説明

緊張係留浮体構造物の設置方法及び緊張係留浮体構造物の設置用船

【課題】浮体構造物とアンカーとの位置関係を保ちながら浮体構造物を係留し、かつ動揺安定性を確保して設置水域まで移動可能であるとともに浮体構造物を位置精度よく設置可能な緊張係留浮体構造物の設置方法及び設置のための船を提供する。
【解決手段】水上または水中に設置される浮体構造物12と、水底に設置されるアンカー15と、浮体構造物とアンカーとの間に配置される緊張係留索14と、を用いて浮体構造物を係留し、設置する方法であって、設置のための専用船10を用意し、専用船は、浮体構造物を係留するための第1係留手段24と、アンカーを係留するための第2係留手段25,25aと、を備え、アンカーを第2係留手段によって水底に設置し、浮体構造物と水底に設置されたアンカーとの間に緊張係留索を第1係留手段によって設置し、浮体構造物の浮力調整及び/又は前記緊張係留索の巻き取り・巻き戻し調整により緊張係留索に所定の張力をかける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水上等における緊張係留浮体構造物の設置方法及びかかる設置のための船に関する。
【背景技術】
【0002】
洋上の海域は、陸上や浅海域に比べて風況が良好であるため、風力発電の立地に非常に適している。洋上に設置される風力発電施設は、経済性などの観点から実績の豊富な着底式よりも浮体式の構造形式の方が有利であるとされている。風力発電施設は、発電時のブレード回転に伴い作用する大きな水平力や転倒モーメントに対して十分な安定性を保持するとともに、発電効率が低下しないように浮体の動揺量を極力抑えなければならないなどの対策が必要となる。
【0003】
洋上に設置される浮体式風力発電施設としてテンションレグ式がある。テンションレグ式は、自由浮遊状態にある浮体構造物の一部を浮力に抗して水中に沈下させることによる浮力によって係留部材に初期張力を鉛直方向に発生させ、係留部材が初期張力により常に引張りの軸力を持つ緊張状態とすることで浮体構造物を水上に係留するようにしたものである。
【0004】
テンションレグ式による浮体式風力発電施設は、一般的には、風車を支持する浮体構造物と、浮体構造物を係留するテンドンと、大型のアンカーとから構成される(例えば、特許文献1参照)。テンションレグ式の浮体式風力発電施設は、浮体とアンカーにあらかじめ大きな初期張力を鉛直方向に作用させた状態で係留する方式であるため、緩係留方式に比較して浮体の動揺量が低減可能であり、かつ、比較的占有面積を小さくできるなどの利点がある。
【0005】
洋上に設置される浮体式風力発電施設は、動揺量を低減するために、巨大なアンカーが必要となる場合が多い。また、アンカー設置後に鉛直方向の初期張力を作用させるため、アンカーと浮体との設置位置の平面的な誤差は許容されない。したがって、アンカーは高い据付精度で設置されなければならない。しかし、起重機船などの現有作業船を用いて巨大なアンカーを高い精度で設置するのは困難となりがちである。
【0006】
大型のクレーン等の重機を搭載した台船が準備されていない湖沼等において大型のシンカーを設置する方法として、例えば、特許文献2のようなシンカーの沈設方法が提案されている。このシンカーの沈設方法は、大型のシンカーを挟んで向き合う2基の台船に搭載されたウインチより引き出された索条によってシンカーを支持し、この状態で沈設位置まで移送し、各ウインチから各索条をほぼ同長ずつ繰り出してシンカーを安定した状態に保持しながら沈下させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−18129号公報
【特許文献2】特開平05−50980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来のシンカーの沈設方法(特許文献2)は、起重機船などを用いずに、巨大なアンカー等からなるシンカーを精度良く設置することは可能であるが、洋上まで2隻の作業台船を同時に曳航する際に動揺安定性を確保することが非常に困難となるため、洋上への適用は不向きである。
【0009】
また、このシンカーの沈設方法は、シンカー設置後の浮体とアンカーとの連結、連結後の緊張などの作業用に別途設備を用意する必要があり、長期の施工期間を要し経済的でないなどの問題があり、さらに、浮体とアンカーとの位置関係を保ちながらの浮体の固定が困難である。
【0010】
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、浮体構造物とアンカーとの位置関係を保ちながら浮体構造物を係留しかつ比較的大型の浮体構造物であっても動揺安定性を確保して設置水域まで移動可能であるとともに浮体構造物を位置精度よく設置可能な緊張係留浮体構造物の設置方法及びかかる設置のための船を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための緊張係留浮体構造物の設置方法は、水上または水中に設置される浮体構造物と、水底に設置されるアンカーと、前記浮体構造物と前記アンカーとの間に配置される緊張係留索と、を用いて、前記浮体構造物の浮力により前記緊張係留索に張力をかけることで前記浮体構造物を係留することで設置する方法であって、前記浮体構造物の設置のための専用船を用意し、前記専用船は、前記緊張係留索を用いて前記浮体構造物を係留するための第1係留手段と、前記アンカーを係留するための第2係留手段と、を備え、前記浮体構造物と前記アンカーとの位置関係を保ちながら前記浮体構造物を前記第1係留手段により前記専用船に連結して係留しかつ前記アンカーを前記第2係留手段により前記専用船に保持して係留した状態で前記専用船が前記浮体構造物の構築位置まで移動し、前記アンカーを前記第2係留手段によって水底に設置し、前記浮体構造物と前記水底に設置されたアンカーとの間に前記緊張係留索を前記第1係留手段によって設置し、前記浮体構造物の浮力調整及び/又は前記緊張係留索の巻き取り・巻き戻し調整により前記緊張係留索に所定の張力をかけることを特徴とする。
