説明

綴り券の発券装置、および綴り券の発券方法

【課題】綴り券の発行時間を短縮でき、印字品質を低下させることのない綴り券の発券装置を提供する。
【解決手段】印刷部送りローラ21を駆動する印刷部ステッピングモータ22と、カッタ部送りローラ23を駆動するカッタ部ステッピングモータ24設け、それぞれを独立して制御できるようにする。そして、印刷部送りローラ21によるロール紙2の搬送が開始された後に、印刷部送りローラ21とカッタ部送りローラ23の間にタルミAが形成されるようにする。タルミAが形成された状態において、印刷部側では印刷を連続して行い、カッタ部側では、ロール紙を所定の長さ(ミシン目の間隔)ずつ搬送しては停止するようにし、ロール紙2が停止した状態において、ミシン目カッタ31によりロール紙2にミシン目を入れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綴り券の発行時間を短縮でき、また印刷品質を低下させることのない、綴り券の発券装置、および綴り券の発券方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バス乗車券として、複数の券片が綴られた回数券(単に、「綴り券」とも言う)が利用されることが多い。この回数券の綴の部分にはミシン目が入れられ、利用者は、バスを利用するごとに、ミシン目から1枚づつ券を切り離して使用している。また、この回数券の購入は、駅前のバスセンターなどに設けられた自動式の発券装置を利用して購入することが多い。
【0003】
この綴り券の発券に使用される発券装置は、利用者が綴り券を購入しようとする際にロール状の券紙(ロール紙)に、印刷、ミシン目入れを行い、複数の券片が綴られた状態にして発行している。このような発券装置の構成例を図5に示す。
【0004】
図5に示す発券装置1Aにおいて、2はロール状の券紙(ロール紙)、3はロール紙2を搬送路に送り出す送りガイドローラ、4はロール紙2を印刷部へ搬送するためのロール紙送りローラ、5はロール紙送りローラを回転させるステッピングモータ、6は券の裏面側に印字を行うための裏印刷ヘッド、7は裏印刷ヘッド6のプラテンローラ、8は券の表面側に印字を行うための表印刷ヘッド、9は表印刷ヘッド8のプラテンローラ、10は櫛刃状カッタであり、ストロークの調整によりミシン目カッタとして機能すると共に、全カッタとしても機能するミシン目カッタ、11は全カットされたロール紙(綴り券)を搬送するベルト、12はベルト11を駆動するためのステッピングモータを示している。
【0005】
上記構成において、ロール紙2はガイドローラ3を介して、ロール紙送りローラ4により印刷部に搬送される。印刷部では、最初に裏印刷ヘッド6により券の裏面に所定項目(運賃、区間、有効期限等)の印字を行い、該裏面印刷を行った後にロール紙2をミシン目位置まで搬送してステッピングモータ5を一旦停止する。そして、ロール紙2が停止した状態でミシン目カッタ10によりロール紙2にミシン目を入れる。すなわち、綴り券に精度良くミシン目を入れるため、ロール紙2を停止させた状態でミシン目カット入れる。ロール紙2にミシン目が入ると、ステッピングモータ5を再起動し、ロール紙2を搬送しながら表印刷ヘッド8により、券の表面に裏面と同じ項目(運賃、区間、有効期限等)の印字を行う。これにより、回数券の1枚分が作成される。
【0006】
以上の動作を繰り返し、ロール紙2への印字とミシン目入れを繰り返し、一連の綴り券の最後の券の裏面印字を行った後に、ミシン目カッタ位置でロール紙2を停止させ、ミシン目カッタ10のストロークを増大させてロール紙2の全カットを行う。この後に、綴り券の最後の券の表面印字を行い、綴り券の作成が完了する。
【0007】
このようして作成された綴り券は、ステッピングモータ12で駆動されるベルト11に挟持されて搬送され、発券装置1Aから外部に排出される。この排出された綴り券を利用者が受け取る。なお、装置全体は制御装置13によって制御されている。
【0008】
ところで、上記発券装置1Aにおいては、ミシン目カットの度にステッピングモータ5およびロール紙送りローラ4を停止させ、ロール紙2の搬送を停止している。このため、綴り券の発行に時間がかかっていた。また、表面または裏面の印刷中にロール紙2の送りを停止する場合があるため、印刷品質が低下する(例えば、スジ目が入る)ことがあった。
