網戸装置、その窓枠に対する取付構造並びにその取付方法及び取外方法

【課題】ネジの紛失や落下を避けるため、窓枠に対して網戸収納ケースをネジ固定することなく、窓枠に対して着脱することができる網戸装置、その窓枠に対する取付構造並びにその取付方法及び取外方法を提供すること。
【解決手段】網戸収納ケース５は、収納ケース固定材３１の各自由端３１ａのバネ作用により嵌合されると共に、前記ケース５の上端５２に窓枠４の上レール４１の切欠端部４１ａに係合される上外止部５０を設け、前記ケース５の下端５３に、下レール４２の切欠端部４２ａに係合される下外止部５１を設けている。即ち、前記網戸収納ケース５は、窓枠４に対し前記収納ケース固定材３１による嵌合と、上外止部５０による上レール４１の切欠端部４１ａとの係合及び下外止部５１による下レール４２の切欠端部４２ａとの係合で、取付けられる構造となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、窓枠と障子の障子かまち間に配置される網戸装置に関し、特に窓枠に対する網戸収納ケースのネジ固定を不要とする網戸装置、窓枠に対する取付構造並びにその取付方法及び取外方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
窓枠にロール網戸のケースを取付ける場合には、そのケースを窓枠にネジ止めすることが一般的であった（特許文献１の図３参照）。
【特許文献１】特開平６−１７３５３７
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
ロール網戸の網目部材は、その耐久性がサッシ窓に比べ劣ることから、その網目部材の交換等のメンテナンスが必要になる。
ケースが窓枠にネジ固定されているロール網戸においては、網目部材の交換等のためには、ネジ止めを解除してケースを窓枠から外すこととなる。
しかし、このようなメンテナンスの作業の際に、固定ネジを紛失させる場合があった。ロール網戸の取付場所が高所である場合には、ネジが下方に落下する危険性もあった。
【０００４】
そこで、本願発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ネジの紛失や落下を避けるため、窓枠に対して網戸収納ケースをネジ固定することなく、窓枠に対して着脱することができる網戸装置を提供し、網目部材の交換等のメンテナンスを容易にする網戸装置、窓枠に対する取付構造並びにその取付方法及び取外方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
上記課題を解決するため、障子の障子かまちに対向され、且つ、窓枠に配置される網戸収納ケースを備えると共に、前記網戸収納ケースの上端側に設けられ、且つ、窓枠の上レールの切欠端部に係合される上外止部と、前記網戸収納ケースの下端側に設けられ、且つ、窓枠の下レールの切欠端部に係合される下外止部とを備えることを特徴とする網戸装置とした（請求項１の発明）。
【０００６】
上記発明において、前記網戸装置の上下外止部は、前記上下レールに連続されるレール部をそれぞれ備えている（請求項２の発明）。
【０００７】
上記発明において、前記網戸装置の上下外止部は、前記網戸収納ケースに沿ってスライドするスライド部をそれぞれ備えている（請求項３の発明）。
【０００８】
上記発明において、前記網戸装置の上下外止部は、前記網戸収納ケースの任意の位置で仮止め可能であることを特徴とする（請求項４の発明）。
【０００９】
上記課題を解決するため、網戸収納ケースが窓枠に配置されると共に、その網戸収納ケースの上端側に設けられる上外止部が、上レールの切欠端部に係合され、その網戸収納ケースの下端側に設けられる下外止部が、下レールの切欠端部に係合されることを特徴とする網戸装置の取付構造とした（請求項５の発明）。
【００１０】