【0012】
この緊張係留浮体構造物の設置方法によれば、浮体構造物を、第1係留手段により緊張係留索を用いて専用船に連結して係留できるので浮体構造物とアンカーとの位置関係を保つことができ、また、アンカーを第2係留手段により専用船に保持して係留できる。かかる係留状態で専用船により比較的大型の浮体構造物であっても動揺安定性を確保して浮体構造物の構築位置まで水上を移動させることができる。アンカーを第2係留手段によって水底に設置できるとともに、浮体構造物と水底に設置されたアンカーとの間に緊張係留索を第1係留手段によって設置でき、浮体構造物の浮力調整及び/又は緊張係留索の巻き取り・巻き戻し調整により緊張係留索に所定の張力をかけることで浮体構造物を目的位置に係留させて設置できる。このようにして、浮体構造物を位置精度よく設置することができる。
【0013】
上記緊張係留浮体構造物の設置方法において、前記第1係留手段は緊張係留索用ウインチを備え、前記緊張係留索用ウインチによる前記緊張係留索の巻き取り・巻き戻しで前記連結及び係留を行うとともに前記張力の調整が可能であることが好ましい。
【0014】
また、前記第2係留手段は、前記専用船上に前記アンカーに対応して設けられかつアンカー用吊り索の巻き取り・巻き戻しが可能なアンカー用ウインチと、前記専用船上に設けられた所定高さの櫓体と、を備え、前記アンカー用吊り索が前記アンカー用ウインチから前記櫓体の上部を介して前記アンカーまで延びていることが好ましい。櫓体を設けることで、アンカー用ウインチから櫓体の上部の例えば1つ目のシーブまでの距離を確保することができ、フリートアングルが小さくなるので、アンカー用吊り索がアンカー用ウインチに乱巻きにならずにきれいに巻かれる。
【0015】
また、前記浮体構造物と前記アンカーと前記緊張係留索とをドライドック内において所定位置に配置し、次に、前記ドック内に注水してから前記専用船を引き込み、前記浮体構造物と前記アンカーと前記緊張係留索とを前記専用船に係留させた状態とし、次に、前記専用船を前記構築位置まで移動させるように施工することが可能である。なお、このドライドック内での配置のとき、浮体構造物に緊張係留索を連結することが好ましい。
【0016】
前記浮体構造物に例えば風力発電設備などの洋上施設が一体的に搭載されていることが好ましい。
【0017】
なお、専用船は、設置対象の洋上施設のすべて(浮体構造物、アンカー、緊張係留索を含む)を一括して洋上の目的地まで曳航し、現地での据付、テンドン調整、施設の点検や補修などの施工や維持管理に関係する全ての役割を兼ねることができる構造を有することが好ましい。洋上施設の一括施工が可能なように専用船を構成することが好ましい。
【0018】
上記目的を達成するための緊張係留浮体構造物の設置用船は、水上または水中に設置される浮体構造物と、水底に設置されるアンカーと、前記浮体構造物と前記アンカーとの間に配置される緊張係留索と、を用いて、前記浮体構造物の浮力により前記緊張係留索に張力をかけることで前記浮体構造物を係留することで設置する際に用いられる船であって、前記緊張係留索を用いて前記浮体構造物を係留するための第1係留手段と、前記アンカーを係留するための第2係留手段と、を備え、前記浮体構造物と前記アンカーとの位置関係を保ちながら前記浮体構造物を前記第1係留手段により連結して係留しかつ前記アンカーを前記第2係留手段により保持して係留した状態で水上を移動可能であり、前記アンカーを前記第2係留手段によって水底に設置し、前記浮体構造物と前記水底に設置されたアンカーとの間に前記緊張係留索を前記第1係留手段によって設置し、前記浮体構造物の浮力調整及び/又は前記緊張係留索の巻き取り・巻き戻し調整により前記緊張係留索に所定の張力をかけることができるように構成されていることを特徴とする。
【0019】
この緊張係留浮体構造物の設置用船によれば、浮体構造物を、第1係留手段により緊張係留索を用いて連結して係留できるので浮体構造物とアンカーとの位置関係を保つことができ、また、アンカーを第2係留手段により保持して係留できる。かかる係留状態で比較的大型の浮体構造物であっても動揺安定性を確保して浮体構造物の構築位置まで水上を移動することができる。アンカーを第2係留手段によって水底に設置することができ、浮体構造物と水底に設置されたアンカーとの間に緊張係留索を第1係留手段によって設置することができ、浮体構造物の浮力調整及び/又は緊張係留索の巻き取り・巻き戻し調整により緊張係留索に所定の張力をかけることで浮体構造物を目的位置に係留させて設置できる。このようにして、浮体構造物を位置精度よく設置することができる。
【0020】
