説明

継手への二重管の接続構造

【課題】継手との接続部において、外管の先端開口から該外管と内管との間の空気が外部に流出入するのを確実に防止し、もって、二重管構造による断熱効果を高めるとともに、前記外管の先端開口から塵埃、ごみ等の異物が侵入するのを防止する。
【解決手段】可撓性を有する断熱発泡層25を備えた被覆管24からなる外管の内部に可撓性を有する内管としての流体管11が挿通された二重管を継手1に接続するものであって、流体管11の端部が、継手1の内側接続部5に接続されるとともに、内側接続部5に接続された流体管11の外面と被覆管24の内面との間の空間が外部に臨まないように、被覆管24の端部が、継手1の内側接続部5の外側に形成された外側接続部6に接続されるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓継手、ヘッダー等の分岐継手、水栓エルボ、チーズジョイントなどの継手に、通水管、流体管、給水管、給湯管などの可撓性を有する内管と、該内管に外挿してこれを保護する可撓性を有する断熱発泡層を備えた被覆管からなる外管とからなる二重管を接続する継手への二重管の接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、屋内の台所流し、洗面、トイレ、浴室、給湯器などの水栓設備、機器においては、例えば、図21に示すように、台所流し41の水栓バルブ42の配管接続部に継手43が接続され、この継手43に給水管44及び給湯管45が接続されて給水、給湯が行なわれている。前記給水管44及び給湯管45は外部からの損傷を防止して保護し、また、給水管においては結露の発生を防止し、給湯管においては保温するため、波付鞘管46や断熱発泡層を備えた被覆管によって外側を被覆されている。即ち、給水管44や給湯管45等の内管と波付鞘管46や被覆管等の外管との二重管構造の配管となっている。前記給水管44、給湯管45及び波付鞘管46等は通常熱伝導率が小さく可撓性を有する合成樹脂で形成され、かつ、前記内管と外管との隙間には空気層が介在している。このため、断熱効果が高められ、給水の場合では前記結露の発生が防止され、給湯の場合では保温効果が高められている。
【0003】
この種の継手への給水管等の接続構造に関しては、例えば、特開平9−100560号公報に開示されている。図22は従来の継手への給水管等の接続構造を示し、前記給水管44及び給湯管45を台所流し41の水栓バルブ42に接続するための継手43は、前記水栓バルブ42の配管接続部が螺着される螺着部47と、鍔部48と、外径が前記給水管44等より僅かに大きく形成されて該給水管44等が圧入によって外挿される接続部49とを備え、更に、前記給水管44等が圧入された後、締付リング50によって該給水管44等の外面を締付けて強固に接続するものとなっている。前記給水管44等を前記継手43に接続するには、外側の波付鞘管46の端部を圧縮するなどして前記給水管44等を外部に露出させた状態で、前記継手43の接続部49の外径より僅かに小さい内径を有する給水管44等を工具等で拡径しつつ該継手43の接続部49の外面に圧入し、次いで、前記締付リング50を押し上げて締付けて前記給水管44等を挟持した後、前記波付鞘管46の端部の圧縮を解除して、上方に戻す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−100560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の継手への給水管等の接続においては、図22に示すように、外管である波付鞘管46はその端部において内管である給水管44や前記継手43に固定されてわけではなく、前記波付鞘管46の内径より小さい外径の給水管等に対して長手方向に自在に移動し得る状態で単に該給水管等の外側に配置されているにすぎない。また、前記波付鞘管46の内径は通常前記締付リング50等の外径より小さいため、前記締付リング50を覆う位置まで押上げられて外側を覆う構成ともなっていない。このため、前記波付鞘管46の先端部は前記継手43の下端部からある程度下方に離間した状態で配置されていることが多い。
【0006】
したがって、前記波付鞘管46の先端開口は給水管44の外面や締付リング50の外面との間で隙間を生じ、この先端部において、給水管44と波付鞘管46との間の空間が外部に臨むこととなる。その結果、前記波付鞘管46の先端部の隙間から、前記給水管4と波付鞘管46との隙間内の空気が、図22の実線矢印で示すように、外部に流出し、また、外部の空気が前記波付鞘管45の先端部の隙間から前記二重管の空間内に流入することとなる。すると、給水管44の内外温度差が拡大し、二重管の空間内の空気層による断熱効果が低下してしまい、給水管44の場合には結露を生じ易くなり、給湯管45の場合には本効果が低下することとなる。また、波付鞘管46の先端開口の隙間から塵埃、ごみ、虫等の異物が内部に侵入することとなる。
【0007】
そこで、本発明は、継手との接続部において、外管の先端開口から該外管と内管との間の空気が外部に流出入するのを確実に防止し、もって、二重管構造による断熱効果を高めることができるとともに、前記外管の先端開口から塵埃、ごみ等の異物が侵入するのを防止できる継手への二重管の接続構造の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の継手への二重管の接続構造は、可撓性を有する断熱発泡層を備えた被覆管からなる外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管を継手に接続するものであって、前記内管の端部が、前記継手の内側接続部に接続されるとともに、前記内側接続部に接続された内管の外面と前記外管の内面との間の空間が外部に臨まないように、前記外管の端部が、前記継手の内側接続部の外側に形成された外側接続部に接続されるものである。
【0009】
前記二重管は内管を外管内に自在に挿通することができ、内管の外面と外管の内面との間には所定の隙間が形成され、その隙間内に空気層が介在する。前記可撓性を有する内管及び外管は一般には熱伝導率の小さい合成樹脂材で形成されている。
【0010】
前記継手の内側接続部及び外側接続部は、具体的には、内管が接続される受口側に同心円状に突出する円筒状に形成されており、前記外管が外側接続部に接続された状態においては、内側接続部に接続された内管の外面と前記外管の内面との間の空間が外部に臨まないようになっている。即ち、継手の外側接続部は内管と外管との隙間内の空気が先端開口から外部に流出入しないように形成されている。
【0011】
ここで、前記内管は内面が前記継手の内側接続部の外面に外嵌或いは外接した状態で外挿され、または、外面が前記継手の内側接続部の内面に内嵌或いは内接した状態で内挿される。同様に、前記外管も、その内面が前記継手の外側接続部の外面に外嵌或いは外接した状態で外挿され、または、外面が前記継手の外側接続部の内面に内嵌或いは内接した状態で内挿される。
【0012】