上記課題を解決するため、障子の障子かまちに対向するように、窓枠に配置される網戸収納ケースの取付方法において、前記網戸収納ケースの取付サヤに沿って上外止部を下方に、下外止部を上方にそれぞれライドさせ、窓枠の上下レールの切欠スペースから、網戸収納ケースを窓枠に配置させた後、前記サヤに沿って上外止部を上方にスライドさせて、上レールの切欠端部に係合させ、上外止部を固定し、前記サヤに沿って下外止部を下方にスライドさせて、下レールの切欠端部に係合させ、下外止部を固定することを特徴とする網戸装置の取付方法とした（請求項６の発明）。
【００１１】
上記課題を解決するため、障子の障子かまちに対向するように、窓枠に配置された網戸収納ケースの取外方法において、上レールの切欠端部に係合されている上外止部を前記サヤに沿って下方に、下レールの切欠端部に係合されている下外止部を前記サヤに沿って上方にそれぞれスライドさせ、その結果、形成される窓枠の上下レールの切欠スペースを利用して、網戸収納ケースを前記窓枠から取外すことを特徴とする網戸装置の取外すことを特徴とする網戸装置の取外方法とした（請求項７の発明）。
【発明の効果】
【００１２】
本発明によれば、窓枠に配置される網戸収納ケースと上下レールの切欠端部間に上下外止部を介在させることで、網戸収納ケースの窓枠に対する固定ネジが不要な網戸装置となっており、網戸装置の取付け及び取外しに際し、固定ネジの紛失や落下を避けることができる。よって、網目部材の交換等のメンテナンスを固定ネジの紛失等に煩わされずに行うことができる網戸装置、窓枠に対する取付構造並びにその取付方法及び取外方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
本発明に係る網戸装置の実施形態を図面に基いて説明する。
図１〜図３はそれぞれ網戸装置を取付けたテラスタイプ窓の正面図であって、図１は障子閉鎖状態の正面図、図２は外障子を開放し網目部材を開幕させた換気状態の正面図、図３は内障子を開放し網目部材を開幕させた換気状態の正面図、図４は図１に対応する横断面図、図５は同縦断面図である。
図６（Ａ）は網戸装置を構成する網戸収納ケースの上端の側面図、同（Ｂ）は同上端の平面図、図７（Ａ）は網戸装置を構成する網戸収納ケースの下端の平面図、同（Ｂ）は同下端の側面図、図８は同上下端の要部斜視図である。
これらの各図及び後述の各図において、同一の構成は同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【００１４】
前記網戸装置１は、図１〜図５及び図１４に示したように、内外障子２、３の各障子かまち２０、３０に対向する窓枠４の対向面４０に配置される網戸収納ケース（以下、ケースとも略称する）５、５と、このケース５、５と前記各障子かまち２０、３０間に配置され、且つ、前記各障子かまち２０、３０の移動に追随する移動かまち６、６と、前記網戸収納ケース５、５に収納され、且つ、前記移動かまち６、６に先端側が取付けられた網目部材７と、前記各障子かまち２０、３０に対し、前記移動かまち６、６を着脱自在に操作可能な網戸キャッチ８及び受け８Ａとを設けて構成されている。
【００１５】
前記内外障子２、３及びこれらに配置されている各網戸装置１は略同一の構成であるので、主に外障子３の網戸装置１の構成例を説明する。
【００１６】
前記窓枠４の対向面４０には、横断面が略コ字状に成形され、各自由端３１ａがフック状に形成されている収納ケース固定材３１が固定されている。この収納ケース固定材３１は、前記ケース５を嵌合させるもので、所定長さに設定され、対向面４０の長手方向に複数箇所取付けられている。
【００１７】
前記ケース５は、図５のように、ケースの上端５２が窓枠４の上枠４３に対向するように、下端５３が窓枠４の下枠４４に接する長尺状のものである。
ケース内には、基端が回転軸に取付けられその先端が前記移動かまち６に取付けられ、且つ閉幕される方向に常時付勢される網目部材７が収納されている。かかる網目部材７は、前記移動かまち６をスライド走行させることにより前記ケース５の出没口５０１から開幕及び閉幕可能になっている。
【００１８】
