説明

網戸の外れ止め装置

【課題】移動時において網戸が外れてしまうことを防止しながらも、異音発生がなく、スムーズかつ軽快に移動させることができる網戸の外れ止め装置を提供する。
【解決手段】網戸の外れ止めを行う複数の外れ止め部材8を網戸の上框6に備え、各外れ止め部材8を、上部レール4の下端よりも上方に上端が位置する外れ止め作用位置と上部レール4の下端よりも上端が下方に位置して網戸5の外れ止めを解除する外れ止め解除位置とに渡って上下位置変更自在に構成し、外れ止め部材8を、水平軸芯周りで上下揺動自在で、外れ止め作用位置へ揺動付勢された揺動アーム10と、揺動アーム10に上部レール4側に突出する状態で備え、揺動アーム10の上方側への揺動に伴って上部レール4の下端に押し付けられる押圧部11とから構成し、外れ止め部材8の下端に接当して外れ止め部材8の下方側への移動を阻止する接当部材を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網戸の外れ止め装置に関し、詳しくは、網戸の開閉時に網戸が上方に浮き上がって網戸の下部が下部レールから外れてしまうことを防止するための網戸の外れ止め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記網戸の外れ止め装置では、例えば網戸の上框の上部水平板部の上面から上方に伸びる室外側の上部突出部材と室内側の上部突出部材とを備え、前記一対の上部突出部材の間に上部レールが位置する状態で網戸を配置し、前記上框の上部水平板部に形成されている貫通孔に差し込まれて突出部材間に位置する弾性部材からなる外れ止め部材を備え、網戸の移動時に発生する上下振動により上方へ浮き上がろうとすることを、外れ止め部材が上部レールに接当することによって阻止されて網戸の下端が下部レールから外れることを阻止するようにしている。そして、前記外れ止め部材に、上部水平板部に形成の貫通孔に係止する鋸歯状突起を上下方向に形成してあり、上部レールの下端面に外れ止め部材をできるかぎり近づけた状態になるように上部水平板部に対して外れ止め部材を上下方向で位置変更自在に構成している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−20640号公報(第6図、第7図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の外れ止め部材では、上部レールの下面と外れ止め部材の上面との間に隙間が発生してしまうため、網戸の開閉移動中に上下動しながら移動する網戸の外れ止め部材の上端が上部レールに頻繁に接当してしまうため、接当による異音発生の原因になるだけでなく、上部レールと接当しながらの網戸の移動は、スムーズさに欠けるものであった。
又、前記接当を回避するために、上部レールの下面と外れ止め部材の上面との間に隙間が発生しないように、外れ止め部材を上部レールに接当する位置まで上方へ移動させておくことが考えられるが、開閉移動中に網戸が上方に移動したときに上部レールに外れ止め部材が食い込むような力が外れ止め部材に作用してしまうため、その力が網戸の移動抵抗になり、網戸を軽快に移動させることができなくなり、その結果、前述のように上部レールの下面と外れ止め部材の上面との間に隙間が発生する状態にすることになり、改善の余地があった。
【0004】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、移動時において網戸が外れてしまうことを防止しながらも、異音発生がなく、スムーズかつ軽快に移動させることができる網戸の外れ止め装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の網戸の外れ止め装置は、前述の課題解決のために、サッシ枠を構成する上部枠の上部レールの室内側又は室外側に、網戸の上框から上方に延びる垂直片部をそれの上端が該上部レールの下端よりも上方に位置する状態で配置し、前記上部レールの室外側又は室内側に位置し、該上部レールの下端よりも上方に上端が位置して前記網戸の外れ止めを行う複数の外れ止め部材を前記網戸の上框に備え、前記各外れ止