説明

維持管理システム

【課題】監視装置や管理装置側が停止した場合であっても連続して維持管理に関するデータを取得することができる維持管理システムを提供すること。
【解決手段】維持管理対象の全ての装置毎に接続され、該接続された装置の維持管理データを収集し、該収集した維持管理データを少なくとも一定期間、保持する複数の管理ユニット21〜23と、各管理ユニット21〜23とネットワークN3を介して接続され、少なくとも各管理ユニット21〜23の維持管理データを表示出力するとともに、各管理ユニット21〜23を制御する維持管理装置24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、監視装置や管理装置側が停止した場合であっても連続して維持管理に関するデータを取得することができる維持管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラント内に設けられる監視制御対象である各種装置には複数の制御装置が設けられ、各制御装置は、遠隔のコントローラに接続され、各制御装置から送られる装置内温度、流量、圧力などの計測データや画像データなどが遠隔のコントローラに送られ表示出力されることによって監視され、遠隔のコントローラからは、各制御装置を制御する制御データが送られる。
【0003】
ここで、特許文献1には、表示指令サーバを設け、遠隔コンピュータが、表示指令サーバから得られる表示指令の表示形式に従って各制御機器から収集したデータを表示できるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−346161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、大規模なプラント設備などを監視制御する監視制御システムでは、高信頼性と高速応答性を確保する必要があるが、維持管理に関するデータをも全て取り込んで処理すると、信号数、信号量が多く、システムが大型・複雑化し、結果的に高価なシステムを構築せざるを得なかった。また、この監視制御システムに、維持管理に関する設備の追加、削減などが生じた場合に、この追加、削減に大きな時間と労力とがかかるという問題点があった。さらに、監視装置側が停止したり、システムダウンした場合、その間の維持管理に関するデータを取得することができず、維持管理を十分に行うことができない場合があるという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、監視装置や管理装置側が停止した場合であっても連続して維持管理に関するデータを取得することができる維持管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる維持管理システムは、維持管理対象の全ての装置毎に接続され、該接続された装置の維持管理データを収集し、該収集した維持管理データを少なくとも一定期間、保持する複数の管理ユニットと、各管理ユニットとネットワークを介して接続され、少なくとも各管理ユニットの維持管理データを表示出力するとともに、各管理ユニットを制御する維持管理装置と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる維持管理システムは、上記の発明において、各管理ユニットは、収集した維持管理データを解析し、該解析結果を出力することを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる維持管理システムは、上記の発明において、監視制御対象の各制御装置および計測装置に接続され、これら各装置からの監視データを取得して各装置を監視するとともに、各装置を制御する監視制御システムが当該維持監視システムに重複配置され、前記監視制御対象の各制御装置および計測装置が前記維持管理対象の装置である場合、該監視制御対象の各制御装置および計測装置に前記管理ユニットを接続することを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる維持管理システムは、上記の発明において、前記管理ユニットは、複数のパッケージプログラムを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された複数のパッケージプログラムを組み合わせて動作させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、複数の管理ユニットが、維持管理対象の全ての装置毎に接続され、該接続された装置の維持管理データを収集し、該収集した維持管理データを少なくとも一定期間、保持するようにしているので、監視装置や管理装置側が停止した場合であっても連続して維持管理に関するデータを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、監視制御システムに、この発明の実施の形態である維持管理システムが組み込まれたシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、管理ユニットの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態である維持管理システムについて説明する。
【0014】
図1は、監視制御システムに、この発明の実施の形態である維持管理システムが組み込まれたシステム構成を示すブロック図である。まず、監視制御システム10は、コントローラ1,2と、データベース装置3と、監視装置4,5とを有する。コントローラ1,2とデータベース装置3とは、LANなどのネットワークN2を介して接続され、監視装置4,5とデータベース装置3とは、LANなどのネットワークN1を介して接続される。
【0015】
コントローラ1には、監視制御対象の制御装置110および計測装置120に接続され、コントローラ1は、制御装置110および計測装置120から入力された信号をデータベース装置3に伝送するとともに、監視装置4,5側からの操作指示を制御装置110および計測装置120側に出力する。また、コントローラ1は、入力された信号をもとに自動制御演算を行い、この自動制御演算結果を制御装置110側に出力する。なお、コントローラ2は、コントローラ1にかかる負荷を分散するために並列配置されたコントローラである。
【0016】
データベース装置3は、コントローラ1,2から入力された信号を加工して帳票出力するとともに、監視装置4,5に表示出力する。監視装置4,5は、システムの運転操作者に対して制御装置110の状態表示を行うとともに、運転操作者からの操作指示を受け付ける。
【0017】