前記ケース５は、前記収納ケース固定材３１の各自由端３１ａのバネ作用により嵌合されると共に、図６〜図８に図示したように前記ケース５の上端５２に窓枠４の上レール４１の切欠端部４１ａに係合される上外止部５０を設け、前記ケース５の下端５３に、下レール４２の切欠端部４２ａに係合される下外止部５１を設けている。
即ち、前記網戸収納ケース５は、窓枠４に対し前記収納ケース固定材３１による嵌合と、上外止部５０による上レール４１の切欠端部４１ａとの係合及び下外止部５１による下レール４２の切欠端部４２ａとの係合で、取付けられる構造となっている。
【００１９】
前記上外止部５０は、図８に示したように前記上レール４１の切欠端部４１ａを嵌入させる嵌入部５０ａと、前記上レール４１に連続するレール部５０ｂと、前記ケース５に形成された緩衝材（戸当片５４）の取付サヤ５５に沿って上外止部５０をスライドさせるスライド部５０ｃと、前記サヤ５５の任意の位置で上外止部５０を仮止め可能及び本締め可能なネジ部５０ｄを備えている。
【００２０】
前記嵌入部５０ａは、前記レール切欠端部４１ａを嵌入れるための溝５００を備えている。
前記レール部５０ｂは、前記溝５００の底部から前記切欠端部４１ａの下部までの高さ及び幅にて垂下されて形成され、上レール４１の切欠スペース４１ｂを埋めるように、上レール４１との連続性が保たれ、前記移動かまち６用のレールを兼用している。
前記スライド部５０ｃは、取付サヤ５５の断面形状に対応させて、その形状がサヤ５５を摺動可能に成形されている。なお、このスライド部５０ｃには、前記ネジ部５０ｄ用の裏板取付部（図示せず）が形成されている。
前記ネジ部５０ｄは、裏板取付部の裏板に対する締結力を調整することで、前記サヤ５５の任意の位置で上外止部５０を仮止め可能とし、本締め可能とする。
【００２１】
前記下外止部５１は、図８に示したように前記下レール４２の切欠端部４２ａを嵌入させる嵌入部５１ａと、前記下レール４２に連続すると共に切欠スペース４２ｂを埋めるレール部５１ｂと、前記取付サヤ５５に沿って下外止部５１をスライドさせるスライド部５１ｃと、前記サヤ５５の任意の位置で下外止部５１を仮止可能及び本締可能とするネジ５１ｄを備えている。
これらの構成は、前記上外止部５０の嵌入部５０ａ、レール部５０ｂ、スライド部５０ｃ、ネジ部５０ｄに対応するものである。
なお、前記移動かまち６とケース５との緩衝材となる前記戸当片５４は、前記上下外止部５０、５１の下端及び上端間にて前記サヤ５５に圧入されている。
【００２２】
前記移動かまち６は、図５のように、その上下端が前記網戸収納ケース５より若干短い長尺状のもので、図４等で図示しているように網目部材７の先端をプレート７２により折曲げて取付けることができる取付部６００を備え、上下レール４１、４２を走行可能に構成されている。
なお、前記移動かまち６が障子かまち３０に対向する框対向部６０２には、障子かまち３０側の網戸キャッチ８の鎌を受ける受け８Ａ（図１４参照）が複数箇所に設けられている。
そして、上記構成の移動かまち６と網戸収納ケース５とが当接する場合には、移動かまち６が前記網戸収納ケース５の出没口５０１を略塞ぐようになっている。
また、障子かまち３０の網戸キャッチ８と移動かまち６の受け８Ａが係合している場合には、移動かまち６が外障子３の開閉に追随して移動するようになっている。
【００２３】
以上の網戸装置１及びその取付構造によれば次のような作用効果を奏する。
１．ケース５が、固定材３１のフック状の自由端３１ａによって嵌合される。前記上下外止部５０、５１の嵌入部５０ａ、５１ａが上下レールの切欠端部４１ａ、４２ａを嵌合し、前記レール部５０ｂ、５１ｂが上下レールの切欠端部４１ａ、４２ａに略当接される。
よって、窓枠４に対するケース５の取付けにケース５用の固定ネジが不要となっている。
２．前記ケース５が窓枠４に対しネジ固定されてなくても、移動かまち６を移動させる方向の力に対して、ケース５を窓枠４に強固に、安定的に取付けることができる。
３．上下外止部５０、５１の各レール部５０ｂ、５１ｂは上下レール４１、４２の延長線上に位置して、移動かまち６を走行させることができる。
