説明

緊急時環境放射線モニタリングシステム及びその方法

【課題】 環境放射線監視や原子力安全防災対策において、モニタリングカーなど各種移動体の活動計画、活動支援、測定データの管理を一元的に行うシステムを提供する。
【解決手段】 原子力関連施設周辺のキーホール図を作成するキーホール図生成部と、原子力関連施設周辺の地図を格納するとともに、モニタリング位置を記憶するモニタリング位置格納部と、キーホール図生成部により生成されたキーホール図と、モニタリング位置格納部に格納された原子力関連施設周辺の地図とを重ねあわせて合成するキーホール図合成部と、キーホール図内に存在するモニタリング位置を抽出し、モニタリング位置を決定するモニタリング位置決定部とを備える本部装置と、モニタリング位置へのルートを計算し表示するナビゲーション部と、モニタリング位置で環境モニタリングを行う環境モニタリング部とを備える移動モニタリング装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境放射線監視や原子力安全防災対策において、モニタリングカーなど各種移動体の活動計画、活動支援、測定データの管理を一元的に行う環境モニタリングシステム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
緊急時環境放射線モニタリングは、放射性物質を大量に保有又は取り扱う原子力発電所等の原子力関連施設で異常事態が発生し、原子力関連施設外へ放射性物質が大量に放出されたとき、または、そのおそれがあるときに施設周辺環境の放射線及び放射性物質に関する情報を迅速に得るために実施されるモニタリングである。
【0003】
緊急時には原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力事業者から通報があった段階では平常時のモニタリングを強化するとともに、原子力事業者から施設内の状況に関する情報を入手し、事態の推移に応じて緊急時モニタリングの準備を開始し、さらに、原子力緊急事態を示す事象が発生した場合には、緊急時モニタリングを開始することとなる。
【0004】
緊急時環境放射線モニタリングでは、周辺環境における放射線及び放射性物質に関する情報並びに施設からの放射性物質の放出に関する情報等を迅速に収集することにより、被ばく線量を予測するとともに、住民の健康と財産を保護するために必要な防護対策(退避、避難、ヨウ素剤の投与、立ち入り禁止、食物摂取制限など)を早急に決定するための資料を得ることが必要となる。
【0005】
このため緊急時には、施設周辺の放射性物質の放出に関する情報等を迅速に収集するために、必要に応じて、現地派遣モニタリングチームが構成されて出動し、可搬型モニタリングポストや積算線量計を特別配置することにより、施設周辺の所定の地域の線量率モニタリングやヨウ素モニタリングを実施する。
【0006】
施設周辺の所定の地域の緊急時環境放射線モニタリングを行う技術としては、地図上に関連付けられた放射線量情報と放射性物質取扱い施設における事故情報と気象情報等を入力して、放射性物質の拡散および拡散された放射性物質による地域毎の土壌汚染状態と地域毎に予測し、放射線量情報の取得には、地図上に関連付けられた位置検出装置と放射線量測定装置および無線交信手段を備えた携帯端末を用いる技術がある(例えば、特許文献1参照)。この技術によれば、地図上における局部的で詳細な線量情報の把握と共に、放射性物質の分布を容易に知ることができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−326521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術によれば、放射線及び放射性物質に関する情報はあくまでも地図上の任意の位置で取得するものであるから、携帯端末の所在地によっては情報の取得位置に偏りが生じ、精度の高い放射性物質の分布を得ることが難しい。
【0009】
また、事故が発生した場合には、原子炉からは主に放射性希ガス(Xe, Kr)や揮発性の放射性ヨウ素が、核燃料施設からは主にウラン、再処理施設からは主にプルトニウムやセシウム−137などが大気中に放出される。これらは早い速度で大気中に拡散希釈され周辺住民に被ばくをもたらす。したがって、緊急時モニタリングの内容としては、応急措置に直結する迅速性を要するモニタリングと精密測定のための精密性を要するモニタリングを実施する必要がある。しかしながら、従来の技術によれば、現地派遣モニタリングチームを必要な地域に迅速かつ精密に配置することは困難である。