め部材を、前記上部レールの下端よりも上方に上端が位置する外れ止め作用位置と該上部レールの下端よりも上端が下方に位置して該網戸の外れ止めを解除する外れ止め解除位置とに渡って上下位置変更自在に構成し、前記外れ止め部材を、水平軸芯周りで上下揺動自在で、かつ、弾性部材により前記外れ止め作用位置へ揺動付勢された揺動アームと、前記揺動アームに前記上部レール側に突出する状態で備えられ、かつ、該揺動アームの上方側への揺動に伴って前記上部レールの下端に押し付けられる押圧部とから構成し、前記外れ止め部材の下端に接当して該外れ止め部材の下方側への移動を阻止するための接当部材を備え、前記接当部材を、前記外れ止め部材の下方に位置して該外れ止め部材の下方側への接当位置を上下方向で変更させるためにスライド自在に構成した接当部本体と、前記接当部本体を複数のスライド位置にて保持させるための保持手段とから構成したことを特徴としている。
又、網戸の下框に、サッシ枠を構成する下部枠の下部レールの室内側及び室外側の両側に位置して該網戸の外れ止めを行うための外れ止め部をそれの下端が該下部レールの上端よりも下方に位置する状態で備え、前記網戸の移動時に該網戸の浮き上がりにより前記外れ止め部を乗り越えて該網戸が外れてしまうことがないように前記サッシ枠を構成する上部枠の上部レールの下端に接当して該網戸の浮き上がりを規制するための押圧部材を複数備えさせ、前記各押圧部材を、水平軸芯周りで上下揺動自在で、かつ、前記上部レールの下端に押し付け付勢するために上方側へ揺動付勢し、前記押圧部材の下端に接当して該押圧部材の下方側への移動を阻止するための接当部材を備え、前記接当部材を、前記押圧部材の下方に位置して該押圧部材の下方側への接当位置を上下方向で変更させるためにスライド自在に構成した接当部本体と、前記接当部本体を複数のスライド位置にて保持させるための保持手段とから構成してもよい。
外れ止め部材が外れ止め作用位置に揺動付勢されているから、網戸を開閉するために移動することによって、上下動する網戸に追従して外れ止め部材が上下動する、つまり網戸が上方側へ移動するときは外れ止め部材は下方側へ揺動し、網戸が下方側へ移動するときは外れ止め部材は上方側へ揺動することができるから、上部レールの下端に揺動アームに備えた押圧部が常に接当しながら、網戸を移動させることができ、しかも、押圧部の上下動が網戸に移動抵抗となることがなく、網戸をスムーズかつ軽快に移動させることができる。そして、移動時に網戸が不測に大きく浮き上がった場合には、下方側へ揺動する外れ止め部材の下端が接当部材に接当することによって、外れ止め部材の下方側への揺動が阻止され、網戸が外れることを阻止することができる。尚、外れ止め部材に対する接当部材のスライド位置は、上部レールの下端と網戸の上框の上端との隙間の大きさに応じて変更することになる。
又、網戸下框に備えている外れ止め部とサッシ枠の下部レールとの係り代以上に網戸が浮き上がることを、上部レールの下端に接当する押圧部材の上下位置を接当部材にて調節することによって、回避して網戸が外れることを確実に防止することができる。
【0006】
前記外れ止め部材及び前記接当部材を、前記網戸の上框に支持される支持部材に取り付け、前記接当部材の接当部本体の被接当側端に前記支持部材から外部に延出されて該接当部本体をスライドさせるための押し引き用の操作レバー部を備えてもよい。
【0007】
前記保持手段を、前記接当部本体にそれのスライド方向に所定間隔を隔てて複数箇所に備えた凸部又は凹部と、これら複数の凸部又は凹部に係止して複数のスライド位置で前記接当部材を保持するために前記支持部材に備えた単数又は複数の凹部又は凸部とから構成してもよい。
【0008】
前記網戸の上框を構成する水平の上壁部分に複数の貫通孔を形成し、それら貫通孔に前記支持部材を入り込ませて該貫通孔の外周縁に係止保持させるための係止部を該支持部材に備えさせてもよい。
【0009】
前記押圧部の押圧面を円弧形状に構成してもよい。
【0010】
前記上部レールの室内側又は室外側に、網戸の上框から上方に延びる垂直片部をそれの上端が該上部レールの下端よりも上方に位置する状態で配置し、前記上部レールの室外側又は室内側に位置し、該上部レールの下端よりも上方に上端が位置して前記網戸の外れ止めを行う外れ止め部材を、前記押圧部材の室外側又は室内側に該押圧部材と一体的に揺動自在に備えさせてもよい。