請求項2の継手への二重管の接続構造は、外側接続部に外管が外挿されるべく、前記継手の外側接続部の受口側に、該外管の内径と同一の外径を有する外周部が形成されている。ここで、継手の外側接続部への外管の外挿は、前記外側接続部の外周部の外面に外嵌或いは外接した状態で行なわれる。また、外側接続部の外周部は外管の内径と同一に形成されているが、前記同一は、完全同一である必要はなく、外管を外挿したときにそのまま継手の外側接続部の外周部に外嵌或いは外接できる程度の同一性のものであればよく、大小いずれか側に僅かに異なる略同一のものが含まれる。例えば、外側接続部の外周部の外径が外管の内径より若干大きくても、外管を強制的に圧入することによって密接状態で外挿することができ、大きな密着強度を得ることができる。
【0013】
請求項3の継手への二重管の接続構造は、外側接続部に、断熱発泡層を有する外管が外挿されるべく、継手の外側接続部の受口側に、該外管の内径より小さい外径を有する外周部が形成されるとともに、前記外周部に、外側から締付部材が締付けられる被締付部を有している。そして、前記外側接続部の外周部に外挿された外管が、外側から締付部材により締付けられて、該断熱発泡層が前記外側接続部の外周部の外面に密接し、前記外側接続部に接続されるものである。即ち、請求項2の継手の外側接続部が外管の内径と同一の外径に形成されているのに対し、請求項3の継手の外側接続部は外管の内径より小さい外径に形成されており、外側から締付部材により締付けられることによって、外管の断熱発泡層が前記外側接続部の外周部の外面に密接して前記外側接続部に接続されるようになっている。
【0014】
請求項4の継手への二重管の接続構造は、外周部の外面に、外管の内面と係合する係合部が設けられている。前記係合部は、具体的には、被覆管の断熱発泡層に食い込む突起で形成され、外管が継手から抜脱するのを防止する。ここで、前記係合部は、外管の端部を外側接続部に接続したときに該外管の外面と係合して抜脱を防止するものの他、断熱発泡層を有する被覆管の外管の外面にバンド等の締付部材を締付けて該外管を縮径することによって該外管の断熱発泡層と係合する、即ち、該締付部材と協調して抜脱を防止するものが含まれる。
【0015】
請求項5の継手への二重管の接続構造は、内管の端部が、内側接続部と外側接続部との間隙に挿入されて該内側接続部に外挿されるものである。
【0016】
請求項6の継手への二重管の接続構造は、内側接続部及び外側接続部が同一円筒部に形成され、内管の端部は前記内側接続部に内挿されるとともに、外管の端部は前記外側接続部に外挿されるものである。即ち、前記継手の内側接続部及び外側接続部は1個の円筒部に一体に形成され、前記内側接続部は前記円筒部において内部側に形成され、前記外側接続部は前記同一の円筒部において外部側に形成されている。
【0017】
請求項7の継手への二重管の接続構造は、外側接続部に外管が内挿されるべく、前記継手の外側接続部の受口側に、該外管の外径と同一の内径を有する内周部が形成されている。請求項2では外側接続部に外管が外挿されるのに対し、請求項7の接続構造では内挿される点で相違する。内挿は、前記外側接続部の内周部の内面に内嵌或いは内接した状態で行なわれる。外側接続部の内周部は外管の外径と同一に形成されているが、請求項2と同様に、完全同一に限られるものではなく、僅かにいずれか側に異なっているものが含まれる。例えば、外側接続部の外周部の内径が外管の外径より若干小さくても、外管を強制的に圧入することによって密接状態で内挿することができ、大きな密着強度を得ることができる。
【0018】
請求項8の継手への二重管の接続構造は、内周部の内面に、外管の外面と係合する係合部が設けられている。前記係合部は、具体的には、被覆管の断熱発泡層に食い込む突起などで形成され、外管が継手から抜脱するのを防止する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明は、内管の外面と外管の内面との間の空間が外部に臨まないように、前記外管の端部が継手の外側接続部に接続されるから、内管と外管との間の空気が該外管の先端開口から外部に流出入するのを防止できる。このため、二重管構造による断熱効果を高めることができ、給水管の場合は結露を防止でき、給湯管の場合は保温効果を高めることができる。また、前記外管の先端開口から塵埃、ごみ等の異物が侵入するのを防止することができる。
【0020】
そして、継手に一体に設けられた外側接続部に外管の端部が接続されるように構成されているから、別途に閉塞部材、封止部材等を用いることなく、簡易な接続構造で安価にしかも作業性良く簡単に、内管と外管との間の空気が外部に流出入するのを防止することができる。
【0021】
更に、継手と内管及び外管との接続部において、外管は継手の外側接続部に接続されるとともに、内管と外管との間には継手に一体に設けられた外側接続部または内側接続部が介入し、内管と外管とは半径方向に一定距離離間し、その間隔が維持される構造となっている。このため、側方から継手の受口を支点として外管及び内管を折曲するような管軸に対して直交方向の曲げの外力が加わったとしても、外管が継手に接続されて内管を保護し、前記外力が直接該内管に作用するのを防いでいる。
【0022】
請求項2の発明は、外側接続部に外管が外挿されるべく、継手の外側接続部の受口側に、該外管の内径と同一の外径を有する外周部が形成されているから、外管を継手の外側接続部に外嵌、外接状態で外挿することができ、請求項1と同様の効果を得ることができる。
【0023】
請求項3の発明は、継手の外側接続部の受口側に、断熱発泡層を有する外管の内径より小さい外径を有する外周部が形成されるとともに、前記外側接続部の外周部に外挿された外管が、外側から締付部材により締付けられて接続されるから、外側接続部の外径が外管の内径より小さくても、締付部材により締付けることによって、内管と外管との間の空間が該外管の端部開口から外部に臨まないようにすることができ、請求項1と同様の効果を得ることができる。
【0024】
請求項4の継手への二重管の接続構造は、外周部の外面に、外管の内面と係合する係合部が設けられているから、前記外管が継手から抜脱するのを確実に防止できる。また、前記係合部において、内管と外管との間の空気が該外管の先端開口から外部に流出入するのを防止することも可能である。
【0025】
請求項5の継手への二重管の接続構造は、内管の端部が、内側接続部と外側接続部との間隙に挿入されて該内側接続部に外挿されるから、前記内管は前記内側接続部と外側接続部との間隙に挿入するだけで簡単に該内側接続部に外挿して継手に接続することができる。
【0026】
請求項6の発明は、内側接続部及び外側接続部が同一円筒部に形成され、内管の端部は前記内側接続部に内挿されるとともに、外管の端部は前記外側接続部に外挿されるから、特に、継手の受口側には円筒部は1個のみ形成され、継手は簡易な構成となり、安価に形成できる。
【0027】
請求項7の発明は、外側接続部に外管が内挿されるべく、前記継手の外側接続部の受口側に、該外管の外径と同一の内径を有する内周部が形成されているから、請求項1及び請求項2と同様の効果が得られる。
