説明

網戸外れ止め装置

【課題】 網戸が下レールから外れるのを防止するようにした網戸外れ止め装置を提供する。
【解決手段】 網戸7の下部に支持部材21を設け、支持部材21に外れ止め部材22を上下動可能に設け、その外れ止め部材22を付勢部材23によって下方に付勢して下レール15の室内側において枠体6の下枠3の上面に当接させ、枠体6の下枠3の上面から下レール15の上端部までの下レール15の全ての立ち上がり量を網戸7が下レール15から外れるのを防止するためのかかり代Lとしたことで、網戸7を下レール15から外れにくくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網戸が下レールから外れるのを防止するようにした網戸の外れ止め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のように、網戸などの戸の下部に固定される支持部材に上下に移動するように取り付けられた外れ止め部材を圧縮コイルばねで下方に移動する方向に付勢して、外れ止め部材の下部に形成された断面半円状のみぞを窓枠の下部レールの上部に嵌め、外れ止め部材の溝が窓枠の下部レールから外れないようにすることによって網戸などの戸の外れを防止し、また、支持部材に、外れ止め部材を最上方位置に持ち上げた状態に保持する戸取外許容位置と外れ止め部材の持上げ状態を解除して外れ止め部材の下方移動を許容する戸取外禁止位置とに切り換え保持される切換部材を取り付け、網戸などの戸を窓枠に取り付けた後に切換部材を戸取外禁止位置に移動させて網戸などの戸を取り外すことができないようにし、網戸などの戸を取り外すときには切換部材を戸取外許容位置に移動させた後に網戸などの戸を持ち上げることにより窓枠から取り外すことができるようになっている外れ止め装置が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−346694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものでは、下方へ付勢されている外れ止め部材の断面半円状の溝が窓枠の下部レールの上部に嵌まっているが、外れ止め部材と下部レールとのかかり代(溝を形成する外れ止め部材の下端高さと下部レールの上端高さの差である室内外方向からみた係合量)が小さいので、暴風や不注意等により網戸に枠見込方向の力が作用して網戸が撓んで下框が持ち上げられた場合や網戸に何らかの大きな衝撃が加わって下框が持ち上げられた場合に、外れ止め部材の下部に形成された断面半円状の溝が窓枠の下部レールから外れやすいという問題点がある。
そこで本発明の課題は、上記問題点を解決するもので、網戸の下框が比較的大きく持ち上げられた場合でも、網戸が下レールから外れるのを確実に防止できるようにした網戸外れ止め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、枠体に左右開閉可能に嵌め込まれた網戸が下レールから外れるのを防止するようにした網戸外れ止め装置において、網戸の下部に支持部材を設け、支持部材に外れ止め部材を上下動可能に設け、その外れ止め部材を付勢部材によって下方に付勢して枠体の下枠の上面に当接させ、網戸の下レールの全ての立ち上がり量を網戸外れ止めのかかり代としたことを特徴とする(請求項1)。
また、本発明は、つまみ部を有する持上げ部材を外れ止め部材に取り付け、つまみ部を付勢部材の付勢力に抗して持ち上げて網戸の下部を持上げ、外れ止め部材と下レールとのかかり代を無くして網戸の枠体への取り付けや枠体からの取り外しをするようにしたことを特徴とする(請求項2)。
【発明の効果】
【0006】
本発明における請求項1に記載の発明によれば、網戸の下部に支持部材を設け、支持部材に外れ止め部材を上下動可能に設け、その外れ止め部材を付勢部材によって下方に付勢して枠体の下枠の上面に当接させ、網戸の下レールの全ての立ち上がり量を網戸外れ止めのかかり代としたので、枠体の下枠の上面から下レールの上端部までの立上がり量の総てをかかり代にでき、暴風や不注意等により網戸に荷重が枠見込方向に作用して網戸が撓んだ場合でも、網戸を下レールから外れにくくできる効果がある。