【0009】
なお、従来技術の券売機がある(特許文献1を参照)。この従来技術の券売機は、ロール紙の引き出し部分に生じる弛みをなくし、確実な発券ができる券売機を構成することを目的としている。このために、軸を設けてロール紙を装着し、このロール紙の内径側の両側面の一方に摺動部材および他方にスプリングを備えて前記ロール紙を押圧挟持するように構成し、このロール紙の回転に一定の摩擦負荷を与えるようにしている。
【0010】
しかしながら、上記従来技術の券売機では、上述した綴り券の発行に時間がかかるという問題や、印刷中にロール紙の送りを停止するため、印刷品質が低下するという問題を解決しようとするものではなかった。
【特許文献1】特開平8−167050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、従来の綴り券の発券装置においては、綴り券上にミシン目を入れる度にステッピングモータを停止させ、ロール紙の搬送を停止している。このため、綴り券の発行に時間がかかるという問題があった。また、印刷中にロール紙の送りを停止するため、印刷品質が低下するという問題があった。
【0012】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、綴り券の発行時間を短縮でき、また、印刷品質を低下させることのない、綴り券の発券装置、および綴り券の発券方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の綴り券の発券装置は、ロール紙に印刷部により印字を行った後に、該印字されたロール紙にカッタ部によりミシン目カットを入れて綴り券を発行する綴り券の発券装置であって、印刷部においてロール紙を搬送する印刷部送りローラと、前記印刷部送りローラを駆動する印刷部送りローラ制御手段と、カッタ部においてロール紙を搬送するカッタ部送りローラと、前記カッタ部送りローラを駆動するカッタ部送りローラ制御手段と、前記印刷部送りローラと前記カッタ部送りローラとの間にロール紙のタルミを形成させるためのロール紙タルミ形成手段と、前記ロール紙タルミ形成手段によりロール紙にタルミを形成した後に、前記カッタ部においてロール紙を所定の長さずつ繰り返し搬送しながら、該ロール紙にミシン目カットを入れるミシン目カット制御手段と、を備えることを特徴とする。
このような構成により、綴り券の発券装置において、印刷部側のロール紙を駆動する印刷部送りローラと、これを駆動する制御手段(例えば、印刷部ステッピングモータ)を設け、また、カッタ部側のロール紙を駆動するカッタ部送りローラと、これを駆動する制御手段(例えば、カッタ部ステッピングモータ)設ける。すなわち、印刷部送りローラとカッタ部送りローラを、それぞれ独立して制御できるようにする。そして、印刷部送りローラとカッタ部送りローラとの間にはロール紙のタルミが形成されるようにする。そして、タルミが形成された状態において、印刷部ではロール紙の搬送と印字を連続して行い、カッタ部では、ロール紙を所定の長さ(ミシン目の間隔)ずつ繰り返し搬送しながら、ロール紙が停止した状態において、該ロール紙にミシン目を入れる。
これにより、印刷部においてはロール紙の搬送と印字を連続して行える。また、カッタ部においては、ロール紙を停止させてミシン目を入れることができる。このため、綴り券の発行時間を短縮でき、また、印刷品質を低下させることがなくなる。
【0014】
また、本発明の綴り券の発券装置は、前記印刷部の印刷部送りローラによるロール紙の搬送の開始後に、カッタ部においてロール紙に最初のミシン目カットを入れるために前記カッタ部送りローラを停止させる際に、前記印刷部送りローラを停止させることなくロール紙を継続して搬送させることにより前記タルミを形成させるロール紙タルミ形成手段を備えることを特徴とする。
このような構成により、綴り券の発券装置において、印刷部送りローラによるロール紙の搬送の開始後に、カッタ部においてロール紙に最初のミシン目カットを入れるためにカッタ部送りローラを停止させる際に、印刷部送りローラを停止させることなくロール紙を継続して搬送させることによりタルミを形成させる。