上記緊張係留浮体構造物の設置用船において、前記第1係留手段は、前記緊張係留索の巻き取り及び巻き戻しが可能な緊張係留索用ウインチを備えることが好ましい。
【0021】
また、前記第2係留手段は、前記専用船上に前記アンカーに対応して設けられかつアンカー用吊り索の巻き取り・巻き戻しが可能なアンカー用ウインチと、前記専用船上に設けられた所定高さの櫓体と、を備え、前記アンカー用吊り索が前記アンカー用ウインチから前記櫓体の上部を介して前記アンカーまで延びていることが好ましい。櫓体を設けることで、アンカー用ウインチから櫓体の上部の例えば1つ目のシーブまでの距離を確保することができ、フリートアングルが小さくなるので、アンカー用吊り索がアンカー用ウインチに乱巻きにならずにきれいに巻かれる。
【0022】
なお、緊張係留浮体構造物の設置用船は、洋上設備等の設置対象物と、浮体構造物と、アンカーと、緊張係留索とを一括で運搬できる構成が好ましい。また、船のみで現地設置作業が可能に構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の緊張係留浮体構造物の設置方法及びかかる設置のための船によれば、浮体構造物とアンカーとの位置関係を保ちながら浮体構造物を係留しかつ比較的大型の浮体構造物であっても動揺安定性を確保して設置水域まで移動可能であるとともに浮体構造物を位置精度よく設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態による風力発電施設及びその水上設置に用いる専用船を概略的に示す側面図である。
【図2】図1の風力発電施設及び専用船の平面図である。
【図3】図1,図2の風力発電施設の設置用アンカーを概略的に示す斜視図である。
【図4】第1の実施形態において図1,図2の専用船にアンカー及び浮体構造物と風車本体を係留し、専用船で曳航するまでの工程S01〜S06を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1,図2の風車本体を搭載した浮体構造物及び図3のアンカーをドライドックに配置する工程を示す側面図である。
【図6】図5の注水したドライドックに専用船が引き込まれた状態を示す側面図である。
【図7】図6の専用船でアンカーの吊り上げ及びテンドンの巻き込み工程を説明するための側面図である。
【図8】図7の専用船にアンカーを組み込みかつ浮体構造物と風車本体を係留して目的地に曳航する工程を示す側面図である。
【図9】第1の実施形態において洋上の設置位置で風力発電施設を設置するまでの工程S11〜S18を説明するためのフローチャートである。
【図10】図8の専用船から水中へアンカーを吊り下ろしテンドンを繰り出す状態を示す側面図である。
【図11】図10のアンカーを切り離す工程を示す側面図である。
【図12】図11の状態からテンドンを巻き込む工程を示す側面図である。
【図13】図12の状態からテンドンの上部処理の工程を示す側面図である。
【図14】図13の状態から浮体構造物を浮上させる工程を示す側面図である。
【図15】洋上に風力発電施設を設置した状態を示す側面図である。
【図16】第2の実施形態における設置対象物である緊張係留式洋上プラットフォームを概略的に示す斜視図である。
【図17】図16の緊張係留式洋上プラットフォームの洋上設置のための専用船の側面図である。
【図18】図17の専用船の平面図である。
【図19】第1の実施形態の変形例を説明するための図で、風力発電施設及び専用船の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0026】
〈第1の実施形態〉
【0027】
図1は、第1の実施形態による風力発電施設及びその水上設置に用いる専用船を概略的に示す側面図である。図2は図1の風力発電施設及び専用船の平面図である。図3は図1,図2の風力発電施設の設置用アンカーを概略的に示す斜視図である。
【0028】
図1,図2のように、風力発電施設は、風車本体11と、風車本体11を搭載する浮体構造物12と、緊張係留索(テンドン)14と、水底に設置されるアンカー15と、を備え、テンションレグ式で洋上の所定位置に設置されるものである。
【0029】
風車本体11は、複数枚の羽根からなる風車11aと、風車11aを支持する回転軸11bと、回転軸11bを上部で支持する支柱11cと、を有し、さらに発電装置や蓄電装置や送電装置(図示省略)などを有する。支柱11cはその下部に径が大きい下部円柱部11dを有する。
【0030】
浮体構造物12は、風車本体11の下部円柱部11dの周囲に配置された複数の浮体(サイドコラム)12a,12b,12cと、各浮体12a〜12cと下部円柱部11dとを連結する連結部材13a、13b、13cと、を有し、風車本体11を支持しながら水面S上に浮かぶようになっている。浮体12a〜12cと下部円柱部11dとの間にはさらに複数の連結補強部材13dが配置されている。
【0031】
各浮体12a〜12cと各連結部材13a〜13c,各連結補強部材13dとは、図2のように、下部円柱部11dの周囲に等間隔(120度)に配置されている。
【0032】
図1,図2の専用船10は、テンションレグ式の風力発電施設の水上設置に用いる台型の船体を持つ台船であって、風車本体11、浮体構造物12、緊張係留索(テンドン)14及び水底に設置されるアンカー15などのテンションレグ式の風力発電施設のすべてを一括して洋上の目的地まで曳航し、現地での据付、テンドン調整、その他、施設の点検や補修など、施工や維持管理に関係する全ての役割を兼ねることができる構造を有する。