【0007】
また、請求項2に記載の発明によれば、つまみ部を有する持上げ部材を外れ止め部材に取り付け、つまみ部を付勢部材の付勢力に抗して持ち上げて網戸の下部を持上げ、外れ止め部材と下レールとのかかり代を無くして網戸の枠体への取り付けや枠体からの取り外しをするようにしたので、網戸を枠体に取り付けた後、つまみ部をはなすと外れ止め部材が付勢部材によって下方に付勢されて外れ止め部材の下端部が枠体の下枠の上面に当接し、外れ止め部材と下レールのかかり代が下レールの立上がり量の総てである大きな量に保持される。網戸を枠体に取り付けた後、つまみ部をはなすという単純な動作で網戸外れ止めの機能を持たせることができる効果がある。請求項2の発明では、外れ止め部材を網戸取外許容位置に持上げた状態に保持する切換部材(持上保持手段)を省くことができるので、作業者や操作者が外れ止め部材の持上げ状態を解除するのを忘れて網戸が下レールから外れるトラブルを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示す引違いサッシ1は、上枠2と下枠3と左右の竪枠4、5を枠組みして構成された枠体6に、網戸7と内障子47と外障子46が横引き可能に嵌め込まれて構成されている。網戸7は、上框8、下框9および左右の竪框10、11からなる方形状の網戸框12と、この網戸框12に張り付けられた網13とを備えている。網戸7は、網戸7の上部に設けられた嵌合溝7aと網戸7の下部に設けられた戸車7bが上枠2の室外側片14(網戸7用上レール)と下枠3の下レール15に夫々嵌合されて下レール15に沿って左右開閉可能に設けられている。
【0009】
網戸7の下框9の両端部には、枠体6に左右開閉可能に嵌め込んだ網戸7が下レール15から外れるのを防止するようにした網戸外れ止め装置Aが装着されている。網戸外れ止め装置Aは、網戸7の下框9に固着される支持部材21と、支持部材21に対して上下動可能に設ける外れ止め部材22と、外れ止め部材22を下方に付勢して枠体6の下枠3の上面に当接させるように支持部材21と外れ止め部材22の間に備える付勢部材23と、外れ止め部材22に固着される持上げ部材24を備えている。付勢部材23は実施形態ではコイルバネを使用している。
【0010】
支持部材21は、板部材の左右の端部をコ字状となるように同一方向に折り曲げて形成され、その左右の側板34、35の間に収容部27が形成されている。左右の側板34、35に取付部30が夫々設けられ、取付部30を網戸7の下框9の上壁28に当接させて図示しないビスで固着してある。本実施形態の外れ止め部材22は、収容部27に上下動可能に嵌合されている直方体形状の昇降体31と、その昇降体31の下部の室内側端部から下レール15の室内側に位置するように下向きに下レール15の立上げ量よりも大きく張り出している薄板状の係止板25と、昇降体31の上部に立設されている小径の上部軸部26aと大径の下部軸部26bと両者間の段部26cからなる断面円状の軸部26を備え、これらが樹脂で一体成型されている。なお、外れ止め部材22は樹脂で一体成型するものに特定されるものでなく、幾つかの部品で形成されても良いし、金属などで形成されても良い。
【0011】
外れ止め部材22の軸部26にはコイルバネ23が嵌め込まれている。網戸7の下框9の上壁28には外れ止め部材22の大径の下部軸部26bより径が小さく小径の上部軸部26aより径が大きい孔29が設けられ、その孔29には支持部材21の収容部27に収容された外れ止め部材22の軸部26の上部軸部26aが上下動可能に挿通されている。軸部26に嵌め込まれたコイルバネ23の上端は下框9の上壁28の下面に、コイルバネ23の下端は昇降体31の上面に夫々当接され、これにより外れ止め部材22が下方へ付勢され、係止板25の下端が下レール15の室内側の位置で下枠3の底壁3aの上面に当接されている。持上げ部材24は、板部材の上端側を折り曲げて軸部26の上端面に近接または当接されている抜止部24bが形成され、抜止部24bに上方へ立上がるつまみ部24aが設けられている。持上げ部材24は、網戸7の下框9の上壁28に設けられた長方形の孔33に上から挿通され、持上げ部材24の下端側がビス32で外れ止め部材22の昇降体31に固着されている。持上げ部材24のつまみ部24aをコイルバネ23のバネ力に抗して持ち上げたとき、外れ止め部材22の下端部が下框9の下端部付近に持上げられた位置で、網戸7の下框9の上壁28に設けられた孔29より大きい径の下部軸部26b上端の段部26cが上壁28の下面に当接して下框9に対する外れ止め部材22の持上げが止まるようになっている。
