説明

継手管

【課題】継手管の構成部品の加工が容易で量産が可能な継手管を提供する。
【解決手段】継手管10は、流路14が形成された筒状部12を備えており、筒状部12の内周にねじ部12Dが形成されている。接続部16の外周には、ねじ部12Dに螺合されるねじ部16Aが形成されている。筒状部12の内部には接続部16の段差部22に隣接する凹部17にゴム板24からなる開閉弁20が配設されている。接続部16には、ねじ部16Aに隣接して半径方向に突出する壁面16Dが形成されており、筒状部12には、ねじ部12Dと隣接して外側に窪んだ窪み部15に接触面15Aが形成されている。ねじ部12Dとねじ部16Aを螺合して締付けることで筒状部12に接続部16が取付けられ、開閉弁20が凹部17に挟持される。その際、接続部16の壁面16Dに筒状部12の接触面12Fが圧着され、ねじ部12Dとねじ部16Aが緩むことが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端が配管に接続される筒状部を備え、この筒状部の他端側にタンクが接続される継手管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、継手管の一端がタンクに接続されると共に、継手管の他端が配管に接続され、タンク内の液体が継手管を通じて配管からサーバーへ送られる液送装置が知られている。このような液送装置では、飲料などの液体を供給する場合に配管を定期的に洗浄する必要がある。
【0003】
配管を洗浄するための機構を備えた装置として、例えば、閉鎖できる充填用管路を通じて貯蔵タンクから充填することができ、また移動可能なピストンにより配合用管路を通じて流出することができる充填シリンダを設けた構成が開示されている。この装置では、充填装置が貯蔵タンクと共に充填シリンダの軸の周囲を回転するように構成されており、貯蔵タンクが上方位置をとる第1の回転位置では充填用管路を開放し、貯蔵タンクが下方位置をとる第2の回転位置では充填用管路を閉鎖する。そして、閉鎖した充填用管路では、配合剤が充填シリンダに達しないように構成している(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平6−86963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、充填シリンダの構成が複雑でコストが増大するという問題がある。また、充填シリンダの構成部品の加工が困難である。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、継手管の構成部品の加工が容易で量産が可能な継手管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、一端が配管に接続され、流路を有する筒状部と、前記筒状部の他端に設けられ、タンクが接続又は介在部材を介して接続される接続部と、前記接続部と前記筒状部の間に設けられた開閉弁と、を備えた継手管であって、前記筒状部の内周に形成された筒状部側ねじ部と、前記接続部の外周に形成され、前記筒状部側ねじ部と螺合される接続部側ねじ部と、前記筒状部の内周と前記接続部の端部との間に形成され、前記筒状部側ねじ部と前記接続部側ねじ部が螺合されたときに前記開閉弁が挟持される凹部と、前記接続部の外周の前記筒状部側ねじ部が螺合される方向に形成され、前記接続部側ねじ部より半径方向に突出する壁面と、前記筒状部に形成され、前記筒状部側ねじ部と前記接続部側ねじ部が螺合されたときに前記壁面が圧着される接触面と、を有することを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明よれば、筒状部の一端に配管が接続されており、筒状部の他端に設けられた接続部にタンクが接続され、又は接続部に介在部材を介してタンクが接続されている。筒状部の内周には筒状部側ねじ部が形成されており、接続部の外周に形成された接続部側ねじ部と筒状部側ねじ部とを螺合させて締付けることで、筒状部に接続部が取付けられる。そのとき、筒状部の内周と接続部の端部との間に凹部が形成されており、筒状部側ねじ部と接続部側ねじ部が螺合されたときに凹部に開閉弁が挟持されることにより、開閉弁が固定される。また、接続部の外周の筒状部側ねじ部が螺合される方向には、接続部側ねじ部より半径方向に突出する壁面が形成されており、筒状部側ねじ部と接続部側ねじ部とを螺合させて締付けたときに、壁面が筒状部に形成された接触面に圧着される。
【0008】