【発明の効果】
【0011】
外れ止め部材を外れ止め作用位置に揺動付勢する構成とすることによって、網戸を開閉するために移動したときに、上下動する網戸に追従して外れ止め部材を上下動させることができるから、上部レールの下端に揺動アームに備えた押圧部が常に接当しながら、網戸を移動させることができ、接当による異音発生がなく、しかも網戸をガタツキ無くスムーズかつ軽快に移動させることができる使用面において有利な網戸の外れ止め装置を提供することができる。そして、移動時に網戸が不測に大きく浮き上がった場合には、下方側へ揺動する外れ止め部材の下端が接当部材に接当することによって、外れ止め部材の下方側への揺動が阻止され、網戸が外れることを確実に阻止することができ、信頼性の高い網戸の外れ止め装置とすることができる。又、外れ止め機能を有する前記外れ止め部材と網戸の開閉時のガタツキ防止機能を有する押圧部とを一体化することによって、組み付け作業面において非常に安価になる。特に外れ止め部材と押圧部とを一体形成する場合には、別々に製造する場合に比べて材料コストにおいても安価になる。
又、網戸の移動時に網戸の浮き上がりにより外れ止め部を乗り越えて網戸が外れてしまうことがないようにサッシ枠を構成する上部枠の上部レールの下端に接当して網戸の浮き上がりを規制するための押圧部材を複数備えさせることによって、網戸の移動時に、網戸下框に備えている外れ止め部とサッシ枠の下部レールとの係り代以上に網戸が浮き上がって、網戸が外れてしまうことを確実に阻止することができることは勿論のこと、前記と同様に、上部レールの下端に押圧部材が常に接当しながら、網戸を移動させることができ、接当による異音発生がなく、しかも網戸をガタツキ無くスムーズかつ軽快に移動させることができる使用面において有利な網戸の外れ止め装置を提供することができる。
又、前記外れ止め部材や押圧部材を水平軸芯周りで上下揺動させるとともに、水平方向で移動する接当部材との接当により外れ止め部材や押圧部材の上下位置を変更する構成とすることによって、外れ止め部材や押圧部材を上下方向に移動させる構成に比べて、上下方向でのスペースを小さくすることができ、設計の自由度を高めることができる。
前記外れ止め部材や押圧部材の上下位置調節を行う理由として、サッシの上下枠の施工による誤差の他、網戸やサッシの製作誤差を吸収するためである。
【0012】
前記外れ止め部材及び前記接当部材を、前記網戸の上框に支持される支持部材に取り付け、前記接当部材の接当部本体の被接当側端に前記支持部材から外部に延出されて該接当部本体をスライドさせるための押し引き用の操作レバー部を備えさせることによって、支持部材を網戸の上框に取り付けるだけで、外れ止め部材及び接当部材を網戸に装着することができる。しかも、支持部材から外部に延出された操作レバー部を直ちに押し引き操作するだけで接当部本体を迅速にスライド(移動)させることができる。
【0013】
前記保持手段を、前記接当部本体にそれのスライド方向に所定間隔を隔てて複数箇所に備えた凸部又は凹部と、これら複数の凸部又は凹部に係止して複数のスライド位置で前記接当部材を保持するために前記支持部材に備えた単数又は複数の凹部又は凸部とから構成することによって、接当部本体をスライドさせるだけで、凸部と凹部とを係止させて接当部本体を任意のスライド位置にて保持させることができ、螺子などを用いて固定及び固定解除する構成に比べて、接当部本体のスライド位置変更操作を迅速に行うことができる。
【0014】
前記網戸の上框を構成する水平の上壁部分に複数の貫通孔を形成し、それら貫通孔に前記支持部材を入り込ませて該貫通孔の外周縁に係止保持させるための係止部を該支持部材に備えさせることによって、支持部材を網戸の上框を構成する水平の上壁部分に形成の貫通孔に挿入して係止保持させるだけで、支持部材を取り付けることができる。
【0015】