【0012】
支持部材21には、外れ止め部材22の軸部26が断面円状になっていることから、網戸7が枠体6から取り外されているときに外れ止め部材22が網戸7の下框9に対して回転しないようにする役割もある。持上げ部材24の抜止部24bは、網戸7が枠体6から取り外されているときに外れ止め部材22と持上げ部材24が下方に抜け落ちないように下框9の上壁28の上面に当接するようになっているが、軸部26の上方を覆って美観を良くするカバー部としての機能も備えている。なお、本実施形態では、外れ止め部材22の軸部26は断面円状になっているが、例えば断面が四角形になっているものを使ってもよい。
【0013】
次に上記構成の網戸外れ止め装置Aの作用について説明する。網戸7を枠体6へ取り付けるときには、網戸7上部の嵌合溝7aを上枠2の室外側片14(上レール)に嵌合させた状態で、左右の持上げ部材24のつまみ部24aを持ち上げることで外れ止め部材22をバネ23の付勢力に抗して持ち上げ、その外れ止め部材22の持上げにより外れ止め部材22の係止板25の下端部が下框9の下端部の高さ付近に持上げられたときに外れ止め部材22の軸部26の段部26cが下框9の上壁28に当接し、その後の外れ止め部材22の持上げによって下框9を外れ止め部材22の下端部が下レール15の上端部より高くなる位置迄持上げて外れ止め部材22の係止板25と下レール15のかかり代Lを無くし、その状態で網戸7の下框9を下レール15の上方へ移動させ、戸車7bを下レール15上に載せて網戸7を枠体6へ取り付ける。そして、持上げ部材24のつまみ部24aをはなすと、コイルバネ23が外れ止め部材22の係止板25の下端部を下枠3の底壁3aの上面に当接した状態になる。この状態では、網戸7が下レール15から室外側へ外れようとする際の外れ止め部材22と下レール15のかかり代が図4にLで示すように下レール15の立上がり量の全体となり、きわめて大きな寸法となる。
【0014】
従って、網戸7に室内外方向の何らかの大きな力が作用して網戸7が大きく撓んで下框9が持上げられたり、網戸7に上下方向の衝撃が加わって下框9が持上げられた場合でも、外れ止め部材22を室内外方向において下レール15と係合可能な状態に保持でき、網戸7が下レール15から室外側へ外れるのを外れ止め部材22と下レール15の係合により確実に防止できる。また、網戸7を枠体6に取り付けた後、持上げ部材24のつまみ部24aをはなすという単純な動作で網戸外れ止めの機能を持たせることができるので、特許文献1に記載のように外れ止め部材22を網戸取外許容位置に持上げた状態に保持するための切換部材(持上保持手段)を必要とせず、網戸7を枠体6に取付けた後で切換部材(持上保持手段)を網戸取外許容位置から網戸取外禁止位置に戻す操作を忘れて網戸外れを生じる問題を無くすることができる利点を有する。
【0015】
網戸7を枠体6から取り外すときには、枠体6へ取り付けるときと同じように左右の持上げ部材24のつまみ部24aをバネ23の付勢力に抗して持ち上げて網戸7を僅かに持上げ、外れ止め部材22と下レール15とのかかり代Lを無くした状態にすることで網戸7を枠体6から室外側へ容易に取外すことができる。なお、つまみ部24aを持って網戸7を最上部まで持ち上げたときに外れ止め部材22の下端部が下レール15の上端部よりも上まで上げることができるようにするために、図6に示すように持上げ部材24と外れ止め部材22以外の例えば竪框10、11を持って網戸7を最上部まで持ち上げた状態で、最下降端に位置される外れ止め部材22を持上げ部材24の持ち上げにより外れ止め部材22の下端部が下レール15の上端部より高くなるように持上げることができるように、軸部26の段部26cと下框9の上壁28との距離L´を下レール15の立上がり量よりも大きくなるように設けてある。