【0028】
請求項8の発明は、内周部の内面に、外管の外面と係合する係合部が設けられているから、請求項4と同様に、外管が継手から抜脱するのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第一実施形態における継手への二重管の接続構造を示す一部破断正面図である。
【図2】図1の継手を示し、(a)はその正面図、(b)は底面図である。
【図3】図2の継手の分解正面図である。
【図4】図1の継手に二重管を接続した状態を示す一部破断正面図である。
【図5】図1の変形例の接続構造を示す一部破断正面図である。
【図6】図5の継手に二重管を接続した状態を示す一部破断正面図である。
【図7】図1の別の変形例の接続構造を示す一部破断正面図である。
【図8】図7の継手に二重管を接続した状態を示す一部破断正面図である。
【図9】図1の更に別の変形例の継手を示す一部破断正面図である。
【図10】本発明の第二実施形態における継手への二重管の接続構造を示す一部破断正面図である。
【図11】図10の継手に二重管を接続した状態を示す一部破断正面図である。
【図12】図10の別の接続構造を示す一部破断正面図である。
【図13】図12の継手に二重管を接続した状態を示す一部破断正面図である。
【図14】図12の継手の変形例を示す一部破断正面図である。
【図15】本発明の第三実施形態における継手に二重管を接続した状態を示す一部破断正面図である。
【図16】図15の別の継手に二重管を接続した状態を示す一部破断正面図である。
【図17】本発明の第四実施形態における継手への二重管の接続構造を示す一部破断正面図である。
【図18】図17の継手に二重管を接続した状態を示す一部破断正面図である。
【図19】図17の変形例の接続構造を示す一部破断正面図である。
【図20】本発明の第五実施形態における継手への二重管の接続構造を示す一部破断正面図である。
【図21】台所流しにおける従来の継手への二重管の接続構造を示す斜視図である。
【図22】図21における従来の継手への二重管の接続構造を示す一部破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〈第一実施形態〉
以下、本発明の第一実施形態における継手への二重管の接続構造を図1乃至図9に基づいて説明する。ここで、図1は本発明の第一実施形態における継手への二重管の接続構造を示す一部破断正面図、図2は図1の継手を示し、(a)はその正面図、(b)は底面図、図3は図2の継手の分解正面図、図4は図1の継手に二重管を接続した状態を示す一部破断正面図である。
【0031】
図1乃至図4において、継手1の受口7側には、内管である給水管、給湯管等の流体管11が外管である波付鞘管21内に挿通されてなる二重管が接続されるようになっている。前記流体管11は屋内の台所流し、給湯器、浴室、トイレ、洗面等に給水、給湯するものであり、前記波付鞘管21は前記流体管11の外側を覆って該流体管11を保護するとともに保温効果を高めるものである。
【0032】
前記継手1は水栓、給湯器等の各種設備、機器の配管接続部が螺着される、雄ねじで形成された螺着部2と、中間部に形成された六角ナット状の鍔部3と、前記螺着部2とは反対側にあって前記二重管が接続される受口7側に形成された接続部4とを備えている。更に、前記接続部4は前記流体管11が接続される内側接続部5と前記波付鞘管21が接続される外側接続部6とで形成されている。前記内側接続部5及び外側接続部6はそれぞれ円筒状に形成され、一定間隔をおいて同心円状に配設され、前記内側接続部5と外側接続部6との間に均一な隙間が形成され、この隙間内に前記流体管11が挿入できるようになっている。前記継手1は金属材を切削加工等によって形成されている。なお、前記鍔部3の受口7側の平面部3aには該受口7側に突出する所定高さの円筒状の取着部3bが一体に立設されており、更に、前記取着部3bの外面には後述する外側接続部6の内面6aに形成された雌ねじ部6bと螺着する雄ねじ部3cが螺設されている。
【0033】
更に、具体的に説明すると、前記継手1の内側接続部5は前記螺着部2及び鍔部3と一体に形成されており、受口7側に突設されている。そして、前記内側接続部5は内径d1を有する貫通孔の内面5aが平滑曲面に形成されているとともに、外径d2の外面5bの長さ方向の2箇所に環状溝5cが設けられ、この環状溝5cにはOリング8が嵌入されている。また、前記外面5bにおける前記環状溝5cから離間した位置にはロックリング9が取付けられている。
【0034】
一方、前記継手1の外側接続部6は、図3に示すように、前記螺着部2、鍔部3及び内側接続部5からなる継手1の本体部分とは別体に円筒状に形成されている。別体としたのは、内側接続部5と外側接続部6との隙間が小さいため、切削による一体加工が困難であるという加工上の問題による。更に、前記外側接続部6は内径d3を有し、内面6aが平滑曲面に形成されているとともに、前記内面6aの鍔部3側の端部には雌ねじ部6bが螺設されていて、前記鍔部3の取着部3bの外面に形成された雄ねじ部3cに螺着することにより一体に接合されている。前記内側接続部5の外側に外側接続部6が所定距離離間して同心円状に配置されて接続部4が構成されている。
【0035】
ここで、前記外側接続部6の内径d3は流体管11の外径d2より僅かに大きく形成されており、内側接続部5と外側接続部6との狭い間隙内に前記流体管11の端部を円滑に挿入できるようになっている。なお、前記外側接続部6も金属材を加工することによって形成されるが、これに限られるものではなく、硬質合成樹脂材を使用して形成してもよい。この場合は、継手1全体も硬質合成樹脂製とすることにより、前記外側接続部6は継手1の本体部分とともに一体成形できる。
【0036】
また、前記外側接続部6の外面6cは、図3に示すように、外径d4に形成されているが、前記外面6cのうち受口7側の先端から前記鍔部3側に向けた長さlの範囲は前記外径d4より僅かに小さい外径d5に形成されている。この外径d5に形成されている部分の外面6cは波付鞘管21の端部が外嵌状態で外挿される外周部6dを形成している。前記外周部6dの外径d5は後述する波付鞘管21の図4で示す谷部23の内径D3と略同一径、厳密には前記内径D3より僅かに大きい径に形成されており、前記波付鞘管21を前記継手1の外側接続部6の外周部6dに外挿したとき、前記波付鞘管21は僅かに弾性的に拡径しつつ前記外側接続部6の外周部6dに外嵌されることとなる。そして、外挿された状態においては、前記波付鞘管21の谷部23は前記外側接続部6の外周部6dの外面6cに当接し、この当接部において流体管11と波付鞘管21との間の空気が外部に流出入するのを阻止するようになっている。ここで、前記外側接続部6の外周部6dの外径d5は波付鞘管21の谷部23の内径D3と略同一径、厳密には前記内径D3より僅かに大きい径に形成されているが、請求項2の「同一」に該当するものとする。
【0037】