これにより、印刷部送りローラとカッタ部送りローラとの間のタルミを自動的に形成することができる。
【0015】
また、本発明の綴り券の発券装置は、前記印刷部の印刷部送りローラによるロール紙の搬送の開始後、所定時間遅らせて、前記カッタ部のカッタ部送りローラによるロール紙の搬送を開始することにより、前記タルミを形成させるロール紙タルミ形成手段を備えることを特徴とする。
このような構成により、印刷部において印刷部送りローラによるロール紙の搬送と印字が開始された後に、所定の時間だけ遅らせて、カッタ部のカッタ部送りローラを起動する。これにより、印刷部送りローラとカッタ部送りローラとの間に、所望の量のタルミを形成することができる。
【0016】
また、本発明の綴り券の発券装置は、前記ロール紙タルミ形成手段によりロール紙にタルミが形成された後に、前記カッタ部送りローラ制御手段を制御することにより、ロール紙上のミシン目カットの必要な位置をミシン目カッタの切断面に合わせるようにして一時停止させながら、ロール紙を繰り返し搬送させるカッタ部ロール紙送り制御手段と、前記カッタ部ロール紙送り制御手段によりロール紙を搬送させる際に、ロール紙が一時停止した状態において、該ロール紙に対してミシン目カッタによりミシン目を入れるミシン目カット制御手段と、備えることを特徴とする。
このような構成により、タルミが形成された状態において、印刷部側では、ロール紙の搬送と印字を連続して行う。カッタ部側では、ロール紙上のミシン目カットの必要な位置をミシン目カッタの切断面に合わせるようして、ロール紙を一時停止させながら繰り返し搬送する。そして、ロール紙が一時停止した状態において、ミシン目カッタによりロール紙にミシン目を入れる。
これにより、印刷部においてはロール紙の搬送と印字を連続して行える。また、カッタ部においては、ロール紙を停止させてミシン目を入れることができる。このため、綴り券の発行時間を短縮でき、また、印刷品質を低下させることがなくなる。
【0017】
また、本発明の綴り券の発券装置は、前記カッタ部には、綴り券へのミシン目カットが完了した後に、該綴り券の切断を行う全カット手段を備えることを特徴とする。
これにより、ロール紙へのミシン目カットの完了後に、ロール紙を切断して綴り券を発券できるようになる。
【0018】
また、本発明の綴り券の発券方法は、ロール紙に印刷部により印字を行った後に、該印字されたロール紙にカッタ部によりミシン目カットを入れて綴り券を発行する綴り券の発券装置における綴り券の発券方法であって、前記発券装置内の制御部により、印刷部においてロール紙を搬送する印刷部送りローラを制御する印刷部送りローラ制御手順と、カッタ部においてロール紙を搬送するカッタ部送りローラを制御するカッタ部送りローラ制御手順と、前記印刷部送りローラと前記カッタ部送りローラとの間にロール紙のタルミを形成させるためのロール紙タルミ形成手順と、前記ロール紙タルミ形成手順によりロール紙にタルミを形成した後に、前記カッタ部においてロール紙を所定の長さずつ繰り返し搬送しながら、該ロール紙にミシン目カットを入れるミシン目カット制御手順と、が行われることを特徴とする。
このような手順により、綴り券の発券装置において、印刷部送りローラとカッタ部送りローラを、それぞれ独立して制御できるようにする。また、印刷部送りローラとカッタ部送りローラとの間にはロール紙のタルミが形成されるようにする。そして、タルミが形成された状態において、印刷部ではロール紙の搬送と印字を連続して行い、カッタ部では、ロール紙を所定の長さ(ミシン目の間隔)ずつ繰り返し搬送しながら、ロール紙が停止した状態において、該ロール紙にミシン目を入れる。
これにより、印刷部においてはロール紙の搬送と印字を連続して行える。また、カッタ部においては、ロール紙を停止させてミシン目を入れることができる。このため、綴り券の発行時間を短縮でき、また、印刷品質を低下させることがなくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の綴り券の発券装置においては、印刷部送りローラとカッタ部送りローラのそれぞれを独立して制御できるようにし、印刷部送りローラとカッタ部送りローラとの間にタルミを形成するようにしたので、これにより、ロール紙への印字を停止させることなく、ロール紙を停止させてミシン目を入れることができる。このため、綴り券の発行時間を短縮でき、また、印刷品質を低下させることがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明による綴り券の発券装置の構成例を示す図である。なお、綴り券としては、バスなどの乗車券として使用される回数券(ミシン目入りの綴り券)を想定しているが、勿論これに限定されるものではない。