【0010】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、環境放射線監視や原子力安全防災対策において、モニタリングカーなど各種移動体の活動計画、活動支援、測定データの管理を一元的に行うシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の緊急時環境放射線モニタリングシステムは、原子力関連施設周辺のキーホール図を作成するキーホール図生成部と、原子力関連施設周辺の地図を格納するとともに、モニタリング位置を記憶するモニタリング位置格納部と、キーホール図生成部により生成されたキーホール図と、モニタリング位置格納部に格納された原子力関連施設周辺の地図とを重ねあわせて合成するキーホール図合成部と、キーホール図内に存在するモニタリング位置を抽出し、モニタリング位置を決定するモニタリング位置決定部と、モニタリング位置を無線通信網を介して送信する移動体配置送信部と、を備える本部装置と、本部装置からモニタリング位置を受信する移動体配置受信部と、モニタリング位置へのルートを計算し表示するナビゲーション部と、モニタリング位置で環境モニタリングを行う環境モニタリング部とを備える移動モニタリング装置とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の緊急時環境放射線モニタリング方法は、本部装置が、原子力関連施設周辺のキーホール図を作成するステップと、本部装置が、キーホール図生成部により生成されたキーホール図と、原子力関連施設周辺の地図とを重ねあわせて合成するステップと、本部装置が、キーホール図内に存在するモニタリング位置を抽出し、モニタリング位置を決定するステップと、本部装置が、モニタリング位置を無線通信網を介して送信するステップと、移動モニタリング装置が、本部装置からモニタリング位置を受信するステップと、移動モニタリング装置が、モニタリング位置へのルートを計算し表示するステップと、移動モニタリング装置が、モニタリング位置で環境モニタリングを行うステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無線通信網を介してモニタリング車両の位置や測定データなどをリアルタイムに送受信することができ、情報を瞬時に把握することができる。また、携帯電話や行政防災無線など口頭での情報伝達では、聞き間違えによる伝達ミスも懸念されるが、本システムを利用することで正確な情報伝達を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の緊急時環境放射線モニタリングシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】キーホール図の一例を示す図である。
【図3】施設周辺の地図とキーホール図を合成した例を示す図である。
【図4】本実施形態の本部装置の表示部に表示されるデータの例である。
【図5】本実施形態の移動モニタリング装置の表示部に表示される現場写真データの例である。
【図6】本実施形態の緊急時環境放射線モニタリングシステムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態である緊急時環境放射線モニタリングシステムについて、図を参照して詳細に説明をする。
【0016】
図1は、本実施形態の緊急時環境放射線モニタリングシステムの構成を示すブロック図である。本実施形態の緊急時環境放射線モニタリングシステムは、データを蓄積・表示、移動体へ指示を行う本部装置100と、目的地への誘導、測定結果等を送信する1以上の移動モニタリング装置200を含んで構成される。本部装置100と移動モニタリング装置200は、無線通信網を介してネットワーク接続される。
【0017】
本実施形態の緊急時環境放射線モニタリングシステムに用いられる本部装置100と移動モニタリング装置200は、CPU(演算手段)とメモリ装置(RAMやROM等の記憶手段)を各々有し、このメモリ装置に格納されたプログラムを実行することにより、図1のブロック図に示す処理装置として機能する。
【0018】
本部装置100は、緊急時に設置される緊急時モニタリングセンターなどの対策本部に設置され、モニタリング作業を指揮するための装置であり、具体的には、パーソナルコンピュータや、移動体の台数や送受信するデータ量によってはサーバー装置が適宜用いられる。