更に、前記外側接続部6の外周部6dにおける受口7側の端部には環状凹溝6fが設けられており、前記波付鞘管21を外挿したとき、1箇所の谷部23が嵌入するようになっている。この環状凹溝6f及び該環状凹溝6fを形成している受口7側の壁面6gによって係合部6eが構成されており、前記径合部6eは外挿後の前記波付鞘管21を一定位置に保持し、この波付鞘管21が継手1から受口7側に移動して抜脱するのを防止している。
【0038】
次に、前記継手1の内側接続部5に接続される内管としての流体管11は可撓性を有し、熱伝導率の小さいポリエチレン管、ポリブテン管等の合成樹脂管で形成されており、有色材または半透明色材が使用されて後述する継手1の外側接続部6の挿入確認窓6hから外挿された先端位置を視覚により確認することができる。図4に示す前記流体管11の内径D1は前記継手1の内側接続部5の外径d2より僅かに小さい径に形成され、受口7側から圧入することにより、前記継手1の内側接続部5に接続されるようになっている。また、前記流体管11の外径D2は継手1の外側接続部6の内径d3と同一または僅かに小さく形成されており、前記継手1の外側接続部6内に挿入できるようになっている。
【0039】
一方、前記継手1の外側接続部6に接続される外管としての波付鞘管21は硬質合成樹脂を使用して外枠が山部22及び谷部23による凹凸に形成され、これにより、可撓性を有するものとなっている。なお、前記波付鞘管21の谷部23は内径D3、山部22は外径D4に形成されている。
【0040】
次に、上記のように構成された継手1に二重管を接続する方法を説明する。
まず、継手1の内側接続部5に流体管11を接続する。この際、外管である波付鞘管21は外面の凹凸を利用して長さ方向にある程度伸縮できるので、流体管11の接続に先立ち、端部を圧縮して押下げ、前記流体管11の端部を所定長さ外部に露出させる。この状態で、工具を使用するなどして前記流体管11を前記内側接続部5と外側接続部6との間に挿入しつつ該内側接続部5の外面5bに強制的に差し込み、先端を奥側突当部に当接させる。このとき、外側接続部6の内径d3は流体管11の外径d2より僅かに大きく形成されているので、前記流体管11は内側接続部5と外側接続部6との狭い間隙内に円滑に挿入し、内側接続部5に接続することができる。
【0041】
この外挿された状態においては、流体管11の内径D1は継手1の内側接続部5の外径d2より僅かに小さいので、前記流体管11の内面は前記継手1の内側接続部5の外面5bに密着する。同時に、前記流体管11の内面が継手1の内側接続部5のOリング8と密接するとともに、ロックリング9と係止する。これらの結果、継手1の内側接続部5から流体管11内の水、温水等の流体が外部に漏出するのが確実に防止されるとともに、前記流体管11が継手1の内側接続部5から抜脱するのが防止される。また、前記外側接続部6の内径d3は流体管11の外径d2より僅かに大きく形成されているにすぎないので、前記外側接続部6の内面6aが流体管11の拡開を阻止し、前記流体管11が内側接続部5の外面5bから離間して止水性が低下するのが防止される。
【0042】
次いで、波付鞘管21の端部の圧縮を解除し、元の状態に復帰させつつ、前記継手1の外側接続部6の外面6cにおける外周部6dに外挿する。このとき、波付鞘管21の谷部23の内径D3は前記継手1の外側接続部6の外周部6dの外径d5と略同一、厳密には前記外径d5より僅かに小さいので、僅かに拡径しつつ前記外周部6dに外嵌されることとなる。そして、図4に示すように、前記外側接続部6の外周部6dの全長に至って波付鞘管21が外嵌されると、前記波付鞘管21の端部の1箇所の谷部23が前記外側接続部6の外周部6dに設けられた環状凹溝6f内に嵌入した状態となる。その結果、係合部6eを構成する前記環状凹溝6f及び壁面6gが前記波付鞘管21を一定位置に保持してその移動を阻止し、外側接続部6からの抜脱を防止する。また、この外嵌状態においては、前記波付鞘管21の谷部23は前記継手1の外側接続部5の外周部6dにおける外面6cに当接するとともに係合部6eと係合するので、この部分で波付鞘管21の先端開口は閉塞される。
【0043】
次に、本実施形態における継手への二重管の接続構造の作用を説明する。
継手1の外側接続部6の外面6cには、波付鞘管21の谷部23の内径D3と同一、厳密には前記内径D3より僅かに大きい外径d5を有する外周部6dが形成されているから、前記継手1の外側接続部6に端部が外嵌された前記波付鞘管21は谷部23が前記継手1の外側接続部6の外周部6dにおける外面6cと当接し、この部分で流体管11と波付鞘管21との間の空間が閉塞され、外部に臨まないものとなる。このため、流体管11と波付鞘管21との間の空気が外部に流出入するのが防止される。
【0044】
その結果、前記流体管11と波付鞘管21との空間内の空気が外部に自由に流出入する場合には、波付鞘管21の外部の空気が前記空間内に流入することにより、前記空間内の温度が著しく変化し、前記空間内の空気と流体管11内の流体との温度差が拡大し、二重管による断熱効果が低下して、結露が生じ易くなったり、保温効果の低下を招いてしまうところ、本実施形態においてはそのような不具合を生じない。即ち、流体管11と波付鞘管21との空間が外部と遮断される結果、温度差のある波付鞘管21の外部の空気が前記空間内に流入するのが阻止されるので、前記空間内の空気の温度変化が抑えられて前記空気による断熱効果が確保され、前記流体管11が給水管の場合には結露の発生を防止でき、給湯管の場合には湯水の保温効果が得られる。
【0045】
また、流体管11と波付鞘管21との間の空間が閉塞されることにより、外部から塵埃、ごみ、虫等の異物が波付鞘管21内に侵入するのが防止される。
【0046】
更に、流体管11に亀裂等が生じて漏水する事故が発生したときは、その水が波付鞘管21の先端開口から外部に溢れ出るのを防止できる。
【0047】
加えて、前記流体管11と波付鞘管21との空間は、継手1を構成する外側接続部6によって閉塞しており、別途専用の閉塞部材、封止部材等を取付ける必要がないため、簡易な接続構造で本発明の効果が得られる。
【0048】
また、継手1と流体管11及び波付鞘管21との接続部において、前記波付鞘管21は継手1の外側接続部6に接続されるとともに、前記流体管11と波付鞘管21との間には前記外側接続部6が介入し、前記流体管11と波付鞘管21とは半径方向に一定距離離間し、その間隔が維持されている。このため、側方から継手1の受口7を支点として波付鞘管21及び流体管11を折曲するような管軸に対して直交方向の曲げの外力が加わったとしても、硬質樹脂製で剛性の大きい波付鞘管21が継手1に接続されて流体管11を保護し、前記外力が直接該流体管11に作用するのを防いでいる。即ち、仮に、波付鞘管21はその先端が継手1の下端と同一またはそれより下方に位置するのみで該継手1に接続されておらず、或いは、流体管11と波付鞘管21との間が所定距離離間していないとすれば、側方から管軸に対して直交方向の外力が加わったとき、その外力は流体管11にまで及ぶこととなる。そして、そのために、前記流体管11が折曲して通水、通流が遮断したり、前記流体管11が損傷したりするおそれがあるところ、本願発明に係る接続構造においてはそのような不具合を生じない。