【0021】
図1に示す綴り券の発券装置1において、印刷部側のロール紙2を搬送するために、印刷部送りローラ21と、該印刷部送りローラ21をベルト21Aにより駆動する印刷部ステッピングモータ22を設ける。また、カッタ部側のロール紙2を搬送するために、カッタ部送りローラ23と、該カッタ部送りローラ23をベルト23Aにより駆動するカッタ部ステッピングモータ24を設ける。これにより、印刷部送りローラ21とカッタ部送りローラ23とを、それぞれ独立して制御できるようにする。また、印刷部送りローラ21とカッタ部送りローラ23との間には、ロール紙2のタルミAを形成するためのスペースを設ける。
【0022】
そして、カッタ部においてロール紙2を停止させ、1枚目の回数券にミシン目を入れる際に、印刷部の印刷部送りローラ21によるロール紙2の搬送をそのまま継続させて、これにより、印刷部送りローラ21とカッタ部送りローラ23の間にタルミAを形成させる。
【0023】
または、印刷部側の印刷部送りローラ21によるロール紙2の搬送開始の後、少し遅れてカッタ部側のカッタ部送りローラ23を起動する。これにより、印刷部送りローラ21とカッタ部送りローラ23の間にはタルミAが形成される。
【0024】
上記タルミAは、印刷部送りローラ21からロール紙2を連続搬送する場合のロール紙2の送り長さと、カッタ部送りローラ23でロール紙2を間欠して搬送する場合のロール紙2の送り長さの差分を吸収するアキュムレータ(蓄積要素)として機能するものである。なお、印刷部送りローラ21におけるロール紙2の搬送速度と、カッタ部送りローラ23におけるロール紙2の搬送速度とは、時間平均すると概略同じ速度になるように設定されており、タルミAが、一定量以上には大きくならないように設定されている。
【0025】
タルミAが形成された状態において、印刷部側では、印刷部送りローラ21を連続して駆動し、ロール紙2を搬送しながら連続して印字を続ける。カッタ部側では、カッタ部送りローラ23により、ロール紙2を所定の長さ(ミシン目の間隔)ずつ搬送しては一時停止する動作を繰り返すようにする。すなわち、ロール紙2上のミシン目カットが必要な位置をミシン目カッタ31の切断面に合わせるようにして、ロール紙2を一時停止させながら搬送する。
【0026】
そして、ロール紙2が一時停止した状態において、ミシン目カッタ31によりロール紙2にミシン目を入れる。また、綴り券に一連のミシン目入れが完了した後に、全カッタ32により、綴り券を切断して、外部に排出する。なお、これらの一連の動作は、制御装置40により制御される。
【0027】
これにより、印刷部側では印字動作を停止させることなく、ロール紙2に連続して印字が行える。カッタ部側では、ミシン目カットの際に、カッタ部送りローラ23を一時停止させて、ロール紙2にミシン目カットを行うことができる。
【0028】
なお、図1に示す構成例では、カッタ部側では、ミシン目カッタ31と全カッタ32とを個別に設け、それぞれにロータリーカッタを使用した例を示したが、図5に示した発券装置1Aと同様に、櫛刃カッタ(ギロチンカッター)を使用してもよい。
【0029】
また、図2は、本発明の綴り券発券装置の制御装置の構成例を示す図であり、本発明に直接関係する部分のみを示したものである。
【0030】
図2に示す制御装置40において、主制御部41は、CPUやメモリを含み、制御装置内の各部を統括制御するための制御部である。ロール紙印字制御部42は、裏印刷ヘッド6および表印刷ヘッド8によりロール紙2へ印字を行う際に、裏印刷ヘッド6および表印刷ヘッド8内の印字素子を印字データに従い制御し、ロール紙2に印字処理を行うための制御部である。
【0031】