４．上下外止部５０、５１の各レール部５０ｂ、５１ｂは上下レール４１、４２の切欠スペース４１ｂ、４２ｂを埋めて、上下レール４１、４２との連続性が確保されている。
【００２４】
次に、上記網戸装置１の取付方法を図９に基づいて説明する。
図９（１）は、網戸装置１の窓枠４に対する取付け前の姿である。
この状態から、移動かまち６を前記網戸収納ケース５から網目部材７と共に引出して、ケース５のサヤ５５に圧入されている戸当片５４の上下端をそのサヤ５５から捲るように取外す（図９（２））。
この場合、取外す戸当片５４の上下端の取外幅は、上下外止部５０、５１のスライド幅に対応させる。
なお、実施形態では、戸当片５４が予めケース５に圧入されているが、後述するように、上下外止片を固定した後にケース５に圧入してもよい。
次に、前記サヤ５５に沿って上外止部５０を下方に、下外止部５１を上方にそれぞれ、少なくとも上下レール４１、４２の高さ幅だけスライドさせ、前記ネジ部５０ｄ、５１ｄによって仮止めする（図９（２））。
次に、窓枠４の上下レール４１、４２の切欠スペース４１ｂ、４２ｂを利用してケース５を室外側から吊込む（図９（３））。
即ち、ケース５の上端５２を前記切欠スペース４１ｂから窓枠４の上部にケンドン式に吊込みつつ、その下端５３を切欠スペース４２ｂの斜め方向から挿入し（図９（３））、ケース５を窓枠４の固定材３１に嵌合させる（図９（４））。
次に、前記サヤ５５に沿って上外止部５０を上方にスライドさせて、上レール４１の切欠端部４１ａに係合させ、下外止部５１を下方にスライドさせて、下レール４２の切欠端部４２ａに係合させる（図９（５））。
即ち、上外止部５０の嵌入部５０ａが前記上レール４１の切欠端部４１ａを挟み込みながらスライドされつつ、そのレール部５０ｂが上レール４１の切欠端部４１ａに略当接される。一方、下外止部５１の嵌入部５１ａが前記下レール４２の切欠端部４２ａを挟み込みながらスライドされつつ、そのレール部５１ｂが下レール４２の切欠端部４２ａに略当接される（図９（５））。
次に、上外止部５０を、スライド部５０ｃの上端が図示しないケース５の上端カバーに当接するまで上方にスライドさせ、その嵌入部５０ａがケース５の上端５２と略同一の高さ位置にてネジ部５０ｄで固定し、下外止部５１を、スライド部５１ｃの下端が図示しないケース５の下端カバーに当接するまで下方にスライドさせ、その嵌入部５１ａが、ケース５の下端５３と略同一の高さ位置にてネジ部５１ｄで固定する（図９（５））。
最後に前記ケース５のサヤ５５に戸当片５４の上下端を圧入する。
なお、移動かまち６は、網目部材７を引出しつつ上下レール４１、４２に対して斜めにして、その上下端を上下レール４１、４２に吊込ませた後、垂直にする。
【００２５】
以上の網戸装置１の取付方法によれば次のような作用効果を奏する。
１．窓枠４に対するケース５の取付けに際し、ケース５用の固定ネジが不要であり、また、上下外止部５０、５１の各ネジ部５０ｄ、５１ｄのネジは、仮止めすることで、取外しの必要がなく、ネジ類の紛失、落下による作業の煩雑性を解消ことができる。
よって、網目部材７の交換等のメンテナンスを固定ネジの紛失等に煩わされずに行うことができる。
２．窓枠４の固定材３１のバネ作用による嵌合によって、強固に、且つスピーディーにケース５を窓枠４に取付けることができる。
３．上下レール４１、４２の切欠端部４１ａ、４２ａに対する上下外止部５０、５１の溝５００によるスライド取付け等により、網戸装置１の取付作業が容易である。
４．移動かまち６は、ケース５の取付け前又は後に、上下レール４１、４２に吊込めばよく、ケース５の取付作業を妨げることはない。
【００２６】
次に、上記網戸装置１の取外方法を説明する。
この取外方法は、上記取付方法との逆手順で行う。
まず、前記ケース５のサヤ５５に圧入されている戸当片５４の上下端をサヤから取外す。