【0019】
移動モニタリング装置200は、現地派遣モニタリングチームが出動時に所持する装置であり、また、自動車、船舶、航空機等の移動体に搭載される場合もある。
【0020】
本部装置100は、内部ブロックとして、気象データ取得部101と、キーホール図生成部102と、モニタリング位置格納部103と、キーホール図合成部104と、モニタリング位置決定部105と、移動体配置計算部106と、移動体配置送信部107と、移動体位置受信部108と、測定結果受信部109と、情報処理部110と、表示部111とを有する。
【0021】
気象データ取得部101は、原子力関連施設周辺の気象データをリアルタイムで収集する。気象データは、原子力事業者、気象庁、またはその他気象観測を行う機関から入手してもよい。
【0022】
キーホール図生成部102は、気象データ取得部101が取得した気象データに基づいて施設周辺のキーホール図を作成する。
【0023】
図2は、キーホール図の一例を示す図である。キーホール図とは、原子力発電所などの原子力施設(放射性物質の放出源)を中心に半径10Kmの範囲を0.5Km ごとに分割した同心円をさらに16方位に分割し、それぞれを避難区域A、避難またはコンクリート屋内退避区域B、屋内退避区域Cに区別した図(図中のX)のことをいう。また、避難またはコンクリート屋内退避区域B、屋内退避区域Cについては、施設付近の気象状況により、その方位が変更されることとなる。
【0024】
この図を見れば、重点的に防災対策をする地域が一目で分かる。なお、この図は鍵穴に似ていることから「キーホール図」と呼ばれている。キーホール図生成部102は、放出されたまたは放出が予測される放射性物質の量や風向、風速などの気象条件を考慮してその拡散範囲を予測し、キーホール図Xを生成するとともに、各区域A〜Cの指定を決定する。
【0025】
モニタリング位置格納部103は、施設周辺の地図を格納するとともに、緊急時モニタリングマニュアル等により予め定めた防災計画にしたがうモニタリング位置を記憶している。
【0026】
キーホール図合成部104は、キーホール図生成部102により生成されたキーホール図と、モニタリング位置格納部103に格納された施設周辺の地図とを重ねあわせて合成する。
【0027】
モニタリング位置決定部105は、キーホール図合成部104で重ねあわされたキーホール図と施設周辺の地図から、キーホール図内に存在するモニタリング位置を抽出し、モニタリング位置を決定する。
【0028】
図3は、施設周辺の地図とキーホール図を合成した例を示す図である。なお、図に用いた地図はあくまでも説明のための例であり、具体的な地名等に意味はない。図3に示すように、施設周辺の地図とともに複数のモニタリング位置A〜Eが表示されている。また、キーホール図X内にはモニタリング位置A及びBが存在する。そして、キーホール図X内のモニタリング位置A及びBを、移動モニタリング装置200を配備する位置に決定する。
【0029】
このように、あらかじめ登録された採取、測定地点と、防護対策区域図(キーホール図)を合成し簡単に計画図を作成することができる。
【0030】
移動体位置受信部108は、1以上の移動モニタリング装置200から、各移動モニタリング装置200の現在位置を受信し、移動体配置計算部106へ出力する。なお、移動モニタリング装置200の現在位置には、例えばグローバル・ポジショニング・システム (GPS)を利用して測位された各移動モニタリング装置200の緯度・経度を用いることができる。
【0031】
移動体配置計算部106は、モニタリング位置決定部105で得られたモニタリング位置と各移動モニタリング装置200の所在地とを比較して、各移動モニタリング装置200のモニタリング位置への移動を最適化の計算を行う。
【0032】
移動体配置送信部107は、各移動モニタリング装置200へ、移動すべきモニタリング位置を送信する。
【0033】
測定結果受信部109は、各移動モニタリング装置200から環境モニタリングを行った結果のデータを受信する。移動体から受信したデータは、不図示のデータベースに蓄積される。
【0034】
情報処理部110は、各移動モニタリング装置200が取得した環境モニタリングデータを処理する。具体的には、各移動モニタリング装置200からの情報を基に、被ばく線量予測地図、空気中濃度予測地図などを作成する。
【0035】
表示部111は、情報処理部110で処理されたデータをディスプレイなどに表示する。
【0036】