印刷部送りローラ制御部(印刷部送りローラ制御手段)43は、印刷部ステッピングモータ22及び印刷部送りローラ21を駆動して、印刷部におけるロール紙2を搬送するための制御部である。カッタ部送りローラ制御部(カッタ部送りローラ制御手段)44は、ステッピングモータ24およびカッタ部送りローラ23を駆動し、カッタ部におけるロール紙2を搬送するための制御部である。
【0032】
ロール紙タルミ形成制御部(ロール紙タルミ形成手段)45は、印刷部側で印刷部送りローラ21によるロール紙2の搬送と印字が開始された後、カッタ部側においてロール紙2を停止させて1枚目の回数券にミシン目を入れる際に、印刷部側のロール紙2の搬送をそのまま継続させて、これにより、印刷部送りローラ21とカッタ部送りローラ23の間にタルミAを形成させる。または、印刷部側の印刷部送りローラ21によるロール紙2の搬送と印字が開始された後、少し遅れてカッタ部側のカッタ部送りローラ23を起動させるようして、これにより、印刷部送りローラ21とカッタ部送りローラ23と間にタルミAを形成させる。なお、カッタ部側のカッタ部送りローラ23を遅れて起動させる際の待機時間については、例えば、タイマを用いて待機時間を計測するか、または、印刷部側で1枚または数枚の回数券が印字されるまで待機させる。また、フォトセンサなどでタルミが形成されたことを直接検知するようにしてもよい。
【0033】
カッタ部ロール紙送り制御部(カッタ部ロール紙送り制御手段)46は、印刷部送りローラ21とカッタ部送りローラ23との間にタルミが形成された後に、カッタ部送りローラ制御部44に指示し、カッタ部送りローラ23を、間欠駆動させる。すなわち、ロール紙2上のミシン目カットの必要な位置をミシン目カッタ31の切断面に合わせるようにして一時停止させながら、ロール紙2を搬送させる。
【0034】
ミシン目カット制御部(ミシン目カット制御手段)47は、カッタ部ロール紙送り制御部46により、ロール紙2上のミシン目カットの必要な位置がミシン目カッタ31の切断面に合うようにして一時停止された際に、該ロール紙2に対して、ミシン目カッタ31によりミシン目を入れる処理を行う。
【0035】
全カット制御部48は、ロール紙2へのミシン目カット入れが完了した後に、全カッタ32によりロール紙2の切断を行い、綴り券を発券するための制御部である。
【0036】
図3は、本発明の制御装置の流れを示すフローチャートである。以下、図3を参照して、その処理の流れについて説明する。なお、図3に示すフローチャートは、印刷部側の印刷部送りローラ21によるロール紙2の搬送開始の後、少し遅れてカッタ部側のカッタ部送りローラ23を起動する場合の例である。
【0037】
発券装置1において、発券処理が開始されると、印刷部側では、印刷部ステッピングモータ22と印刷部送りローラ21を駆動し、ロール紙2の搬送を開始する(ステップS101)。そして、裏印刷ヘッド6と表印刷ヘッド8により、ロール紙2の両面への印字を行う(ステップS102)。この印字は、印刷部送りローラ21によるロール紙2の搬送を停止させることなく連続して行われる。
【0038】
そして、回数券の所定枚数(N枚)の印字が完了したかどうかが判定され(ステップS103)、所定枚数(N枚)の印字が完了していない場合は(ステップS103:No)、さらに印字が続けられる。所定枚数(N枚)の印字が完了している場合は(ステップS103:Yes)、印字を停止する(ステップS104)。
【0039】
印字停止後は(ステップS104)、ロール紙2の全カット位置が全カッタ32の切断面に届くまでロール紙2の搬送が継続される。そして、カッタ部側で全カットが完了しているかどうかを判定する(ステップS105)。カッタ部で全カットが完了していないと判定した場合は(ステップS105:No)、そのままロール紙2の搬送を継続する。カッタ部で全カットが完了したと判定した場合は(ステップS105:Yes)、ロール紙2の搬送を停止し(ステップS106)、その後、ロール紙2を印刷部側に巻き戻す(ステップS107)。ロール紙2を巻き戻すことにより、タルミは解消される。
【0040】
一方、カッタ部側では、印刷部側でロール紙2の搬送が開始された後、印刷部送りローラ21とカッタ部送りローラ23との間のタルミが形成されるまで待機する(ステップS201)。このタルミを形成するまでの待機時間は、例えば、タイマを用いて時間を計測するか、印刷部側で1枚、または数枚の回数券が印字されるまでの時間とする。また、フォトセンサなどでタルミが形成されたことを直接検知するようにしてもよい。