前記押圧部の押圧面を円弧形状に構成することによって、上部レールとの接触面積を小さくすることができ、その分網戸の移動時の上部レールとの摺接抵抗を小さくして、網戸の移動抵抗を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に、サッシ枠を構成する上部枠1に、屋内側のガラス障子2及び屋外側のガラス障子3を備え、前記上部枠1の最も屋外側に位置する上部レール4に網戸5を備えた上側のみの縦断面図を示している。前記網戸5には外れ止め装置を備えさせており、この外れ止め装置は、前記上部レール4の室内側に、網戸5の上框6の上壁部分6Aから室内側に延出された水平板部6Bから上方に延びる垂直片部7をそれの上端が該上部レール4の下端よりも上方に位置する状態で配置し、前記上部レール4の室外側に位置し、該上部レール4の下端よりも上端が上方に位置して前記網戸5の外れ止めを行う2個の外れ止め部材8(図では1個のみ図示)を前記網戸5の上框6の水平板部6Bに備えさせている。前記垂直片部7と前記外れ止め部材8とを図1とは反対の位置関係に配置してもよい。つまり、前記垂直片部7を上部レール4の室外側に配置し、前記外れ止め部材8を上部レール4の室内側に配置して実施してもよい。前記外れ止め部材8の2個を前記網戸5の上框6の網戸移動方向両側にそれぞれ振り分けて設けているが、外れ止め部材8を3個以上設けて実施することもできるが、個数が多くなればなるほど網戸5の外れ止め効果が大きくなるが、その分移動抵抗も大きくなるため、外れ止め部材8の2個を上框6の網戸移動方向両側にそれぞれ振り分けて設ける場合が最適である。ここでは、網戸5の上框6の上壁部分6Aから室内側に延出された水平板部6Bから上方に延びる垂直片部7としているが、水平板部6Bの無いものであってもよい。この場合、上框6の上壁部分6Aに前記外れ止め部材8を設けることになる。前記ガラス障子2,3の具体的構成は、図1に示されるものに限定されるものではなく、網戸5を装着するためのサッシ枠を備えるものであれば、どのような構成のものでも本発明は適応できる。
【0017】
前記各外れ止め部材8を、それの上端(図では接当部10Sの上面)が前記上部レール4の下端よりも上方に位置する外れ止め作用位置(図1、図2(b)参照)と該上部レール4の下端よりも下方に位置して該網戸5の外れ止めを解除する外れ止め解除位置(図2(a)参照)とに渡って上下位置変更自在に構成している。詳述すれば、前記外れ止め部材8を、図1、図2(a),(b)及び図3に示すように、後述する支持部材15に貫通したピンPにて水平軸芯X周りで上下揺動自在で、かつ、弾性部材の一例であるつる巻きバネ9により前記外れ止め作用位置へ揺動付勢された合成樹脂製で板状の揺動アーム10と、前記揺動アーム10の遊端に備えさせた外れ止め用の接当部10Sの上面よりも下方に位置する上面を有し、前記上部レール4側に向けて水平方向に突出するように、該揺動アーム10に一体成形され、かつ、該揺動アーム10の上方側への揺動に伴って前記上部レール4の下端に押し付けられる合成樹脂製の押圧部11とから構成し、前記外れ止め部材8の揺動アーム10の下端に接当して該揺動アーム10の下方側への移動を阻止するための接当部材12を備え、前記接当部材12を、前記揺動アーム10の下方に位置して該揺動アーム10の下方側への接当位置を上下方向で変更させるためにスライド自在(移動自在)に構成された接当部本体13と、前記接当部本体13を複数のスライド位置にて保持するための保持手段14とから構成している。前記押圧部11の上面の押圧面(上部レール4の下端と接当する面)11Aを円弧形状に構成することによって、上部レール4との接触面積を小さくして、上部レール4との接触抵抗を小さくしているが、他の形状にしてもよい。前記揺動アーム10の下面に、前記接当部本体13の先端部上側の角部が引っ掛かって係止保持される鋸歯状になった多数の段部10Aを形成して、揺動アーム10の下方側への接当阻止を係止により確実に行えるようにしているが、段部10Aの無いものであってもよい。前記接当部本体13の先端部13Aをこれよりも後方(水平軸芯Xから離れる側)に位置する本体部分13Bよりも上面を低くしてあり、図2(b)に示すように揺動アーム10の水平軸芯X側へできる限り近づけることができるようにしているが、同一高さにして実施することもできる。