この継手管では、筒状部の内周に筒状部側ねじ部を形成すると共に、接続部の外周に接続部側ねじ部を形成し、筒状部側ねじ部と接続部側ねじ部との締付けにより筒状部と接続部とを固定するので、筒状部と接続部の加工が容易であり、量産が可能となる。また、筒状部側ねじ部と接続部側ねじ部とを締付けたときに、接続部の壁面が筒状部の接触面に圧着されるので、接続部の壁面と筒状部の接触面との摩擦抵抗により、筒状部側ねじ部と接続部側ねじ部が緩むことが抑制される。このため、長期にわたり筒状部の内周と接続部の端部との間の凹部に開閉弁を保持することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の継手管において、前記筒状部の内周側に、前記接触面が形成された窪み部を備えることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明では、筒状部の内周側は、接触面が形成された窪み部を備えているので、筒状部側ねじ部と接続部側ねじ部とを締付けたときに、接続部の壁面と筒状部の接触面との圧着部分が筒状部の窪み部内に配置される。このため、突起部の端面と筒状部の接触面との圧着部分が継手管の外部に露出せず、窪み部によって保護される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の継手管において、前記凹部と隣接する位置に、前記筒状部の内径を前記接続部の内径より大として段差部が形成されており、前記開閉弁は、前記凹部に固定されるゴム板を備え、前記ゴム板に一部を残して円状にカットされたスリットを形成して、円状部を前記段差部に接触して前記流路を閉じる弁体とし、前記一部を前記弁体の端部を前記筒状部側へ回動可能に支持する支持部材としたことを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明では、凹部と隣接する位置に、筒状部の内径を接続部の内径より大として段差部が形成されており、凹部に開閉弁を構成するゴム板が固定されている。開閉弁は、ゴム板に一部を残して円状にカットされたスリットを形成して、円状部を段差部に接触して流路を閉じる弁体とし、上記一部を弁体の端部を筒状部側へ回動可能に支持する支持部材としている。開閉弁は、タンクから液体が導入されない状態では、弁体が段差部に接触して流路を閉じており、筒状部から接続部側への液体の逆流が抑制又は防止される。また、タンクから接続部に液体が導入されると、ゴム板の一部である支持部材が伸びて弁体が筒状部側へ回動し、流路が開放される。これにより、接続部から筒状部側に液体を流すことができる。この継手管では、弁体を開閉する構造が複雑化することなく、低コスト化が可能である。また、長期にわたり、筒状部の内周と接続部の端部との間の凹部にゴム板で構成される開閉弁を保持することができ、筒状部と接続部との間のシール性を確保することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の継手管において、前記接続部は、前記配管を通って洗浄可能なスポンジ部材がセット可能な大きさに形成されており、前記筒状部の内周側に、軸方向に沿って前記スポンジ部材の径よりも小さい内径の小径部が形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明では、接続部には、配管を通って洗浄可能なスポンジ部材がセット可能となっている。この継手管では、接続部にスポンジ部材をセットし、液体を導入することで、弁体が筒状部側へ回動してスポンジ部材が弁体を通過し、筒状部に送られる。このため、スポンジ部材が継手管の弁体付近に詰まることが抑制される。また、筒状部の内周側に、軸方向に沿ってスポンジ部材の径よりも小さい内径の小径部が形成されているので、スポンジ部材は圧縮されて小径部の内壁に接触しながら移動する。このため、スポンジ部材で筒状部の小径部を洗浄することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、継手管を構成する筒状部と接続部の加工が容易であり、継手管の量産が可能となる。また、筒状部と接続部との接続部分が緩むことを抑制でき、長期にわたり筒状部と接続部との間に開閉弁を保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態である継手管10を示す断面図である。この継手管10は、液体(例えば、ビールなど)が通過可能な流路14が形成された筒状部12を備えている。筒状部12の内周側には、流体の導入方向上流側(図1中の下側)の大径部12Aと、その大径部12Aから流体の導入方向下流側に向かって径が徐々に縮小されたテーパー部12Bと、そのテーパー部12Bより流体の導入方向下流側に軸方向に沿って形成された小径部12Cと、が設けられている。すなわち、流路14は、大径部12Aとテーパー部12Bと小径部12Cとで構成されている。