図4は、表示部111に表示されるデータの例である。このように、蓄積されたデータを地図上に展開表示することで、モニタリングカーの現在位置と測定の結果を可視化することができる。また、屋外活動中のモニタリングカーの現在位置と測定値を地図上に展開すると、そのままプレゼンテーションに利用でき防災訓練時など本部側でリアルタイムに情報の共有ができる。さらに、走行サーベイのように連続したデータを地図上に展開すると簡単に線量分布マップを作成することもできる。また、表計算ソフトと連携することにより、過去データとの比較なども可能となる。さらに、採取、測定地点の表示、消去等の操作を、画面上から容易に行えるため、情報を共有しながら計画を策定することも可能である。
【0037】
移動モニタリング装置200は、内部ブロックとして、移動体配置受信部201と、ナビゲーション部202と、移動体位置送信部203と、現場写真保存部204と、表示部205と、環境モニタリング部206と、測定結果送信部207とを有する。
【0038】
移動体配置受信部201は、本部装置100から移動モニタリング装置200が移動すべき位置のデータを受信する。
【0039】
ナビゲーション部202は、本部装置100から受信した移動モニタリング装置200が移動すべき位置(つまり、目的地)のデータに基づいて、移動モニタリング装置200が移動すべきルートを計算する。また、ナビゲーション部202は、移動モニタリング装置200の現在位置を移動体位置送信部203に出力する。
【0040】
移動体位置送信部203は、ナビゲーション部202から受信した、移動モニタリング装置200の現在位置を本部装置100へ送信する。
【0041】
現場写真保存部204は、各モニタリング位置の現場写真を格納し、ナビゲーション部202からの要求に応じて、表示部205へ目的地の現場写真データを出力する。
【0042】
図5は、表示部205に表示される現場写真データの例である。カーナビゲーションシステムなどの地図上に表示される目的地だけでは、測定場所の詳細が分かりにくい場合がある。特にバックグラウンド測定のように周囲の建築物や、地表面の違いが影響する場合には、毎回同じ場所で測定を行うことが重要となる。本システムでは、地図による目的地表示以外に写真による補足説明(図中の白矢印)を行うことで、詳細な位置を確認することが可能となる。このように、採取・測定地点を地図上に示すだけでなく、その地点の詳細を写真や説明文で補足することで、確実に目的地を把握することができ、作業効率が向上する。
【0043】
表示部205は、移動モニタリング装置200が移動すべきルートをディスプレイに表示する。なお、ルートの計算及び表示は一般のカーナビゲーション装置と同様である。
【0044】
環境モニタリング部206は、ナビゲーション部202から受信した目的地到着の指示に従って、環境のモニタリングを行う。環境モニタリングは、空間線量率や、大気中放射性ヨウ素、ウランまたはプルトニウム等の濃度や、環境試料(飲料水、葉菜、原乳等)中の放射性ヨウ素、ウラン、プルトニウム等の濃度および表面密度などについてモニタリングを行う。なお、モニタリングを行う装置にはサーベイメータ等の公知の測定技術を用いればよい。測定結果等を現場にてデジタル化するため、集計作業が効率化される。
【0045】
測定結果送信部207は、環境モニタリング部206が測定したデータを本部装置100へ送信する。
【0046】
本実施形態の移動モニタリング装置200は、カーナビゲーションシステムに、放射線監視用プログラムを融合させることで、シンプルな操作となり簡単に操作を行うことができる。従来のようなパソコンを使ったシステムの場合には、多くの情報を一つの画面で扱える半面、パソコンを起動したり、操作を覚えたりと煩わしさがあるが、本システムは車のエンジンをかけたその瞬間から、誰でも指先一つで操作することが可能である。
【0047】
本実施形態の本部装置100と移動モニタリング装置200とは、無線通信網を介して、車両位置や測定データなどをリアルタイムに送受信することができ、情報を瞬時に把握することができる。携帯電話や行政防災無線など口頭での情報伝達では、聞き間違えによる伝達ミスも懸念されるが、本システムを利用することで正確な情報伝達を行うことが可能となる。
【0048】
図6は、本実施形態の緊急時環境放射線モニタリングシステムの処理を示すフローチャートである。
【0049】
ステップ101では、本部装置100は、外部機関等から施設付近の気象データを取得する。ステップ102では、本部装置100は、気象データから施設を中心としたキーホール図を作成する。