【0049】
そして、継手1の外側接続部6の外周部6dに、波付鞘管21の谷部23と係合する係合部6eが設けられているから、前記波付鞘管21が長手方向に移動するのが阻止され、継手1から抜脱するのが防止される。また、前記波付鞘管21の移動が阻止されることにより、常に前記波付鞘管21の端部は前記継手1の外側接続部6の外周部6dの一定位置に保持され、安定した外嵌状態が得られる。
【0050】
ところで、上記実施形態において、継手1の外側接続部6の外周部6dに設けられた係合部6eは該外周部6dにおいて1箇所に設けられ、波付鞘管21における1箇所の谷部23が嵌入するものとしているが、これに限られるものではなく、例えば、図5及び図6に示すように、前記継手1の外側接続部6の外周部6dにおいて複数箇所、図5及び図6では3箇所に設けられ、前記波付鞘管21における複数箇所、図5及び図6では3箇所の谷部23が嵌入するものとしてもよい。この場合は、波付鞘管21の抜脱防止効果がより高まる。
【0051】
また、上記実施形態において、継手1の外側接続部6の外面6cに形成されて波付鞘管21の端部が接続される外周部6dは、受口7側の端部に長さlの範囲で形成されているが、これに限られるものではなく、例えば、図7及び図8に示すように、前記外側接続部6の外面6cの全長に至って形成してもよい。この場合は、前記外側接続部6の外面6cと前記波付鞘管21の谷部23との当接箇所が増加するから、流体管11と波付鞘管21との空間内の空気が外部に流出入するのを防止する効果がより高まる。
【0052】
更に、上記実施形態の継手1の外側接続部6は、別体の円筒状に形成し、鍔部3側の端部の内面6aに螺設した雌ねじ部6bを、鍔部3の平面部3aに円筒状の取着部3bを立設してこの外面に螺設した雄ねじ部3cに螺合することにより、継手1の本体部分に接合し、一体化しているが、前記取着部3bを立設することなく、例えば、図9に示すように、前記鍔部3の平面部3aに円環状の台座3dを一体に形成するとともに該台座3dの外面に雄ねじ部3eを螺設し、この雄ねじ部3eに前記外側接続部6の雌ねじ部6bを螺合してもよい。但し、外側接続部6を前者の鍔部3の取着部3bに螺着して一体化するものは、取着部3bを立設する必要はあるものの、雄ねじ部を長く形成できるので、螺着面積が前記台座3dの外面に形成した場合より大きくなり、外側接続部6を内側接続部5に対してより安定して同心円状に配設することができ、流体管11を内側接続部5と外側接続部6との隙間に円滑に挿入できる。
【0053】
加えて、前記外側接続部6の係合部6eは外面6cに形成しているが、内面6aにも形成してもよく、この場合は、内側の流体管11の外面とも係合し、前記流体管11の抜脱防止効果が一層高まる。
【0054】
〈第二実施形態〉
次に、第二実施形態の二重管の接続構造を図10及び図11に基づいて説明する。第一実施形態では、外管としての波付鞘管21を外側接続部6に外嵌しているのに対し、第二実施形態では、外管として、断熱発泡層を備えた被覆管を使用し、この被覆管を外側接続部6に外接している点で相違する。以下、第一実施形態と相違する部分を中心に説明する。ここで、図10は第二実施形態における継手への二重管の接続構造を示す一部破断正面図、図11は図10の継手に二重管を接続した状態を示す一部破断正面図である。
【0055】
継手1において螺着部2、鍔部3及び内側接続部5は一体に形成されており、第一実施形態の継手1と同様の構成となっている。一方、前記継手1の外側接続部6は基本的には、第一実施形態の継手1と同様であり、加工上の問題から、前記螺着部2、鍔部3及び内側接続部5からなる継手1の本体部分とは別体に円筒状に形成されている。そして、前記外側接続部6は内面6aの前記鍔部3側の端部に螺設された雌ねじ部6bを前記鍔部3の台座3dの外面に形成された雄ねじ部3eに螺着して前記継手1の本体部分に接合されている。
【0056】
前記外側接続部6はその外面6cの全長に至って外管である被覆管24が外挿される外周部6dが形成されている。前記外周部6dは前記外面6cの全長に至って一定の外径d6に形成されている。そして、前記外周部6dの外径d6は前記被覆管24の内径D5より僅かに大きく形成されている。但し、この場合も、第一実施形態における外側接続部6の外周部6dの外径d5と同様に、請求項2の「同一」に該当するものとする。
【0057】
また、前記外側接続部6の外面6cには、前記内側接続部5に外挿後の被覆管24の先端と合致する位置に、前記外面6の外周に沿って挿入目印線6hが表示されている。この挿入目印線6hは前記内側接続部5に接続された被覆管24の先端位置を検出して該被覆管24が所定位置まで外挿されて安定した接続状態にあるかを確認するものである。この場合、直接目視で被覆管24の先端位置を確認することはできないが、流体管11と被覆管24との先端位置を揃えて一致した状態で前記両管を同時に継手1の接続部4に挿入し、外管である被覆管24の先端を前記挿入目印線6hに一致させれば、自ずと内管である流体管11の先端は鍔部3側の突当部まで圧入され、内側接続部5に対して所定位置まで外挿されることとなる。
【0058】
一方、前記継手1の外側接続部6に接続される被覆管24は可撓性を有する合成樹脂管で形成されており、内面に断熱発泡層25を有している。或いは、被覆管24の全体が前記断熱発泡層25で形成されている。前記被覆管24は内径D5、外径D6に形成され、内面は平滑面に形成され、外面においても前記波付鞘管21のような山部及び谷部を有しない比較的平坦な面に形成されている。
【0059】
このように構成された接続構造において、前記継手1に二重管を接続するには、前述のように、流体管11と被覆管24との先端位置を揃えた状態で、そのまま前記両管を同時に継手1の接続部4に圧入し、被覆管24の先端が前記挿入目印線6hに一致するまで押込めばよい。これにより、流体管11は先端が鍔部3側の突当部まで前記内側接続部5の外挿されるとともに、被覆管24は内面が継手1の外側接続部6の外面6cに密接する外接状態で該外側接続部6に外挿される。
【0060】
第二実施形態の接続構造は、継手1の外側接続部6の外面6cに、被覆管24の内径D5と同一、厳密には前記内径D5より僅かに大きい外径d6を有する外周部6dが形成されているから、第一実施形態と同様に、前記継手1の外側接続部6に外挿された前記被覆管24は前記継手1の外側接続部6の外周部6dの外面6cと密接し、この部分で流体管11と被覆管24との間の空間が閉塞され、外部に臨まないものとなる。このため、流体管11と被覆管24との間の空気が外部に流出入するのが防止される。その結果、前記空間内の空気による断熱効果が高められ、給水管の場合には結露の発生が防止されるとともに、給湯管の場合には湯水の保温効果が高められる。また、外部から塵埃、ごみ、虫等の異物が被覆管24内に侵入するのが防止される。
【0061】