【0018】
図4に示すように、液体の導入方向下流側(図4中の上側)である筒状部12の一端には、継手18を介してホース62(配管)が接続されている。ホース62は、例えばビールなどを供給するためのサーバー(図示省略)に接続されている。また、液体の導入方向上流側(図4中の下側)である筒状部12の他端には、筒状の接続部16が設けられており、この接続部16が洗浄タンク70に接続されている。なお、本実施形態では、接続部16が洗浄タンク70に接続されているが、接続部16が図示しない介在部材を介して洗浄タンクに接続される構成でもよい。
【0019】
図1に示すように、筒状部12の他端側(液体の導入方向上流側)の内周部は、大径部12Aよりさらに大径であり、その内周部に筒状部側ねじ部としてのねじ部12Dが形成されている。また、接続部16の洗浄タンク70と反対側の外周部は、接続部16の洗浄タンク70側の外周よりも大径となっており、その大径部にねじ部12Dと螺合される接続部側ねじ部としてのねじ部16Aが形成されている。
【0020】
図3に示すように、接続部16の外周には、筒状部12のねじ部12Dが螺合される方向におけるねじ部16Aと隣接する位置に、ねじ部16Aより半径方向に突出する壁面16Dを備えた突出部16Cが形成されている。壁面16Dは、ねじ部16Aの端部から外側に、接続部16の外周に対して略直交する方向に突出している。また、筒状部12には、ねじ部12Dと隣接する位置に、ねじ部12Dよりも内径が大きい窪み部15が形成されている。筒状部12のねじ部12Dと窪み部15との段差部分には、窪み部15の内周に対して略直交する方向に突出する接触面15Aが形成されている。この接触面15Aは、ねじ部12Dとねじ部16Aとを螺合したときに接続部16の壁面16Dが接触可能な位置に形成されている。また、窪み部15の内径よりも突出部16Cの外径が小さく形成されており、ねじ部12Dとねじ部16Aとを螺合するときに窪み部15の内周面と突出部16Cの外周面が干渉しないように構成されている。そして、筒状部12のねじ部12Dに接続部16のねじ部16Aを螺合して締付けることにより、筒状部12に接続部16が取付けられると共に、接続部16の壁面16Dが筒状部12の接触面15Aに圧着されるようになっている。
【0021】
図1に示すように、接続部16の芯部には、流体が流れる開口部16Bが形成されており、開口部16Bは、ホース62内を洗浄するための略円柱状のスポンジ部材30(図4参照)がセット可能な大きさに形成されている。開口部16Bの内径は、筒状部12の大径部12Aの内径よりも小径となっており、接続部16の洗浄タンク70と反対側の端部には段差部22が形成されている。接続部16と筒状部12の間には、流路14を開閉可能な開閉弁20が段差部22と隣接して配設されている。筒状部12と接続部16は、例えば金属で形成されている。開閉弁20の取付け構造については後述する。
【0022】
図2(A)〜(C)に示すように、開閉弁20は、円形状のゴム板24を備えており、このゴム板24の円周部24Aより内径側に円の一部である支持部25を残して円状にカットされたスリットS1が形成され、スリットS1の内側の円形部が弁体26とされている。支持部25及び支持部25の周囲には、ゴム板24の両面に凹部27が形成されており、支持部25及び支持部25の周囲の肉厚が他の部分のゴム板24の厚さより薄く形成されている。凹部27内の角部27Aは、R形状に切り欠かれている。また、弁体26の中央部には、円形状の開口26Bが形成されている。本実施形態では、ゴム板24の中心に対するスリットS1の周方向の両端部の角度θ1は約40°に設定されており、ゴム板24の中心に対する凹部27の周方向の両端部の角度θ2は約60°に設定されている。
【0023】
図1に示すように、弁体26の開口26Bには、弁体26の上面と下面に支持される支持部28A、28Bを備えた剛性部材28がはめ込まれている。この剛性部材28は、弁体26の円形部が変形しないように、弁体26のゴム材料よりも硬い材料(例えば樹脂)で形成されている。
【0024】
