説明

網戸用換気装置

【課題】
網戸に後付で簡単に着脱できる低コストの外気吸引用、あるいは室内排気用の網戸用換気装置を提供する。
【解決手段】
網戸において任意の網目に取り付ける換気装置であって、平面状の開口部を持つ筐体と、該筐体内に設けられた吸気用の開口部と排気用の開口部との間に設けられたファンと、網戸の網目に挿通して該筐体を支持する突起状部材と、該筐体のいずれかの開口部を網戸の網に密着させる密着手段とからなる。密着手段は、前記突起状部材に形成された、網目の開口幅より大きい外径の先端部と、基端部側に位置して前記先端部よりも径の小さい縮径部とからなる一体型と固定具との間にマグネットの引力あるいは固定具の係止孔による縮径部との間に係止力を働かせる分離型があり、更に、換気の流路上に、複数の通気孔を有する多孔質材あるいは吸熱部材のうち少なくとも一方を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空気を排出しあるいは室外の空気を吸引して換気する装置であり、特に夏場などに暑くなった室内の熱気を簡便に低コストで換気し、更には冷却する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術は以下の通りである。例えば、特許文献1においては、窓に取付けられた送風機支持手段を持つ送風機が網戸と一体的に形成されている外気導入送風機を提案している。また、特許文献2では、電動式の換気扇を網戸の補強桟に設けた換気扇付網戸を提案している。更に、特許文献3及び特許文献4では、網に物品を取付ける方法として面状ファスナを提案している。
【特許文献1】登録実用新案第3014306号公報
【特許文献2】特開昭55−122987号公報
【特許文献3】実開昭57−106994号のマイクロフィルム
【特許文献4】実開昭63−54799号のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記したように夫々の技術にも依然として課題が残っている。例えば、特許文献1、2については、送風機は予め送風機支持手段が窓や窓枠に取付けられているため、取り付け位置が固定され直ぐに付けたいと思ってもそれなりの工具や技能が無くてはできない。また、窓に取り付ければ、取り外したいと思っても直ぐにできないし、取り付けと同様、誰でも簡単にとはいかない。当然、取り外し後の原状復帰のための工事も必要になる。また、窓や窓枠に送風機支持手段が直接取り付くので、振動による騒音など2次的な公害が発生しかねないなどの問題もある。
次に、特許文献3,4にあるような面状ファスナなどの多数の鉤とループを備えた織布による網への物品の取り付けや網への付着材の技術との差異についても検討してみた。結論から言えば、これら面状ファスナなどについては、ワッペンのような厚みの薄い軽量なものには使用できても換気装置のような多少重さのある、しかも振動するものには取り付けが不確実であるという課題が残り実用には不適切であることが分かった。すなわち、多数の鉤とループが網目を介して接触する状況は多数の鉤が人の手で網を挟んで面ファスナの両側から押圧され、その内何%の鉤が実際に網の目を通り、そして通り抜けた位置で相手となるループの目にその内何%がたどり着き、更にその内、ループの方向と角度が適切で何%が鉤と絡むか、そして最終的に有効に支持力を発揮するのはその内何%になるかは非常に不確実だと言わざるを得ない。
簡単な社内テストであるが、100個の鉤を持つテスト用面ファスナで10回やって確実に鉤とループが絡み力が発揮できそうな形になったのは25%以下であった。しかもこれとて全ての鉤とループが絡んだ後問題なく保持力を発揮するかどうか分からないという問題が残る。更に、その網目を通る鉤の線径は当然網目より相当細く強度面でも不安が残る。また、脱落する状況をつぶさに観察すれば、ループに絡まった鉤が夫々伸びて伸びきったところで鉤が最後に外れて脱落する。これは全体の重量を全ての鉤とループが一致して支えるというより力が掛かった箇所の鉤とループだけが支えそれに耐え切れなくなった時点で夫々の鉤が勝手に伸びながら脱落していく。そして次に絡まっている鉤とループに順次繰り返される。設計の仕方にもよるが、この面状ファスナは主として荷重を支える目的よりも軽量なものを貼付する目的に合うものと考えられ、本件に使用する固定具として実用性は低いと思われる。