そして、この第二実施形態では、特に、継手1の外側接続部6の外周部6dが外面6cのほぼ全体に渡って設けられており、かつ、被覆管24の内面が平坦面となっているから、被覆管24との当接面積が大きい。また、少なくとも内面が柔軟な断熱発泡層25を備えている。このため、被覆管24の内径D5より僅かに大きい外径d6を有する前記継手1の外側接続部6の外周部6dに該被覆管24を外挿すれば、被覆管24の内面が継手1の外側接続部6の外面6cに強く密着するので、流体管11と被覆管24との空間の密閉性が大きい。
【0062】
ところで、第二実施形態において、継手1の外側接続部6の外面6cに挿入目印線6hを設けることによって流体管11の所定位置までの外挿を確保しているが、図12及び図13に示すように、前記挿入目印線6hに換えて、前記外側接続部6の外面6cに挿入確認窓6iを設けてもよい。即ち、前記外側接続部6の外面6cに、一定幅の長孔からなる挿入確認窓6iを周方向に等間隔で1個乃至複数個設け、この挿入確認窓6iを通して前記内側接続部5に接続された流体管11の先端位置を直接目視で確認し、該流体管11が所定位置まで外挿されて安定した接続状態にあるかを確認できるようにしてもよい。この挿入確認窓6iを設けた場合は、被覆管24の端部を押下げて流体管11の端部を外部に露出させた状態で、まず、前記流体管11を継手1の内側接続部5に外挿し、前記挿入確認窓6iから前記流体管11の挿入位置を確認した後、前記被覆管24を継手1の外側接続部6に外挿する。
【0063】
また、前記挿入目印線6hに換えて、この部分に薄板からなる鍔部を設け、波付鞘管21の先端をこの鍔部に突き当てて挿入位置の確認を行なうようにしてもよい。
なお、前記挿入目印線6h及び挿入確認窓6i等は第一実施形態の継手1の外側接続部6においても設けてもよい。
【0064】
更に、前記継手1の外側接続部6の外周部6dは鍔部3側に向けて拡径するようにテーパを設けてもよく、この場合は、被覆管24の外挿作業を円滑に行なうことができるとともに、外挿後は接続強度を高めることができる。これは、第一実施形態においても同様である。
【0065】
加えて、継手1の外側接続部6の外周部6dは外面6cのほぼ全体に渡って設けられ、かつ、被覆管24の内面は平坦面で柔軟な断熱発泡層25を備えていて、両者間の当接面における密着性が大きいため、格別第一実施形態のような係合部を継手1の外側接続部6の外周部6dに形成する必要はない。但し、前記継手1の外側接続部6の外周部6dに被覆管24の内面と係合する係合部を更に形成してもよく、例えば、図14に示すように、前記係合部としての係合突起6jを設けてもよい。前記係合突起6jは楔状の段部に形成してなり、外挿後、前記係合突起6jの楔形の尖端が被覆管24の断熱発泡層25内に食い込んで係合する。これにより、継手1からの被覆管24の抜脱をより確実に防止することができる。
【0066】
なお、この第二実施形態の継手への二重管の接続構造は、請求項1及び請求項2の態様に相当し、係合突起6jを設けたものは、請求項4の態様にも相当する。
【0067】
〈第三実施形態〉
次に、第三実施形態の二重管の接続構造を図15及び図16に基づいて説明する。上記第一実施形態及び第二実施形態では、継手1の外側接続部6の外周部6dの外径を波付鞘管21或いは被覆管24の内径と略同一に形成しているのに対し、第三実施形態では、継手1の外側接続部6の外周部6dの外径が被覆管24の内径より小さいものであって、前記被覆管24の外側から締付部材によって締付けて該被覆管24を継手1に保持する点で相違する。以下、第一実施形態及び第二実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0068】
図15に示す継手1において螺着部2、鍔部3及び内側接続部5は一体に形成されており、第一実施形態及び第二実施形態の継手1と同様の構成となっている。また、流体管11及び被覆管24も上記各実施形態と同様の構成となっている。一方、前記継手1の外側接続部6は外周部6dの外径d7が被覆管24の内径D5より小さく形成されている。更に、前記継手1の外側接続部6の外面6cには第二実施形態と同様の挿入確認窓6iが設けられている。
【0069】
加えて、前記外側接続部6の挿入確認窓6iは、被覆管24を外挿した状態で、その外側から、バンド、クリップ、ベルト等からなる締付部材31を締付けることができるようになっている。即ち、前記外側接続部6の挿入確認窓6iは外周部6dに確認窓が貫通することによって窪みが生じており、この窪みを段部として所定幅の締付部材31を締付けることが可能となっている。
【0070】
このように構成された継手1に二重管を接続するには、被覆管24の端部を押下げて流体管11の端部を露出させた状態で、まず、前記流体管11を継手1の内側接続部5に外挿し、前記挿入確認窓6iから前記流体管11の挿入位置を確認した後、前記被覆管24を継手1の外側接続部6に外挿する。このとき、前記継手1の外側接続部6の外径d7は被覆管24の内径D5より小さいので、楽に被覆管24を外挿することができる。他方、この外挿状態では抜け易いので、次に、被覆管24の端部において前記外側接続部6の挿入確認窓6iと対応する位置を外側から前記締付部材31で締付けて該被覆管24を固定する。これにより、継手1に対する二重管の接続が完了する。
【0071】
この第三実施形態の接続構造は、特に、継手1の外側接続部6の外径d7が被覆管24の内径D5より小さい場合に、被覆管24の端部にその外側から前記締付部材31を取付けることにより、被覆管24の端部の一部が継手1の挿入確認窓6iの窪みに入り込み、前記被覆管24の端部と継手1の外側接続部6とが密接し、この部分で流体管11と被覆管24との間の空間が閉塞される。その結果、上記各実施形態と同様に、流体管11と被覆管24との間の空気が外部に流出入するのが防止され、結露の発生が防止され、保温効果が高められるとともに、外部から異物が被覆管24内に侵入するのが防止される。
【0072】
なお、この第三実施形態の継手への二重管の接続構造は、請求項1及び請求項3の態様に相当する。
【0073】
ところで、第三実施形態の継手1においては、図16に示すように、継手1の外側接続部6の外周部6dに更に図14と同様の係合突起6jを設けてもよい。この場合は、被覆管24の内径D5が継手1の外側接続部6の外周部6dの外径d7より大きいときに、締付部材31を締付けることにより、前記被覆管24が縮径して内径D5が小さくなり、前記係合突起6jが該被覆管24の断熱発泡層25に食い込んで係合し、抜脱防止効果をより高めることができる。なお、この図16に示す継手1は請求項3の態様に相当するとともに、締付部材31を締付けたときに係合突起6jが前記被覆管24の内面と係合するので、請求項4の態様にも相当する。
【0074】
〈第四実施形態〉