【0033】
専用船10は、本実施形態では、図1,図2のように、風車本体11を搭載した浮体構造物12と対応した平面形状からなるとともに浮体構造物12の少なくとも一部が入り込んで浮体構造物12の係留が可能な係留構造を有する。
【0034】
すなわち、専用船10は、図2のように、船尾側に、風車本体11を搭載した浮体構造物12の連結部材13cと浮体12cとが入り込み可能な細長い溝状切り込み部17と、別の連結部材13aと浮体12aとに対し略平行な壁状部18と、さらに別の連結部材13bと浮体12bとに対し略平行な壁状部19と、を有する。また、風車本体11の下部円柱部11dが溝状切り込み部17の開口部と壁状部18,19の内側端部との近傍に位置する。専用船10は、壁状部18,19の両端側で浮体12a,12bを一部包囲するように突出部10a、10bを有する。
【0035】
専用船10には、浮体構造物12の浮体12a,12b,12cに対応して、テンドン14を巻き取り、また、巻き出し可能な複数のテンドン用ウインチ24が搭載されている。また、各種の作業を行うための作業用クレーン21が搭載されている。
【0036】
テンドン14は、浮体構造物12とアンカー15との間で所定の張力がかけられて浮体構造物12を緊張係留するためのものであるが、本実施形態では専用船10による運搬中に浮体構造物12を連結し係留するためにも用いるようになっている。
【0037】
アンカー15は、図2,図3のように、略三角形状の平面構造を有し、浮体構造物12の浮体12a,12b,12cに対応して円形アンカー部15a,15b,15cを有し、各円形アンカー部15a〜15cは連結部16a,16b,16cにより連結され、略三角形状平面構造の各頂点に位置し、アンカー15の主要な構成部分である。
【0038】
円形アンカー部15a〜15cの各上面にはワイヤロープ25a及びテンドン14との接続のための環状接続部16dが設けられている。アンカー15は、例えば環状接続部16dを埋め込んだコンクリート構造物から構成できる。なお、アンカー15の環状接続部16dは、ワイヤロープ25aとの接続及びテンドン14との接続のためそれぞれ別個に設けてもよい。
【0039】
専用船10は、図1,図2のように、船底側にアンカー15を収容可能なスペース10cを有する。また、専用船10には、複数のアンカー用櫓22が搭載され、また、アンカー15を吊り上げかつ吊り下げ可能な能力のある複数のアンカー用ウインチ25が各アンカー用櫓22の下部もしくは近傍に搭載されている。
【0040】
各アンカー用櫓22は、船底のスペース10cに収容されたアンカー15の各円形アンカー部15a〜15cに対応した位置に設置されている。
【0041】
アンカー用ウインチ25からのワイヤロープ25aがアンカー用櫓22の上部に設けられた櫓上部シーブ22aを介して櫓22の下部から台船を貫通して下方に延び、先端には接続機構25bが装着されている。アンカー15の各円形アンカー部15a〜15cの上部の環状接続部16dに接続機構25bを介してワイヤロープ25aが接続することで、アンカー15を保持するとともにアンカー15の吊り上げ・吊り下げが可能となっている。
【0042】
上述のように、アンカー用櫓22を設置することでアンカー用ウインチ25と櫓上部シーブ22aとの距離を充分に確保でき、フリートアングルを小さくすることができる。フリートアングルが小さくなることで、ワイヤロープ25aがウインチ25に乱巻きにならずにきれいに巻かれる。
【0043】
なお、接続機構25bは、水圧シリンダーなどにより制御される自動切り離し機構(図示省略)を有し、専用船10からの遠隔制御によりワイヤロープ25a側とアンカー15側との切り離し動作を行うことができる。かかる自動切り離し機構は、例えば、特許公報第4078664号明細書に記載の装置から構成可能である。
【0044】
また、テンドン用の各ウインチ24からテンドン14が各浮体12a〜12cを貫通してアンカー15の各円形アンカー部15a〜15cの接続部16dまで延びている。専用船10において、アンカー15と浮体構造物12の浮体12a〜12cとの位置関係を保ちながらテンドン14を用いて各浮体12a〜12cと各円形アンカー部15a〜15cとを連結することができるようになっている。これにより、水底設置後のアンカー15と浮体構造物12とが後述の図12〜図15のような所定の位置関係になる。
【0045】
上述のように、専用船10は、風車本体11を搭載した浮体構造物12を、テンドン14を用いて係留手段により連結し水面S上に係留するとともにアンカー15をスペース10c内に保持し係留した状態で、曳船Pによって航行することができ、目的水域まで移動することができる。
【0046】
なお、浮体構造物12は、必要に応じて浮体構造物の係留手段として、図示していない別途のウインチや係留ロープを用いて、専用船10側に引きつけた状態として航行するようにしてもよい。この場合、図2のように、専用船10は、その溝状切り込み部17に浮体構造物12の連結部材13cと浮体12cとが入り込む構造であるため、別途のウインチにより係留ロープで浮体構造物12を連結することが容易である。
【0047】