そこで本発明は、網戸を改造することなく、しかも使用しないときは簡単に取り外せる簡便で低コストの外気吸引用、あるいは室内空気排気用の網戸用換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、網戸において任意の網目に取り付ける網戸用換気装置であって、平面状の吸気用及び排気用の各開口部を有する筐体と、該筐体内に設けられた吸気用の開口部と排気用の開口部との間に設けられたファンと、網戸の網目に挿通して該筐体を支持する突起状部材と、該筐体のいずれかの開口部を網戸の網に密着させる密着手段とからなる構成としている。(特許請求の範囲 請求項1)
また、前記密着手段は、前記突起状部材に形成された、網目の開口幅より大きい外径の先端部と、該先端部よりも基端部側に位置して前記先端部よりも径の小さい縮径部とから構成されている。(特許請求の範囲 請求項2)
また、前記密着手段は、網戸の網を挟んで筐体の開口部と相対する固定具を有し、相対する筐体の開口部と固定具は磁性体からなり、これら開口部と固定具との間にマグネットの引力を作用させ、該開口部が網に密着するように構成されている。(特許請求の範囲 請求項3)
また、前記密着手段は、網戸の網を挟んで筐体の開口部と相対する固定具を有し、該固定具は挿通された該突起状部材をその縮径部にて係止する係止孔を具備し、網目を貫通した突起状部材の縮径部が、固定具の係止孔にて係止されることにより、前記開口部が網に密着するように構成されている。(特許請求の範囲 請求項4)
また、換気の流路上に、複数の通気孔を有する多孔質材あるいは複数の通気孔を有する吸熱部材が位置するよう、前記筐体に対してこれら多孔質材及び吸熱部材のうち少なくとも一方を取り付けた構成としている。(特許請求の範囲 請求項5)
又、網戸において任意の位置に取り付ける換気装置であって、平面状の開口面を持つお椀状のふた部(筐体)と、ふた部(筐体)の一部を開口してふた部(筐体)の内外を貫通するように嵌め込まれたファンと、網戸に寄り添いふた部(筐体)の開口面が網戸の網に密着するようにした固定具とを有する構成としている。
また、網戸において任意の位置に取り付ける換気装置であって、平面状の開口面を持つお椀状のふた部(筐体)と、ふた部(筐体)の一部を開口してふた部(筐体)の内外を貫通するように嵌め込まれたファンと、網戸に寄り添いふた部(筐体)の開口面が網戸の網に密着するようにした固定具と、ふた部(筐体)の一部であって開口面付近に配し網戸の網の目を通す導電性を持ち且つ複数の突起部材と、固定具の一部であって網戸の反対側から前記突起部材と夫々導通する複数の受け端子とを有する構成としている。
また、網戸において任意の位置に取り付ける換気装置であって、平面状の開口面を持つお椀状のふた部(筐体)と、ふた部(筐体)の一部を開口してふた部(筐体)の内外を貫通するように嵌め込まれたファンと、網戸に寄り添いふた部(筐体)の開口面が網戸の網に密着するようにした固定具と、前記ふた部(筐体)及び固定具を落下防止用に連結するためあるいは電源コードを通すため網戸の一辺の縁を越えて渡り且つ網戸の開閉において生じる隙間を最小にして邪魔にならないような扁平形状とした連結帯とを有する構成としている。
この網戸用換気装置における網戸は、窓や出入口など開口部を覆うように設置した防虫用を含め各種の網を張ったものが含まれる。一般的には家庭などにおける網戸、網扉や網窓などがその主な対象となる。すなわち、この網戸用換気装置における換気装置は、この網戸を取り替えて新たな換気装置にするのではなく、これまでの網戸も利用しながら新たな技術を付加して新しい換気機能を得ようとするものであって、空気の送風や空気の冷却の他、フィルターなどを付加して消臭や除菌あるいはアロマテラピーなど適用の事例を広げることも含まれる。