次に、第四実施形態の二重管の接続構造を図17乃至図19に基づいて説明する。上記各実施形態では、内管としての流体管11は継手1の内側接続部5に外挿され、Oリング8が該流体管11の内面と当接して止水する内面止水構造となっており、外管としての波付鞘管21或いは被覆管24は外側接続部6に外挿されるのに対し、第四実施形態では、前記流体管11は継手1の内側接続部5に内挿され、Oリング8が該流体管11の外面と当接して止水する外面止水構造となっており、波付鞘管21は外側接続部6に内挿される点で相違する。以下、上記各実施形態の接続構造と相違する部分を中心に説明する。
【0075】
図17及び図18において、継手1の接続部4は内側接続部5と外側接続部10とで構成されている。前記継手1の内側接続部5は内面5aにおける長さ方向の2箇所に環状凹溝5cが設けられ、この環状凹溝5cにOリング8が嵌入されている。また、前記内面5aにおける前記環状溝5cから離間した受口7側にはロックリング9が取付けられている。更に、前記内側接続部5の外面5bにおける鍔部3側の端部には雄ねじ部5dが螺設されている。
【0076】
一方、前記継手1の外側接続部10は螺着部2、鍔部3及び内側接続部5からなる継手1の本体部分とは別体に略円筒状に形成されており、円筒部10aと該円筒部10aの一側の開口において内方に向けて水平に張出したリング部10bとで形成されている。前記リング部10bの内周端部には前記内側接続部5の外面5bに螺設された雄ねじ部5dと螺合する雌ねじ部10cが螺設されていて、継手1の本体部分に接合できるようになっている。これにより、前記内側接続部5の外側に外側接続部10が所定距離離間して同心円状に配置された接合部4が構成されている。
【0077】
前記外側接続部10の円筒部10aの内面10dは内径d8に形成され、全体が、内挿された波付鞘管21の山部22と当接する内周部10eに形成されている。前記内周部10eの内径d8は波付鞘管21の山部22の外径D4と略同一径、厳密には前記外径D4より僅かに小さい径に形成されており、前記波付鞘管21を前記継手1の外側接続部10の内周部10eに内挿したとき、前記波付鞘管21は僅かに弾性的に縮径しつつ前記外側接続部10の内周部10eに内嵌されることとなる。そして、内挿された状態においては、前記波付鞘管21の山部22は前記外側接続部10の内周部10eの内面10dに当接し、この当接部において流体管11と波付鞘管21との間の空気が外部に流出入するのが阻止されるようになっている。ここで、前記外側接続部10の内周部10eの内径d8は波付鞘管21の山部22の外径D4より僅かに小さい径に形成されているが、この場合も、請求項7の「同一」に該当するものとする。
【0078】
更に、前記外側接続部10の内周部10eにおける受口7側の端部には環状凹溝10gが設けられており、前記波付鞘管21を内挿したとき、1箇所の山部22が嵌入するようになっている。この環状溝10g及び該環状溝10gを形成している受口7側の壁面10hによって係合部10fが構成されており、前記径合部10fは内挿後の前記波付鞘管21を一定位置に保持し、該波付鞘管21が継手1から受口7側に移動して抜脱するのを防止している。
【0079】
次に、上記のように構成された継手1に二重管を接続する方法を説明する。
まず、継手1の内側接続部5に流体管11を接続するには、予め前記流体管11の端部に先端の管口から図17に示す、端部に鍔部を有する円筒状の金属製のインコア32を挿入しておいてから、前記流体管11の端部を前記内側接続部5内に挿入する。前記流体管11が前記継手1の内側接続部5に内挿されると、Oリング8により流体管11の外面が封止されるとともに、ロックリング9によって前記流体管11の抜け外れが防止される。ここで、前記インコア32はこれを流体管11内に挿入することにより該流体管11の端部の剛性を大きくし、前記流体管11を内側接続部5内に挿入し易くするとともに、該流体管11を内側接続部5に内挿した後は該流体管11の外面を前記Oリング8及びコックリング9に強く押付けて止水効果を高める。なお、前記流体管11は所定の剛性を有すれば、直接前記内側接続部5内に圧入することも可能である。
【0080】
次に、内側接続部5に前記流体管11が内挿されたら、波付鞘管21の端部を押上げつつ内側接続部5と外側接続部10との間隙内に挿入するようにして、前記継手1の外側接続部10の内周部10eに内挿する。このとき、波付鞘管21の山部22の外径D4は前記継手1の外側接続部10の内周部10eの内径d8と略同一、厳密には前記外径d8より僅かに大きいので、僅かに縮径しつつ前記内周部10eに内嵌されることとなる。そして、前記波付鞘管21の端部の山部22が前記外側接続部10の環状凹溝10g内に嵌入した状態となる。その結果、係合部10fを構成する前記環状凹溝10g及び壁面10hが前記波付鞘管21を一定位置に保持してその移動を阻止し、外側接続部10からの抜脱を防止する。また、この内嵌状態においては、前記波付鞘管21の山部22は前記継手1の外側接続部10の内面10dと当接するとともに係合部10fと係合するので、この部分で波付鞘管21の端部は閉塞され、流体管11と波付鞘管21との空間内の空気が外部に流出入するのが防止される。
【0081】
この第四実施形態の接続構造は、即ち、上記各実施形態の接続構造では、流体管11、波付鞘管21及び被覆管24が継手1の接続部4に外挿されるものであるのに対し、前記継手1の接続部4に内挿されるものである点で単に相違するものであるから、上記各実施形態と同様の効果を奏し、結露の発生を防止し、保温効果を高めるとともに、外部から異物が波付鞘管21内に侵入するのを防止できる。
【0082】
ところで、前記内側接続部5と外側接続部10との間の挿入空間の奥側突端部には、図19に示すように、各種弾性材、発泡材等で形成したシール部材33を取付けておけば、内挿された波付鞘管21の先端面が前記シール部材33と当接し、流体管11と波付鞘管21との空間の閉塞性を高めることができる。また、前記内側接続部5と外側接続部10との間の挿入空間を奥側に向かう程、間隙を小さくすることによって、円滑に挿入でき、かつ、内挿後は継手1の内側接続部5と外側接続部10とで挟持して前記外側接続部10と波付鞘管21の山部22との密着性を高めることができる。
【0083】
なお、この第四実施形態においても、前記外側接続部10の円筒部10aに挿入確認窓を設けてもよく、この場合は、前記外側接続部10の挿入確認窓から波付鞘管21が所定位置まで内挿されたことを確認することができる。
【0084】
また、この実施形態では、外管として波付鞘管21を使用したものを示しているが、被覆管24を使用した場合も同様にして接続することができ、その説明は省略する。
【0085】
この第四実施形態の継手への二重管の接続構造は、請求項7及び請求項8の態様に相当する。
【0086】
〈第五実施形態〉
次に、第五実施形態の二重管の接続構造を図20に基づいて説明する。第5実施形態は第四実施形態の変形例であり、以下、第四実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0087】