次に、上レール４１の切欠端部４１ａに係合されている上外止部５０のネジ部５０ｄを緩め、その上外止部５０を前記サヤ５５に沿って下方にスライドさせ、一方、下レール４２の切欠端部４２ａに係合されている下外止部５１のネジ部５１ｄを緩め、前記サヤ５５に沿って上方にそれぞれスライドさせ、前記ネジ部５０ｄ、５１ｄにて仮止めする。
その結果、形成される窓枠の上下レール４１、４２の切欠スペース４１ｂ、４２ｂを利用して、ケース５を固定材３１の嵌合から解放させ、前記窓枠４から室外側に取外す。
この場合、前記固定材３１の室外側の自由端３１ａを支点として、ケース５を捻るように取り外すことができる。
なお、移動かまち６は、ケース５の取外しの前に上下レール４１、４２から外してもよいし、ケース５を取外した後に、上下レール４１、４２から外してもよい。
【００２７】
以上の網戸装置１の取外し方法によれば次のような作用効果を奏する。
１．窓枠４からのケース５の取外しに際し、ケース５用の固定ネジがなく、また、上下外止部５０、５１の各ネジ部５０ｄ、５１ｄのネジは、仮止めすることで、取外す必要がなく、ネジ類の紛失、落下による作業の煩雑性を解消することができる。
２．上下外止部５０、５１の各上下レール４１、４２に対する係合を解除し、それぞれ上下方向にスライドさせることで、ケース５の取外しのための切欠スペース４１ｂ、４２ｂが形成され、ケース５の取外しが容易となっている。
３．その際に、前記ケース５は、固定材３１に嵌合されているので、安定した状態のままで、固定材３１のバネ作用を利用してケース５を捻るように取外すことができる。
４．移動かまち６は、ケース５の取外し前又は後に、上下レール４１、４２から取外せばよく、ケース５の取外し作業を妨げることはない。
【００２８】
上述の網戸装置１は、図５に示したように、前記網目部材７が開幕された場合に、その網目部材７の上下端７０、７１に対向しつつ、窓枠４の上下枠４３、４４間の隙間Ｇを塞ぐことができる虫除け材９を備えている。
図１０は図５に示した上レールの虫除け材の拡大断面図、図１１は図５に示した下レールの虫除け材の拡大断面図である。
【００２９】
前記虫除け材９は、網目部材７が開幕された場合に、その網目部材７の上下端７０、７１と窓枠４の上下枠４３、４４間に形成される隙間Ｇ（図５等参照）を塞ぐことができるもので、上下枠４３、４４に沿って配置される長尺状の部材である。
この隙間Ｇは、網戸収納ケース５を窓枠４の対向面４０に取付けたり、取外す場合に必要な間隙である。
前記網目部材７の上端７０と窓枠４の上枠４３間の隙間Ｇを塞ぐ虫除け材９は、図１０に図示されているように、上枠４３の取付溝４３０に圧入される圧入部９０と、網目部材７の上端７０に向って下方に対向する下対向部９１からなり、この下対向部９１の先端は形状を安定させるために略円筒状に形成されている。
実施形態の虫除け材９はゴムまたは合成樹脂にて、且つ圧入部９０の硬度が高く、一方下対向部９１の硬度が低い２色成形により形成されているが、硬度が同じものでも防虫効果は変わらない。
【００３０】
前記虫除け材９の下対向部９１の先端と対向する前記網目部材７の上端７０間には隙間ｇが形成されているが、この隙間ｇは前記網目部材７の上端７０が下対向部９１の先端を擦らないようすると共に、前記移動かまち６の走行を円滑に行えるようにするもので、虫等の室内への侵入が困難な幅、例えば約１．５ｍｍとなっている。
【００３１】
前記虫除け材９は、上枠４３に沿って配置されているが、その具体的な位置は、開閉幕される前記網目部材７の上端７０の位置に対応させる。
この実施形態では、前記網目部材７の上端７０が前記上レール４１と前記気密材取付ヒレ４８間で開閉幕させるようしている。これは、室外側からの強い風圧（正圧）に対して、網目部材７の上端７０が前記上レール４１を乗り越えて捲れることを避けるためである。よって網目部材７の上端７０が前記上レール４１に捲れたまま開閉幕されることもなく、網目部材７の保護を図ることができる。一方、室内側からの風圧（負圧）に対して、網目部材７の上端７０は上レール４１の側面に当ることで柔軟に対応させることができる。