この網戸用換気装置におけるふた部(筐体)は、網面を平面状の開口部で一定範囲覆うことができるもので容器のほか平板状の部材も含まれる。更に、断面の形状についても円形や矩形に拘らない。また、開口面の大きさも種々適用が可能であり、且つファンの開口面がふた部(筐体)の奥行きの中間にある、すなわち、ファンの開口面と網戸の網の間を浮かすように配置することによって網戸の網を通過する空気を減速させ抵抗を減らすこともできる。また、この網戸用換気装置におけるふた部(筐体)は、表面に意匠をもってファンの開口部との取り合わせも可能である。例えば、林間を描いた額のモチーフで林の間からそよ風が出てくるなどの構成もできる。更に、ふた部(筐体)を軽量にするため樹脂製は勿論のこと発泡樹脂などの発泡性材料を含むこともできる。また、ふた部(筐体)と表面の覆いカバーとは切り離し、共通部品化したふた部(筐体)に各種の用途に合わせた覆いカバーを取付けることもできる。
この網戸用換気装置におけるファンは、網戸に寄り添うような狭い空間に取り付けて空気に運動エネルギーを与え網戸の一方から他方へ空気を移送するもので、軸流ファンも含め各種のファンが適用できる。例えば、一般にいうDCファン、ACファン、ファンモータなども含まれる。当然、軽量で厚さも薄く音も静かなことが重要である。また、このファンの電源は家庭用電源以外にバッテリーや変圧器、太陽光発電なども含みタイマー装置と一体化して自動運転にすることも可能である。更に、このファンの配置についても位置はもちろん複数の台数や大小のサイズの組合せ、あるいは吐出と吸込の一体組合せ型などが自由でこれらは用途の幅を広げるのに役立つ。更に温度・湿度計などと一緒にして換気の流路上にセンサー部を置き内外の温度差が一定以上になれば自動運転することや既定の温度や湿度になれば自動的に運転や停止することなども可能である。また、一部別記しているが、ファンへの電源からの経路についてはその装置ごとに適切に選択されるべきものである。本体から直接家庭用コンセントにケーブルで接続する以外に、連結帯の途中からとか、網戸を挟んで反対側から接続することもできる。また、途中にスイッチも含めた制御ボックスを窓枠近傍に設置して本体との間を目立たない細いケーブルとすることもできる。制御には温度制御、時間制御の他、環境制御も含まれる。
この網戸用換気装置における突起状部材は、本装置の全重量をはじめファンの回転による振動なども受けて網戸の網にその荷重を引き渡す役目を持つ。そのため、突起状部材は網の目を貫通するか、あるいは網面に平行する方向で部分的にでも網線を遮るような突起する部分を有する。例えば、図6は網の断面を模式的に表したものであるが、網と突起状部材が密着している限り突起状部材25aと25bがいずれも網面に平行する変位には抵抗力を有していることを示している。
また、網戸用の網は通常緊張して張られていることを利用して突起状部材は網目の開口幅より大きい外径の先端部と、該先端部よりも基端部側に位置して前記先端部よりも径の小さい縮径部とを有する形状でこれらを隣接もしくは1目(もく)外した網目において挿通しこれらを複数使用することにより、縦横の相互の網目がより緊張し合いはずれにくくすることも含まれる。一方、先端部の外径が大きすぎると縮径部の径と形状によっては取り外しが難しくなることもあり、網を傷めたりするので別の形態として取外し機能を付加することも含まれる。また、突起状部材は後述する密着手段と一体となって作用するため、密着手段によっては単なるピンであっても突起であっても良い。更に、ピンの先端が分割でき網目を挿通後開くとかピンの先端から針が伸び開いて網と開口面が離間することを防ぐ手段も含まれる。
この網戸用換気装置における密着手段は、ふた部(筐体)の開口面が網戸の網に密着するためのメカニズムであり、容易に着脱でき軽量で安価なこと、簡単に脱落しないこと、更に網戸を傷めないことが重要な要素である。尚、この密着手段は前記した突起状部材と一体化したもの(一体型と称す)と、突起状部材とは分離した固定具が必要なもの(分離型と称す)の2種類に大別できる。前記した請求項2での突起状部材の縮径部、即ち、くびれや段差による密着手段は一体型である。網面の反対側から固定具で網戸を挟む密着手段の一例として、マグネットの磁力を利用したものや突起状部材の縮径部にて係止する係止孔を具備する可撓性の固定具などは分離型である。マグネットの場合は磁性体としてマグネットと金属のほかマグネット同士の場合も含まれる。更にこのマグネットの引力を高めるためマグネットを包む鉄製のマグネットホルダーを有することも含まれる。又、可撓性の固定具の場合は突起状部材が保持するのに適合する係止孔の他、異形孔やスリット付き孔や多数のピンホールを有するものも可能であり雨カバーや目隠しなどとして兼用することもできる。更にネクタイピンのピン式のように網戸の網目を通る頭付きのピンを差し込んでそれを固持することにより固定する密着手段も含まれる。