【0041】
タルミが形成されると、カッタ部ステッピングモータ24を起動し、カッタ部送りローラ23によりロール紙2の搬送を開始する(ステップS202)。そして、回数券の1枚目券のミシン目カット位置がミシン目カッタ31の切断面に来るまで、ロール紙2を搬送する(ステップS203)。そして、カッタ部ステッピングモータ24およびカッタ部送りローラ23を停止し(ステップS204)、ミシン目カットを行う(ステップS205)。その後、再度、カッタ部ステッピングモータ24を起動し(ステップS206)、ロール紙2を1枚分の券の長さ(ミシン目間隔の長さ)だけ搬送した後に(ステップS207)、カッタ部ステッピングモータ24を停止し、ロール紙2の搬送を停止する(ステップS208)。
【0042】
そして、N枚目のカットかどうかを判定し、N枚目でない場合は(ステップS209:No)、ミシン目カットを行い(ステップS210)、再度、カッタ部送りローラ23の駆動を開始する(ステップS206)。N枚目である場合は(ステップS209:Yes)、ロール紙2を全カッタ32の位置まで再度搬送し、ロール紙2の全カットを行い(ステップS211)、処理を終了する。
【0043】
以上説明した処理手順により、N枚の綴り券を発行する場合に、印刷部ではロール紙2の搬送と印字を連続して行うことができ、カッタ部ではロール紙2を一時停止させた状態でミシン目カットを行うことができる。
【0044】
また、図4は、本発明の綴り券の発券装置の他の構成例を示す図である。
図4(A)は、印刷部送りローラ21とカッタ部送りローラ23のそれぞれを独立のステッピングモータで駆動するのに代えて、印刷部ステッピングモータ22とカッタ部送りローラ23とをクラッチ機構25により連結した例である。このクラッチ機構25を断続的に入り切りすることにより、カッタ部送りローラ23を間欠的に駆動して、タルミを形成すると共に、ロール紙2にミシン目カットを入れる。
【0045】
また、図4(B)は、印刷部送りローラ21の出口側に、上下(矢印Bの方向)に移動可能に構成されたストッパー26を設けた例である。このストッパー26を下降させて、ロール紙2の送りを規制してタルミを形成した後に、ストッパー26を上昇させてロール紙2を解放し、ミシン目カットを開始する。
【0046】
以上、本発明の綴り券の発券装置について説明したが、綴り券としてはバスの回数券に限らず、ミシン目カットを行うすべての綴り券に対して、本発明は適用できるものである。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の綴り券の発券装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明においては、綴り券の発行時間を短縮でき、また、印刷品質を低下させることがなくなるので、本発明は、綴り券の発券装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の綴り券の発券装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の発券装置の制御部の構成例を示す図である。
【図3】本発明の発券装置における制御の流れを示す図である。
【図4】本発明の発券装置の他の構成例を示す図である。
【図5】従来の綴り券の発券装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1、1A 綴り券の発券装置
2 ロール紙
3 ガイドローラ
4 ロール紙送りローラ
5 ステッピングモータ
6 裏印刷ヘッド
8 表印刷ヘッド
10 ミシン目カッタ
11 ベルト
12 ステッピングモータ
13 制御装置
21 印刷部送りローラ
21A ベルト
22 印刷部ステッピングモータ
23 カッタ部送りローラ
23A ベルト
24 カッタ部ステッピングモータ
25 クラッチ機構
26 ストッパー
31 ミシン目カッタ
32 全カッタ
40 制御装置
41 主制御部
42 ロール紙印字制御部
43 印刷部送りローラ制御部