アンカー15は、専用船10に搭載されているクレーン21や櫓22を用いたウインチ25などのワイヤー設備などを用いて、高精度に水底に設置することができる。
【0048】
アンカー15が水底に設置された後のテンドン14の緊張に関し、専用船10に搭載されているテンドン用ウインチ24などの緊張設備や浮体構造物のバラスト調整などにより、所定の初期張力をテンドン14に作用させることができる。なお、バラスト調整のために浮体構造物12にバラストタンクや増減可能なバラストなどを備えることが好ましい。
【0049】
次に、図1〜図3の専用船10及びアンカー15を用いて風力発電施設を洋上の目的位置に設置する施工例について説明する。
【0050】
はじめに、専用船でアンカー、浮体構造物、風車本体を目的地に運搬するまでの工程について図4〜図8を参照して説明する。
【0051】
図4は第1の実施形態において図1,図2の専用船にアンカー及び浮体構造物と風車本体を係留し、専用船で曳航するまでの工程S01〜S06を説明するためのフローチャートである。
【0052】
図5は、図1,図2の風車本体を搭載した浮体構造物及び図3のアンカーをドライドックに配置する工程を示す側面図である。図6は図5の注水したドライドックに専用船が引き込まれた状態を示す側面図である。図7は図6の専用船でアンカーの吊り上げ及びテンドンの巻き込み工程を説明するための側面図である。図8は図7の専用船にアンカーを組み込みかつ浮体構造物と風車本体を係留して目的地に曳航する工程を示す側面図である。
【0053】
図5のように、ドライドックD内でアンカー15、風車本体11、浮体構造物12を所定の位置で組み立てる(S01)。風車本体11を浮体構造物12に搭載する。
【0054】
その後、テンドン14を本設時と同様に接続する(S02)。すなわち、テンドン14の端部をアンカー15の接続部16dに接続し、もう一方の端部を浮体12a〜12cの下部から上部に通しておく。
【0055】
次に、図6のように、ドライドックD内に海水を注水し(S03)、その後、専用船10をドックD内に引き込む(S04)。これにより、図2のように、専用船10の溝状切り込み部17には風車本体11を搭載した浮体構造物12の連結部材13cと浮体12cとが入り込むとともに、別の連結部材13aと浮体12aとが専用船10の壁状部18に略平行に接近し、さらに別の連結部材13bと浮体12bとが壁状部19に略平行に接近する。
【0056】
また、ワイヤロープ25aの先端に設けた接続機構25bによりワイヤロープ25aをアンカー15の接続部16d(図3)に接続する。
【0057】
次に、図7のように、アンカー15をアンカー用ウインチ25により吊り上げるととともに、テンドン14の端部をテンドン用ウインチ24に巻き込む。これにより、アンカー15を専用船10の船底側のスペース10c内に保持し係留するとともに、テンドン14を巻き込むことで、風車本体11を搭載した浮体構造物12を専用船10に係留させる(S05)。
【0058】
次に、図8のように、専用船10は、風車本体11を搭載した浮体構造物12を係留するとともにアンカー15をスペース10c内に保持し係留する状態で、曳船PによってドックDから出て設置位置まで航行する(S06)。
【0059】
以上のようにして、専用船10において風車本体11を搭載した浮体構造物12を係留構造・係留手段により係留した状態とするとともにアンカー15を保持し係留した状態で専用船10を曳船Pによって航行し目的水域まで搬送することができる。
【0060】
次に、専用船で目的地まで運搬した風力発電施設を設置位置に設置するまでの工程について図9〜図15を参照して説明する。
【0061】
図9は第1の実施形態において洋上の設置位置で風力発電施設を設置するまでの工程S11〜S18を説明するためのフローチャートである。
【0062】
図10は図8の専用船から水中へアンカーを吊り下ろしテンドンを繰り出す状態を示す側面図である。図11は図10のアンカーを切り離す工程を示す側面図である。図12は図11の状態からテンドンを巻き込む工程を示す側面図である。図13は図12の状態からテンドンの上部処理の工程を示す側面図である。図14は図13の状態から浮体構造物を浮上させる工程を示す側面図である。図15は洋上に風力発電施設を設置した状態を示す側面図である。
【0063】
図10のように、風力発電施設の設置位置で専用船10のアンカー用ウインチ25によりアンカー用櫓22の櫓上部シーブ22aを介してワイヤロープ25aでアンカー15を水中で吊り下ろし、これとほぼ同時にテンドン用ウインチ24によりテンドン14を繰り出す(S11)。これにより、アンカー15及びアンカー15に下端が接続したテンドン14が水中を降下する。このようにして、アンカー15を水底Gに着底させる(S12)。
【0064】
次に、図11のように、アンカー15が水底Gに達してから、ワイヤロープ25aの先端に装着された接続機構25bを専用船10上で遠隔制御して、ワイヤロープ25aからアンカー15を自動的に切り離し、フリーとなったワイヤロープ25a及び接続機構25bをアンカー用ウインチ25により巻き上げることで回収する(S13)。
【0065】
次に、図12のように、テンドン用ウインチ24でテンドン14を巻き込む(S14)。
【0066】
次に、上述のテンドン14の巻き込み後、図13のように、作業用クレーン21によりテンドン14の上部14aを各浮体12a〜12cに固定する(S15)。このときテンドン用のシーブ14bも撤去する。