また、前記した導電性の複数の突起部材(この項は前項の補足で前記する突起状部材とは異なる要素を持つため、優先権主張前の出願に倣い突起部材としている)に対する複数の受け端子も広い意味でこの密着手段でいわゆる分離型に含まれる。尚、この場合、網の材質は非導通が適用される。また、これらの密着手段はふた部(筐体)が網戸のどちらの面に付けるかは問題としていない。更に、一方向のファンであっても使用の際にファンのどちらの面も網戸に当てて固定できるような両面網当て型とすることも含まれる。また、固定具によってふた部(筐体)と網面が密着することで全体として、あるいは部分的に網面に僅かの段差を形成して滑りに対する抵抗力を増大させることも含まれる。
この網戸用換気装置における多孔質材は、主に水を吸収させ保有する熱容量と蒸発による気化熱で換気する空気を冷却するものである。従って、この多孔質材は親水性に優れ保水能力も高いことが望まれる。また、事前に冷凍しておくことや随時補給する給水式も有効である。又、この網戸用換気装置における吸熱部材は、前記と同様、換気する空気を冷却するもの、あるいは冷却を補助するもので、保冷材をパッケージに密封したものや熱交換を容易にするための熱伝導板を含むものである。例えば、アルミニューム板のフィンなどにより熱移動し易くすることも有効である。
この網戸用換気装置における連結帯は、いわゆる分離型の固定具において、本体と固定具が離間した際の落下防止の目的の他、ケーブルの配線を網戸の反対側に通す場合に有効である。そして、具体的には、薄い繊維布、紐、テープ、フラットケーブル、そしてフィルム状のケーブルなどが可能である。更にこの連結帯は不用とすることも含まれる。そして、これらの連結帯は目立たなくするため透明にすることも含まれる。
【発明の効果】
【0005】
以上説明したような構成を有するため本発明は、既にある網戸に後付で取り付けて使用できる簡便な換気装置として、新たな場所を要せず室内の空気を排気したり、あるいは外気を吸引したり、更には外気をより冷却して供給しより室内を快適にしてくれる。夏蒸し暑く冬寒い日本では、例えば、夏期には北側から南側へ、冬期には南側から北側へ通気や換気が可能となり住宅環境を容易に改善できる。また、夏の夜間には無尽蔵の屋外冷気を吸引してエアコン要らずの生活ができるなど節電に資することもできる。更には殺風景な網戸に美的及び芸術的感覚を導入することもできるなどその効果は非常に大きいものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は本発明の第1の実施例を網戸の任意の位置に使用した状況を示す正面図である。ケーブル8についてもクリップ116により一旦網枠9a で受ける形式を模式的に示している。図2は本実施例の本体のみの正面図で、図3は本体の側面断面図、図4は網9を除外した本体の背面図である。尚、本図の実施例ではふた部(筐体)1は平板状でありこの平板の中央にファン2の開口面1aが、そして周囲には全体を覆う覆いカバー117が取付く構造としている。図5はふた部(筐体)1と覆いカバー117が分離した状態を示し、(a)は覆いカバー117であり多孔質材113や熱伝導板115など、(b)はふた部(筐体)1でありファン2や突起状部材101などが設けられている。密着手段として一体型の縮径部103を持つ突起状部材101を例示しているが、突起状部材101の基端部側には鍔広の鉄片3bが付けられ任意の網目を通して後、図示していない固定具で網9を挟むようにして密着することもできる。覆いカバー117は面の腹を軽く押さえることにより止め具の位置が拡がり簡単に外すことができる。尚、図6では一般的な平織りで編んだ網9の断面を模式的に示している。網目105の有効内寸が網目の開口幅106である。網の厚さ15は線径の2倍であるが他の図では略して簡単に網9としている。図7は、第2〜第5の実施例として、密着手段が分離型の固定具3の例を夫々の突起状部材101と共に示している。(1)はマグネット固定具のもの(第2の実施例)、(2)はマグネットホルダー118付きのもの(第3の実施例)、(3)は本体側にマグネット3aがあり鉄片3bが固定具になるもの(第4の実施例)、そして(4)は突起状部材101が鉄片3bと一体とした固定具の実施例(第5の実施例)を示している。
