
【図16】従来の絶縁トランスの製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 制御回路
2 上アーム
3 下アーム
4 CPU
5、6 IGBT
7、8 保護機能付きゲートドライバIC
TU1〜TU3、TD1〜TD3 絶縁トランス
DU1、DU2、DD1、DD2 ダイオード
RU1、RU2、RD1、RD2 抵抗
CU、CD アナログPWM変換器
101 半導体基板
12、22、102 引き出し配線層
103、116 絶縁層
104 2次コイルパターン
111、211 絶縁性基板
113、213 1次コイルパターン
R101、R103 レジストパターン
R102 穴あけ加工用マスク
H1、13a、H11〜H13、23a 開口部
100 2次側コイル
110 1次側コイル
105、106、114、115、214、215 電極パターン
107、108 埋め込み配線
109 保護膜
112、212 貫通孔
117、217 絶縁性スペーサ層
118、218 接着層
121、122 導電膜
219 絶縁性被膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次巻線と2次巻線のうちの一方が形成された半導体基板と、
前記1次巻線と前記2次巻線のうちの他方が形成され、前記1次巻線と前記2次巻線とが互いに対向するように前記半導体基板に対して配置された絶縁性基板と、
前記半導体基板と前記絶縁性基板の間を一定の間隔に保つようにして、前記1次巻線と前記2次巻線とを絶縁分離する絶縁性スペーサ層とを備えることを特徴とする絶縁トランス。
【請求項2】
前記絶縁性基板に形成された貫通孔と、
前記1次巻線または前記2次巻線が形成された前記絶縁性基板の第1の主面と対向する第2の主面に形成され、前記貫通孔を介して前記1次巻線または前記2次巻線と接続された配線取り出し用の電極とを備えることを特徴とする請求項1記載の絶縁トランス。
【請求項3】
前記絶縁性スペーサ層は、フィルム状の有機系絶縁層であることを特徴とする請求項1または2記載の絶縁トランス。
【請求項4】
前記有機系絶縁層はフィルム状のポリイミド層であることを特徴とする請求項3記載の絶縁トランス。
【請求項5】
前記1次巻線または前記2次巻線が形成された絶縁性基板は前記絶縁性スペーサ層よりも比誘電率が大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の絶縁トランス。
【請求項6】
前記1次巻線または前記2次巻線が覆われるようにして前記絶縁性スペーサ層下に形成された絶縁性被膜をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の絶縁トランス。
【請求項7】
上アーム用および下アーム用としてそれぞれ作動するように互いに直列に接続され、負荷へ流入する電流を通電および遮断する1対のスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の導通および非導通を指示する制御信号を生成する制御回路と、
前記制御信号に基づいて前記スイッチング素子の制御端子を駆動する駆動回路と、
前記制御回路と前記駆動回路とが絶縁されるように1次巻線と2次巻線とが互いに対向配置され、前記1次巻線と前記2次巻線とがフィルム状の有機系絶縁層にて互いに絶縁分離された絶縁トランスとを備えることを特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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