筒状部12と接続部16の間には、段差部22より液体の導入方向下流側に、段差部22と大径部12Aの端面13とこれに隣接する筒状部12の内周部で構成される凹部17が形成されており、この凹部17にゴム板24の円周部24Aが挟まれている。そして、筒状部12のねじ部12Dと接続部16のねじ部16Aとを螺合させて締付けることで、ゴム板24の円周部24Aが凹部17に挟持されて固定されている。
【0025】
開閉弁20は、通常の状態では、支持部25により弁体26とゴム板24が同一平面上にあり、弁体26が段差部22と接触して流路14が閉じられている。一方、図5に示すように、液体の導入時には、ゴム製の支持部25が伸びて弁体26が液体の導入方向下流側に回動することで、流路14が開放されるようになっている。その際、支持部25及び支持部25の周囲の凹部27の部分の肉厚がゴム板24の厚さよりも薄いことにより、支持部25が伸びやすく、低い流圧で流体が導入されたときでも弁体26に回動しやすくなる。また、弁体26の中央部に剛性部材28が設けられているので、流路14を閉じる位置に弁体26を安定して保持するとともに、液体の導入によって弁体26を筒状部12側へスムーズに回動させることが可能となる。これによって、弁体26が段差部22と接触したときに、流体の逆流を抑制することができる。
【0026】
なお、開閉弁20としてのゴム板24を構成する材料としては、例えば、SBR、NBR、EPDM、シリコーンゴム、フッ素ゴム、IIR(ブチルゴム)、天然ゴムなどが用いられている。また、剛性部材28の材料は、ゴム板24の円形部の変形を防止するためにゴム板24よりも硬い材料が望ましく、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、ポリアセタールなどが用いられている。
【0027】
図4に示すように、継手18は、略L字状の筒状の継手本体40の一端に袋ナット42を備えている。この袋ナット42のねじ部42Aは、筒状部12の他端に形成されたねじ部12Eに螺合されている。袋ナット42の内壁には環状の係止部材44が配設されており、この係止部材44に継手本体40の一端に設けられた突起部40Aが係止されている。また、継手本体40の突起部40Aの長手方向端面と筒状部12の長手方向端面との間には、環状のシール部材46が配設されており、袋ナット42と継手本体40とがシールされている。
【0028】
また、継手本体40の他端には、継手本体40の内周面に形成された溝部に設けられたOリング48と、溝部に隣接して配置されるリング部材52と、ホース62を固定する断面が略V字状のロック爪50とが設けられている。さらに、ロック爪50を拡径してロック爪50のホース62への食い込みを解除する解放リング54と、継手本体40の内周側で解放リング54の継手本体40からの抜けを防止する保持部材56とが設けられている。
【0029】
ホース62を継手本体40の他端に設けられた挿入口から挿入すると、ホース62の外周面がロック爪50を摺接しながら継手本体40の奥側へ挿入され、ホース62が結合状態となる。この結合状態で、ホース62内に液体が流れて内圧が作用すると、ホース62が継手本体40から抜ける方向の力を受け、ホース62とロック爪50が挿入口側に若干移動し、ロック爪50がホース62の外周面に食い込む。これにより、ロック爪50のホース62への把持力が大きくなり、継手18とホース62とが強固に連結されるようになっている。
【0030】
接続部16は、開口部16B内に継手管10及びホース62を洗浄するための略円柱状のスポンジ部材30をセット可能な大きさに形成されている。また、筒状部12の小径部12Cの内径はスポンジ部材30の外径より小さく設定されている。このスポンジ部材30としては、例えば、発泡性のポリウレタンが用いられる。
【0031】
次に、本発明の継手管10の作用について説明する。
【0032】
この継手管10では、開閉弁20を構成するゴム板24の円周部24Aを筒状部12の端面13に接触させ、筒状部12のねじ部12Dに接続部16のねじ部16Aを螺合して締付けることにより、筒状部12に接続部16が取付けられる。そのとき、ゴム板24の円周部24Aが、筒状部12の端面13とその端面13と隣接する筒状部12の内周面と接続部16の段差部22とで形成される凹部17に挟持されて固定される。また、筒状部12のねじ部12Dに接続部16のねじ部16Aを締付けることにより、接続部16の壁面16Dが筒状部12の接触面15Aに圧着される(図3参照)。このため、接続部16の壁面16Dと筒状部12の接触面15Aとの摩擦抵抗により、筒状部12のねじ部12Dと接続部16のねじ部16Aが緩むことが抑制される。