図8は、第6〜第8の実施例として、密着手段が一体になった突起状部材101の例を示す。(1)は網目の開口幅より大きい外径の先端部と、該先端部よりも基端部側に位置して前記先端部よりも径の小さい縮径部103とから構成されている突起状部材101の例(第6の実施例)で、(2)はこれらを隣接もしくは1網目空けた隣の網目において挿通しこれらを複数使用することにより、相互の網目がより緊張し合いはずれにくくする例(第7の実施例)を示し、(3)は段差12を明確に大きく取った例(第8の実施例)を示し外れにくくしている。図9は、第9の実施例として、突起状部材101の先端が分割でき網目を挿通後ピン120を押すことにより先端が開く例を模式的に開く前を(a)、開いた後を(b)で示している。
そして、図10は、係止孔125を具備する可撓性の固定具3の例で、(a)は突起状部材101に可撓性の固定具3の係止孔125を係止させた実施例(第10の実施例)を示している。(b)は固定具3の部分平面図であるが、スリットがあり可撓性を有しているため繰返しの使用にも有効である。周りのリングは補強も兼ねた安全策である。
図11は第11の実施例で矩形の筐体1を網戸の隅に取り付けた状況を示す部分正面図であり、図12は図11の部分断面図である。図12において、網戸の左側は屋内側であり通常はガラス戸で接する位置にシール部124が案内され網戸用換気装置が網戸の枠9a内に収まった状況を示している。又、網戸の右側は屋外側で雨カバーの縁を固定具3として兼用した例を示している。図13はこの雨カバーの固定具3を折り曲げ前の形状で示した展開図の一例である。即ち、突起状部材と密着手段は図10の(a)(b)の変形であり、可撓性の材質、例えばポリエチレンやポリプロピレン製などで作れば簡単に折り曲げて所定の位置に係止孔125を有する簡便な雨カバー型の固定具3となる。
図14は第12の実施例で一部を欠いた正面図である。図15は図14の主要部を断面にした平面図、図16は第12の実施例を使用状態にした時を側面から見て本体と固定具を幾分離して分かり易くした概略説明図である。そして、図17は図16のA部を拡大した部分断面側面図である。また、図18は第12の実施例を使用した実施形態の正面説明図である。図14に戻って説明すると、大きくはふた部(筐体)1とふた部(筐体)1の開口面1aに密着するようにした固定受け具3cとを繋ぐようにした連結帯4とからなる。ふた部(筐体)1の開口面1aを向こう側にして正面の適する位置に貫通部1bがありファン2が取り付けられる。ファン2の向きは手前から奥に送風する場合は吐出型となり、奥から手前に送風する場合は吸込型となる。ファン2の奥の開口面とふた部(筐体)1の開口面1aとの距離を一定程度離すようにする。離すことにより網を通過する風速を下げて空気の抵抗を減らすことができる。開口面1aの近傍には対角状に2個のマグネット3aが設けられ網戸9の網を挟んで固定受け具3cの夫々の鉄片3bによってふた部(筐体)1が網戸にしっかり固定される。図17の段差20は網9を傷つけない程度のスペースを形成して網9にふた部(筐体)1が固定される状況を参考的に示している。固定受け具3cを鉄製で作れば3bは特に図示しなくても良い。固定受け具3cには雨よけと見栄えからよろい戸様のルーバー7をつけているがこれに限ることはない。スイッチ10には電源オン・オフの他、吐出・吸込や速度調節などが含まれる。
図19は本発明の第13の実施例を示す概略正面図である。本装置についてファン2の数やサイズ、更には吐出と吸込の一体組合せ型などに制限はないことは既に述べた。図19はこの吐出と吸込の一体組合せ型を簡単な模式で示したものである。2は開口部に取り付けたファンであり13,14は空気の流れが手前から奥へと奥から手前へ流れる様子を示している。1台の装置に排気のファンと吸気のファンを一体化して網戸に取り付ければ、密閉した風通しの良くない部屋も簡単に空気の循環ができる部屋になる。特に、この装置では中央の横線30の上方を少し上向きに、下方を少し下向きにすることにより室内の空気循環が更に容易にすることができる.