【0067】
次に、図14のように、バラスト調整により風車本体11及び浮体構造物12を浮上させ、これによってテンドン14に所定の張力をかける(S16)。この場合、上記ステップS14でテンドン用ウインチ24によりテンドン14を巻き込むときに、テンドン14の巻き取り・巻き戻し調整により張力を調整することもできる。
【0068】
次に、図14の専用船10を曳船Pによって風車本体11及び浮体構造物12の設置位置から移動させる(S17)。これにより、図15のように、風車本体11及び浮体構造物12からなる風力発電施設の設置が完了する(S18)。
【0069】
以上のように、本実施形態によれば、風車本体11を搭載した浮体構造物12をテンドン用ウインチ24によりテンドン14を用いて浮体構造物12とアンカー15との位置関係を保ちながら、専用船10の船尾側に連結し係留することができる。また、アンカー用ウインチ25によるワイヤロープ25aの巻き取りによりアンカー15を船底側に保持し係留することができる。かかる係留状態とすることで動揺安定性を確保して専用船10により浮体構造物12をその構築位置まで水上を移動させることができる。
【0070】
さらに、アンカー15をアンカー用ウインチ25によるワイヤロープ25aの巻き戻しにより吊り下ろして水底に設置でき、これとほぼ同時にテンドン用ウインチ24によるテンドン14の巻き戻しを行うことによって浮体構造物12と水底に設置されたアンカー15との間にテンドン14を設置できる。そして、浮体構造物12の浮力調整及び/又はテンドン14の巻き取り・巻き戻し調整によりテンドン14に所定の張力をかけることで浮体構造物12を目的位置に係留させて設置できる。このようにして、風車本体11及び浮体構造物12からなる風力発電施設を精度よく設置することができる。
【0071】
次に、本実施形態の変形例について図19を参照して説明する。図19の専用船30は、フラットな壁状部30aを船尾側に設け、この壁状部30aに、浮体構造物12の浮体12b,12cが当たるようにして風車本体11を搭載した浮体構造物12を、複数のテンドン用ウインチ24から延びるテンドン14によって係留するようにしたものである。各テンドン用ウインチ24は専用船10上に適宜配置される。また、必要に応じて浮体構造物12の係留手段として、図示していない別途のウインチや係留ロープを用いてもよい。
【0072】
図19の専用船30によれば、図2の専用船10のような船尾側の溝状切り込み部17などを特に設けずに、風車本体11を搭載した浮体構造物12を係留することができる。図4,図9と同様にして専用船30は浮体構造物12を係留しながら設置位置まで航行することができ、風車本体11を搭載した浮体構造物12を設置することができる。
【0073】
〈第2の実施形態〉
【0074】
第2の実施形態は設置対象物を緊張係留式洋上プラットフォーム(Tension Leg Platform/TLP)とするものである。
【0075】
図16は、第2の実施形態における設置対象物である緊張係留式洋上プラットフォームを概略的に示す斜視図である。図17は図16の緊張係留式洋上プラットフォームの洋上設置のための専用船の側面図である。図18は図17の専用船の平面図である。
【0076】
図16のように、緊張係留式洋上プラットフォーム(以下、「TLP」と略す。)51は、主として浮体構造物52と、複数の緊張係留索(テンドン)54と、アンカー55とから構成される。
【0077】
浮体構造物52は、平面略正方形または略長方形の作業台である上部構造物52aと、浮体となる下部構造物52cと、上部構造物52aと下部構造物52cとを連結する複数の支柱52bと、を有し、全体として略矩方体形状となっている。
【0078】
アンカー55は略正方形または略長方形の各頂点位置に配置された円形アンカー部55a,55b,55c,55dと、円形アンカー部55a〜55dを連結する連結部56a,56b,56c,56dと、を備える。アンカー55の円形アンカー部55a〜55dの各上面にはワイヤロープ及びテンドンとの接続のための接続部(図示省略)が設けられている。浮体構造物52及びアンカー55は、鋼材やコンクリート構造物から構成できる。
【0079】
下部構造物52cとアンカー55の各円形アンカー部55a〜55dとの間に複数のテンドン54が配置され、下部構造物52cを浮力に抗して水中に沈下させることでテンドン54に所定の張力をかけ、これにより、TLP51が洋上に係留される。
【0080】
図17,図18の専用船50は、図16のTLP51の水上設置に用いる台型の船体を持つ台船であって、浮体構造物52とテンドン54とアンカー55などのTLP51のすべてを一括して洋上の目的地まで曳航し、現地での据付、テンドン調整、その他、施設の点検や補修など、施工や維持管理に関係する全ての役割を兼ねることができる構造を有する。
【0081】
専用船50は、図17,図18のように、略矩方体形状の浮体構造物52の係留が可能な係留構造を有し、船尾側に、略矩方体形状の浮体構造物52の一面側に対し略平行な壁状部58を有する。
【0082】
専用船50には、浮体構造物52の各テンドン54の位置に対応して、テンドン54を巻き取り、また、繰り出し可能な複数のテンドン用ウインチ64が搭載されている。また、各種の作業を行うための作業用クレーン(図示省略)が搭載されている。