【0033】
また、この継手管10では、筒状部12の一端に設けられた接続部16がビール樽(図示省略)に接続されている。ホース62及びサーバーを洗浄する際には、図4に示すように、接続部16のビール樽(図示省略)を取り外して、接続部16内に略円柱状のスポンジ部材30をセットする。さらに、接続部16に洗浄液としての水が充填された洗浄タンク70を取り付ける。そして、図5に示すように、所定のガス(例えば炭酸ガス)を導入してガス圧により水を接続部16から継手管10の流路14内に導入すると、開閉弁20の弁体26が導入方向下流側に回動し、流路14が開放される。このとき、図5(B)及び図5(C)に示すように、弁体26の開放により水と共にスポンジ部材30が開閉弁20を通過し、流路14内を移動する。その際、弁体26の支持部25及びその周囲の肉厚はゴム板24の厚さよりも薄いので、支持部25が伸びやすく、弁体26が導入方向下流側に回動しやすい。このため、弁体26付近にスポンジ部材30が詰まることを防止することができる。
【0034】
図6に示すように、弁体26を通過したスポンジ部材30は、筒状部12の流路14内を移動する。その際、筒状部12の小径部12Cの内径はスポンジ部材30の外径より小さく設定されており、スポンジ部材30が圧縮されて小径部12Cの内壁に接触しながら移動することで、小径部12Cの内部が洗浄される。さらに、図7に示すように、スポンジ部材30は水の導入方向に沿って継手管10から継手18を通ってホース62内に送られる。その際、ホース62の内径はスポンジ部材30の外径より小さく設定されており、スポンジ部材30がホース62の内壁に接触しながら移動することで、ホース62の内部が洗浄される。さらにスポンジ部材30はホース62の下流側のサーバー(図示省略)に送られ、サーバーの内部が洗浄される。
【0035】
このような継手管10では、接続部16に接続されたビール樽(図示省略)を取り外した後、接続部16にスポンジ部材30をセットして洗浄タンク70を取り付けるため、少ない工程で継手管10、ホース62及びサーバー(図示省略)を効率よく洗浄することができる。また、継手管10の筒状部12にスポンジ部材30の外径よりも内径が小さい小径部12Cが形成されているので、スポンジ部材30で小径部12Cを洗浄することができる。また、継手管10に流体を導入しないとき(スポンジ部材30を通す方向へ加圧しない場合)は、弁体26が段差部22に接触することで弁体26が閉止されており、弁体26から逆方向(接続部16側)への逆流の発生を抑制又は防止することができる。
【0036】
また、この継手管10では、筒状部12の内周にねじ部12Dを形成すると共に、接続部16の外周にねじ部16Aを形成し、ねじ部12Dとねじ部16Aの締付けにより筒状部12と接続部16とを固定するので、筒状部12と接続部16の加工が容易であり、継手管10の量産が可能である。また、図3に示すように、ねじ部12Dとねじ部16Aとを締付けたときに、接続部16の壁面16Dと筒状部12の接触面15Aとの圧着部分の摩擦抵抗により、筒状部12のねじ部12Dと接続部16のねじ部16Aが緩むことを抑制できる。また、窪み部15の内部に突出部16Cの壁面16Dと筒状部12の接触面15Aとの圧着部分が配置されるため、壁面16Dと接触面15Aとの圧着部分が外部に露出せず、窪み部15によって保護される。このため、長期にわたり、接続部16の段差部22と筒状部12の端面13との間の凹部17にゴム板24の円周部24Aを保持することができ、筒状部12と接続部16との間のシール性を確保することができる。
【0037】
一方、図8に示す継手管100では、金属の外管102と、この外管102の内側に挿入される内管104と、で構成されている。この継手管100では、外管102の内周側に形成された段差部22と、外管102の外周面と、内管104の先端部104Aとで形成された凹部106に、開閉弁20を構成するゴム板24の円周部24Aが挟持されている。
【0038】
この継手管100では、外管102の段差部22を所定の粗さで加工することが困難である。また、外管102の内径と、内管104の外径を精度よく加工する必要がある。また、図8(B)に示すように、外管102の厚肉部102Aには、相手方のレバー(図示省略)を取付けるためにレバー形状に合わせて矩形状に凹んだ薄肉部102Bが形成されており、厚肉部102Aと薄肉部102Bの加工が困難である。
【0039】