図20は本発明の第14の実施例を示す概略正面図である。林間を描いた額のモチーフで林の間からそよ風が出てくる件は前記したが、それを示している例が図20である。網戸は意外に殺風景であり何か意匠的な飾りができないかとお考えの方には種々創造できるものである。図20では林間の木々や枝21がファン2のガードをしつつその奥からそよ風が吹いてくる様を面白く意匠化したものである。また、写真などを挿入するパネルと一体化することも可能で新しい用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は第1の実施例を網戸に取付けた状況を示す正面図である。
【図2】図2は第1の実施例において、本体のみの正面図である。
【図3】図3は第1の実施例を使用状態にした時の本体側面断面図である。
【図4】図4は第1の実施例で網を除外した本体背面図である。
【図5】図5は第1の実施例において、ふた部(筐体)1と覆いカバー117を分離した状態を示す側面断面図である。
【図6】図6は網9の断面を模式的に示した断面説明図である。
【図7】図7は第2〜第5の実施例で分離型の固定具3の断面と平面の説明図である。
【図8】図8は第6〜第8の実施例で一体型の突起状部材101の断面説明図である。
【図9】図9は第9の実施例で突起状部材101の断面説明図である。
【図10】図10は第10の実施例でふた部(筐体)1と取外し板119の側面図である。
【図11】図11は第11の実施例で網戸の隅に取り付けた状況を示す部分正面図である。
【図12】図12は第11の実施例の部分断面図である。
【図13】図13は第11の実施例において、固定具の展開図である。
【図14】図14は第12の実施例で一部を欠いた正面図である。
【図15】図15は図12の主要部を断面にした平面図である。
【図16】図16は第12の実施例を使用状態にした時を側面から見た概略説明図である。
【図17】図17は図16のA 部を拡大した部分断面側面図である。
【図18】図18は本発明の第12の実施例において、実施形態の正面説明図である。
【図19】図19は本発明の第13の実施例を示す概略正面図である。
【図20】図20は本発明の第14の実施例を示す概略正面図である。
【符号の説明】
【0008】
1 ふた部(筐体)
1a 開口面
1b 貫通部
2 ファン
3 固定具
3a マグネット
3b 鉄片
3c 固定受け具
4 連絡帯
5 ロータ
6 軸
7 ルーバー
8 ケーブル
9 網
9a 網戸の枠
9b 網の網線
10 スイッチ
11 表示ランプ
12 段差
13 内から外への風の向き
14 外から内への風の向き
15 網の厚さ
21 木々や枝
101 突起状部材
102 密着手段
103 縮径部
104 くびれ
105 網目
106 開口幅
107 太陽光パネル
108 制御ボックス
109 温度制御
110 時間制御
111 環境制御
112 通気孔
113 多孔質材
114 吸熱部材
115 熱伝導板
116 クリップ
117 覆いカバー
118 マグネットホルダー
119 取外し板
123 網押え部
124 シール部
125 係止孔
126 折り曲げ線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
網戸において任意の網目に取り付ける網戸用換気装置であって、
平面状の吸気用及び排気用の各開口部を有する筐体と、
該筐体内に設けられた吸気用の開口部と排気用の開口部との間に設けられたファンと、
網戸の網目に挿通して該筐体を支持する突起状部材と、
該筐体のいずれかの開口部を網戸の網に密着させる密着手段と
を備えることを特徴とする網戸用換気装置。
【請求項2】
前記密着手段は、前記突起状部材に形成された、網目の開口幅より大きい外径の先端部と、
該先端部よりも基端部側に位置して前記先端部よりも径の小さい縮径部と
から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の網戸用換気装置。
【請求項3】
前記密着手段は、網戸の網を挟んで筐体の開口部と相対する固定具を有し、
相対する筐体の開口部と固定具は磁性体からなり、
これら開口部と固定具との間にマグネットの引力を作用させ、
該開口部が網に密着することを特徴とする請求項1又は2の網戸用換気装置。
【請求項4】
前記密着手段は、網戸の網を挟んで筐体の開口部と相対する固定具を有し、
該固定具は挿通された該突起状部材をその縮径部にて係止する係止孔を具備し、
網目を貫通した突起状部材の縮径部が、固定具の係止孔にて係止されることにより、
前記開口部が網に密着することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の網戸用換気装置。
【請求項5】
換気の流路上に、複数の通気孔を有する多孔質材あるいは複数の通気孔を有する吸熱部材が位置するよう、
前記筐体に対してこれら多孔質材及び吸熱部材のうち
少なくとも一方を取り付けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の網戸用換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−32902(P2013−32902A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−102651(P2012−102651)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(304022908)
【Fターム(参考)】