図2(a)では、支持部材15の底壁15Aの上面に外れ止め部材8の揺動アーム10の下端が接触する最下降位置を示しているが、網戸5を外せることができる高さであれば、最下降位置でなくてもよい。又、図2(b)では、揺動アーム10の水平(揺動)軸芯側端部の下面10Bが、支持部材15の底壁15Aの上面に接当して、最大上昇位置(図では水平面に対してほぼ34度の角度となる位置)になっているが、上框6の上壁部分6Aの上面と上部レール4の下面との間の隙間(距離)によって調節することになる。しかも、図2(b)の最大揺動角度も変更することもできる。
前記揺動アーム10及び前記押圧部11について上述すれば、その揺動アーム10の遊端(水平軸芯Xから離れる端)の上面には、上方に半円状に突出するとともに揺動アーム10よりも厚みを薄くした前記接当部10Sを形成し、残りの揺動アーム10の遊端で上端からほぼ三日月状に水平方向でかつ揺動アーム10の厚み方向に突出する状態で前記押圧部11を形成することによって、揺動アーム10の強度を高めながらも、必要となる接当部10Sと押圧部11とを備えさせることができるようにしているが、接当部10Sと押圧部11とを別体に構成して、それらを一体化してもよい。
【0018】
前記外れ止め部材8及び前記接当部材12を、前記網戸5の上框6に支持される上方が開放されるとともに前記接当部本体13をスライド可能に保持するための開口縁が形成される合成樹脂製の支持部材15に取り付け、前記接当部材12の接当部本体13の被接当側端に前記支持部材15から外部に延出されて該接当部本体13をスライドさせるための押し引き用の操作レバー部16を一体成形して備えさせている。前記操作レバー部16を指を引っかけやすいように遊端部が90度折れ曲がった平面視L字状に構成しているが、角形や丸形の棒状のものであってもよい。
【0019】
前記保持手段14を、前記接当部本体13の下面にそれのスライド方向に所定間隔を隔てて複数箇所(図では8箇所の多数箇所であるが、2箇所以上であれば、何カ所設けてもよい)に備えた矩形状の凹部17と、これら凹部17に係止して複数のスライド位置で前記接当部材12を保持するために前記支持部材15の底壁15Aの上面に備えた1個の凸部18(2個以上設けてもよい)とから構成して、スライド位置を8段階で位置調節することによって、揺動アーム10の揺動角度を8段階に調節できるようにしているが、2段階以上に調節できるのであれば、何段にしてもよい。このように凹凸部による係止にて複数段階に位置調節する構成にすることによって、調節作業の迅速化を図ることができるが、螺子などを利用して無段階に位置調節できるように構成することもできる。
【0020】
前記支持部材15は、図3に示すように、板状で平面視長方形状の前記底壁15Aと、この底壁15Aの1つの短辺を除いた3辺から上方に立ち上げた3枚の縦壁15B,15C,15Dと、前記底壁15Aに対して垂直方向に立ち上げられた2枚の縦壁15B,15Cのうちの一方の縦壁15Cの上端から水平方向に支持部材15から離間する側へ延出された水平板部15Eと、この水平板部15Eの上面からの一部から上方に立ち上げられた補強用の縦板部15Fと、この縦板部15Fと水平板部15Eの上面とを3箇所で連結して強度を高めるための3枚のリブ15Gとを備え、図1、図2(a),(b)及び図3に示すように、前記網戸5の上框6を構成する水平の上壁部分6Aから室内側に延出された水平板部6Bの長手方向両端部のそれぞれに長方形状の貫通孔6Kを形成し(図では1個の貫通孔6Kのみを示している)、それら貫通孔6K,6Kに前記支持部材15を入り込ませて該貫通孔6K,6Kの外周縁に係止保持させるための係止部19,20を該支持部材15の長手方向両端にそれぞれ備えさせている。
【0021】