【0050】
ステップ103では、本部装置100は、記憶されたモニタリング位置を抽出する。ステップ104では、本部装置100は、キーホール図と施設周辺のモニタリング位置とを重ね合わせて合成する。
【0051】
ステップ105では、本部装置100は、キーホール図内に存在するモニタリング位置を抽出し、モニタリング位置を決定する。
【0052】
ステップ201では、移動モニタリング装置200は、本部装置100へ、自己の現在位置を送信する。ステップ106では、本部装置100は、1以上の移動モニタリング装置200の位置を受信し、各移動体の位置等を把握する。
【0053】
ステップ107では、本部装置100は1以上の移動モニタリング装置200の配置を確認し、各移動モニタリング装置200のモニタリング位置への移動を最適化するための計算を行う。ステップ108では、1以上の移動モニタリング装置200へ、移動すべきモニタリング位置を送信し、移動モニタリング装置200へ目的地やメッセージなどの指示の発信を行う。
【0054】
ステップ202では、移動モニタリング装置200は、本部装置100から移動すべきモニタリング位置を受信し、本部からの目的地やメッセージなどの指示を受信する。ステップ203では、移動モニタリング装置200は、移動モニタリング装置200は、モニタリング位置を目的地としたナビゲーションを開始し、目的地までの誘導を行う。
【0055】
ステップ204では、移動モニタリング装置200は、ディスプレイに目的地の現場写真を表示し、測定、採取地点の詳細表示を行う。ステップ205では、移動モニタリング装置200は、ディスプレイに目的地までのルートを表示する。
【0056】
ステップ206では、移動モニタリング装置200は、目的地に到着したことを確認し、環境モニタリングを行い、測定結果が入力される。ステップ207では、移動モニタリング装置200は、測定結果を本部装置100へ送信する。
【0057】
ステップ109では、本部装置100は1以上の移動モニタリング装置200から各測定結果を受信する。ステップ110では、本部装置100は測定データを処理し、測定データ等を集計する。ステップ111では、本部装置100は測定データ等を表示する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の緊急時環境放射線モニタリングシステムによれば、無線通信網を介して、車両位置や測定データなどをリアルタイムに送受信することができ、情報を瞬時に把握することができる。また、携帯電話や行政防災無線など口頭での情報伝達では、聞き間違えによる伝達ミスも懸念されるが、本システムを利用することで正確な情報伝達を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
100:本部装置
101:気象データ取得部
102:キーホール図生成部
103:モニタリング位置格納部
104:キーホール図合成部
105:モニタリング位置決定部
106:移動体配置計算部
107:移動体配置送信部
108:移動体位置受信部
109:測定結果受信部
110:情報処理部
111:表示部
200:移動モニタリング装置
201:移動体配置受信部
202:ナビゲーション部
203:移動体位置送信部
204:現場写真保存部
205:表示部
206:環境モニタリング部
207:測定結果送信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力関連施設周辺のキーホール図を生成するキーホール図生成部と、
前記原子力関連施設周辺の地図を格納するとともに、所定のモニタリング位置を記憶するモニタリング位置格納部と、
前記キーホール図生成部により生成されたキーホール図と、前記モニタリング位置格納部に格納された原子力関連施設周辺の地図とを合成するキーホール図合成部と、
前記キーホール図内に存在するモニタリング位置を抽出し、環境モニタリングを行うモニタリング位置を決定するモニタリング位置決定部と、
前記モニタリング位置を無線通信網を介して送信する移動体配置送信部と、
を備える本部装置と、
前記本部装置から前記モニタリング位置を受信する移動体配置受信部と、
前記モニタリング位置へのルートを計算し表示するナビゲーション部と、
前記モニタリング位置で環境モニタリングを行う環境モニタリング部と、
を備える移動モニタリング装置と、
を有することを特徴とする緊急時環境放射線モニタリングシステム。
【請求項2】