これに対して、本実施形態の継手管10では、筒状部12の内周にねじ部12Dを形成し、接続部16の外周にねじ部16Aを形成するので、筒状部12と接続部16の加工が容易である。また、段差部22は接続部16の端面であるので、段差部22を所定の粗さに容易に加工することができる。また、筒状部12が1つの管体で形成されているので、筒状部12の厚肉部に相手方のレバー(図示省略)を取付けるための薄肉部を形成するときに、図8(B)に示す外管102に比べて薄肉部が厚く加工が容易である。このため、継手管10の量産に対応できる。
【0040】
なお、上記実施形態では、接続部16のねじ部16Aに隣接して壁面16Dが形成され、筒状部12のねじ部12Dに隣接して接触面15Aが形成されているが、これに限らず、接続部16のねじ部16Aから離れた位置に壁面16Dが形成され、筒状部12のねじ部12Dから離れた位置に接触面15Aが形成される構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る継手管を示す断面図である。
【図2】図1に示す継手管に設けられる開閉弁を構成するゴム板を示す平面図及び断面図である。
【図3】(A)は図1に示す継手管の筒状部のねじ部と接続部のねじ部付近の構成を示す拡大断面図であり、(B)は接続部に形成された突起部の端面と筒状部の接触面とが圧着された状態を示す拡大断面図である。
【図4】図1に示す継手管の接続部にスポンジ部材をセットすると共に、洗浄タンクを接続した状態を示す断面図である。
【図5】図4示すスポンジ部材が継手管の筒状部内を移動する過程を示す断面図である。
【図6】スポンジ部材が筒状部内を移動する過程を示す断面図である。
【図7】スポンジ部材がホース内を移動する過程を示す断面図である。
【図8】(A)は比較例の継手管を示す断面図であり、(B)は(A)と直交する方向における断面図である。
【符号の説明】
【0042】
10 継手管
12 筒状部
12C 小径部
12D ねじ部(筒状部側ねじ部)
14 流路
15 窪み部
15A 接触面
16 接続部
16A ねじ部(接続部側ねじ部)
16C 突出部
16D 壁面
17 凹部
20 開閉弁
22 段差部
24 ゴム板
24A 円周部
25 支持部(支持部材)
26 弁体
30 スポンジ部材
62 ホース(配管)
70 洗浄タンク
S1 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が配管に接続され、流路を有する筒状部と、前記筒状部の他端に設けられ、タンクが接続又は介在部材を介して接続される接続部と、前記接続部と前記筒状部の間に設けられた開閉弁と、を備えた継手管であって、
前記筒状部の内周側に形成された筒状部側ねじ部と、
前記接続部の外周側に形成され、前記筒状部側ねじ部と螺合される接続部側ねじ部と、
前記筒状部の内周と前記接続部の端部との間に形成され、前記筒状部側ねじ部と前記接続部側ねじ部が螺合されたときに前記開閉弁が挟持される凹部と、
前記接続部の外周側の前記筒状部側ねじ部が螺合される方向に形成され、前記接続部側ねじ部より半径方向に突出する壁面と、
前記筒状部に形成され、前記筒状部側ねじ部と前記接続部側ねじ部が螺合されたときに前記壁面に圧着される接触面と、
を有することを特徴とする継手管。
【請求項2】
前記筒状部の内周側に、前記接触面が形成された窪み部を備えることを特徴とする請求項1に記載の継手管。
【請求項3】
前記凹部と隣接する位置に、前記筒状部の内径を前記接続部の内径より大として段差部が形成されており、
前記開閉弁は、前記凹部に挟持されるゴム板を備え、前記ゴム板に一部を残して円状にカットされたスリットを形成して、円状部を前記段差部に接触して前記流路を閉じる弁体とし、前記一部を前記弁体の端部を前記筒状部側へ回動可能に支持する支持部材としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の継手管。
【請求項4】
前記接続部は、前記配管を通って洗浄可能なスポンジ部材がセット可能な大きさに形成されており、
前記筒状部の内周側に、軸方向に沿って前記スポンジ部材の径よりも小さい内径の小径部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の継手管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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