前記一方の係止部19が、上方側に位置する程支持部材15から遠のく前上がり傾斜姿勢となる前記縦壁15Dの上端面15dと前記水平板部15Eから水平方向に延びる鍔部15eの下面とで構成され、前記他方の係止部20が、前記鍔部15eと反対側の端部の上端に備えさせた凹部20C形成用の上下一対の板部20A,20Bから構成している。従って、貫通孔6Kに上方から支持部材15を操作レバー部16側から入り込ませて係止部20を貫通孔6Kの長手方向一端に係止した後、他端側を下方に押し込むことによって他端側の係止部19を貫通孔6Kの長手方向他端に係止して支持部材15を貫通孔6Kに係止保持させることができる。ここでは、水平板部15Eを設けている関係上、支持部材15を貫通孔6Kに上方から入り込ませるようにしているが、水平板部15Eを省略して支持部材15を貫通孔6Kに下方から入り込ませて係止させるようにしてもよい。又、係止により支持部材15を迅速に上框6に備えさせる場合を示しているが、ビスなどを用いて上框に固定する構成であってもよい。
【0022】
前記のように構成された外れ止め装置による外れ止め作用について説明すれば、前記外れ止め装置が装着された網戸5を上部レール4に装着すると、外れ止め部材8の揺動アーム10が外れ止め作用位置(上方)に揺動付勢されることから、図1及び図2(b)に示すように、押圧部11が上部レール4に常時接当している状態になる。この状態から、網戸5を開閉するために移動することによって、小さなストロークで僅かに上下方向で移動する網戸5に対して揺動アーム10がつる巻きバネ9の付勢力に抗して下方側及び上方側へ網戸5の動きに追従して揺動することができる、つまり網戸5が上方へ移動すると揺動アーム10が下降し、網戸5が下方へ移動すると揺動アーム10が上昇することができるから、上部レール4の下端に押圧部11が常に接当しながら、網戸5を移動させることができ、網戸5をスムーズかつ軽快に移動させることができるようになっている。そして、移動時に網戸5が不測に大きく浮き上がった場合には、下方側へ揺動する揺動アーム10の下端が接当部本体13に接当することによって、揺動アーム10の下方側への揺動が阻止され、網戸5が外れてしまうことを阻止することができるようになっている。前記揺動アーム10に対する接当部本体13のスライド位置は、上部レール4の下端と網戸5の上框6の上端との隙間の大きさに応じて変更することになるが、実際には、揺動アーム10の接当部10Sの上面が上部レール4の下端よりも下方へ位置することがないように揺動アーム10の下方側への揺動を接当阻止するスライド位置に設定することになる。前記網戸5を上部レール4から外したい場合には、前記操作レバー部16を引っ張り操作してから揺動アーム10を最下降位置まで下方側へ揺動して上部レール4から網戸5の上端を外すことになる。
【0023】
図4(a),(b)に示すように、ガラス障子2,3のガラス21,21の厚みが図1に比べて厚くなっているため、ガラス障子2,3の上框に挟持させることができるように、該上框の上下方向中間部に水平方向室内側又は室外側に突出する水平板部2A,3Aを備えさせることによって、上框をそれの中間部から下端にかけたガラスの収納空間を大きく取るようにしている。このように室外側に水平板部3Aが大きく突出した状態においても、前記外れ止め部材8が上框6に対して下方側へ大きく突出することがないから、ガラス障子2,3の上框を改造することなく、今まで通りのガラス障子2,3を取り付けることができながらも、外れ止め部材8を確実に取り付けることができるようになっている。尚、図4(a)に比べて図4(b)の方が水平板部2A,3Aが室内側及び室外側に大きく突出した状態を示している。又、図4(a),(b)において説明しなかった他の部分は、図1のものと同様であり、同一の符号を付している。
【0024】
図1では、押圧部11と外れ止め用の接当部10Sとを揺動アーム10に備えさせた構成にしたが、図5に示すように、外れ止め用の接当部10Sを省略して上部レール4の下端に接当する押圧部材22を上下揺動自在に上框6に備えさせて実施してもよい。