【0083】
専用船50には、図17,図18のように、複数のアンカー用櫓62が搭載され、また、アンカー55を吊り上げかつ吊り下げ可能な能力のある複数のアンカー用ウインチ65が各アンカー用櫓62の下部に搭載されている。
【0084】
各アンカー用櫓62は、船底に位置するアンカー55の各円形アンカー部55a〜55dに対応した位置に設置されている。
【0085】
アンカー用ウインチ65からのワイヤロープ65aがアンカー用櫓62の上部を介して櫓62の下部から台船を貫通して下方に延び、先端には接続機構65bが装着されている。アンカー55の各円形アンカー部55a〜55dの上部の接続部(図示省略)に接続機構65bを介してワイヤロープ65aが接続することでアンカー55を船底に保持し、アンカー55の吊り上げ・吊り下げが可能である。
【0086】
上述のように、アンカー用櫓62を設置することでアンカー用ウインチ65と櫓上部シーブ62aとの距離を充分に確保でき、フリートアングルを小さくすることができる。なお、接続機構65bは上述の接続機構25bと同様の構成であってよい。
【0087】
また、テンドン用の各ウインチ64からテンドン54が浮体構造物52の上部構造物52a、各支柱52b、下部構造物52cを貫通してアンカー55の各円形アンカー部55a〜55dの接続部(図示省略)まで延びている。専用船50において、アンカー55と浮体構造物52との位置関係を保ちながらテンドン54を用いて浮体構造物52とアンカー55の各円形アンカー部55a〜55dとを連結することができる。
【0088】
上述のように、専用船50は、浮体構造物52を係留構造・係留手段により船尾側に係留するとともにアンカー55を船底に保持し係留した状態で曳船Pによって航行することができ、目的水域まで搬送することができる。なお、浮体構造物52は、必要に応じて浮体構造物の係留手段として、図示していない別途のウインチや係留ロープを用いて、専用船50側に引きつけた状態として航行するようにしてもよい。
【0089】
アンカー55は、専用船50に搭載されているクレーン(図示省略)や櫓62を用いたウインチ65などのワイヤー設備などを用いて、高精度で水底に設置することができる。
【0090】
アンカー55が水底に設置された後のテンドン54の緊張に関し、専用船50に搭載されているテンドン用ウインチ64などの緊張設備や浮体構造物のバラスト調整などにより、所定の初期張力をテンドン54に作用させることができる。
【0091】
本実施形態では、図4と同様にして図17,図18の専用船50にアンカー55及び浮体構造物52を係留して動揺安定性を確保し、曳船Pにより専用船50を設置位置まで曳航する。
【0092】
次に、図9と同様にして、アンカー55を水底に設置するとともに、テンドン54に所定の張力をかけてから、専用船50を移動させる。
【0093】
上述のようにして、専用船50でアンカー55及び浮体構造物52を係留して設置位置まで移動し、アンカー55を水底に設置し、テンドン54に所定の張力をかけることで図16のTLP51を目的の洋上位置に精度よく設置できる。
【0094】
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、専用船10,50は、曳船により曳航されるが、これに限定されず、自航式にしてもよい。また、設置位置での位置決めなどの目的で、スラスター(船を横方向に動かすための動力装置)を装備してもよい。
【0095】
また、図3,図16のアンカー15,55の数量、形状等は一例であり、これ以外でもよいことはもちろんであり、円形アンカー部の形状も矩方体状や立方体状等であってもよい。アンカーは、図3,図16のように、複数個連結させ一体化した状態で設置してよいが、これに限定されず、例えば各テンドン14に対応して1個ずつ独立して設置してもよい。
【0096】
また、図1,図2,図16の浮体構造物の構成・構造も一例であって、他の構成・構造であってもよいことはもちろんである。また、ドライドック内での事前配置は、岸壁などにおいて行うようにしてもよい。
【0097】
また、アンカーの切り離しは、自動切り離し機構以外の方法で行ってもよく、潜水士による切り離し、ワイヤー尻手部を外してワイヤーを巻き取るなどの方法であってもよい。
【0098】
また、図1,図2,図19のアンカー15を収容する船底側のスペース10cは省略してもよく、スペースを特に設けず船底にアンカー15を係留するようにしてもよい。また、図17,図18は船底にアンカー55を係留するようにしたが、図1,図2のように、アンカーを収容するスペースを船底に設け、スペースにアンカーを収容するようにしてもよい。また、図1,図2のようにアンカーを収容するスペースを船底に設ける場合、アンカー全体を収容するスペースとしてよいが、これに限らず、アンカーの一部を収容するスペースとしてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10 専用船
10c 船底側のスペース
11 風車本体
11d 下部円柱部
12 浮体構造物
12a,12b,12c 浮体
14 テンドン(緊張係留索)
15 アンカー
15a,15b,15c 円形アンカー部
21 作業用クレーン
22 アンカー用櫓
22a 櫓上部シーブ
24 テンドン用ウインチ