このような風圧対策と虫除け材９による防虫対策を両立させるため、虫除け材９も上レール４１と窓枠４の気密材取付ヒレ４８間に、前記網目部材７の上端７０と突合せつつ、略鉛直線上に配置されている。
【００３２】
なお、内障子２用の網目部材７の上端７０は、前記上レール４１の室内側面に近接され、一方、外障子３用の網目部材７の上端７０は、より気密材取付ヒレ４８に近づいて位置されている。
【００３３】
前記網目部材７の下端７１と窓枠４の下枠４４間の隙間Ｇを塞ぐ虫除け材９は、図１１に図示されているように、下枠４４の取付溝４３０に圧入される圧入部９０と、網目部材７の下端７１向って上方に対向する上対向部９２からなり、この上対向部９２の先端は略円筒状に形成され、その強度が補完されている。この他の構成及び効果は、前記虫除け材９の構成及び効果と同様である。
【００３４】
また図１２及び図１３に図示したように、虫除け材９の下対向部９１と上対向部９２をそれぞれ複数本にしてもよい。
この場合、風圧による前記網目部材７の上下端７０、７１の移動変位に、複数本の下対向部９１と上対向部９２が対処できるため、風圧対策と虫除け材９による防虫対策を効果的に両立させることができる。
なお、風圧対策と虫除け材９による防虫対策を効果的に両立させるため、虫除け材９と開閉幕される前記網目部材７の上下端７０、７１の位置を、図面上左右に移動させつつ、複数本の下対向部９１と上対向部９２の内、最も適切な下対向部９１と上対向部９２を選択して調整してもよい。
【００３５】
虫除け材９を備えた網戸装置１では、次のように効果を奏する。
１．前記隙間Ｇ（図５参照）が形成されているので、カセット式の網戸収納ケース５の着脱等が容易に行えてメンテナンス等の必要性を満たしつつ、虫除け材９により前記隙間Ｇを塞ぐことができるので、防虫効果が発揮される。
２．開閉幕される前記網目部材７の上下端７０、７１は、前記上下レール４１、４２と前記気密材取付ヒレ４８間に位置されるので、室外側からの強い風圧に対して、網目部材７の上下端７０、７１が前記上下レール４１、４２を乗り越えて捲れることもなく、また気密材取付ヒレ４８の室外側側面に接することとなる。よって網目部材７の上下端７０、７１が前記上下レール４１、４２に捲れたまま開閉幕されることもなく、その保護を図ることができる。
３．一方、室内側からの風圧に対して、網目部材７の上下端７０、７１が前記上下レール４１、４２に接するように柔軟に対応させることができ、その保護を図ることができる。
４．虫除け材９の下対向部９１と上対向部９２が網目部材７の上下端７０、７１に突き合さる位置にあるので、防虫効果及び対風圧対策とすることができる。
５．虫除け材９の下対向部９１と上対向部９２をそれぞれ複数本にした場合には、風圧による前記網目部材７の上下端７０、７１の移動変位に、複数本の下対向部９１と上対向部９２が対処できるため、風圧対策と虫除け材９による防虫対策をより効果的に両立させることができる
【００３６】
前記網戸キャッチ８は、図１４及び図１５に図示したように、内外の操作レバー８０、８１と、それらの脚部８００、８１０に固定されたキャッチ本体８２と、この本体８２に連結された連動プレート８３と、この連動プレート８３に固定された鎌８４と、連動プレート８３の昇降をガイドする連動プレートガイド８５からなる。前記連動プレート８３には図示されていない他の鎌が固定され、前記内外の操作レバー８０、８１の昇降動作に連動して上下の鎌８４等が昇降され、前記受け８Ａ、８Ａと鎌８４等との係合操作がされるようになっている。なお、前記網戸キャッチ８の鎌８４及び前記受け８Ａは、前記上下レール４１、４２が形成する平面内に略位置している。
【００３７】
上記実施形態は、テラスタイプの窓について使用する網戸装置の構成例を説明したが窓の構成はスライディング形式であればどのようなものでよい。例えば片引きタイプの窓でもよい。その他、窓に限定されるものでもなく、玄関等の建物の開口部にも取付けることができる。
前記移動かまちは障子かまちの移動に追随可能であって、移動かまちのみを走行させてもよい。