なお、計測装置120は、たとえば水処理システムにおける水質分析装置などであり、この分析結果がコントローラ1に送られる。制御装置110は、複数の制御装置110を含み、各制御装置110は、制御装置自体の検出信号や、計測装置からの分析結果信号などをもとに制御される。
【0018】
一方、維持管理システム20は、制御装置110、計測装置120、および被維持管理装置130毎に設けられる複数の管理ユニット21〜23と、ネットワークN3を介して接続される維持管理装置24と、ネットワークN4を介してネットワークN3に接続される携帯端末25とを有する。なお、被維持管理装置130は、制御装置110および計測装置120ではなく、維持管理対象のみの装置である。たとえば、動力設備、計装設備、機械設備などが該当する。この被維持管理装置130には、新たに検出すべき振動や音響、画像などを検出する検出器31と、この検出した信号を管理ユニット23が取り込める信号に信号変換する信号変換器32とを設ける必要がある。なお、この被維持管理装置130も複数であり、管理ユニット23,信号変換器32,検出器31も複数設けられる。
【0019】
管理ユニット21〜23は、設備診断機能、保守記録機能、消耗品のオンライン購入機能、取扱説明書閲覧機能を有する。維持管理装置24は、管理ユニット21〜23の各機能の結果を表示することができる。また、携帯端末25は、ネットワークN4を介して各管理ユニット21〜23および維持管理装置24にアクセス可能であり、維持管理者が移動中であっても、各管理ユニット21〜23および維持管理装置24による処理を閲覧することができる。
【0020】
図2は、管理ユニットの構成を示すブロック図である。図2に示すように、管理ユニット21は、外部と入出力を行う入出力I/F40と、タッチパネルなどによって実現され、各種操作入力および表示出力を行う入出力部41と、各種制御を行う制御部42と、収集結果や解析結果などを記憶する記憶部43とを有する。
【0021】
管理ユニット21〜23による設備診断機能とは、収集した維持管理データをもとに、所定の設備診断プログラムによって診断し、その診断結果を記憶部43に記憶するとともに、診断結果が異常である場合には、ネットワークN3を介して維持管理装置24に通知するとともに、ネットワークN4を介して所定の携帯端末25に通知する。
【0022】
管理ユニット21〜23の保守記録機能とは、一定期間に収集した維持管理データを履歴データとして記憶部43に記録するとともに、保守管理結果をも記憶部43に記録しておく。特に、履歴データを保存しておくことによって、たとえばコントローラ1,2などが停止した場合であっても、履歴データを連続して収集、記録することができ、データ欠落のない信頼性の高い履歴データを得ることができる。
【0023】
消耗品のオンライン購入機能とは、消耗品が少なくなったと検出した場合、管理ユニット21〜23が自律的に、ネットワークN4を介して外部に購入処理を行う。
【0024】
取扱説明書閲覧機能とは、膨大な取扱説明書を運ばずとも、現場で管理ユニット21〜23から閲覧することができる機能であり、管理ユニット21〜23自体が保持していてもよいし、維持管理装置24側に保持していてもよい。
【0025】
このように、維持管理システム20は、各管理ユニットが自律的かつ分散して維持管理処理を行うようにしているので、維持管理システム20内の他の装置の停止はもちろん、監視制御システム10側の停止にも影響を受けず、維持管理機能を継続して行うことができる。
【0026】
また、管理ユニット21〜23は、記憶部43に複数のパッケージプログラムを有し、制御部42が各パッケージプログラムを組み合わせて動作するようにしているので、各管理ユニット21〜23に共通で、維持管理対象の装置に依存しないパッケージプログラムが使用可能であり、プログラムの共通化を図ることができる。
【0027】
さらに、維持管理システム20は、監視制御システム10と重複配置され、管理制御システム側に影響を及ぼさないため、管理制御システム10自体の高速応答性、高信頼性を損なうことがない。また、維持管理に関する設備の追加、削除が生じた場合であっても、管理制御システム10に影響を与えず、管理制御を継続して行うことができるとともに、維持管理に関する設備の追加、削除も管理ユニット単位で行うことができ、容易に追加、削除を行うことができる。
【符号の説明】
【0028】
1,2 コントローラ
3 データベース装置
4,5 監視装置
10 監視制御システム
20 維持管理システム
21〜23 管理ユニット
24 維持管理装置
24 携帯端末
31 検出器
32 信号変換器
40 入出力I/F
41 入出力部
42 制御部
43 記憶部
110 制御装置
120 計測装置
130 被維持管理装置
N1〜N4 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
維持管理対象の全ての装置毎に接続され、該接続された装置の維持管理データを収集し、該収集した維持管理データを少なくとも一定期間、保持する複数の管理ユニットと、
各管理ユニットとネットワークを介して接続され、少なくとも各管理ユニットの維持管理データを表示出力するとともに、各管理ユニットを制御する維持管理装置と、
を備えたことを特徴とする維持管理システム。
【請求項2】
各管理ユニットは、収集した維持管理データを解析し、該解析結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の維持管理システム。
【請求項3】
監視制御対象の各制御装置および計測装置に接続され、これら各装置からの監視データを取得して各装置を監視するとともに、各装置を制御する監視制御システムが当該維持監視システムに重複配置され、
前記監視制御対象の各制御装置および計測装置が前記維持管理対象の装置である場合、該監視制御対象の各制御装置および計測装置に前記管理ユニットを接続することを特徴とする請求項1または2に記載の維持管理システム。
【請求項4】
前記管理ユニットは、
複数のパッケージプログラムを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された複数のパッケージプログラムを組み合わせて動作させる制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の維持管理システム。

【図1】
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【図2】
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