44 カッタ部送りローラ制御部
45 ロール紙タルミ形成制御部
46 カッタ部ロール紙送り制御部
47 ミシン目カット制御部
48 全カット制御部
A ロール紙のタルミ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙に印刷部により印字を行った後に、該印字されたロール紙にカッタ部によりミシン目カットを入れて綴り券を発行する綴り券の発券装置であって、
印刷部においてロール紙を搬送する印刷部送りローラと、
前記印刷部送りローラを駆動する印刷部送りローラ制御手段と、
カッタ部においてロール紙を搬送するカッタ部送りローラと、
前記カッタ部送りローラを駆動するカッタ部送りローラ制御手段と、
前記印刷部送りローラと前記カッタ部送りローラとの間にロール紙のタルミを形成させるためのロール紙タルミ形成手段と、
前記ロール紙タルミ形成手段によりロール紙にタルミを形成した後に、前記カッタ部においてロール紙を所定の長さずつ繰り返し搬送しながら、該ロール紙にミシン目カットを入れるミシン目カット制御手段と、
を備えることを特徴とする綴り券の発券装置。
【請求項2】
前記印刷部の印刷部送りローラによるロール紙の搬送の開始後に、カッタ部においてロール紙に最初のミシン目カットを入れるために前記カッタ部送りローラを停止させる際に、前記印刷部送りローラを停止させることなくロール紙を継続して搬送させることにより前記タルミを形成させるロール紙タルミ形成手段を
備えることを特徴とする請求項1に記載の綴り券の発券装置。
【請求項3】
前記印刷部の印刷部送りローラによるロール紙の搬送の開始後、所定時間遅らせて、前記カッタ部のカッタ部送りローラによるロール紙の搬送を開始することにより、前記タルミを形成させるロール紙タルミ形成手段を
備えることを特徴とする請求項1に記載の綴り券の発券装置。
【請求項4】
前記ロール紙タルミ形成手段によりロール紙にタルミが形成された後に、前記カッタ部送りローラ制御手段を制御することにより、ロール紙上のミシン目カットの必要な位置をミシン目カッタの切断面に合わせるようにして一時停止させながら、ロール紙を繰り返し搬送させるカッタ部ロール紙送り制御手段と、
前記カッタ部ロール紙送り制御手段によりロール紙を搬送させる際に、ロール紙が一時停止した状態において、該ロール紙に対してミシン目カッタによりミシン目を入れるミシン目カット制御手段と、
備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の綴り券の発券装置。
【請求項5】
前記カッタ部には、綴り券へのミシン目カットが完了した後に、該綴り券の切断を行う全カット手段を
備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の綴り券の発券装置。
【請求項6】
ロール紙に印刷部により印字を行った後に、該印字されたロール紙にカッタ部によりミシン目カットを入れて綴り券を発行する綴り券の発券装置における綴り券の発券方法であって、
前記発券装置内の制御部により、
印刷部においてロール紙を搬送する印刷部送りローラを制御する印刷部送りローラ制御手順と、
カッタ部においてロール紙を搬送するカッタ部送りローラを制御するカッタ部送りローラ制御手順と、
前記印刷部送りローラと前記カッタ部送りローラとの間にロール紙のタルミを形成させるためのロール紙タルミ形成手順と、
前記ロール紙タルミ形成手順によりロール紙にタルミを形成した後に、前記カッタ部においてロール紙を所定の長さずつ繰り返し搬送しながら、該ロール紙にミシン目カットを入れるミシン目カット制御手順と、
が行われることを特徴とする綴り券の発券方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−97508(P2008−97508A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281337(P2006−281337)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000002059)神鋼電機株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】