【0016】
上記のように、外れ止め部材22の下端部を下レール15の室内側で下枠3の底壁3aの上面に当接させているので、下枠3の底壁3aの上面から下レール15の上端部までの下レール15の全ての立ち上がり量を外れ止め部材22と下レール15のかかり代Lにでき、外れ止めのためのかかり代を最大限にすることができる。よって、暴風や不注意等により網戸7に荷重が枠見込方向に作用して網戸7が撓んだ場合でも、かかり代Lが大きい分、網戸7を下レール15から外れにくくできる。網戸7を枠体6へ取り付けた状態から持上げ部材24と外れ止め部材22以外を持って網戸7を最上部まで持ち上げても、外れ止め部材22は軸部26に嵌合されて昇降体31と下框9の間に介在されているコイルバネ23によって下方に付勢され、外れ止め部材22の下端部が下枠3の底壁3aの上面に当接し、外れ止め部材22と下レール15のかかり代Lが下レール15の立上がり量の全体である大きな量に保たれる。本実施態様では、網戸外れ止め装置Aを網戸7の下框9の両端部に装着したことによって、網戸7を左右開閉させるときに網戸7の左右両側を同じように枠体6から外れにくくすることができる。
【0017】
なお、上記実施態様では、持上げ部材24を持って網戸7の下部を持上げて網戸7を枠体6に着脱するようにしているが、持上げ部材24を持上げ位置(網戸取外許容位置)に一時的に保持するための持上保持手段(切換部材)を設け、持上げ部材24を持上保持手段で持上げ保持した状態で網戸7を竪框10、11を持って持上げて網戸7を枠体6に着脱するようにしても良い。持上保持手段としては、例えば、持上げ部材24の抜止部24bと下框9の上壁28の間にストッパ部材を介在させたり、持上げ部材24の側端面に設けた切欠部に上壁28上に左右移動可能に配置したストッパ部材を係合させるもの等で良いが、網戸7を枠体6に装着した後で、持上保持手段の解除操作を忘れないようにする注意が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の網戸外れ止め装置を備えた引違いサッシを示す図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】網戸外れ止め装置の取付状態を示す図である。
【図4】網戸が最上部まで持ち上げられた状態を示す図である。
【図5】戸車が下レールに嵌合されている通常の状態での網戸外れ止め装置を拡大した図である。
【図6】網戸が最上部まで持ち上げられた状態での網戸外れ止め装置を拡大した図である。
【図7】図5のIII−III線断面図である。
【符号の説明】
【0019】
3 下枠
6 枠体
7 網戸
15 下レール
21 支持部材
22 外れ止め部材
23 付勢部材
24 持上げ部材
24a つまみ部
A 網戸外れ止め装置
L かかり代

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に左右開閉可能に嵌め込まれた網戸が下レールから外れるのを防止するようにした網戸外れ止め装置において、網戸の下部に支持部材を設け、支持部材に外れ止め部材を上下動可能に設け、その外れ止め部材を付勢部材によって下方に付勢して枠体の下枠の上面に当接させ、網戸の下レールの全ての立ち上がり量を網戸外れ止めのかかり代としたことを特徴とする網戸外れ止め装置。
【請求項2】
つまみ部を有する持上げ部材を外れ止め部材に取り付け、つまみ部を付勢部材の付勢力に抗して持ち上げて網戸の下部を持上げ、外れ止め部材と下レールとのかかり代を無くして網戸の枠体への取り付けや枠体からの取り外しをするようにしたことを特徴とする請求項1記載の網戸外れ止め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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