25 アンカー用ウインチ
25a ワイヤロープ
30 専用船
50 専用船
52 浮体構造物
52c 下部構造物
54 テンドン(緊張係留索)
55 アンカー
55a,55b,55c,55d 円形アンカー部
62 アンカー用櫓
62a 櫓上部シーブ
64 テンドン用ウインチ
65 アンカー用ウインチ
65a ワイヤロープ
D ドライドック
G 水底
P 曳船

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水上または水中に設置される浮体構造物と、水底に設置されるアンカーと、前記浮体構造物と前記アンカーとの間に配置される緊張係留索と、を用いて、前記浮体構造物の浮力により前記緊張係留索に張力をかけることで前記浮体構造物を係留することで設置する方法であって、
前記浮体構造物の設置のための専用船を用意し、
前記専用船は、前記緊張係留索を用いて前記浮体構造物を係留するための第1係留手段と、前記アンカーを係留するための第2係留手段と、を備え、
前記浮体構造物と前記アンカーとの位置関係を保ちながら前記浮体構造物を前記第1係留手段により前記専用船に連結して係留しかつ前記アンカーを前記第2係留手段により前記専用船に保持して係留した状態で前記専用船が前記浮体構造物の構築位置まで移動し、
前記アンカーを前記第2係留手段によって水底に設置し、
前記浮体構造物と前記水底に設置されたアンカーとの間に前記緊張係留索を前記第1係留手段によって設置し、
前記浮体構造物の浮力調整及び/又は前記緊張係留索の巻き取り・巻き戻し調整により前記緊張係留索に所定の張力をかけることを特徴とする緊張係留浮体構造物の設置方法。
【請求項2】
前記第1係留手段は緊張係留索用ウインチを備え、前記緊張係留索用ウインチによる前記緊張係留索の巻き取り・巻き戻しで前記連結及び係留を行うとともに前記張力の調整が可能である請求項1に記載の緊張係留浮体構造物の設置方法。
【請求項3】
前記第2係留手段は、前記専用船上に前記アンカーに対応して設けられかつアンカー用吊り索の巻き取り・巻き戻しが可能なアンカー用ウインチと、前記専用船上に設けられた所定高さの櫓体と、を備え、前記アンカー用吊り索が前記アンカー用ウインチから前記櫓体の上部を介して前記アンカーまで延びる請求項1または2に記載の緊張係留浮体構造物の設置方法。
【請求項4】
前記浮体構造物と前記アンカーと前記緊張係留索とをドライドック内において所定位置に配置し、
次に、前記ドック内に注水してから前記専用船を引き込み、前記浮体構造物と前記アンカーと前記緊張係留索とを前記専用船に係留させた状態とし、
次に、前記専用船を前記構築位置まで移動させる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の緊張係留浮体構造物の設置方法。
【請求項5】
前記浮体構造物に洋上施設が一体的に搭載されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の緊張係留浮体構造物の設置方法。
【請求項6】
水上または水中に設置される浮体構造物と、水底に設置されるアンカーと、前記浮体構造物と前記アンカーとの間に配置される緊張係留索と、を用いて、前記浮体構造物の浮力により前記緊張係留索に張力をかけることで前記浮体構造物を係留することで設置する際に用いられる船であって、
前記緊張係留索を用いて前記浮体構造物を係留するための第1係留手段と、前記アンカーを係留するための第2係留手段と、を備え、
前記浮体構造物と前記アンカーとの位置関係を保ちながら前記浮体構造物を前記第1係留手段により連結して係留しかつ前記アンカーを前記第2係留手段により保持して係留した状態で水上を移動可能であり、
前記アンカーを前記第2係留手段によって水底に設置し、
前記浮体構造物と前記水底に設置されたアンカーとの間に前記緊張係留索を前記第1係留手段によって設置し、
前記浮体構造物の浮力調整及び/又は前記緊張係留索の巻き取り・巻き戻し調整により前記緊張係留索に所定の張力をかけることができるように構成されていることを特徴とする緊張係留浮体構造物の設置用船。
【請求項7】
前記第1係留手段は、前記緊張係留索の巻き取り及び巻き戻しが可能な緊張係留索用ウインチを備える請求項6に記載の緊張係留浮体構造物の設置用船。
【請求項8】
前記第2係留手段は、前記専用船上に前記アンカーに対応して設けられかつアンカー用吊り索の巻き取り・巻き戻しが可能なアンカー用ウインチと、前記専用船上に設けられた所定高さの櫓体と、を備え、前記アンカー用吊り索が前記アンカー用ウインチから前記櫓体の上部を介して前記アンカーまで延びる請求項6または7に記載の緊張係留浮体構造物の設置用船。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図1】
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【図2】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−11845(P2012−11845A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148690(P2010−148690)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)