前記本部装置は、前記原子力関連施設周辺の気象データをリアルタイムで収集する気象データ取得部をさらに備え、
前記キーホール図生成部は、前記気象データ取得部が取得した気象データに基づいて施設周辺のキーホール図を生成することを特徴とする請求項1に記載の緊急時環境放射線モニタリングシステム。
【請求項3】
前記本部装置は、
複数の前記移動モニタリング装置から、複数の前記移動モニタリング装置の現在位置を受信する移動体位置受信部と
前記モニタリング位置決定部で得られたモニタリング位置と前記複数の移動モニタリング装置の各現在位置とを比較して、前記複数の移動モニタリング装置の各々の移動位置の最適化を行う移動体配置計算部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の緊急時環境放射線モニタリングシステム。
【請求項4】
前記本部装置は、
前記移動モニタリング装置から環境モニタリングデータを受信し、前記環境モニタリングデータから被ばく線量予測地図及び空気中濃度予測地図を作成する情報処理部をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の緊急時環境放射線モニタリングシステム。
【請求項5】
前記移動モニタリング装置は、
前記モニタリング位置の現場写真を格納し、前記ナビゲーション部からの要求に応じて、測定位置の詳細を含む前記モニタリング位置の現場写真データを出力する現場写真保存部をさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の緊急時環境放射線モニタリングシステム。
【請求項6】
本部装置が、原子力関連施設周辺のキーホール図を生成するステップと、
前記本部装置が、前記キーホール図と原子力関連施設周辺の地図とを合成するステップと、
前記本部装置が、前記キーホール図内に存在するモニタリング位置を抽出してモニタリング位置を決定するステップと、
前記本部装置が、前記モニタリング位置を無線通信網を介して送信するステップと、
移動モニタリング装置が、前記本部装置から前記モニタリング位置を受信するステップと、
前記移動モニタリング装置が、前記モニタリング位置へのルートを計算し表示するステップと、
前記移動モニタリング装置が、前記モニタリング位置で環境モニタリングを行うステップと、
を有することを特徴とする緊急時環境放射線モニタリング方法。
【請求項7】
前記本部装置が、前記原子力関連施設周辺の気象データをリアルタイムで収集するステップをさらに有し、
前記キーホール図を作成するステップでは、前記気象データに基づいて施設周辺のキーホール図を作成することを特徴とする請求項6に記載の緊急時環境放射線モニタリング方法。
【請求項8】
前記本部装置が、複数の前記移動モニタリング装置から複数の前記移動モニタリング装置の現在位置を受信するステップと
前記本部装置が、前記モニタリング位置を決定するステップで得られたモニタリング位置と前記複数の移動モニタリング装置の各現在位置とを比較して、前記複数の移動モニタリング装置の各々の移動位置の最適化を行うステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項6または7に記載の緊急時環境放射線モニタリング方法。
【請求項9】
前記本部装置が、前記移動モニタリング装置から環境モニタリングデータを受信し、前記環境モニタリングデータから被ばく線量予測地図、空気中濃度予測地図を作成するステップをさらに有することを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の緊急時環境放射線モニタリング方法。
【請求項10】
前記移動モニタリング装置が、測定位置の詳細を含む前記モニタリング位置の現場写真データを出力するステップをさらに有することを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の緊急時環境放射線モニタリング方法。

【図3】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−266304(P2010−266304A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117205(P2009−117205)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(506220232)原電情報システム株式会社 (3)
【Fターム(参考)】