具体的には、網戸5の下框23に、サッシ枠を構成する下部枠24の下部レール25の室内側及び室外側の両側に位置して該網戸の外れ止めを行うための外れ止め部26,27をそれの下端が該下部レール25の上端よりも下方に位置する状態で備え、前記網戸5の移動時に該網戸5の浮き上がりにより前記外れ止め部26,27を乗り越えて該網戸5が外れてしまうことがないように前記サッシ枠を構成する上部枠1の上部レール4の下端に接当して該網戸5の浮き上がりを規制するための押圧部材22を複数(図5では1個のみ示しているが、網戸の移動方向に2個以上設けることになる)備えさせている。前記押圧部材22を支持する構成は、図2及び図3と同一であるため、図示していない。前記各押圧部材22を、水平軸芯X周りで上下揺動自在で、かつ、前記上部レール4の下端に押し付け付勢するために上方側へ揺動付勢し、前記押圧部材22の下端に接当して該押圧部材22の下方側への移動を阻止するための接当部材12(図2(a),(b)参照)を備え、前記接当部材12を、前記押圧部材22の下方に位置して該押圧部材22の下方側への接当位置を上下方向で変更させるためにスライド自在に構成した接当部本体13(図2(a),(b)参照)と、前記接当部本体13を複数のスライド位置にて保持させるための保持手段14(図2(a),(b)参照)とから構成している。前記押圧部材22の室内側及び室外側の両側に、外れ止め用の板部として、上框6の上壁部分6Aから室内側へ延びる水平板部6Bと、上框6の室内側縦壁部に固定されたU字状の枠材の室内側の縦板部7とから構成しているが、それらの形状などの具体的構成は図に示されるものに限定されるものではない。又、前記外れ止め部26,27の室外側の外れ止め部27を水平方向に延びる板部から構成し、室内側の外れ止め部26を前記下框23に固定される逆U字状の枠材の室内側の縦板部から構成しているが、それらの形状などの具体的構成は図に示されるものに限定されるものではない。図5の網戸5の外れ止めの構成を、図1のものに置き換えてもよい。
【0025】
図5に示す網戸5の場合には、下部レール25に対する網戸5の下框23の係り代、図5では浅い方の係り代L(室内側の外れ止め部26の下端と下部レール25の上端との距離)よりも網戸5の移動時に浮き上がる距離が小さくなるように網戸5の上方への移動を接当部材12をスライドさせて押圧部材22の下方側への移動位置を設定することになる。ここでは、下部網戸5の下框23の室内側の係り代を室外側の係り代よりも小さくなっているが、これとは逆に設定してもよいし、同じに設定してもよい。
前記網戸5の取り外し方として、例えば押圧部材22又は外れ止め部材8の下方への移動可能量を図5で示した網戸5と網戸5の下框23の係り代Lよりも大きくした状態になるように接当部材12をスライドさせて押圧部材22の下方側への移動位置を設定してから、網戸5を上方に持ち上げ、網戸5の下框23を下部レール25から室外側(場合によっては室内側でもよい)へ外すことになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】サッシ枠を構成する上部枠にガラス障子及び網戸を装着した上側の縦断面図である。
【図2】(a)は揺動部材を最下降位置にした状態を示す縦断面図、(b)は揺動部材を最大上昇位置にした状態を示す縦断面図である。
【図3】外れ止め部材の分解斜視図である。
【図4】(a),(b)は図1で示したガラス障子よりも厚みのあるガラス障子及び網戸を装着した上側の縦断面図である。
【図5】サッシ枠を構成する上部枠にガラス障子及び他の網戸を装着した一部省略の縦断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 上部枠
2,3 ガラス障子
4 上部レール
5 網戸
6 上框
6A 上壁部分
6K 貫通孔
7 垂直片部
8 外れ止め部材
9 つる巻きバネ
10 揺動アーム
10A 段部
10B 下面
10S 接当部
11 押圧部
11A 押圧面
12 接当部材
13 接当部本体
13A 先端部
13B 本体部分
14 保持手段
15 支持部材
15A 底壁
15B,15C,15D 縦壁
15E 水平板部
15F 縦板部
15G リブ
15e 鍔部
16 操作レバー部
17 凹部
18 凸部
19,20 係止部
20A,20B 板部
20C 凹部
21 ガラス
22 押圧部材
23 下框
24 下部枠
25 下部レール
X 水平軸芯