図20において、継手1は内側接続部5の外面5bに係合部5eが形成され、波付鞘管21は谷部23が前記内側接続部5の係合部5eに係合し、継手1からの抜脱が防止されるものとなっている。前記内側接続部5の係合部5eは係合突起で形成されており、或いは、前記外側接続部6の係合部6eと同様に形成されている。前記継手1は、内側接続部5の内面5a側に流体管11が接続され、外面5b側に波付鞘管21が接続されるようになっている。即ち、第五実施形態においては、内側接続部5を形成する1個の円筒部に、流体管11が接続される内側接続部と波付鞘管21が接続される外側接続部とが一体に形成されており、内側接続部5は内側接続部と外側接続部とを兼ね備えたものとなっている。
【0088】
ここで、図20に示す第五実施形態を図1等に示す第一実施形態と比較すると、第一実施形態では、流体管11はその内面にOリング8が当接する内面止水構造となっているのに対し、第五実施形態では、前記流体管11は外面止水構造となっている。また、効果において、第一実施形態では、流体管11は内側接続部5と外側接続部6との間隙内に挿入するだけの1操作で継手1に接続できるのに対し、第五実施形態では、流体管11は一旦、端部にインコア32を挿入した後、内側接続部5内に挿入する2操作で継手1に接続される。しかし、第五実施形態では、内側接続部及び外側接続部が同一円筒部に形成されているから、継手1は簡易構造となり、安価に製造できる。なお、第五実施形態の継手への二重管の接続構造は、請求項6の態様に相当する。
【0089】
〈その他〉
上記各実施形態においては、継手1の外側接続部6等に他の部材、例えば、Oリングを嵌着することによって前記外側接続部6等と波付鞘管21或いは被覆管24との密閉性を高めることもできる。
【0090】
また、上記各実施形態では、波付鞘管21或いは被覆管24は継手1の外側接続部6の外面6c或いは外側接続部10の内面10dと当接或いは密接することにより、流体管11との空間を閉塞しているが、前記シール部材33のような、前記波付鞘管21等の先端面が当接する封止部材を挿入内部の突当部に設け、この部分で前記空間を閉塞することも可能である。
【0091】
加えて、上記各実施形態では、継手1の内側接続部5に流体管11を外挿するとともに継手1の外側接続部6等に波付鞘管21等を外挿し、或いは、前記内側接続部5に流体管11を内挿するとともに前記外側接続部6等に波付鞘管21等を内挿したものを示しているが、これらの組合わせに限られるものではなく、内側接続部5に流体管11を外挿するとともに外側接続部6等に波付鞘管21等を内挿し、或いは、内側接続部5に流体管11を内挿するとともに外側接続部6等に波付鞘管21等を外挿した組合わせで接続することもできる。
【0092】
なお、上記各実施形態においては、流体管11は、継手1の内側接続部5と外側接続部6との間隙に挿入して該内側接続部5に外挿したり、インコア32を取付けて該内側接続部5に内挿し、また、Oリング8或いはロックリング9を使用したものを示しているが、本発明は、流体管11を、従来例のような、締付リング50を押上げて流体管11の外側に差し込んで接続したり、流体管11の外側に袋ナットを締付けることによって前記内側接続部5に接続するものなどにおいても、同様に適用できる。
【0093】
また、上記各実施形態において、前記流体管11は水、湯水等を通流するものを示しているが、各種ガスを通流するものにおいても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0094】
1 継手
4 接続部
5 内側接続部
5e 係合部
6、10 外側接続部
6d 外周部
6e、10f 係合部
6f、10g 環状凹溝
6g、10h 壁面
6j 係合突起
7 受口
11 流体管
21 波付鞘管
24 被覆管
25 断熱発泡層
31 締付部材
d1、d3、d8 内径
d2、d4、d5、d6、d7 外径
D1、D3、D5 内径
D2、D4、D6 外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する断熱発泡層を備えた被覆管からなる外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管を継手に接続する継手への二重管の接続構造であって、
前記内管の端部が、前記継手の内側接続部に接続されるとともに、
前記内側接続部に接続された内管の外面と前記外管の内面との間の空間が外部に臨まないように、前記外管の端部が、前記継手の内側接続部の外側に形成された外側接続部に接続されることを特徴とする継手への二重管の接続構造。
【請求項2】
前記外側接続部は、外管が外挿されるべく、継手の受口側に、該外管の内径と同一の外径を有する外周部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項3】
前記外側接続部は、前記外管が外挿されるべく、継手の受口側に、該外管の内径より小さい外径を有する外周部が形成されるとともに、該外周部に、外側から締付部材が締付けられる被締付部を有し、
前記外側接続部の外周部に外挿される外管は、外側から前記締付部材により締付けられて、該断熱発泡層が前記外側接続部の外周部の外面に密接し、前記外側接続部に接続されることを特徴とする請求項1に記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項4】
前記外側接続部の外周部の外面に、外管の内面と係合する係合部が設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項5】
前記内管の端部は、内側接続部と外側接続部との間隙に挿入されて該内側接続部に外挿されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項6】
前記内側接続部及び外側接続部は同一円筒部に形成され、
前記内管の端部は前記内側接続部に内挿されるとともに、前記外管の端部は前記外側接続部に外挿されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項7】
前記外側接続部は、外管が内挿されるべく、継手の受口側に、該外管の外径と同一の内径を有する内周部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の継手への二重管の接続構造。
【請求項8】
前記外側接続部の内周部の内面に、外管の外面と係合する係合部が設けられたことを特徴とする請求項7に記載の継手への二重管の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−117613(P2011−117613A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58811(P2011−58811)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【分割の表示】特願2006−153128(P2006−153128)の分割
【原出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】