前記網戸装置は、ロール網戸には限定されず、その他、プリーツ状の網目部材のものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【００３８】
【図１】網戸装置を取付けたテラスタイプ窓の正面図、
【図２】外障子を開放した換気状態の正面図、
【図３】内障子を開放した換気状態の正面図、
【図４】図１に対応する横断面図、
【図５】同縦断面図、
【図６】（Ａ）網戸装置を構成する網戸収納ケースの上端の側面図、（Ｂ）同上端の平面図、
【図７】（Ａ）網戸装置を構成する網戸収納ケースの下端の平面図、（Ｂ）同下端の側面図、
【図８】同上下端の要部斜視図、
【図９】（１）〜（５）網戸装置の取付手順の説明図、
【図１０】虫除け材の詳細な説明図、
【図１１】同詳細な説明図、
【図１２】別例の虫除け材の詳細な説明図、
【図１３】同詳細な説明図、
【図１４】網戸装置を構成する網戸キャッチとその受けの断面図、
【図１５】同網戸キャッチの要部断面図である。
【符号の説明】
【００３９】
１網戸装置２、３内外障子
４窓枠５網戸収納ケース
６移動かまち７網目部材
８網戸キャッチ８Ａ受け
９虫除け材

２０、３０各障子かまち３１収納ケース固定材
３１ａ自由端

４０対向面４１上レール
４１ａ切欠端部４２下レール
４２ａ切欠端部４１ｂ、４２ｂ切欠スペース
４３上枠４４下枠
４８気密材取付ヒレ

５０上外止部５１下外止部
５０ａ５１ａ嵌入部５０ｂ５１ｂレール部
５０ｃ５１ｃスライド部５０ｄ５１ｄネジ部
５４戸当片５５取付サヤ
５２ケースの上端５３ケースの下端

７０、７１網目部材の上下端７２プレート

８０、８１内外の操作レバー８２キャッチ本体
８３連動プレート８４鎌
８５連動プレートガイド

９０圧入部９１下対向部
９２上対向部

４３０上枠の取付溝４３０下枠の取付溝
５００溝５０１出没口
６００取付部６０２框対向部
８００、８１０脚部

Ｇ隙間ｇ隙間

【特許請求の範囲】
【請求項１】
障子の障子かまちに対向され、且つ、窓枠に配置される網戸収納ケースを備えると共に、
前記網戸収納ケースの上端側に設けられ、且つ、窓枠の上レールの切欠端部に係合される上外止部と、
前記網戸収納ケースの下端側に設けられ、且つ、窓枠の下レールの切欠端部に係合される下外止部とを備えることを特徴とする網戸装置。
【請求項２】
前記上下外止部は、前記上下レールに連続されるレール部をそれぞれ備えることを特徴とする請求項１に記載の網戸装置。
【請求項３】
前記上下外止部は、前記網戸収納ケースに沿ってスライドするスライド部をそれぞれ備えることを特徴とする請求項１に記載の網戸装置。
【請求項４】
前記上下外止部は、前記網戸収納ケースの任意の位置で仮止め可能であることを特徴とする請求項１に記載の網戸装置。
【請求項５】
網戸収納ケースが窓枠に配置されると共に、
その網戸収納ケースの上端側に設けられる上外止部が、上レールの切欠端部に係合され、
その網戸収納ケースの下端側に設けられる下外止部が、下レールの切欠端部に係合されることを特徴とする網戸装置の取付構造。
【請求項６】
障子の障子かまちに対向するように、窓枠に配置される網戸収納ケースの取付方法において、
前記網戸収納ケースの取付サヤに沿って上外止部を下方に、下外止部を上方にそれぞれスライドさせ、
窓枠の上下レールの切欠スペースから、網戸収納ケースを窓枠に配置させた後、
前記サヤに沿って上外止部を上方にスライドさせて、上レールの切欠端部に係合させ、上外止部を固定し、前記サヤに沿って下外止部を下方にスライドさせて、下レールの切欠端部に係合させ、下外止部を固定することを特徴とする網戸装置の取付方法。
【請求項７】
障子の障子かまちに対向するように、窓枠に配置された網戸収納ケースの取外方法において、
上レールの切欠端部に係合されている上外止部をサヤに沿って下方に、
下レールの切欠端部に係合されている下外止部をサヤに沿って上方にそれぞれスライドさせ、
その結果、形成される窓枠の上下レールの切欠スペースを利用して、網戸収納ケースを前記窓枠から取外すことを特徴とする網戸装置の取外方法。

【図１】