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠を構成する上部枠の上部レールの室内側又は室外側に、網戸の上框から上方に延びる垂直片部をそれの上端が該上部レールの下端よりも上方に位置する状態で配置し、前記上部レールの室外側又は室内側に位置し、該上部レールの下端よりも上方に上端が位置して前記網戸の外れ止めを行う複数の外れ止め部材を前記網戸の上框に備え、前記各外れ止め部材を、前記上部レールの下端よりも上方に上端が位置する外れ止め作用位置と該上部レールの下端よりも上端が下方に位置して該網戸の外れ止めを解除する外れ止め解除位置とに渡って上下位置変更自在に構成し、前記外れ止め部材を、水平軸芯周りで上下揺動自在で、かつ、弾性部材により前記外れ止め作用位置へ揺動付勢された揺動アームと、前記揺動アームに前記上部レール側に突出する状態で備えられ、かつ、該揺動アームの上方側への揺動に伴って前記上部レールの下端に押し付けられる押圧部とから構成し、前記外れ止め部材の下端に接当して該外れ止め部材の下方側への移動を阻止するための接当部材を備え、前記接当部材を、前記外れ止め部材の下方に位置して該外れ止め部材の下方側への接当位置を上下方向で変更させるためにスライド自在に構成した接当部本体と、前記接当部本体を複数のスライド位置にて保持させるための保持手段とから構成したことを特徴とする網戸の外れ止め装置。
【請求項2】
前記外れ止め部材及び前記接当部材を、前記網戸の上框に支持される支持部材に取り付け、前記接当部材の接当部本体の被接当側端に前記支持部材から外部に延出されて該接当部本体をスライドさせるための押し引き用の操作レバー部を備えてなる請求項1記載の網戸の外れ止め装置。
【請求項3】
前記保持手段を、前記接当部本体にそれのスライド方向に所定間隔を隔てて複数箇所に備えた凸部又は凹部と、これら複数の凸部又は凹部に係止して複数のスライド位置で前記接当部材を保持するために前記支持部材に備えた単数又は複数の凹部又は凸部とから構成してなる請求項1又は2に記載の網戸の外れ止め装置。
【請求項4】
前記網戸の上框を構成する水平の上壁部分に複数の貫通孔を形成し、それら貫通孔に前記支持部材を入り込ませて該貫通孔の外周縁に係止保持させるための係止部を該支持部材に備えさせてなる請求項2又は3に記載の網戸の外れ止め装置。
【請求項5】
前記押圧部の押圧面を円弧形状に構成してなる請求項2〜4のいずれかに記載の網戸の外れ止め装置。
【請求項6】
網戸の下框に、サッシ枠を構成する下部枠の下部レールの室内側及び室外側の両側に位置して該網戸の外れ止めを行うための外れ止め部をそれの下端が該下部レールの上端よりも下方に位置する状態で備え、前記網戸の移動時に該網戸の浮き上がりにより前記外れ止め部を乗り越えて該網戸が外れてしまうことがないように前記サッシ枠を構成する上部枠の上部レールの下端に接当して該網戸の浮き上がりを規制するための押圧部材を複数備えさせ、前記各押圧部材を、水平軸芯周りで上下揺動自在で、かつ、前記上部レールの下端に押し付け付勢するために上方側へ揺動付勢し、前記押圧部材の下端に接当して該押圧部材の下方側への移動を阻止するための接当部材を備え、前記接当部材を、前記押圧部材の下方に位置して該押圧部材の下方側への接当位置を上下方向で変更させるためにスライド自在に構成した接当部本体と、前記接当部本体を複数のスライド位置にて保持させるための保持手段とから構成したことを特徴とする網戸の外れ止め装置。
【請求項7】
前記上部レールの室内側又は室外側に、網戸の上框から上方に延びる垂直片部をそれの上端が該上部レールの下端よりも上方に位置する状態で配置し、前記上部レールの室外側又は室内側に位置し、該上部レールの下端よりも上方に上端が位置して前記網戸の外れ止めを行う外れ止め部材を、前記押圧部材の室外側又は室内側に該押圧部材と一体的に揺動自在に備えさせてなる請求項6に記載の網戸の外れ止め装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−182673(P2007−182673A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380574(P2005−380574)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】